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【発明の名称】 燃料噴射式エンジン
【発明者】 【氏名】加藤 雅彦

【要約】 【課題】燃料系ユニット間の脱着を容易に行うことができ、作業効率および信頼性の向上を図る。

【解決手段】燃料供給系と燃料噴射系をユニット化し、両ユニットをエンジンに装着する燃料噴射式エンジンにおいて、前記ユニット80、90を着脱式コネクタ79にて脱着可能にした構成。
【特許請求の範囲】
【請求項1】燃料供給系と燃料噴射系をユニット化し、両ユニットをエンジンに装着する燃料噴射式エンジンにおいて、少なくとも前記ユニット間を1箇所以上着脱式コネクタにて脱着可能にしたことを特徴とする燃料噴射式エンジン。
【請求項2】前記燃料供給系ユニットは燃料予圧ポンプを備え、前記燃料噴射系ユニットは、燃料高圧ポンプを備えることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射式エンジン。
【請求項3】前記燃料予圧ポンプの吐出側に燃料フィルタを備えることを特徴とする請求項2記載の燃料噴射式エンジン。
【請求項4】前記燃料供給系ユニットはシリンダボディに装着され、前記燃料噴射系ユニットはシリンダヘッドに装着されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の燃料噴射式エンジン。
【請求項5】前記燃料噴射式エンジンは、吸気管噴射式または筒内噴射式の噴射装置を有する2サイクルまたは4サイクルエンジンであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料噴射式エンジン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の燃料系ユニットを有する燃料噴射式エンジンの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】近年、燃料噴射式エンジンにおいては、組立工数の削減、ユニット単位での信頼性の向上等を目的として、多数の部品をユニット化した上で、エンジン周りへの組み付けを行う方向に進んでいるが、複数のユニットが存在し、且つ、ユニット相互での接続が必要な場合には、ユニット単位での組立性、信頼性等の向上に比べ、ユニット間の接続部については、構造的には以前と変わらず、ユニット優先で接続工程のための作業スペース確保の面では以前より悪化してしまっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】とりわけ、複数の燃料系ユニット間の接続部については、カップラで脱着する電気系ユニットとは異なり、燃料漏れ防止の面からカシメ等の手間のかかる接続を行う必要があるため、燃料圧力検査やメンテナンス等における脱着作業の悪化が著しくなっている。特に、エンジン周りの部品を、直接、エンジンボディに取り付けている船外機等のマリンエンジンでは、スペース的に余裕がなく、各ユニットの組み付け後のユニット間の脱着作業は、作業効率の低下を招いている。
【0004】本発明は、上記従来の問題を解決するものであって、燃料系ユニット間の脱着を容易に行うことができ、作業効率および信頼性の向上を図ることができる燃料噴射式エンジンを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、燃料供給系と燃料噴射系をユニット化し、両ユニットをエンジンに装着する燃料噴射式エンジンにおいて、少なくとも前記ユニット間を1箇所以上着脱式コネクタにて脱着可能にしたことを特徴とし、請求項2記載の発明は、請求項1において、前記燃料供給系ユニットは燃料予圧ポンプを備え、前記燃料噴射系ユニットは、燃料高圧ポンプを備えることを特徴とし、請求項3記載の発明は、請求項2において、前記燃料予圧ポンプの吐出側に燃料フィルタを備えることを特徴とし、請求項4記載の発明は、請求項1〜3において、前記燃料供給系ユニットはシリンダボディに装着され、前記燃料噴射系ユニットはシリンダヘッドに装着されることを特徴とし、請求項5記載の発明は、請求項1〜4において、前記燃料噴射式エンジンは、吸気管噴射式または筒内噴射式の噴射装置を有する2サイクルまたは4サイクルエンジンであることを特徴とする【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の燃料噴射式エンジンの1実施形態を示す船外機の模式図であり、図(A)はエンジンの平面図、図(B)は図(A)のB−B線に沿う縦断面図、図(C)は船外機の側面図、図(D)は燃料供給系の構成図である。
