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【発明の名称】 石油燃料燃焼コンバインドサイクル発電施設及びその発電施設の運転方法。
【発明者】 【氏名】松尾 和俊

【氏名】佃 学

【氏名】赤間 貴朗

【氏名】古川 俊樹

【氏名】中富 淳夫

【要約】 【課題】例えば原油を原料とする燃料製造設備と、ここで製造された燃料油を燃焼してガスタービン燃料油と蒸気タービンとを組み合わせて発電する発電設備とを備えた発電施設において常に安定してガスタービンを運転すること。

【解決手段】燃料製造設備にて、ガスタービンを定常運転させるための第1の燃料油と、ガスタービンを熱い状態で起動させるときまたは停止させるときに用いる、蒸気圧の低い第2の燃料油とを製造し、これら燃料油を夫々第1及び第2の燃料油タンクに貯蔵する。これら燃料油タンクから夫々第1及び第2の輸送ラインを介してガスタービン設備に送る。ガスタービン設備には燃料油切り替え手段が設けられ、定常運転時には第1の燃料油を燃焼器に、また起動/停止時には第2の燃料油を燃焼器に供給するように切り替える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原油及び/または重油を原料油として、ガスタ−ビンを定常運転させるための第1の燃料油とガスタ−ビンを起動させるまたは停止させるための燃料油であって、第1の燃料油より蒸気圧が小さい第2の燃料油とを製造する燃料製造設備と、前記第1の燃料油または第2の燃料油を燃焼器で燃焼してガスタ−ビンと蒸気タ−ビンとを組み合わせて発電する発電設備と、前記第1の燃料油及び第2の燃料油を夫々貯蔵する第1の燃料油タンク及び第2の燃料油タンクと、前記第1の燃料油及び第2の燃料油を切り替えて前記燃焼器に供給する燃料油切り替え手段と、前記第1の燃料油タンク内の第1の燃料油を前記燃料油切り替え手段に輸送するための第1の輸送ラインと、前記第2の燃料油タンク内の第2の燃料油を前記燃料油切り替え手段に輸送するための第2の輸送ラインと、を備えたことを特徴とする石油燃料燃焼コンバインドサイクル発電施設。
【請求項2】 第1の燃料油は、蒸留塔の塔頂油を脱ガス塔により脱ガスしたものと前記蒸留塔の塔底油とを混合したものであり、第2の燃料油は、前記蒸留塔の塔底油であることを特徴とする請求項1記載の石油燃料燃焼コンバインドサイクル発電施設。
【請求項3】 前記蒸留塔に供給される油は、原油及び/または重油から重質分を除去し、更に水素化精製を行った精製油であることを特徴とする請求項2記載の石油燃料燃焼コンバインドサイクル発電施設。
【請求項4】 燃料油を製造する燃料製造設備と、前記燃料油を燃焼器で燃焼してガスタ−ビンと蒸気タ−ビンとを組み合わせて発電する発電設備と、を備えた石油燃料燃焼コンバインドサイクル発電施設を運転する方法において、前記燃料製造設備において原油及び/または重油を原料油として、ガスタ−ビンを定常運転させるための第1の燃料油を製造し、第1の燃料油タンクに貯蔵する工程と、前記燃料製造設備において原油及び/または重油を原料油として、ガスタ−ビンを起動させるまたは停止させるための燃料油であって、第1の燃料油より蒸気圧が小さい第2の燃料油を製造し、第2の燃料油タンクに貯蔵する工程と、前記ガスタ−ビンを定常運転させるときには第1の燃料油タンクに貯蔵されている第1の燃料油を第1の輸送ラインを通じて燃焼器に供給する工程と、前記ガスタ−ビンを熱い状態で起動させるときまたは停止させるときには第1の輸送ラインから第2の輸送ラインに切り替えて、第2の燃料油タンクに貯蔵されている第2の燃料油を第2の輸送ラインを通じて燃焼器に供給する工程と、を備えたことを特徴とする石油燃料燃焼コンバインドサイクル発電施設の運転方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原油および/または重油よりガスタービン燃料油を製造する燃料製造設備とその燃料を燃焼して発電する発電設備とを有する石油燃料燃焼コンバインドサイクル発電施設、さらにその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】石油燃料を燃焼して発電するコンバインドサイクル発電は、燃料ガスを燃焼させて得た燃焼ガスによりガスタービンを回して発電を行うと共に、ガスタービンの高温排ガスから排熱を回収して蒸気を発生し、蒸気タービンを回して発電を行うものであり、高位発熱量換算で49%程度の熱効率が達成されており、エネルギーの有効利用が可能である。