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【発明の名称】 発電用ガスタービンおよびこのガスタービンを利用した熱電併給設備
【発明者】 【氏名】高橋 徹

【氏名】斉川 路之

【氏名】岩坪 哲四郎

【氏名】浜松 照秀

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発電機を駆動するタービンで仕事をした後の燃焼排ガスの廃熱を回収し燃焼用圧縮空気を予熱する再生器を備える発電用ガスタービンにおいて、前記再生器を迂回する燃焼排ガス用のバイパスと、該バイパスの分岐点で前記燃焼排ガスの流路を決定するバイパスバルブとを備え、前記再生器における前記燃焼排ガスと前記燃焼用圧縮空気との熱交換量を可変としたことを特徴とする発電用ガスタービン。
【請求項2】 前記バイパスバルブは前記燃焼排ガスの流量を連続的に変化させ得るものであることを特徴とする請求項1記載の発電用ガスタービン。
【請求項3】 ガスタービンを利用して電力を併給し不足電力は系統電力から供給する熱電併給設備において、このガスタービンとして請求項1または2記載の発電用ガスタービンを備え、熱負荷の多い時期あるいは電力需要量よりも熱負荷需要量の方が大きいときには前記発電用ガスタービンの燃焼排ガスを前記発電用ガスタービンのバイパス側を通過させ廃熱を冷暖房の熱源として利用することにより前記系統電力からの供給量を少なくし、熱負荷の少ない時期あるいは電力需要量よりも熱負荷需要量の方が小さいときには前記燃焼排ガスを前記再生器側を通過させて燃焼用圧縮空気を予熱することにより発電効率を向上させ、前記系統電力から供給される基本電力使用量を少なくすることを特徴とする熱電併給設備。
【請求項4】 前記廃熱によって前記熱負荷の全需要量を賄い得るように前記発電用ガスタービンを稼動させると共にこれら発電用ガスタービンにより電力需要量の一部を賄い、残りの電力需要量の一部は前記基本電力使用量で賄い、さらに残りの電力需要量の全てを賄い得るよう別の発電用ガスタービンを稼動させ、かつ、これら別の発電用ガスタービンの前記燃焼排ガスは前記再生器側を通過させることを特徴とする請求項3記載の熱電併給設備。
【請求項5】 前記燃焼排ガスのバイパス通過量を必要な熱負荷量に応じて変化させることを特徴とする請求項3または4記載の熱電併給設備。
【請求項6】 前記バイパスのバイパスバルブにより前記燃焼排ガスのバイパス通過量を連続的に変化させて調整することを特徴とする請求項5記載の熱電併給設備。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発電用ガスタービンとこのガスタービンを利用した熱電併給設備に関する。さらに詳述すると、本発明は熱電需要設備例えばビルなどで再生器を備えたガスタービンの駆動によって発電する発電設備を備え、該発電設備から供給される電力と系統電力との併用で必要とする電力及び熱源を賄う熱電併給設備における発電効率と熱利用効率との改善に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、ビルなどの建造物では、多くの場合、系統電力によって電力と熱負荷とを賄うようにしている。即ち、建造物では空調システムに電動ヒートポンプを使用し、系統電力から供給される電力によって熱負荷需要と電力需要の双方を賄っている。
【0003】また、ある程度の規模のビルではガスタービン駆動の発電設備を独自に設置し、系統電力だけに頼らずに併用するようにした給電設備も考えられている。このようなビルや工場規模でのガスタービン発電設備の設置は、再生器を備える小型のガスタービンの出現によって可能となっている。
