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【発明の名称】 スターリングサイクル機関
【発明者】 【氏名】浦澤 秀人

【氏名】鈴木 賢太郎

【氏名】鈴木 壮志

【要約】 【課題】マウント部を有するシリンダを容易にしかも確実に作製、取付けすることができるスターリングサイクル機関を提供する。

【解決手段】ケース1の円筒部2内に同軸状に挿入される金属製のシリンダ7と、このシリンダ7内に挿入されたピストン15と、このピストン15を往復駆動させる駆動機構16を設ける。シリンダ7の外周側に取り付けられてシリンダ7をケース1に固定すると共に前記駆動機構16を保持するためのマウント部28を設ける。シリンダ7と別体に熱伝導性の低い材質によってマウント部28を構成し、シリンダ7の外周にマウント部28を取り付ける。加工が容易になるので、加工時間が短縮され、生産性を向上できるばかりでなく、加工費を安くすることができる。駆動機構16が発する熱がマウント部28からシリンダ7へ伝わり難くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも略円筒状に形成された円筒部を有するケースと、このケースの円筒部内に同軸状に挿入される金属製のシリンダと、このシリンダ内に挿入されたピストンと、このピストンを往復駆動させる駆動機構と、前記シリンダの外周側に取り付けられてシリンダをケースに固定すると共に前記駆動機構を保持するためのマウント部を有することを特徴とするスターリングサイクル機関。
【請求項2】 前記マウント部を、熱伝導性の低い材質によって中心部に取付孔を有する略円盤状に形成したことを特徴とする請求項1記載のスターリングサイクル機関。
【請求項3】 前記シリンダの外周に、このシリンダと同軸状の凸部及び雄ネジ部を形成すると共に、前記マウント部の内周に、このマウント部と同軸状で且つ前記凸部をごく微小な間隙をもって挿入可能な凹部及び前記雄ネジ部と螺合可能な雌ネジ部を形成したことを特徴とする請求項1乃至2記載のスターリングサイクル機関。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はフリーピストン型のスターリングサイクル機関に関するものであり、特に、本体内部に取り付けられるシリンダの構造に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】スターリングサイクル機関は、ピストンがシリンダを軸方向に往復動し、そして、ピストンがディスプレイサー方向に移動すると、ピストンとディスプレイサーの間に形成された圧縮室内の気体は圧縮されて放熱フィン、再生器、吸熱フィンを通ってディスプレイサーの先端とケースの先端部との間に形成された膨張室に至るとともに、ディスプレイサーを押し下げる。一方、ピストンが、ディスプレイサーと反対方向に移動すると、圧縮室の内部が負圧となり、気体は膨張室から吸熱フィン、再生器、放熱フィンを通ってシリンダ内の圧縮室に還流し、これにより、ディスプレイサーを押し上げる。このような工程中において二つの等温変化と等体積変化とからなる可逆サイクルが行われて、シリンダの先端外周に取り付けた吸熱フィンは低温となり、一方、基部外周に取り付けた外部放熱フィンは高温となる。
【0003】ところで、前記シリンダは円柱状に成形されたアルミニウム合金、各種鋼、その他金属を切削加工することで作成されている。そしてシリンダをケースに固定すると共に前記ピストンを往復駆動させる駆動機構を保持するためのマウント部がシリンダに設けられていた。このため、マウント部も精度向上のため、このマウント部はシリンダと一体で切削加工されていた。
【0004】しかしながら、切削加工によりマウント部を有するシリンダを形成するには、マウント部の外寸よりも太い金属柱を切削することになるため、削り屑になる部位が多く、このため、加工時間が長くなり、生産量を多くできない。また、マウント部の外寸が比較的大きいため、大型の加工機械が必要となる等コストアップの要因となる。
【0005】また、マウント部を有するシリンダを形成する方法として、おおよその形状を鍛造、鋳造で成形し、その後切削するという方法も考えられる。しかしながら、このような場合には、削り屑は減るが、切削前の鍛造、鋳造等の加工でコストがかかるため、最終的なコストはそれほど変わらない。
