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【発明の名称】 ガスタービンシステム
【発明者】 【氏名】平 田 東 彦

【氏名】川 本 浩 一

【氏名】小 川 斗

【氏名】大 橋 幸 夫

【氏名】中 垣 隆 雄

【氏名】中 丸 正

【氏名】田 中 耕太郎

【要約】 【課題】排ガスからのエネルギ回収率を高めてシステムの熱効率を向上させると共に、設置面積および設置空間が小さいガスタービンシステムを提供すること。

【解決手段】本発明のガスタービンシステムは、酸素を含む流体を圧縮する圧縮機1と、燃料を化学的に改質する改質器9とを備えている。燃焼器2は、圧縮機1によって圧縮された前記流体によって、改質された前記燃料を燃焼させる。タービン3は、燃焼器2で発生した燃焼ガスを動力に変換する。改質器9は、タービン3の排ガスの少なくとも一部を熱源として、燃料を化学的に改質する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】酸素を含む流体を圧縮する圧縮機と、燃料を化学的に改質する改質器と、圧縮機によって圧縮された前記流体によって、改質された前記燃料を燃焼させる燃焼器と、燃焼器で発生した燃焼ガスを動力に変換するタービンと、を備え、改質器は、タービンの排ガスの少なくとも一部を熱源として、燃料を化学的に改質するようになっていることを特徴とするガスタービンシステム。
【請求項2】圧縮機は、少なくとも1段以上の遠心圧縮機を有することを特徴とする請求項1に記載のガスタービンシステム。
【請求項3】タービンは、少なくとも1段以上のラジアルタービンを有することを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービンシステム。
【請求項4】タービンの排ガスの少なくとも一部を熱源として、水を蒸発させて水蒸気を発生すると共に、当該水蒸気の少なくとも一部を改質器または燃焼器に供給する蒸発器を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガスタービンシステム。
【請求項5】蒸発器は、タービンの排ガスの流れに対して、改質器の下流側に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のガスタービンシステム。
【請求項6】燃料を脱硫すると共に、当該脱硫された燃料を改質器に供給する脱硫器を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のガスタービンシステム。
【請求項7】タービンの排ガスの少なくとも一部を熱源として、圧縮機で圧縮された前記流体を燃焼器に供給する前に予熱する再生器を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のガスタービンシステム。
【請求項8】再生器は、タービンの排ガスの流れに対して、改質器の下流側に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のガスタービンシステム。
【請求項9】改質器と再生器とは、タービンの排ガスの流れに対して、並列に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のガスタービンシステム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力を発生させるガスタービンシステムに係り、とりわけ、燃料を化学的に改質した後に燃焼させるガスタービンシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンシステムは、一般に動力の供給のために用いられる。例えば、ガスタービンシステムの多くは、発電機に動力を供給して電力に変換させる発電システムとして用いられている。
【0003】従来のガスタービンシステムの基本的な動作原理について説明する。従来のガスタービンシステムは、圧縮機によって空気等の燃焼用の酸素を含む流体を加圧し、当該流体によってメタン等の燃料を燃焼させ、このときに得られる燃焼ガスを静翼を介してロータの動翼に吹き付け、これによってロータを回転させて動力を得るものである。
【0004】近年、例えば分散電源等に用いることを目的として、発電容量が約数百kW程度以下の小規模のガスタービンシステムの開発が進められている。このようなガスタービンシステムは、小規模であるため、発電容量が数百MWの大規模発電プラントに用いられるガスタービンシステムと比べて、空気および燃焼ガスの流量が極めて少量である。
