| 【発明の名称】 |
エンジンのシリンダヘッドカバー |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 矩行
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| 【要約】 |
【課題】高圧燃料ポンプの作動によって発生し、高圧燃料ポンプ取付部を介してシリンダヘッドカバーへと伝達される振動を減衰させ、シリンダヘッドカバー内での振動の伝達を抑制すると共に、振動によって発生する放射音を低減することができるシリンダヘッドカバーを簡単な構成で提供すること。
【解決手段】高圧燃料ポンプ取付部1dの近傍に、シリンダヘッドカバー1を分割する凹部1cと、凹部1cに沿って延在する剛性リブ1e、1fとを設けることで、高圧燃料ポンプ取付部1dからシリンダヘッドカバー1に伝達される振動と振動によって発生する音の放射面積を小さくし、シリンダヘッドカバー1内を伝達する振動を減衰させるように構成した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高圧燃料ポンプ取付部を備えてなるエンジンのシリンダヘッドカバーにおいて、前記高圧燃料ポンプ取付部の近傍に前記シリンダヘッドカバーを分割する凹部と、該凹部に沿って延在する剛性リブとを設けることで、前記高圧燃料ポンプ取付部から前記シリンダヘッドカバーに伝達された振動を減衰させ、該振動によって発生する音の放射面積が小さくなるようにしたことを特徴とするエンジンのシリンダヘッドカバー。 【請求項2】 前記シリンダヘッドカバーにおいて、前記凹部の底部の厚さが、前記シリンダヘッドカバーの一般板厚部よりも薄いことを特徴とする請求項1に示すエンジンのシリンダヘッドカバー。 【請求項3】 前記シリンダヘッドカバーにおいて、前記凹部の底面によって前記シリンダヘッドカバーに形成される内壁面と、前記剛性リブ及び前記シリンダヘッドカバーの一般板厚部によって前記シリンダヘッドカバーに形成される内壁面との間に段差を有することを特徴とする請求項1または2に示すエンジンのシリンダヘッドカバー。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、高圧燃料ポンプの作動によって発生し、シリンダヘッドカバーに設けられた高圧燃料ポンプ取付部を介して伝達される振動を減衰させると共に、シリンダヘッドカバー内での振動の伝達を抑制することと、振動によって発生する放射音の低減すること、とを行うことができるエンジンのシリンダヘッドカバーに関する。 【0002】 【従来の技術】従来の高圧燃料ポンプ取付部を有するシリンダヘッドカバーの構造として、例えば、1999年9月にトヨタ自動車から発行されたクラウン・クラウンマジェスタ新型車解説書に掲載されるものが知られている。 【0003】図3に示すように、このシリンダヘッドカバー11は、エンジンの気筒配列に直交する方向に防振用スリット12を設けて、シリンダヘッドカバー11の一般板厚部を図示しない高圧燃料ポンプ取付部が設けられている一方の側11aと、他方の側11bとに分割している。防振用スリット12はシリンダヘッドカバー11を貫通して設けられ、シール部材13を保持部材14によってシリンダヘッドカバー11にボルト15で固定して、シール部材13をシリンダヘッドカバー11に密着させて、シリンダヘッドカバー11内に形成されている容積部16と外部との気密性を保つように構成されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、最近のエンジンでは、エンジンの吸気通路に燃料を噴射して空気と混合させ、その混合気を吸気行程中のエンジンの燃焼室に供給する、いわゆるポート噴射式に代わって、エンジンの圧縮行程中の燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内直接噴射式(直噴式という)を採用するものが増えている。この直噴式エンジンにおいては、燃焼室内の圧力に抗して燃料を噴射しなければならないため、燃料を非常に高い圧力(数MPa〜数10MPa)に加圧する必要がある。