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【発明の名称】 燃料噴射装置
【発明者】 【氏名】渡辺 義正

【氏名】大前 和広

【要約】 【課題】燃料噴射装置への供給燃料圧を変更することなくニードル弁の最大リフト量を変更すると共に、温度が変化した場合であってもニードル弁の最大リフト量を正確に制御する。

【解決手段】燃料噴射用噴孔を開閉するニードル弁2と、ニードル弁2を閉弁側に付勢する第一圧力制御室3と、ニードル弁2を開弁側に付勢する燃料だまり室4とを設け、ニードル弁2の全開時のリフト量である最大リフト量を調節するリフトロックピストン5を設け、最大リフト量を大きくする側にリフトロックピストン5を第一圧力制御室3により付勢し、最大リフト量を小さくする側にリフトロックピストン5を第二圧力制御室6により付勢し、第一圧力制御室3内の圧力と第二圧力制御室6内の圧力との関係を変更することにより最大リフト量を変更する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料噴射用噴孔を開閉する噴孔開閉弁と、前記噴孔開閉弁を閉弁側に付勢する閉弁側付勢手段と、前記噴孔開閉弁を開弁側に付勢する開弁側付勢手段とを具備する燃料噴射装置において、前記噴孔開閉弁の全開時のリフト量である最大リフト量を調節する最大リフト量調節手段を設け、最大リフト量を大きくする側に前記最大リフト量調節手段を付勢する第一圧力制御室と、最大リフト量を小さくする側に前記最大リフト量調節手段を付勢する第二圧力制御室とを設け、前記第一圧力制御室内の圧力と前記第二圧力制御室内の圧力との関係を変更することにより最大リフト量を変更するようにした燃料噴射装置。
【請求項2】 前記閉弁側付勢手段が前記第一圧力制御室により形成される請求項1に記載の燃料噴射装置。
【請求項3】 前記最大リフト量調節手段がシリンダにより案内されるリフトロックピストンであり、前記リフトロックピストンの軸方向端部の外径と前記シリンダの内径との間に芯ずれ許容空間を設けた請求項1に記載の燃料噴射装置。
【請求項4】 前記最大リフト量調節手段が、複数の部材からなるシリンダにより案内されるリフトロックピストンであり、最大リフト量が大きくされた時、又は、最大リフト量が小さくされた時、前記リフトロックピストンが、前記シリンダを形成する複数の部材の境界面に突き当てられるようにした請求項1に記載の燃料噴射装置。
【請求項5】 前記最大リフト量調節手段がリフトロックピストンであり、前記噴孔開閉弁が前記リフトロックピストンに突き当てられることにより前記噴孔開閉弁の最大リフト量が画定され、前記リフトロックピストンに突き当てられた前記噴孔開閉弁が前記リフトロックピストンから分離するのを促進する分離促進手段を設けた請求項1に記載の燃料噴射装置。
【請求項6】 前記最大リフト量調節手段がリフトロックピストンであり、前記噴孔開閉弁の閉弁動作終了時に最大リフト量を小さくする側に前記リフトロックピストンを突き当てて配置するようにした請求項1に記載の燃料噴射装置。
【請求項7】 前記噴孔開閉弁の閉弁動作終了時に、前記第二圧力制御室内の圧力が前記第一圧力制御室内の圧力よりも速く上昇するようにした請求項6に記載の燃料噴射装置。
【請求項8】 前記最大リフト量調節手段がリフトロックピストンであり、前記第二圧力制御室の入口通路が、前記リフトロックピストンの内部に前記リフトロックピストンと同軸に形成された請求項1に記載の燃料噴射装置。
【請求項9】 前記第一圧力制御室内の圧力を制御する第一圧力制御弁と、前記第二圧力制御室内の圧力を制御する第二圧力制御弁とを設け、前記第一圧力制御弁と前記第二圧力制御弁とを一のアクチュエータにより作動し、前記アクチュエータの駆動力に応じて前記第一圧力制御室と前記第二圧力制御室とが共に加圧された状態と、前記第一圧力制御室と前記第二圧力制御室とが共に減圧された状態と、前記第一圧力制御室が減圧されかつ前記第二圧力制御室が加圧された状態とを切り換えるようにした請求項1に記載の燃料噴射装置。
【請求項10】 前記アクチュエータにより作動される前記第一圧力制御弁又は前記第二圧力制御弁にこじり力が発生するのを阻止するこじり力発生阻止手段を設けた請求項9に記載の燃料噴射装置。
【請求項11】 前記第二圧力制御室に入口通路と出口通路とを設け、前記入口通路と前記出口通路とを連通路により連通させ、前記連通路に絞られた部分を形成した請求項1に記載の燃料噴射装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、燃料噴射用噴孔を開閉するニードル弁と、ニードル弁を閉弁側に付勢する閉弁側付勢手段と、ニードル弁を開弁側に付勢する開弁側付勢手段とを具備する燃料噴射装置が知られている。この種の燃料噴射装置の例としては、例えば特開平8−334072号公報に記載されたものがある。特開平8−334072号公報に記載された第一の燃料噴射装置では、噴孔から噴射すべき燃料を燃料噴射装置に供給する供給燃料圧を変更することにより、ニードル弁の全開時のリフト量である最大リフト量が変更せしめられる。また、特開平8−334072号公報に記載された第二の燃料噴射装置では、ニードル弁の全開時にニードル弁が突き当てられる突き当て部の位置を変更するためにピエゾ式アクチュエータの伸長量が変更せしめられる。つまり、この燃料噴射装置では、突き当て部の位置がピエゾ式アクチュエータにより直接制御される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述したように特開平8−334072号公報に記載された第一の燃料噴射装置では、ニードル弁の全開時のリフト量である最大リフト量を変更せしめるために、供給燃料圧を変更しなければならない。また、特開平8−334072号公報に記載された第二の燃料噴射装置では、ニードル弁の全開時のリフト量である最大リフト量の変更が、ピエゾ式アクチュエータの伸長量を変更することにより行われる。従って、最大リフト量を変更することが予定されていない場合であっても、温度が変化するとピエゾ式アクチュエータの伸長量(熱膨張量)が変化してしまい、最大リフト量も変化してしまう。つまり、特開平8−334072号公報に記載された第二の燃料噴射装置では、温度が変化したときに最大リフト量を正確に制御することができない。
