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【発明の名称】 内燃機関の排気還流装置
【発明者】 【氏名】小林 信裕

【氏名】小林 茂己

【氏名】松本 貴晃

【氏名】貝瀬 望

【要約】 【課題】排気通路内の排圧と吸気通路内の負圧との差圧を増大させることで、EGR率の向上を通して、NOx排出量を低減する。

【解決手段】コンプレッサ16下流側の吸気通路12とタービン18上流の排気通路14とを連通するEGR通路26を開閉するEGRバルブ28と、コンプレッサ16の下流側と上流側とを連通する連通路34を開閉するブーストリターンバルブ36と、機関運転状態を検出する負荷センサ46及び回転速度センサ48と、検出された機関運転状態がEGR領域にあるとき、EGRバルブ28によりEGR通路26を開くと共に、ブーストリターンバルブ36により連通路34を開く制御をソフトウエア的に行なうコントロールユニット30と、を含んで内燃機関の排気還流装置を構成する。そして、EGRを行なう際に、コンプレッサ16下流側の吸気をその上流側に戻すことで、吸気通路12内の負圧を低下させて差圧を増大させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】排気通路にタービンが介装されると共に、吸気通路にコンプレッサが介装されるターボチャージャを搭載した内燃機関の排気還流装置であって、前記タービン上流側の排気通路とコンプレッサ下流側の吸気通路とを連通する排気還流通路を開閉する通路開閉手段と、前記コンプレッサ下流側の吸気通路に形成された開口部を開閉する開口部開閉手段と、機関運転状態を検出する運転状態検出手段と、該運転状態検出手段により検出された機関運転状態に基づいて、排気還流を行なうか否かを判定する判定手段と、該判定手段により排気還流を行なうと判定されたときに、前記通路開閉手段により排気還流通路を開くと共に、前記開口部開閉手段により吸気通路に形成された開口部を開く制御を行なう制御手段と、を含んで構成されたことを特徴とする内燃機関の排気還流装置。
【請求項2】前記開口部を介して取り出された吸気をコンプレッサ上流側の吸気通路に戻す吸気戻し通路が形成されたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気還流装置。
【請求項3】前記制御手段は、前記運転状態検出手段により検出された機関運転状態に基づいて、前記開口部開閉手段により吸気通路に形成された開口部の開度を多段階に制御する構成であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の排気還流装置。
【請求項4】前記開口部開閉手段は、シャッタ,バタフライ弁又はポペット弁の少なくとも1つから構成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の内燃機関の排気還流装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の排気還流(以下「EGR」という)装置に関し、特に、窒素酸化物(以下「NOx」という)の排出量を低減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、内燃機関の排気の一部を吸気系に戻し、これを一種の不活性気体として燃焼温度を下げることで、NOxの低減を図るEGR装置が広く採用されている。
【0003】また、近年の車両の軽量化,燃費向上及び性能向上の要請から、過給機の一種であるターボチャージャを搭載した内燃機関も多く見られるようになってきている。特に、ディーゼル機関は、ガソリン機関に比べて燃費が良い反面、機関出力が低く、高速回転にも弱いため、これらの欠点をカバーするには、ターボチャージャの搭載によって得られる高トルクを利用することが非常に有益である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、EGR装置は、排気通路内の排圧と吸気通路内の負圧との差圧を利用して、排気の一部を吸気系に還流する構成であるため、ターボチャージャを搭載した内燃機関では、次のような問題点を抱えていた。即ち、ターボチャージャの効率が高い場合には、吸気通路に介装されたコンプレッサの出口圧力(負圧)が、排気通路に介装されたタービンの入口圧力(排圧)より高くなってしまい、差圧により排気の一部を吸気系に還流することができなくなってしまう。このため、例えば、特開平10−266866号号に開示されるように、ターボチャージャのコンプレッサ下流側に吸気絞り弁を設け、低負荷運転時にEGRを行なうときに、吸気絞り弁を閉じることで、吸気通路内の負圧を上昇(即ち、吸気圧力を低下)させ、EGR率を向上させる技術が提案されている。