【0007】1は船外機であり、クランク軸10が縦置き状態で搭載されるエンジン2と、エンジン2の下端面に接続されエンジン2を支持するガイドエキゾースト部3と、ガイドエキゾースト部3の下端面に接続されるアッパケース4、ロアケース5及びプロペラ6からなる。上記エンジン2は、筒内噴射式V型6気筒2サイクルエンジンであり、6つの気筒#1〜#6が平面視でVバンクをなすように横置き状態で且つ縦方向に2列に配設されたシリンダボディ7に、シリンダヘッド8が連結、固定されている。アッパケース4内にはエンジンにより駆動される冷却水ポンプ18が設けられ、ロアケース5に形成された冷却水取入口5aから冷却水を図示矢印に示す如く、エンジン2内を循環させ、プロペラ6近傍から排出するようにしている。
【0008】上記各気筒#1〜#6内には、ピストン11が摺動自在に嵌合配置され、各ピストン11はクランク軸10に連結されている。シリンダヘッド8には、磁力で開閉作動されるソレノイド開閉式のインジェクタ(燃料噴射弁)13及び点火プラグ14が装着されている。各気筒#1〜#6は、それぞれ掃気ポート(図示せず)によりクランク室12に連通され、また、気筒#1〜#6には排気ポート15が接続されている。図1(B)の左バンクの排気ポート15は左集合排気通路16に、右バンクの排気ポート15は右集合排気通路17に合流されている。エンジン2のクランク室12には、吸気マニホールドから分岐する吸気通路19が接続されており、該吸気通路19には、逆流防止用のリード弁20が配設され、また、リード弁20の下流側には、エンジン内にオイルを供給し潤滑するためのオイルポンプ21が配設され、リード弁20の上流側には、吸気量を調節するためのスロットル弁22が配設されている。
【0009】図1(D)に示すように、船体側に設置されている燃料タンク23内の燃料は、手動式の第1の低圧燃料ポンプ25により燃料フィルタ26を経て船外機側の第2の低圧燃料ポンプ27に送られる。この第2の低圧燃料ポンプ27は、エンジン2のクランク室12のパルス圧により駆動されるダイヤフラム式ポンプであり、燃料を、気液分離機能を有する燃料タンクであるベーパーセパレータタンク29に送る。ベーパーセパレータタンク29内には、電動モータにより駆動される燃料予圧ポンプ30が配設されており、燃料を加圧し予圧配管31を経て高圧燃料ポンプ32に送る。高圧燃料ポンプ32の吐出側は、右バンクの気筒#1、#3、#5と左バンクの気筒#2、#4、#6に沿ってそれぞれ縦方向に配設された燃料供給レール33a、33bに高圧ホース49を介して接続されるとともに、高圧圧力調整弁35および燃料冷却器36、戻り配管37を介してベーパーセパレータタンク29に接続されている。また、予圧配管31とベーパーセパレータタンク29間には予圧圧力調整弁39が設けられている。高圧燃料ポンプ32は、ポンプ駆動ユニット40により駆動される。このポンプ駆動ユニット40はベルト41を介してクランク軸10に連結されている。
【0010】エンジン潤滑用のオイルポンプ21は、クランク軸10の回転により駆動されるポンプであり、船体側に設置されたサブタンク50からエンジン側に配設されたメインタンク51を経て吸気通路19内にオイルを供給する。また、メインタンク51のオイルは、フィルタ52、プリミックス用オイルポンプ53、チェック弁54を介してベーパーセパレータタンク29に供給するように構成されている。プリミックス用オイルポンプ53は、電磁ソレノイドで駆動する方式のものや電動モータにより駆動するタイプのポンプを採用する。
【0011】ECU(電子制御装置)42には、エンジン2の運転状態や船外機1の状態を示す各種センサからの検出信号が入力される。例えば、クランク軸10の回転角(回転数)を検出するエンジン回転数センサ43、吸気通路19内の温度を検出する吸気温センサ44、スロットル弁22の開度を検出するスロットル開度センサ45、最上段の気筒#1内の空燃比を検出するに空燃比センサ46、高圧燃料配管34内の圧力を検出する燃圧センサ47、エンジンの冷却水温度を検出する冷却水温センサ48、燃料フィルタ26で分離した水の量を検出する水検出センサ55、排気圧力を検出する排圧センサ38、オイルタンク51のオイル量を検出するオイルレベルセンサ56、外気温度センサ57、エンジンの姿勢を検出するトリムセンサ28等の各種検出信号が入力される。ECU42は、これら各センサの検出信号を制御マップに基づき演算処理し、制御信号をインジェクタ13、点火プラグ14、予圧燃料ポンプ30、プリミックス用オイルポンプ53に伝送する。