【0004】前記問題点に鑑み、本発明は、燃料噴射装置への供給燃料圧を変更する必要なくニードル弁の最大リフト量を変更することができると共に、温度が変化した場合であってもニードル弁の最大リフト量を正確に制御することができる燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明によれば、燃料噴射用噴孔を開閉する噴孔開閉弁と、前記噴孔開閉弁を閉弁側に付勢する閉弁側付勢手段と、前記噴孔開閉弁を開弁側に付勢する開弁側付勢手段とを具備する燃料噴射装置において、前記噴孔開閉弁の全開時のリフト量である最大リフト量を調節する最大リフト量調節手段を設け、最大リフト量を大きくする側に前記最大リフト量調節手段を付勢する第一圧力制御室と、最大リフト量を小さくする側に前記最大リフト量調節手段を付勢する第二圧力制御室とを設け、前記第一圧力制御室内の圧力と前記第二圧力制御室内の圧力との関係を変更することにより最大リフト量を変更するようにした燃料噴射装置が提供される。
【0006】請求項1に記載の燃料噴射装置では、最大リフト量を大きくする側に最大リフト量調節手段を付勢する第一圧力制御室内の圧力と、最大リフト量を小さくする側に最大リフト量調節手段を付勢する第二圧力制御室内の圧力との関係を変更することにより、噴孔開閉弁の全開時の最大リフト量が変更せしめられる。つまり、最大リフト量を変更するために、第一圧力制御室内の圧力と第二圧力制御室内の圧力との関係が変更されればよく、燃料噴射装置への供給燃料圧を変更する必要がない。また、最大リフト量を変更するために変更される対象が第一圧力制御室及び第二圧力制御室内の圧力であるため、ピエゾ式アクチュエータの伸長量を変更することにより最大リフト量を変更する場合のように温度変化に伴って最大リフト量が変化してしまうことがない。そのため、燃料噴射装置への供給燃料圧を変更する必要なく噴孔開閉弁の全開時の最大リフト量を変更することができると共に、温度が変化した場合であっても噴孔開閉弁の全開時の最大リフト量を正確に制御することができる。
【0007】請求項2に記載の発明によれば、前記閉弁側付勢手段が前記第一圧力制御室により形成される請求項1に記載の燃料噴射装置が提供される。
【0008】請求項2に記載の燃料噴射装置では、第一圧力制御室が、最大リフト量を大きくする側に最大リフト量調節手段を付勢する役目を果たすだけでなく、噴孔開閉弁を閉弁側に付勢する役目を果たす。そのため、最大リフト量を大きくする側に最大リフト量調節手段を付勢する手段と噴孔開閉弁を閉弁側に付勢する手段とを別個に設ける必要性を排除することができる。
【0009】請求項3に記載の発明によれば、前記最大リフト量調節手段がシリンダにより案内されるリフトロックピストンであり、前記リフトロックピストンの軸方向端部の外径と前記シリンダの内径との間に芯ずれ許容空間を設けた請求項1に記載の燃料噴射装置が提供される。
【0010】請求項3に記載の燃料噴射装置では、リフトロックピストンの軸方向端部の外径とシリンダの内径との間に芯ずれ許容空間が設けられる。そのため、シリンダが複数の部材により構成されそれらの部材に芯ずれが発生した場合であっても、その芯ずれが芯ずれ許容空間により吸収され、芯ずれが発生した部材の端面とリフトロックピストンの端面とが衝突してしまうのを回避することができる。
【0011】請求項4に記載の発明によれば、前記最大リフト量調節手段が、複数の部材からなるシリンダにより案内されるリフトロックピストンであり、最大リフト量が大きくされた時、又は、最大リフト量が小さくされた時、前記リフトロックピストンが、前記シリンダを形成する複数の部材の境界面に突き当てられるようにした請求項1に記載の燃料噴射装置が提供される。
【0012】請求項4に記載の燃料噴射装置では、最大リフト量が大きくされた時、又は、最大リフト量が小さくされた時にリフトロックピストンが突き当てられる突き当て面が、シリンダを形成する複数の部材の境界面により形成される。そのため、リフトロックピストンが突き当てられる突き当て面をシリンダの内壁面に別個に形成する場合に比べ、突き当て面の精度を向上させることができると共に、突き当て面を加工する加工費を低減することができる。
【0013】請求項5に記載の発明によれば、前記最大リフト量調節手段がリフトロックピストンであり、前記噴孔開閉弁が前記リフトロックピストンに突き当てられることにより前記噴孔開閉弁の最大リフト量が画定され、前記リフトロックピストンに突き当てられた前記噴孔開閉弁が前記リフトロックピストンから分離するのを促進する分離促進手段を設けた請求項1に記載の燃料噴射装置が提供される。
【0014】請求項5に記載の燃料噴射装置では、リフトロックピストンに突き当てられた噴孔開閉弁がリフトロックピストンから分離するのを促進する分離促進手段が設けられる。そのため、リフトロックピストンに突き当てられた噴孔開閉弁がリフトロックピストンから分離するのが遅れてしまうことにより噴孔開閉弁の閉弁動作が遅れてしまうのを回避することができる。
【0015】請求項6に記載の発明によれば、前記最大リフト量調節手段がリフトロックピストンであり、前記噴孔開閉弁の閉弁動作終了時に最大リフト量を小さくする側に前記リフトロックピストンを突き当てて配置するようにした請求項1に記載の燃料噴射装置が提供される。
【0016】請求項6に記載の燃料噴射装置では、噴孔開閉弁の閉弁動作終了時に最大リフト量を小さくする側にリフトロックピストンが突き当てて配置される。そのため、次回の噴射開始時、つまり、噴孔開閉弁の全開時のリフト量である最大リフト量を小さくした状態で噴射すべき時に、最大リフト量を小さくする側にリフトロックピストンを確実に配置することができる。
【0017】請求項7に記載の発明によれば、前記噴孔開閉弁の閉弁動作終了時に、前記第二圧力制御室内の圧力が前記第一圧力制御室内の圧力よりも速く上昇するようにした請求項6に記載の燃料噴射装置が提供される。
【0018】請求項7に記載の燃料噴射装置では、噴孔開閉弁の閉弁動作終了時に、第二圧力制御室内の圧力が第一圧力制御室内の圧力よりも速く上昇せしめられる。つまり、第二圧力制御室内の圧力が第一圧力制御室内の圧力よりも速く上昇せしめられることにより、第一圧力制御室内の圧力と第二圧力制御室内の圧力との関係が、最大リフト量を小さくする側にリフトロックピストンを移動させるような関係にせしめられる。そのため、次回の噴射開始時、つまり、最大リフト量を小さくした状態で噴射すべき時に、最大リフト量を小さくする側にリフトロックピストンを確実に配置することができる。
