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【発明の名称】 ガスタービンエンジンの空気取入口
【発明者】 【氏名】夏村 匡

【要約】 【課題】簡単な構造で製造コストを抑えたノーズコーンを備えるガスタービンエンジンの空気取入口を提供することを目的とする。

【解決手段】空気取入口31は、中空のノーズコーン1とこのノーズコーン1の開口端部1aを基部2に固定する固定部3とを備えている。ノーズコーン1は、円錐形状の周方向に連続する繊維強化プラスチックからなるシート材が、この円錐形状の内外方向に複数積層されて一体成形されたものである。また、開口端部1aの外側面Sは基部2の外周面に連続するようにテーパ状に形成されており、固定部3はノーズコーン1の開口端部1aの内側面Uと基部2とを結合する結合部材4を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 底部を開口した中空錐体状のノーズコーンと、前記ノーズコーンの開口端部を基部に固定する固定部とを備え、前記ノーズコーンは、錐体形状の周方向に連続するシート材が、この錐体形状の内外方向に複数積層されて一体成形されていることを特徴とするガスタービンエンジンの空気取入口。
【請求項2】 請求項1に記載のガスタービンエンジンの空気取入口において、前記ノーズコーンの開口端部の外側面は、前記基部の外周面に連続するようにテーパ状に形成されることを特徴とするガスタービンエンジンの空気取入口。
【請求項3】 請求項1又は2に記載のガスタービンエンジンの空気取入口において、前記固定部は、前記ノーズコーンの開口端部の内側面と基部とを結合する結合部材を備えることを特徴とするガスタービンエンジンの空気取入口。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービンエンジンの空気取入口に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のガスタービンエンジンの空気取入口の構造について、例えば図3に示すものを例にとって説明すると、図3に示すガスタービンエンジン30において、空気取入口31から取り入れられた空気は圧縮機32によって高圧の圧縮空気に変換されたあと下流側の燃焼室に送られ、噴射された燃料とともに燃焼されて高温高圧ガスとなる。燃焼室を出た高温高圧ガスはタービンに送られ、このタービンはこの高温高圧ガスを膨張させ、その熱エネルギーを各出力部を駆動するための機械仕事として取り出す。
【0003】このような構成を持つガスタービンエンジン30のうち、空気取入口31には空気の流路を形成するためのノーズコーン33が設けられている。このノーズコーン33は内部を中空に形成されたほぼ円錐形状のものであり、底部に相当する部分は開口している。そしてノーズコーン33の開口端部33aはローターブレード(基部)34に固定されている。
【0004】図4は、図3におけるノーズコーン33と基部34との連結部分A近傍の拡大断面図である。図4において、ノーズコーン33の開口端部33aは段差を有するように形成されているとともに、端面を基部34側に向けたフランジ部35を備えている。そして結合部材36を介してフランジ部35と基部34とを結合しボルト止めすることにより、ノーズコーン33と基部34とは固定される。また開口端部33aの段差部分には金属薄板からなるフェアリング37が設けられており、このフェアリング37によってノーズコーン33の外側面と基部34の外周面とが連続するようになっている。
【0005】このときノーズコーン33は繊維強化プラスチック(FRP)からなる複数の部材を並べることによって形成されるものである。すなわちノーズコーン33は図5に示すように、繊維織物体40を裁断して3角形状のバインダ41を形成する工程(a)と、バインダ41を予備成形して成形バインダ42とする工程(b)と、この成形バインダ42を所定数(例えば100枚)並べることによって底部を開口したほぼ中空円錐状のプリフォーム43とする工程(c)と、このプリフォーム43を型枠44に収容するとともにプリフォーム43の繊維の間に樹脂Rを注入する工程(d)とによって形成される。この場合、工程(c)において成形バインダ42は手作業によって並べられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、工程(c)において成形バインダ42は手作業によって並べられるため作業性が低い。またノーズコーン33は、繊維織物体40を裁断し、この裁断によって得られる成形バインダ42を並べることによって形成されるものであって、多くの工程を必要とするため製造コストは高くなる。また、空気流路の形状安定化のために設けられるフェアリング37は、例えば超塑性加工によって形成されるものであってその製造コストは高い。さらにフェアリング37は使用中に破損する場合が多く高い頻度で交換作業を行わなければならないので、効率が悪いとともに更なるコスト上昇を招く。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造で製造コストを抑えたノーズコーンを備えるガスタービンエンジンの空気取入口を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、本発明のガスタービンエンジンの空気取入口は、底部を開口した中空錐体状のノーズコーンと、前記ノーズコーンの開口端部を基部に固定する固定部とを備え、前記ノーズコーンは、錐体形状の周方向に連続するシート材が、この錐体形状の内外方向に複数積層されて一体成形されていることを特徴とする。
【0009】本発明によれば、ノーズコーンを一体成形とすることによって製造工程数は低減されるので、製造コストを抑えることができる。
【0010】また、前記ノーズコーンの開口端部の外側面は、前記基部の外周面に連続するようにテーパ状に形成されるため、例えば従来のような高価なフェアリングを設けることなく、安定した空気流路形状を得ることができる。
