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【発明の名称】 エンジン
【発明者】 【氏名】片岡 洋一

【氏名】森 俊一

【氏名】川北 憲一

【要約】 【課題】吸気ポートからエンジンの燃焼室に吸入された空気のタンブルを燃料の噴射範囲に一致させて燃焼効率を改善することができるエンジンを提供すること。

【解決手段】シリンダヘッド13には吸気室3と排気室4が設けられ、それぞれ吸気ポート7と排気ポート8が接続され、またそれぞれ吸気弁5と排気弁6が設けられる。吸気室3に通じる吸気ポート7の下端部の下面に拡開部11を形成した。したがってピストン2が下降して吸気弁5が開くと、吸気室3からシリンダ1内に空気が吸い込まれるが、空気はシリンダ1の中央N.Aにより近い位置に吸入されて中央N.A付近にタンブルAを生じるので、インジェクタ9から噴射された燃料と十分に混合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリンダと、シリンダの内部に収納されたピストンと、シリンダ内の燃焼室に空気を送り込む吸気ポートと、燃焼室内の排ガスを排出する排気ポートと、燃焼室に燃料を噴射するインジェクタと、燃焼室内のガスを点火する点火栓とを備え、かつ前記吸気ポートが前記シリンダの上面の一側部に設けられた吸気弁上の吸気室に他側部へ向って下り勾配で傾斜して連設されたエンジンにおいて、前記吸気ポートの下端部の底面に拡開部を形成したことを特徴とするエンジン。
【請求項2】 前記吸気室の上面を前記吸気ポートの上面に連接して下り勾配で傾斜させたことを特徴とする請求項1記載のエンジン。
【請求項3】 シリンダと、シリンダの内部に収納されたピストンと、シリンダ内の燃焼室に空気を送り込む吸気ポートと、燃焼室内の排ガスを排出する排気ポートと、燃焼室に燃料を噴射するインジェクタと、燃焼室内のガスを点火する点火栓とを備え、かつ前記吸気ポートが前記シリンダの上面の一側部に設けられた吸気弁上の吸気室に他側部へ向って下り勾配で傾斜して連設されたエンジンにおいて、前記吸気室の上面を前記吸気ポートの上面に連接して下り勾配で傾斜させたことを特徴とするエンジン。
【請求項4】 前記吸気ポートの下端部の底面に拡開部を形成したことを特徴とする請求項3記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸気ポートからシリンダの燃焼室に送り込まれた空気のタンブルを改善するエンジンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は従来のエンジンの側面図、図8は同平面図、図9は同吸気弁からシリンダの燃焼室内に吸入された空気の拡がり状態を示す平面図(シリンダヘッド下面)である。
【0003】図7において、1はシリンダであり、その内部にピストン2が収納されている。シリンダヘッド13には吸気室3と排気室4が並設されている(図8も参照)。吸気室3と排気室4の上面はドーム状に形成されている。吸気室3には吸気弁5が設けられており、また排気室4には排気弁6が設けられている。吸気弁5と排気弁6は上下動し、弁孔を開閉する。
【0004】吸気室3及び吸気ポート7はシリンダヘッド13内に連設されている。吸気ポート7は図7において左方へ向って下り勾配で傾斜している。また排気室4には排気ポート8が連設されている。排気室4は図7において右方へ向って下り勾配で傾斜している。
【0005】図8において、シリンダヘッド13にはインジェクタ9と点火栓10が設けられている。インジェクタ9はシリンダ1内の燃焼室へガソリンなどの燃料を噴射する。ピストン2が下降して吸気弁5が開くと、吸気ポート7から燃焼室に空気が吸入され、またインジェクタ9から燃料が噴射され、空気と燃料の混合ガスに点火栓10で点火され、混合ガスは爆発し、エンジンは駆動する。またピストン2が上昇して排気弁6は開き、燃焼室内の排ガスは排気ポート8から排出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図7において、矢印A’、A”は、ピストン2が下降して吸気ポート7から燃焼室に吸入された空気の流れを示している。この空気の流れはタンブル(タテ方向の渦)と称されている。図9の矢印a’は燃焼室内のタンブルの平面方向への拡散の状態を示している。また図8および図9において、θはインジェクタ9から燃焼室内へ噴射された燃料の噴射範囲を示している。