【0004】例えば図33に示すようなガスタービン101は、空気圧縮機102を通過した燃焼用圧縮空気と燃焼器103およびタービン104を通過した燃焼排ガスとの間で熱交換を行う再生器105を備え、ここで廃熱を回収し燃焼用圧縮空気を予熱するようにしている。これによれば、燃焼用のガス温度を上げるのに必要な熱の投入を抑え、熱効率を高めて発電効率を向上させることができる。再生器105を通過する燃焼排ガスは廃熱を奪われ、例えば600℃程度から200℃程度にまで温度を下げて排気される。
【0005】このようなガスタービン101を備えたビルは、必要とする電力の一部を自家発電で補うことが可能となる。また、例えば夏季や冬季のように空調などで電力需要の多くなる時期にあっては、全ての電力を賄いきれなければ系統からの電力供給を受け需要を賄うようにしたものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在のような電力供給制度の下では、契約などによって電力の月間基本使用量があらかじめ決められることが一般的であり、夏季や冬季のように電力需要の多い時期にあわせて使用量を決定すると春季・秋季のような需要の少ない時期との間で電力需要量に差が生じてしまうという問題がある。この場合、春季・秋季にも高い基本料を払わなければならず、年間合計で支払う料金が高くなるので、ランニングコストを抑えることができない。
【0007】そこで、本発明は、現在の電力供給制度下においてガスタービンを利用して電力を供給している場合にランニングコストを改善することができるガスタービンおよびガスタービンを利用した熱電併給設備を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するため、本願発明者は、上述のガスタービン101からの燃焼排ガスに着目した。燃焼排ガスは、200℃程度という半端な温度まで低下してしまうと熱源として有効に再利用できなくなってしまう。したがって、廃熱が回収された排ガスは、いくらか熱を保有している場合であってもやむなくそのまま排気するしかなかった。本願発明者はこの点に着目し、このような廃熱の無駄をなくすことにより系統からの電力供給量を低くすることができることを知見するに至った。
【0009】本願発明はかかる知見に基づくものであり、請求項1記載の発明は、発電機を駆動するタービンで仕事をした後の燃焼排ガスの廃熱を回収し燃焼用圧縮空気を予熱する再生器を備える発電用ガスタービンにおいて、再生器を迂回する燃焼排ガス用のバイパスと、該バイパスの分岐点で燃焼排ガスの流路を決定するバイパスバルブとを備え、再生器における燃焼排ガスと燃焼用圧縮空気との熱交換量を可変とするようにしている。
【0010】したがって、このガスタービンにおいては、バイパスバルブを切り換えることによって燃焼排ガスを再生器に通過させることあるいは通過させずに排気することのいずれも可能である。よって、燃焼排ガスの廃熱を再生器で回収し燃焼用圧縮空気の予熱に利用することができるし、または廃熱を回収せず高温を維持したままこの燃焼排ガスを排気することもできる。
【0011】このように排ガス流路の切り換えを可能としたガスタービンでは、燃焼排ガスを再生器側に導けば廃熱で燃焼用圧縮空気を予熱できるので、この予熱に要する分だけ熱量投入が抑えられ熱効率を高くして発電効率を向上させることができる。一方、燃焼排ガスをバイパス側に導いた場合には、廃熱が失われないため燃焼排ガスを高温に保持したまま排気することができる。この場合の燃焼排ガスは、ガスタービンの後段に設置した吸収式ヒートポンプなどにおける有効な熱源として利用可能である。
【0012】したがって、必要な熱負荷量が少ない通常時においては廃熱を回収してガスタービンの発電効率を向上させておく一方、熱負荷が大きくなれば廃熱を回収することなく吸収式ヒートポンプなど後段の熱装置に送り、ここで熱源として利用することで空調の補助とする。このように吸収式ヒートポンプで廃熱を再利用すれば、熱負荷が多い場合にもこれを賄うことができ、ビル内空調に要する電力量を増大させないようにすることができる。この結果、系統からの最大供給電力量を低く抑えることが可能となる。
