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【発明の名称】 内燃機関の制御装置
【発明者】 【氏名】染野 禎

【氏名】永野 正美

【要約】 【課題】内燃機関の冷間時の始動時及び始動後において触媒コンバータ前のHC発生量を抑制し、始動後は機関の安定性欠くことなく、早期に触媒コンバータを活性化させることができるようにする。

【解決手段】吸気弁6又は排気弁7の少なくとも一方の弁開閉時期を可変に制御するための吸気側VVT機構10a及び排気側VVT機構10bと、エンジンの始動及び始動後を検出する手段とを備え、始動と検出されている間は、弁制御手段により、第一の弁開閉時期設定値で可変バルブタイミングを制御し、始動後と検出されたときに、第一の弁開閉時期設定値を維持し、点火時期を所定値まで遅角させ、さらに遅角の完了を判定した後、第二の弁開閉時期設定値で所定量に可変バルブタイミングを制御するようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸気弁又は排気弁の少なくとも一方の弁開閉時期を可変にするための可変バルブタイミング機構を備えた内燃機関の制御装置において、前記制御装置は、エンジンの始動及び始動後等を検出する運転状態検出手段と、該運転状態検出手段等による検出結果に基づいて前記可変バルブタイミング機構を作動させる弁制御手段と、点火プラグの点火時期を設定する点火時期設定手段と、を備え、前記制御装置は、前記運転状態検出手段により始動と検出されている間、前記弁制御手段によって第一の弁開閉時期設定値に前記可変バルブタイミング機構を制御し、前記運転状態検出手段により始動後と検出したとき、前記弁制御手段によって前記可変バルブタイミング機構を前記第一の弁開閉時期設定値に維持すると共に、前記点火時期設定手段によって点火プラグによる点火時期を所定値まで遅角させ、前記遅角が完了を判定したとき、前記弁制御手段によって、前記可変バルブタイミング機構を第二の弁開閉時期設定値で所定量に制御することを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】 前記制御装置は、前記エンジンの燃焼安定性を示す回転変動指標を演算する回転変動指標演算手段を備え、前記遅角の完了を判定した後、前記弁制御手段によって前記可変バルブタイミング機構を前記回転変動指標に基づいて前記第一の弁開閉時期設定値と前記第二の弁開閉時期設定値との間で所定量に制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】 前記運転状態検出手段は、前記エンジンの温度を検出する冷却水温センサを有し、前記制御装置は、前記検出された始動時における前記エンジンの温度が所定範囲以内で、且つ前記エンジンが低回転低負荷運転状態又は始動後所定期間の間の少なくとも一方においてのみ、前記弁制御手段によって前記可変バルブタイミング機構を前記第二の弁開閉時期設定値で制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】 前記制御装置は、前記検出された始動時におけるエンジン温度が所定範囲以内で、且つ前記運転状態検出手段で加速状態と検出されていないときにおいてのみ、前記弁制御手段によって前記可変バルブタイミング機構を前記第二の弁開閉時期設定値で制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】 前記制御装置は、前記第一、第二の弁開閉時期設定値での状態ではないとき判定したとき、前記弁制御手段によって前記可変バルブタイミング機構を第三の弁開閉時期設定値で制御させることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】 前記制御装置は、前記第一、第二、第三の弁開閉時期設定値への移行時に、前記弁制御手段によって前記可変バルブタイミング機構を前記段階的移行あるいはステップ的移行の何れかを選択的に指示し、前記可変バルブタイミング機構を制御させることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、内燃機関の運転条件に応じて吸気弁や排気弁の開閉タイミングを変更させる可変バルブタイミング機構を備えた内燃機関の制御装置に係るものであり、詳しくは内燃機関の排気温度を上げて触媒コンバータの早期活性化を図るようにした内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のエンジンの吸気弁及び排気弁は、カム軸の回転に伴い開閉動作を行うものであって、ピストンの吸入行程の前後に吸気弁が開閉し、排気行程の前後に排気弁が開閉する。この場合、ピストンの往復運動は、クランク軸によって回転運動に変換され、クランク軸の回転はカム軸を介して吸気及び排気弁に伝達されるようになっている。
【0003】また、吸気弁あるいは排気弁の開閉タイミングを制御する場合、クランク軸とカム軸との間の相対回転角を変化させる可変バルブタイミング調整装置(VVT)と、VVTの駆動制御を行うオイルコントロールバルブ(OCV)とを用いて行うのが一般的である。