【0005】このように、空気および燃焼ガスの流量が少量である場合には、大規模発電プラント用のガスタービンシステムで一般的に用いられているような軸流圧縮機および軸流タービンを用いたのでは、効率が悪い。そこで、小規模ガスタービンシステムにおいては、軸流圧縮機および軸流タービンと比較して、小流量の空気および燃焼ガスにおいても高い効率が得られる遠心圧縮機およびラジアルタービンが用いられている。
【0006】一般に、このような小規模ガスタービンシステムの単機としての熱効率は、ほぼ10数%程度にとどまる。このため、動翼を通過し、動力を取り出した後の燃焼ガスのうち最終的にガスタービンシステムから排出される排ガスに含まれ(残され)ている熱エネルギを回収することが、熱効率を高めることにつながる。
【0007】そのような熱回収の試みとして、すでに幾つかの提案がなされている。その代表的なものは、排ガスを再生器に導いて、圧縮機から吐出される空気との間で熱交換を行わせ、圧縮空気の温度を高めてから燃焼器に供給するようにしたものである。これにより、排ガスに含まれていた熱エネルギを回収する再生サイクルが構築され、ガスタービンシステムの効率向上が図られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述の再生サイクルを利用する熱回収の方法においては、互いに気体である圧縮空気とタービン排ガスとの間で熱交換が行われる。このため、再生器の熱交換効率を追求するに従って、再生器の大きさが増大してしまう。例えば、最も一般的な熱交換器であるシェルチューブ型より小さな、プレート型の熱交換器を用いた場合であっても、再生器の大きさがガスタービン本体の大きさよりも大きくなってしまう。
【0009】従って、再生サイクルを利用したガスタービンシステムを小規模の分散電源として用いる場合には、その設置面積および設置空間が大きくなり、結果的に設置場所の制限につながる。また、前述のように、大きさ低減のためシェルチューブ型よりもコストの高いプレート型の熱交換器を用いた再生器は、コストが高く、結果的にガスタービンシステムのコストを引き上げてしまう。
【0010】本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、排ガスからのエネルギ回収率を高めてシステムの熱効率を向上させると共に、設置面積および設置空間が小さいガスタービンシステムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、酸素を含む流体を圧縮する圧縮機と、燃料を化学的に改質する改質器と、圧縮機によって圧縮された前記流体によって、改質された前記燃料を燃焼させる燃焼器と、燃焼器で発生した燃焼ガスを動力に変換するタービンと、を備え、改質器は、タービンの排ガスの少なくとも一部を熱源として、燃料を化学的に改質するようになっていることを特徴とするガスタービンシステムである。
【0012】本発明によれば、タービンの排ガスからの熱エネルギ回収が、燃料を化学的に改質する改質器によって行われるため、従来の再生器による熱エネルギ回収よりも効率的に排熱回収が実現される。さらに、一般に改質器の大きさは再生器よりも小さいため、ガスタービンシステム全体の大きさも低減される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態によるガスタービンシステムを示す系統概略図である。図1に示すように、本発明の第1の実施の形態のガスタービンシステムは、酸素を含む流体を圧縮する圧縮機1を備えている。酸素を含む流体は、この場合、空気である。本実施の形態の圧縮機1は、1段の遠心圧縮機で構成されている。
【0014】また、ガスタービンシステムは、燃料を化学的に改質する改質器9を有している。改質器9は、後述するタービン3の排ガスを熱源として、燃料を化学的に改質するようになっている。
【0015】圧縮機1と改質器9には、圧縮機1にて圧縮された空気によって、改質器9にて改質された燃料を燃焼させる燃焼器2が接続されている。燃焼器2は、この燃焼によって、高温、高圧の燃焼ガスを発生するようになっている。
【0016】燃焼器2には、燃焼器2で発生した燃焼ガスを動力に変換するタービン3が接続されている。本実施の形態のタービン3は、1段のラジアルタービンで構成されている。
【0017】タービン3で発生した動力は、圧縮機1を駆動するのに用いられるとともに、タービン3に結合された発電機4を駆動して電力を発生させるようになっている。一方、タービン3の排ガスは、改質器9に送られて熱源として利用されるようになっている。
【0018】燃料としては、天然ガス、都市ガス等の種々の燃料が使用可能であるが、本実施の形態では、天然ガスの主成分であるメタンを使用している。
