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【発明の名称】 クランク軸のトンネル式軸受装置
【発明者】 【氏名】田中 功

【要約】 【課題】クランク軸の軸受メタルの早期摩耗、軸受摩擦を低減する。

【解決手段】多気筒エンジンのクランク軸の軸受壁21に中間トンネル孔22をあけ、この中間トンネル孔22内にクランク軸の中間軸受箱11を内嵌固定し、クランクケース2の前壁2aに軸受孔16を設けるとともに、クランクケース2の後壁2bに後部トンネル孔30を設け、その後部トンネル孔30に後部軸受箱25を内嵌固定できるように構成し、後部トンネル孔30からクランク軸を挿入し、中間軸受箱11を所定の締結ボルトを用いて前記中間トンネル孔22の下方側に偏位した状態で固定するクランク軸のトンネル式軸受装置において、後部軸受箱25に形成される軸受孔28の中心を後部軸受箱25の外周円の中心位置に一致させ、前記各中間軸受箱11に形成される軸受孔12の中心を中間軸受箱11の外周円の中心位置に比べて挿通隙間dの略半分だけ上方へ偏位させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 多気筒エンジン(E)のクランク軸(8)の軸受壁(21)をクランクケース(2)と一体に形成し、上記軸受壁(21)にクランク軸(8)を挿通して支持する中間トンネル孔(22)をあけ、この中間トンネル孔(22)内にクランク軸(8)の中間ジャーナル(8c)を枢支する割り形の中間軸受箱(11)を内嵌固定できるように構成し、クランクケース(2)の前壁(2a)に軸受孔(16)を設けるとともに、クランク軸(8)が架け渡されるクランクケース(2)の後壁(2b)に後部トンネル孔(30)を設け、その後部トンネル孔(30)に後部軸受箱(25)を内嵌固定できるように構成し、後部トンネル孔(30)からクランク軸(8)をクランクケース(2)内に挿入し、クランク軸(8)の先端ジャーナル(8a)をクランクケース(2)の前壁(2a)にあけられた軸受孔(16)に挿入するとともに、各軸受壁(21)にあけた中間トンネル孔(22)に挿通隙間(d)を有して中間軸受箱(11)を内嵌し、後部トルネル孔(30)に後端ジャーナル(8b)が挿入された後部軸受箱(25)を内嵌し、各中間軸受箱(11)を所定の締結手段を用いて前記中間トンネル孔(22)の一方向に偏位した状態で固定するのに対して、後部軸受箱(25)は特定方向に偏位しない状態で後部トルネル孔(30)に固定するように構成された、クランク軸のトンネル式軸受装置において、前壁(2a)の軸受孔(16)の中心と、中間トンネル孔(22)の中心と、後部トンネル孔(30)の中心は全て一致するようにクランクケース(2)が形成されており、後部軸受箱(25)に形成される軸受孔(28)の中心を後部軸受箱(25)の中心位置に形成し、前記各中間軸受箱(11)に形成される軸受孔(12)の中心を中間軸受箱(11)の中心位置に比べて前記挿通隙間(d)の略半分だけ前記一方向と反対の方向へ偏位させてあることを特徴とする、クランク軸のトンネル式軸受装置。
【請求項2】 多気筒エンジン(E)のクランク軸(8)の軸受壁(21)をクランクケース(2)と一体に形成し、上記軸受壁(21)にクランク軸(8)を挿通して支持する中間トンネル孔(22)をあけ、この中間トンネル孔(22)内にクランク軸(8)の中間ジャーナル(8c)を枢支する割り形の中間軸受箱(11)を内嵌固定できるように構成し、クランクケース(2)の前壁(2a)に軸受孔(16)を設けるとともに、クランク軸(8)が架け渡されるクランクケース(2)の後壁(2b)に後部トンネル孔(30)を設け、その後部トンネル孔(30)に後部軸受箱(25)を内嵌固定できるように構成し、後部トンネル孔(30)からクランク軸(8)をクランクケース(2)内に挿入し、クランク軸(8)の先端ジャーナル(8a)をクランクケース(2)の前壁(2a)にあけられた軸受孔(16)に挿入するとともに、各軸受壁(21)にあけた中間トンネル孔(22)に挿通隙間(d)を有して中間軸受箱(11)を内嵌し、後部トルネル孔(30)に後端ジャーナル(8b)が挿入された後部軸受箱(25)を内嵌し、各中間軸受箱(11