| 【発明の名称】 |
内燃機関用燃料噴射ポンプの始動増量装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】羽生 俊治
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| 【要約】 |
【課題】極低温時に燃料増量を適正に行って始動性を向上する内燃機関用燃料噴射ポンプの始動増量装置を提供する。
【解決手段】コントロールラック5側と停止レバー44側との間に設けた係合機構部41、42により、停止レバー44側が始動開始信号を受けて停止解除する作用力をコントロールラック5側が燃料増量方向に働く補助力として利用する。始動後、係合機構部41、42を離脱した停止レバー44側はコントロールラック5側の動きに影響しない位置で係止する。停止時は、停止レバー44側は噴射量を強制停止させる方向に動作し、係合機構部41、42は再び係合し、次回の始動時に備える。以上の係合機構部41、42を付加した構成により、コスト、搭載性面および信頼性の優れた始動増量装置が得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関に供給する噴射量を調量するコントロールラックと、燃料供給停止時には前記コントロールラックを燃料噴射停止位置まで移動させる停止レバーとを備えた内燃機関用燃料噴射ポンプにおいて、前記コントロールラックと前記停止レバーとの間に両者の係合関係を規定する係合機構部を設け、前記係合機構部は、内燃機関の始動時に前記コントロールラックと前記停止レバーとを係合させて前記コントロールラックを前記停止レバーの停止解除動作方向に追動させ、前記コントロールラックが始動時の所定噴射量位置まで移動後は両者の係合関係を解除させるように構成されていることを特徴とする内燃機関用燃料噴射ポンプの始動増量装置。 【請求項2】 前記係合機構部は、前記コントロールラックに設けた係合部材と、前記停止レバーに設けたピン部とを有し、前記停止レバーの動作に応じて前記係合部材と前記ピン部とが係合または離脱することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用燃料噴射ポンプの始動増量装置。 【請求項3】 前記停止レバーは、その中間に回転軸を有し、かつ一端側に前記ピン部が設けられていると共に、他端側には前記ピン部を停止解除動作方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関用燃料噴射ポンプの始動増量装置。 【請求項4】 前記係合部材は、バネ材からなるフックプレートであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内燃機関用燃料噴射ポンプの始動増量装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関用燃料噴射ポンプの始動時の増量装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】極低温時のエンジン始動開始時、燃料噴射ポンプ内の潤滑油および燃料油の粘度が通常温度時よりも増大し、燃料噴射量を決定するコントロールラックの移動抵抗力が増すことによりコントロールラックが始動時の噴射量位置まで行かず、燃料増量を充分に実行することが困難となり始動不良に至る問題がある。 【0003】この問題を解決するために、例えば燃料噴射ポンプの遠心力式調速機として特開平7−286534号公報に始動増量に関する技術が開示されている。特開平7−286534号公報に開示されている技術は、アジャスティングレバーの回転動作と連動して第2カムを介して第1カムの燃料減方向の回転を規制するため、アジャスティングレバーの作用力を連結ピン、フローティングレバー、中間レバーを介して直接的にコントロールラックを燃料増方向に突き出す突出力として作用させコントロールラックを燃料増量側に移動させて始動性を改良する提案がされている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平7−286534号公報に開示される始動性を改良する技術では、極低温時のコントロールラックの移動抵抗力の増大に打ち勝つための補助力を得るのに煩雑な付加装置が必要となり、コストが増大するという問題がある。 【0005】また、従来より燃料噴射ポンプのガバナとして使用されている遠心力調速機では、極低温始動時に燃料増量を充分に実行することが困難な場合がある。この極低温始動時の燃料増量機能が損なわれる場合の作動について図5に基づいて詳細に説明する。 【0006】エンジン始動開始時、遠心力式調速機のアジャスティングレバー18をアイドル位置から全負荷位置側に倒したとき、アームレバー7も同時に支点22を中心として反時計方向に回転する。