| 【発明の名称】 |
V型エンジンのシリンダヘッド構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】内田 雅博
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| 【要約】 |
【課題】DOHCのV型エンジンにおいて、ポートアングルやバルブアングルをできるだけ変更することなく、エンジンを気筒のV字配列方向でコンパクト化することができ、しかも、シリンダヘッドの加工時に作業がやり難くなることのないようにする。
【解決手段】V字状に分岐された各気筒のそれぞれで、バルブ駆動用のカム軸が吸気側と排気側にそれぞれ設置されている4サイクルエンジンにおいて、各気筒で吸気側と排気側の各カム軸3,4を支持するシリンダヘッドの上端面を、各気筒によるV字形状の中央に近い吸気側2bが上段となり、中央から離れた排気側2cが下段となるように、シリンダヘッドの下端面2aと平行な各端面2b,2cと段差2dによる段状に形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 V字状に分岐された各気筒のそれぞれで、バルブ駆動用のカム軸が吸気側と排気側にそれぞれ設置されている4サイクルエンジンにおいて、各気筒で吸気側と排気側の各カム軸を支持するシリンダヘッドの上端面が、各気筒によるV字形状の中央に近い吸気側が上段となり、中央から離れた排気側が下段となるように、シリンダヘッドの下端面と平行な各端面と段差による段状に形成されていることを特徴とするV型エンジンのシリンダヘッド構造。 【請求項2】 V型エンジンが、カム軸からロッカーアームを介してバルブを動かすものであり、吸気側と排気側の各ロッカーアームの揺動基端を支持するロッカー軸を、それぞれのカム軸よりも、各気筒によるV字形状の中央側に寄せて配置したものであることを特徴とする請求項1に記載のV型エンジンのシリンダヘッド構造。 【請求項3】 カム軸からロッカーアームを介してバルブを動かす動弁機構として可変バルブリフト装置が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のV型エンジンのシリンダヘッド構造。 【請求項4】 V型エンジンが、各カム軸の端部に可変バルブタイミング装置を付設したものであり、クランク軸の回転をプライマリーチェーンにより排気側カム軸に伝達し、排気側カム軸の回転をセカンダリーチェーンにより吸気側カム軸に伝達するようにしたものであることを特徴とする請求項1乃至3に記載のV型エンジンのシリンダヘッド構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、各気筒がV字状に配列されてバルブ駆動用のカム軸が吸気側と排気側にそれぞれ設置されている4サイクルエンジンに関し、特に、そのようなバルブシステムがDOHCであるV型エンジンにおけるシリンダヘッドの構造に関する。 【0002】 【従来の技術】各気筒がV字状に配列されてバルブシステムがDOHC(ツインカム)である4サイクルエンジンでは、V字状に分岐された各気筒のそれぞれで、通常、エンジンセンター(各気筒によるV字形状の中央)に近い側が吸気側となり、エンジンセンターから離れた(遠い)側が排気側となるように、シリンダヘッドに吸気ポートと排気ポートが形成されており、吸気ポートと排気ポートを開閉するための吸気バルブと排気バルブを駆動するために、吸気側と排気側のそれぞれのカム軸がシリンダヘッドの上端部に配設されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のようなDOHCのV型エンジンにおいて、V字状に分岐される各気筒のアングルを必要とされる最適の角度に設定した上で、エンジン性能を低下させないように、吸・排気ポートのポートアングルや、吸・排気バルブのバルブアングル(即ち燃焼室の形状)をできるだけ変更することなく、しかも、エンジンを気筒のV字配列方向でコンパクト化しようとする場合、図3に示すように、各気筒によるV字形状の中央であるエンジンセンターCから離れた排気側において、バルブ6のステムを短くしてカム軸4をエンジンセンターCの側に寄せるということが考えられる。 【0004】なお、DOHCのV型エンジンにおいても、エンジンの運転状態に応じてバルブの開閉タイミングを変化させるために、カム軸の端部に可変バルブタイミング装置(VVT)を設けたり、また、エンジンの運転状態に応じてバルブのリフト量を変化させるために、カム軸からロッカーアームを介してバルブを動かす動弁装置として可変バルブリフト装置(VVL)を設けたりすることが従来から行われている。 