【0013】請求項2記載の発明は、請求項1記載のガスタービンにおけるバイパスバルブを、燃焼排ガスの流量を連続的に変化させ得るようにしたものである。このバイパスバルブは、例えば無段階調節可能に設けられ、燃焼排ガスの流量比つまり再生器を通過する流量とバイパスを通過する流量の比を連続的に変化させることが可能である。
【0014】また請求項3記載の発明は、ガスタービンを利用して電力を併給し不足電力は系統電力から供給する熱電併給設備において、このガスタービンとして請求項1または2記載の発電用ガスタービンを備え、熱負荷の多い時期あるいは電力需要量よりも熱負荷需要量の方が大きいときには発電用ガスタービンの燃焼排ガスを発電用ガスタービンのバイパス側を通過させ廃熱を冷暖房の熱源として利用することにより系統電力からの供給量を少なくし、熱負荷の少ない時期あるいは電力需要量よりも熱負荷需要量の方が小さいときには燃焼排ガスを再生器側を通過させて燃焼用圧縮空気を予熱することにより発電効率を向上させ、系統電力から供給される基本電力使用量を少なくするようにしたものである。
【0015】即ち、この熱電併給設備におけるガスタービンはバイパスとバイパスバルブを備え、燃焼排ガスを再生器に導くことあるいは再生器側に導かず高温を維持したまま排気することのいずれも可能である。よって、廃熱を回収することまたは廃熱を保持したままの燃焼排ガスを排気することを適宜選択することができる。
【0016】したがってこの熱電併給設備では、熱負荷の少ない春季などの時期あるいは電力需要量よりも熱負荷需要量の方が小さいときにおいては燃焼排ガスの廃熱を再生器で回収して発電効率を高めるようにする一方、熱負荷の多い夏季などの時期あるいは電力需要量よりも熱負荷需要量の方が大きいときにおいては、この廃熱を再生器で回収することなく高温のまま後段の装置例えば吸収式ヒートポンプの熱源として利用して必要な熱量を供給するようにしている。この場合、系統電力で駆動される電動ヒートポンプよりも低コストで冷熱あるいは温熱を供給することができる。
【0017】請求項4記載の発明は、請求項3記載の熱電併給設備において、廃熱によって熱負荷の全需要量を賄い得るように発電用ガスタービンを稼動させると共にこれら発電用ガスタービンにより電力需要量の一部を賄い、残りの電力需要量の一部は基本電力使用量で賄い、さらに残りの電力需要量の全てを賄い得るよう別の発電用ガスタービンを稼動させ、かつ、これら別の発電用ガスタービンの燃焼排ガスは再生器側を通過させるようにしたものである。
【0018】上記のように複数のガスタービンを備えた熱電併給設備では、まず熱負荷需要に見合う分のガスタービンを稼動させ、これらガスタービンの燃焼排ガスで全ての熱負荷を賄う。また、これらガスタービンで電力需要の一部を賄う。足りない分の電力は系統電力から供給される基本電力で賄う。そして、電力需要のうちさらに足りない分については、別のガスタービンを稼動させることによって賄う。このとき、熱負荷需要は既に最初のガスタービンによって満たされているので、これら別のガスタービンにおいては燃焼排ガスを再生器側に導き、燃焼用空気を予熱することによって発電効率を向上させるようにする。
【0019】請求項5記載の発明は、請求項3または4記載のガスタービンを利用した熱電併給設備において、燃焼排ガスのバイパス通過量を必要な熱負荷に応じて変化させるようにしたものである。このように燃焼排ガス通過量を変化させるには、バイパスバルブを調節可能に設けるようにしてもよいし、複数のガスタービンのうち燃焼排ガスがバイパスを通過するものを適宜選択するようにしてもよい。