【0004】一方、近年では、排ガス規制の強化に伴い、内燃機関の排気管に設けられている触媒コンバータを、たとえばエンジンの冷機始動時においても、早期に活性化させることが要望されている。このような要望に応えるために、たとえば可変バルブタイミング調整装置(VVT)を応用した先行技術として、たとえば特開平11−336574号公報では、可変バルブタイミング機構を操作し、吸気弁と排気弁との開弁オーバーラップ量を所定量に制御することにより、内部EGR量を増やし、点火時期の遅角あるいは空燃比を弱リーン化する操作と相俟って、未燃HCの排気管内での「後燃え」を促進させ排ガス温度を高温に維持することで、冷間状態にある触媒コンバータを早期活性化させる技術を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した先行技術では、エンジンの始動後の燃焼に着目しており、また可変バルブタイミング機構の操作についても、吸気弁と排気弁との開弁オーバーラップ量に着目して排ガス温度を高温に維持し、触媒コンバータの早期活性化を試みるようにしている。
【0006】しかしながら、排気ガス規制では触媒前のHCの発生を抑制することが本来の目的であり、エンジンの始動時においては、安定した始動性の確保とHCの排出量の抑制との両立が必要である。
【0007】本発明者等が確認した結果によれば、吸気弁と排気弁との開弁オーバーラップ量に限らず、エンジンの燃焼状態によっては、吸気弁の閉弁位置と排気弁の開弁位置とクランク回転位置との関係がHCの発生量の抑制に関係することが判明したが、上述した先行技術ではそのことについての考慮はなされていなかった。
【0008】また、エンジンの始動後については、同様に吸気弁の閉弁位置と排気弁の開弁位置との操作により後燃えを促進させ、排ガス温度を高温に維持することによる触媒コンバータの早期活性化のみを重視すると、点火時期の遅角や空燃比のリーン化によりトルクの低下を伴い、エンジンの安定性を欠くことになり、さらには外乱に対するエンジン回転数の極端な低下やエンストに至る等の問題が発生する可能性がある。
【0009】この点について、上述した先行技術では、トルク増加手段を一回の燃焼行程につき複数回の点火動作を行わせる手段によって解決しているが、実際に複数回の点火を行うには、短期間に点火エネルギーを確保しなければならない。この場合、点火コイルのチャージエネルギーの短時間化の改良が不可欠であるが、これに伴いコストアップを招いてしまうという問題も生じてしまう。
【0010】本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内燃機関の冷間時の始動時及び始動後において触媒コンバータ前のHCの発生量を抑制することができ、しかも始動後は機関の安定性を欠くことなく、早期に触媒コンバータを活性化させることができる低コストな内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成すべく、本発明に係る内燃機関の制御装置は、基本的には、吸気弁又は排気弁の少なくとも一方の弁開閉時期を可変にするための可変バルブタイミング機構を備えた内燃機関の制御装置であって、前記制御装置が、エンジンの始動及び始動後等を検出する運転状態検出手段と、該運転状態検出手段等による検出結果に基づいて前記可変バルブタイミング機構を作動させる弁制御手段と、点火プラグの点火時期を設定する点火時期設定手段と、を備え、前記制御装置は、前記運転状態検出手段により始動と検出されている間、前記弁制御手段によって第一の弁開閉時期設定値に前記可変バルブタイミング機構を制御し、前記運転状態検出手段により始動後と検出したとき、前記弁制御手段によって前記可変バルブタイミング機構を前記第一の弁開閉時期設定値に維持すると共に、前記点火時期設定手段によって点火プラグによる点火時期を所定値まで遅角させ、前記遅角が完了を判定したとき、前記弁制御手段によって、前記可変バルブタイミング機構を第二の弁開閉時期設定値で所定量に制御することを特徴としている。
【0012】前記の如く構成された本発明の内燃機関の制御装置は、エンジンの始動と検出されている間は、HCの排出量の抑制が可能な第一の弁開閉時期設定値による吸気弁の閉弁位置と、排気弁の開弁位置と、クランク回転位置との関係によって、安定した始動性の確保とHCの排出量の抑制との両立ができる。また、エンジンの始動後と検出されたときには、第一の弁開閉時期設定値を維持し、点火時期を所定値まで徐々に遅角することによってエンジンの安定性を確保し、遅角の完了を判定してから、第二の弁開閉時期設定値による吸気弁の閉弁位置と、排気弁の開弁位置と、クランク回転位置との関係で制御することにより、後燃えによる触媒コンバータ前のHC量の抑制と、排ガス温度を高温に維持することによる触媒コンバータの早期活性化の両立が図れる。
【0013】また、本発明に係る内燃機関の制御装置の具体的態様は、該制御装置が、前記エンジンの燃焼安定性を示す回転変動指標を演算する回転変動指標演算手段を備え、前記遅角の完了を判定した後、前記弁制御手段によって前記可変バルブタイミング機構を前記回転変動指標に基づいて前記第一の弁開閉時期設定値と前記第二の弁開閉時期設定値との間で所定量に制御することを特徴としている。
【0014】前記の如く構成された本発明の内燃機関の制御装置は、点火時期の遅角とバルブタイミングの操作により、トルクの低下を伴うような状態であっても、点火時期の遅角とバルブタイミングを回転変動指標に基づいて操作することで、外乱に対する機関の安定性を確保でき、エンジン回転数の極端な低下やエンストに至る等の問題をコストアップすることなく改善できる。