このようなコンバインドサイクルを行う発電設備とガスタービン燃料油を製造する燃料製造設備とを組み合わせた技術は既に特開平9−189206号公報などに記載されている。例えば前記公報には燃料製造設備で製造された燃料油をポンプによって燃料油タンクに送り、このタンクから燃料油を輸送ラインを介して発電設備のガスタービン設備の燃焼器に送り、ガスタービンを駆動することが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述の技術では、燃料製造設備において石油を最大限有効利用していることから、ガスタービン燃料油はブタン、ペンタン等の軽質分まで含んだ混合物として生産されるため蒸気圧が高く気化しやすい。その結果次のような問題点がある。
(1)ガスタービン停止後の熱い状態での起動(HOT起動)の際、ガスタービン燃料輸送路内で燃料油の一部が気化して流量制御ができなくなり、またフローディバイダー(複数燃焼器へ燃料を均等に分配する機器)による燃料油分配に不具合が生じ、点火不良、異常燃焼等が生じ、起動できなくなる。
(2)ガスタービン停止の際、ガスタービンの負荷を減少し発電遮断器を開いた後も、さらに燃料油を減少させ回転降下させるので、燃料油の流量が大幅に絞られ、高温状態の燃料ノズルなどで加熱され、気化しやすい。燃料油が気化した場合、流量制御ができなくなり、またフローディバイダー(複数燃焼器へ燃料油を均等に分配する機器)による燃料油分配に不具合が生じ失火となる。
【0004】本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、燃料製造設備とコンバインドサイクル発電設備とを組み合わせた発電施設において常に安定してガスタービンを運転することのできる技術を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る石油燃料燃焼コンバインドサイクル発電施設は、原油及び/または重油を原料油として、ガスタ−ビンを定常運転させるための第1の燃料油とガスタ−ビンを起動させるまたは停止させるための燃料油であって、第1の燃料油より蒸気圧が小さい第2の燃料油とを製造する燃料製造設備と、前記第1の燃料油または第2の燃料油を燃焼器で燃焼してガスタ−ビンと蒸気タ−ビンとを組み合わせて発電する発電設備と、前記第1の燃料油及び第2の燃料油を夫々貯蔵する第1の燃料油タンク及び第2の燃料油タンクと、前記第1の燃料油及び第2の燃料油を切り替えて前記燃焼器に供給する燃料油切り替え手段と、前記第1の燃料油タンク内の第1の燃料油を前記燃料油切り替え手段に輸送するための第1の輸送ラインと、前記第2の燃料油タンク内の第2の燃料油を前記燃料油切り替え手段に輸送するための第2の輸送ラインと、を備えたことを特徴とする。
【0006】また本発明の石油燃料燃焼コンバインドサイクル発電施設の運転方法は、燃料製造設備において原油及び/または重油を原料油として、ガスタ−ビンを定常運転させるための第1の燃料油を製造し、第1の燃料油タンクに貯蔵する工程と、前記燃料製造設備において原油及び/または重油を原料油として、ガスタ−ビンを起動させるまたは停止させるための燃料油であって、第1の燃料油より蒸気圧が小さい第2の燃料油を製造し、第2の燃料油タンクに貯蔵する工程と、前記ガスタ−ビンを定常運転させるときには第1の燃料油タンクに貯蔵されている第1の燃料油を第1の輸送ラインを通じて燃焼器に供給する工程と、前記ガスタ−ビンを熱い状態で起動させるときまたは停止させるときには第1の輸送ラインから第2の輸送ラインに切り替えて、第2の燃料油タンクに貯蔵されている第2の燃料油を第2の輸送ラインを通じて燃焼器に供給する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0007】第1の燃料油は、例えば蒸留塔の塔頂油を脱ガス塔により脱ガスしたものと前記蒸留塔の塔底油とを混合したものであり、第2の燃料油は、前記蒸留塔の塔底油である。なお第2の燃料油である塔底油とは、前記脱ガスしたものが若干含まれているものも包含する意味である。この場合前記蒸留塔に供給される油は、原油及び/または重油から重質分を除去し、更に水素化精製を行った精製油である。