【0020】また、バイパスバルブで燃焼排ガスのバイパス通過量を変化させるには、請求項6記載の発明のように連続的に変化させて調整し得るようにすることが好ましい。この場合、燃焼排ガスの流量比つまり再生器を通過する流量とバイパスを通過する流量の比を連続的に変化させることができ、再生器で回収する廃熱量や燃焼排ガスの排気温度を適宜変化させることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0022】図1および図2に、本発明にかかるガスタービンおよびこのガスタービンを利用した熱電併給設備の一実施形態を示す。このガスタービン1は、ガス圧縮機2と、燃焼器3と、空気圧縮機4と、タービン5と、再生器6と、バイパス7と、バイパスバルブ8と、交流発電機9と、変換機10とを主に備えて構成されている。なお、小型化されたガスタービン1はマイクロガスタービンと呼ばれることもあり、本願にかかる図や表の中ではこれをMGT(Micro Gas Turbine の略)と示す場合もある。
【0023】ガス圧縮機2は燃焼用ガスを圧縮して燃焼器3に送り込む装置である。また、燃焼用空気は空気圧縮機4によって圧縮空気とされた後、再生器6を経由してから燃焼器3に送り込まれる。この燃焼用圧縮空気と混合され、燃焼した圧縮ガスは蒸気を発生してタービン5を高速回転させ、交流発電機9はこの回転を利用して発電する。電気は変換機10において変換された後、電力として供給される。また、燃焼器3によって生じた燃焼排ガスは、再生器6を経由して排気される。燃焼排ガスの廃熱はこの再生器6で回収されて燃焼用圧縮空気を予熱するので、ガスタービン1としての熱効率が向上する。
【0024】本実施形態では、さらに、燃焼排ガスを再生器6を通過させずに排気させ得るバイパス7を設けると共に、このバイパス7の分岐点にバイパスバルブ8を設けている。このバイパスバルブ8は、燃焼排ガスを再生器6とバイパス7のいずれを通過させて排気するか選択するように設けられている。したがって本実施形態のガスタービン1では、このバイパスバルブ8におけるいずれかの経路への供給口を閉じることによって、燃焼排ガスを再生器6を通過させて排気するかあるいは通過させずに排気するかを選択することが可能である。このバイパスバルブ8としては、燃焼排ガスにいずれの通路を通過させるか二者択一的に選択可能なものであっても良いが、例えば無段階調整可能な弁を備え、再生器6およびバイパス7を流れる燃焼排ガスの流量を連続的に変化させ得るように設けられているものが好適である。
【0025】そして、このようなガスタービン1によると、大量の電気が必要なときは再生器6を稼動させて廃熱を燃焼用圧縮空気の予熱に再利用し発電効率を向上させることが可能である。廃熱を再利用するため排気温度は再利用し難い程度まで低下するが、これにより発電効率は30%程度まで向上する。また、逆に、排ガスをそのまま他の機器の熱源として利用する場合は、再生器6で熱交換を行わずに高温に維持したまま排気する。この場合、ガスタービン1の発電効率は15%程度まで低下するが、他の機器の熱源としての排ガスの再利用が可能となる。
【0026】本実施形態のガスタービン1は、ある事務所ビルなどにおいて、例えば図2に示すように同一空間内を空調する空調設備その他の電気設備に補助的な電力を供給するものとして設けられている。この場合、ビルの需要電力は、ガスタービン1で発生させた電力と、系統から供給される電力とを併用して賄われている。なお、ガスタービン1の設置台数に特に制限はないが、本実施形態のように発電設備として利用する場合は、あるガスタービン1が故障などした非常時のことも考慮して少なくとも2台好ましくは3台以上設置するようにする。
【0027】そして、このような熱電併給設備を有するビルにおいては、空調に対する電力供給は以下のようになる。
【0028】まず、気温が中庸であり空調のための熱負荷がさほど多くない春季や秋季においては、ガスタービン1の燃焼排ガスが有する廃熱を有効利用して熱効率を高めるため、この燃焼排ガスを再生器6側に導くようにバイパスバルブ8を切り換える。したがって、燃焼用圧縮空気は燃焼排ガスから廃熱を受け取って予熱され、この予熱に要する分だけ、つまり燃焼用圧縮空気をある一定の温度まで上昇させるのに必要な燃料の分だけ熱効率を向上させる。以上のように廃熱を利用した場合、例えば本実施形態のガスタービン1においては発電効率を30%程度にまで向上させることができる。なお、燃焼排ガスは、再生器6において熱を失うことによって例えば600℃から200℃程度まで温度を下げる。
