トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 内燃機関用ピストンおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】高橋 秀夫

【要約】 【課題】ピストンの一層の軽量化が可能で、該ピストンの軽量化によってピストンの振動を抑制することにより、振動抑制のためのリブ等の補強対策を不要にしてエンジン全体の軽量化を図るとともに、エンジン回転数を上げることを可能ならしめてエンジンの高出力化を図ることができ、さらには騒音の低減をも図ることができる内燃機関用ピストンおよびその製造方法を提供する。

【解決手段】ピストンピン用孔部31およびピストンリング用溝部11のピストンストローク方向の両位置が、少なくとも一部で重複するように、外周側部材10と内周側部材30とを接合して、ピストン本体1を構成した。これにより、ピストン本体1の冠面32からピストンピン用孔部31までの距離Lが短くなり、ピストンはコンパクト化かつ軽量化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ピストンリング用溝部を有する外周側部材と該外周側部材の内側に位置されピストンピン用孔部を有する内周側部材とにより構成されるピストン本体を備えた内燃機関用ピストンであって、前記ピストンピン用孔部および前記ピストンリング用溝部のピストンストローク方向の両位置が少なくとも一部で重複するように、前記外周側部材と前記内周側部材とを接合したことを特徴とする内燃機関用ピストン。
【請求項2】 前記外周側部材は、前記内周側部材に対して強度の高い異なる材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ピストン。
【請求項3】 前記外周側部材と前記内周側部材との接触面は、少なくとも一部にテーパ面を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用ピストン。
【請求項4】 前記外周側部材は、内面に肉ぬすみ部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関用ピストン。
【請求項5】 ピストンリング用溝部を有する外周側部材と該外周側部材の内側に位置されピストンピン用孔部を有する内周側部材とにより構成されるピストン本体を備えた内燃機関用ピストンの製造方法であって、ピストンピン用孔部が設けられた前記内周側部材の内部に、連結用孔部が設けられたコンロッドを、前記ピストンピン用孔部と前記連結用孔部とが同軸になるように位置決めする位置決め工程と、位置決めされた前記ピストンピン用孔部と前記連結用孔部とにピストンピンを挿入するピストンピン挿入工程と、ピストンリング用溝部が設けられた外周側部材を、前記内周側部材の外側に嵌合させて接合する接合工程と、有することを特徴とする内燃機関用ピストンの製造方法。
【請求項6】 前記外周側部材は、前記内周側部材との接合前に、あらかじめ内面に肉ぬすみ部が形成されることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンのシリンダ内で往復動される内燃機関用ピストンおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンに使用される内燃機関用ピストン(以下、単にピストンという)は、エンジンの高出力化の傾向にともない、シリンダ内で往復動されるときの往復慣性力を低減するために、一層の軽量化が要求される。また、エンジンが高出力化されるとピストンに加えられる負荷も大きくなることから、ピストンは、所定の機械的強度を保持していなければならない。したがって、軽量でかつ十分な強度を満足させるために、ピストンの材料としては、例えば種々の元素を添加して強化されたアルミニウム合金が使用されている。
【0003】一方、ピストンに加えられる負荷は、ピストン全体で一様ではなく、例えばピストンの外周面部はシリンダの内壁面と高速で摺動するとともに、シリンダ内壁からの反力を直接受けるために、特に大きな強度が要求される。しかし、ピストンの外周面部等に合わせて強度の高い材料を全体に使用すれば、少ない材料で済み軽量化が図れると共にピストンの強度も十分保つことができる利点があるものの、材料費が余計にかさむ欠点がある。
【0004】これに対し、図8に示すように、それぞれ異質の材料で形成された外周側部材110と内周側部材130とを接合させると共に、外周側部材110に内周側部材130より強度の高い材料を使用したピストンが知られている(例えば特開平10−288086号公報参照)。なお、図8は、上記した従来のピストンを示す図であって、(A)はシリンダの燃焼室に露出する冠面132側から見た上面図、(B)は(A)のT−Tで示す断面図、(C)は(A)のU−Uで示す断面図である。
