トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの

【発明の名称】 ガスタービン燃焼器の冷却蒸気制御方法
【発明者】 【氏名】大内 国雄

【要約】 【課題】ガスタービン燃焼器の冷却蒸気制御方法に関し、冷却蒸気の洩れを防止し、燃焼用空気への蒸気の混入を少なくする。

【解決手段】制御装置1には冷却蒸気供給系の圧力検出器6、燃焼器12、出口蒸気温度検出器7、冷却通路14の蒸気圧力の検出器8の各検出信号が入力される。起動中、負荷運転中には制御装置1は、蒸気圧力検出器8からの信号にバイアス値を加え、蒸気圧力が車室内空気圧力よりも若干高くするように、流量制御弁4で冷却通路14へ流入する蒸気量を、流量制御弁2で供給する蒸気圧力を制御する。制御装置1はガスタービン停止後は、開閉弁5を開き、乾燥空気を蒸気冷却系に流入し、ドレンの発生を防止する。これにより起動中、昇速中に燃焼空気への蒸気洩れによる混入を最小限に抑え、燃焼の不安定をなくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガスタービン燃焼器の冷却通路へ冷却蒸気を導き、同燃焼器を冷却する方法であって、運転中に冷却蒸気圧力と車室内圧力とを比較し、前記冷却蒸気圧力が前記車室内圧力よりも所定の微少圧力だけ高くなるように制御することを特徴とするガスタービン燃焼器の冷却蒸気制御方法。
【請求項2】 ガスタービン燃焼器の冷却通路へ冷却蒸気を導き、同燃焼器を冷却する方法であって、車室内圧力に所定の微少圧力値だけ加えた圧力値を目標値として設定し、運転中に前記冷却蒸気の圧力を前記目標値に近づくように制御することを特徴とするガスタービン燃焼器の冷却蒸気制御方法。
【請求項3】 ガスタービン燃焼器の冷却通路へ冷却蒸気を導き、同燃焼器を冷却する方法であって、前記冷却蒸気の圧力を、運転中に燃料注入量又は回転数に応じて増減させると共に、同冷却蒸気圧力が車室内圧力よりも所定の微少圧力だけ高くなるように制御することを特徴とするガスタービン燃焼器の冷却蒸気制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガスタービン燃焼器の冷却蒸気制御方法に関し、冷却蒸気の洩れ量を少なくし、燃焼空気への蒸気の混入を最小限に抑え、燃焼器の起動から定常運転にわたって燃焼の安定性を確保するように蒸気の流量、温度、圧力を制御するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】近年のガスタービンの高温化に伴い、ガスタービンの燃焼器を蒸気で冷却する方式が採用され始めており、図2はその概略構成図である。10はガスタービン、11は圧縮機、12は燃焼器であり圧縮機11からの圧縮空気を導き、燃料を燃焼させて高温の燃焼ガスを発生させ、ガスタービン10に導き、ガスタービン10のロータを回転させ、ガスタービンロータに接続した発電機を回転させる。燃焼器12は高温のガスを発生させるために、壁内部に冷却通路14を設け、これに蒸気を導いて蒸気で冷却することが行なわれている。冷却用蒸気は蒸気タービンのボトミング系から抽気され、配管15、開閉弁(遮断弁)13を経由して燃焼器12の冷却通路14へ導かれ、燃焼器12壁面を冷却して回収され、蒸気タービン側で有効利用される。このような蒸気冷却方式においては、ガスタービン起動時から定常運転時に必要とされる最大の圧力、流量の蒸気が冷却蒸気通路14に供給されており、現状では特に蒸気流量や圧力は運転中に制御されていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、ガスタービン燃焼器の冷却蒸気系統は、車室外部配管から外部車室を貫通して車室内の冷却蒸気ヘッダーに導かれ、燃焼器へ供給され、回収蒸気は逆に車室内から車室外へ導かれる。この車室内の蒸気ルート途上では、各部の熱膨張を緩和するためにシールリングが用いられており、これらシールリングからの蒸気の洩れが発生し、あるいは燃焼器壁内の冷却用通路に微少な傷があると、蒸気が燃焼器の冷却用通路から洩れる可能性がある。
【0004】ガスタービンの起動、昇速途中、あるいは低負荷域で上記のような蒸気洩れが発生していると、燃焼用空気中に蒸気が混入することになり、燃焼が不安定になり、洩れ蒸気量が多くなると、失火を起こす可能性もある。又、このような蒸気冷却方式においては、高温の燃焼ガスが逆に蒸気配管側に侵入しないように、蒸気圧力は、通常燃焼ガス圧力(車室側燃焼用空気圧力)より高い状態としており、蒸気が燃焼器側に洩れやすい状況にある。