【0029】一方、空調のための熱負荷が増大する夏季あるいは冬季においては、バイパスバルブ8を逆側に切り換え、燃焼排ガスをバイパス7側に導き再生器6を通過させないようにする。この場合、燃焼排ガスは燃焼用圧縮空気との間で熱交換をしないため高温のまま排気される。例えば上述の場合でいえば、燃焼排ガスはほぼ600℃を維持したまま排気される。
【0030】このように再生器6で熱交換を行わずに燃焼排ガスを排気する場合、この後段において燃焼排ガスの廃熱の再利用が可能となるので、ガスタービン1の後段に吸収式ヒートポンプを設け、廃熱を利用して稼動させることができる。そこで、この吸収式ヒートポンプで冷暖房を行うようにすれば、ビル内空調温度がより適度なものとなるので、冷暖房装置が受け持つ熱負荷を低くすることができる。したがって、ビルなどの屋内空調のため夏季や冬季に増大する需要電力を補助し、系統から供給を受ける電力量を減少させることができる。
【0031】なお、バイパスバルブ8において燃焼排ガスの流路を切り換えるときは、いずれかを選択的に切り換えるのみならず、バルブ開閉量を調整するなどにより流量を連続的に切り換えることができるのはいうまでもない。このように燃焼排ガスの流量を無段階に調整するようにすれば、吸収式ヒートポンプで要する熱量や外気温度などに応じて再生器6における熱回収量を連続的に変化させることができる。
【0032】以上説明したように、本実施形態のガスタービン1はバイパス7とバイパスバルブ8を備え、再生器6を通過する燃焼排ガスの流量を適宜変えることを可能としたものであり、これによれば、再生器6において廃熱を回収することはもとより、ここで回収せずに後段の装置に熱を送り込むことも可能である。また、この排ガス流量を連続的に変化させ廃熱回収率を適宜変えることも可能である。
【0033】そして、このようなガスタービン1を、ビルの熱負荷を負担して需要電力を補助的に供給する装置として設置した場合、熱負荷の少ない時期は契約電力範囲内で空調などを賄い得る一方、熱負荷の多い電力需要期においてはガスタービン1の廃熱を利用して吸収式ヒートポンプなどを稼動させることにより冷暖房を行い、空調に要する熱量と電力量との比いわゆる熱電比を変化させた熱電可変型運転とすることによって消費電力を抑えることができる。
【0034】さらに、熱負荷の少ない時期はガスタービン1における廃熱をガスタービン1内で回収することによりガスタービン1自体の熱効率を高めることが可能である。したがって、熱負荷が多くなればこの廃熱を適宜吸収式ヒートポンプに送って補助的に冷暖房を行うというように、電力需要に合わせて廃熱を有効に利用することができる。
【0035】よって、特に事務所用ビルなどの建造物において熱電併給型の空調を行っている場合において、この吸収式ヒートポンプを利用することにより、例えば夏季においての月間別最大電力消費量を抑えるなど、熱負荷の需要期における電力量を従来よりも低く抑えることができる。したがって、この月間別最大電力消費に合わせて年間の契約電力量が決められるような制度下においては、年間の格差が少なくなることから基本電力使用量が少なくなり、電力の年間契約使用量をある程度低い料金以下に抑えることによって年間を通じての料金体系を抑えることができる。
【0036】なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述した実施形態でガスタービン1の後段に設置したのは吸収式ヒートポンプであるが、これはあくまでも好適な例の一つにすぎない。即ち、熱交換量を可変とした本実施形態のガスタービン1によれば、熱交換量を少なくすることで高温の燃焼排ガスを供給することができるから、この高温ガスを熱源として利用可能なあらゆる装置を後段に設けることが可能である。つまり、上述したガスタービン1は熱源としての高温燃焼排ガスの供給源として機能するものであるから、後段の装置はヒートポンプに限らず熱交換器や冷凍機などの熱装置を設置して燃焼排ガスを利用することが可能である【0037】また、本実施形態で示した図2では、7台のガスタービン1,…,1のうち再生器6を備えていないものを2台使用するようにしているが、これは一例であり、その割合は適宜変更可能なものである。これら複数のガスタービン1,…,1の全てに再生器6を備えさせることももちろん可能である。
