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【発明の名称】 内燃機関用シリンダブロック
【発明者】 【氏名】青木 孝俊

【氏名】菅原 吉博

【氏名】前川 浩一

【氏名】村上 修

【要約】 【課題】ディーゼルエンジン用のシリンダブロックを、それ自体の重量を左程増加させずに、爆発行程時にピストンとクランクシャフトとを連結するコンロッドに発生する長手方向分力に伴ったピストンのサイドフォースに起因した騒音が軽減されるように構成する。

【解決手段】爆発工程時に、ピストンとクランクシャフトとを連結するコンロッドの長手方向分力の発生に伴ってピストンに作用するサイドフォースの作用方向をスラスト側として、シリンダブロック1のシリンダ部11のスラスト側の側壁115に、シリンダ部内の気筒113のスラスト側への投影面にオーバーラップさせて外側に膨出する厚肉部117を形成する。厚肉部に、内燃機関のシリンダへッド側からのオイルをクランクケース部内に戻すオイル戻し孔118を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリンダ部とクランクケース部とから成る内燃機関用シリンダブロックにおいて、爆発行程時に、ピストンとクランクシャフトとを連結するコンロッドの長手方向分力の発生に伴ってピストンに作用するサイドフォースの作用方向をスラスト側として、シリンダ部のスラスト側の側壁に、シリンダ部内の気筒のスラスト側への投影面にオーバーラップさせて、外側に膨出する厚肉部を形成し、この厚肉部に、内燃機関のシリンダへッド側からのオイルをクランクケース部内に戻すオイル戻し孔を形成することを特徴とする内燃機関用シリンダブロック。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてディーゼルエンジンから成る内燃機関用シリンダーブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の内燃機関用シリンダブロックはシリンダ部とクランクケース部とから構成される。ここで、内燃機関では、爆発行程時、ピストンの頂部に爆発荷重が作用すると、ピストンとクランクシャフトとを連結するコンロッドの長手方向分力が発生し、それに伴ってビストンにそのストローク方向に対して直角なサイドフォースが作用する。そして、このサイドフォースにより気筒内壁面が弾性変形し、この変形に起因する振動がシリンダ部のサイドフォースの作用方向(以下、「スラスト側」という)の側壁に伝達され、該側壁外側面から振動音が放射されることによって騒音が発生する。
【0003】従来、この騒音を軽減するため、シリンダ部のスラスト側の側壁の肉厚を厚くすることが知られている(特開平8−28341号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例は、シリンダ部のスラスト側の側壁の剛性を高くして、爆発行程時に発生するピストンのサイドフォースに起因する気筒内壁の弾性変形を抑制するものであるが、このものでは、シリンダブロックの重量の増加を招く不具合がある。
【0005】そこで、本発明の課題は、重量の増加を最小限に押えつつ、騒音を大幅に軽減できるようにした内燃機関用シリンダブロックを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために、本発明は、シリンダ部とクランクケース部とから成る内燃機関用シリンダブロックにおいて、爆発工程時に、ピストンとクランクシャフトとを連結するコンロッドの長手方向分力の発生に伴ってピストンに作用するサイドフォースの作用方向をスラスト側として、シリンダ部のスラスト側の側壁に、シリンダ部内の気筒のスラスト側への投影面にオーバーラップさせて、外側に膨出する厚肉部を形成し、この厚肉部に、内燃機関のシリンダへッド側からのオイルをクランクケース部内に戻すオイル戻し孔を形成することを特徴とする。
【0007】本発明によれば、厚肉部によりシリンダ部のスラスト側の側壁の剛性が、気筒のスラスト側への投影面にオーバーラップする部分で高められるため、ピストンのサイドフォースによる気筒内壁の弾性変形が抑制される。また、気筒内壁の弾性変形に起因する振動がシリンダ部のスラスト側の側壁に伝達されても、厚肉部に形成したオイル戻し孔が中空の遮音空間として機能して、振動がオイル戻し孔で大きく減衰され、気筒内壁の弾性変形の抑制作用と相俟って、騒音が大幅に軽減される。さらに、厚肉部にオイル戻し孔から成る空洞を形成することで、シリンダブロックの重量の増加を最小限に押えることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は、内燃機関たるディーゼルエンジンを示している。このエンジンは、シリンダ部11とクランクケース部12とから成るシリンダブロック1と、シリンダ部11の上面に取付けたシリンダヘッド2と、該シリンダヘッド2の上面に取付けたヘッドカバー3と、クランクケース部12の下面に取付けたオイルパン(図示せず)とを備えている。