【0019】請求項8に記載の発明によれば、前記最大リフト量調節手段がリフトロックピストンであり、前記第二圧力制御室の入口通路が、前記リフトロックピストンの内部に前記リフトロックピストンと同軸に形成された請求項1に記載の燃料噴射装置が提供される。
【0020】請求項8に記載の燃料噴射装置では、第二圧力制御室の入口通路がリフトロックピストンと同軸に形成される。つまり、第二圧力制御室の入口通路とリフトロックピストンとリフトロックピストンを案内するシリンダとがすべて同軸に形成される。そのため、それぞれの軸線が同軸に配置されない場合に比べ、加工が容易になり、加工精度を向上させることができる。また、第二圧力制御室の入口通路がリフトロックピストン内部に形成されるため、入口通路をシリンダに別個に設ける場合に比べ装置全体を小型化することができる。
【0021】請求項9に記載の発明によれば、前記第一圧力制御室内の圧力を制御する第一圧力制御弁と、前記第二圧力制御室内の圧力を制御する第二圧力制御弁とを設け、前記第一圧力制御弁と前記第二圧力制御弁とを一のアクチュエータにより作動し、前記アクチュエータの駆動力に応じて前記第一圧力制御室と前記第二圧力制御室とが共に加圧された状態と、前記第一圧力制御室と前記第二圧力制御室とが共に減圧された状態と、前記第一圧力制御室が減圧されかつ前記第二圧力制御室が加圧された状態とを切り換えるようにした請求項1に記載の燃料噴射装置が提供される。
【0022】請求項9に記載の燃料噴射装置では、第一圧力制御弁と第二圧力制御弁とを作動する一のアクチュエータの駆動力に応じ、第一圧力制御室と第二圧力制御室とが共に加圧された状態と、第一圧力制御室と第二圧力制御室とが共に減圧された状態と、第一圧力制御室が減圧されかつ第二圧力制御室が加圧された状態とが切り換えられる。つまり、一のアクチュエータの駆動力に応じて第一圧力制御室内の圧力と第二圧力制御室内の圧力との関係が変更せしめられる。そのため、第一圧力制御室内の圧力を制御するアクチュエータと第二圧力制御室内の圧力を制御するアクチュエータとを別個に設ける必要なく、第一圧力制御弁及び第二圧力制御弁を作動することにより第一圧力制御室内の圧力と第二圧力制御室内の圧力との関係を変更することができる。
【0023】請求項10に記載の発明によれば、前記アクチュエータにより作動される前記第一圧力制御弁又は前記第二圧力制御弁にこじり力が発生するのを阻止するこじり力発生阻止手段を設けた請求項9に記載の燃料噴射装置が提供される。
【0024】請求項10に記載の燃料噴射装置では、第一圧力制御弁又は第二圧力制御弁にこじり力が発生するのを阻止するこじり力発生阻止手段が設けられる。一のアクチュエータにより二つの制御弁を作動する場合、一方の制御弁にモーメントが発生しこじり力が発生しがちであるが、こじり力発生阻止手段を設けることにより、こじり力を発生させることなく一のアクチュエータにより二つの制御弁を作動することができる。
【0025】請求項11に記載の発明によれば、前記第二圧力制御室に入口通路と出口通路とを設け、前記入口通路と前記出口通路とを連通路により連通させ、前記連通路に絞られた部分を形成した請求項1に記載の燃料噴射装置が提供される。
【0026】請求項11に記載の燃料噴射装置では、第二圧力制御室に入口通路と出口通路とが設けられ、入口通路と出口通路とが連通路により連通される。そのため、噴孔開閉弁の開弁状態から閉弁状態に切り換えられる時、つまり、第二圧力制御室の出口通路が閉鎖されていない状態から閉鎖された状態に切り換えられる時、瞬間的に、入口通路から流入し連通路を通過した媒体が出口通路を逆流して第二圧力制御室内に流入する。その結果、噴孔開閉弁の開弁状態から閉弁状態への切換時に、最大リフト量を小さくする側に最大リフト量調節手段を付勢し、それに伴って噴孔開閉弁を閉弁側に付勢することができる。つまり、連通路が設けられない場合に比べ、出口通路を逆流して第二圧力制御室内に流入する媒体により、早期に噴孔開閉弁を閉弁させることができる。また、絞られた部分が連通路に形成されるため、入口通路から流入した媒体が、第二圧力制御室内に流入することなく連通路を通過して排出されてしまうのを抑制することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0028】図1は本発明の燃料噴射装置の第一の実施形態の全体構成図、図2は図1の拡大図である。図1及び図2において、1は燃料噴射用噴孔、2は燃料噴射用噴孔1を開閉するニードル弁、2aはニードル弁2の上側に配置されたコマンドピストン、3はニードル弁2及びコマンドピストン2aを閉弁側に付勢する第一圧力制御室、4はニードル弁2及びコマンドピストン2aを開弁側に付勢する燃料だまり室である。5はニードル弁2の全開時のリフト量である最大リフト量を調節するリフトロックピストンである。つまり、所定の位置に位置せしめられたリフトロックピストン5にコマンドピストン2aが突き当てられた時のニードル弁2の位置が最大リフト位置となる。リフトロックピストン5は、第一圧力制御室3内の圧力により最大リフト量を大きくする側に付勢され、第二圧力制御室6内の圧力により最大リフト量を小さくする側に付勢される。
【0029】7はリフトロックピストン5を案内するシリンダであり、このシリンダ7は第一シリンダ部材7aと第二シリンダ部材7bとにより構成されている。第一圧力制御室3内の圧力が第二圧力制御室6内の圧力よりも低い時、リフトロックピストン5は下側に付勢され、下側突き当て面7cに突き当たるまで下側に移動せしめられる。一方、第一圧力制御室3内の圧力が第二圧力制御室6内の圧力よりも高い時、リフトロックピストン5は上側に付勢され、上側突き当て面7dに突き当たるまで上側に移動せしめられる。10は第一圧力制御室3及び第二圧力制御室6内の圧力を調節するための圧力制御弁、10aは圧力制御弁10を構成する棒状部材、10bは圧力制御弁10を構成する球状部材である。11は圧力制御弁10を駆動するためのピエゾ式アクチュエータ、12は圧力制御弁10とピエゾ式アクチュエータ11との間に配置された中間油圧室、13はニードル弁2を閉弁側に付勢するばねである。