エンジン回転数が零回転の時、ウエイト1は閉じた位置にあるため、サポートレバー2とフローティングレバー3との連結部31はスライディングシャフト19により位置決めされる。したがって、エンジン始動開始時、アームレバー7の回転力は、フローティングレバー3の長溝部27にてフローティングレバー3に対して作用し、連結部31を支点としてフローティングレバー3を反時計方向に回転させる力を発生させ中間レバー4を介してコントロールラック5を燃料増量側に押す。さらにコントロールラック5の先端に取り付けられたラックアーム16とガバナハウジング23との間に設置された引張スプリング14の張力F1 と合わせコントロールラック5を燃料増量側に押し出す力を発生する。 【0007】ところが、極低温時のエンジン始動開始時、潤滑油および燃料油の粘度が通常温度時よりも増大しているため、燃料増方向へのコントロールラック5の移動を妨げる抵抗力Rがかなり大きい。このため、カムプレート9とガバナカバー21の支点13との間に配設された引張スプリング12のセット荷重F2 を超えるカムプレート9の反時計方向への回動力が作用して引張スプリング12が負けて伸びてしまうため、コントロールラック5が増量側に移動できないという不具合がある。 【0008】この不具合解決策として、ガバナの構造においては、前述のように抵抗力Rが増大したとき、それに対抗し引張スプリング12のセット荷重を大きくする方法が考えられるが、その引張スプリング12のセット荷重を大きくするとすれば、エンジン始動開始時、各連結部の作用荷重が増加するため、ガバナの信頼性が大きく低下する。具体的には、エンジン始動開始時、アジャスティングレバー18をアイドル位置から全負荷位置側に倒したときセンサレバー6がトルクカム8に当接し、そのときキャンセル部のカムプレート9の逃げ力が強くなってセンサレバー6が当接するトルクカム8の面圧が大きくなり、トルクカム8の耐摩耗性が悪化するという問題が発生する。 【0009】本発明の目的は、上記点に鑑み、極低温時のコントロールラックの燃料増側への移動抵抗力の増大に打ち勝つための補助力をコスト、搭載性面および信頼性の優れた始動増量機構により得て、始動時の燃料増量を適正に行い始動性を向上させる内燃機関用燃料噴射ポンプの始動増量装置を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために、本発明の請求項1記載の内燃機関用燃料噴射ポンプの始動増量装置によると、コントロールラックに設けた係合機構部と停止レバーとを係合させ、コントロールラックを停止レバーの停止解除動作方向、つまり燃料増量動作方向に追動させる。極低温時コントロールラックが始動時の噴射量位置まで行かない問題に対し、この燃料増量動作方向に追動させる力をコントロールラックの燃料増側への補助力として利用する。 【0011】上述した補助力を得たコントロールラックは、どの温度域においても始動時の噴射量位置まで移動することができ、確実に燃料増を行い始動性を向上させる。 【0012】また、係合機構部により得た補助力はコントロールラックに対し作用するので、主導力を伝える中間レバー側の各連結部への作用荷重は増加せず耐摩耗性が悪化するという問題は発生しない。 【0013】更に、補助力を得るためにコントロールラックに設けた係合機構部は、始動時の所定噴射量位置まで移動後は両者の係合関係を解除させるように構成されているので、始動後の噴射量調整機構の本来の機能に影響を与えないので燃料噴射ポンプ自体の信頼性を保持する。 【0014】本発明の請求項2記載の内燃機関用燃料噴射ポンプの始動増量装置によると、コントロールラックに係合部材と停止レバーにピン部とを有しているが、停止レバーに設けるピン部は、従来より停止レバーによる噴射量を強制停止させる目的でコントロールラック側と当接する形態で装着されているピン部をそのままの状態で、本発明の係合機構部の係合する一方の部材として利用する。 【0015】このように、コントロールラック側に係合部材を配設するのみなので搭載性面に優れ、本発明実施時の生産コストを抑えることができる。 【0016】また、停止レバーの動作に応じて係合部材とピン部とが係合または離脱するので、始動および停止を繰り返す内燃機関の動作に応じてコントロールラックと停止レバーを係合または離脱することができる。 【0017】本発明の請求項3記載の内燃機関用燃料噴射ポンプの始動増量装置によると、停止レバーの中間に回転軸を有し、一端側にピン部および他端側に停止解除動作方向に付勢する付勢手段が設けられている。これら停止レバーの構成は、従来より停止レバーによる噴射量を強制停止させる目的で配設されており、この停止解除動作方向に付勢する付勢手段を本発明の補助力として利用する。 【0018】よって本発明実施時の生産コストを抑えることができる。 