【0005】しかしながら、かかる従来技術においては、吸気絞り弁により差圧を増大させることはできるが、機関運転状態によっては吸気絞り弁の開度が極めて小さくなり、機関出力低下及び排気性状低下等の性能上の問題が発生してしまうおそれがあった。また、コンプレッサ出口圧力とタービン入口圧力との差圧を十分に確保できる運転領域が狭いため、排気中のNOxを現状以上に低減させることは、極めて困難でもあった。
【0006】そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、排気通路内の排圧と吸気通路内の負圧との差圧を増大させることで、EGR率の向上を通して、NOx排出量の低減を図った内燃機関の排気還流装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載の発明では、排気通路にタービンが介装されると共に、吸気通路にコンプレッサが介装されるターボチャージャを搭載した内燃機関の排気還流装置であって、前記タービン上流側の排気通路とコンプレッサ下流側の吸気通路とを連通する排気還流通路を開閉する通路開閉手段と、前記コンプレッサ下流側の吸気通路に形成された開口部を開閉する開口部開閉手段と、機関運転状態を検出する運転状態検出手段と、該運転状態検出手段により検出された機関運転状態に基づいて、排気還流を行なうか否かを判定する判定手段と、該判定手段により排気還流を行なうと判定されたときに、前記通路開閉手段により排気還流通路を開くと共に、前記開口部開閉手段により吸気通路に形成された開口部を開く制御を行なう制御手段と、を含んで構成されたことを特徴とする。
【0008】かかる構成によれば、機関運転状態に基づいて排気還流を行なうか否かが判定され、排気還流を行なうと判定されると、タービン上流側の排気通路とコンプレッサ下流側の吸気通路とを連通する排気還流通路が開かれると共に、コンプレッサ下流側の吸気通路に形成された開口部が開かれる。そして、開口部が開かれると、コンプレッサ下流側の吸気が大気中に放出されて吸気通路内の負圧が低下する一方、排気通路内の排圧はさほど低下しないため、排気通路内の排圧と吸気通路内の負圧との差圧が増大する。このため、多量の排気が排気還流通路を介して吸気通路に還流され、排気還流効率の向上を通して、NOx排出量が低減する。
【0009】請求項2記載の発明では、前記開口部を介して取り出された吸気をコンプレッサ上流側の吸気通路に戻す吸気戻し通路が形成されたことを特徴とする。かかる構成によれば、吸気通路に形成された開口部から取り出された吸気は、吸気戻し通路を介してコンプレッサ上流側の吸気通路に戻されるので、コンプレッサにより圧縮された吸気が再利用されることとなる。このため、ターボチャージャの効率が低下することが防止され、機関出力低下が抑制される。また、低負荷領域での燃費改善効果が得られ、他の領域においても燃費低下が抑制される。
【0010】請求項3記載の発明では、前記制御手段は、前記運転状態検出手段により検出された機関運転状態に基づいて、前記開口部開閉手段により吸気通路に形成された開口部の開度を多段階に制御する構成であることを特徴とする。
【0011】かかる構成によれば、吸気通路に形成された開口部の開度は、機関運転状態に基づいて多段階に制御されるので、排気通路内の排圧と吸気通路内の負圧との差圧を機関運転状態に応じて適切に制御でき、機関運転性及び排気性状の低下を防止しつつ、排気還流が効果的に行なわれるようになる。
【0012】請求項4記載の発明では、前記開口部開閉手段は、シャッタ,バタフライ弁又はポペット弁の少なくとも1つから構成されることを特徴とする。かかる構成によれば、開口部開閉手段は、一般的なシャッタ,バタフライ弁及びポペット弁の少なくとも1つから構成されるので、信頼性及び耐久性を確保しつつ、コスト上昇が極力抑制されることとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、添付された図面を参照して本発明を詳述する。図1は、本発明に係るEGR装置を備えたディーゼル機関の全体構成を示す。
【0014】ディーゼル機関10の吸気通路12及び排気通路14には、夫々、ターボチャージャを構成するコンプレッサ16及びタービン18が介装される。タービン18は、排気通路14を流通する排気エネルギーを吸収し、シャフト20を介して一体的に連結されるコンプレッサ16を駆動する。そして、エアクリーナ22により埃等の不純物が除去された吸気は、吸気通路12に介装されたコンプレッサ16により圧縮されて過給状態となり、ディーゼル機関10の燃焼室に導入される。このとき、コンプレッサ16により圧縮された吸気は、断熱圧縮によりその吸気温度が上昇して充填効率が低下するため、圧縮後の吸気温度を低下させる目的で、コンプレッサ16下流側の吸気通路12にインタークーラ24が介装される。