【0030】20は高圧の燃料(作動油)が流れる燃料フィード流路、21及び22は燃料フィード流路20内よりも低圧の燃料が流れる燃料リターン流路である。燃料フィード流路20内には、コモンレール(図示せず)から一定の圧力の燃料が供給されている。30は第一圧力制御室3内に燃料が流入するための第一インレットオリフィス(絞り部)、31は第一圧力制御室3から燃料が流出するための第一アウトレットオリフィス、32は第二圧力制御室6内に燃料が流入するための第二インレットオリフィス、33は第二圧力制御室6から燃料が流出するための第二アウトレットオリフィスである。
【0031】図3は圧力制御弁10の作動状態を比較して示した図である。詳細には、図3(a)は第一圧力制御室3からの燃料の流出及び第二圧力制御室6からの燃料の流出が共に遮断された第一状態を示した図、図3(b)は第一圧力制御室3からの燃料の流出及び第二圧力制御室6からの燃料の流出が共に遮断されていない第二状態を示した図、図3(c)は第一圧力制御室3からの燃料の流出が遮断されておらず第二圧力制御室6からの燃料の流出が遮断された第三状態を示した図である。
【0032】図4はリフトロックピストン5の作動状態を比較して示した図である。詳細には、図4(a)はリフトロックピストン5が下側突き当て面7cに突き当てられた状態を示した図、図4(b)はリフトロックピストン5が上側突き当て面7dに突き当てられた状態を示した図、図4(c)はリフトロックピストン5の底面図である。図4において、5aは、リフトロックピストン5の底面に突き当てられたコマンドピストン2aの頂面がリフトロックピストン5の底面に張りつくのを阻止し、ニードル弁2の閉弁動作開始時にリフトロックピストン5の底面からコマンドピストン2aの頂面が分離するのを促進するための分離促進溝である。5bは分離促進溝5aと同様の目的で形成された分離促進穴である。
【0033】図1〜図4に示すように、まず燃料噴射を開始すべき時、詳細には、小さい最大リフト量にて燃料を噴射すべき時、ピエゾ式アクチュエータ11が伸長せしめられ、圧力制御弁10が第三状態(図3(c))に配置される。この第三状態では、第一圧力制御室3から燃料が流出せしめられる。その結果、第一圧力制御室3内の燃料がニードル弁2を閉弁側に付勢する力と、ばね13がニードル弁2を閉弁側に付勢する力との合力は、燃料だまり室4内の燃料がニードル弁2を開弁側に付勢する力よりも小さくなり、それゆえ、ニードル弁2が開弁せしめられる。またこの第三状態では、第二圧力制御室6からの燃料の流出が遮断される。その結果、第二圧力制御室6内の圧力が第一圧力制御室3内の圧力よりも高くなり、それゆえ、リフトロックピストン5は、下側突き当て面7cに突き当てられ、小さい最大リフト量を画定する(図4(a))。つまり、図4(a)の状態に配置されたリフトロックピストン5にニードル弁2及びコマンドピストン2aが突き当てられ、燃料噴射が行われる。
【0034】次いで、大きい最大リフト量にて燃料を噴射すべき時、ピエゾ式アクチュエータ11が少し収縮せしめられ、圧力制御弁10が第二状態(図3(b))に配置される。この第二状態では、上述した第三状態と同様に、第一圧力制御室3から燃料が流出せしめられる結果、第一圧力制御室3内の燃料がニードル弁2を閉弁側に付勢する力と、ばね13がニードル弁2を閉弁側に付勢する力との合力は、燃料だまり室4内の燃料がニードル弁2を開弁側に付勢する力よりも小さくなり、それゆえ、ニードル弁2の開弁状態がそのまま維持される。またこの第二状態では、第二圧力制御室6からも燃料が流出せしめられる結果、第二圧力制御室6内の圧力も第一圧力制御室3内の圧力と同程度まで低下する。それゆえ、燃料だまり室4内の圧力により、ニードル弁2及びコマンドピストン2aだけでなくリフトロックピストン5も上側に付勢され、リフトロックピストン5が上側突き当て面7dに突き当たるまでニードル弁2、コマンドピストン2a及びリフトロックピストン5が共に上側に移動せしめられる。つまり、最大リフト量が、リフトロックピストン5のストローク量t(図4(b))だけ図4(a)に示したものよりも増加せしめられ、大きい最大リフト量の下で燃料噴射が行われる。
【0035】次いで、燃料噴射を停止すべき時、ピエゾ式アクチュエータ11が更に収縮せしめられ、圧力制御弁10が第一状態(図3(a))に配置される。この第一状態では、第一圧力制御室3及び第二圧力制御室6から燃料リターン流路21への燃料の流出が遮断される。その結果、第一圧力制御室3内の燃料がニードル弁2を閉弁側に付勢する力と、ばね13がニードル弁2を閉弁側に付勢する力との合力は、燃料だまり室4内の燃料がニードル弁2を開弁側に付勢する力よりも大きくなり、それゆえ、ニードル弁2が閉弁せしめられる。また、上述した第二状態からこの第一状態に切り換えられた時、第一圧力制御室3内よりも第二圧力制御室6内の方が早期に圧力上昇するように、第一圧力制御室3及び第一インレットオリフィス30と、第二圧力制御室6及び第二インレットオリフィス32とが形成されている。詳細には、第二圧力制御室6の容積が第一圧力制御室3の容積よりも小さくされている。その結果、次回の燃料噴射開始時に小さい最大リフト量にて燃料噴射を行うために、リフトロックピストン5は、今回の燃料噴射終了時までに下側突き当て面7cに突き当たるように下側に移動せしめられる(図4(a))。
【0036】本実施形態によれば、最大リフト量を大きくする側にリフトロックピストン5を付勢する第一圧力制御室3内の圧力と、最大リフト量を小さくする側にリフトロックピストン5を付勢する第二圧力制御室6内の圧力との関係をピエゾ式アクチュエータ11によって変更することにより、ニードル弁2の全開時の最大リフト量が変更せしめられる。つまり、最大リフト量を変更するために、第一圧力制御室3内の圧力と第二圧力制御室6内の圧力との関係が変更されればよく、燃料噴射装置への供給燃料圧を変更する必要がない。また、最大リフト量を変更するために変更される対象が第一圧力制御室3及び第二圧力制御室6内の圧力であるため、ピエゾ式アクチュエータの伸長量を変更することにより最大リフト量を変更する場合のように温度変化に伴って最大リフト量が変化してしまうことがない。そのため、燃料噴射装置への供給燃料圧を変更する必要なく噴孔開閉弁の全開時の最大リフト量を変更することができると共に、温度が変化した場合であっても噴孔開閉弁の全開時の最大リフト量を正確に制御することができる。