【0006】さらに、マウント部を有するシリンダを形成する方法としては、樹脂成形で成形することも考えられるが、このような成形では抜き勾配が必要となるため、少なくともシリンダ内の切削加工が必要となり、この切削時の熱膨張、弾性変形などにより、精度が低くなる虞がある。このように従来のマウント部を有するシリンダの作製にはコストや精度の問題があった。
【0007】また、スターリングサイクル機関においては、マウント部で保持された駆動機構が高温になるため、この駆動機構の熱がマウント部からシリンダに伝わり、さらにシリンダ内の圧縮空間に伝わってしまう虞があり、熱がシリンダに伝わると、シリンダが膨張し、ピストンとの間隙が大きくなってしまう虞や、また、圧縮空間に熱が流入することで、スターリングサイクルが阻害される虞があった。逆に、圧縮空間の熱がシリンダ及びマウント部を介して駆動機構に伝わり、駆動機構が過熱してしまう虞もあった。
【0008】そこで、本発明はマウント部を有するシリンダを容易にしかも確実に作製、取付けすることができるスターリングサイクル機関を提供することを目的とする。また、本発明は駆動機構が発する熱の弊害を少なくすることができるスターリングサイクル機関を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のスターリングサイクル機関は、少なくとも略円筒状に形成された円筒部を有するケースと、このケースの円筒部内に同軸状に挿入される金属製のシリンダと、このシリンダ内に挿入されたピストンと、このピストンを往復駆動させる駆動機構と、前記シリンダの外周側に取り付けられてシリンダをケースに固定すると共に前記駆動機構を保持するためのマウント部を有するものである。
【0010】本発明は以上のように構成することにより、シリンダとマウント部を別体に構成し、シリンダの外周にマウント部を取り付けることで、加工が容易になる。
【0011】また、本発明のスターリングサイクル機関は、請求項1において、前記マウント部を、熱伝導性の低い材質によって中心部に取付孔を有する略円盤状に形成したものである。
【0012】本発明は以上のように構成することにより、駆動機構が発する熱がマウント部からシリンダへ伝わること、或いはシリンダ内の圧縮空間に熱が伝わることが防止される。
【0013】さらに、本発明のスターリングサイクル機関は、請求項1乃至2において、前記シリンダの外周に、このシリンダと同軸状の凸部及び雄ネジ部を形成すると共に、前記マウント部の内周に、このマウント部と同軸状で且つ前記凸部をごく微小な間隙をもって挿入可能な凹部及び前記雄ネジ部と螺合可能な雌ネジ部を形成したものである。
【0014】本発明は以上のように構成することにより、シリンダに対してマウント部を容易にかつ確実に取り付けることができる。
【0015】
【発明の実施形態】以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4に基づいて説明する。同図において1は略円筒状に形成された円筒部2と胴部3とで構成されるケースであり、前記円筒部2は、ステンレス鋼などからなり基部4と中間部5と先端部6が一体に構成されている。
【0016】前記円筒部2の内部には、前記胴部3まで延びるシリンダ7が円筒部内に同軸的に挿入されて設けられ、このシリンダ7には、ディスプレイサー8が軸方向に摺動可能に収容されている。またディスプレイサー8の先端と円筒部2の先端部6の間には膨張室Eが形成されており、隙間9によってシリンダ7の内外が連通されている。また、中間部5においてシリンダ7の外周に再生器10が設けられているとともに前記基部4においてシリンダ7の内外を連通する連通孔11が形成されている。またシリンダ7の先端外周には、吸熱フィン12が設けられ再生器10と連通孔11の間において、シリンダ7の外周に放熱フィン13が設けられている。そして、シリンダ7の内部先端から隙間9、吸熱部材たる吸熱フィン12、再生器10、放熱部材たる放熱フィン13、連通孔11を通ってシリンダ7内の圧縮室Cに至る経路が形成されている。
【0017】前記基部4の外周には、外部放熱フィン14が取り付けられている。また胴部3内において、シリンダ7内には、ピストン15が軸方向に摺動可能に収容されている。そしてこのピストン15の基端部は、駆動機構16に同軸的に連結されている。