)を所定の締結手段を用いて前記中間トンネル孔(22)の一方向に偏位した状態で固定するのに対して、後部軸受箱(25)は特定方向に偏位しない状態で後部トルネル孔(30)に固定するように構成された、クランク軸のトンネル式軸受装置において、前壁(2a)の軸受孔(16)の中心と後部トンネル孔(30)の中心は一致するようにクランクケース(2)が形成されており、中間軸受箱(11)に形成される軸受孔(12)の中心を中間軸受箱(11)の中心位置に形成するとともに、後部軸受箱(25)に形成される軸受孔(28)の中心を後部軸受箱(25)の中心位置に形成し、前壁(2a)の軸受孔(16)と後部トンネル孔(30)の中心を、中間トンネル孔(22)の中心に比べて前記挿通隙間(d)の略半分だけ前記一方向と同じ方向へ偏位させたクランクケース(2)としてあることを特徴とする、クランク軸のトンネル式軸受装置。
【請求項3】 請求項1ないし請求項2のいずれか1項に記載のクランク軸のトンネル式軸受装置において、多気筒エンジン(E)が縦形エンジンであり、前記締結手段がクランクケース(2)の下部から中間軸受箱(11)を固定する締結ボルト(18)であり、前記一方向が下方方向である、クランク軸のトンネル式軸受装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多気筒エンジンのクランク軸を枢支するトンネル式軸受装置に関し、特にクランク軸心とクランク軸の中間ジャーナルを枢支する中間軸受箱の軸心を位置整合して組み付ける技術に関する。
【0002】
【従来技術】この種のトンネル式軸受装置としては、従来より例えば図4及び図5に示すものがある。図4はそのトンネル式軸受装置の縦断正面図、図5はそのトンネル式軸受装置を備える縦型水冷式ディーゼルエンジンの要部を破断して示す側面図である。ここで、符号Eはディーゼルエンジン1の全体を示し、符号3はシリンダヘッド、符号4はギアケース、符号5はファン駆動プーリ、符号6は冷却ファン、符号7はフライホイル、符号9はオイルパン、符号10はトンネル式軸受装置をそれぞれ示す。
【0003】図4及び図5に示すように、このトンネル式軸受装置10は、多気筒エンジンEのクランク軸8の中間ジャーナル8cを支持する軸受壁21をクランクケース2と一体に形成し、上記軸受壁21にクランク軸8を挿通して支持する中間トンネル孔22をあけ、この中間トンネル孔22内に二つ割り形の中間軸受箱11を内嵌固定し、この中間軸受箱11の中央の軸受孔12でクランク軸8の中間ジャーナル8cを枢支するように構成してある。
【0004】そして上記中間軸受箱11は、図4に示すように、逆T字状の上箱11aと半円状の下箱11bとを左右一対の連結ボルト14・14で一体に連結固定し、軸受メタル13を介してクランク軸8の中間ジャーナル8cを枢支するように構成してある。
【0005】上記クランク軸8は以下のようにしてエンジンに組み付けられる。まず、クランク軸8の各中間ジャーナル8cの部分にそれぞれ軸受メタル13を介して中間軸受箱11を連結ボルト14・14により組み付ける。同様に、クランク軸8の後端ジャーナル8bの部分に軸受メタル13を介して後部軸受箱25を組み付ける。
【0006】この状態で図5に示すように、クランク軸8をクランクケース2の後壁2bにあけた後部トンネル孔30からクランクケース2内に挿入し、クランク軸8の先端ジャーナル8aをクランクケース2の前壁2aにあけられた軸受孔16に軸受メタル13を介して挿入するとともに、各軸受壁21にあけた中間トンネル孔22に中間軸受箱11を内嵌し、さらに、後部トルネル孔30に後部軸受箱25を内嵌する。なお、後部軸受箱25には後端ジャーナル8bが挿入される軸受孔28が開口されている。