【0037】更に本実施形態によれば、第一圧力制御室3が、最大リフト量を大きくする側にリフトロックピストン5を付勢する役目を果たすだけでなく、ニードル弁2を閉弁側に付勢する役目を果たす。そのため、最大リフト量を大きくする側にリフトロックピストン5を付勢する手段とニードル弁2を閉弁側に付勢する手段とを別個に設ける必要性を排除することができる。
【0038】更に本実施形態によれば、リフトロックピストン5の軸方向下端の外径と第二シリンダ部材7bの内径との間に芯ずれ許容空間が設けられる(図2)。そのため、シリンダ7が複数の部材7a、7bにより構成されそれらの部材7a、7bに芯ずれが発生した場合であっても、その芯ずれが芯ずれ許容空間により吸収され、芯ずれが発生した部材7bの端面とリフトロックピストンの下端とが衝突してしまうのを回避することができる。
【0039】更に本実施形態によれば、最大リフト量が大きくされた時にリフトロックピストン5が突き当てられる上側突き当て面7d、及び、最大リフト量が小さくされた時にリフトロックピストン5が突き当てられる下側突き当て面7cが、シリンダを形成する複数の部材の境界面により形成される(図2)。そのため、リフトロックピストン5が突き当てられる突き当て面をシリンダ7の内壁面に別個に形成する場合に比べ、突き当て面の精度(位置精度、平面度、面粗さ、直角度等)を向上させることができると共に、突き当て面を加工する加工費を低減することができる。
【0040】更に本実施形態によれば、リフトロックピストン5の底面に突き当てられたコマンドピストン2aの頂面がリフトロックピストン5の底面から分離するのを促進する分離促進溝5a及び分離促進穴5bが設けられるため、リフトロックピストン5の底面に突き当てられたコマンドピストン2aの頂面がリフトロックピストン5の底面から分離するのが遅れてしまうことによりニードル弁2の閉弁動作が遅れてしまうのを回避することができる。尚、本実施形態を更に改良した実施形態では、リフトロックピストンの底面だけでなく、リフトロックピストンの頂面にも分離促進溝及び分離促進穴が設けられる。
【0041】更に本実施形態によれば、ニードル弁2の閉弁動作終了時に最大リフト量を小さくする側にリフトロックピストン5が突き当てて配置されるため、次回の噴射開始時、つまり、ニードル弁2の全開時のリフト量である最大リフト量を小さくした状態で噴射すべき時に、最大リフト量を小さくする側にリフトロックピストン5を確実に配置することができる。尚、本実施形態ではこの目的を達成するために第二圧力制御室6の容積が第一圧力制御室3の容積よりも小さくされているが、他の実施形態では、第二インレットオリフィス32の断面積を第一インレットオリフィス30の断面積よりも大きくすることにより、第二圧力制御室6内の圧力を第一圧力制御室3内の圧力よりも早期に上昇せしめ、この目的を達成してもよい。
【0042】図5は本発明の燃料噴射装置の第二の実施形態の図2と同様の拡大図である。図5において、図1〜図4に示した参照番号と同一の参照番号は図1〜図4に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示しており、102aはニードル弁2の上側に配置されたコマンドピストン、105はニードル弁2の全開時のリフト量である最大リフト量を調節するリフトロックピストンである。つまり、所定の位置に位置せしめられたリフトロックピストン105にコマンドピストン102aが突き当てられた時のニードル弁2の位置が最大リフト位置となる。リフトロックピストン105は、第一圧力制御室3内の圧力により最大リフト量を大きくする側に付勢され、ばね150及び第二圧力制御室6内の圧力により最大リフト量を小さくする側に付勢される。130は第一圧力制御室3内に燃料が流入するための第一インレットオリフィス(絞り部)、131は第一圧力制御室3から燃料が流出するための第一アウトレットオリフィス、132は第二圧力制御室6内に燃料が流入するための第二インレットオリフィスである。
【0043】図5に示すように本実施形態では、圧力制御弁10が第二状態(図3(b))から第一状態(図3(a))に切り換えられた時、第二圧力制御室6内の燃料がリフトロックピストン105を下側に付勢する力と、ばね150がリフトロックピストン150を下側に付勢する力との合力は、第一圧力制御室3内の燃料がリフトロックピストン105を上側に付勢する力よりも大きくなる。その結果、次回の燃料噴射開始時に小さい最大リフト量にて燃料噴射を行うために、リフトロックピストン105は、今回の燃料噴射終了時までに下側突き当て面7cに突き当たるように下側に移動せしめられる。
【0044】図6は本発明の燃料噴射装置の第三の実施形態の図2と同様の拡大図である。図6において、図1〜図5に示した参照番号と同一の参照番号は図1〜図5に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示しており、205はニードル弁2の全開時のリフト量である最大リフト量を調節するリフトロックピストン、207cはシリンダ7の内壁面に形成された下側突き当て面である。本実施形態では、第一圧力制御室3内の圧力が第二圧力制御室6内の圧力よりも低い時、リフトロックピストン205は下側に付勢され、下側突き当て面207cに突き当たるまで下側に移動せしめられる。
【0045】図7は本発明の燃料噴射装置の第四の実施形態の図2と同様の拡大図である。図7において、図1〜図6に示した参照番号と同一の参照番号は図1〜図6に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示しており、305はニードル弁2の全開時のリフト量である最大リフト量を調節するリフトロックピストンである。本実施形態のリフトロックピストン305には、第一の実施形態のリフトロックピストン5に設けられているような分離促進溝5a及び分離促進穴5bが設けられていない。
【0046】図8は本発明の燃料噴射装置の第五の実施形態の図2と同様の拡大図である。図8において、図1〜図7に示した参照番号と同一の参照番号は図1〜図7に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示しており、405はニードル弁2の全開時のリフト量である最大リフト量を調節するリフトロックピストン、407aは第一シリンダ部材、432は第二圧力制御室6内に燃料が流入するためにリフトロックピストン405内に形成された第二インレットオリフィス、450はリフトロックピストン405内に配置された逆止弁である。