【0018】ピストン15を往復駆動させる駆動機構16は、短筒状に形成された枠17と、この枠17の一端に接着等によって固定された磁石群18と、この磁石群18の外周に近接して設けられた環状の電磁コイル19とで構成されている。前記磁石群18は、平板形状に形成された永久磁石20を筒状に配置して構成されている。なお、21はディスプレイサー8の動作を制御するためのロッド、22及び23は渦巻き状の板バネである。尚、電磁コイル19は積層コア24に巻かれるように設けられ、この積層コア24は両側に設けられたホルダー25により電磁コイル19等と共に一体化されている。
【0019】前記シリンダ7はアルミニウム合金製であり、少なくともシリンダ内面をアルマイト加工等で硬化処理している。そして、シリンダ7の外周面には、このシリンダ7と同軸状にやや突設した凸部26が外周に形成されている。この凸部26は外周の形状がほぼ真円となるように加工され、さらにこの凸部26に隣接して、雄ネジ部27が形成されている。そして、シリンダ7をケース1の円筒部2に固定すると共に前記駆動機構16を保持するためのマウント部28が凸部26及び雄ネジ部27の外側に取り付けられている。このマウント部28は樹脂製であり、中心部に取付孔29Aを有する短円筒状の取付部29と、この取付部29に一体に設けられたフランジ部30とで構成されている。そして、取付部29の内周側には、この取付部29と同軸状に凹部31が形成されている。この凹部31の内径は前記凸部26の外径とほぼ同径であると共に、内周の形状がほぼ真円となるように加工されている。さらにこの凹部31に隣接して、前記雄ネジ部27と螺合可能な雌ネジ部32が形成されている。また、前記フランジ部30には、等間隔に複数の貫通孔33が設けられている。そして、マウント部28の雌ネジ部32とシリンダ7の雄ネジ部27を螺合することで、マウント部28がシリンダ7の外周に取り付けられる。このとき、シリンダ7の外周の凸部26がマウント部28の凹部31に挿入されることにより、マウント部28がシリンダ7に対して同軸状に位置決めされる。
【0020】このようにシリンダ7に固定されたマウント部28によりシリンダ7をケース1の円筒部2に固定すると共に前記駆動機構16を保持する。即ち、ケース1の胴部3の先端側内周より内側に突設したブラケット34とフランジ部30に形成された貫通孔33にボルト35を挿入すると共にナット36によって締め付けて、シリンダ7をケース1に固定する。一方、先端側のホルダー25をフランジ部30に当接することによりマウント部28により、積層コア24、ひいては駆動機構16を保持している。
【0021】前記シリンダ7及びマウント部28の製法について説明する。シリンダ7は、凸部26の外径よりもやや太めの円柱状のアルミニウム合金を旋盤等で切削加工して、略円筒状に形成され、そして、シリンダ7の内周及び凸部26の外周は、断面が真円で、軸方向全域にわたって同軸同径となるように加工する。一方マウント部28は、樹脂により一体成形するものであるが、必要に応じて凹部31の内周を切削し、断面が真円で、軸方向全域にわたって同軸同径となるように加工する。そして、マウント部28の雌ネジ部32とシリンダ7の雄ネジ部27を螺合することで、マウント部28がシリンダ7の外周に取り付けられる。
【0022】したがって、前記構成により電磁コイル19に交流電流を流すと、交番磁界が発生しこの交番磁界によって、磁石群18を軸方向に動かす力が加わる。この力によって、ピストン15がシリンダ7内を軸方向に往復動する。このためピストン15が、ディスプレイサー8の方向に移動すると、ピストン15とディスプレイサー8との間に形成された圧縮室C内の気体は圧縮されて連通孔11、放熱フィン13、再生器10、吸熱フィン12、隙間9を通ってディスプレイサー8の先端と円筒部2の先端部6の間に形成された膨張室Eに至るとともに、ディスプレイサー8を押し下げる。一方、ピストン15が、ディスプレイサー8と反対方向に移動すると、圧縮室Cの内部が負圧となり、気体は膨張室Eから隙間9、吸熱フィン12、再生器10、放熱フィン13、連通孔11を通ってシリンダ7内の圧縮室Cに還流し、これにより、ディスプレイサー8を押し上げる。このような工程中において二つの等温変化と等体積変化とからなる可逆サイクルが行われて、シリンダ7の先端外周に取り付けた吸熱フィン12は低温となり、一方、基部4の外周に取り付けた外部放熱フィン14は高温となる。
