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【発明の名称】 ガスタービンモジュールの回転系保持装置
【発明者】 【氏名】今村 満勇

【氏名】樽見 幸男

【要約】 【課題】コスト増になることなくロータ等の回転系の移動を防止し、且つ取付時の作業性を向上させる。

【解決手段】ベース台10上に載置されたガスタービンモジュールに回転自在に内装されたシャフト3と一体的に連結された回転系4を、ケース1に固定された静止系2に対して移動させないように保持する。ベース台10上に載置されてシャフト3を下方から支持する支持部14と、シャフト3および支持部14に挿通され、下端がベース台10に結合された軸部15と、軸部15を介して支持部14との間でシャフト3を上方から挟持する回転系挟持部16と、軸部15を介してベース台10との間でケース1を上方から挟持する静止系挟持部17とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベース台上に載置されたガスタービンモジュールに回転自在に内装されたシャフトと一体的に連結された回転系を、ケースに固定された静止系に対して移動させないように保持する保持装置であって、前記ベース台上に載置されて前記シャフトを下方から支持する支持部と、前記シャフトおよび前記支持部に挿通され、下端が前記ベース台に結合された軸部と、該軸部を介して前記支持部との間で前記シャフトを上方から挟持する回転系挟持部と、前記軸部を介して前記ベース台との間で前記ケースを上方から挟持する静止系挟持部とを備えることを特徴とするガスタービンモジュールの回転系保持装置。
【請求項2】 請求項1記載のガスタービンモジュールの回転系保持装置において、前記支持部には、前記シャフトの周面に嵌合する嵌合部が設けられていることを特徴とするガスタービンモジュールの回転系保持装置。
【請求項3】 請求項1または2記載のガスタービンモジュールの回転系保持装置において、前記支持部は、前記シャフトよりも軟性の材料で形成されていることを特徴とするガスタービンモジュールの回転系保持装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービンモジュールにおいてロータ等の回転系を保持して、輸送時等の損傷を防止する回転系保持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、航空機等のエンジンには、ガスタービンエンジンが多く使用されている。このエンジンは、圧縮された空気と、燃料供給装置により供給された燃料とを混合燃焼させて高温・高圧のガスとし、このガスを後方のジェットノズルから噴出させてその反動力で推進力を得るものである。
【0003】このようなガスタービンエンジンにおけるファン・低圧圧縮機および高圧圧縮機等の軸流圧縮機の部分では、図3に示すように、ケース1側に間隔をあけて固定された複数のステータ(静止系)2に対して、金属製のシャフト3に一体的に連結され、ステータ2の間に配置された複数のロータ(回転系)4をシャフト3周りに回転させることで空気を圧縮して後方に送り出すようにしている。
【0004】上記圧縮機のようなガスタービンモジュールは、製品として輸送する際にコンテナ内のベース台10に載置されるが、シャフト3が軸方向に移動すると、ステータ2とロータ4とが接触することで損傷する虞がある。このような事態を未然に防ぐために、ガスタービンモジュールにはシャフト3を介してロータ4を移動不能に保持する保持装置5が設けられている。
【0005】この保持装置5は、下端側がシャフト3に沿ってネジ固定された円筒部材6と、円筒部材6の上端に設けられたフランジ6aに取付ネジ7で固定される円板部材8とから構成されており、円板部材8は外周部において取付ネジ9により、ケース1のフレーム11に固定されている。なお、図3においては、断面のうち左半分のみを図示している。
【0006】この保持装置5を用いることでシャフト3は、保持装置5に吊り下げられた状態でケース1に固定されることになり、ロータ4とステータ2との位置関係が保持される。従って、輸送時におけるステータ2とロータ4との接触に起因する損傷を防止することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来のガスタービンモジュールのロータ保持装置には、以下のような問題が存在する。保持装置5は、シャフト3を含むロータ4の全重量を、このシャフト3を吊り下げた状態で支持している。そのため、輸送中の揺れ等でロータ4がステータ2に接触して損傷しないように保持装置5を頑強にする必要があり、高価で大型のものになってしまう。さらに、輸送すべきガスタービンモジュールの全てにこのような高価な保持装置を装着するとコスト増になるという問題があった。