【0005】しかしながら、そのように可変バルブリフト装置を設けたり、可変バルブタイミング装置を設けたりすると、シリンダヘッドが大型化したり、チェーンカバーが大型化したりすることで、エンジンレイアウトが気筒のV字配列方向で拡大して、エンジンを車両に搭載する際のクリアランスが問題となってくることから、V型エンジンにおいて可変バルブリフト装置や可変バルブタイミング装置を設けるような場合には、特に上記のようにエンジンを気筒のV字配列方向でコンパクト化することが望まれる。 【0006】そこで、エンジンを気筒のV字配列方向でコンパクト化するために、上記のようにエンジンセンターから離れた排気側でカム軸をエンジンセンター側に寄せた場合、図3に示すように、シリンダブロックとの連結面となるシリンダヘッドの下端面2aに対して、吸気側と排気側の各カム軸3,4を結ぶ線が傾斜したものとなり、そのような位置関係にある各カム軸3,4をシリンダヘッドの上端で支持するためには、シリンダヘッドの上端面が下端面に対して傾斜したものになってしまう。 【0007】そのようにシリンダヘッドの上端面を下端面に対して傾斜させた場合、シリンダヘッドの製造時において、ヘッドボルトのボルト孔やカムキャップボルトのボルト孔等を形成するための加工に際して、上端面と下端面が平行でないことにより、下端面を基準面として加工する時と上端面を基準面として加工する時とで加工角度が異なることになって、加工作業がやり難いものとなってしまうという問題が生じる。 【0008】本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、DOHCのV型エンジンにおいて、ポートアングルやバルブアングルをできるだけ変更することなく、エンジンを気筒のV字配列方向でコンパクト化することができ、しかも、シリンダヘッドの加工時に作業がやり難くなることのないようにすることを課題とするものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような課題を解決するために、V字状に分岐された各気筒のそれぞれで、バルブ駆動用のカム軸が吸気側と排気側にそれぞれ設置されている4サイクルエンジンにおいて、各気筒で吸気側と排気側の各カム軸を支持するシリンダヘッドの上端面を、各気筒によるV字形状の中央に近い吸気側が上段となり、中央から離れた排気側が下段となるように、シリンダヘッドの下端面と平行な各端面と段差による段状に形成することを特徴とするものである。 【0010】上記のような構成によれば、シリンダヘッドの上端面が、シリンダヘッドの下端面を基準にして、エンジンセンター(各気筒によるV字形状の中央)に近い吸気側で高くなり、エンジンセンターから離れた排気側で低くなるように、段状に形成されていることから、エンジンセンターから離れた排気側で、バルブステムを短くしてカム軸をエンジンセンター側に寄せることができて、エンジンを気筒のV字配列方向でコンパクト化することができる。 【0011】また、シリンダヘッドの上端面が、吸気側と排気側でそれぞれシリンダヘッドの下端面と平行な面に形成されていることで、シリンダヘッドの製造時に、上端面と下端面のどちらを基準面としても同じように加工を行うことができて、加工作業がやり難くなるようなことはない。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明のV型エンジンのシリンダヘッド構造の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明のシリンダヘッド構造の一実施形態について、図1は、V型エンジンにおけるシリンダヘッドの配置状態を示し、図2(A)は、シリンダヘッドの断面構造を示し、図2(B)は、シリンダヘッドの下面に形成されている燃焼室天板部を示すものである。 【0013】図1に示すように、エンジン1は、複数の気筒(2気筒や4気筒等)がV字状に分岐して配列されているV型エンジンであり、V字状に分岐された各気筒のそれぞれで、シリンダヘッド2の上端部に吸気バルブ駆動用のカム軸3と排気バルブ駆動用のカム軸4を設けた、バルブシステムがDOHC型式の4サイクルエンジンであって、下面にそれぞれ燃焼室(燃焼室天板部)21を形成した各気筒のシリンダヘッド2には、エンジンセンター(各気筒によるV字形状の中央)に近い側に吸気ポート22が形成され、エンジンセンターから離れた側に排気ポート23が形成されている。 