【0005】この従来のピストンは、特に大きな負荷がかかる外周側部材110に、内周側部材130と比較して強度の高い材料を使用しているので、ピストン本体101全体としては、少ない材料で必要な強度を確保することができ、しかも材料費の節減が可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来のピストンは、強度の異なる2種の材料からなる外周側部材110と内周側部材130とを接合してから、ピストン形状にプレス成形し、その後に、ピストンリング用溝部111や、ピストンピン用孔部131等の加工が行われる。ピストンピン用孔部131は、ピストン本体101を図示しないコンロッドに連結する際に使用される図示しないピストンピンを挿入するための孔であり、ピストンストローク方向(軸心方向)に直交する方向に、ピストン本体101の外側から穿設される。
【0007】したがって、ピストンピン用孔部131は、ピストンリング用溝部111との干渉を避ける必要があり、ピストン本体101におけるピストンリング用溝部111よりも冠面132と反対側、すなわち図8(B)(C)の下側の位置に加工しなければならない。このため、ピストン本体101の冠面132からピストンピン用孔部131までのストローク方向の距離Lを短くすることは、おのずと限界がある。このように、従来のピストンは、ストローク方向の寸法を所望通りに短縮できないため、多少の軽量化は図れても、コンパクト化を伴った大幅な軽量化を実現することができない、という問題があった。
【0008】また、上記従来のピストンは、ピストン本体101をピストン形状にプレス成形しているため、ピストン本体101の図中下側に位置するスカート部112の先端部の強度を確保した上で、ピストンの内側にプレス成形の型の抜き勾配をつけると、図中上方の部分の肉厚が厚くなって余分に重量が増加する、という欠点もあった。
【0009】本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ピストンの一層の軽量化が可能で、該ピストンの軽量化によってピストンの振動を抑制することにより、振動抑制のためのリブ等の補強対策を不要にしてエンジン全体の軽量化を図るとともに、エンジン回転数を上げることを可能ならしめてエンジンの高出力化を図ることができ、さらには騒音の低減をも図ることができる内燃機関用ピストンおよびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0011】(1) ピストンリング用溝部を有する外周側部材と該外周側部材の内側に位置されピストンピン用孔部を有する内周側部材とにより構成されるピストン本体を備えた内燃機関用ピストンであって、前記ピストンピン用孔部および前記ピストンリング用溝部のピストンストローク方向の両位置が少なくとも一部で重複するように、前記外周側部材と前記内周側部材とを接合したことを特徴とする内燃機関用ピストン。
【0012】(2) 前記外周側部材は、前記内周側部材に対して強度の高い異なる材料により形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の内燃機関用ピストン。
【0013】(3) 前記外周側部材と前記内周側部材との接触面は、少なくとも一部にテーパ面を含むことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の内燃機関用ピストン。
【0014】(4) 前記外周側部材は、内面に肉ぬすみ部が形成されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の内燃機関用ピストン。
【0015】(5) ピストンリング用溝部を有する外周側部材と該外周側部材の内側に位置されピストンピン用孔部を有する内周側部材とにより構成されるピストン本体を備えた内燃機関用ピストンの製造方法であって、ピストンピン用孔部が設けられた前記内周側部材の内部に、連結用孔部が設けられたコンロッドを、前記ピストンピン用孔部と前記連結用孔部とが同軸になるように位置決めする位置決め工程と、位置決めされた前記ピストンピン用孔部と前記連結用孔部とにピストンピンを挿入するピストンピン挿入工程と、ピストンリング用溝部が設けられた外周側部材を、前記内周側部材の外側に嵌合させて接合する接合工程と、有することを特徴とする内燃機関用ピストンの製造方法。
【0016】(6) 前記外周側部材は、前記内周側部材との接合前に、あらかじめ内面に肉ぬすみ部が形成されることを特徴とする上記(5)に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、請求項毎に次のような効果を奏する。