【0038】
【比較例】以下において、ガスタービン1を利用して■電気を主とし、必要に応じて熱を従として利用する電主熱従型の運転パターン、■熱を主とし、必要に応じて電気を従として利用する熱主電従型の運転パターン、■電気と熱との割合を適宜切り換える本実施形態の熱電可変型の運転パターンの3種の運転をした場合について図3〜図32を用いて説明する。なお、参考例として■ガス吸収式冷温水発生器と系統電力の組み合わせ、■電動ヒートポンプと系統電力の組み合わせについても示した。
【0039】ここでは、季節の変化に伴い空調運転の必要性が変わり、これに伴いビルが要するエネルギーが変化するので、これに対応して変わる運転パターンを比較した。なお、本実施例は、図27に示すように、延床面積10000mの事務所ビルにおける電力と冷暖房熱負荷を具体的な機器やエネルギー単価の下で解析と試算をしたものである。この事務所ビルでは、ある一定量の電力(60kW)を電力会社から購入し、これを超える分の電力はビル内のガスタービン1を用いて自力で発電し賄うようにしている。ここでは、1台あたり50kWを発生するガスタービン1を7台設置し、稼動台数を切り換えることによって全体出力を適宜変化させることとしている。
【0040】まず、図3〜図10に、8月、1月、4月そして10月における電主熱従型の運転パターンと熱電出力、熱負荷、電力負荷を示す。この電主熱従型の場合、基本電力量を除いた全ての電力負荷を賄い得るように再生器6を有しないガスタービン1の必要電気出力を決め、その廃熱(図27中では排熱と記載)で熱負荷を賄っている。ただし廃熱が不足する時間帯はその熱負荷を賄えるようにガスタービン1を運転する。この場合、余剰電力が発生するがその割合はガスタービン1の全発電量の約0.6%とごくわずかとなる。
【0041】図3、図5に示すように、8月においては系統から一定量の電力を購入しており、この一定量を超える分についてビル内のガスタービン1を稼動させて発電している。即ち、図5などに示すように、電力負荷のグラフと基本電力量(買電量)との差を埋めるようガスタービン1の出力や運転台数を決定して稼動させている。この場合、ガスタービン1の全廃熱をバイパス7に通過させ、熱負荷を賄う熱源として利用している。図3において各時刻におけるガスタービン1の稼動量を示す示す棒グラフは、図3におけるガスタービン1の稼動量に対応して示している。
【0042】この電主熱従型では、排ガスボイラで蒸気を生成し、吸収式ヒートポンプで冷房している。ここで、これらガスタービン1の廃熱が熱負荷需要をどの程度賄っているかについてみると、ガスタービン1を稼動させているときの廃熱は吸収冷凍機などで回収し変換効率を20%程度高めるようにしているので、この結果、図示するように、棒グラフの値が示すガスタービン1の熱出力よりもある程度大きい値の熱出力を発生させることが可能である。この場合、図3に示すように、結果的に必要な熱負荷よりも矢示する分だけ多く熱が出力される。
【0043】一方、図4に示す冬季においては、朝晩において暖房に必要な熱負荷が増える。したがって、上述の夏季と同様、電力需要に合わせて図6のように複数のガスタービン1を運転した場合は図中に示すように特に昼間において余剰熱が生じることとなる。
【0044】また、春季(4月)や秋季(10月)における様子を示すと、図7〜図10に示すようになる。ここでは、電力負荷は他の時期と変わらないためガスタービン1の稼動状況もほぼ同様となるが、外気温が中庸であることから冷暖房に要する熱負荷が少なく、特に余剰熱が大きい。