【0012】上記構成からなるエンジンの作用について説明する。ベーパーセパレータタンク29内の燃料は、燃料予圧ポンプ30により例えば3〜10kg/cm2程度に予圧され、加圧された燃料は、高圧燃料ポンプ32により50〜100kg/cm2程度若しくはそれ以上に加圧され、加圧された高圧燃料は、圧力調整弁35にて設定圧を越える余剰燃料がベーパーセパレータタンク29に戻され、必要な高圧燃料分のみを燃料供給レール33に供給し、各気筒#1〜#6に装着したインジェクタ13に供給される。オイルポンプ21は、クランク軸10の回転により駆動され、オイルをサブタンク50、メインタンク51から吸気通路19内に供給しエンジン内部を潤滑する。
【0013】図2は、図1の船外機の平面図である。なお、以下の説明では前述の図と同一の構成には同一番号を付けて説明を省略する場合がある。クランク軸10にはフライホイール73が固定され、その上部すなわちクランク軸10の上端に駆動プーリ60が取り付けられ、また、ポンプ駆動ユニット40の回動軸61には従動プーリ62が設けられ、駆動プーリ60と従動プーリ62には駆動ベルト41が張設されている。ポンプ駆動ユニット40にはボルト59により高圧燃料ポンプ32が取り付けられている。これによりクランク軸10の回転が駆動ベルト41を介して回動軸61に伝達され、高圧燃料ポンプ32を駆動するようにしている。
【0014】シリンダボディ7には取付用ステー63が固定され、ポンプ駆動ユニット40は、取付用ステー63及びシリンダボディ7に3本のボルト64、65、66により取り付けられている。また、燃料供給レール33a、33bおよび燃料噴射弁13は、シリンダヘッド8にボルトにより固定され、燃料噴射弁13は燃料供給レール33a、33bに接続されている。また、高圧燃料ポンプ32は燃料給排ユニット67を有し、燃料給排ユニット67の2つの出口と左右の燃料供給レール33a、33bはそれぞれコネクタ69および高圧ホース49により接続されている。上記のポンプ駆動ユニット40、高圧燃料ポンプ32、高圧圧力調整弁35、燃料供給レール33a、33bは、本発明の燃料噴射系ユニット90を構成している。なお、図中、70はスタータモータ、71はベルトテンショナー、72はサイレンサ、75はスロットルボディである。
【0015】シリンダボディ7の上面から側面にかけてオイルタンク51が取り付けられている。また、スロットルボディ75の側面にはベーパーセパレータタンク29が固定され、本発明に係わる燃料供給系ユニット80を構成している。オイルタンク51の上面には、高圧圧力調整弁35からベーパーセパレータタンク29への戻り配管37、高圧燃料ポンプ32からのオーバーフロー管76、ベーパーセパレータタンク29から高圧燃料ポンプ32への燃料供給管31が配設されている。ベーパーセパレータタンク29には、燃料フィルタ77(図4参照)が取り付けられており、この燃料フィルタ77に着脱式コネクタ79が連結され、着脱式コネクタ79に前記燃料供給管31が接続されている。
【0016】図3は、図2のY方向から見た図であり、燃料噴射系ユニット90のエンジン2への取付状態を示す分解斜視図である。なお、本例においては高圧圧力調整弁35は高圧燃料ポンプ32内に内蔵されている。シリンダボディ7の前方上部には3つのボス91、92、93が形成されており、ボス91、92にボルト94により前記取付用ステー63が固定される。ポンプ駆動ユニット40にはボルト59により高圧燃料ポンプ32が固定され、ポンプ駆動ユニット40は、ボルト65、64により取付用ステー63のボルト孔63a、63bに固定されると共に、ボルト66によりシリンダボディ7のボス93に固定される。
【0017】左右のシリンダヘッド8には、燃料噴射弁13挿入用のボス95と、燃料噴射弁13固定用のボス96と、点火プラグ14挿入用の軸穴97が縦方向に3つづつ合計6つ形成され、また、燃料供給レール33a、33b固定用のボス98が3つづ合計6つ形成されている。燃料噴射弁13の一端は、燃料供給レール33a、33bの燃料通路に圧入されて仮止めされ、燃料噴射弁13が装着された燃料供給レール33は、ボルト99によりシリンダヘッド8のボス98に固定される。燃料噴射弁13は外周にフランジ13aを有し、フランジ13aに固定金具100を装着し、この固定金具100をボルト101によりボス96に固定することにより、燃料噴射弁13はシリンダヘッド8に固定される。