【0008】本発明によれば、起動/停止時には蒸気圧の低い専用の第2の燃料油を用いて燃焼させているため、燃料油の気化が抑えられ、流量制御が容易になるのでガスタ−ビンを安定して運転することができると共に、前記第2の燃料油を自給しているので燃料油の確保が容易で確実である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明に係る石油燃料燃焼コンバインドサイクル発電施設の実施の形態を詳細に説明するが、詳細な説明に入る前にこれら実施の形態の全体の概略構成について図1を参照しながら簡単に説明する。図1においてAは例えば原油タンク1内の原油を原料油としてガスタービン燃料油を製造する燃料製造設備であり、Bは、燃料製造設備で得られたガスタービン燃料油を燃焼してガスタービンと蒸気タービンとを組み合わせて発電する油焚きコンバインドサイクル発電設備である。
【0010】この実施の形態では、燃料製造設備Aにて、発電設備Bのガスタービンを定常運転するための燃料油(第1の燃料油)11とガスタービンを熱い状態で起動させるときまたは停止させるときに用いる、軽質分が除去された蒸気圧の低い燃料油(第2の燃料油)12とを製造し、これら第1の燃料油11及び第2の燃料油12を貯蔵施設である第1及び第2の燃料油タンク61、62に夫々貯蔵する。そして燃料油タンク61、62から夫々第1の輸送ライン64及び第2の輸送ライン65を介して発電設備Bに第1の燃料油11及び第2の燃料油12が送られるが、発電設備B内に設けられた燃料油切り替え手段71により、ガスタービンを定常運転するときには第1の燃料油11が燃焼器72に送られるように、ガスタービンが熱い状態で起動するときや停止するときには第2の燃料油12が燃焼器72に送られるように流路を切り替える。
【0011】続いて各設備及び実施の形態の全体構成について詳述する。図2は燃料製造設備Aの全体構成を示す図である。この燃料製造設備Aは原油タンク1、蒸留装置2、溶剤脱れき装置3、第1の水素化処理装置4、第2の水素化処理装置5、第1の燃料油タンク61、第2の燃料油タンク62、残渣油タンク63、およびその他の付帯設備から構成される。
【0012】燃料製造設備Aでは加熱した原油を蒸留装置2により処理し、具体的には予備蒸留塔21で低沸点留分(軽質分)と高沸点留分(重質分)とに分離し、低沸点留分はガスタービン燃料仕様を満足するように第1の水素化処理装置4で精製される。ここで得られた精製油は主蒸留塔22に送られ、軽質分及び重質分が夫々塔頂油及び塔底油として取り出される。軽質分は脱ガス塔23に送られ、ガス分が除去されて前記主蒸留塔22の塔底油と混合される。この混合油は後述のガスタービンを定常運転させるための第1の燃料油11であり、冷却された後第1の燃料油タンク61に貯蔵される。一方主蒸留塔22の塔底油は、一部が前記軽質分と混合されずに起動/停止用の第2の燃料油12として抜き出され、冷却された後第2の燃料油タンク62に貯蔵される。起動/停止用とは、ガスタービンを熱い状態で起動させるとき、または停止させるときに使用するという意味である。この第2の燃料油12は第1の燃料油11より蒸気圧が小さい燃料油であり、蒸気圧がガスタービンから要求される値よりも大きいと、ガスタービンの起動/停止時に燃料油の気化により流量制御が困難になる。なお第2の燃料油12は、起動/停止用としての仕様を満足する範囲であれば、脱ガス塔23に送られ、ガス分が除去された軽質分を混合してもよい。第1の燃料油11及び第2の燃料油の性状の一例を図3に示す。図3中TBPはTrue Boiling Point、IBPは最初の沸点であり、例えば38℃における真の蒸気圧について見れば第1の燃料油11は0.26ata、第2の燃料油12は0.07ataであり、IBPについて見れば第1の燃料油11は−4℃、第2の燃料油12は135℃であり、第2の燃料油12は、第1の燃料油11に比べて揮発性の軽質分が少ないことが分かる。
【0013】一方、予備蒸留塔21の塔底油である高沸点留分は、溶剤抽出塔32、溶剤分離器33、34を備えた溶剤脱れき装置3で抽出油と残渣油に分離され、抽出油は第2の水素化処理装置5にて精製される。第2の水素化処理装置5にて得られた精製油は、第1の水素化処理装置4にて得られた精製油と混合されて主蒸留塔22に供給され、同様に第1の燃料油11及び第2の燃料油12として夫々第1の燃料油タンク61及び第2の燃料油タンク62に送られる。また、溶剤脱れき装置3の残渣油は残渣油タンク63に送られ貯蔵される。この例では燃料製造設備Aにおける原料油として原油を用いているが、原油の代りに重油を用いてもよいし、原油及び重油を混合したものを用いてもよい。即ち燃料製造設備Aにおける原料油は原油及び/または重油である。
