トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 内燃機関の作動方法、内燃機関制御装置用制御エレメント、内燃機関および内燃機関制御装置
【発明者】 【氏名】ゲルト グラス

【氏名】リューディガー ヴァイス

【要約】 【課題】圧縮フェーズ(第1の作動モード)においておよび吸気フェーズ(第2の作動モード)において燃料を内燃機関1の燃焼室4に噴射し、内燃機関の冷間スタートの際、噴射開始t EBは吸気フェーズの上死点OTの領域にある自動車における内燃機関の作動方法を、繰り返される冷間スタートの期間の点火プラグの濡れを防止しかつ一層確実なものにする。

【解決手段】繰り返される冷間スタートの際に、噴射開始を冷間スタートに比べて比較的遅れた時点にずらす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 例えば自動車の内燃機関(1)の作動方法であって、圧縮フェーズの期間である第1の作動モードにおいておよび吸気フェーズの期間である第2の作動モードにおいて燃料を内燃機関(1)の燃焼室(4)に噴射し、ここで内燃機関(1)の冷間スタート時には、噴射開始(t EB)は吸気フェーズの上死点(OT)の領域にあるという形式の方法において、繰り返される冷間スタート時には、噴射開始(t EB)を冷間スタートに比べて比較的遅れた時点にずらすことを特徴とする方法。
【請求項2】 繰り返される冷間スタート時には、燃焼室(4)の温度(T)が上昇するに従って、噴射される燃料量を、噴射開始(t EB)を比較的遅れた時点にずらすことによって低減する請求項1記載の方法。
【請求項3】 繰り返されるスタートがあってかつ燃焼室(4)の温度(T)が前以て決められる温度しきい値(T schw)の下方にある場合、繰り返される冷間スタートを検出する請求項1または2記載の方法。
【請求項4】 先行するスタート過程が前以て決められる時間しきい値(tschw)内にありかつスタート過程において前以て決めることができる最小回数(V min)の燃焼が実施された場合、繰り返されるスタートがあるとする請求項3記載の方法。
【請求項5】 時間しきい値(t schw)を燃焼室(4)の温度(T)に依存して前以て決める請求項4記載の方法。
【請求項6】 前以て決めることができる最小回数(V min)の燃焼を燃焼室(4)の温度(T)に依存して前以て決める請求項4または5記載の方法。
【請求項7】 例えば自動車の内燃機関(1)用の制御装置(11)に対する、制御エレメント、例えばリード・オンリー・メモリまたはフラッシュ・メモリであって、該制御エレメントに、制御装置(11)の計算機、例えばマイクロプロセッサにおいて実行可能でありかつ請求項1から6までのいずれか1項記載の方法を実施するのに適しているプログラムが記憶されている制御エレメント。
【請求項8】 例えば自動車の内燃機関(1)であって、燃焼室(4)を備え、該燃焼室に、圧縮フェーズの期間である第1の作動モードにおいておよび吸気フェーズの期間である第2の作動モードにおいて燃料が噴射されるようになっており、制御装置(11)を備え、該制御装置は内燃機関(1)の冷間スタートの場合には噴射開始(t EB)を吸気フェーズの上死点(OT)の領域に調整設定するという形式の内燃機関において、前記制御装置(11)は繰り返される冷間スタート時には、噴射開始(t EB)を冷間スタートに比べて比較的遅れた時点にずらすことを特徴とする内燃機関。
【請求項9】 例えば自動車の内燃機関(1)用制御装置(11)であって、内燃機関(1)は燃焼室(4)を有しており、該燃焼室に、圧縮フェーズの期間である第1の作動モードにおいておよび吸気フェーズの期間である第2の作動モードにおいて燃料が噴射されるようになっており、制御装置(11)を備え、該制御装置は内燃機関(1)の冷間スタートの場合には噴射開始(t EB)を吸気フェーズの上死点(OT)の領域に調整設定するという形式の制御装置において、前記制御装置(11)は繰り返される冷間スタート時には、噴射開始(t EB)を冷間スタートに比べて比較的遅れた時点にずらすことを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車における内燃機関の作動方法であって、圧縮フェーズの期間である第1の作動モードにおいておよび吸気フェーズの期間である第2の作動モードにおいて燃料を内燃機関の燃焼室に噴射し、ここで内燃機関の冷間スタートの場合には、噴射開始は吸気フェーズの上死点の領域にある、という形式の方法に関する。