【0045】次に、図11〜図18に熱主電従型運転パターンにおける熱電出力、熱負荷、電力負荷を示す。この熱主電従型では、全ての熱負荷を賄うようにガスタービン(再生器無し)1の必要出力を決め、このガスタービン1が発生する電力を主とすると共に、不足する電力は系統から補助的に購入してこれを従として用いるものである。
【0046】この熱主電従型では、図11、図12に示すように、8月および1月において熱負荷にほぼ一致させるようにガスタービン1を稼動させることができる。ただし、8月においては上述したように吸収冷凍機で変換効率を20%程度高めるようにしているので、図11において棒グラフで示すガスタービン1の稼動量は、熱負荷を示すグラフよりも下回っていて構わない。また、ここでは必要な熱負荷に合わせてガスタービン1を稼動させていることから、例えば照明や動力など熱以外に用いる電力は系統から購入している。
【0047】一方、この4月や10月においてこの熱主電従型を用いた場合、熱負荷需要が少ないことから図15、図16に示すようにガスタービン1の稼動量がきわめて少なくなる。したがってガスタービン1の発電量も少なくなり、電力負荷を賄うために系統電力から供給を受ける電力量が図17、図18に示すように極端に多くなってしまう。
【0048】次に、上述したガスタービン1による熱電併給と系統電力とを組み合わせた熱電可変型について示すと、図19〜図26のようになる。ここでは、図19、図20、図23および図24に示すように、まず廃熱によって熱負荷の全需要量を賄い得るよう発電用ガスタービン1を稼動させる。そして、図21、図22、図25および図26に示す電力需要の一部を、これら発電用ガスタービンによる発電量によって無地の棒グラフで示すように賄う。また、残りの電力需要量の一部は、図中に買電量として示した系統電力からの基本電力使用量で賄う。そして、電力負荷のうちこれでも足りない分については、図中縞模様の棒グラフで示すように、残り量の全てを発電するよう別の発電用ガスタービンを稼動させることによって賄う。
【0049】具体的に述べると、8月においては図19に示すように時間帯に応じて台数を変えてガスタービン1を稼動させており、この点では図11に示した場合と変わるところがない。ただし、図19に示す午前10時の段階ではガスタービン1を4台稼動させて熱負荷を賄っている。このとき、残り3台の分についてはバイパスバルブ8を切り換えて高温のまま燃焼排ガスを排気し、再生器6を用いて高効率で発電し、これを各後段のガス吸収式ヒートポンプの熱源として利用することが可能である。
【0050】この場合は、燃焼排ガスが有する高い廃熱を熱源として利用でき、吸収式ヒートポンプを稼動させることで空調の冷却効果をより高めることができる。この結果、ガスタービン1が発電した電力の全てを空調のために用いる必要がなくなり、この電力をビル全体の需要電力のいずれかにまわすことが可能となる。この場合、ガスタービン1自体における発電効率は下がるが、3台分の廃熱を利用した空調を併せて行っているので余計な電力の消費を防止することができる。このように需要電力の一部をビル内で賄うようにした結果、系統から購入する不足電力量も少ない。
【0051】以上の試算は1月においても該当し、がスタービン1の廃熱を吸収式ヒートポンプなどの熱源として利用することで空調能力を上げ空調に要する電力量を低下させることができる。そしてこの結果、図20、図22に示すようにビル全体としての需要電力量が低下し、系統から購入する電力が少なくなる。
【0052】一方、4月、10月の場合は、図23〜図26に示すようにビルが要する熱負荷が小さいので廃熱は回収することとし、ガス吸収式ヒートポンプの熱源とはしない。この場合は、ガスタービン1を30%の発電効率で運転することができるので効率の良い発電を行うことができる。このため、系統から購入する電力量も少なくて済む。