【0009】シリンダ部11には、タイミングベルトや補機類を配置するシリンダブロック1の一端のフランジ部111と、変速機を配置するシリンダブロック1の他端のフランジ部112との間に位置させて、フランジ部111側から順に#1と#2と#3と#4の4個の気筒113が形成され、更に、各気筒113を囲うようにウォータージャケット114が形成されている。また、各気113筒には、シリンダスリーブ113aが嵌着されている。
【0010】シリンダヘッド2には、各気筒113の中央に位置する燃料噴射弁(図示せず)と、各気筒113の気筒列方向一側に位置する2個の吸気弁21と、各気筒113の気筒列方向他側に位置する2個の排気弁(図示せず)とを設けている。また、シリンダヘッド2上には、吸排気弁を開閉するロッカアーム22aとカムシャフト22bとから成る動弁装置22が配置されている。
【0011】ここで、各気筒113に内挿したピストン4の頂部に爆発行程で爆発荷重Fが作用すると、クランクケース部12内に軸支するクランクシャフト5とピストン4とを連結するコンロッド6の長手方向分力F1の発生が発生し、これに伴いピストン4に、そのストローク方向に直角のサイドフォースF2が作用する。このサイドフォースF2の作用方向をスラスト側として、シリンダ部11のスラスト側の側壁115には、#2、#3、#4の3個の気筒113のスラスト側への投影面にオーバーラップさせて、外側に膨出する3個の厚肉部116が形成されている。そして、各厚肉部116には、シリンダへッド2に形成したオイル案内路23に連通するオイル戻し孔117が、クランクケース部12内に開口するように形成されている。かくて、動弁装置22の潤滑に使用されたオイルがオイル案内路23とオイル戻し孔117とを介してクランクケース部12の内に落下し、オイルパンに戻される。
【0012】上記構成によれば、厚肉部116によりシリンダ部11のスラスト側の側壁115の剛性が、#2、#3及び#4の気筒113のスラスト側への投影面にオーバーラップする部分で高められるため、各気筒113の内壁を構成するシリンダスリーブ113aのサイドフォースF2による弾性変形が抑制される。また、シリンダスリーブ113aの弾性変形に起因する振動がシリンダ部11のスラスト側の側壁115に伝達されても、厚肉部116に形成したオイル戻し孔117が中空の遮音空間として機能して、振動がオイル戻し孔117で大きく減衰され、シリンダスリーブ113aの弾性変形の抑制作用と相俟って、騒音が大幅に軽減される。さらに、厚肉部116にオイル戻し孔117から成る空洞を形成することで、シリンダブロック1の重量の増加を最小限に押えることができる。
【0013】ここで、本発明の実施形態では、主としてシリンダへッド2の動弁装置22に使用されたオイルをクランクケース部12内に効率良く戻すために、オイル戻し孔117が設けられる厚肉部116を3箇所としたが、気筒列方向両端に位置する#1及び#4の気筒113のスラスト側への投影面には、フランジ部111、112の補強用リブ111a、112aが設けられて、側壁115の剛性が高くなるため、#1及び#4の気筒113のシリンダスリーブ113aにサイドフォースF2が作用したとしても、これらのシリンダスリーブ113aは弾性変形しにくい。そのため、中央に位置する#2、#3の気筒113のスラスト側への投影面にオーバーラップする部分にのみ厚肉部116を形成し、この厚肉部116にオイル戻し孔117を設ければ、騒音は軽減できる。
【0014】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、シリンダブロックの重量の増加を最小限に押えつつ、騒音を大幅に軽減できる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【代理人】 【識別番号】100060025
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 欣一 (外3名)
【公開番号】 特開2001−227406(P2001−227406A)
【公開日】 平成13年8月24日(2001.8.24)
【出願番号】 特願2000−41102(P2000−41102)