そのため、直噴式エンジンの燃料供給装置には従来の燃料ポンプのほかに、燃料の圧力を高める働きを持つ高圧燃料ポンプが設けられている。この高圧燃料ポンプは、最近ではカムシャフトに設けられたポンプカムによって駆動されているので、カムシャフトの直上にあるシリンダヘッドカバーに取り付けられていることが多い。 【0005】一方、高圧燃料ポンプで発生する振動や作動音、加圧された燃料の脈動による燃料配管の振動等は、高圧燃料ポンプの取付部を介してシリンダヘッドカバーに伝達されることになる。そのため、伝達した振動は、シリンダヘッドカバーによって増幅されてエンジンの振動を大きくしたり、シリンダヘッドカバーの表面に伝達されてシリンダヘッドカバーの一般板厚部がスピーカーのような働き(膜振動)をして大きな放射音を発生させたりすることがあり、エンジンの静粛性を確保する上で大きな問題となっていた。 【0006】シリンダヘッドカバーは、シリンダヘッドに取り付けられ、カムシャフトや吸、排気弁等から構成される動弁系を覆い、また、その内部の容積部を利用して、クランクケースベンチレーションガス(PCVガスという)としてクランクケースからヘッドカバーを介して吸気系に送られるブローバイガス(エンジンの燃焼室内と、ピストン及びシリンダ内壁面に設けられている隙間からクランクケース内に洩れ出る未燃ガスや潤滑オイル、燃焼ガス等を含むガス)の通路として使用されている。このPCVガスの通路は、PCVガスに多量に含まれるオイル分をシリンダヘッドカバー内に設けられた通路内で分離し、動弁系あるいは潤滑系に再供給すると共に、その他のガスを滞留させ、シリンダヘッドカバーに設けられているPCVバルブを介して吸気系へ送り込むという機能を有する。そのため、シリンダヘッドカバーには軽量でエンジンの振動や放射音の吸収性能が高いことや、内包する動弁機構へのダスト等の進入を防止し、シリンダヘッドカバーの外側及び内部に形成する容積の間の気密を保つこと等が、その機能として求められている。 【0007】上記した従来の高圧燃料ポンプ取付部を有するシリンダヘッドカバーにおいては、防振用スリットを設けてシリンダヘッドカバーを分割することで、高圧燃料ポンプの作動によって発生し、シリンダヘッドカバーの高圧燃料ポンプ取付部を介して伝達される振動がシリンダヘッドカバー内を伝達することを抑制すると共に、高圧燃料ポンプ取付部を有する一方の側のシリンダヘッドカバーの表面積(高圧燃料ポンプ取付部から伝達された振動によって発生する音を放射する面積)を小さくして、シリンダヘッドカバーから放出される振動と放射音の低減を図っている。しかしながら、上記した構成においては、防振用スリットをシリンダヘッドカバーの外壁面から内壁面までを貫通させることで、シリンダヘッドカバーを分割しているので、シリンダヘッドカバーの内部の容積部の気密性を確保するために防振用スリットによる内部と外部の連通をシールするシール部材と、シール部材をシリンダヘッドカバーに脱落不能に保持する保持部材とを設ける必要がある。これによってシリンダヘッドカバーの構成部品の増加と組付工数の増大によってコストの上昇を招いていた。また、防振用スリットをシールするシール部材を設ける必要があるため、その気密性の確保や、シリンダヘッドカバーにスリットを設けることによる強度の低下や、シール部を保持する保持部材の強度の確保、シール部材の取付スペースの確保等の新たな問題が発生していた。 【0008】それゆえ、本発明は、高圧燃料ポンプの作動によって発生し、高圧燃料ポンプ取付部を介してシリンダヘッドカバーへと伝達される振動を減衰させ、振動がシリンダヘッドカバー内を伝達することを抑制すると共に、振動によって発生する放射音を低減することができるシリンダヘッドカバーを簡単な構成で提供することをその課題とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために請求項1の発明にて講じた技術的手段は、高圧燃料ポンプ取付部を備えてなるエンジンのシリンダヘッドカバーにおいて、前記高圧燃料ポンプ取付部の近傍に前記シリンダヘッドカバーを分割する凹部と、該凹部に沿って延在する剛性リブとを設けることで、前記高圧燃料ポンプ取付部から前記シリンダヘッドカバーに伝達された振動を減衰させ、該振動によって発生する音の放射面積が小さくなるようにしたことである。 