トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの

【発明の名称】 流路方向可変型熱交換器
【発明者】 【氏名】近藤 泰啓

【要約】 【課題】エンジンの始動時には燃料を加熱し、一方、エンジンの定常運転時には、高温になる潤滑オイルを燃料で効率よく冷却する。

【解決手段】潤滑オイルOを流す潤滑オイル用伝熱管12と、燃料Fを流す燃料用伝熱管13と、潤滑オイル用伝熱管12と燃料用伝熱管13との流路を切り替える流路切替え電磁弁18と、から成り、流路切替え電磁弁18が、潤滑オイル用伝熱管12と燃料用伝熱管13の流路を互いに対向方向に流通させる対向流型と、各流路を同一方向に流通させる平行流型とに切り替えるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 潤滑オイル(O)を流す潤滑オイル用伝熱管(12)と、燃料(F)を流す燃料用伝熱管(13)と、前記潤滑オイル用伝熱管(12)と前記燃料用伝熱管(13)との流路を切り替える流路切替え電磁弁(18)と、から成り、該流路切替え電磁弁(18)が、前記潤滑オイル用伝熱管(12)と前記燃料用伝熱管(13)の流路を互いに対向方向に流通させる対向流型と、各流路を同一方向に流通させる平行流型とに切り替えるものであることを特徴とする流路方向可変型熱交換器。
【請求項2】 前記燃料用伝熱管(13)に連結した燃料用供給管(16)に前記燃料(F)の温度を感知する温度センサー(19)を設け、該温度センサー(19)に電子コントローラ(20)を接続し、該電子コントローラ(20)が指令を出して前記流路切替え電磁弁(18)を自動的に制御し得るように構成したことを特徴とする請求項1の流路方向可変型熱交換器。
【請求項3】 前記流路切替え電磁弁(18)は、エンジンの定常運転時には、前記潤滑オイル用伝熱管(12)と前記燃料用伝熱管(13)の流路を互いに対向方向に流通させる対向流型になるように制御し、前記エンジンの始動時には、各流路を同一方向に流通させる平行流型になるように切り替えるものであることを特徴とする請求項1の流路方向可変型熱交換器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、エンジンの主軸受等の潤滑用オイルを、そのエンジン用の燃料で冷却する熱交換器に係り、特に各伝熱管に流す流体の流路方向を変更することができる流路方向可変型熱交換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エンジン、例えばジェットエンジンには、圧縮機及びタービン等の回転部分を支持する主軸受、燃料ポンプ、潤滑オイル用ポンプ、回転制御器などの補機及び補機駆動用軸受とオイルシール、及び補機駆動用歯車、動力伝達減速歯車など各箇所に潤滑オイルが用いられている。この圧縮機及びタービン等の回転部分を支持する主軸受等は、特に高温になりやすい部分であるため、この主軸受に給油した潤滑オイルは180℃程度の高温になることがあった。そこで、飛行中におけるジェットエンジンの潤滑オイルは、高温による主軸の潤滑不良や焼き付きを避けるために冷却する必要があった。
【0003】一方、寒冷地方において屋外に待機している飛行機等では、そのジェットエンジンに搭載した燃料が、外気温度と同程度、例えば−54℃程度に冷却されることがあった。
【0004】潤滑オイルOを冷却する熱交換器1は、図5に示すように潤滑オイルOと燃料Fの流体を互いに対向方向に流通させる所謂対向流型になるように各伝熱管2を配置構成したものであった。この対向流型の熱交換器1は、図6の温度分布図に示すように、高温側の流体は大きく温度降下し、冷却効率が高いため、ジェットエンジンの定常運転時に180℃程度の高温になった潤滑オイルOを、100℃程度の燃料Fで効率よく冷却することができた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、熱交換器1の燃料Fの入口温度が−54℃のような極低温条件においてエンジンを始動すると、極低温の燃料Fはその粘性が低下して燃料詰まりの原因、即ちエンジンの始動時に燃料Fが交換器1の入口3を塞ぐ原因になるという問題を有していた。このような極低温条件においてエンジンを始動する際は、図7及び図8に示すように、潤滑オイルOの入口と燃料Fの入口とを同一方向にして、この燃料Fの入口温度を高くした平行流型の熱交換器4を用いることが有効であることがわかっていた。