【0014】なお、本実施形態のV型エンジン1は、各気筒毎に吸気バルブと排気バルブを2個ずつ設けた4バルブエンジンであって、各気筒毎にシリンダヘッド2の下面に形成される燃焼室(燃焼室天板部)21には、図2(B)に示すように、その中央に点火プラグ装着用の孔24が開口されていると共に、吸気ポートの燃焼室開口部22aと排気ポートの燃焼室開口部23aとがそれぞれ2個ずつ開口されている。 【0015】本実施形態では、エンジンの運転条件に応じた好ましいバルブタイミングを得るために、図示していないが、V字状に分岐された各気筒のそれぞれで、各カム軸3,4の前端側に従来から知られた構造の可変バルブタイミング装置(VVT)が付設されており、それらの可変バルブタイミング装置を介した状態で、クランク軸7の回転がプライマリーチェーン8により排気側カム軸4に伝達され、排気側カム軸4の回転がセカンダリーチェーン9により吸気側カム軸3に伝達されるようになっている。 【0016】上記のようなV型エンジン1のシリンダヘッド2では、図2(A)に示すように、吸気ポート22に対して燃料噴射用インジェクター10が側方から装着され、燃焼室21の中央部に対して点火プラグ11が上方から装着されていると共に、吸気側と排気側のそれぞれにおいて、バルブ5,6のステムヘッド5a,6aとカム軸3,4との間にロッカーアーム12,13が介装され、各ロッカーアーム12,13は、その揺動基端がそれぞれのロッカー軸14,15により回動自在に支持されている。 【0017】なお、本実施形態では、エンジンの運転条件に応じた好ましいバルブリフト特性を得るために、カム軸3,4からロッカーアーム12,13を介してバルブ5,6を動かす動弁機構として、従来から知られた構造の可変バルブリフト装置が使用されており、また、吸気側と排気側の各ロッカーアーム12,13については、何れも同じ方向で外向き(各気筒によるV字形状の中央側から周辺側に向く)となるように、各ロッカーアーム12,13の揺動基端を支持する各ロッカー軸14,15が、それぞれのカム軸3,4よりもエンジンセンター(各気筒によるV字形状の中央)側に寄った位置となるように設置されている。 【0018】可変バルブリフト装置については、図示していないが、カム軸上に並設された低速用カムと高速用カムに対向して、別々に回動可能な主ロッカーアームと副ロッカーアームによりロッカーアームを構成し、ロッカー軸の軸心中空部を通した油圧作動によるモード切換機構を介して、バルブステムと直接的に連係する主ロッカーアームに対し、副ロッカーアームを連動状態と空動状態に選択的に切り換え可能とした、基本的構造が従来から一般的に知られたものであって、吸気側と排気側の各ロッカーアーム12,13は、何れも主ロッカーアームと副ロッカーアームとからなるものである。 【0019】ところで、上記のような本実施形態のシリンダヘッド2において、吸気側カム軸3と排気側カム軸4は、何れも、シリンダヘッド2の上端面に凹設されたカム軸支承部(ジャーナル軸受の下半部)25,26において、図示していないカムキャップ(ジャーナル軸受の上半部)により上方から挟持されることで、回転自在に支持されているが、この各カム軸3,4を支持するシリンダヘッドの上端面は、シリンダヘッドの下端面2aからの高さが吸気側2bと排気側2cで異なるようなものとなっている。 【0020】すなわち、図2(A)に示すように、シリンダヘッド2の上端面は、シリンダヘッド2の下端面2aを基準にして、吸気側カム軸3を支持する部分2bよりも排気側カム軸4を支持する部分2cの方が低くなっており、且つ、吸気側カム軸3を支持する部分2bと排気側カム軸4を支持する部分2cの両方が、何れもシリンダヘッド2の下端面2aと平行な面となるように、両方の部分2b,2cの間には段差2dが設けられている。 【0021】上記のようにシリンダヘッド2の上端面が段状に形成されている本実施形態のV型エンジンのシリンダヘッド構造によれば、V字状に分岐された各気筒において、エンジンセンター(各気筒によるV字形状の中央)から離れた排気側で、カム軸4をエンジンセンターの側に寄せることができるため、吸・排気ポート22,23やポートアングルや吸・排気バルブ5,6のバルブアングル(即ち、燃焼室21の形状)を変えることなく、エンジン1を気筒のV字配列方向でコンパクト化することができる。 【0022】そのため、本実施形態のように、各カム軸3,4の端部に可変バルブタイミング装置(図示せず)を設けたり、カム軸3,4からバルブ5,6を動かす動弁装置として可変バルブリフト装置を使用したりしても、それによりエンジンレイアウトが気筒のV字配列方向で拡大するのを抑えることができて、エンジン1を車両に搭載する際のクリアランスを確保することができる。 