【0019】メタンは、モータ19で駆動される圧縮機20によって、燃焼器2への供給に適する圧力まで加圧される(加圧メタンとなる)ようになっている。
【0020】本実施の形態のガスタービンシステムは、さらに、タービン3の排ガスの少なくとも一部を熱源として、水を蒸発させて水蒸気を発生すると共に、当該水蒸気の少なくとも一部を改質器9に供給する蒸発器11を備えている。
【0021】本実施の形態の蒸発器11は、タービン3の排ガスの流れに対して、改質器9の下流側に配置されている。すなわち、改質器9を通過した後の排ガスが、蒸発器11の熱源として利用されるようになっている。
【0022】本実施の形態では、水は、ポンプ14によって、燃焼器2への供給に適する圧力まで加圧された後で、蒸発器11に供給されるようになっている。蒸発器11は、加圧された水と排ガスとの熱交換を行って、水を水蒸気に変換するようになっている。
【0023】水蒸気の一部は、改質用水蒸気として、加圧メタンと混合されて改質器9に供給されるようになっている。水蒸気の残部は、ユーティリティ水蒸気として、図示しない各種装置の熱源として利用されるようになっている。
【0024】その他、改質器9の改質前燃料との接触部には、例えばニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金、クロム、コバルト、銅などからなる触媒が配置されている。
【0025】次に、このような構成よりなる本実施の形態の作用について説明する。
【0026】まず、水が、ポンプ14によって、燃焼器2への供給に適する圧力まで加圧され、蒸発器11に供給される。蒸発器11は、加圧された水と排ガスとの熱交換を行って、水を水蒸気に変換する。
【0027】一方、燃料であるメタンは、モータ19で駆動される圧縮機20によって、燃焼器2への供給に適する圧力まで加圧される。
【0028】水蒸気の一部は、改質用水蒸気として、加圧メタンと混合されて改質器9に供給される。水蒸気の残部は、ユーティリティ水蒸気として、熱源として利用される。
【0029】改質器9は、タービン3の排ガスを熱源として、燃料として供給される加圧メタン及び蒸発器11で発生した改質用水蒸気からなる改質前燃料に、水蒸気改質反応を起こさせる。この反応により、メタンが化学的に改質され、化学エネルギの高い燃料が燃焼器2に供給される。
【0030】メタンの水蒸気改質反応は、以下の化学式で表される。
【0031】
CH4+H2O→3H2+CO …(1)
このメタン改質反応は、吸熱反応である。従って、タービン3からの排ガスのもつ熱エネルギが、この反応に利用される。
【0032】排ガスの熱エネルギの減少分だけ、改質後の燃料の化学エネルギは増加する。具体的には、メタンよりも高い化学エネルギを持つ水素リッチな改質後燃料が得られる。この改質後燃料は、燃焼器2で燃焼され、ガスタービンシステムの熱効率および出力を向上させる。結果的に、排ガスから効果的な排熱回収がおこなわれる。
【0033】タービン3で発生した動力は、圧縮機1を駆動するのに用いられると共に、タービン3に結合された発電機4を駆動して電力を発生させる。一方、タービン3の排ガスは、改質器9さらには蒸発器11に送られて熱源として利用される。
【0034】本実施の形態では、空気の圧縮に1段の遠心圧縮機1を用いており、また、燃焼ガスからの動力の取り出しに1段のラジアルタービン3を用いている。このため、遠心圧縮機1およびラジアルタービン3における圧力比は、ほぼ10以下、一般的には3〜7程度である。従って、燃焼器2に供給される改質後燃料の圧力、すなわち、改質器9における改質圧力は、ほぼ3〜8ata(0.3〜0.8MPa)程度である。
【0035】この場合、ラジアルタービン3の圧力比は、発電プラント用等の大型のガスタービンで用いられる多段軸流タービンの圧力比よりも低い。このため、ラジアルタービン3からの排ガスの温度は、大型のガスタービンのそれよりも高く、一般的には約600数十℃程度以上であることが多い。従って、改質器9における排ガスとの熱交換による温度マージンを考慮した改質温度は、約600℃程度であると考えられる。
【0036】図2は、本件発明者らの計算による、メタンの改質率と改質温度および改質圧力との関係を示したグラフである。ここで改質率とは、前述の(1)式に示すメタン改質の反応式に基づいて、与えられた温度及び圧力条件に対する平衡組成から、燃料として供給されたメタン1molのうちの何molが水素および一酸化炭素に改質されるか、によって定義したものである。すなわち、改質率が高いほど、メタンから水素および一酸化炭素への転換が進むことを示す。
【0037】図2に示すように、温度が高くなるほど改質率が高くなり、また、圧力が低いほど改質率が高くなることが分かる。