【0014】図4はコンバインドサイクル発電設備Bの主な構成機器を示す。この発電設備Bは、空気圧縮機70、燃料油切り替え手段71、燃焼器72、ガスタービン本体73とからなるガスタービン設備7と、蒸気タービン81、復水器82、復水ポンプ83、給水加熱器84、給水ポンプ85、排熱回収ボイラ86とから構成される蒸気タービン設備8と、発電機Gとから構成される。ここでガスタービン設備7は、空気圧縮機70で圧縮された空気とガスタービン燃料油(第1の燃料油11または第2の燃料油12)とを燃焼器72で燃焼し、この燃焼ガスの膨張により回転されるものでタービン軸に連結された発電機Gを回転する周知のものでよい。蒸気サイクル設備8では、排熱回収ボイラ86に、ガスタービンからの排出ガス(温度約600℃)が導入され、蒸気タービン設備8を駆動する構成となっている。排熱回収ボイラ86では、図示しないエコノマイザや再熱器、過熱器においてガスタービンからの排出ガスの熱で給水を加熱し蒸気を発生させ、その蒸気で発電機Gに連結する蒸気タービン81を回転し発電している。なお、排熱回収ボイラ86の排ガスは、必要に応じて設けられる脱硝装置やダンパ等を経由して煙突から大気に放出される。蒸気タービン81を出た蒸気は復水器82で凝縮された後、復水ポンプ83で抜き出され、給水加熱器84で加熱され、給水ポンプ85で加圧された後、再び排熱回収ボイラ86に供給される。
【0015】図5は発電設備Bの燃料油切り替え手段71及び燃焼器72の詳細を示す図である。前記第1の燃料油タンク61及び第2の燃料油タンク62には、夫々ガスタービン設備7に第1の燃料油11及び第2の燃料油12を供給するための燃料油配管である第1の輸送ライン64及び第2の輸送ライン65が接続されている。第1の輸送ライン64にはポンプ66、燃料油フィルタF1及び止め弁V1が設けられ、第2の輸送ライン65にはポンプ67、燃料油フィルタF2及び止め弁V2が設けられている。輸送ライン64、65は止め弁V1、V2の下流側にて合流し、合流ラインである燃料油供給ライン91には、ポンプ92及び流量調整弁93が並列に介設されている。燃料油供給ライン91の下流側には燃焼器72が接続されており、この燃焼器72は燃料油供給ライン91から送られた燃料油をフローディバイダ94により複数の燃料ノズル95に均等に分配するように構成されている。
【0016】この実施の形態においては、ガスタービンの定常運転時には止め弁V1、V2を夫々「開」、「閉」の状態とし、ポンプ66により第1の燃料油タンク61内の第1の燃料油11をガスタービン設備7まで送り、流量調整弁93により所定の流量にして燃焼器72に供給する。燃焼器72に供給された第1の燃料油11はフローディバイダ94で各燃料ノズル95に分配されて燃焼される。また起動/停止時、つまりガスタービン停止後の熱い状態での起動(HOT起動)を行う場合やガスタービンを停止する場合には、止め弁V1、V2を夫々「閉」「開」の状態とすることにより輸送ラインを第1の輸送ライン64から第2の輸送ライン65に切り替え、第2の燃料油タンク62内の第2の燃料油12を燃焼器72に供給する。ガスタービンのHOT起動時や停止時には既に「発明が解決しようとする課題」の項にて記載したように定常運転用の第1の燃料油11を用いると気化して流量制御が困難になるが、本実施の形態では図3に示したように軽質分を含まない起動/停止専用の第2の燃料油を用いているため、燃料油が気化せず、流量制御に問題は生じないのでガスタービンを安定して運転することができる。
【0017】そして起動/停止専用の燃料油(第2の燃料油)を外部から搬入するのではなく、発電施設の一部である燃料製造設備にて製造し、自給しているため、当該燃料油の確保が確実であると共に、タンクローリからの移し替え等の手間が不要であって、第2の燃料油タンク62の残量に応じて燃料油の製造量をコントロールできるので燃料油の供給及び管理が容易である。
【0018】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、起動/停止専用の蒸気圧の低い燃料油を燃料製造設備で製造し、起動/停止時に切り替え手段により輸送ラインを切り替えて定常運転用の燃料油に代えて当該燃料油を発電設備に供給するようにしているため、常にガスタービンを安定して運転することができる。
【出願人】 【識別番号】000004411
【氏名又は名称】日揮株式会社
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年8月12日(1999.8.12)
【代理人】 【識別番号】100091513
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 俊夫
【公開番号】 特開2001−55931(P2001−55931A)
【公開日】 平成13年2月27日(2001.2.27)
【出願番号】 特願平11−228672