【0006】この平行流型の熱交換器4は、燃料Fの入口温度が高いが、エネルギー効率(熱交換率)が上述した対向流型の熱交換器1と比べて低いものであった。また、この平行流型の熱交換器4では、潤滑オイルOと燃料Fの極低温における熱交換条件を満足するため熱交換性能に余裕を持たせる必要があるため、熱交換器4の形状が大きくなり、重量も重くなるという問題も有していた。逆に、エンジンの定常運転時においては、潤滑オイルOが冷却不十分で高温度になると、その冷却温度、流量、熱交換量、圧力などのエンジンシステムが要求する仕様を満足することができないという問題があった。従って、燃料Fの極低温条件の性能は落ちるが、定常運転時の性能を重視して対向流型の熱交換器1を使用していた。
【0007】本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、高温になった潤滑オイルを冷却すると共に、燃料の氷結を防止するために、エンジンの始動時には燃料を加熱し、一方、エンジンの定常運転時には高温になる潤滑オイルを燃料で効率よく冷却することができる流路方向可変型熱交換器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、潤滑オイル(O)を流す潤滑オイル用伝熱管(12)と、燃料(F)を流す燃料用伝熱管(13)と、前記潤滑オイル用伝熱管(12)と前記燃料用伝熱管(13)との流路を切り替える流路切替え電磁弁(18)と、から成り、該流路切替え電磁弁(18)が、前記潤滑オイル用伝熱管(12)と前記燃料用伝熱管(13)の流路を互いに対向方向に流通させる対向流型と、各流路を同一方向に流通させる平行流型とに切り替えるものであることを特徴とする流路方向可変型熱交換器が提供される。
【0009】前記発明の構成によれば、エンジンが始動して潤滑オイル(O)が高温になった際に、潤滑オイル用伝熱管(12)と燃料用伝熱管(13)の流路を互いに対向方向に流通させる対向流型になるように流路切替え電磁弁(18)を制御して、高温になった潤滑オイル(O)を効率よく冷却する。一方、エンジン始動時は潤滑オイル(O)の入口と燃料(F)の入口とを同一方向にして、燃料(F)の入口温度を高くするため、潤滑オイル用伝熱管(12)と燃料用伝熱管(13)の流路を同一方向に流通させる平行流型になるように流路切替え電磁弁(18)を切り替え制御することができる。
【0010】また、前記燃料用伝熱管(13)に連結した燃料用供給管(16)に前記燃料(F)の温度を感知する温度センサー(19)を設け、該温度センサー(19)に電子コントローラ(20)を接続し、該電子コントローラ(20)が指令を出して前記流路切替え電磁弁(18)を自動的に制御し得るように構成することができる。
【0011】このように構成すれば、燃料(F)の温度が氷結温度以下になったときは、それを温度センサー(19)が感知し、電子コントローラ(20)が指令を出して流路切替え電磁弁(18)を制御して熱交換器(11)の燃料(F)の入口温度を高くするため、各伝熱管(12,13)の流路を同一方向に流通させる平行流型になるように流路切替え電磁弁(18)を自動的に切り替え、燃料(F)の氷結を避けることができる。一方、燃料(F)の温度が高温になって、同時に潤滑オイル(O)も高温になったときは、この潤滑オイル(O)を効率よく冷却できるように、各伝熱管(12,13)の流路を互いに対向方向に流通させる対向流型になるように流路切替え電磁弁(18)を自動的に切り替える。
【0012】本発明の流路切替え電磁弁(18)は、エンジンの定常運転時には、前記潤滑オイル用伝熱管(12)と前記燃料用伝熱管(13)の流路を互いに対向方向に流通させる対向流型になるように制御し、前記エンジンの始動時には、各流路を同一方向に流通させる平行流型になるように切り替えるものである。