【0047】本実施形態によれば、第二インレットオリフィス432がリフトロックピストン405と同軸に形成される。つまり、第二インレットオリフィス432とリフトロックピストン405とリフトロックピストン405を案内するシリンダ7とがすべて同軸に形成される。そのため、それぞれの軸線が同軸に配置されず斜め方向の加工が行われる場合に比べ、加工が容易になり、加工精度を向上させることができる。また、第二インレットオリフィス432がリフトロックピストン405の内部に形成されるため、第二インレットオリフィスをシリンダに別個に設ける場合に比べ装置全体を小型化することができる。更に、第二アウトレットオリフィス33を形成する部材と第一シリンダ部材407aとが一つの部材にされるため、部品数が減少されると共に、第二圧力制御室6においてシールが必要な部分が減少せしめられ、シールの信頼性が向上する。
【0048】図9は本発明の燃料噴射装置の第六の実施形態の図2と同様の拡大図である。図9において、図1〜図8に示した参照番号と同一の参照番号は図1〜図8に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示している。本実施形態では、すべてのオリフィス30、31、432、33の軸線がシリンダ7の軸線と同方向、又は垂直に配置されるため、オリフィス30、31、432、33の加工精度を第五の実施形態よりも向上させることができる。
【0049】図10は本発明の燃料噴射装置の第七の実施形態の図2と同様の拡大図である。図10において、図1〜図9に示した参照番号と同一の参照番号は図1〜図9に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示しており、510は第一圧力制御室3及び第二圧力制御室6内の圧力を調節するための圧力制御弁、510aは圧力制御弁510を構成する棒状部材、510bは圧力制御弁10を構成する球状部材、560は球状部材510bと接触する棒状部材510aの平面部である。図10に示すように、本実施形態の圧力制御弁510は平面部560を有するため、棒状部材510aの軸線と第二アウトレットオリフィス33の軸線とが同軸に配置されない場合であっても、圧力制御弁510が第三状態(図3(c))に配置される時に球状部材510bが平面部560上を転がることにより、第二アウトレットオリフィス33を確実に閉鎖することができる。また、平面部560の周囲に壁を設けることにより、球状部材510bが平面部560と接触しない位置まで移動してしまうのを回避することができる。
【0050】図11は本発明の燃料噴射装置の第八の実施形態の全体構成図、図12は図11の拡大図である。図11及び図12において、図1〜図10に示した参照番号と同一の参照番号は図1〜図9に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示しており、610aは第一圧力制御室3内の圧力を調節するための第一圧力制御弁、610bは第二圧力制御室6内の圧力を調節するための第二圧力制御弁、610cは第一圧力制御弁610aのアーマチュアである。611は第一圧力制御弁610a及び第二圧力制御弁610bを開弁側に付勢するためのソレノイド式アクチュエータ、670は第一圧力制御弁610aを閉弁側に付勢するための第一ばね、671は第一圧力制御弁610a及び第二圧力制御弁610bを閉弁側に付勢するための第二ばねである。
【0051】図11及び図12に示すように、まず燃料噴射を開始すべき時、詳細には、小さい最大リフト量にて燃料を噴射すべき時、ソレノイド式アクチュエータ611に小電流が流され、第一圧力制御弁610aのみが第一ばね670に抗して開弁せしめられる。この状態では、第一圧力制御室3から燃料が流出せしめられる。その結果、第一圧力制御室3内の燃料がニードル弁2を閉弁側に付勢する力と、ばね13がニードル弁2を閉弁側に付勢する力との合力は、燃料だまり室4内の燃料がニードル弁2を開弁側に付勢する力よりも小さくなり、それゆえ、ニードル弁2が開弁せしめられる。またこの状態では、第二圧力制御室6からの燃料の流出が遮断される。その結果、第二圧力制御室6内の圧力が第一圧力制御室3内の圧力よりも高くなり、それゆえ、リフトロックピストン5は、下側突き当て面7cに突き当てられ、小さい最大リフト量を画定する(図4(a))。つまり、図4(a)の状態に配置されたリフトロックピストン5にニードル弁2及びコマンドピストン2aが突き当てられ、燃料噴射が行われる。
【0052】次いで、大きい最大リフト量にて燃料を噴射すべき時、ピエゾ式アクチュエータ11が少し収縮せしめられ、ソレノイド式アクチュエータ611に大電流が流され、第一圧力制御弁610aだけでなく第二圧力制御弁610bもが第一ばね670及び第二ばね671に抗して開弁せしめられる。この状態では、第一圧力制御弁610aのみが開弁せしめられる状態と同様に、第一圧力制御室3から燃料が流出せしめられる結果、第一圧力制御室3内の燃料がニードル弁2を閉弁側に付勢する力と、ばね13がニードル弁2を閉弁側に付勢する力との合力は、燃料だまり室4内の燃料がニードル弁2を開弁側に付勢する力よりも小さくなり、それゆえ、ニードル弁2の開弁状態がそのまま維持される。また第一圧力制御弁610aだけでなく第二圧力制御弁610bもが開弁せしめられる状態では、第二圧力制御室6からも燃料が流出せしめられる結果、第二圧力制御室6内の圧力も第一圧力制御室3内の圧力と同程度まで低下する。それゆえ、燃料だまり室4内の圧力により、ニードル弁2及びコマンドピストン2aだけでなくリフトロックピストン5も上側に付勢され、リフトロックピストン5が上側突き当て面7dに突き当たるまでニードル弁2、コマンドピストン2a及びリフトロックピストン5が共に上側に移動せしめられる。つまり、最大リフト量が、リフトロックピストン5のストローク量t(図4(b))だけ図4(a)に示したものよりも増加せしめられ、大きい最大リフト量の下で燃料噴射が行われる。