【0005】そこで本発明では、起動中から高出力域において蒸気圧力、流量を制御することにより蒸気圧力と車室内圧力とのバランスを取り、蒸気圧力が最適な圧力、流量となるようにして、蒸気の洩れ量を最小限に抑えるような状態で冷却用蒸気を供給するガスタービン燃焼器の冷却蒸気制御方法を提供することを課題としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を解決するために、次の(1)〜(3)の手段を提供する。
【0007】(1)ガスタービン燃焼器の冷却通路へ冷却蒸気を導き、同燃焼器を冷却する方法であって、運転中に冷却蒸気圧力と車室内圧力とを比較し、前記冷却蒸気圧力が前記車室内圧力よりも所定の微少圧力だけ高くなるように制御することを特徴とするガスタービン燃焼器の冷却蒸気制御方法。
【0008】(2)ガスタービン燃焼器の冷却通路へ冷却蒸気を導き、同燃焼器を冷却する方法であって、車室内圧力に所定の微少圧力値だけ加えた圧力値を目標値として設定し、運転中に前記冷却蒸気の圧力を前記目標値に近づくように制御することを特徴とするガスタービン燃焼器の冷却蒸気制御方法。
【0009】(3)ガスタービン燃焼器の冷却通路へ冷却蒸気を導き、同燃焼器を冷却する方法であって、前記冷却蒸気の圧力を、運転中に燃料注入量又は回転数に応じて増減させると共に、同冷却蒸気圧力が車室内圧力よりも所定の微少圧力だけ高くなるように制御することを特徴とするガスタービン燃焼器の冷却蒸気制御方法。
【0010】本発明の(1)の方法は、燃焼器の冷却通路へ導かれる蒸気圧力は車室内圧力より若干高めに設定されるので、蒸気圧力と車室内圧力の差圧を小さくすることができる。洩れ蒸気量は、この差圧によって決まり、差圧が大きい程、洩れ蒸気量は多くなるので、昇速中あるいは低出力域における蒸気洩れ量をできる限り少なくするために、この差圧を小さくする必要がある。このために、燃焼器へ供給される蒸気圧力を車室圧力+「逆流防止最小差圧」に制御することにより、燃焼用空気中への蒸気の洩れによる混入を最小限に抑えることができ、特に昇速中、あるいは低負荷域での燃焼への影響を最小限として燃焼の不安定、失火を防止することができる。
【0011】本発明の(2)の方法では、車室内圧力に微少圧力、即ち「逆流防止最小差圧」を加えた圧力値を目標値として設定し、冷却蒸気の圧力を目標値に近づけるように制御するので、上記(1)の発明と同様に、燃焼用空気中への蒸気の洩れによる混入を最小限に抑えることができ、特に昇速中、あるいは低負荷域での燃焼への影響を最小限にして燃焼の不安定、失火を防止することができる。
【0012】本発明の(3)では、冷却蒸気圧力を燃料注入量又は回転数に応じて増減させ、かつ車室内圧力よりも「逆流防止最小差圧」の微少圧力だけ高くなるように制御するので、上記(1)と(2)の発明と同様に、燃焼用空気中への蒸気の洩れによる混入を最小限に抑えることができ、特に昇速中、あるいは低負荷域での燃焼への影響を最小限にして燃焼の不安定、失火を防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実施の一形態に係るガスタービン燃焼器の冷却蒸気制御方法を適用する制御系統図である。図において、15は冷却蒸気が導かれる配管で、蒸気は蒸気タービンのボトミング系から抽気して導かれる。2は流量制御弁であり、燃焼器12の冷却蒸気をバイパスさせて、燃焼器12の冷却通路14への蒸気の供給圧力を制御する。3は遮断弁であり、燃焼器12への供給蒸気を開閉する。4は流量制御弁であり、燃焼器12の冷却通路14への蒸気流量を制御する。5は開閉弁であり、ドレン排出用の乾燥空気の導入を開閉する。
【0014】6は圧力検出器で蒸気供給配管の蒸気圧力を検出する。7は温度検出器であり、燃焼器12の冷却通路14の出口蒸気の温度を検出する。8は圧力検出器であり、冷却通路14内の蒸気圧力を検出し、車室内空気圧力と比較するためのものである。
【0015】制御装置1には、上記の圧力検出器6、温度検出器7、圧力検出器8からの検出信号がそれぞれ入力され、後述するように蒸気供給側の供給圧力を調整する流量制御弁2、燃焼器冷却系の遮断弁3、燃焼器12へ蒸気を供給する流量制御弁4、ドレン系の開閉弁5をそれぞれ制御するものである。
【0016】上記構成において、冷却蒸気系統の配管15には約300℃程度の冷却蒸気が導かれ、遮断弁3を開き、流量制御弁4を経由して蒸気が燃焼器12の冷却通路14へ導かれ、燃焼器12を冷却し冷却により温度が約500℃以上となり、回収される。まず、起動前には、蒸気系統をウォーミングアップするため、遮断弁3を微開として流量制御弁を開き、蒸気を冷却系統に流しウォーミングを行い、温度検出器7が所定の温度となるまで行う。