【0015】また、本発明に係る内燃機関の制御装置の他の具体的態様は、前記運転状態検出手段が、前記エンジンの温度を検出する冷却水温センサを有し、前記制御装置が、前記検出された始動時における前記エンジンの温度が所定範囲以内で、且つ前記エンジンが低回転低負荷運転状態又は始動後所定期間の間の少なくとも一方においてのみ、前記弁制御手段によって前記可変バルブタイミング機構を前記第二の弁開閉時期設定値で制御することを特徴としている。
【0016】また、本発明に係る内燃機関の制御装置の他の具体的態様は、前記制御装置が、前記検出された始動時におけるエンジン温度が所定範囲以内で、且つ前記運転状態検出手段で加速状態と検出されていないときにおいてのみ、前記弁制御手段によって前記可変バルブタイミング機構を前記第二の弁開閉時期設定値で制御することを特徴としている。
【0017】また、本発明に係る内燃機関の制御装置の他の具体的態様は、該制御装置が、前記第一、第二の弁開閉時期設定値での状態ではないとき判定したとき、前記弁制御手段によって前記可変バルブタイミング機構を第三の弁開閉時期設定値で制御させることを特徴としている。
【0018】また、本発明に係る内燃機関の制御装置の他の具体的態様は、該制御装置が、前記第一、第二、第三の弁開閉時期設定値への移行時に、前記弁制御手段によって前記可変バルブタイミング機構を前記段階的移行あるいはステップ的移行の何れかを選択的に指示し、前記可変バルブタイミング機構を制御させることを特徴としている。
【0019】前記の如く構成された本発明の内燃機関の制御装置は、極低温雰囲気ではエンジンのトルク及び安定性を確保しつつ、エンジンの触媒コンバータの早期活性化を図る制御の実施条件を、運転状態検出手段による検出結果に応じて選択的に行うことができる。また、エンジン温度に限らず、低回転低負荷以外、あるいは加速状態を検出した場合には、点火時期の遅角とバルブタイミングの操作によりエンジンの触媒コンバータの早期活性化を図る制御を中止する方向へ制御して、排気温度の過度な上昇を防止し、バルブタイミングの操作をトルク感や運転性を重視した第三の弁開閉時期設定値により制御することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明に係る内燃機関の制御装置の一実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施の形態の燃料噴射装置であるインジェクタ1を備えたエンジン制御システムの全体構成を示したものである。4気筒からなるエンジン100の多弁式の各気筒9には、点火プラグ12が配置されるとともに、吸気弁6及び排気弁7と、気筒9内を往復動するピストン8とで燃焼室が構成されている。また、各気筒9には、吸気弁6及び排気弁7によってそれぞれ開閉される吸気管18及び排気管19が設置されている。
【0021】吸気管18は、図示しない二つの吸気ポートを有している。また、吸気管18には、吸気の質量流量を計測する吸入空気量センサ2及びスロットルバルブ3の開度を計測するスロットルセンサ4が各々の適宜位置に配置されている。さらに、エンジン100の冷却水温を計測する冷却水温センサ14及びエンジン回転数を計測するクランク角センサ13a,13bが各々の適宜位置に配置されている。ここで、スロットルセンサ4、冷却水温センサ14、クランク角センサ13a,13b及び後述の空燃比センサ17は、運転状態検出手段を構成している。
【0022】吸気管18の上流部に設けられたエアクリーナ20から流入された空気は、スロットルバルブ3で流量を調節された後、インジェクタ1から所定の角度で噴射されたガソリンと混合されて各気筒9に供給される。インジェクタ1は、4気筒のエンジン100の各気筒9の上流側に一つずつ配設されるものであり、マルチポイントインジェクション(MPI)としてシステム化された燃料噴射方式が採用されている。
【0023】一方、燃料タンク21からの燃料は、燃料ポンプ22によって吸引及び加圧された後、プレッシャレギュレータ15を備えた燃料管23を通り、インジェクタ1の図示しない燃料入口に導かれる。ここで、余分な燃料は、燃料タンク21に戻される。なお、燃料タンク21から蒸発する燃料は、キャニスタ16により大気中に放出されるのが抑制されている。
【0024】各気筒9で燃焼された排ガスは、排気管19を通じて触媒コンバータ25に導かれ、浄化された後に排出される。排気管19の適宜位置には、排ガス中の酸素濃度に比例し、広域で且つリニアな空燃比信号を出力する空燃比センサ17が配置されている。
【0025】吸入空気量センサ2から得られる吸入空気量を示す出力信号と、スロットルセンサ4からの出力信号と、冷却水温センサ14、クランク角センサ13a,13b及び空燃比センサ17等からの各出力信号は、エンジン制御手段としてのエンジン制御装置(コントロールユニットC/U)11に入力される。
【0026】エンジン制御装置(コントロールユニットC/U)11は、車体あるいはエンジンルーム内に配置され、上述した種々のセンサから出力されるエンジン100の運転状態を示す電気的な信号に基づき、所定の演算処理を行う。また、エンジン制御装置(コントロールユニットC/U)11は、運転状態に最適な制御を行うべく、燃料を噴射供給するインジェクタ1の開閉、点火プラグ12の駆動及びアイドル時のエンジン回転数を目標回転数になるようにコントロールするアイドルスピードコントロールバルブ(ISC)5の開閉を行う信号を各々出力するための燃料噴射量設定手段、燃料噴射時期設定手段及び点火時期設定手段を有している。これら燃料噴射量設定手段、燃料噴射時期設定手段及び点火時期設定手段の詳細については、後述する。