【0019】本発明の請求項4記載の内燃機関用燃料噴射ポンプの始動増量装置によると、係合部材をバネ材からなるフックプレートとしたので、ピン部に引っ掛る簡単な形状のフックプレートは、本発明の係合部材としての機能を果たし、かつ安価なバネ材を用いる。よって、本発明実施時の生産コストを抑えることができる。 【0020】このように、安価で信頼性の高い内燃機関用燃料噴射ポンプの始動増量装置を提供することが可能となる。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、本発明の内燃機関用燃料噴射ポンプの始動増量装置の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。 【0022】図1から図4は、本発明の一実施形態を示すもので内燃機関用燃料噴射ポンプである列型噴射ポンプに用いられる始動増量装置の例を示す。図1は本発明の一実施形態によるラックアーム部の部分拡大図を示す。図2は本発明の一実施形態によるフックプレートの取付け状態を部分拡大斜視図で示す。図3は本発明の一実施形態による停止レバーとコントロールラックの作動ダイアグラム図を示す。図4は本発明の一実施形態による停止レバーとコントロールラックの作動工程の説明図を示す。 【0023】先ず、本発明一実施形態である始動増量のための補助力を得る目的で改良を加えたコントロールラック5の周辺部分について、従来の機構、構成を図5、図6を用いて説明する。 【0024】燃料噴射量を制御するコントロールラック5にラックアーム16がボルト43により固定され、噴射量を強制停止させる停止レバー44がガバナハウジング23に配設された支点46に回転自在に取り付けられている。 【0025】停止レバー44は支点46を境に上腕部44aと下腕部44bよりなり、一体化して回動する。上腕部44aとガバナハウジング23に配設された固定端部47間にとしてのリターンスプリング45が配設される。このリターンスプリング45により図6の図中右方向に上腕部44aを引っ張る力に抗して、図示しない燃料カットアクチュエーターにより上腕部44aを左方向に引かれることにより下腕部44bは支点46を中心に図中右方向に回動する。 【0026】下腕部44bにはピン部42が設置され、ラックアーム16の当接面16aに当接可能に配置され、ピン部42を当接面16aに押し当てコントロールラック5とボルト43固定により一体化したラックアーム16を図中右方向に移動させることにより噴射量は減量される。 【0027】ラックアーム16にはアジャスティングレバー18の回転動作およびフライウエイト1の作用力を統合して間接的に伝える中間レバー4がラックアーム16に設けられた支店16cに配設されている。 【0028】一方この中間レバー4の動きに抗するようにラックアーム16のフック部16dとガバナハウジング23に配設された支点46間にテンションスプリング14が配設される。 【0029】次に、本発明の一実施形態である始動増量装置の部分、つまり極低温時のコントロールラックの燃料増側への移動抵抗力の増大に打ち勝つため、従来の中間レバーの動きを受けてコントロールラック側が燃料増量する側に移動する主導力に加え、コントロールラック側と停止レバー側との間に設けた係合機構部により、停止レバー側が始動開始信号を受けて停止解除する作用力を前述した主導力の補助力として利用する。この補助力を得てコントロールラックは、始動時の噴射量位置まで移動可能となる。この補助力を得る部分の構成について図1、図2を用いて説明する。図中、従来の構成と同じ部分には同じ番号を付与する。 【0030】本発明の一実施形態による補助力を得る部分は、上述した従来の機構、構成をそのままに以下のように構成した。燃料噴射量を制御するコントロールラック5と一体化したラックアーム16に係合部材としてバネ材等でつくられたフックプレート41を止め部材41aにより固定する。尚、停止レバー44の下腕部44bには、従来より停止時にコントロールラック5をラックアーム16を介して噴射量を強制停止させるように押付けるピン部42が設けられており、フックプレート41は、ピン部42に安定して係合・離脱するような形状に成型、配置される。 【0031】ピン部がフックプレート41に安定して係合・離脱するためにフックプレート41の形状は、案内部41bと係止部41cにより構成される。 【0032】停止レバーのピン部42が支点46を中心に円弧軌道上を回動し、フックプレート41の案内部41bと接しながら、よりフックプレート41の奥部の係止部41cに案内され、ピン部42は係止部41cで位置が安定しフックプレート41とピン部42は係合する。 【0033】次いで、本発明の一実施形態による停止レバー44とコントロールラック5の作動を図3および図4を参照し説明する。