【0053】次いで、燃料噴射を停止すべき時、ソレノイド式アクチュエータ611への通電が遮断され、第一圧力制御弁610a及び第二圧力制御弁610bが全閉位置(図12)に配置される。この状態では、第一圧力制御室3及び第二圧力制御室6から燃料リターン流路(図示せず)への燃料の流出が遮断される。その結果、第一圧力制御室3内の燃料がニードル弁2を閉弁側に付勢する力と、ばね13がニードル弁2を閉弁側に付勢する力との合力は、燃料だまり室4内の燃料がニードル弁2を開弁側に付勢する力よりも大きくなり、それゆえ、ニードル弁2が閉弁せしめられる。また、上述した第一圧力制御弁610aだけでなく第二圧力制御弁610bもが開弁せしめられる状態からこの状態に切り換えられた時、第一圧力制御室3内よりも第二圧力制御室6内の方が早期に圧力上昇するように、第一圧力制御室3及び第一インレットオリフィス30と、第二圧力制御室6及び第二インレットオリフィス32とが形成されている。詳細には、第二圧力制御室6の容積が第一圧力制御室3の容積よりも小さくされている。その結果、次回の燃料噴射開始時に小さい最大リフト量にて燃料噴射を行うために、リフトロックピストン5は、今回の燃料噴射終了時までに下側突き当て面7cに突き当たるように下側に移動せしめられる(図4(a))。
【0054】本実施形態によれば、第一圧力制御弁610aと第二圧力制御弁610bとを作動する一のソレノイド式アクチュエータ611の吸引力の大きさに応じ、第一圧力制御室3と第二圧力制御室6とが共に加圧された状態と、第一圧力制御室3と第二圧力制御室6とが共に減圧された状態と、第一圧力制御室3が減圧されかつ第二圧力制御室6が加圧された状態とが切り換えられる。つまり、一のアクチュエータ611の吸引力の大きさに応じて第一圧力制御室3内の圧力と第二圧力制御室6内の圧力との関係が変更せしめられる。そのため、第一圧力制御室3内の圧力を制御するアクチュエータと第二圧力制御室6内の圧力を制御するアクチュエータとを別個に設ける必要なく、第一圧力制御弁610a及び第二圧力制御弁610bを作動することにより第一圧力制御室3内の圧力と第二圧力制御室6内の圧力との関係を変更することができる。
【0055】図13は本発明の燃料噴射装置の第九の実施形態の図12と同様の拡大図である。図13において、図1〜図12に示した参照番号と同一の参照番号は図1〜図12に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示しており、610dはソレノイド式アクチュエータ611によって吸引される時に第一圧力制御弁610aにモーメントが発生することにより第一圧力制御弁610aにこじり力が発生するのを阻止するバランスピストンである。本実施形態によれば、第一圧力制御弁610aにこじり力を発生させることなく一のソレノイド式アクチュエータ611により二つの圧力制御弁610a、610bを作動することができる。
【0056】図14は本発明の燃料噴射装置の第10の実施形態の図12と同様の拡大図である。図14において、図1〜図13に示した参照番号と同一の参照番号は図1〜図13に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示しており、610c’は、ソレノイド式アクチュエータ611によって吸引される時に第一圧力制御弁610aにモーメントが発生することにより第一圧力制御弁610aにこじり力が発生するのを阻止するためにアーマチュア上面とソレノイド式アクチュエータ下面との距離t1、t2を異ならしめた第一圧力制御弁610aのアーマチュアである。本実施形態によれば、第一圧力制御弁610aにこじり力を発生させることなく一のソレノイド式アクチュエータ611により二つの圧力制御弁610a、610bを作動することができる。
【0057】図15は本発明の燃料噴射装置の第11の実施形態の図2と同様の拡大図である。図15において、図1〜図14に示した参照番号と同一の参照番号は図1〜図14に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示しており、702aはニードル弁2の上側に配置されたコマンドピストン、705はニードル弁2の全開時のリフト量である最大リフト量を調節するリフトロックピストンである。732は第二圧力制御室6内に燃料が流入するための入口通路に形成された第二インレットオリフィス、733は第二圧力制御室6から燃料が流出するための出口通路に形成された第二アウトレットオリフィス、734は入口通路と出口通路とを連通する連通路に形成された連通路オリフィスである。
【0058】図16は圧力制御弁10が第二状態に配置されているときとニードル弁2を閉弁させるために圧力制御弁10が第二状態から第一状態に切り換えられた直後の様子を示した図である。詳細には、図16(a)は圧力制御弁10が第二状態に配置されている時、つまり、大きい最大リフト量にて燃料を噴射すべき時における第二アウトレットオリフィス733等を通過する燃料の流れを示した図である。図16(b)は圧力制御弁10が第二状態から第一状態に切り換えられた直後、つまり、燃料噴射を停止すべき時における第二アウトレットオリフィス733等を通過する燃料の流れを示した図である。
【0059】図16(a)に示すように、大きい最大リフト量にて燃料を噴射すべき時、第一の実施形態の場合と同様に、ピエゾ式アクチュエータ11が少し収縮せしめられ、圧力制御弁10が第二状態(図3(b))に配置される。この第二状態では、第一圧力制御室3から燃料が流出せしめられる結果、第一圧力制御室3内の燃料がニードル弁2を閉弁側に付勢する力と、ばね13がニードル弁2を閉弁側に付勢する力との合力は、燃料だまり室4内の燃料がニードル弁2を開弁側に付勢する力よりも小さくなり、それゆえ、ニードル弁2の開弁状態がそのまま維持される。またこの第二状態では、第二圧力制御室6からも燃料が流出せしめられる。つまり、燃料は第二圧力制御室6から流出する向きに第二アウトレットオリフィス733を通過する。その結果、第二圧力制御室6内の圧力も第一圧力制御室3内の圧力と同程度まで低下する。それゆえ、燃料だまり室4内の圧力により、ニードル弁2及びコマンドピストン702aだけでなくリフトロックピストン705も上側に付勢され、リフトロックピストン705が上側突き当て面7dに突き当たるまでニードル弁2、コマンドピストン702a及びリフトロックピストン705が共に上側に移動せしめられる。