【0023】このような作動途中において、マウント部28を、熱伝導性の低い合成樹脂によって形成したことにより、駆動機構16が発する熱がマウント部28からシリンダ7へ伝わることや、或いはシリンダ7内の圧縮室Cに熱が伝わることが防止され、シリンダ7が駆動機構16からの熱で膨張したり、スターリングサイクルが阻害されることがない。
【0024】以上のように、前記実施例では少なくとも略円筒状に形成された円筒部2を有するケース1と、このケース1の円筒部2内に同軸状に挿入される金属製のシリンダ7と、このシリンダ7内に挿入されたピストン15と、このピストン15を往復駆動させる駆動機構16と、前記シリンダ7の外周側に取り付けられてシリンダ7をケース1に固定すると共に前記駆動機構16を保持するためのマウント部28を有するものであり、シリンダ7とマウント部28を別体に構成し、そしてシリンダ7の外周にマウント部28を取り付けることで、加工が容易になるので、加工時間が短縮され、生産性を向上できるばかりでなく、加工費を安くすることができる。
【0025】また、前記マウント部28を、熱伝導性の低い材質によって中心部に取付孔29Aを有する略円盤状に形成したことにより、駆動機構16が発する熱がマウント部28からシリンダ7へ伝わること、或いはシリンダ7内の圧縮室Cに熱が伝わることが防止されるので、シリンダ7が駆動機構16からの熱で膨張したり、スターリングサイクルが阻害されることがない。
【0026】さらに、シリンダ7の外周に、このシリンダ7と同軸状の凸部26及び雄ネジ部27を形成すると共に、前記マウント部28の内周に、このマウント部28と同軸状で且つ前記凸部26をごく微小な間隙をもって挿入可能な凹部31及び前記雄ネジ部27と螺合可能な雌ネジ部32を形成し、シリンダ7に対してマウント部28を容易にかつ確実に取り付けることができるので、単純な構造で精度良く組み立てることができる。
【0027】尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。例えばシリンダ材質は、硬度、強度等の条件を満たすならば、鋼やその他の合金類でも可能であり、また実施例では、凸部の先端側に隣接して雄ネジ部を設けたが、雄ネジ部の先端側に隣接して凸部を設けてもよい。この場合、マウント部の凹部と雌ネジ部の位置関係も逆になる。さらに、実施例では、取付部の基端側にフランジ部を一体に設けているが、取付部のこれ以外の位置、例えば先端側にフランジ部を設けてもよい。
【0028】
【発明の効果】本発明のスターリングサイクル機関は、少なくとも略円筒状に形成された円筒部を有するケースと、このケースの円筒部内に同軸状に挿入される金属製のシリンダと、このシリンダ内に挿入されたピストンと、このピストンを往復駆動させる駆動機構と、前記シリンダの外周側に取り付けられてシリンダをケースに固定すると共に前記駆動機構を保持するためのマウント部を有するものであり、シリンダとマウント部を別体に構成し、シリンダの外周にマウント部を取り付けることで、加工が容易になるので、加工時間が短縮され、生産性を向上できるばかりでなく、加工費を安くすることができる。
【0029】また、本発明のスターリングサイクル機関は、請求項1において、前記マウント部を、熱伝導性の低い材質によって中心部に取付孔を有する略円盤状に形成したものであり、駆動機構が発する熱がマウント部からシリンダへ伝わること、或いはシリンダ内の圧縮空間に熱が伝わることが防止されるので、シリンダが駆動機構からの熱で膨張したり、スターリングサイクルが阻害されることがない。
【0030】さらに、本発明のスターリングサイクル機関は、請求項1乃至2において、前記シリンダの外周に、このシリンダと同軸状の凸部及び雄ネジ部を形成すると共に、前記マウント部の内周に、このマウント部と同軸状で且つ前記凸部をごく微小な間隙をもって挿入可能な凹部及び前記雄ネジ部と螺合可能な雌ネジ部を形成したものであり、シリンダに対してマウント部を容易にかつ確実に取り付けることができるので、単純な構造で精度良く組み立てることができる。
【出願人】 【識別番号】000109325
【氏名又は名称】ツインバード工業株式会社
【出願日】 平成12年6月13日(2000.6.13)
【代理人】 【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
【公開番号】 特開2001−355513(P2001−355513A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−177278(P2000−177278)