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【発明の名称】 ガスタービンエンジン
【発明者】 【氏名】寺町 健司

【要約】 【課題】シャフトの回転動作によって潤滑油の通路内に回転気流が生じるような場合でも、潤滑オイルを円滑に流すことができるガスタービンエンジンを提供する。

【解決手段】通路16を流れる潤滑油OLの周方向の流れを抑制する流れ抑制部材25を、伝達シャフト12の周面12aを囲んで設けられている内壁面15aに配設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン本体の駆動力を利用して該エンジン本体へ潤滑油の供給を行う補機と、前記エンジン本体から取り出した駆動力を前記補機へ伝達するために回転自在に支持される伝達シャフトと、潤滑油を流す通路を形成するために該伝達シャフトの周面を囲んで設けられる内壁面とを備えるガスタービンエンジンにおいて、前記内壁面には、前記通路を流れる潤滑油の周方向の流れを抑制する流れ抑制部材が配設されていることを特徴とするガスタービンエンジン。
【請求項2】 前記流れ抑制部材は、前記内壁面から突出しかつ前記伝達シャフトの軸方向に延在するように配設されていることを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジン。
【請求項3】 前記流れ抑制部材は、前記内壁面の段差部に配設されていることを特徴とする請求項1または2記載のガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン本体の駆動力を利用してエンジン本体へ燃料や潤滑油を供給する補機を備えるガスタービンエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ガスタービンエンジンでは、燃料や潤滑油の供給を行うために、エンジン本体の例えば下方にAGB(accessory gear box)と呼ばれる補機が配設されている。図6に示すように、補機50は、エンジン本体51の駆動力、すなわちタービンシャフト52からの回転動力を利用して駆動される場合が多く、タービンシャフト52からの回転動力は、PTOシャフトと呼ばれる伝達シャフト53によって補機50へ伝達されるように構成されている。伝達シャフト53は、複数の軸受54によって回転自在に支持されており、伝達シャフト53の例えば上端には、タービンシャフト52のギア55に係合するギア56が取り付けられている。また、伝達シャフト53を取り囲むように管状部材57が配設されており、伝達シャフト53の周面と管状部材57の内壁面との間には、エンジン本体51から補機50側へ潤滑オイルを流すための通路59が形成されている。図7に示すように、通路59内では、オイルOLが、重力および補機側の吸引ポンプなどの作用により、上方から下方へ向けて流れるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した構成のガスタービンエンジンでは、内壁面57aが静止しているのに対し、伝達シャフト53が高速(例えば数万rpm)で回転しているため、伝達シャフト53の回転に伴う気流によって、内壁面57a上の潤滑オイルOLが伝達シャフト53の回転に引きづられて旋回し、例えば図7に示す段差部60のような箇所で潤滑オイルOLが滞留して通路59が閉塞状態となり、上方からのオイルOLが下方へ流れにくくなるという問題がある。潤滑オイルOLが流れにくくなると、潤滑オイルOLがエンジン内部で滞留するようになり、図6のギア55、56などの回転体で滞留中の潤滑オイルが撹拌されて温度上昇し、そのオイルが変質して部材にこびりついてしまったり、接合シール部分から漏れ出した潤滑オイルがエンジン内の主流へ混入してしまうなどにより、動作に不具合が生じる恐れがある。