【0038】温度が高いほど改質率が高くなるのは、(1)式の反応が吸熱反応であることに起因している。
【0039】圧力が低いほど改質率が高くなるのは、(1)式において反応が進むことによって、例えば2モルから4モルヘとモル数が倍に増加することに起因している。前述のように、本実施の形態の改質温度は約600℃であり、改質圧力はほぼ3〜8ataである。この場合、改質率はほぼ0.4〜0.6という高い値であり、十分な改質反応が確保される。これにより、排ガスからの十分な排熱回収が実現され、結果的に、ガスタービンシステムの熱効率および出力が大幅に向上する。
【0040】また、本実施の形態のようなガスタービンシステムにおいては、一般に燃料であるメタンの流量は、空気の流量よりはるかに少なく、その比は1/50〜1/150程度であることが多い。このため、圧縮空気を再生器で予熱する従来技術の再生器の大きさに比べて、改質器9の大きさははるかに小さい。
【0041】さらに、改質器9は、従来技術のプレート型再生器のような複雑で高コストなものではない。例えば、チューブに触媒を充填し、その中に改質前燃料を通流させるシンプルで低コストなチューブ型改質器でも、十分な性能を得ることができる。
【0042】また、本実施の形態において、改質器9に供給される改質用水蒸気の量を調整することによって、メタンの改質率を調整することが可能である。例えば、改質用水蒸気の供給量を0にすれば、メタンは改質されることなく、改質器9で排ガスと単に熱交換をした後に、燃焼器2に供給される。この場合、排ガスからの排熱回収率は減少し、ガスタービンシステムの発生動力すなわち発電量は減少するが、ユーティリテイー水蒸気の量が増加して、その熱利用量が増える。このように、本実施の形態においては、動力(電力)と水蒸気(熱)との発生割合を利用の形態に応じて調整する、いわゆる熱電可変なシステムが実現できる。
【0043】なお、本実施の形態においては、燃焼器2における改質後燃料の燃焼のために空気を用いているが、空気以外の組成をもつ酸素を含む流体、例えば酸素と二酸化炭素からなる流体、あるいは酸素とアルゴンとからなる流体、あるいは酸素とヘリウムとからなる流体等、その他の多くの組成の流体を用いることができる。また、本実施の形態においては、メタンを、圧縮機20によって、燃焼器2への供給に適当な圧力まで加圧するが、予め十分な圧力もをったガスラインを利用できる場合には、圧縮機20等は省略できる。
【0044】さらに、本実施の形態においては、改質用水蒸気の残りの水蒸気をユーティリティ水蒸気として熱利用に用いるが、このような熱利用が不用の場合には、改質用水蒸気のみを発生することとし、これによって蒸発器11の大きさを更に小さくすることが可能である。
【0045】このように本実施の形態によれば、1段の遠心圧縮機1と1段のラジアルタービン3とを用いることにより、改質温度を高め、改質圧力を低くし、改質器9におけるメタンの改質率を高めることができる。これにより、従来の再生器を用いる場合と比べて、設置面積、設置容積を少なく、また低コストに、ガスタービンシステムの熱効率および出力を著しく向上することが可能である。さらには、熱電可変なシステムをも実現することができる。
【0046】次に、本発明の第2の実施の形態のガスタービンシステムについて図3を用いて説明する。図3は、第2の実施の形態のガスタービンシステムの系統概略図である。
【0047】図3に示すように、本実施の形態のガスタービンシステムは、蒸発器11で発生させる水蒸気の一部を、燃焼器供給用水蒸気として燃焼器2にも供給するようになっている他は、図1に示す第1の実施の形態のガスタービンシステムと略同様の構成である。第2の実施の形態において、図1に示す第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】本実施の形態によれば、ラジアルタービン3に供給される燃焼ガスの流量が増加し、ラジアルタービン3で得られる動力が増加する。このため、ガスタービンシステムの熱効率および出力が、第1の実施の形態の場合と比べてさらに増加する。
【0049】さらに、例えば、ユーティリティ水蒸気を減らして燃焼器供給用水蒸気の流量を増やすことにより、ガスタービンシステムの出力が増大する。逆に、燃焼器供給用水蒸気の流量を減らして(ガスタービンシステムの出力は減る)ユーティリティ水蒸気を増やすことも可能である。すなわち、燃焼器供給用水蒸気の流量を調整することにより、熱電可変システムを実現することができる。
【0050】次に、本発明の第3の実施の形態のガスタービンシステムについて図4を用いて説明する。図4は、第3の実施の形態のガスタービンシステムの系統概略図である。