【0013】この流路切替え電磁弁(18)によれば、具体的には飛行中の定常運転時のエンジンでは、潤滑オイル(O)が高温になった際に、伝熱管(12,13)の流路を互いに対向方向に流通させる対向流型になるように流路切替え電磁弁(18)を制御して、高温になった潤滑オイル(O)を効率よく冷却する。一方、エンジンの始動時における潤滑オイル(O)は、燃料(F)と同様に外気温度と同じ程度に冷却されている。そこで、この潤滑オイル(O)の入口と燃料(F)の入口とを同一方向にして、燃料(F)の入口温度を高くするため、各伝熱管(12,13)の流路を同一方向に流通させる平行流型になるように前記流路切替え電磁弁(18)を切り替え制御することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には同一の符号を付し重複した説明を省略する。図1は本発明の流路方向可変型熱交換器の流路を対向流型に制御した状態を示す回路図である。図2は流路方向可変型熱交換器の流路を平行流型に切り替えた状態を示す回路図である。この図に示すように、本発明の流路方向可変型熱交換器11は、ジェットエンジン等の圧縮機及びタービン等の回転部分を支持する主軸受の摩擦損失を低減するために給油する潤滑オイルOを流す潤滑オイル用伝熱管12と、このジェットエンジンを起動させる燃料Fを流す燃料用伝熱管13とを配列して各流体O,Fを熱交換し得るように構成した熱交換器である。
【0015】この潤滑オイルOの供給管14と排出管15及び潤滑オイル用伝熱管12との間、燃料Fの供給管16と排出管17及び燃料用伝熱管13との間には、その流路を切り替える流路切替え電磁弁18を接続してある。図示例では、4本の潤滑オイル用伝熱管12と燃料用伝熱管13との流路をそれぞれ切り替えるように構成した流路切替え電磁弁18を示してある。
【0016】潤滑オイル用伝熱管12と燃料用伝熱管13の流路は、通常は互いに対向方向に流通させる対向流型になるように流路切替え電磁弁18を制御する。燃料Fの温度が、例えば氷結温度以下になったときは、それを温度センサー19が感知して、流路切替え電磁弁18の切り替えにより、潤滑オイル用伝熱管12と燃料用伝熱管13の流路を同一方向に流通させる平行流型にする。
【0017】ジェットエンジンの定常運転時においては、圧縮機及びタービン等の回転部分を支持する主軸受に給油する潤滑オイルOは、100℃以上に高温になるため積極的に冷却する必要がある。この定常運転時は、潤滑オイル用伝熱管12と燃料用伝熱管13の流路を互いに対向方向に流通させる対向流型になるように流路切替え電磁弁18を制御する。そこで、高温になった潤滑オイルOを低温の燃料Fで効率良く冷却するために、潤滑オイルOの供給管14部分には、冷却前の潤滑オイルOと熱交換により、ある程度高温になった燃料Fの排出管17を配置する。また、潤滑オイルOの排出管15部分には、冷却された潤滑オイルOと熱交換前の低温の燃料Fの供給管16を配置してあるので、十分に潤滑オイルOを冷却することができる。同時に燃料Fもジェットエンジンへの供給前に効率良く加熱されるようになっている。
【0018】一方、ジェットエンジンの始動時には、潤滑オイルOも燃料Fも加熱されていないため、燃料Fの入口(供給管16)温度を高くする必要がある。このようなエンジンの始動時は、図2に示すように、潤滑オイル用伝熱管12と燃料用伝熱管13の流路を同一方向に流通させる平行流型になるように流路切替え電磁弁18を切り替えるようになっている。
【0019】この流路切替え電磁弁18による対向流型と平行流型との切り替えは、燃料Fの氷結を避けることが目的の一になっている。そこで、燃料Fの温度が氷結温度以下になったときは、それを温度センサー19が感知して流路切替え電磁弁18を制御するようになっている。この温度センサー19による具体的な感知温度は、使用する潤滑オイルO又は熱交換器11の容量等の種々の要素によって決定されるものである。