【0004】本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたものであり、シャフトの回転動作によって潤滑油の通路内に回転気流が生じるような場合でも、潤滑油を円滑に流すことができるガスタービンエンジンを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、エンジン本体の駆動力を利用してエンジン本体へ潤滑油の供給を行う補機と、エンジン本体から取り出した駆動力を補機へ伝達するために回転自在に支持される伝達シャフトと、潤滑油を流す通路を形成するために伝達シャフトの周面を囲んで設けられる内壁面とを備えるガスタービンエンジンにおいて、内壁面に、通路を流れる潤滑油の周方向の流れを抑制する流れ抑制部材が配設される技術が採用される。このガスタービンエンジンは、伝達シャフトの回転動作によって潤滑油の通路内に回転気流が生じても、流れ抑制部材によって通路内を流れる潤滑油の周方向の流れが抑制されるので、伝達シャフトの回転に引きづられて潤滑油が旋回するといったことが起こりにくい。
【0006】請求項2に係る発明は、請求項1のガスタービンエンジンにおいて、流れ抑制部材が、内壁面から突出しかつ伝達シャフトの軸方向に延在するように配設される技術が採用される。このガスタービンエンジンでは、流れ抑制部材が軸方向に延在して配設されているので、より広い領域での潤滑油の滞留を抑制することが可能となる。
【0007】請求項3に係る発明は、請求項1または2のガスタービンエンジンにおいて、流れ抑制部材が、内壁面の段差部に配設される技術が採用される。このガスタービンエンジンでは、流れ抑制部材が、内壁面の段差部に配設されているので、流れの速度が変化して潤滑油が滞留しやすい段差部において、潤滑油を円滑に流すことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わるガスタービンエンジンの一実施形態について図面を参照して説明する。図2は、本実施形態のガスタービンエンジンにおける高圧圧縮部の入口付近を示す図である。このガスタービンエンジンでは、エンジン本体1へ流入した空気が、低圧圧縮部2を通って低圧圧縮された後、高圧圧縮部3とバイパス配管4とに分かれて後方へ流れるようになっている。また、図示しない低圧タービン部からの回転力が低圧タービンシャフト5を介して低圧圧縮部2の動翼6に伝達され、また、図示しない高圧タービン部からの回転力が高圧タービンシャフト7を介して高圧圧縮部3の動翼8に伝達されるように構成されている。
【0009】符号10は、燃料や潤滑油をエンジン本体1に供給するための補機(アクセサリーギアボックス:AGB)である。補機10は、エンジン本体1の下方に隣接され、中空構造の連結部材11によってエンジン本体1と接続されている。連結部材11の水平断面はエンジン本体1の回転軸CA方向に長い楕円形状となっており、この楕円形状は、低圧圧縮部2から高圧圧縮部3へ流れる空気に対する抵抗をなるべく抑えるように設計されている。また、補機10は、エンジン本体1から取り出した駆動力によって駆動され、ここでは、連結部材11内に垂設される伝達シャフト、いわゆるPTOシャフト12によって、エンジン本体1の高圧タービンシャフト7からの駆動力が補機10に伝達されるように構成されている。PTOシャフト12は、複数の軸受13によって回転自在に支持されており、PTOシャフト12の上端には、高圧タービンシャフト7のギア14Aに係合するギア14Bが取り付けられている。また、PTOシャフト12の周面を囲んで管状部材15が配設されており、管状部材15の内壁面とPTOシャフト12の周面との間には、潤滑油を流すための通路16が形成されている。
【0010】図1は、PTOシャフト12の上部付近を示している。PTOシャフト12の上端部は、軸受13が所定の間隔で配設された支持部20内に配されており、支持部20との隙間に潤滑オイルOLが供給されるようになっている。また、管状部材15の上端には、支持部20と適切に嵌合して接続されるハウジング部15bが形成され、内壁面15aとPTOシャフト12の周面12aとの間の通路16は、ハウジング部15bによる段差によって、内方に曲がって形成されている。支持部20内に供給された潤滑オイルOLは、補機側の図示しない吸引ポンプや重力などの作用により、内壁面15aに沿って流れ、ハウジング部15bによる段差を通過した後、通路16内を下方へ流れるようになっている。
【0011】PTOシャフト12は、高圧タービンシャフト7からの回転力を伝達しているため、例えば数万rpmといった回転数で高速に回転する。そのため、PTOシャフト12の周囲には、図1中点線で示すような回転気流が生じやすい。この回転気流が生じると、通路16内を流れる潤滑オイルOLに対して、周方向(PTOシャフト12の回転方向)の力が作用し、PTOシャフトの回転に引きづられて潤滑オイルOLが周方向に移動するようになる。本実施形態の内壁面15aには、通路16を流れる潤滑オイルOLの周方向の流れを抑制する流れ抑制部材25が配設されている。