【0051】図4に示すように、本実施の形態のガスタービンシステムは、燃料として都市ガスを使用し、燃料を脱硫すると共に当該脱硫された燃料を改質器9に供給する脱硫器24を有する他は、図1に示す第1の実施の形態のガスタービンシステムと略同様の構成である。第2の実施の形態において、図1に示す第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0052】本実施の形態においては、燃料である都市ガスが脱硫器24に供給される。脱硫器24の中に充填された例えば活性炭、モレキュラーシーブ、ゼオライト、珪藻土等が、都市ガス中に含まれる硫黄化合物を吸着除去する。都市ガスは、この脱硫後に、圧縮機20に供給される。
【0053】一般に、都市ガスの主成分はメタンである。しかし、漏洩検知のため、例えばメルカプタン等の硫黄化合物が、付臭剤として約5.5ppmm程度添加されている。
【0054】硫黄化合物を含有した燃料を改質器9に供給すると、ニッケル等からなる改質触媒が被毒する。この場合、改質性能が低下して、改質により回収できる熱エネルギが減少し、がスタービンシステムの効率向上が妨げられる。また、改質触媒の改質性能が低下すると、改質器9内で炭素析出が生ずる。この場合、改質器9内での都市ガスの圧力損失が増大し、ついには燃料が流れなくなる。
【0055】本実施の形態では、都市ガス中の硫黄化合物を、あらかじめ吸着・除去するものである。このため、燃料中の硫黄化合物によって改質器9中のニッケル等からなる改質触媒が被毒することがない。従って、改質性能も低下せず、有効な排ガスからの熱エネルギ回収を継続でき、ガスタービンシステムの熱効率および出力向上を実現することができる。さらに、改質器9内での炭素析出も防止できるため、改質器9内での都市ガスの圧力損失の増大も防止できる。
【0056】なお、本実施の形態の脱硫器24は、圧縮機20の上流に配置されているが、圧縮機20と改質器9との間に配置されてもよい。この場合、都市ガスが加圧されることによって体積流量および流速が減少し、脱硫器24における硫黄化合物の吸着除去の効果が高められ得る。
【0057】また、本実施の形態においては、燃料として都市ガスを用いているが、LNG基地から直接供給される付臭剤が添加された天然ガスも使用可能である。これらのガスを用いることは、ガスタービンシステムを分散電源として利用するのに好適である。
【0058】次に、本発明の第4の実施の形態のガスタービンシステムについて図5を用いて説明する。図5は、第4の実施の形態のガスタービンシステムの系統概略図である。
【0059】図5に示すように、本実施の形態のガスタービンシステムは、タービン3の排ガスの少なくとも一部を熱源として圧縮機1で圧縮された空気を燃焼器2に供給する前に予熱する再生器26が、改質器9の下流側に設けられている他は、図1に示す第1の実施の形態のガスタービンシステムと略同様の構成である。第4の実施の形態において、図1に示す第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】本実施の形態の再生器26は、タービン3の排ガスの流れに対して、改質器9の下流側かつ蒸発器11の上流側に配置されている。
【0061】本実施の形態においては、再生器26により圧縮空気を予熱することにより、改質器9を通過した排ガスからの排熱回収を行っているため、ガスタービンシステムの熱効率および出力が大幅に向上する。
【0062】また、再生器26の大きさについても、改質器9によって排ガスからの熱回収が同時に行われるため、従来の再生器に比べてその大きさははるかに小さなものとなる。
【0063】また、本実施の形態においては、再生器26が、タービン3の排ガスの流れに対して、改質器9の下流側かつ蒸発器11の上流側に配置されている。このような配置により、改質器9ではラジアルタービン3を出た直後の温度の高い排ガスが利用されると共に、改質器9、再生器26,蒸発器11を通過する排ガスの温度低下の整合が取れ、結果的に効率的な排熱回収が行える。
【0064】次に、本発明の第5の実施の形態のガスタービンシステムについて図6を用いて説明する。図6は、第5の実施の形態のガスタービンシステムの系統概略図である。
【0065】図6に示すように、本実施の形態のガスタービンシステムは、蒸発器11で発生させる水蒸気の一部を、燃焼器供給用水蒸気として燃焼器2にも供給するようになっている他は、図5に示す第4の実施の形態のガスタービンシステムと略同様の構成である。第5の実施の形態において、図5に示す第4の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0066】本実施の形態によれば、ラジアルタービン3に供給される燃焼ガスの流量が増加し、ラジアルタービン3で得られる動力が増加する。このため、ガスタービンシステムの熱効率および出力が、第4の実施の形態の場合と比べてさらに増加する。