【0018】高圧燃料ポンプ32に固定された燃料給排ユニット67にはコネクタ69が取り付けられ、コネクタ69にはベーパーセパレータタンク29に接続された戻り配管37が装着されている。燃料給排ユニット67の出口にはコネクタ69が取り付けられ、コネクタ69と左右の燃料供給レール33a、33bの上部にはそれぞれ高圧ホース49がコネクタ69により接続されている。
【0019】本実施形態においては、燃料供給系ユニット80および燃料噴射系ユニット90をエンジン2に取り付けた後、両者の接続を着脱式コネクタ79にて行う。また、燃料圧力検査またはメンテナンス等で両者を取り外すときは、先ず、着脱式コネクタ79により両者の接続を解除した後、燃料供給系ユニット80または燃料噴射系ユニット90をエンジン2から取り外す。
【0020】図5は、図2の着脱式コネクタ79の断面図である。着脱式コネクタ79は、燃料供給管31の一端に連結される雌側コネクタ79aと燃料フィルタ77側に形成される雄側コネクタ79bとからなる。雌側コネクタ79aは、内部に燃料通路102が形成されたコネクタ本体103と、コネクタ本体103の内周に嵌合されたシール用のOリング104と、コネクタ本体103の先端側に係止用リング105を介して嵌挿されたテーパー管106と、テーパー管106の先端に形成されたテーパー部106aに摺動可能に嵌挿された係止管107と、係止管107の壁面4箇所に配設されたボール部材108と、係止管107とコネクタ本体103の間に装着されたスプリング109とからなっている。一方、雄側コネクタ79bは、内部に燃料通路110が形成された管状部材111を備え、管状部材111の外周に係止溝112が形成されている。
【0021】上記構成からなる着脱式コネクタ79においては、雄側コネクタ79bの管状部材111を係止管107内に挿入していくと、ボール部材108が係止溝112内に嵌合され、係止管107はスプリング109によりテーパー部106aに押圧され、図(B)に示すように、雌側コネクタ79aと雄側コネクタ79bが連結される。両者の連結を解除するときは、係止管107をスプリング109に抗して押圧すれば、係止管107とテーパー管106の係合が解除される。
【0022】図6は、本発明の他の実施形態を示す断面図である。本実施形態は、吸気ポート19aに燃料を噴射する方式の4サイクルV型エンジンに適用した例を示し、シリンダヘッド8にインジェクタ13が設けられている。この場合には、燃料供給系ユニット80と第1の燃料噴射系ユニット90aとの間および第1の燃料噴射系ユニット90aと第2の燃料噴射系ユニット90bとの間に着脱式コネクタ79を設けることになる。
【0023】以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、多気筒エンジンのために燃料噴射系部材として燃料供給レールを用いているが、気筒数が少ない場合には、高圧ホースを直接、燃料噴射系部材である燃料噴射弁に接続するようにしてもよい。
【0024】また、上記実施形態においては、船外機に適用した例について説明しているが、船体側にエンジンを設置するマリン用エンジン、あるいは高圧燃料部品の固定箇所がエンジンの複数の部材(例えばシリンダボディとシリンダヘッド)にまたがる自動車用エンジンにも適用可能である。
【0025】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、燃料系ユニット間の脱着を容易に行うことができ、作業効率および信頼性の向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000176213
【氏名又は名称】三信工業株式会社
【出願日】 平成11年8月24日(1999.8.24)
【代理人】 【識別番号】100092509
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 博樹 (外3名)
【公開番号】 特開2001−65421(P2001−65421A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−236459