【0010】上記した手段によれば、シリンダヘッドカバーに設けた凹部によって、シリンダヘッドカバーを分割することで、振動源となる高圧燃料ポンプ取付部と直接つながるシリンダヘッドカバーの面積を小さくすることができる。これによって、高圧燃料ポンプの作動によって発生し、シリンダヘッドカバーの高圧燃料ポンプ取付部を介してシリンダヘッドカバーに伝達される振動、音の放射面積が小さくすることができるので、高圧燃料ポンプ取付部が設けられている側のシリンダヘッドカバーから放射される音を小さくすることができる。また、凹部に沿って延在する剛性リブを設けることで、高圧燃料ポンプ取付部から伝達される振動や音が有するエネルギーが剛性リブを振動させるために消費されて振動や音が減衰し、高圧燃料ポンプ取付部を有する一方の側から他方の側へと伝達される振動、音を低減することができる。 【0011】尚、前記シリンダヘッドカバーにおいて、前記凹部の底面を構成する部分の板厚を前記シリンダヘッドカバーの一般板厚部より薄くしたり、前記凹部の底面によって前記シリンダヘッドカバーに形成される内壁面と、前記剛性リブ及び前記シリンダヘッドカバーの一般板厚部によって前記シリンダヘッドカバーに形成される内壁面との間に段差を有することが望ましい。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明に従った実施の形態を図面に基づいて説明する。 【0013】図1において、シリンダヘッドカバー1は、図示しないボルトによって図示しないシリンダヘッドに固着されている。シリンダヘッドカバー1には、エンジンの図示しない#1気筒から図示しない#6気筒の各気筒に連通する点火プラグ、点火コイル用取付部1jやオイルフィラーキャップ取付部1k、PCVバルブ取付部1l等の他に、凹部1cと、剛性リブ1e、1fと、高圧燃料ポンプ取付部1dとが形成されている。シリンダヘッドカバー1は、凹部1cによって、図示しない#1気筒から図示しない#4気筒までを覆う第1シリンダヘッドカバー部1aと、図示しない#5気筒と図示しない#6気筒とを覆い、高圧燃料ポンプ取付部1dを有する第2シリンダヘッドカバー部1bとに分割される。図示しない高圧燃料ポンプは高圧燃料ポンプ取付部1dに図示しない固着手段によって取り付けられる。 【0014】これによって、第2シリンダヘッドカバー部1bの表面積はシリンダヘッドカバー1全体の表面積と比べて小さいので、高圧燃料ポンプ取付部1dから伝達された振動が、シリンダヘッドカバー1の表面全体から放射される場合と、第2シリンダヘッドカバー部1bの表面から放射する場合とを比較すると、面積の小さい第2シリンダヘッドカバー部1bからの放射音の方が小さくなる。これによって、高圧燃料ポンプで発生し、シリンダヘッドカバー1に伝達された振動によってシリンダヘッドカバー1から放出される放射音を低減することができ、有利である。 【0015】図2において、シリンダヘッドカバー1を分割する凹部1cによって、シリンダヘッドカバー1は、第1シリンダヘッドカバー部1aと第2シリンダヘッドカバー部1bとに分割され、第1シリンダヘッドカバー部1aの端には剛性リブ1fが、第2シリンダヘッドカバー部1bの端には剛性リブ1eがそれぞれ設けられている。第1シリンダヘッドカバー部1aと第2シリンダヘッドカバー部1bとは、それぞれ等しい一般板厚で形成されている。凹部1cの底面1gは前記第1シリンダヘッドカバー部1aと第2シリンダヘッドカバー部1bを構成する一般板厚よりも薄い板厚で形成され、それぞれが形成する内壁の形状に対して段差1hを有する底部1gによって一体で形成されている。 【0016】ここで、シリンダヘッドカバー1に伝達された振動の伝わり方について説明する。振動源は、図示しない高圧燃料ポンプ取付部に取り付けられた図示しない高圧燃料ポンプだけとする。 【0017】図示しない高圧燃料ポンプ取付部から伝達された振動や音は、第2シリンダヘッドカバー部1bを介して剛性リブ1eに伝わる。