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【発明の名称】 自動二輪車用4サイクルエンジンのシリンダヘッド構造
【発明者】 【氏名】山田 伸一

【氏名】吉田 孝司

【要約】 【課題】カムスプロケットとカムチェーンの組付け性、メンテナンス性の向上を図り、シリンダヘッドの小型化を実現できる自動二輪車用4サイクルエンジンのシリンダヘッド構造を提供することを目的とする。

【解決手段】シリンダヘッド44内の動弁装置に駆動を伝達するカムスプロケット46をシリンダヘッド44の側部に配置し、同側部にクランク軸40からの駆動をカムスプロケット46に伝達するカムチェーン47を配置し、カムスプロケット46に対向してヘッドカバー49を配置した自動二輪車用4サイクルエンジン20において、シリンダヘッド44とヘッドカバー49の合せ面49aを、ヘッドカバー49を外した状態で、シリンダ側面視でカムスプロケット46の上部が見える形状に形成することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリンダヘッド内の動弁装置に駆動を伝達するカムスプロケットを該シリンダヘッドの側部に配置し、同側部にクランク軸からの駆動を前記カムスプロケットに伝達するカムチェーンを配置するとともに、該カムチェーンと前記カムスプロケットを収納するカムチェーン室を形成し、前記カムスプロケットに対向してヘッドカバーを配置した自動二輪車用4サイクルエンジンにおいて、前記シリンダヘッドと前記ヘッドカバーの合せ面を、前記ヘッドカバーを外した状態で、シリンダ側面視で少なくともカムスプロケットの上部が見える形状に形成することを特徴とする自動二輪車用4サイクルエンジンのシリンダヘッド構造。
【請求項2】 前記カムスプロケットを、少なくとも上部が前記合せ面より突出して配置することを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車用4サイクルエンジンのシリンダヘッド構造。
【請求項3】 前記エンジンは、シート前方の車体を下方に湾曲して底床に足載せ部を備えシート下方の後部で後輪を回動可能に支持する動力伝動ケースを一体に備えたスクータ型車両のユニットスイング型4サイクルエンジンであって、前記シート下方の車体を前方へ凸状に形成し左右に前記足載せ部を後方に向かい延在して設け、前記凸状部内側に前記ユニットスイング型エンジンのシリンダヘッドを臨ませたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動二輪車用4サイクルエンジンのシリンダヘッド構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動二輪車用エンジンのシリンダヘッド構造に関し、特に、4サイクルOHCエンジンにおけるヘッドカバーの取付け構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の自動二輪車用4サイクルエンジンにおいて、シリンダヘッドの構成が、吸排気弁を駆動するためのカムシャフトを保持するためのカムシャフトホルダを一体的に形成している場合は、カムスプロケットを取付ける際に、該カムスプロケットにチェーンを掛けて位置合せを行い、位置決めピンに合せて該カムシャフトを取付けるようにされている。
【0003】前記カムシャフトホルダの構造は、一般に、図4に示すように、カムスプロケット146がヘッドカバー149の合せ面149bより奥に配置する構造となっており、組付け性を考慮してカムチェーン147とシリンダヘッド144との隙間HL3を大きく設けている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この隙間(HL3)を大きく取ることにより、組付け性、メンテナンス性は良くなるが、エンジンの全高(HL2)が高くなり、また、ヘッドカバー149とシリンダヘッド締付けボルト155が干渉するため、それを避けるためにカムシャフト145の取付け位置(HL1)を大きく取らなければならなかった。すなわち、従来技術では、組付け性を優先させると、シリンダヘッド144が大きくなり、レイアウト上不利になる。また、逆にエンジンの小型化を優先させると隙間(HL3)が小さくなり、組付け性が悪くなるという問題点があった。
【0005】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、カムスプロケットとカムチェーンの組付け性、メンテナンス性の向上を図り、しかも、シリンダヘッドの小型化を実現できる自動二輪車用4サイクルエンジンのシリンダヘッド構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、シリンダヘッド内の動弁装置に駆動を伝達するカムスプロケットを該シリンダヘッドの側部に配置し、同側部にクランク軸からの駆動を前記カムスプロケットに伝達するカムチェーンを配置するとともに、該カムチェーンと前記カムスプロケットを収納するカムチェーン室を形成し、前記カムスプロケットに対向してヘッドカバーを配置した自動二輪車用4サイクルエンジンにおいて、前記シリンダヘッドと前記ヘッドカバーの合せ面を、前記ヘッドカバーを外した状態で、シリンダ側面視で少なくともカムスプロケットの上部が見える形状に形成することを特徴とする自動二輪車用4サイクルエンジンのシリンダヘッド構造である。