【0060】次いで、図16(b)に示すように燃料噴射を停止すべき時、第一の実施形態の場合と同様に、ピエゾ式アクチュエータ11が更に収縮せしめられ、圧力制御弁10が第二状態から第一状態(図3(a))に切り換えられる。この切換時、圧力制御弁10が閉弁されるため、連通路オリフィス734を通過した燃料は、球状部材10bを包囲するチャンバ内に流入することができず、第二アウトレットオリフィス733を逆流して第二圧力制御室6内に流入する。その結果、第一の実施形態のように連通路が設けられず燃料が第二アウトレットオリフィス33(図2等)を逆流しない場合に比べ、第二圧力制御室6内の圧力が早期に上昇せしめられる。この第一状態では、第一の実施形態の場合と同様に、第一圧力制御室3内の燃料がニードル弁2を閉弁側に付勢する力と、ばね13がニードル弁2を閉弁側に付勢する力との合力は、燃料だまり室4内の燃料がニードル弁2を開弁側に付勢する力よりも大きくなり、それゆえ、ニードル弁2が閉弁せしめられる。従って本実施形態では、第一の実施形態の場合に比べて早期に第二圧力制御室6内の圧力が上昇せしめられるため、第一の実施形態の場合に比べて早期にニードル弁2が閉弁せしめられ、燃料噴射が停止せしめられる。
【0061】本実施形態によれば、上述したように第二圧力制御室6に第二インレットオリフィス732を備えた入口通路と第二アウトレットオリフィス733を備えた出口通路とが設けられ、入口通路と出口通路とが連通路オリフィス734を備えた連通路により連通される。そのため、ニードル弁2の開弁状態から閉弁状態に切り換えられる時、つまり、第二圧力制御室6の出口通路が閉鎖されていない第二状態(図3(b))から閉鎖された第一状態(図3(a))に切り換えられる時、瞬間的に、入口通路から流入し連通路を通過した燃料が出口通路の第二アウトレットオリフィス733を逆流して第二圧力制御室6内に流入する。その結果、ニードル弁2の開弁状態から閉弁状態への切換時に、最大リフト量を小さくする側(図16(b)の下側)にリフトロックピストン5を付勢し、それに伴ってニードル弁2を閉弁側に付勢することができる。つまり、連通路が設けられない場合に比べ、出口通路を逆流して第二圧力制御室6内に流入する燃料により、早期にニードル弁2を閉弁させることができる。また、連通路オリフィス734が連通路に形成されるため、入口通路から流入した燃料が、第二圧力制御室6内に流入することなく連通路を通過して排出されてしまうのを抑制することができる。
【0062】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、燃料噴射装置への供給燃料圧を変更する必要なく噴孔開閉弁の全開時の最大リフト量を変更することができると共に、温度が変化した場合であっても噴孔開閉弁の全開時の最大リフト量を正確に制御することができる。
【0063】請求項2に記載の発明によれば、最大リフト量を大きくする側に最大リフト量調節手段を付勢する手段と噴孔開閉弁を閉弁側に付勢する手段とを別個に設ける必要性を排除することができる。
【0064】請求項3に記載の発明によれば、シリンダが複数の部材により構成されそれらの部材に芯ずれが発生した場合であっても、その芯ずれが芯ずれ許容空間により吸収され、芯ずれが発生した部材の端面とリフトロックピストンの端面とが衝突してしまうのを回避することができる。
【0065】請求項4に記載の発明によれば、リフトロックピストンが突き当てられる突き当て面をシリンダの内壁面に別個に形成する場合に比べ、突き当て面の精度を向上させることができると共に、突き当て面を加工する加工費を低減することができる。
【0066】請求項5に記載の発明によれば、リフトロックピストンに突き当てられた噴孔開閉弁がリフトロックピストンから分離するのが遅れてしまうことにより噴孔開閉弁の閉弁動作が遅れてしまうのを回避することができる。
【0067】請求項6及び7に記載の発明によれば、次回の噴射開始時、つまり、噴孔開閉弁の全開時のリフト量である最大リフト量を小さくした状態で噴射すべき時に、最大リフト量を小さくする側にリフトロックピストンを確実に配置することができる。
【0068】請求項8に記載の発明によれば、第二圧力制御室の入口通路とリフトロックピストンとリフトロックピストンを案内するシリンダとがすべて同軸に配置されない場合に比べ、加工が容易になり、加工精度を向上させることができる。また、入口通路をシリンダに別個に設ける場合に比べ装置全体を小型化することができる。
【0069】請求項9に記載の発明によれば、第一圧力制御室内の圧力を制御するアクチュエータと第二圧力制御室内の圧力を制御するアクチュエータとを別個に設ける必要なく、第一圧力制御弁及び第二圧力制御弁を作動することにより第一圧力制御室内の圧力と第二圧力制御室内の圧力との関係を変更することができる。
【0070】請求項10に記載の発明によれば、こじり力を発生させることなく一のアクチュエータにより二つの制御弁を作動することができる。
【0071】請求項11に記載の発明によれば、噴孔開閉弁の開弁状態から閉弁状態に切り換えられる時、つまり、第二圧力制御室の出口通路が閉鎖されていない状態から閉鎖された状態に切り換えられる時、瞬間的に、入口通路から流入し連通路を通過した媒体が出口通路を逆流して第二圧力制御室内に流入する。その結果、噴孔開閉弁の開弁状態から閉弁状態への切換時に、最大リフト量を小さくする側に最大リフト量調節手段を付勢し、それに伴って噴孔開閉弁を閉弁側に付勢することができる。つまり、連通路が設けられない場合に比べ、出口通路を逆流して第二圧力制御室内に流入する媒体により、早期に噴孔開閉弁を閉弁させることができる。また、入口通路から流入した媒体が、第二圧力制御室内に流入することなく連通路を通過して排出されてしまうのを抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成12年4月24日(2000.4.24)
【代理人】 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外2名)
【公開番号】 特開2001−65428(P2001−65428A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願2000−127668(P2000−127668)