【0018】請求項1,5に記載の発明によれば、燃焼室に露出する冠面からピストンピン用孔部までのピストンストローク方向の距離を、従来に比べて格段に短くすることができる。したがって、ピストンは、ストローク方向の全長(全高)が短縮されてコンパクト化されるとともに、大幅な軽量化を達成することができる。そして、ピストンの軽量化によってピストンの振動を抑制することができることから、振動抑制のためのシリンダブロックのリブやクランクジャーナルの軸受の剛性強化等の補強対策を不要にしてエンジン全体の軽量化を図ることができるとともに、エンジン回転数を上げることが可能となるので仕事量を増大させてエンジンの高出力化を図ることができ、さらには騒音の低減をも図ることができる、また、エンジンのシリンダブロックの全高を縮小することも可能となり、エンジン全体の一層の軽量化が図られる。
【0019】請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果に加え、大きな負荷のかかる外周側部材を重点的に、ピストン全体を効率的に強化することができ、材料費を低減することができる。また、少ない材料で強度を確保することができるので、薄肉化が可能となり、より軽量化を図ることができる。
【0020】請求項3に記載の発明によれば、上記請求項1または2に記載の発明の効果に加え、外周側部材と内側部材とがテーパ面で当接するまで押し込むことが可能となるので、両者の密着状態が良好になり、両者の接合強度が増大する。また、テーパ面の加工精度が確保されれば、外周側部材と内周側部材とをテーパ面で当接させるだけで、両者のピストンストローク方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0021】請求項4,6に記載の発明によれば、それぞれ上記請求項1〜3,5に記載の発明の効果に加え、必要な強度を確保しつつ余分な駄肉を削除することができるので、さらなる軽量化を図ることができる。また、空気との接触面積が増加するので、放熱効果が良くなり、ピストンの温度上昇を抑制することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0023】図1は、本発明の一実施形態に係るピストンを示す図であって、(A)はシリンダの燃焼室に露出する冠面32側から見た上面図、(B)は(A)のP−Pで示す断面図、(C)は(A)のQ−Qで示す断面図である。
【0024】本実施形態のピストンは、例えば図示しない自動車エンジンのシリンダ内に収容され、該シリンダ内で往復動されるピストンである。
【0025】図1に示すように、ピストンは、外周側部材10と該外周側部材10の内側に位置される内周側部材30とにより構成されるピストン本体1を備えている。
【0026】外周側部材10は、略円筒形状を呈しており、図示しないシリンダ内の燃焼室に露出する冠面32に近接する外周面に、ピストンリング用溝部11が形成されている。ピストンリング用溝部11は複数の環状溝を備えており、当該溝内に図示しない複数のピストンリングがそれぞれ嵌着される。ピストンリングは、ピストンとシリンダ内壁との気密を保持する。外周側部材10はまた、冠面32と反対側、すなわち図1(C)の下方の端部に、スカート部12を有している。このスカート部12により、ピストンとシリンダ内壁との接触面積が増し、ピストンの往復動が安定化される。
【0027】内周側部材30は、略円板状を呈している。また、内周側部材30は、冠面32の反対側に、相互に対向する一対のボス部33,33を有しており、両ボス部33,33の間には、コンロッド50の連結部51が嵌挿される凹部34が形成されている。コンロッド50の連結部51には、連結用孔部52が設けられている。
【0028】そして、内周側部材30には、一対のボス部33,33を貫通して、ピストンストローク方向(軸心方向)に直交する方向にピストンピン用孔部31が形成されている。コンロッド50は、ピストンピン71をピストンピン用孔部31および連結用孔部52に挿入することにより、ピストン本体1の内周側部材30に連結される。
【0029】外周側部材10および内周側部材30の材料としては、軽量でかつ十分な強度を確保するために、種々の元素を添加し、必要に応じて熱処理等により強化されたアルミニウム合金を使用するのが好ましい。
【0030】本実施形態では、外周側部材10は、内周側部材30に対して強度の高い異なる材料により形成されている。ここで強度とは、本実施形態では引張強度をいう。但し、特許請求の範囲に記載の本発明では、強度は、引張強度に限定されるものではなく、例えば疲労強度、耐磨耗性、耐熱性等をも含むものである。