【0007】図7において、従来のエンジンの空気の流れ(矢印A’、A”)ではタンブルを形成しにくい。これは、図9において矢印a’、a”で示すように、空気は平面視して全方向へ略均一に拡散するためである。このように従来のエンジンでは、タンブルは形成されにくく、形成されてもその強さが不足し、空気と燃料は必ずしも十分に混合せず、それだけ燃焼効率が悪いものであった。
【0008】したがって本発明は、タンブルを形成しやすく、且つその強さも増大させて燃焼効率を向上させることができるエンジンを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、シリンダと、シリンダの内部に収納されたピストンと、シリンダ内の燃焼室に空気を送り込む吸気ポートと、燃焼室内の排ガスを排出する排気ポートと、燃焼室に燃料を噴射するインジェクタと、燃焼室内のガスを点火する点火栓とを備え、かつ前記吸気ポートが前記シリンダの上面の一側部に設けられた吸気弁上の吸気室に他側部へ向って下り勾配で傾斜して連設されたエンジンにおいて、前記吸気ポートの下端部の底面に拡開部を形成した。
【0010】請求項1の発明において、吸気弁が開くと、吸気ポートからシリンダ内の燃焼室へ空気が吸入されるが、燃焼室内に吸入される空気の勢いは、拡開部により減殺される。したがって空気は拡開部の反対側へ相対的に勢いよく吸入されることとなり、したがってタンブルは燃焼室の中央付近に生じることとなる。よってタンブルの位置はインジェクタから噴射された燃料の噴射範囲と合致することとなり、空気と燃料は十分に混合される。そこで混合ガスは点火栓で点火されて爆発する。
【0011】請求項2の発明は、前記吸気室の上面を前記吸気ポートの上面に連接して下り勾配で傾斜させた。
【0012】請求項2の発明において、吸気弁が開くと、吸気ポートから燃焼室へ空気が吸入されるが、吸気室の上面は吸気ポートの上面に連接して下り勾配となっているので、空気は燃焼室の中央付近へ勢いよく吸入される。したがって強力なタンブルが形成されて、インジェクタから噴射された燃料と十分に混合される。
【0013】請求項3の発明は、シリンダと、シリンダの内部に収納されたピストンと、シリンダ内の燃焼室に空気を送り込む吸気ポートと、燃焼室内の排ガスを排出する排気ポートと、燃焼室に燃料を噴射するインジェクタと、燃焼室内のガスを点火する点火栓とを備え、かつ前記吸気ポートが前記シリンダの上面の一側部に設けられた吸気弁上の吸気室に他側部へ向って下り勾配で傾斜して連設されたエンジンにおいて、前記吸気室の上面を前記吸気ポートの上面に連接して下り勾配で傾斜させた。
【0014】請求項3の発明において、吸気弁が開くと、吸気ポートから燃焼室へ空気が吸入されるが、吸気室の上面は吸気ポートの上面に連接して下り勾配となっているので、空気は燃焼室の中央付近へ勢いよく吸入される。したがってタンブルは十分な強さを保持し、インジェクタから噴射された燃料と十分に混合される。
【0015】請求項4の発明は、前記吸気ポートの下端部の底面に拡開部を形成した。
【0016】請求項4の発明において、燃焼室内に吸入される空気の勢いは、拡開部によりシリンダ側よりシリンダ中央側へ流入する量が多くなり、タンブルが強化され、空気と燃料は十分に混合される。
【0017】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)図1および図2は本発明の実施の形態1におけるエンジンの側面図、図3は同平面図、図4は同吸気ポートの下端部の平断面図(図1のE−E断面図)、図5は同吸気弁からシリンダの燃焼室内に吸入された空気の拡がり状態を示すシリンダヘッド下面の平面図である。なお図7、図8に示す従来例と同一要素には同一符号を付している。