【0015】また、タービン18上流側の排気通路14とインタークーラ24下流側の吸気通路12(即ち、コンプレッサ16下流側の吸気通路12)とは、EGR通路26を介して連通される。EGR通路26には、EGR量を制御すべく、EGR通路26を開閉するEGRバルブ28が介装される。EGRバルブ28は、マイクロコンピュータを内蔵したコントロールユニット30により駆動制御されるEGR制御ソレノイドバルブ32を介して、図示しないエアリザーバタンクから供給されるエアにより開閉駆動される。即ち、EGR制御ソレノイドバルブ32がONになると、エアリザーバタンクからEGRバルブ28にエアが供給され、EGR通路26が開き、EGRが行なわれる。一方、EGR制御ソレノイドバルブ32がOFFになると、エアリザーバタンクからEGRバルブ28に供給されるエアが遮断され、EGR通路26が閉じ、EGRが中止される。なお、EGRバルブ28及びEGR制御ソレノイドバルブ32により、通路開閉手段が構成される。
【0016】さらに、吸気通路12に介装されたコンプレッサ16の上流側と下流側とは、吸気戻し通路としての連通路34を介して連通される。連通路34には、少なくとも、その開度を全開と全閉とに切り替えるブーストリターンバルブ36が介装される。ブーストリターンバルブ36は、コントロールユニット30により制御されるアクチュエータ38を介して、その開度が制御される。なお、ブーストリターンバルブ36及びアクチュエータ38により、開口部開閉手段が構成される。
【0017】ブーストリターンバルブ36としては、種々の構成が採用可能であるため、以下にその具体的構成をいくつか例示する。なお、ブーストリターンバルブ36は、以下の構成に限定されるものではない。
【0018】図2に示す第1実施例では、コンプレッサ16下流側を臨む連通路30端部に、吸気通路12の周壁に形成された開口部(図示せず)を開閉するシャッタ40が介装される。シャッタ40は、少なくとも、その開度が全開と全閉、望ましくは、全開と全閉との間を多段階に制御可能なように、アクチュエータ38により駆動制御される。また、図3に示す第2実施例のように、シャッタ40に代えて、連通路30の中間にバタフライ弁42を介装し、第1実施例と同様に、アクチュエータ38により駆動制御するようにしてもよい。
【0019】さらに、第1実施例におけるシャッタ40を全開と全閉とに制御する場合には、図4に示す第3実施例のように、シャッタ40に加えて、連通路30の中間にバタフライ弁42を介装するようにしてもよい。この場合には、シャッタ40は、アクチュエータ38aにより全開又は全閉に駆動制御される一方、バタフライ弁42は、アクチュエータ38bにより全開と全閉との間で多段階に駆動制御される。即ち、第3実施例では、連通路30の開閉はシャッタ40により行われ、その開度制御はバタフライ弁42により行なわれる。従って、バタフライ弁42のみによって連通路30を開閉する構成に比べて、連通路30及びバタフライ弁42の加工精度要求が低くなる結果、ブーストリターンバルブ36を安価に構成することが可能となる。
【0020】この他には、図5に示す第4実施例のように、コンプレッサ16下流側を臨む連通路30端部に、ポペット弁44を介装し、例えば、EGRバルブ28のように、デューティ制御によりその開度を多段階に制御するようにしてもよい。
【0021】このように、ブーストリターンバルブ36として、一般的なシャッタ40,バタフライ弁42及びポペット弁44を使用すれば、信頼性及び耐久性を確保しつつ、コスト上昇を極力抑制することができる。
【0022】そして、ブーストリターンバルブ36は、EGRバルブ28と連動して制御される。このため、EGRが行なわれるときには、コンプレッサ16により圧縮されて過給状態となった吸気は、連通路34を介してコンプレッサ16の上流側に戻されて、吸気通路12内の負圧が低下し、排気通路14内の排圧と吸気通路12の負圧との差圧が増大する。以下、この動作を「ブーストリターン」という。
【0023】EGR装置の制御を行なうために、運転状態検出手段として、機関負荷Lを検出する負荷センサ46と、機関回転速度Nを検出する回転速度センサ48と、コンプレッサ16下流側の負圧Pbを検出する負圧センサ50と、タービン18上流側の排圧Peを検出する排圧センサ52と、の出力が夫々コントロールユニット30に入力される。そして、コントロールユニット30は、これらのセンサからの各信号に基づいて、後述する処理に従って、EGRバルブ28及びブーストリターンバルブ36の制御を行なう。なお、コントロールユニット30は、判定手段及び制御手段をソフトウエアにより実現させる。