【0027】さらに、エンジン制御装置(コントロールユニットC/U)11は、燃料ポンプ22の他、可変バルブタイミング機構である吸気側VVT機構10a及び排気側VVT機構10bを、後述する第一〜第三の弁開閉時期設定値に基づいて制御する弁制御手段を備えている。さらにまた、エンジン制御装置(コントロールユニットC/U)11は、各気筒9の吸気行程とインジェクタ1の燃料噴射のタイミングとを合わせて各気筒9毎に燃料噴射を行うべく制御する。
【0028】また、エンジン制御装置(コントロールユニットC/U)11は、上述した燃料噴射量設定手段、燃料噴射時期設定手段及び点火時期設定手段を構成するために、入出力インターフェイスとしてのI/O、演算処理装置MPU、多数の制御プログラムを記憶させた記憶装置(RAM及びROM)、タイマーカウンター等を備えている。すなわち、燃料噴射量設定手段は、検出された吸入空気量及び設定された空燃比に基づいてインジェクタ1から各気筒9に供給すべき要求燃料量を算出するとともに、要求燃料量と、インジェクタ1の噴射量特性である流量傾斜及び無効噴射パルス幅とに基づいて要求噴射パルス幅(インジェクタ1の開弁時間)を演算し、さらに要求噴射パルス幅に基づいてインジェクタ1に噴射パルスの時間分の開弁を行わせる。
【0029】また、燃料噴射時期設定手段は、吸入空気量及びエンジン回転数等に基づき、インジェクタ1の噴射時期を演算してエンジン100の吸気行程に同期させるとともに、吸気行程中の燃料噴射時期を後述する最適なタイミングに設定する。さらに、そのタイミングに基づいてインジェクタ1の他、吸気側VVT機構10a及び排気側VVT機構10bを駆動する手段であるオイルコントロールバルブ(OCV)23a,23b等のアクチュエータに駆動信号を出力する。さらにまた、点火時期設定手段は、そのタイミングに基づいて点火プラグ12の点火時期を設定する。
【0030】なお、エンジン制御装置(コントロールユニットC/U)11は、燃料噴射時期設定手段のロバスト性を向上させるために、後述するエンジン100の燃焼安定性を示す回転変動指標を演算する回転変動指標演算手段をも備えている。
【0031】エンジン制御装置(コントロールユニットC/U)11は、スロットルセンサ4からの出力信号と、冷却水温センサ14、クランク角センサ13a,13b等の各種センサからの検出信号及びエンジン回転数信号等を取り込み、取り込んだ検出信号に基づき演算し、吸気弁6及び排気弁7の開閉タイミングの変更を行う吸気側VVT機構10a及び排気側VVT機構10bと、これらを駆動するオイルコントロールバルブ(OCV)23a,23bに駆動信号を出力する。
【0032】吸気弁6を所定の位置で開閉させるための吸気側カム軸24aと、排気弁7を所定の位置で開閉させるための排気側カム軸24bとは、図示しないタイミングベルト等を介してクランク軸に駆動連結される。吸気側カム軸24aには油圧駆動式の吸気側VVT機構10aが配設され、排気側カム軸24bには同様な排気側VVT機構10bが配設されている。吸気側VVT機構10a及び排気側VVT機構10bは、それぞれオイルコントロールバルブ(OCV)23a,23bにより、図示しないソレノイドバルブによる油圧制御に従い調整される。さらに、吸気側VVT機構10a及び排気側VVT機構10bの動作により吸気側カム軸24a及び排気側カム軸24bがクランク軸に対して遅角側あるいは進角側に回動することで、吸気弁6又は排気弁7の開閉位置が変化する。
【0033】また、吸気側カム軸24a及び排気側カム軸24bに配設されたクランク角センサ13a,13bにより、それぞれのカム軸の実際の回転位置を検出することもできる。
【0034】図2は、上述した吸気弁6及び排気弁7の開閉位置と、それぞれのリフト量と、クランク軸に対するそれぞれの吸気行程及び排気行程との関係を示したものである。図2から分る通り、排気側VVT機構10bにより排気弁7を最遅角位置に対して進角側へ制御し、吸気側VVT機構10aにより吸気弁6を最遅角位置に対して進角側へ制御することで、排気弁7及び吸気弁6の開閉位置を任意に変化させることができ、さらに排気弁7の閉弁位置と吸気弁6の開弁位置とのオーバーラップ量も変化させることができる。
【0035】図3(a),(b)は、エンジンの始動時及び始動後におけるエンジン回転数の挙動と、触媒前のHCの濃度との関係を示したものである。一般的に、エンジンの冷間始動時においては、安定した始動性の確保が優先されるようになっている。よって、図3(a)に示すように、始動時においては、主に燃料量が固定値をベースとした制御値となる他、点火時期も固定値をベースとした制御値で制御される。そのため、排出されるHCの量は、図3(b)に示すように、エンジン始動後に多く排出され、その排出濃度はエンジンの燃焼状態にもよるが、燃料量や点火時期等を適正化しても、ピーク値P1が5000ppmc〜10000ppmcに達してしまう。このようなことから、始動時においてのHCの排出量の抑制方法は、燃料量と点火時期との制御のみでは難しいといえる。
【0036】図4及び図5は、エンジンの始動時において、排気弁7の閉弁位置と吸気弁6の開弁位置とを排気側VVT機構10b及び吸気側VVT機構10aにより変化させたときのHC濃度との関係を求めたものである。また、図4は、排気弁7の閉弁位置をTDC(上死点,E1)点に固定して吸気弁6の開弁位置を変化させた場合を示すものである。図5は、吸気弁6の開弁位置を、図4における最適値とした場合に、排気弁7の閉弁位置を変化させた場合を示すものである。