【0053】そして、上記■〜■および■ガス吸収式冷温水発生器と系統電力の組み合わせ、■電動ヒートポンプと系統電力の組み合わせの各運転パターンについて、図29および図30に示すような料金体系の下で試算すると、設備コスト試算結果は図28に示すようになり、また経済性と省エネ性の試算結果は図31に示すようになり、さらにランニングコスト試算結果は図32に示すようになる。この図32に示す結果によれば、ガスタービン用のガス料金、空調に要する電気料金、冷却水、メンテナンス代を含めた年間の合計試算額は本実施形態の熱電可変型がもっとも低く、■の電主熱従型や■の熱主電従型に比較してコストが1割程度低くなり、継続して使用することによりコスト削減が可能となることがわかる。
【0054】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、請求項1記載のガスタービンは燃焼排ガス流路を切り換えて必要時にのみ廃熱回収することができるものであり、通常時は発電効率を向上させておきながら、空調などの必要から熱負荷が増えれば廃熱を回収せず後段に送りここで熱源として利用することで空調を補助することができる。これによれば、ビルなどが系統から購入する電力のピークを抑え、系統からの供給電力の契約量を低くしてランニングコストを抑えることができる。
【0055】また請求項2記載のガスタービンによると、燃焼排ガスの流量比を連続的に変化させることが可能であり、吸収式ヒートポンプで要する熱量や外気温度などに応じて再生器における熱回収量を連続的に変化させることができる。
【0056】請求項3記載のガスタービンを利用した熱電併給設備によると、燃焼排ガスの廃熱を回収することまたは廃熱を保持したまま燃焼排ガスを排気することを適宜選択することが可能である。したがって、熱負荷の少ない時期や電力需要量よりも熱負荷需要量の方が小さいときにおいては燃焼排ガスの廃熱を再生器で回収して発電効率を向上させることができる一方で、熱負荷の多い時期や電力需要量よりも熱負荷需要量の方が大きいときにおいては、燃焼排ガスを高温のまま吸収式ヒートポンプなどの装置に送り熱源として利用することができる。そして、これにより、空調に要するピーク電力を抑えて系統からの供給電力量を低くすることができる。
【0057】また、請求項4記載の熱電併給設備によると、まず廃熱によって熱負荷の全需要量を賄い得るように発電用ガスタービンを稼動させると共にこれら発電用ガスタービンにより電力需要量の一部を賄い、残りの電力需要量の一部は基本電力使用量で賄い、さらに残りの電力需要量の全てを賄い得るよう別の発電用ガスタービンを稼動させ、かつ、これら別の発電用ガスタービンの燃焼排ガスは再生器側を通過させるようにしたことから、別のガスタービンにおいては燃焼排ガスを再生器側に導き、燃焼用空気を予熱することによって発電効率を向上させることができる。これにより、電力系統から購入する基本電力使用量を抑えてランニングコストを低く抑えることができる。
【0058】また請求項5記載のガスタービンを利用した熱電併給設備によると、燃焼排ガスのバイパス通過量を必要な熱負荷に応じて変化させていることから、流量比つまり再生器を通過する流量とバイパスを通過する流量の比を連続的に変化させ、吸収式ヒートポンプなどの装置で要する熱量や外気温度などに応じて再生器における熱回収量を連続的に変化させることができる。
【0059】さらに請求項6記載のガスタービンを利用した熱電併給設備によると、バイパスバルブで燃焼排ガスのバイパス通過量を連続的に変化させて調整していることから、再生器で回収する廃熱量や燃焼排ガスの排気温度を適宜変化させることが可能である。
【出願人】 【識別番号】000173809
【氏名又は名称】財団法人電力中央研究所
【出願日】 平成11年9月6日(1999.9.6)
【代理人】 【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
【公開番号】 特開2001−73799(P2001−73799A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−252302