更に本発明は、例えば自動車の内燃機関であって、燃焼室を備え、該燃焼室に、圧縮フェーズの期間である第1の作動モードにおいておよび吸気フェーズの期間である第2の作動モードにおいて燃料が噴射されるようになっており、制御装置を備え、該制御装置は内燃機関の冷間スタートの場合に噴射開始を吸気フェーズの上死点の領域に調整設定する、という形式の内燃機関に関する。更に本発明は、この種の内燃機関に対する制御装置にも関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の燃焼室に燃料を直接噴射するためのこの形式のシステムは一般に周知である。その際第1の作動モードとしてのいわゆる成層燃焼と第2の作動モードとしてのいわゆる均質燃焼との間が区別される。成層燃焼は殊に負荷が比較的小さい場合に使用され、一方均質燃焼は内燃機関に加わる負荷が比較的大きい場合に使用される。
【0003】成層燃焼において燃料は内燃機関の圧縮フェーズの期間に燃焼室に、点火の時点において燃料クラウドが点火プラグの直接周辺に生じるように噴射される。この噴射は種々異なった方法で行うことができる。すなわち、噴射された燃料クラウドが噴射の期間に既にないし噴射の後に直接点火プラグにありかつこれによって点火されるようにすることができる。噴射された燃料クラウドが電荷の移動によって点火プラグに導かれかつそれから漸く点火されるようにすることも可能である。両方の燃焼方法において、均質な燃料分配はなく、成層が形成される。
【0004】成層燃焼の利点は、非常に僅かな燃料量によって、加わっている比較的小さな負荷を内燃機関によって駆動することができるという点にある。しかし比較的大きな負荷は成層燃焼によって充足させることはできない。
【0005】この形式の比較的大きな負荷に対して設定されている均質燃焼において、燃料は内燃機関の吸気フェーズの期間に噴射されるので、渦流化ひいては燃焼室における燃料の分配は問題なく行うことができる。この限りにおいて、均質燃焼は大体、従来の方法において、燃料が吸気管に噴射される、内燃機関の作動法に相応している。必要の場合には、負荷が比較的小さい場合にも、均質燃焼を使用することができる。
【0006】成層燃焼において、絞り弁は燃焼室に通じている吸気管が大きく開放されかつ燃焼は実質的に噴射すべき燃料量によってだけ制御および/または調整される。均質燃焼において絞り弁は要求されるモーメントに依存して開放ないし閉鎖されかつ噴射すべき燃料量は吸入される空気量に依存して制御および/または調整される。
【0007】2つの作動モードにおいて、すなわち成層燃焼および均質燃焼において、噴射すべき燃料質量は付加的に、別の多数の作動量に依存して、燃料節約、排気ガス低減などを考慮して最適な値に制御および/または調整される。制御および/または調整は内燃機関に対する制御装置によって実施されかつ両方の作動モードにおいて異なっている。
【0008】燃料は直接噴射形内燃機関において通例、高圧噴射弁を介して内燃機関の燃焼室に噴射される。内燃機関の燃焼室にその都度高圧噴射弁および点火プラグが突出している。内燃機関の冷間スタートの間は、殊に温度が低い場合には、暖機運転状態の内燃機関に比べて燃焼室に噴射される燃料量は著しく高められなければならない。これはとりわけ次の理由による:○ 生じている温度において点火可能な燃料/空気混合気に対して沸騰し易い燃料成分が十分な量、用意されなければならない。
【0009】○ 内燃機関の加熱に伴って減少する燃料損失が補償されなければならない(例えばオイル中に運び込まれる燃料)。
【0010】○ 燃料壁膜が形成されなければならない(吸気管噴射の場合にとりわけ吸気管において、しかし燃焼室においても;ガソリン直接噴射の場合には燃焼室のみにおいて)。