図3中の実線はコントロールラック5の動きを示し、破線は停止レバー44の動きを示す。 【0034】先ず、始動する前つまり停止時においては、図3(A)および図4(ハ)に示すように係合機構部であるフックプレート41とピン部42は係合している。次に停止レバー44は始動開始信号を受けて、コントロールラック5は中間レバー4を介して燃料増量する側に移動する主導力を得る。この主導力に加え、停止レバー44側に備えた係合機構部41、42により噴射量を停止解除する方向の作用力、つまり燃料増量する側に移動する方向の作用力を得る。 【0035】この作用力を前述した主導力の補助力として利用する目的で、係合機構部41、42によりコントロールラック5側と停止レバー44側を係合させ、コントロールラック5側を停止レバー44側に追動させる。 【0036】以下、詳細を説明する。図示しない燃料カットアクチュエーターにより上腕部44aを図4中左方向に引かれていた停止レバー44の上腕部44aは開放され、停止レバー44に備えた付勢機構部であるリターンスプリング45により噴射量停止解除、つまり燃料増量する側である図4中右方向に移動する。つまり下腕部44bは支点46を中心に図4中左方向に回動する。 【0037】この時、係合機構部であるフックプレート41とピン部42は係合状態を維持しているためコントロールラック5は下腕部44bの動きに追動させられる。これにより、コントロールラック5の燃料増側への補助力が得られる。この状態を図3(B)および図4(ロ)に示す。 【0038】そして、コントロールラック5が始動時の噴射量位置まで動作した後は、中間レバー4は始動時の噴射量位置で停止するため、中間レバー4と連結されたコントロールラック5は中間レバー4の動きに規制され始動時の噴射量位置で停止する。停止レバー44側は、停止レバー44側に備えた付勢機構部であるリターンスプリング45の付勢力により更に燃料増側への作用力を維持する。 【0039】この結果、フックプレート41とピン部42の係合機構部は図3中の(B)の過程点で離脱する。離脱した停止レバー44はリターンスプリング45の付勢力と釣合いコントロールラック5の作動範囲外の位置に係止して、始動後のコントロールラック5の動きに影響することがない。この状態を図3(イ)および図4(イ)に示す。 【0040】始動が完了した後のアイドル運転時、および負荷運転時のコントロールラック5の作動には、係合機構部は影響せず、噴射量調整機構の本来の機能を維持している。尚、アイドル運転時の状態を図3(C)に示し、始動増量された燃料は中間レバー4の動きに従い燃料減方向に戻される。 【0041】停止時は、停止信号を受けて停止レバー44の上腕部44aは、図示しないアクチュエーターにより図4中左方向の噴射量を強制停止させる方向に引かれ、下腕部44bは支点46を中心に図4中右方向に回動する。 【0042】この時、停止レバー44の下腕部44bに設けられたピン部42は、コントロールラック5をラックアーム16を介して噴射量を強制停止させるようにラックアーム16の当接部16aを押付けるとともに、ラックアーム16に取付けられた係合機構部であるフックプレート41に再び係合し、次回の始動時に備える。この状態を図3(D)および図4(ハ)に示す。 【0043】以上のように構成されたコントロールラック5の燃料増側への補助力は、極低温時に確実に燃料増を行い始動性を向上させる。また、コントロールラック5側のラックアーム16に係合機構部であるフックプレート41を取り付けるのみにより始動時の燃料増量効果を出すことができるため、実施時の生産コストを抑えることができる。 【0044】更に、噴射量調整機構の本来の機能に影響を与えず係合機構部を取付けられるので燃料噴射ポンプ自体の信頼性を保持する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー
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| 【出願日】 |
平成12年1月18日(2000.1.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096998 【弁理士】 【氏名又は名称】碓氷 裕彦 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−200732(P2001−200732A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月27日(2001.7.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−8734(P2000−8734) |
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