【0031】具体的には、例えば、外周側部材10にAC8A(Al−Si−Cu−Ni−Mg系アルミニウム合金鋳物)、内周側部材30にAC4B(Al−Si−Cu系アルミニウム合金鋳物)が使用される。なお上記材料記号は、JIS H 5202による(以下の材料も同様)。この場合、外周側部材10は、例えば引張強度270MPa程度、内周側部材30は、例えば引張強度240MPa程度に、熱処理等により調整することができる。但し、上記材料に限定されるものではなく、種々の材料を使用することができ、例えば、外周側部材10にAC2A(Al−Cu−Si系アルミニウム合金鋳物)、内周側部材30にAC4B(Al−Si−Cu系アルミニウム合金鋳物)を使用してもよい。この場合も、外周側部材10は、例えば引張強度270MPa程度、内周側部材30は、例えば引張強度240MPa程度に、熱処理等により調整することができる。
【0032】このように外周側部材10の材料を、内周側部材30の材料より高い強度の材料とすれば、大きな負荷のかかる外周側部材10を重点的に、ピストン全体を効率的に強化することができ、材料費も低減される。また、少ない材料で強度を確保することができるので、例えばスカート部12の薄肉化が可能となり、より軽量化が図られる。
【0033】外周側部材10と内周側部材30とは、内周側部材30にコンロッド50を連結させた状態で、両者を嵌合(圧入を含む)させた後、例えばレーザ溶接を施すことにより、一体的に接合される。なお、両者を接合してからプレス成形することがないので、図8に示すような抜き勾配の関係で不要に厚い肉厚となる部分が生じることが回避される。
【0034】レーザ溶接によれば、熱歪みを抑制しながら高精度に、外周側部材10および内周側部材30を接合することができる。また、両者が相互に接触する接触面の大きさに応じてレーザ出力を電流制御することにより、溶け込み深さも調整することができ、接触面の円周方向全域で確実な接合を行うことが可能である。
【0035】なお、外周側部材10および内周側部材30の両者の接合は、レーザ溶接に限られるものではなく、例えばプラズマ溶接により行うこともできる。さらには、両者の接合は、接触面にねじ部を形成して両者を螺合することにより行ってもよい。ねじ接合によれば、両者の接合時に熱を加えることがないので、熱変形の影響を全く考慮しなくてもよいという利点がある。
【0036】本実施形態では特に、図1(B)(C)に示すように、ピストン本体1は、ピストンピン用孔部31およびピストンリング用溝部11のピストンストローク方向、つまり軸心方向の両位置が少なくとも一部で重複するように、外周側部材10と内周側部材30とが接合されて構成されている。つまり、ピストンピン用孔部31の半径方向外方に、ピストンリング用溝部11の少なくとも一部が位置されることになる。したがって、ピストン本体1の冠面32からピストンピン用孔部131までのストローク方向の距離Lは、図1と図8とを比較すればわかるように、従来より格段に短くなっている。
【0037】次に、このように構成されるピストンの製造方法について、説明する。
【0038】図2は、内周側部材の加工前の斜視図、図3は、内周側部材の加工後の斜視図、図4は、内周側部材にコンロッドを連結した状態を示す斜視図、図5は、外周部材と内周側部材とを接合した状態を示す斜視図である。
【0039】図2に示すように、内周側部材30は、鋳造により、まず粗材が形成される。次いで、図3に示すように、内周側部材30は、外周面34が加工されるとともに、一対のボス部33,33を貫通して、ピストンピン用孔部31がドリル等により穿設される。
【0040】なお、内周側部材30は、鋳造に限られるものではなく、例えば焼結により形成することも可能である。この場合、ピストンピン用孔部31は、粗材の形成時に同時に形成される。また、棒材や板材に削り加工を施すことによって、内周側部材30を形成することも可能である。
【0041】そして、内周側部材30の内部に形成される凹部34に、連結用孔部52が設けられたコンロッド50の連結部51が嵌挿される。このとき、ピストンピン用孔部31と連結用孔部52とは、両者の軸心が一致して連通するように、図示しない治具等により位置決めされる。
【0042】次いで、図4に示すように、位置決めされ軸心が一致しているピストンピン用孔部31と連結用孔部52とに、ピストンピン71を挿入することにより、内周側部材30にコンロッド50が連結される。このとき、ピストンピン71は、連結用孔部52には圧入され、ピストンピン用孔部31には遊嵌される。これにより、ピストンピン71は、脱落することなく、位置決め固定される。但し、圧入する代わりに、ねじ部材を用いてピストンピン71と連結部51とを固定することも可能である。さらには、ピストンピン71は、連結用孔部52には遊嵌され、ピストンピン用孔部31には固定されるように構成することも可能である。