【0011】冷間スタートの間このように高められた燃料量を噴射することができるようにするために、噴射開始は冷間スタートの際には吸気フェーズの上死点の領域にある。その場合噴射は大体、燃料クラウドの点火までないし点火フェーズの上死点間で持続する。内燃機関の作動の期間、内燃機関の温度は緩慢に上昇しかつ燃焼室に噴射すべき燃料量は作動温度が上昇するに従って低減することができる。繰り返しスタートの際にも内燃機関の作動温度が上昇していることで、噴射すべき燃料量を低減することができる。内燃機関の温度が作動温度を下回っているときの繰り返される冷間スタートの場合ですら、噴射すべき燃料量を低減することができる。というのは、吸気管および/または燃焼室にはもはや燃料壁膜が形成される必要がないからである。繰り返される冷間スタートの場合には通例、先行する冷間スタートおよび内燃機関の引き続く作動の期間に形成される燃料壁膜がまだ存在している。
【0012】噴射すべき燃料量を低減するために、従来技術によれば噴射終了は、比較的早めの時点にずらされ、従って噴射は点火フェーズの上死点の前に既に終了される。噴射は依然として吸気フェーズの上死点の領域にとどまる。
【0013】すなわち従来技術では、噴射開始は冷間スタート時にも繰り返しスタート時にも吸気フェーズの上死点の領域にある。このことは、内燃機関のシリンダで往復運動可能なピストンが噴射の開始時に高圧噴射弁および点火プラグの直接近傍にあることを意味している。これにより、噴射すべき燃料量の大部分がピストン面に直接当たり、それ故に十分に蒸発しないという確率は非常に大きい。更に、噴射すべき燃料の一部がピストン面から跳ね返りかつ点火プラグを濡らす可能性がある。繰り返される冷間スタートの場合、従来技術によればこの過程が繰り返され、かつ点火プラグを濡らす燃料量は、点火プラグが点火火花をもはや発生することができないほどに大きくなる可能性がある。内燃機関の複数のシリンダにおいてこのことが発生する場合には、内燃機関は、点火プラグが再び乾いた状態になるまで、もはやスタートすることはできない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、繰り返される冷間スタートの期間の点火プラグの濡れを防止しかつ内燃機関の確実な繰り返される冷間スタートを可能にすることである。
【0015】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために本発明は冒頭に述べた形式の内燃機関の作動方法から出発して、繰り返される冷間スタートにおいて噴射開始が冷間スタートに比べて比較的遅れた時点にずらすことが提案される。
【0016】本発明は、繰り返される冷間スタートにおいて、繰り返される冷間スタートでは内燃機関の温度は冷間スタートの場合と類似して比較的低い領域に移動しているにも拘わらず、先行する冷間スタートの時よりも少ない燃料量を内燃機関の燃焼室に噴射すればよいということから出発している。このことの理由は主に次の点にある:冷間スタートおよび内燃機関の引き続く作動の期間に既に、内燃機関の吸気管および/または燃焼室に既に燃焼壁膜が形成されている。この燃焼壁膜は内燃機関の遮断後も所定の時間間隔の間なお維持されかつ繰り返される冷間スタートにおいて新たに形成される必要はない。
【0017】燃焼室に噴射すべき燃料量を低減させることに対する別の要因は、内燃機関、殊に燃焼室の温度が繰り返される冷間スタートにおいては冷間スタートの時よりも僅かにだが上昇していることにある。これにより、点火能力のある混合気に対して容易に沸騰する燃料成分を僅かな量だけ使用できるようにすればよいことになる。更に、付加的に噴射すべき燃料によって補償すべき燃料損失は内燃機関の加熱が増大してくるに従って低下していく。
【0018】繰り返される冷間スタートにおいて噴射すべき燃料量の低減は本発明によれば、噴射開始を比較的遅れた時点にずらすことによって実現される。すなわち、噴射開始は、シリンダの中を往復運動するピストンが既に再び、高圧噴射弁および点火プラグから離れたところを移動しているという比較的遅れた時点において行われる。すなわち、噴射の開始時には、一方におけるピストンと、他方における高圧噴射弁および点火プラグとの間の間隔が拡大されている。これにより、燃焼室に噴射される燃料量の大部分がピストン面に直接当たりかつ十分に蒸発しないことになることを妨げることができる。更に、噴射される燃料の一部がピストン面によって跳ね返されかつ点火プラグを濡らすという確率が相応に低減される。