【0024】図6は、コントロールユニット30において、ブーストリターンバルブ36を全開又は全閉に制御するために、ソフトウエア的に実行されるEGR装置の制御内容を示す。なお、かかる制御は、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0025】ステップ1(図では「S1」と略記する。以下同様)では、回転速度センサ48及び負荷センサ46から、夫々、機関回転速度N及び機関負荷Lが読み込まれる。
【0026】ステップ2では、図7に示すようなEGR制御マップが参照され、機関回転速度N及び機関負荷Lによって定まる機関運転状態が、EGRを行なう領域(以下「EGR領域」という)にあるか否かが判定される。なお、図7に示すEGR制御マップでは、EGR制御ソレノイドバルブ32の制御内容(ON/OFF)を介して、機関運転状態がEGR領域にあるか否かが判定される。
【0027】ステップ3では、機関運転状態に応じた分岐処理が行なわれ、機関運転状態がEGR領域にあればステップ4へと進み(Yes)、機関運転状態がEGR領域になければステップ5へと進む(No)。なお、ステップ2及びステップ3の処理が、判定手段に該当する。
【0028】ステップ4では、EGRを行なう制御が実行される。即ち、連通路34を開くべく、アクチュエータ38が制御されると共に、EGRバルブ28によりEGR通路26を開くべく、EGR制御ソレノイドバルブ32がONされる。なお、ステップ4の処理が、制御手段に該当する。
【0029】ステップ5では、EGRを中止する制御が実行される。即ち、連通路34を閉じるべく、アクチュエータ38が制御されると共に、EGRバルブ28によりEGR通路を閉じるべく、EGR制御ソレノイドバルブ32がOFFされる。
【0030】以上説明したステップ1〜ステップ5の処理によれば、機関運転状態がEGR領域にあれば、EGR通路26が開かれると共に、ブーストリターンバルブ36により連通路34が開かれる。そして、連通路34が開かれると、図8に示すように、コンプレッサ16下流側の吸気がその上流側に戻されて負圧Pbが低下する一方、その負圧Pbの低下ほど排気通路14内の排圧Peが低下しないため、負圧Pbと排圧Peとの差圧ΔPが大きくなる。このため、従来のEGR装置に比べて、EGR率及びEGRの可能領域が拡大すると共に、多量の排気がEGR通路26を介して吸気通路12に還流することとなり、EGR率の向上を通して、NOx排出量が低減される。また、EGR率を向上させるための差圧ΔPをブーストリターンにより生じさせているため、単位時間当りの吸気量が減少し、燃料噴射時期の進角により燃費も改善できるようになる。
【0031】そして、かかる構成からなるEGR装置によれば、図9及び図10に示すように、13モードにおいて、NOx排出量を約26%低減できるだけではなく、低負荷時における実測燃費(BSFC)も改善しつつ、粒状物質(PM)の排出量を約56%低減することもできる。
【0032】図11は、コントロールユニット30において、ブーストリターンバルブ36を全開と全閉との間で多段階に制御するために、ソフトウエア的に実行されるEGR装置の制御内容を示す。
【0033】ステップ11では、回転速度センサ48及び負荷センサ46から、夫々、機関回転速度N及び機関負荷Lが読み込まれる。ステップ12では、図7に示すようなEGR制御マップが参照され、機関回転速度N及び機関負荷Lによって定まる機関運転状態が、EGR領域にあるか否かが判定される。
【0034】ステップ13では、機関運転状態に応じた分岐処理が行なわれ、機関運転状態がEGR領域にあればステップ14へと進み(Yes)、機関運転状態がEGR領域になければステップ23へと進む(No)。なお、ステップ12及びステップ13の処理が、判定手段に該当する。
【0035】ステップ14では、EGRが開始される。即ち、EGRバルブ28によりEGR通路26を開くべく、EGR制御ソレノイドバルブ32がONされる。ステップ15では、図12に示すような目標差圧制御マップが参照され、機関回転速度N及び機関負荷Lに基づいて目標差圧Pr及び最低負圧Pwが設定される。
【0036】ステップ16では、負圧センサ50及び排圧センサ52から、夫々、負圧Pb及び排圧Peが読み込まれる。ステップ17では、読み込まれた負圧Pb及び排圧Peに基づいて、次式により差圧ΔPが演算される。