【0011】前記固定部は、前記ノーズコーンの開口端部の内側面と基部とを結合する結合部材を備えるため、例えばノーズコーンの外側面にボルトなどの突出部分を形成させることなくノーズコーンと基部とを安定して結合することができる。すなわちノーズコーンの外側面には突出部分がないので、流路を流れる空気は安定する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態によるガスタービンエンジンの空気取入口を図面を参照して説明する。図1は本発明のガスタービンエンジンの空気取入口の要部拡大断面図であってノーズコーン1と基部2との連結部分を示しており、図3における連結部分Aに相当する部分である。
【0013】すなわち図1におけるノーズコーン1は、図3におけるガスタービンエンジン30のうち空気取入口31に設けられるものであって、取り入れられる空気の流路を形成するようになっている。このノーズコーン1は内部を中空に形成されたほぼ円錐形状のものであり、頂点部分を空気取入口31の上流側に向けて配置されているとともに、底部部分は開口している。
【0014】図1において、空気取入口31は、流入される空気の流路を形成するためのほぼ円錐状に形成された中空のノーズコーン1と、このノーズコーン1の開口端部1aを基部2に固定する固定部3とを備えている。このノーズコーン1は繊維強化プラスチック(FRP)によって一体的に成形されたものである。具体的にはノーズコーン1は、円錐形状の周方向に連続するFRPからなるシート材が、この円錐形状の内外方向に複数積層されて形成されたものである。
【0015】ノーズコーン1の開口端部1aの外側面Sは、基部2の外周面に連続するようにテーパ状に形成されている。すなわちノーズコーン1の外側面Sと基部2の外周面とは断面形状においてほぼ直線状になるように設けられている。
【0016】固定部3は、ノーズコーン1の開口端部1aの内側面Uと基部2とを結合する結合部材4を備えている。この結合部材4は例えばアルミなどの金属によって形成されており、ノーズコーン1の開口端部1aの内側面Uに当接される当接面4aを備えている。ノーズコーン1の開口端部1aには、結合部材4に対応して設けられたボルト用穴が形成されており、ノーズコーン1と結合部材4とはノーズコーン1の外側面Sからボルト用穴に挿入されたボルトによって固定され、この結合部材4と基部2とをボルトによって固定することによって、ノーズコーン1と基部2とが結合される。このとき開口端部1aに挿入されるボルトはノーズコーン1の外側面Sから外方に突出しないように、すなわち開口端部1aに設けられたボルト用穴の内部に収容されるように設けられている。
【0017】このようなノーズコーン1は図2に示すような工程を備える製造方法によって製造される。すなわち図2に示すように、ノーズコーン1は、所定枚数積層された枚葉状の繊維織物体(シート材)20を所定形状であるほぼ円錐形状に形成された型枠21の入口部21aに配置し、変形負荷治具等を用いて繊維織物体20を入口部21aの外方側から型枠21内に押し込んでプリフォーム22を形成する工程(P1)と、型枠21内に収容されているプリフォーム22の繊維の間に樹脂Rを注入する工程(P2)とを備える製造方法によって製造される。
【0018】この場合工程(P1)において、型枠21の入口部21aに配置される繊維織物体20の周縁部分は、シワ押さえ治具23によって型枠21との間で挟み付けられるように固定されている。また工程(P2)において樹脂Rを注入する場合、型枠21の入口部21aは蓋24によって閉鎖されている。この場合、シワ押さえ治具23による挟み付け力、変形負荷治具による変形速度、樹脂Rの単位時間当たりの注入量などは所定の値に設定される。
【0019】そして、上述のような工程を経て一体的に形成されたノーズコーン1は、固定部3によって基部2に固定される。
【0020】このように、ノーズコーン1は、型枠21内に枚葉状の繊維織物体20を押し込んだ後この繊維織物体20に樹脂Rを注入することにより製造されるため、従来に比べて工程数は大幅に低減される。したがって製造コストは抑えられる。
【0021】また、ノーズコーン1の開口端部1aの外側面Sは、基部2の外周面にほぼ面一で連続するようにテーパ状に形成されるので、従来のような高価なフェアリングを設けることなく、安定した空気流路形状を得ることができる。すなわち高コストなフェアリングは不要となるのでノーズコーン1全体のコストを抑えることができる。
【0022】固定部3は、ノーズコーン1の開口端部1aの内側面Uと基部2とを結合する結合部材4を備えたため、外側面Sにボルトなどの突出部分を形成させることなくノーズコーン1と基部2との安定した結合が実現される。すなわち、ノーズコーン1の外側面Sには突出部分がないので、流路を流れる空気は安定する。
【0023】なお本発明は、上述したノーズコーン1と同様な形状の部材として、例えば航空機用プロペラスピンナーや産業用ファン(トンネルファンなど)に適用することが可能である。
【0024】
【発明の効果】本発明のガスタービンの空気取入口は以下のような効果を有するものである。
(1)ノーズコーンを一体成形とすることによって製造工程数は低減されるので、製造コストを抑えることができる。
(2)ノーズコーンの開口端部の外側面は、基部の外周面に連続するようにテーパ状に形成されるため、例えば従来のような高価なフェアリングを設けることなく、安定した空気流路形状を得ることができる。
(3)固定部は、ノーズコーンの開口端部の内側面と基部とを結合する結合部材を備えるため、例えばノーズコーンの外側面にボルトなどの突出部分を形成させることなくノーズコーンと基部とを安定して結合することができる。すなわちノーズコーンの外側面には突出部分がないので、流路を流れる空気は安定する。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年8月25日(1999.8.25)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
【公開番号】 特開2001−65366(P2001−65366A)
【公開日】 平成13年3月13日(2001.3.13)
【出願番号】 特願平11−238942