【0008】また、保持装置5をシャフト3、フレーム11に取り付ける際には、取付ネジ7、9をそれぞれ複数使用するため多くの時間が必要であり、作業性が悪いという問題もあった。
【0009】本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、コスト増になることなくロータ等の回転系の移動を防止し、且つ取付時の作業性を向上させるガスタービンモジュールの回転系保持装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。請求項1記載のガスタービンモジュールの回転系保持装置は、ベース台上に載置されたガスタービンモジュールに回転自在に内装されたシャフトと一体的に連結された回転系を、ケースに固定された静止系に対して移動させないように保持する保持装置であって、前記ベース台上に載置されて前記シャフトを下方から支持する支持部と、前記シャフトおよび前記支持部に挿通され、下端が前記ベース台に結合された軸部と、該軸部を介して前記支持部との間で前記シャフトを上方から挟持する回転系挟持部と、前記軸部を介して前記ベース台との間で前記ケースを上方から挟持する静止系挟持部とを備えることを特徴とするものである。
【0011】従って、本発明のガスタービンモジュールの回転系保持装置では、支持部がシャフトを介して回転系の重量を支えた状態で回転系挟持部との間で回転系を挟持して保持する。また、静止系挟持部がベースとの間でケースを挟持する。回転系とケースとは同じ軸部を介して挟持されるため、これらの軸方向への相対移動を防止することができる。
【0012】請求項2記載のガスタービンモジュールの回転系保持装置は、請求項1記載のガスタービンモジュールの回転系保持装置において、前記支持部には、前記シャフトの周面に嵌合する嵌合部が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】従って、本発明のガスタービンモジュールの回転系保持装置では、シャフトと回転系とが、軸と直交する方向、すなわち半径方向へ移動することを防止できる。従って、回転系が半径方向へ移動して静止系またはケースに接触して損傷することを防止できる。
【0014】請求項3記載のガスタービンモジュールの回転系保持装置は、請求項1または2記載のガスタービンモジュールの回転系保持装置において、前記支持部は、前記シャフトよりも軟性の材料で形成されていることを特徴とするものである。
【0015】従って、本発明のガスタービンモジュールの回転系保持装置では、支持部がシャフトを介して回転系の重量を支えている状態で、振動等によりシャフトと支持部との間に衝撃が加わった場合、支持部が変形することで、シャフト側が損傷することを防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明のガスタービンモジュールの回転系保持装置の実施の形態を、図1および図2を参照して説明する。これらの図において、従来例として示した図3と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。なお、本発明では、従来例に対して保持装置の構成のみが異なるため、この部分について説明する。
【0017】図1は、ガスタービンモジュールにおいてロータ4が保持装置12によって、ステータ2に対して移動不能に保持されている断面図である。図2に示すように、この保持装置12は、ベース台10側から順に、ベース台10上でケース1を受ける平面視矩形の受け板13と、円筒形状を呈する支持部材(支持部)14と、外周に雄ネジが形成された棒状の軸部材(軸部)15と、軸部材15の略中央部に固着する円盤状の挟持板(回転系挟持部)16と、平面略正方形の挟持板(静止系挟持部)17と、軸部材15の雄ネジに螺着するナット18とから構成されている。
【0018】支持部材14は、木材等の軟性の材料で構成されており、下部に位置しシャフト3の内径よりも大径に形成された大径部14aと、該大径部14aの上部に位置しシャフト3の内径よりも小径に形成され、シャフト3の内周面(周面;図1参照)3aに嵌合する小径部(嵌合部)14bとを有している。これら大径部14aと小径部14bとの間には、段部14cが形成されている。また、支持部材14には、軸部材15が挿通される貫通孔14dが形成されている。
【0019】ベース台10には、軸部材15の雄ネジに螺合して該軸部材15を結合させる雌ネジ10aが形成されている。また、挟持板17には、軸部材15が挿通される貫通孔17aが形成されている。
【0020】上記の構成の保持装置5を用いて、ロータ4を保持する手順を以下に説明する。図1に示すように、まずケース1を受け板13を介してベース台10上に載置する。また、シャフト3は、ベース台10上に載置された支持部材14の段部14c上に支持させる。このとき、支持部材14の小径部14bがシャフト3の内周面3aに嵌合することでシャフト3の半径方向への移動を規制している。