【0007】この状態で、後部軸受箱25を抜止板部26を介して固定ボルト27・27で後壁2bに固定する。次いで中間トンネル孔22内に内嵌された中間軸受箱11の各下箱11bの下部の1箇所をそれぞれ締結ボルト18で各軸受壁21の下部に締結固定する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術であれば下記のような課題がある。上記中間トンネル孔22は中間軸受箱11を組み付けた状態でクランク軸8を挿通しなければいけないことから、図6、図7に誇張して示すように、中間軸受箱11の挿通隙間dの分だけ当該中間軸受箱11の外径よりも大きく開口されている。従って図4に示すように中間軸受箱11を締結ボルト18で軸受壁21の下部に締結固定すると、図6及び図7に示すように上記挿通隙間dに対応する分だけ中間軸受箱11の軸受孔12の中心Pが下方へ偏位し、クランクケース2の前後壁2a・2bで枢支されたクランク軸8の軸心Qに対して中間軸受箱11の軸受孔12の中心Pが下方へずれる。このような状態では、規定のオイルクリアランスでは、締結ボルト18の締め付けがクランク軸8に無理な締結力を及ぼし、オイルクリアランスの不均等をもたらす。よって軸受メタル12の早期摩耗や、軸受摩擦によるエンジン騒音が大きくなる問題を生ずる。
【0009】また、中間軸受箱11を締結ボルト18で軸受壁21の下方から締結固定する構成であると、図8に示すように120゜(deg)間隔で中間軸受箱11を締結ボルト18で3方向から締め付ける方法などに比べて、中間軸受箱11の軸受孔12の中心P(図7参照)は下方だけに片寄った状態で締結されることになるので、軸受メタルの摩耗、エンジン騒音発生の問題が顕著に現れることになる。上記問題を解決するために、軸受壁21の中間トンネル孔22と中間軸受箱11との間の挿通隙間dを小さく設定することも考えられるが、挿通隙間dを小さく設定すると、クランク軸8をクランクケース1内に挿通する作業が非常に困難になり、クランクケース2の組立てに手間取り、現実的な解決策とはならない。
【0010】本発明は上記技術課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、上記課題を解決できる、クランク軸のトンネル式軸受装置を提供することにある。具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(a)軸受箱を締結ボルトで締結する場合に、クランク軸心に対する軸受箱の中心のずれを抑制することにより、軸受メタルの早期摩耗を防止するとともに軸受摩擦によるエンジン騒音を低減する。なお、上記に記載した以外の発明の課題及びその解決手段は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明を、例えば、本発明の実施の形態を示す図1から図3に基づいて説明すると、次のように構成したものである。なお、本発明の構成は図4及び図5に示す構成を採用できるので、図4及び図5も参照して説明する。
【0012】第1発明〜第3発明は、図4及び図5に示すように、以下の前提構造を有するものにおいて適用される。
(前提構造)多気筒エンジンEのクランク軸8の軸受壁21をクランクケース2と一体に形成し、上記軸受壁21にクランク軸8を挿通して支持する中間トンネル孔22をあけ、この中間トンネル孔22内にクランク軸8の中間ジャーナル8cを枢支する割り形の中間軸受箱11を内嵌固定できるように構成し、クランクケース2の前壁2aに軸受孔16を設けるとともに、クランク軸8が架け渡されるクランクケース2の後壁2bに後部トンネル孔30を設け、その後部トンネル孔30に後部軸受箱25を内嵌固定できるように構成し、後部トンネル孔30からクランク軸8をクランクケース2内に挿入し、クランク軸8の先端ジャーナル8aをクランクケース2の前壁2aにあけられた軸受孔16に挿入するとともに、各軸受壁21にあけた中間トンネル孔22に挿通隙間dを有して中間軸受箱11を内嵌し、後部トルネル孔30に後端ジャーナル8bが挿入された後部軸受箱25を内嵌し、各中間軸受箱11を所定の締結手段を用いて前記中間トンネル孔22の一方向に偏位した状態で固定するのに対して、後部軸受箱25は特定方向に偏位しない状態で後部トルネル孔30に固定するように構成された、クランク軸のトンネル式軸受装置である。第1発明は、前記前提構造において、図1(A)(B)に示すように、前壁2aの軸受孔16の中心と、中間トンネル孔22の中心と、後部トンネル孔30の中心は全て一致するようにクランクケース2が形成されており、後部軸受箱25に形成される軸受孔28の中心を後部軸受箱25の中心位置に形成し、前記各中間軸受箱11に形成される軸受孔12の中心を中間軸受箱11の中心位置に比べて前記挿通隙間dの略半分だけ前記一方向と反対の方向へ偏位させてあることを特徴とする。