【0012】図3は、管状部材15のハウジング部15bを拡大して示す図である。ハウジング部15bの内壁面15aには、破線で示すPTOシャフト12を間にして対向する位置に板状の流れ抑制部材25が1つずつ配設されている。流れ抑制部材25は、図3(b)に示すように、ハウジング部15bの凹部の内側の角において、内壁面15aに所定の高さの堰を作るように、半径方向およびPTOシャフト12の軸方向に延在するように形成され、溶接により接続されている。
【0013】上記構成のガスタービンエンジンでは、図3(a)に示すように、PTOシャフト12の回転気流の作用によって、周方向に力を受けた潤滑オイルOLがある程度周方向に移動するものの、潤滑オイルOLの進路が流れ抑制部材25によって内方へ変化するので、潤滑オイルOLは、通路16内で滞留することなく、連続的に上方から下方へ円滑に流れるようになる。
【0014】すなわち、本実施形態のガスタービンエンジンによれば、PTOシャフト12の回転動作によって潤滑オイルOLの通路16内に回転気流が生じても、流れ抑制部材25によって通路16内を流れる潤滑オイルOLの周方向の流れが抑制されるので、滞留することなく円滑に潤滑オイルOLを下方へ流すことができる。したがって、通路16の閉塞が原因でエンジン内部に潤滑オイルOLが滞留するといったことが起こりにくく、安定した動作を実現することができる。しかも、本実施形態では、段差が形成されているハウジング部15bの内壁面15aに流れ抑制部材25が配設されているので、流れの速度が変化しやすく潤滑オイルが滞留しやすい段差箇所における潤滑オイルの滞留の発生を確実に抑制することができる。
【0015】なお、上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。例えば、流れ抑制部材は、効率的に潤滑オイルを円滑に流すことができればよく、その形状や配置される数をPTOシャフトの周囲の内壁面の形状に応じて様々変更可能である。例えば、上述した実施形態では、図3(a)に示したように、流れ抑制部材25を半径方向に延在するように配設しているが、図4に示すように、流れ抑制部材26を外方へ向かってPTOシャフトの回転方向とは逆方向に傾けることにより、周方向に流れる潤滑オイルOLがより円滑に内方に進路を変えて流れるように構成してもよい。また、周方向に3ヶ所、あるいはそれ以上の流れ抑制部材を設置することで、さらに潤滑オイルの滞留の可能性を低くしてもよい。また、流れ抑制部材の配される位置は、上述した実施形態で示したハウジング部などの段差のある箇所に限るものではなく、図5に示すように、流れ抑制部材27を段差のない内壁面15aに、軸方向に延設してもよい。これにより、より広い範囲での潤滑オイルOLの滞留を抑制することが可能となる。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば以下の効果を得ることができる。請求項1に係るガスタービンエンジンは、伝達シャフトの回転動作によって潤滑油の通路内に回転気流が生じても、流れ抑制部材によって通路内を流れる潤滑油の周方向の流れが抑制されるので、伝達シャフトの回転に引きづられて潤滑油が旋回するといったことが起こりにくく、潤滑油を円滑に流すことができる。
【0017】請求項2に係るガスタービンエンジンでは、流れ抑制部材が軸方向に延在して配設されているので、より広い領域での潤滑油の滞留を抑制することができる。
【0018】請求項3に係るガスタービンエンジンでは、流れ抑制部材が、内壁面の段差部に配設されているので、流れの速度が変化して潤滑油が滞留しやすい段差部において、潤滑油を円滑に流すことができる。また、段差部に限定して流れ抑制部材を配設することで、製造コストを抑えて効率的に潤滑油の滞留を抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年8月20日(1999.8.20)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
【公開番号】 特開2001−59425(P2001−59425A)
【公開日】 平成13年3月6日(2001.3.6)
【出願番号】 特願平11−234773