このようにして、繰り返される冷間スタートにおける内燃機関のスタートの安全性を決定的に高めることができる。同時に、燃料を節約しかつ改善された排気ガスを得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の有利な実施の形態において、繰り返される冷間スタートの際に、燃焼室の温度が上昇するに従って、噴射される燃料量を、噴射開始を比較的遅れた時点にずらすことによって低減することが提案される。燃料量が噴射の比較的早い終了によって実現される従来技術の場合とは異なって、本発明によれば、噴射すべき燃料量の低減は噴射の比較的遅い開始によって実現される。すなわち、内燃機関の燃焼室の温度が上昇するに従って、燃焼室に噴射すべき燃料量の一部がピストン面に直接当たりかつ十分に蒸発しないまたはピストン面によって跳ね返されかつ点火プラグが濡らされるという確率は一層低減される。
【0020】本発明の有利な実施の形態によれば、繰り返されるスタートがあってかつ燃焼室の温度が前以て決められる温度しきい値の下方にある場合、繰り返される冷間スタートを検出することが提案される。温度しきい値は内燃機関の作動温度の下方にある。周囲温度が比較的低い場合殊に、温度しきい値は冷間スタート後の内燃機関の温度より上方にある。
【0021】先行するスタート過程が前以て決められる時間しきい値内にありかつスタート過程において前以て決めることができる最小回数の燃焼が実施された場合、有利には繰り返されるスタートがある。先行するスタート過程が前以て決めることができる時間しきい値より上方にある場合、新たなスタートと見なされかつ繰り返されるスタートは見なされない。最小回数の燃焼に対しては複数の指標がある:例えば、燃焼室における温度上昇、シリンダ内の圧力上昇、内燃機関の回転数上昇、排気ガス中の燃焼されない燃料量およびλセンサのλ値(排気ガス全体または個別シリンダの)。
【0022】時間しきい値を有利には燃焼室の温度に依存して前以て決める。前以て決めることができる最小回数の燃焼も有利には燃焼室の温度に依存して前以て決める。
【0023】本発明の方法を、例えば自動車の内燃機関用の制御装置に対して設けられている制御エレメントの形において実現すれば、特別重要である。その際制御エレメントに、制御装置の計算機、例えばマイクロプロセッサにおいて実行可能でありかつ本発明の方法を実施するのに適しているプログラムが記憶されている。従ってこの場合には、本発明は、制御エレメントに記憶されているプログラムによって実現されており、その結果プログラムを備えているこの制御エレメントは、その実施のためにプログラムが適している方法と同様に本発明を表すものである。制御エレメントとして、例えばリード・オンリー・メモリまたはフラッシュ・メモリのような電気的なメモリ媒体が使用される。
【0024】本発明の課題の別の解決法として、冒頭に述べた形式の内燃機関から出発して、繰り返される冷間スタートの場合に、制御装置が噴射開始を冷間スタートに比べて比較的遅れた時点にずらすことが提案される。
【0025】更に、本発明の課題の更に別の解決法として、冒頭に述べた形式の制御装置から出発して、制御装置が繰り返される冷間スタートの際に、噴射開始を冷間スタートに比べて比較的遅れた時点にずらすことが提案される。
【0026】本発明の別の特徴、可能な使用法および利点は、図面に示されている、本発明の実施例の以下の説明から明らかである。その際説明されるまたは図示される特徴はそれ自体または任意の組み合わせにおいて、請求項またはその従属関係における要旨に無関係に並びに明細書ないし図面におけるその組み立てないし表示に無関係にすべて本発明の対象を形成している。
【0027】
【実施例】次に本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【0028】図1において、自動車の直接噴射形内燃機関1が示されている。ここではピストン2がシリンダ3内を往復運動するようになっている。シリンダ3は燃焼室4を備えている。燃焼室はとりわけ、ピストン2、入り口弁5および出口弁6によって形成されている。入り口弁5には吸入管7が連結されておりかつ出口弁6には排気管8が連結されている。