【0017】起動時には、冷却蒸気の流量は少量で良く、制御装置1により流量制御弁2を所定量開き、入口側の流量制御弁4を制御して蒸気を燃焼器12へ流す。蒸気圧力は圧力検出器8の圧力を参照し、車室内圧力よりわずかに高い圧力に設定する。制御装置1は、車室内圧力を圧力検出器8で検出し、この圧力値に「蒸気の逆流を防止する最小差圧」となるバイアスを加えて設定値とし、この設定値となるように流量制御弁2、流量制御弁4の開度を制御する。
【0018】負荷運転中では、制御装置1は出口の蒸気温度を温度検出器7で検出し、出口蒸気温度が予め定められた負荷対設定温度となるように制御すると共に、出口温度の上限値を超えないように流量制御弁4で蒸気流量を調整することにより制御する。この場合の蒸気の供給圧力は、供給系の配管15をバイパスする配管16に設けられた流量制御弁2を調節し、圧力検出器6で検出した圧力が予め定められた圧力となるように制御し、冷却通路14へ流入する蒸気圧力が車室内圧力よりも高くなるように制御する。
【0019】ガスタービンの停止時には、制御装置1は、蒸気系統に蒸気の滞留によるドレン発生を防止するため、ガスタービン停止信号(又は回転数信号)により開閉弁5を所定時間開き、乾燥空気を投入する。
【0020】上記に説明のように、制御装置1は、ウォーミング、起動時、負荷運転時に、それぞれ圧力検出器6、温度検出器7、圧力検出器8の各検出器からの検出信号を取込み、流量制御弁2、遮断弁3、流量制御弁4、開閉弁5をそれぞれ制御し、蒸気圧力を車室内圧力よりも若干高い適正な圧力に制御し、蒸気の洩れを防ぎ、安定した燃焼性を確保する。
【0021】上記の起動から負荷運転までの具体的な制御例について説明すると、ガスタービン着火回転数を定速の約20%速度とした場合、着火状態は約35%回転数で安定する。従って、第1の制御方法は、35%回転数以下では、流量制御弁4をできるだけ絞って供給蒸気圧力を(車室圧力)+(逆流防止最小差圧)に制御し、燃焼用空気中への蒸気の洩れによる混入を最小限とし、昇速中、あるいは低負荷域での燃焼への影響を少なくして燃焼不安定、失火を防止する。35%回転以上では、流量制御弁4の開度を次第に増加させる。
【0022】第2の制御方法としては、蒸気の圧力を圧力検出器8で検出し、(車室圧力)+0.05〜0.1μPa )を制御目標値に設定し、流量制御弁2,4の開度を制御して燃焼器12の冷却通路14への蒸気の圧力と流量を制御し、目標値に近づけるようにする。又、第3の制御方法としては、燃料注入量に応じて、上記と同様に冷却蒸気の圧力、流量を制御し、燃料注入量が多い時には蒸気量も多く、注入量が少ないと蒸気量も少なくするように比例制御し、かつ、蒸気圧力が車室内圧力よりもわずかに高くなるように制御する。又、燃料注入量の代わりに回転数に比例させても良い。
【0023】上記のように冷却蒸気圧力を車室内圧力よりもわずかに高めに設定し、適正に制御することにより、特にガスタービンの昇速中と低出力域において、燃焼用空気中への蒸気の洩れによる混入を最小限にすることができ、燃焼器の不安定な燃焼が防止され、失火も防止できる。
【0024】
【発明の効果】本発明のガスタービン燃焼器の冷却蒸気制御方法は、(1)ガスタービン燃焼器の冷却通路へ冷却蒸気を導き、同燃焼器を冷却する方法であって、運転中に冷却蒸気圧力と車室内圧力とを比較し、前記冷却蒸気圧力が前記車室内圧力よりも所定の微少圧力だけ高くなるように制御し、又、(2)の発明では車室内圧力に所定の微少圧力値だけ加えた圧力値を目標値として設定し、運転中に前記冷却蒸気の圧力を前記目標値に近づくように制御し、更に(3)の発明では、冷却蒸気の圧力を、運転中に燃料注入量又は回転数に応じて増減させると共に、同冷却蒸気圧力が車室内圧力よりも所定の微少圧力だけ高くなるように制御することを特徴としている。このような(1),(2),(3)の方法によれば、燃焼用空気中への蒸気の洩れによる混入を最小限に抑えることができ、特に、昇速中、あるいは低負荷域での燃焼への影響を最小限にして燃焼の不安定、失火を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成11年9月2日(1999.9.2)
【代理人】 【識別番号】100069246
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 新 (外1名)
【公開番号】 特開2001−73801(P2001−73801A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−248340