【0013】第2発明は、前記前提構造において、図2に示すように、前壁2aの軸受孔16の中心と後部トンネル孔30の中心が一致するようにクランクケース2が形成されており、中間軸受箱11に形成される軸受孔12の中心を中間軸受箱11の中心位置に形成するとともに、後部軸受箱25に形成される軸受孔28の中心を後部軸受箱25の中心位置に形成し、前壁2aの軸受孔16と後部トンネル孔30の中心を、中間トンネル孔22の中心に比べて前記挿通隙間dの略半分だけ前記一方向と同じ方向へ偏位させたクランクケース2としてあることを特徴とする。
【0014】第3発明は、多気筒エンジンEが縦形エンジンであり、前記締結手段がクランクケース2の下部から中間軸受箱11を固定する締結ボルト18であり、前記一方向が下方方向であることを特徴とする。第1発明〜第3発明についてさらに説明する。第1発明は、各中間軸受箱11の軸受孔12の中心は本来あるべき中心位置から偏位しているのに対して、後部軸受箱25の軸受孔28の中心は本来あるべき中心位置に形成してあることで判別できる。
【0015】第2発明は、各中間軸受箱11の軸受孔12の中心及び後部軸受箱25の軸受孔28の中心はそれぞれ本来あるべき中心位置にあることと、前壁2aの軸受孔16と後部トンネル孔30の中心が、中間トンネル孔22の中心に比べて偏位していることにより判別できる。
【0016】
【作用及び効果】第1発明であれば、前壁の軸受孔の中心と、中間トンネル孔の中心と、後部トンネル孔の中心は全て一致するようにクランクケースが形成されており、後部軸受箱に形成される軸受孔の中心を後部軸受箱の中心位置に形成し、前記各中間軸受箱に形成される軸受孔の中心を中間軸受箱の中心位置に比べて前記挿通隙間の略半分だけ前記一方向と反対の方向へ偏位させてあるので、中間軸受箱を軸受壁に固定した状態では、クランクケース前壁の軸受孔の中心、後部軸受箱の軸受孔の中心、中間軸受箱の軸受孔の中心を全て略一致させた状態とすることができ、それらの軸受孔に挿通されるクランク軸の軸心を略一致できる。したがって、クランク軸心に対する中間軸受箱の軸心のずれを抑制でき、軸受メタルの早期摩耗や軸受摩擦によるエンジン騒音を低減することができる。
【0017】第2発明であれば、前壁の軸受孔の中心と後部トンネル孔の中心が一致するようにクランクケースが形成されており、中間軸受箱に形成される軸受孔の中心を中間軸受箱の中心位置に形成するとともに、後部軸受箱に形成される軸受孔の中心を後部軸受箱の中心位置に形成し、前壁の軸受孔と後部トンネル孔の中心を、中間トンネル孔の中心に比べて前記挿通隙間の略半分だけ前記一方向と同じ方向へ偏位させたクランクケースとしてあるので、中間軸受箱を軸受壁に固定した状態では、クランクケース前壁の軸受孔の中心、後部軸受箱の軸受孔の中心、中間軸受箱の軸受孔の中心を全て略一致させた状態とすることができ、それらの軸受孔に挿通されるクランク軸の軸心を略一致できる。したがって、クランク軸心に対する軸受箱の軸心のずれを抑制でき、軸受メタルの早期摩耗、軸受摩擦によるエンジン騒音を低減することができる。第3発明であれば、締結ボルトを用いてクランクケースの下部から中間軸受箱を固定する方式において、本発明を適用することができる。
【0018】
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1(A)は第1実施形態に係る中間軸受箱の概略構成図、図1(B)は本実施形態を説明するためのトンネル式軸受装置の模式図である。この第1実施形態では、前記従来例と同様の基本構成を備える。即ち、図4及び図5に示すように、このトンネル式軸受装置10は、縦型多気筒エンジンEのクランク軸8の軸受壁21をクランクケース2と一体に形成し、上記軸受壁21にクランク軸8を挿通して支持する中間トンネル孔22を開口し、この中間トンネル孔22内にクランク軸8の中間ジャーナル8cを枢支する割り形の中間軸受箱11を内嵌固定するように構成されている。上記中間軸受箱11は、図4に示すように、逆T字状の上箱11aと半円状の下箱11bとを左右一対の連結ボルト14・14で一体に連結固定し、軸受メタル13を介してクランク軸8の中間ジャーナル8cを枢支するように構成されている。