【0029】入り口弁5および出口弁6の領域において、高圧噴射弁9および点火プラグ10が燃焼室4内に突入している。高圧噴射弁9介して燃料を燃焼室4に噴射することができる。点火プラグ10によって、燃焼室4における燃料を点火することができる。
【0030】ピストン2は燃焼室4における燃料の燃焼によって往復運動に変換される。この運動はクランク軸(図示されていない)に伝達されかつこれにトルクが形成されるようにする。
【0031】内燃機関1の冷間時または冷機始動もしくはコールドスタート(簡単に冷間スタートと表す)の間、殊に温度が低い場合に、燃焼室4に噴射される燃料量は、暖機運転している内燃機関と比べて著しく高められなければならない。このことはとりわけその原因を次のことに求めることができる:○ 生じている温度において点火能力のある燃料−空気混合気に対して十分な量の容易に沸騰する燃料成分が用意されなければならない。
【0032】○ 内燃機関の加熱が増大するに従って低下していく燃料損失が補償されなければならない(例えばオイル中に運び込まれる燃料)。
【0033】○ 燃焼室4における燃料壁膜が形成されなければならない。
【0034】冷間スタートの間にこのように高められた燃料量を使用することができるようにするために、冷間スタート時の噴射開始t EBは吸気フェーズの上死点OTの領域にある。その場合噴射は雲状燃料(燃焼クラウド)の点火ないし点火フェーズの上死点OTまで持続する。内燃機関1の作動期間中、その温度は緩慢に上昇しかつ燃焼室4に噴射すべき燃料量は作動温度が上昇するに従って低減することができる。
【0035】すなわち、冷間スタート時、噴射開始t EBは吸気フェーズの上死点OTの領域にある。このことは、ピストン2がシリンダ3において噴射の開始時に高圧噴射弁9および点火プラグ10の直接近傍にあることを意味している。これにより、噴射された燃料量の大部分がピストン面に直接当たり、それ故に十分に蒸発しないという確率は非常に大きい。更に、噴射された燃料の一部がピストン面から跳ね返ってかつ点火プラグ10を濡らす可能性がある。従来技術によれば、この過程は繰り返される冷間スタートの都度繰り返され、かつ点火プラグ10を濡らす燃料量は、点火プラグ10が点火火花をもはや発生できない程に大きくなる可能性がある。このことが内燃機関1の多シリンダ3において生じる場合、内燃機関1は、点火プラグ3が再び乾いた状態になるまでは、もはやスタートすることができない。
【0036】繰り返される冷間スタートにおいて点火プラグ10が濡れかつ内燃機関1のスタートが難しくなるのを回避するために、繰り返される冷間スタートにおける噴射開始t EBは冷間スタートに比べて遅い時点の方向にずらされる。
【0037】本発明は、繰り返される冷間スタートにおける内燃機関1の温度は、冷間スタート時と同じように比較的低い領域内にあるにも拘わらず、繰り返される冷間スタートにおいて、先行する冷間スタートの場合より僅かな燃料量を内燃機関1の燃焼室4に噴射すればよいということから出発している。このことの理由は殊に、冷間スタートおよび内燃機関1の続く作動の期間に、内燃機関1の燃焼室4に既に燃料の壁膜が形成されているということにある。このような燃料の壁膜は内燃機関1の遮断後に所定の持続時間の間はなお維持された状態にとどまってり、繰り返される冷間スタートにおいて新たに再形成される必要はない。繰り返される冷間スタート時には冷間スタートに比して、内燃機関1、殊に燃焼室4の温度が僅かに上昇していることも、燃焼室4に噴射すべき燃料量を低減するという別の要因になっている。新しいスタート時には、噴射開始は例えば、温度が−30℃の場合の360°クランク角度KWから+10℃の場合の280°KWに低減される。繰り返されるスタートでは、噴射開始は例えば、温度が−30℃の場合の320°クランク角度KWから+10℃の場合の280°KWに低減される。これにより、点火可能な混合気に対して一層わずかな量の容易に沸騰する燃料成分しか使用することができない。更に、付加的に噴射される燃料によって補償しなければならない燃料損失は内燃機関1の加熱が増大するに従って低下していく。