【0020】なお、上記流路切替え電磁弁18の構成は、潤滑オイル用伝熱管12と燃料用伝熱管13の流路を対向流型と平行流型に切り替え得るため、各潤滑オイル用伝熱管12又は燃料用伝熱管13の流路を変更したり、その流れを塞ぐようになった種々の弁を組み合わせ、これらを図1及び図2における矢示A方向又は矢示B方向へスライドさせるようになった例を示した。しかし、この流路切替え電磁弁18の構成は潤滑オイル用伝熱管12と燃料用伝熱管13の本数や流路の形状によって異なるもので、図示した構成に限定されないことは勿論である。
【0021】図3は他の発明の実施の形態を示す回路図である。この発明の実施の形態では、流路切替え電磁弁18を自動的に制御し得るように構成したことに特徴を有する。即ち、温度センサー19に電子コントローラ20を接続し、この電子コントローラ20が指令を出して流路切替え電磁弁18を自動的に制御し得るように構成したものである。
【0022】このような電子コントローラ20を熱交換器11に組み込めば、燃料Fの温度が氷結温度以下になったときは、それを温度センサー19が感知し、流路切替え電磁弁18を自動的に制御することができる。例えば、飛行機の場合は、エンジンの始動に際して毎回平行流型になるように流路切替え電磁弁18を切り替えなくても必要な時のみ自動的に切り替わって燃料Fの氷結を避けることができる。
【0023】図4は流路切替え電磁弁の他の発明の実施の形態を示す回路図である。流路切替え電磁弁18は、上述した構成以外にも、潤滑オイル用伝熱管12の流路のみを切り替えることにより、対向流型と平行流型に可変し得るように構成することができる。この発明の実施の形態では、燃料用伝熱管13は常時同一方向に燃料Fを流すが、潤滑オイルOを流す潤滑オイル用伝熱管12の流路は、流路切替え電磁弁21により対向流型と平行流型に切り替えられるようになっている。このように構成すると、熱交換器11自体の構成を簡略化することができる。この発明の実施の形態においても、燃料用伝熱管13の流路に設けた温度センサー19に電子コントローラ20を接続し、この電子コントローラ20が指令を出して流路切替え電磁弁18を自動的に制御し得るようになっている。
【0024】なお、前記発明の実施の形態では、ジェットエンジン用の熱交換器11についてその伝熱管の流路を切り替え得るために、潤滑オイル用伝熱管12と燃料用伝熱管13の流路に流路切替え電磁弁18,21を介在させた構成について説明してある。しかし、燃料と潤滑オイルを必要とする装置であれば、上述したジェットエンジンに限定されない。
【0025】
【発明の効果】上述したように、本発明の流路方向可変型熱交換器は、飛行中の定常運転時のエンジンでは、潤滑オイルが高温になった際に、伝熱管を対向流型になるように制御して、高温になった潤滑オイルを効率よく冷却し、一方、エンジンの始動時には潤滑オイルの入口と燃料の入口とを同一方向にして燃料の入口温度を高くするために伝熱管の流路を平行流型になるように流路切替え電磁弁を切り替え制御することができる。
【0026】また、熱交換器を対向流型と平行流型になるように流路を切替えて使用することができるため、小型の熱交換器であっても、その冷却温度、流量、熱交換量、圧力などのエンジンシステムが要求する仕様を満足することができる【0027】更に、温度センサーに電子コントローラを接続したものは、温度センサーが感知して、電子コントローラが指令を出して流路切替え電磁弁を自動的に切り替えることができるため、燃料の氷結を確実に防止することができる、等の優れた効果がある。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年9月20日(1999.9.20)
【代理人】 【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実 (外1名)
【公開番号】 特開2001−82169(P2001−82169A)
【公開日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【出願番号】 特願平11−265481