【0037】ΔP=Pe−Pbステップ18では、差圧ΔPが目標差圧Pr以上であるか否かが判定される。そして、差圧ΔPが目標差圧Pr以上であればステップ19へと進み(Yes)、差圧ΔPが目標差圧Pr未満であればステップ21へと進む(No)。
【0038】ステップ19では、差圧ΔPが目標差圧Prと許容値Wとの加算値以下であるか否かが判定される。ここで、許容値Wは、差圧ΔPが必要以上に大きくならないようにするいわゆるリミッタであって、これにより排気性状の低下を防止することができる。そして、差圧ΔPが加算値以下であれば、差圧ΔPは適正値に制御されていると判断して、ステップ11へと戻る(Yes)。一方、差圧ΔPが加算値より大きければ、差圧ΔPは大きすぎると判断して、ステップ20へと進む(No)。
【0039】ステップ20では、差圧ΔPを低下させるべく、ブーストリターンバルブ36の開度が一段階小さくされる。その後、ステップ16へと戻り、差圧制御が続行される。
【0040】差圧ΔPが目標差圧Pr未満であるときの処理が実行されるステップ21では、負圧Pbが最低負圧Pw以上であるかであるか否かが判定される。そして、負圧Pbが最低負圧Pw以上であればステップ22へと進み(Yes)、負圧Pbが最低負圧Pw未満であればステップ11へと戻る(No)。
【0041】ステップ22では、差圧ΔPを上昇させるべく、ブーストリターンバルブ36の開度が一段階大きくされる。その後、ステップ16へと戻り、差圧制御が続行される。
【0042】なお、ステップ14〜ステップ22の処理が、制御手段に該当する。機関運転領域がEGR領域にないときの処理が実行されるステップ23では、EGRを中止する制御が実行される。即ち、連通路34を全閉にすべく、アクチュエータ38が制御されると共に、EGRバルブ28によりEGR通路26を閉じるべく、EGR制御ソレノイドバルブ32がOFFされる。
【0043】以上説明したステップ11〜ステップ23の処理によれば、図6に示すEGR制御による作用及び効果に加え、機関運転状態に応じて差圧ΔPを適切に制御できる。即ち、差圧ΔPは、次式のような範囲に制御されるので、機関運転性及び排気性状の低下を防止しつつ、EGRを効果的に行なえるようになり、NOx排出量を効果的に低下することが可能となる。
【0044】Pr(目標差圧)≦ΔP(差圧)≦Pr+W(目標差圧+許容値)
また、負圧Pbが機関運転状態に応じて設定される最低負圧未満であれば、差圧制御が行なわれないため、機関から排出される粒状物質(PM)の排出量が増大することも防止される。
【0045】なお、以上の実施形態では、EGRを行なうときに、コンプレッサ16下流側の吸気をその上流側に戻したが、コンプレッサ16下流側の吸気を大気中に放出するようにしてもよい。この場合には、コンプレッサ16下流側の吸気を大気中に放出することで、吸気通路12の負圧が低下し、排気通路14内の排圧Peと吸気通路12内の負圧との差圧ΔPが増大し、先の実施形態と同様な効果が奏されることとなる。即ち、かかる構成が、本発明の最小構成となる。
【0046】さらに、本発明に係るEGR装置は、ガソリン機関等にも適用可能であることはいうまでもない。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、排気通路内の排圧と吸気通路内の負圧との差圧が増大し、多量の排気が排気還流通路を介して吸気通路に還流されることとなり、排気還流効率の向上を通して、NOx排出量を低減することができる。
【0048】請求項2記載の発明によれば、コンプレッサにより圧縮された吸気が再利用されることとなり、ターボチャージャの効率が低下することが防止され、機関出力低下を抑制することができる。また、低負荷領域での燃費改善効果が得られ、他の領域においても燃費低下を抑制することができる。
【0049】請求項3記載の発明によれば、排気通路内の排圧と吸気通路内の負圧との差圧を機関運転状態に応じて適切に制御でき、機関運転性及び排気性状の低下を防止しつつ、排気還流を効果的に行なうことができる。
【0050】請求項4記載の発明によれば、信頼性及び耐久性を確保しつつ、コスト上昇を極力抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000003908
【氏名又は名称】日産ディーゼル工業株式会社
【出願日】 平成12年5月24日(2000.5.24)
【代理人】 【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
【公開番号】 特開2001−329879(P2001−329879A)
【公開日】 平成13年11月30日(2001.11.30)
【出願番号】 特願2000−152634(P2000−152634)