【0038】繰り返される冷間スタートの期間に噴射すべき燃料量をこのように低減することは本発明によれば、噴射開始t EBを比較的遅い時点の方にずらすことによって実現される。すなわち噴射開始t EBは、シリンダ3内を往復運動するピストン2が既に再び、高圧噴射弁9および点火プラグ10から離れる運動をしている比較的遅い時点にある。従って、噴射の開始時にはピストン2と点火プラグ10との間の間隔も拡大されている。これにより、燃焼室4に噴射される燃料量の大きな部分が直接ピストン面に当たりかつ十分に蒸発しなくなることを防止することができる。更に、噴射された燃料の一部がピストン面から跳ね返って、点火プラグ10を濡らすという確率は著しく低減される。このようにして、繰り返される冷間スタート時の内燃機関1のスタート安全性を決定的に高めることができる。同時に、燃料を節約しかつ一層良好な排気を実現することができる。
【0039】繰り返される冷間スタート時には、燃焼室4の温度が上昇するに従って、噴射開始t EBを遅れ目の時点の方に一層ずらすことによって噴射される燃料量が低減される。すなわち、内燃機関1の燃焼室4の温度が上昇するに従って、燃焼室4に噴射された燃料量の一部がピストン面に直接当たってかつ十分に蒸発しないまたはピストン面から跳ね返って、点火プラグ10を濡らすという確率は一層低減される。
【0040】本発明の方法のシーケンスフローチャートが図2に示されている。この方法は機能ブロック20においてスタートする。本発明によれば、燃焼室4の温度Tが前以て決めることができる温度しきい値T schwを下回り(質問ブロック21)かつ繰り返しスタートが生じている場合に、繰り返される冷間スタートがあるものとしている。温度しきい値は一般に、内燃機関1の作動温度の下方にあるが、周囲温度が非常に低い場合、冷間スタートの後の内燃機関1の温度より上方にある。この実施例において、温度しきい値T schwは20℃の領域にある。
【0041】繰り返しスタートは本発明によれば、先行するスタート過程が前以て決めることができる時間しきい値t schw内にあり(質問ブロック22)かつスタート過程において前以て決めることができる最小回数V minの燃焼が実施された(質問ブロック23)場合に、あるものとされる。この実施例において、時間しきい値t schwは5minの領域にある。先行するスタート過程が5min以上前に実施された場合には、繰り返しスタートではなくて、新しいスタートと見なされる。
【0042】最小回数V minの燃焼が実施されたかどうかを判定するために、多くの指標がある:例えば、燃焼室4における温度上昇、シリンダ3における圧力上昇、内燃機関1の回転数上昇、排気ガス中の燃焼されない燃料量およびλセンサのλ値(排気ガス全体または個別シリンダ3の)。
【0043】時間しきい値t schwおよび最小回数 minの燃焼は、燃焼室4の温度Tに依存して前以て決められる。繰り返しスタートが存在している場合、機能ブロック24において、噴射開始t EBは冷間スタートに比べて遅れ目の時点の方にずらされる。そうでなければ、機能ブロック25において、噴射開始tEBは通常の冷間スタート時と同様に選択される。機能ブロック26において、この方法は終了される。
【0044】本発明の方法を、殊に自動車の内燃機関1の制御装置11に対して設けられている制御エレメントの形において実施することが特別重要である。その場合制御エレメントには、プログラムが記憶されている。プログラムは制御装置11の計算機、殊にマイクロプロセッサにおいて実行されかつ本発明の方法を実施するために適しているものである。すなわちこの場合には本発明は、制御エレメントに記憶されているプログラムによって実施されるので、プログラムを備えている制御エレメントは、プログラムを実施するのに適している方法と同じように本発明をなすものである。制御エレメントとして殊に、リード・オンリー・メモリまたはフラッシュ・メモリのような電気的なメモリ媒体を使用することができる。
【出願人】 【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【出願日】 平成13年3月6日(2001.3.6)
【代理人】 【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄 (外4名)
【公開番号】 特開2001−271689(P2001−271689A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2001−62170(P2001−62170)