【0018】図1において、1はシリンダであり、その内部にピストン2が収納されている。シリンダヘッド13には吸気室3と排気室4が並設されている(図3も参照)。吸気室3と排気室4の上面はドーム状に形成されている。吸気室3内には吸気弁5が設けられており、また排気室4内には排気弁6が設けられている。吸気弁5と排気弁6は、上下動して弁孔を開閉する。
【0019】吸気室3及び吸気ポート7はシリンダヘッド13内に連設されている。吸気ポート7は図1において左方へ向って下り勾配で傾斜している。また排気室4には排気ポート8が連設されている。排気室4は図1において右方へ向って下り勾配で傾斜している。
【0020】図2および図3において、シリンダヘッド13にはインジェクタ9と点火栓10が設けられている。インジェクタ9はシリンダ1内の燃焼室へガソリンなどの燃料を噴射する。ピストン2が下降して吸気弁5が開くと、吸気ポート7から燃焼室に空気が吸入され、またインジェクタ9から燃料が噴射され、空気と燃料の混合ガスに点火栓10で点火され、混合ガスは爆発し、エンジンは駆動する。またピストン2が上昇して排気弁6は開き、燃焼室内の排ガスは排気ポート8から排出される。
【0021】図1および図4において、吸気ポート7の下端部の底面には拡開部11が形成されており、これにより吸気ポート7の下端部の底面側の断面積を拡げている。
【0022】ピストン2が下降し、吸気弁5が開くと、吸気ポート7からシリンダ1の燃焼室に空気が吸入される。図1において、Aはそのタンブルであり、図5において矢印aはタンブルAとなる空気の平面的な拡がりを示している。拡開部11を形成したことにより、タンブルAは、図5において矢印aで示すように、シリンダ1の他側部側(図1において左側)へより強く吹き出し、一側部側(図1において右側)へは比較的弱く吹き出す。
【0023】したがってタンブルAは図1において燃焼室の中央N.A付近に生じることとなり、上記従来のものよりも、インジェクタ9から噴射された燃料の噴射範囲θとより一致する。したがって燃料と空気は十分に混合され、点火栓10で点火すると効率よく爆発する。以上のように吸気ポート7の下端部の底面に拡開部11を形成するという簡単な手段により、エンジンの燃焼効率を改善できる。
【0024】(実施の形態2)図6は、本発明の実施の形態2におけるエンジンの側面図である。本形態2では、吸気室3の上面12を吸気ポート7の上面に連接して下り勾配で(望ましくは、吸気ポート7の上面と同一勾配で)傾斜させている。他の構成は実施の形態1と同じである。
【0025】吸気室3の上面12を上記のように傾斜させたことにより、実施の形態1と同様の作用効果が得られる。すなわち、ピストン2が下降し、吸気弁5が開くと、吸気ポート7からシリンダ1の燃焼室に空気が吸入される。Aはそのタンブルである。空気は吸気室3の上面12に沿ってシリンダ1の他側部側へ勢いよく吹き出すので、図1および図5に示す実施の形態1の場合と同様に、タンブルAは燃焼室の略中央に生じることとなり、インジェクタ9から噴射された燃料の噴射範囲Bとより一致する。したがって燃料と空気は十分に混合され、点火栓10で点火すると効率よく爆発する。以上のように吸気室3の上面12を傾斜させるという簡単な手段により、エンジンの燃焼効率を改善できる。
【0026】なお、実施の形態2の吸気ポート7には上記拡開部11は形成しなくてもよいが、図示するように、実施の形態1と同様の拡開部11を形成すれば、より一層タンブルを燃焼室の中央付近で生じさせて燃焼効率を向上させることができる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、タンブルを燃焼室の中央付近に生じさせ、インジェクタから噴射された燃料の噴射範囲とより一致させることができるので、燃料と空気を十分に混合させて燃焼効率を向上させることができるものであり、殊に小型エンジンにとってはきわめて有用である。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成11年8月30日(1999.8.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−65405(P2001−65405A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−242443