【0037】すなわち、エンジンから排出されるHC濃度は、吸気弁6の開弁位置と排気弁7の閉弁位置とによるオーバラップを持たせると増加する傾向にあり、HC濃度が最少となる吸気弁6の開弁位置は(A1)点として求められる。次に、吸気弁6の開弁位置を(A1)点に固定とした場合に、排気弁7の閉弁位置を変化させると、HC濃度が最少となる排気弁7の閉弁位置は(E2)点として求められる。
【0038】以上のように、排気側VVT機構10b及び吸気側VVT機構10aを変化させた場合、エンジンの始動時におけるHC濃度が最少となる吸気弁6の閉弁位置と排気弁7の開弁位置とクランク回転位置との関係、すなわち第一の弁開閉時期設定値としての最適位置(A1),(E2)点が求められる。これは、エンジンの燃焼状態に応じた適性位置で吸気弁6の閉弁位置と排気弁7の開弁位置とを設定するものであり、オーバラップ量よりも、クランク回転位置との絶対位置関係そのものが影響することを示している。ただし、これらの最適位置(A1),(E2)点はエンジンの燃焼の素性(HC発生要因)によっても異なるものである。
【0039】また、本実施の形態では、吸気弁6の閉弁位置と排気弁7の開弁位置との双方を独立に制御できる排気側VVT機構10b及び吸気側VVT機構10aの場合を示したが、吸気弁6のみを吸気側VVT機構10aによって制御する場合、図4に示した排気弁7の閉弁位置(E1)点を所定の位置の固定し、同様にHC排出濃度が最少となる吸気弁6の閉弁位置である(A1)点を求めるようにしてもよい。
【0040】一方、エンジンの始動後、すなわち安定した始動性を確保した後においては、エンジン回転の安定性を維持できる範囲であれば、点火時期を遅角することと同様に、吸気弁6の閉弁位置と排気弁7の開弁位置を操作して、後燃えを促進させ、排ガス温度を高温に維持することで、図1に示した触媒コンバータ25の早期活性化も可能である。
【0041】図6(a)〜(c)は、エンジンの冷間始動時のアイドル状態における点火時期遅角量と、触媒前HCの濃度と、排気温度と、発生トルクとの関係を示したものである。一般的にエンジンの冷間始動後のアイドルにおいては、図6(a),(b)に示すように、点火時期遅角(リタード)量(C1点)を増加した方が、触媒前のHC濃度が減少し、排気温度が上昇する。ただし、同一回転数を維持するには、空気量を増加する必要があるが、空気量を増加しても、図6(c)に示す発生トルクは遅角しない場合よりも低下する。これは点火時期を遅角することで燃焼開始が遅くなり、筒内で燃焼されなかった未燃HCが図1の排気管19内に排出された後、排気管19内の酸素と反応し自己着火して燃焼する、いわゆる「後燃え」によるものである。
【0042】図7及び図8は、エンジンの始動後において、排気弁7の閉弁位置と吸気弁6の開弁位置を排気側VVT機構10b及び吸気側VVT機構10aによって変化させたときの触媒前HC濃度と、触媒前排気温度との関係を示すものである。また、図7は、排気弁7の閉弁位置をTDC(上死点付近,E2)点に固定して吸気弁6の開弁位置を変化させた場合を示している。図8は、吸気弁6の開弁位置を、図7における最適値(A3)とした場合に、排気弁7の閉弁位置を変化させた場合を示している。
【0043】図7では、触媒前排気温度が高く、且つHC濃度を抑制できる吸気弁6の開弁位置は(A3)点として求められる。次に、図8では、吸気弁6の開弁位置を(A3)点に固定した場合、排気弁7の閉弁位置を変化させると、触媒前排気温度が高く、且つHC濃度を抑制できる排気弁7の閉弁位置は(E3)点として求められる。
【0044】これは、吸気弁6の閉弁位置と、排気弁7の開弁位置と、クランク回転位置との関係を最適化することにより、筒内での燃焼ガスが吸気ポート側に吹き返された後、筒内に再度流入されることによる内部EGR量が増加することで、点火の遅角による燃焼の開始遅れに加え、燃焼速度がさらに緩慢になり、後燃えが促進され、排ガス温度がより高温で維持される状態が形成されるためと考えられる。ただし、この場合、点火時期の遅角のみを実施した場合に比較して、発生トルクがさらに低下する傾向にあるため、外乱に対するエンジンの安定性を確保しておく必要がある。
【0045】以上のように、排気側VVT機構10b及び吸気側VVT機構10aを変化させた場合、エンジンの始動後における触媒前HC濃度を抑制できる吸気弁6の閉弁位置と、排気弁7の開弁位置と、クランク回転位置との関係、すなわち第二の弁開閉時期設定値としての最適位置(A3),(E3)点が求められる。これは、オーバラップ量よりも、クランク回転位置との絶対位置関係そのものが影響することを示している。これらの最適位置(A3),(E3)点は、エンジンの燃焼の素性(HC発生要因)によっても異なる。
【0046】また、本実施の形態では、吸気弁6の閉弁位置と排気弁7の開弁位置との双方を独立に制御できる排気側VVT機構10b及び吸気側VVT機構10aの場合を示したが、吸気弁6のみを吸気側VVT機構10aで制御する場合は、図7に示す排気弁閉弁位置(E2)点を所定の位置の固定し、同様にHC排出濃度が最少となる吸気弁6の閉弁位置(A3)を求めるようにする。