剛性リブ1eは、高い剛性を有するので振動しにくく、剛性リブ1eに伝達された振動や音は、剛性リブ1eを振動させるためにそのエネルギーの一部を消費して、減衰する。次に、その減衰された振動と音は凹部1cの底部1gを介して第1ヘッドカバー部1aに連設する剛性リブ1fに伝達され、剛性リブ1eの場合と同様にエネルギーの一部を消費し、減衰する。そして減衰された振動や音が第1シリンダヘッドカバー部1aに伝達される。 【0018】これによって、シリンダヘッドカバー1が一体で形成されて、図示しない高圧燃料ポンプの作動によって発生する全ての振動や音が、シリンダヘッドカバー1全体に伝達される場合と比べて、本実施形態の第1シリンダヘッドカバー部1aには、より小さい(減衰された)振動や音しか作用しないので、伝達された振動や、その振動により発生する放射音は、図示しない高圧燃料ポンプで発生し、シリンダヘッドカバー1に伝達された全ての振動が第2シリンダヘッドカバー部から第1シリンダヘッドカバー部に伝達された場合と比べて小さくなり、エンジンの静粛性を保つ上で有利である。 【0019】また、第1シリンダヘッドカバー部1a及び第2シリンダヘッドカバー部1bが形成する内壁面と、凹部1cの底部1gが形成する内壁面との間に段差1hが設けられていることで、両者の内壁面上を振動や音が伝達しにくくなり、凹部1cによるシリンダヘッドカバー1を分割する効果を向上させ、第一シリンダヘッドカバー部に伝達される振動と音を低減させることができ、有利である。 【0020】 【発明の効果】以上の如く、請求項1の発明によれば、エンジンのシリンダヘッドカバーの高圧燃料ポンプ取付部の近傍に、シリンダヘッドカバーを分割する凹部を設けることによって、高圧燃料ポンプ取付部を有する一方の側のシリンダヘッドカバーの放射面積を小さくすることができる。これにより、シリンダヘッドカバーの表面から放出される放射音を低減することができると共に、高圧燃料ポンプ取付部を有する一方の側のシリンダヘッドカバーから他方の側のシリンダヘッドカバーへの振動や音の伝達も抑制することができる。 【0021】また、凹部に沿って延在する剛性リブを設けることで、高圧燃料ポンプ取付部から伝達された振動や音が減衰させることができる。これによって、シリンダヘッドカバーを伝達する振動と、シリンダヘッドカバーから放射される放射音が低減され、エンジンの静粛性を向上させることができる。また、凹部の底面を構成する部分の板厚がシリンダヘッドカバーの一般板厚部より薄く形成されていることで、凹部によるシリンダヘッドカバーの分割効果を高め、従来のシリンダヘッドカバーと同等の効果を得つつ、シリンダヘッドカバーを一体で形成することが可能となる。そのため、部品点数及び組付工数を低減することができるので、コスト上有利であると共に、シール部及び取付部材等を必要としないためシール部の信頼性やシリンダヘッドカバーの強度の向上を図ることができる。さらに、凹部の底面によってシリンダヘッドカバーの内側に形成される形状が、剛性リブ及びシリンダヘッドカバーの一般板厚部によってシリンダヘッドカバーの内壁に形成される形状に対して段差を持つように形成することで、シリンダヘッドカバーの内側に形成される面が同一平面上にないように形成し、その面上を振動や音が伝達しないようにすることで、シリンダヘッドカバーの分割効果をさらに向上させることができる。これによって、エンジンの静粛性のさらなる向上を図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000011 【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月28日(2000.3.28) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−271707(P2001−271707A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月5日(2001.10.5) |
| 【出願番号】 |
特願2000−89395(P2000−89395) |
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