【0067】さらに、例えば、ユーティリティ水蒸気を減らして燃焼器供給用水蒸気の流量を増やすことにより、ガスタービンシステムの出力が増大する。逆に、燃焼器供給用水蒸気の流量を減らして(ガスタービンシステムの出力は減る)ユーティリティ水蒸気を増やすことも可能である。すなわち、燃焼器供給用水蒸気の流量を調整することにより、熱電可変システムを実現することができる。
【0068】次に、本発明の第6の実施の形態のガスタービンシステムについて図7を用いて説明する。図7は、第6の実施の形態のガスタービンシステムの系統概略図である。
【0069】図7に示すように、本実施の形態のガスタービンシステムは、燃料として都市ガスを使用し、燃料を脱硫すると共に当該脱硫された燃料を改質器9に供給する脱硫器30を有する他は、図5に示す第4の実施の形態のガスタービンシステムと略同様の構成である。第6の実施の形態において、図5に示す第4の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0070】本実施の形態においては、燃料である都市ガスが脱硫器30に供給される。脱硫器30の中に充填された例えば活性炭、モレキュラーシーブ、ゼオライト、珪藻土等が、都市ガス中に含まれる硫黄化合物を吸着除去する。都市ガスは、この脱硫後に、圧縮機20に供給される。
【0071】一般に、都市ガスの主成分はメタンである。しかし、漏洩検知のため、例えばメルカプタン等の硫黄化合物が、付臭剤として約5.5ppmm程度添加されている。
【0072】硫黄化合物を含有した燃料を改質器9に供給すると、ニッケル等からなる改質触媒が被毒する。この場合、改質性能が低下して、改質により回収できる熱エネルギが減少し、がスタービンシステムの効率向上が妨げられる。また、改質触媒の改質性能が低下すると、改質器9内で炭素析出が生ずる。この場合、改質器9内での都市ガスの圧力損失が増大し、ついには燃料が流れなくなる。
【0073】本実施の形態では、都市ガス中の硫黄化合物を、あらかじめ吸着・除去するものである。このため、燃料中の硫黄化合物によって改質器9中のニッケル等からなる改質触媒が被毒することがない。従って、改質性能も低下せず、有効な排ガスからの熱エネルギ回収を継続でき、ガスタービンシステムの熱効率および出力向上を実現することができる。さらに、改質器9内での炭素析出も防止できるため、改質器9内での都市ガスの圧力損失の増大も防止できる。
【0074】なお、本実施の形態の脱硫器30は、圧縮機20の上流に配置されているが、圧縮機20と改質器9との間に配置されてもよい。この場合、都市ガスが加圧されることによって体積流量および流速が減少し、脱硫器30における硫黄化合物の吸着除去の効果が高められ得る。
【0075】また、本実施の形態においては、燃料として都市ガスを用いているが、LNG基地から直接供給される付臭剤が添加された天然ガスも使用可能である。
【0076】次に、本発明の第7の実施の形態のガスタービンシステムについて図8を用いて説明する。図8は、第7の実施の形態のガスタービンシステムの系統概略図である。
【0077】図8に示すように、本実施の形態のガスタービンシステムは、タービン3の排ガスの少なくとも一部を熱源として圧縮機1で圧縮された空気を燃焼器2に供給する前に予熱する再生器35が、改質器9と並列に設けられている他は、図1に示す第1の実施の形態のガスタービンシステムと略同様の構成である。第7の実施の形態において、図1に示す第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0078】本実施の形態の再生器35は、タービン3の排ガスの流れに対して、改質器9と並列かつ蒸発器11の上流側に配置されている。また、タービン3の排ガスは、流量調整ダンパ32によって、再生器9に供給される排ガスと改質器9に供給される排ガスとに分離されるようになっている。
【0079】本実施の形態においては、再生器35による圧縮空気の予熱によってもタービン3の排ガスからの排熱回収を行っているため、ガスタービンシステムの熱効率および出力が大幅に向上する。
【0080】また、再生器35の大きさについても、改質器9によって排ガスからの熱回収が同時に行われるため、従来の再生器に比べてその大きさははるかに小さなものとなる。
【0081】また、本実施の形態においては、再生器26が、タービン3の排ガスの流れに対して、改質器9と並列かつ蒸発器11の上流側に配置されている。このような配置により、改質器9及び再生器26では、いずれも、ラジアルタービン3を出た直後の約600数十℃程度の高温の排ガスが利用される。従って、燃料の改質と圧縮空気の予熱の双方を、より効率的に行うことができる。