【0047】次に、エンジンの始動時は、第一の弁開閉時期設定値によって制御することで、安定した始動性の確保とHCの排出量の抑制との両立を行い、またエンジンの始動後は、点火時期を遅角し、さらに第二の弁開閉時期設定値によって制御することで、後燃えを促進させ、図1の触媒コンバータ25の早期活性化を図るための具体的方法について説明する。
【0048】まず、図9に、エンジンの始動からの経過時間を横軸として、エンジン回転数、触媒前HC濃度、点火時期遅角(リタード)制御量、吸気弁開位置、排気弁閉位置を示す。始動時(a)点までの区間においては、吸気弁開位置と排気弁閉位置とはぞれぞれ上述した第一の弁開閉時期設定値によって制御され、始動性が確保される。この間のHC排出量である触媒前HC濃度は、最大でP1の濃度に抑制される。
【0049】一方、エンジンの始動後は、まず区間(a)〜(b)点において、第一の弁開閉時期設定値により点火リータド量を制御し、点火時期を所定値まで徐々に遅角することによってエンジンの安定性を確保し、さらに後燃えによる触媒前のHC量の抑制と、排ガス温度を高温に維持するための操作に移る。次に、(b)点で遅角の完了を判定(R1に達したことを判定)した後、(c)点までは吸気弁開位置と排気弁閉位置とをぞれぞれ上述した第二の弁開閉時期設定値まで段階的に制御し、(c)点以降は第二の弁開閉時期設定値で制御し、さらに後燃えによる操作を促進することで、触媒コンバータ25の早期活性化を図ることができる。
【0050】ここで、上述した冷却水温センサ14によって検出されるエンジンの始動時におけるエンジン温度が所定範囲以内で、且つ低回転低負荷運転状態又は始動後所定期間の間の少なくとも一方においてのみ設定することもできる。すなわち、たとえば、エンジン温度の条件を20℃以上において行うようにすることで、極低温時の暖機途上の運転性悪化を防止することができる。また、アイドル放置状態にのみ触媒コンバータ25の早期活性化の操作を行うようにし、全加速状態(始動後即発進加速時)あるいはアイドル放置が長時間経過した場合(30秒以上等)は、運転状態に適した第三の弁開閉時期設定値で制御するようにする。図9ではアイドル放置状態のとき、始動後の経過時間がt1(s)を越える(e)点で、第三の弁開閉時期設定値での制御に移行する状態を示している。
【0051】図10は、アイドル放置状態から加速に移行した状態を示している。すなわち、図10は、図9の(c)点での遅角の完了を判定した後、第二の弁開閉時期設定値で制御しているときに、(c)’点で加速状態を検出した場合を示している。この例では、加速を検出すると、点火時期のリタードを解除方向に制御するとともに、運転状態に適した第三の弁開閉時期設定値で、(d)’点までは段階的にあるいはステップ的のどちらかを選択的に制御するようにしたものであり、たとえば全開加速時にはステップ的に、あるいは緩加速時には段階的に、それぞれ運転状態に応じてスムースな移行を行うようにしている。
【0052】図11は、エンジンの燃焼安定性を示す回転変動指標を演算する回転変動指標演算手段により、図9における(b)点と同様に、遅角の完了を判定した後、回転変動指標に応じて第一と第二の弁開閉時期設定値との間で所定量に制御するようにした場合を示すものである。
【0053】また、図11は、エンジンの始動からの経過時間を横軸として、エンジン回転数、触媒前HC濃度、点火時期遅角制御量、吸気弁開位置、排気弁閉位置を示している。すなわち、(b)点で遅角の完了を判定した後、吸気弁開位置と排気弁閉位置とはぞれぞれ上述した第二の弁開閉時期設定値で制御し、さらに後燃えによる操作を促進させることで、触媒コンバータ25の早期活性化を図るようにしている。
【0054】ここで、本実施の形態では、燃焼安定性を示す回転変動指標を演算するための回転変動指標演算手段による演算結果が第一の弁開閉時期設定値よりも大きい(変動小)と判定された場合、第一段階として、(f)点より排気弁7の操作を、第一と第二の弁開閉時期設定値の中間点である第一点まで(回転変動指標が減少する方向)所定量だけ戻す。さらに同様に、回転変動指標が第二の弁開閉時期設定値よりも大きい(変動大)と判定された場合は、第二段階として、(g)点よりバルブタイミングの操作を、第一の弁開閉時期設定値まで段階的に戻すと同時に、点火時期リタード量についても、R1値から0までの中間点Rxまで進角方向へ段階的に戻し、回転変動指標が減少する方向へ制御する。
【0055】次に、区間(e)点では始動後の経過時間をチェックし、始動後t1(s)以上経過した場合は、バルブタイミングと点火時期を通常の制御状態、すなわち吸気弁開位置及び排気弁閉位置はぞれぞれ第三の弁開閉時期設定値まで段階的に戻す。
【0056】以上のような制御により、点火時期の遅角とバルブタイミングの操作により、トルクの低下を伴うような状態であっても、点火時期の遅角とバルブタイミングを回転変動指標に基づいて操作することで、外乱に対するエンジンの安定性を確保でき、エンジン回転数の極端な低下やエンストに至る等の問題を改善できる。
【0057】また、(f)点より、一旦、回転変動指標が大きい(変動小)と判定され、バルブタイミングの操作を、第一と第二の弁開閉時期設定値の中間点である第一点で制御した場合、それ以降の所定時間の間、回転変動指標が大きくならなければ、吸気弁開位置と排気弁閉位置とは、ぞれぞれ再度第二の弁開閉時期設定値まで段階的に戻されるように制御することもできる。