【0019】また、クランク軸8の先端ジャーナル8aをクランクケース2の前壁2aにあけた軸受孔16に軸受メタル13軸を介して挿入できるように構成し、クランクケース2の後壁2bにあけた後部トンネル孔30に後部軸受箱25を内嵌できるように構成する。後部軸受箱25には軸受孔28が開口されるとともに、この軸受孔28にクランク軸10の後端ジャーナル8bが挿入されるようにしてある。また、後部軸受箱25を抜止板部26を介して固定ボルト27・27で後壁2bに固定する。
【0020】以下、図1を参照しつつ、このトンネル式軸受装置10の特徴構成について説明する。図1(B)に示すように、クランクケース前壁2aの軸受孔16の中心と、中間トンネル孔22の中心と、後部トンネル孔30の中心は全て、例えば軸心Q(位置Q)に一致するようにクランクケース2が形成されている。また、後部軸受箱25に形成される軸受孔28の中心を後部軸受箱25の中心位置に形成している。つまり、この実施形態で言えば、後部軸受箱25の軸受孔28の中心と後部軸受箱25の外周円は同心となっている。これに対して、前記各中間軸受箱11に形成される軸受孔12の中心は、図1(A)に示す中間軸受箱11の外周円31の中心に比べて上方向へ偏位させてある【0021】つまり、図6に示す従来の構成と比較すれば分かるように、図1(A)に示す各軸受孔12は、中間軸受箱11の外周円31の中心位置Pから上方へ偏位させた位置Qを中心にして開口してある。その偏位量は、中間トンネル孔22と中間軸受箱11の挿通隙間dの半分、即ち(d/2)に設定してある。このように構成することにより、図1(B)に示すように、中間軸受箱11を軸受壁21に固定した状態では、クランクケース前壁2aの軸受孔16の中心、後部軸受箱25の軸受孔28の中心、中間軸受箱11の軸受孔12の中心は、全て位置Qに一致させた状態とすることができ、それらの軸受孔16・12・28に挿通されるクランク軸8(図5参照)の軸心も位置Qに一致できることになる。
【0022】次に、このトンネル式軸受装置の一取付方法について説明する。まず、クランクケース前壁2aの軸受孔16、中間トンネル孔22、クランクケース後壁2bの後部トンネル孔30の中心を一致させるようにクランクケース2を精密鋳造するか又は鋳造後のクランクケース2をそれらの孔16・22・30の同心精度を高めるように孔加工を行う。
【0023】次いで、中間トンネル孔22に中間軸受箱11を締結ボルト18(図4参照)により内嵌固定するとともに、後部トンネル孔30に後部軸受箱25を内嵌固定する。この後部軸受箱25は、中間軸受箱11のようにクランクケース1の下部から締結ボルト18で固定しないので、図1(B)に示すように下方に偏位することもなく、後部トンネル孔22の隙間が全周においてほぼ均一になるように嵌入固定される。この状態からシリンダブロック1を孔加工装置に装着し、後部軸受箱25と中間軸受箱11を一度に貫通させて、後部軸受箱25の軸受孔28、中間軸受箱11の軸受孔12をそれぞれ開口する。
【0024】その後、クランク軸8の組み付けを行う。クランク軸8の組み付けは次の手順により行われる。クランク軸8の中間ジャーナル8aに割り形の中間軸受箱11を組み付けるとともに、クランク軸8の後端ジャーナル8bに後部軸受箱25を組み付ける。なお、後部軸受箱25は必ずしも割り形である必要はない。クランク軸8に中間軸受箱11と後部軸受箱25を組み付けた状態で当該クランク軸8をクランクケース2の後部(フライホイル7)側のトンネル孔30より、各軸受壁21の中間トンネル孔22を挿通してクランクケース2内に挿入する。
【0025】次いで、上記孔加工時と同様に各軸受壁21の中間トンネル孔22内に各中間軸受箱11を締結ボルト18で内嵌固定するともに、図5に示す抜止板部26により後部軸受箱25を後部トンネル孔30に内嵌固定して、クランク軸8の組み付け作業が終了する。なお、上記取付方法は一例にすぎず、後部軸受箱25と中間軸受箱11を予めクランクケース2に取り付けることなく、後部軸受箱25と中間軸受箱11を個別に孔加工装置に装着して、それぞれの軸受孔28・12を開口してもよい。