【0021】次に、軸部材15の下端を支持部材14の貫通孔14dに挿通させるとともに、軸部材15を回転させて雄ネジをベース台10の雌ネジ10aに螺合させる。なおも軸部材15をねじ込むと、軸部材15が下方に移動して、挟持板16がシャフト3に上方から当接することで、軸部材15を介して支持部材14との間でシャフト3を挟持・保持する。
【0022】そして、軸部材15の上端側に挟持板17の貫通孔17aを挿通し、挟持板17をケース1の上部に載せる。この状態で、軸部材15の雄ネジに座金19を介してナット18を螺合させる。ナット18をねじ込むことで、ナット18が下方に移動し挟持板17を下方に押圧する。これにより、挟持板17はケース1を上方から押圧し、ケース1は軸部材15を介してベース台10と挟持板17との間で挟持・保持される。
【0023】本実施の形態のガスタービンモジュールの回転系保持装置では、支持部材14がロータ4およびシャフト3の重量を下方から支えるので、これらを吊り下げるときのように保持装置12を頑強にする必要がなくなる。そのため、保持装置12が従来と比較して半分程度の重量で済み、軽量化および低価格化を実現することができる。また、ステータ2が固定されたケース1と、ロータ4が設けられたシャフト3とを軸部材15を介してそれぞれ挟持しているので、輸送中の揺れ等でステータ2とロータ4とが軸方向に相対移動して接触することを防止でき、これらが損傷することを未然に防ぐことができる。そして、ロータ4を保持する際にも、軸部材15およびナット18を回転させてねじ込むだけの簡便な作業で済むので、従来と比較して半分程度の作業時間しかかからず、取付時の作業性も向上する。
【0024】さらに、本実施の形態では、支持部材14の小径部14bがシャフト3の内周面3aに嵌合するので、シャフト3の半径方向への移動を防止でき、ガスタービンモジュールに横揺れが発生した場合にも、ロータ4とステータ2の損傷を防ぐことができる。加えて、本実施の形態では、支持部材14が金属製のシャフト3よりも軟性の材料である木材で形成されているので、揺れ等でシャフト3と支持部材14との間に衝撃が加わっても、支持部材14がこの衝撃を吸収するとともに、衝撃が強い場合でも支持部材14が変形するので、シャフト3が損傷を受けることを防止できる。
【0025】なお、上記実施の形態において、挟持板16を軸部材15に設ける構成としたが、これに限定されず、例えば軸部材15の雄ネジに螺合するような構成であってもよい。この場合、挟持板16を回転させることで、シャフト3を簡便に挟持することができる。また、支持部材14が木材で構成される構成としたが、アルミニウムや真鍮等の軟性金属で形成してもよい。さらに、支持部材14の小径部14bがシャフト3の内周面3aに嵌合する構成としたが、シャフト3の外周面に嵌合する構成であってもよい。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るガスタービンモジュールの回転系保持装置は、シャフトを下方から支持する支持部と、下端がベース台に結合された軸部と、軸部を介してシャフトを挟持する回転系挟持部と、軸部を介してケースを挟持する静止系挟持部とを備える構成となっている。これにより、このガスタービンモジュールの回転系保持装置では、回転系を吊り下げるときのように頑強にする必要がなくなり、軽量化および低価格化を実現できるという効果が得られる。また、保持装置を取り付ける際も、簡便な作業で済むので、作業性も向上させることができる。
【0027】請求項2に係るガスタービンモジュールの回転系保持装置は、支持部にシャフトの周面に嵌合する嵌合部が設けられる構成となっている。これにより、このガスタービンモジュールの回転系保持装置では、横揺れが発生した場合でもシャフトの半径方向への移動を防止することで、回転系と静止系の損傷を防止できるという効果が得られる。
【0028】請求項3に係るガスタービンモジュールの回転系保持装置は、支持部がシャフトよりも軟性の材料で形成される構成となっている。これにより、このガスタービンモジュールの回転系保持装置では、支持部が衝撃を吸収するとともに、衝撃が強い場合でも支持部が変形するので、シャフトが損傷を受けることを防止できるという効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年9月3日(1999.9.3)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
【公開番号】 特開2001−73803(P2001−73803A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−250950