【0007】また、前記カムスプロケットは、少なくとも上部が前記合せ面より突出して配置されることが好ましい。
【0008】また、前記エンジンは、シート前方の車体を下方に湾曲して底床に足載せ部を備えシート下方の後部で後輪を回動可能に支持する動力伝動ケースを一体に備えたスクータ型車両のユニットスイング型4サイクルエンジンであって、前記シート下方の車体を前方へ凸状に形成し左右に前記足載せ部を後方に向かい延在して設け、前記凸状部内側に前記ユニットスイング型エンジンのシリンダヘッドを臨ませることが好ましい。
【0009】本発明によれば、シリンダヘッドとヘッドカバーの合せ面を、前記ヘッドカバーを外した状態で、シリンダ側面視で少なくともカムスプロケットの上部が見える形状に形成することで、シリンダヘッド壁面に干渉することなくカムスプロケットやカムチェーンの取付けやメンテナンスを容易に行うことができる。すなわち、シリンダヘッドとカムスプロケットとの間に大きく隙間をとる必要がないので、シリンダヘッドを必要最小限にコンパクトにすることができるとともに、カムチェーンのメンテナンス性、組付け性の向上を図ることができる。
【0010】また、前記カムスプロケットを、少なくとも上部が前記合せ面より突出して配置することにより、ヘッドカバーを取り外した状態で前記カムスプロケットの上方に干渉するものが無くなるため、さらに、容易にカムチェーンの着脱やメンテナンスの向上を図ることができる。
【0011】また、前記エンジンの構成を、スクータ型車両のユニットスイング型4サイクルエンジンとすることにより、コンパクトなエンジンをスクータ型車両に提供することができる。また、前記シート下方の車体を前方へ凸状に形成し左右に前記足載せ部を後方に向かい延在して設け、前記凸状部内側に前記エンジンのシリンダヘッドを臨ませることにより、エンジンを省スペースで格納することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係るシリンダヘッド構造が用いられたユニットスイング型エンジンが搭載された自動二輪車の全体の構成を示す説明図、図2は前記エンジンの構成を示す平面断面図、図3の(a)は本実施形態に係るシリンダヘッド構造の構成を示す断面図、(b)は本実施形態に係るヘッドカバーの取付け状態を示す側面図、図4の(a)は従来のシリンダヘッド構造の構成を示す断面図、(b)は従来のヘッドカバーの取付け状態を示す側面図である。
【0013】本実施形態に係る自動二輪車用4サイクルエンジンのシリンダヘッド構造は、図1に示すように、小型自動二輪車であって、いわゆるスクータ型自動二輪車1に搭載されるユニットスイング型4サイクルエンジン20に採用したものである。前記スクータ型自動二輪車1には、フロントカバー2とシート3の下方を覆うボディカバー4との間に足載せのフロア部5が形成されるとともに、該ボディカバー4の前方内側に凹部が形成され、そこに前記エンジン20のシリンダヘッド44が配置されている。
【0014】車体前部には、前輪6を軸支するフロントフォーク7がヘッドパイプ8に枢支され、該ヘッドパイプ8からフレームパイプ9が下方へ延出し、さらに後方へ屈曲してフロア部5を延設するとともに後部フレーム10に接合している。前記後部フレーム10の立上り部より後方へ向かいエンジンハンガー11が突出して設けられている。該エンジンハンガー11の先端部には後述するスイングユニット12の前端のエンジンマウント13が枢支され、該スイングユニット12を揺動自在に支持している。
【0015】スイングユニット12は、図1〜図3に示すように、車体下方左側に配置され、その内部にはエンジン20の動力を後輪30に伝達する伝達機構として後述するVベルト自動変速機42が内蔵されている。前記スイングユニット12は、その前部には前記エンジン20が一体的に設けられ、また、その後部と後部フレーム10との間にはクッション15が介装されるとともに、その後部には後輪30が軸支され、かつ、その後部の上側に沿ってエアクリーナ25が配設されている。
【0016】前記エンジン20は、シリンダブロック21を前方に傾けて水平に近い状態で配置されており、該シリンダブロック21の上側に形成された吸気口22から後方へ吸気管23が延出し、該シリンダブロック21上方に配置されたキャブレタ24に接合されている。さらに、該キャブレタ24より後方にコネクティングチューブ26が延出してさらに後方に配置されたエアクリーナ25に連結され、吸気系が構成されている。
【0017】一方、前記エンジン20を中心に車体右側には、図3に示すように、排気系を構成するマフラー31に配設されている。前記シリンダブロック21の下側に形成された排気口(図示省略)から下向きに延出した排気管33は、車体方向右側に偏向し屈曲して後方へ向けて延設されて前記マフラー31の膨出部に嵌挿されている。前記マフラー31から後方へテールパイプ(図示省略)が突出して車体後方に排気している。