【0026】
【第2実施形態】図2は本発明の第2実施形態を説明するためのトンネル式軸受装置の模式図である。この第2実施形態の場合、図2に示すように、クランクケース前壁2aの軸受孔16の中心と後部トンネル孔30の中心は一致するようにクランクケース2が形成されている。また、中間軸受箱11に形成される軸受孔12の中心を中間軸受箱11の中心位置に形成している。この実施形態で言えば、中間軸受箱11の軸受孔12の中心と、中間軸受箱11の外周円は同心となっている。さらに、後部軸受箱25に形成される軸受孔28の中心を後部軸受箱25の中心位置に形成している。この実施形態で言えば、後部軸受箱25の軸受孔28の中心と、後部軸受箱25の外周円は同心となっている。
【0027】また、後部トンネル孔30と軸受孔16の中心位置を、中間軸受箱11を嵌入する中間トンネル孔22の中心位置に比べて(d/2)だけ下方にずれた位置に開口してある。このように構成することにより、トンネル孔30に嵌入された後部軸受箱25の軸受孔28の中心と、クランクケース前壁2aの軸受孔16の中心と、各中間軸受箱11の軸受孔12の中心は、全て、図2に示す位置Pに一致させることができる。
【0028】この第2実施形態に係るトンネル式軸受装置の一取付方法について説明する。まず、中間軸受箱11と後部軸受箱25を所定の孔加工装置に装着し、同心となるように軸受孔12、軸受孔28を開口する。次に、後部トンネル孔30と前壁2aの軸受孔16の中心位置を、中間トンネル孔22の中心位置に比べて(d/2)だけ下方にずれた位置となるように、クランクケース2を精密鋳造するか又は鋳造後のクランクケース2の孔加工を行う。以下、クランク軸8の組み付けは第1実施形態と同様に行えばよい。
【0029】この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を変更しない範囲内において種々の設計変更を施すことが可能である。以下、そのような実施形態を説明する。
(1)前記実施形態では、軸受箱をクランクケースの下部から締結ボルトで固定する場合を示したが、本発明は、図3に示すように軸受箱が上側に押し付けられた状態で嵌入固定されるトンネル式軸受装置にも同様に適用できる。図3に示すトンネル式軸受装置の二つ割り形の上記中間軸受箱11は、上箱11aと下箱11bとを左右一対の連結用ボルト14・14で連結固定して成り、左右一対の固定ボルト15・15を上記中間軸受箱11に上向きに貫通させて当該中間軸受箱11を上記軸受壁21の支持孔22の上部内面に締結固定してある。
【0030】上記軸受壁21は、その下部に上記支持孔22の下部を欠く欠落壁部23を有して成り、上記軸受壁21の左右下半部を締結用ボルト17で締結することにより、上記中間軸受箱11を上記支持孔22内に内嵌固定してある。このようなトンネル式軸受装置に本発明を適用する場合には、第1実施形態に対応する構成においては、クランクケース前壁の軸受孔の中心と、中間トンネル孔の中心と、後部トンネル孔の中心は全て一致するようにクランクケースを形成し、後部軸受箱に形成される軸受孔の中心を後部軸受箱の中心位置に形成し、前記各中間軸受箱11に形成される軸受孔12の中心を中間軸受箱11の中心位置に比べて前記挿通隙間dの略半分だけ前記下方へ偏位させて形成すればよい。第2実施形態に対応する構成においては、図3に示すクランクケース2において、図5に示す後部トンネル孔30と前壁2aの軸受孔16の中心位置を、中間トンネル孔22の中心位置に比べて(d/2)だけ上方にずれた位置とすればよい。
【0031】(2)本発明は、エンジンのシリンダが垂直方向に設けられる縦形エンジンのみならず、エンジンのシリンダが水平方向に設けられる横型エンジン、傾斜型エンジンなどにおいても適用できる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【代理人】 【識別番号】100068892
【弁理士】
【氏名又は名称】北谷 寿一
【公開番号】 特開2001−271708(P2001−271708A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−87757(P2000−87757)