【0023】しかも、シリンダヘッド2の上端面2b,2cと下端面2aが平行となるように形成されていることで、シリンダヘッド2をシリンダブロックに連結するためのヘッドボルトのボルト孔27を加工したり、カムキャップをシリンダヘッドに連結するためのカムキャップボルトのボルト孔28を加工したりする際に、シリンダヘッド2の上端面2b,2cと下端面2aのどちらを加工基準面としても同じ角度で加工することができて、加工作業がやり難くなるようなことはない。 【0024】なお、本実施形態では、DOHC型式のバルブシステムでロッカーアームによる動弁機構を採用するに当たって、吸気側と排気側の各ロッカーアーム12,13の揺動基端を支持する各ロッカー軸14,15を、それぞれのカム軸3,4よりもエンジンセンター(各気筒によるV字形状の中央)側に寄った位置に設置して、吸気側と排気側の各ロッカーアーム12,13を同じ方向に向けていることで、シリンダヘッド自体を大型化することなく、且つ、コンパクトな燃焼室の形成が可能となっている。 【0025】すなわち、図4(A)に示すように、吸気側と排気側の各ロッカーアーム12,13が向き合うように、吸気側と排気側の各ロッカー軸14,15を各カム軸3,4の外側に設置すると、各ロッカー軸14,15の間隔が開いてシリンダヘッド自体が大型化することになり、一方、図5(B)に示すように、吸気側と排気側の各ロッカーアーム12,13が背中合わせになるように、吸気側と排気側の各ロッカー軸14,15を各カム軸3,4の間に設置すると、バルブアングルが大きくなってコンパクトな燃焼室の形成が困難となる。 【0026】これに対して、図4(C)に示すように、吸気側と排気側の各ロッカーアーム12,13を同じ向きにして、吸気側と排気側の各ロッカー軸14,15をそれぞれのカム軸3,4よりもエンジンセンター(各気筒によるV字形状の中央)側に寄せて設置すると、シリンダヘッドを大型化することなく、コンパクトな燃焼室の形成が可能となり、しかも、点火プラグ11の装着軸線をエンジンセンター側に傾けることで、排気側のカム軸4やロッカー軸15をエンジンセンター側に近づけることができる。 【0027】以上、本発明のV型エンジンのシリンダヘッド構造の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態に限られるものではなく、例えば、DOHCのV型エンジンであれば、可変バルブタイミング装置や可変バルブリフト装置のないエンジンに対しても適用可能であり、また、ロッカーアームによる動弁機構を用いたDOHCだけでなく、カムが直接バルブのステムヘッドを押すようなDOHCのエンジンに対しても適用可能である等、適宜設計変更可能なものであることはいうまでもない。 【0028】 【発明の効果】以上説明したような本発明のV型エンジンのシリンダヘッド構造によれば、吸・排気ポートやポートアングルや吸・排気バルブのバルブアングル(燃焼室の形状)をできるだけ変更することなく、エンジンを気筒のV字配列方向でコンパクト化することができて、エンジンを車両に搭載する際のクリアランスを充分に確保することができると共に、シリンダヘッドに対してヘッドボルト孔やカムキャップボルト孔等を加工する時に、シリンダヘッドの上端面が傾斜していることで加工作業がやり難くなるということを回避することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000010076 【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月15日(2000.6.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100100996 【弁理士】 【氏名又は名称】山口 允彦
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| 【公開番号】 |
特開2001−355511(P2001−355511A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月26日(2001.12.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−179237(P2000−179237) |
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