【0018】前記エンジン20は、図2、図3に示すように、クランク軸40の反駆動伝達側の軸端40aに冷却ファン50が設けられる強制空冷方式のエンジンである。クランクケース41のクランク軸40の駆動伝達側の軸端40bには、エンジンの負荷に応じて無段階に変速されるVベルト自動変速機42が設けられ、該Vベルト自動変速機42を収納した動力伝達ケース43が一体的に設けられている。
【0019】前記クランクケース41の反駆動伝達側には、クランク軸40の回転に連動してシリンダヘッド44内の動弁装置の構成部品であるカムシャフト45に動力を伝達するカムスプロケット46と、該カムスプロケット46に動力を伝達するカムチェーン47が配置され、該カムチェーン47を収納するカムチェーン室48のクランク軸40側外側にケースカバー51が配置されている。前記ケースカバー51の外側に配置するクランク軸40の軸端40aには、前記冷却ファン50を備えたフライホイールマグネトー53が取付けられている。
【0020】前記シリンダヘッド44は、前記カムスプロケット46と対向する外側部に開口部44aが形成され、そこにヘッドカバー49が配置されている。前記シリンダヘッド44のヘッドカバー49が取付けられる合せ面44bは、シリンダ側面視でカムチェーン47の走行ラインに対して傾斜して、かつ、表面が平滑に形成され、前記ヘッドカバー49を外した状態で、カムスプロケット46の上部が露出して配置するように形成されている。
【0021】前記ヘッドカバー49は、シリンダヘッド44に対向して、一方が深く他方が浅い椀状の凹部49aが形成され、前記カムチェーン47の走行ラインを跨いで両サイドで締付けボルト55により取付けられている。前記凹部49aの縁部には、前記合せ面に対向して全周に亘りОリング(シール材)56が組込まれ、オイルおよびオイルミストを密閉している。
【0022】以上のように、本実施形態に係るシリンダヘッド構造によると、カムスプロケット46を組付ける場合、シリンダヘッド44の上部において、側面視で該カムスプロケット46の上部が半分近く露出するため、該カムスプロケット46を保持しながらカムチェーン47の走行ラインの位置決めが行えるので、シリンダヘッド44の奥までカムスプロケット46を差し込みカムチェーン47の走行ラインを合せるという従来の方法と比較して、組付け性の向上を図ることができる。
【0023】本実施形態によれば、シリンダヘッド44とヘッドカバー49の合せ面44bを斜めに形成したので、ヘッドカバー49の組付け時の該ヘッドカバー49の保持が容易となり組付け性の向上を図ることができる。従って、作業効率の向上を図ることによりコストダウンを実現できる。さらに、ヘッドカバー49の着脱する際に、シリンダヘッド44の斜め上方からの作業となるので、シリンダヘッド取付けボルト155に干渉することなくヘッドカバー49の着脱を行うことができる。
【0024】また、上記のようなシリンダヘッド構造によると、ヘッドカバー49とカムスプロケット46およびカムチェーン47との隙間(HS3)を大きくすることなく該カムスプロケット46およびカムチェーン47を組付けることができるので、該ヘッドカバー49やシリンダヘッド44の上部寸法(HS1)を小さくできる。従って、シリンダヘッド44の全高(HS2)を低くすることにより、エンジンの小型化および軽量化を図ることができ、しかも、エンジンレイアウトの自由度を増すことができる。
【0025】また、本実施形態は、スクータ型車両のユニットスイング型4サイクルエンジンにシリンダヘッド構造を採用したので、コンパクトなエンジンをスクータ型車両に提供することができる。さらに、シート3下方の車体を前方へ凸状に形成し、すなわち、車体内側に凹部を形成し、そこにシリンダヘッド44を臨ませることによりエンジン20を省スペースで格納することができる。このような軽量車両におけるエンジンのコンパクト化および軽量化は、操作性および操縦性の向上に大きく貢献するものである。
【0026】
【発明の効果】以上、説明したように本発明による請求項1〜3記載の自動二輪車用4サイクルエンジンのシリンダヘッド構造によれば、シリンダヘッドとヘッドカバーの合せ面を、前記ヘッドカバーを外した状態でシリンダ側面視で少なくともカムスプロケットの上部が見える形状に形成することで、シリンダヘッド側壁面に干渉することなく、カムスプロケットやカムチェーンの取付けやメンテナンスを容易に行うことができる。また、シリンダヘッドとカムスプロケットとの間に大きく隙間をとる必要がないので、シリンダヘッドやヘッドカバーの寸法を最小限にでき、エンジンの小型化および軽量化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
【出願日】 平成12年6月9日(2000.6.9)
【代理人】 【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介 (外2名)
【公開番号】 特開2001−355512(P2001−355512A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−173526(P2000−173526)