【0043】最後に、図5に示すように、あらかじめピストンリング用溝部11が設けられた外周側部材10が、内周側部材30の外側に嵌合させられ、例えばレーザ溶接等により、両者の接合が行われる。このようにして、コンロッド付きのピストンの製造が完了する。
【0044】このように本実施形態によれば、ピストンピン用孔部31およびピストンリング用溝部11の軸心方向の両位置が少なくとも一部で重複するように、外周側部材10と内周側部材30とを接合してピストン本体1を構成したので、ピストン本体1の冠面32からピストンピン用孔部131までのストローク方向の距離Lを、従来に比べて格段に短くすることができる。
【0045】したがって、ピストンは、ストローク方向の全長(全高)が短縮されてコンパクト化されるとともに、大幅な軽量化を図ることができる。そして、ピストンの軽量化によってピストンの振動を抑制することができることから、振動抑制のためのシリンダブロックのリブやクランクジャーナルの軸受の剛性強化等の補強対策を不要にしてエンジン全体の軽量化を図ることができるとともに、エンジン回転数を上げることが可能となるので仕事量を増大させてエンジンの高出力化を図ることができ、さらには騒音の低減をも図ることができる、また、エンジンのシリンダブロックの全高を縮小することも可能となり、エンジン全体の一層の軽量化が図られる。
【0046】図6は、本発明の他の実施形態に係るピストンの外周側部材と内周側部材との接合部を示す部分拡大断面図である。
【0047】図6に示すように、この実施形態のピストンは、外周側部材10aと内周側部材30aとの接触面が、テーパ面13,35を含む点で、図1に示したピストンと相違している。なお、テーパ面は、外周側部材10aと内周側部材30aとの接触面の少なくとも一部に形成されていればよい。
【0048】この実施形態によれば、内周側部材30aのテーパ面35が、外周側部材10aのテーパ面13に当接するまで押し込むことが可能となるので、両者の密着状態が良好になり、レーザ溶接等により両者を接合した場合の接合強度の増大が図られる。また、テーパ面13,35の加工精度が確保されれば、外周側部材10aと内周側部材30aとをテーパ面13,35で当接させるだけで、両者の軸心方向の位置決めを容易に行うことができる利点がある。
【0049】図7は、本発明のさらに他の実施形態に係るピストンを示す図であって、(A)はシリンダの燃焼室に露出する冠面32側から見た上面図、(B)は(A)のR−Rで示す断面図、(C)は(A)のS−Sで示す断面図である。
【0050】図7に示すように、この実施形態のピストンは、外周側部材10bの内面に、肉ぬすみ部14が形成されている点で、図1に示したピストンと相違している。但し、図1に示したピストンとの共通点については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0051】肉ぬすみ部14は、外周側部材10bと内周側部材30bとを接合する前に、あらかじめ、外周側部材10bの内面に形成しておく。この肉ぬすみ部14は、外周側部材10bの内面の、内周側部材30bとの接合部を除く任意の箇所に、図7に示すようなリブ形状ないしフィン形状を呈するように形成することができる。
【0052】また、肉ぬすみ部14は、内周側部材30bに、図7に示すような複数の環状溝を内面加工することにより形成されるが、本発明の肉ぬすみ部は、環状溝に限られるものではなく、例えば、穴スプラインのように軸方向に沿う溝を外周側部材10b内面の円周方向に複数形成することも可能である。肉ぬすみ部14は、機械加工または鋳造により形成することができる。
【0053】この実施形態によれば、肉ぬすみ部を形成することにより、必要な強度を確保しつつ余分な駄肉を削除することができるので、さらなる軽量化を図ることができる。また、空気との接触面積が増加するので、放熱効果が良くなり、ピストンの温度上昇を抑制することができる。
【0054】なお、以上説明した実施形態は、本発明を限定するために記載されたものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成12年2月1日(2000.2.1)
【代理人】 【識別番号】100072349
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 幹雄 (外4名)
【公開番号】 特開2001−214806(P2001−214806A)
【公開日】 平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願番号】 特願2000−24188(P2000−24188)