【0082】次に、本発明の第8の実施の形態のガスタービンシステムについて図9を用いて説明する。図9は、第8の実施の形態のガスタービンシステムの系統概略図である。
【0083】図9に示すように、本実施の形態のガスタービンシステムは、蒸発器11で発生させる水蒸気の一部を、燃焼器供給用水蒸気として燃焼器2にも供給するようになっている他は、図8に示す第7の実施の形態のガスタービンシステムと略同様の構成である。第8の実施の形態において、図8に示す第7の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0084】本実施の形態によれば、ラジアルタービン3に供給される燃焼ガスの流量が増加し、ラジアルタービン3で得られる動力が増加する。このため、ガスタービンシステムの熱効率および出力が、第7の実施の形態の場合と比べてさらに増加する。
【0085】さらに、例えば、ユーティリティ水蒸気を減らして燃焼器供給用水蒸気の流量を増やすことにより、ガスタービンシステムの出力が増大する。逆に、燃焼器供給用水蒸気の流量を減らして(ガスタービンシステムの出力は減る)ユーティリティ水蒸気を増やすことも可能である。すなわち、燃焼器供給用水蒸気の流量を調整することにより、熱電可変システムを実現することができる。
【0086】次に、本発明の第9の実施の形態のガスタービンシステムについて図10を用いて説明する。図10は、第9の実施の形態のガスタービンシステムの系統概略図である。
【0087】図10に示すように、本実施の形態のガスタービンシステムは、燃料として都市ガスを使用し、燃料を脱硫すると共に当該脱硫された燃料を改質器9に供給する脱硫器39を有する他は、図8に示す第7の実施の形態のガスタービンシステムと略同様の構成である。第9の実施の形態において、図8に示す第7の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0088】本実施の形態においては、燃料である都市ガスが脱硫器39に供給される。脱硫器39の中に充填された例えば活性炭、モレキュラーシーブ、ゼオライト、珪藻土等が、都市ガス中に含まれる硫黄化合物を吸着除去する。都市ガスは、この脱硫後に、圧縮機20に供給される。
【0089】一般に、都市ガスの主成分はメタンである。しかし、漏洩検知のため、例えばメルカプタン等の硫黄化合物が、付臭剤として約5.5ppmm程度添加されている。
【0090】硫黄化合物を含有した燃料を改質器9に供給すると、ニッケル等からなる改質触媒が被毒する。この場合、改質性能が低下して、改質により回収できる熱エネルギが減少し、がスタービンシステムの効率向上が妨げられる。また、改質触媒の改質性能が低下すると、改質器9内で炭素析出が生ずる。この場合、改質器9内での都市ガスの圧力損失が増大し、ついには燃料が流れなくなる。
【0091】本実施の形態では、都市ガス中の硫黄化合物を、あらかじめ吸着・除去するものである。このため、燃料中の硫黄化合物によって改質器9中のニッケル等からなる改質触媒が被毒することがない。従って、改質性能も低下せず、有効な排ガスからの熱エネルギ回収を継続でき、ガスタービンシステムの熱効率および出力向上を実現することができる。さらに、改質器9内での炭素析出も防止できるため、改質器9内での都市ガスの圧力損失の増大も防止できる。
【0092】なお、本実施の形態の脱硫器39は、圧縮機20の上流に配置されているが、圧縮機20と改質器9との間に配置されてもよい。この場合、都市ガスが加圧されることによって体積流量および流速が減少し、脱硫器39における硫黄化合物の吸着除去の効果が高められ得る。
【0093】また、本実施の形態においては、燃料として都市ガスを用いているが、LNG基地から直接供給される付臭剤が添加された天然ガスも使用可能である。
【0094】
【発明の効果】本発明によれば、タービンの排ガスからの熱エネルギ回収が、燃料を化学的に改質する改質器によって行われるため、従来の再生器による熱エネルギ回収よりも効率的に排熱回収が実現される。さらに、一般に改質器の大きさは再生器よりも小さいため、ガスタービンシステム全体の大きさも低減される。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年8月30日(1999.8.30)
【代理人】 【識別番号】100064285
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
【公開番号】 特開2001−73798(P2001−73798A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−244004