【0058】また、一旦回転変動を生じて、弁開閉時期が第二から第一設定値側に移行し、さらに点火時期のリタード量が解除側へ制御された場合でも、エンジンが安定していれば、再度、弁開閉時期を第二の弁開閉時期設定値側、点火時期リタード量をR1側へ制御することができるため、触媒コンバータ25の早期活性化を図る方向への制御をやり直すことができる。
【0059】次に、以上のような構成の内燃機関の制御装置の動作について説明する。まず、図12は、点火時期の遅角とバルブタイミングの操作を行う制御フローチャトであり、図13は、点火時期の設定動作を示す制御フローチャートである。なお、以下の制御フローチャートにおける演算処理は、たとえば10ms毎としている。
【0060】ステップ1000では、エンジン回転数(たとえば600r/minを継続して越えている状態が100ms間等)等により、エンジンが始動状態か否かを判定する。始動時と判定された場合は、ステップ1010へ進み、エンジン回転数、エンジン負荷等の運転状態のパラメータの変化幅及び変化率等により、定常状態が所定時間継続しているか否かを判定し、継続していると判定された場合、第一の弁開閉時期設定値をセットし、ステップ1020に進む。ステップ1020では、始動時の点火時期をセットしてステップ1400へ進む。
【0061】一方、ステップ1000で始動後と判定された場合は、ステップ1100へ進む。ステップ1100では、スロットル開度の変化量、空気量の変化量、充填効率の変化量等の運転状態のパラメータにより加速の状態か否かを判定し、加速と判定された場合はステップ1110へ進み、加速でないと判定された場合、すなわちアイドル放置状態である場合はステップ1150へ進む。
【0062】ステップ1110では、第三の弁開閉時期設定値をセットし、ステップ1120へ進む。ステップ1120では、通常時の点火時期をセットしてステップ1400へ進む。
【0063】ステップ1150では、始動後の経過時間をチェックし、始動後t1(s)以上経過した場合はステップ1110へ進み、バルブタイミングと点火時期を通常の制御状態に設定する。ステップ1150でt1(s)経過前と判定された場合はステップ1200へ進む。
【0064】ステップ1200では、点火時期の遅角を完了したか否かを判定し、点火時期の遅角を終了していない場合は、ステップ1210で点火リタード量R1をセットし、ステップ1400へ進む。ステップ1200で時期の遅角を終了している場合はステップ1250へ進み、第二の弁開閉時期設定値をセットしステップ1300へ進む。
【0065】ステップ1300以降は、回転変動指標演算手段による回転変動指標の大きさにより、弁位置と点火リタード量の制御量を変更するフローである。すなわち、ステップ1300で、回転変動指標が第1しきい値より大きい(変動小)と判定された場合は、第一段階としてステップ1310へ進み、回転変動指標が第1しきい値より小さい(変動なし)と判定された場合は、ステップ1400へ進む。
【0066】ステップ1310では、弁開閉時期設定値を上述した第一の弁開閉時期設定値と第二の弁開閉時期設定値との間で制御する。たとえば回転変動指標が所定値を越える毎に、所定量ずつ弁開閉時期を第一と第二の間で変化させるように設定し、回転変動指標が小さくなる方向へ制御されるような弁開閉時期で設定される。
【0067】次に、ステップ1350へ進み、回転変動指標が第2しきい値より大きい(変動大)と判定された場合は、第一段階としてステップ1360へ進み、回転変動指標が第2しきい値より小さい(変動小)と判定された場合はステップ1400へ進む。
【0068】ステップ1360では、点火リタード量を0〜R1の間であるRxで制御する。たとえば回転変動指標が所定値を越える毎に、所定量ずつ点火リタード量を減量してRxを設定し、回転変動指標が小さくなる方向へ制御されるような弁開閉時期で設定する。
【0069】次に、ステップ1400では、弁開閉時期設定値と実際の弁開閉位置とを比較し、設定値=実際の制御値となるまでは、ステップ1410によって、実際の弁変化幅を制限し、ステップ的な変化あるいは段階的な変化かを運転状態に応じて選択的に設定するようにする。
【0070】また、ステップ1300及び1350において、回転変動指標の変化が大きい場合、回転変動指標が小さくなる方向へ制御されるような弁開閉時期及び点火時期で設定されるが、一旦、回転変動指標が小さくなる方向へ制御された後に、所定時間の間、それ以上に回転変動指標が大きくならなければ、再度、弁開閉時期及び点火時期を元の変更する前の設定値に戻すように制御することもできる。
【0071】また、以上のような制御により、一旦、回転変動を生じて、弁開閉時期が第二から第一の弁開閉時期設定値側、及び点火時期のリタード量が解除側へ制御された場合でも、エンジンが安定していれば、再度、弁開閉時期を第二の弁開閉時期設定値側、点火時期リタード量をR1側へ制御することができるため、触媒コンバータ25の早期活性化を図る方向への制御をやり直すことができる。
【0072】次に、図13により、点火時期の設定動作について説明する。なお、以下のフローチャートに示す演算処理は、たとえば気筒基準信号(REF)の入力毎の周期等で繰り返し行われるものである。
【0073】まず、図12のステップ1400までに演算された点火時期設定値と、他の補正量演算値等から、ステップ2000で最終的な点火時期設定値を演算する。ステップ2100では、設定値=実際の制御値であるかを判定し、設定値=実際の制御値となるまではステップ2250で1点火毎の変化幅を制限し、ステップ的な変化あるいは段階的な変化かを運転状態に応じて選択的に設定できるようにしてステップ2200に進む。ステップ2200では、実際の点火時期制御量をセットしてルーチンを終了し、点火の動作を行う。
【0074】このように、本実施の形態では、吸気弁6又は排気弁7の少なくとも一方の弁開閉時期を可変にするための可変バルブタイミング機構である吸気側VVT機構10a及び排気側VVT機構10bと、エンジンの始動及び始動後を検出する運転状態検出手段であるクランク角センサ13a,13bと、運転状態検出手段による検出結果に応じて可変バルブタイミング機構の動作を含めたエンジンの駆動を制御するエンジン制御手段とを備え、エンジン制御手段の弁制御手段により、運転状態検出手段により始動と検出されている間、第一の弁開閉時期設定値で可変バルブタイミング機構を制御し、運転状態検出手段により始動後と検出されたとき、点火時期設定手段により、第一の弁開閉時期設定値による制御を維持し、点火プラグ12による点火時期を所定値まで遅角させるとともに、さらに弁制御手段により遅角の完了を判定してから、第二の弁開閉時期設定値で可変バルブタイミング機構を所定量に制御するようにした。
【0075】これにより、エンジンの始動と検出されている間は、HCの排出量の抑制が可能な第一の弁開閉時期設定値による吸気弁6の閉弁位置と、排気弁7の開弁位置と、クランク回転位置との関係によって、安定した始動性の確保とHCの排出量の抑制との両立が図れる。また、エンジンの始動後と検出されたときには、第一の弁開閉時期設定値を維持し、点火時期を所定値まで徐々に遅角することによってエンジンの安定性を確保し、遅角の完了を判定してから、第二の弁開閉時期設定値による吸気弁6の閉弁位置と、排気弁7の開弁位置と、クランク回転位置との関係で制御することにより、後燃えによる触媒コンバータ前のHC量の抑制と、排ガス温度を高温に維持することによる触媒コンバータ25の早期活性化の両立が図れる。
【0076】また、本実施の形態では、エンジン制御手段は、エンジンの燃焼安定性を示す回転変動指標を演算する回転変動指標演算手段を備え、弁制御手段は、遅角の完了を判定した後、回転変動指標に応じて第一の弁開閉時期設定値と第二の弁開閉時期設定値との間で可変バルブタイミング機構を所定量に制御するようにした。
【0077】これにより、点火時期の遅角とバルブタイミングの操作により、トルクの低下を伴うような状態であっても、点火時期の遅角とバルブタイミングを回転変動指標に基づいて操作することで、外乱に対する機関の安定性を確保でき、エンジン回転数の極端な低下やエンストに至る等の問題をコストアップすることなく改善できる。
【0078】また、本実施の形態では、運転状態検出手段は、エンジンの温度を検出する冷却水温センサ14を有し、弁制御手段は、検出された始動時におけるエンジンの温度が所定範囲以内で、且つエンジンが低回転低負荷運転状態又は始動後所定期間の間の少なくとも一方においてのみ、第二の弁開閉時期設定値で可変バルブタイミング機構を制御するようにした。
【0079】また、本実施の形態では、運転状態検出手段は、エンジンの加速を検出するクランク角センサ13a,13bを備え、弁制御手段は、検出された始動時におけるエンジン温度が所定範囲以内で、且つ加速状態と検出されていないときにおいてのみ、第二の弁開閉時期設定値で可変バルブタイミング機構を制御するようにした。
【0080】また、本実施の形態では、エンジン制御手段は、第一、第二の弁開閉時期設定値での状態ではないと判定したとき、弁制御手段に対し第三の弁開閉時期設定値で可変バルブタイミング機構を制御させるようにした。
【0081】また、本実施の形態では、エンジン制御手段は、第一、第二、第三の弁開閉時期設定値への移行時に、弁制御手段に対し、段階的移行あるいはステップ的移行の何れかをエンジンの運転状態に応じて選択的に指示し、可変バルブタイミング機構を制御させるようにした。
【0082】これにより、極低温雰囲気ではエンジンのトルク及び安定性を確保しつつ、エンジンの触媒コンバータ25の早期活性化を図る制御の実施条件を、運転状態検出手段による検出結果に応じて選択的に行うことができる。また、エンジン温度に限らず、低回転低負荷以外、あるいは加速状態を検出した場合には、点火時期の遅角とバルブタイミングの操作によりエンジンの触媒コンバータ25の早期活性化を図る制御を中止する方向へ制御して、排気温度の過度な上昇を防止し、バルブタイミングの操作をトルク感や運転性を重視した第三の弁開閉時期設定値により制御することができる。
【0083】
【発明の効果】以上の説明から理解できるように、本発明の内燃機関の制御装置は、内燃機関の冷間時の始動時及び始動後において触媒コンバータ前のHCの発生量を抑制することができ、しかも始動後は機関の安定性を欠くことなく、早期に触媒コンバータを活性化させることができる低コストな内燃機関の制御装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【識別番号】000232999
【氏名又は名称】株式会社日立カーエンジニアリング
【出願日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
【公開番号】 特開2001−241340(P2001−241340A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−53370(P2000−53370)