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【発明の名称】 ガスタービン入口空気用の複合型水飽和−過飽和システムおよび方法
【発明者】 【氏名】レロイ・オマー・トムリンソン

【氏名】アンソニー・ジェームズ・ジョージ

【要約】 【課題】約40°F(4.44°C)の実用最低温度を超える周囲空気温度での高負荷運転中の動力および効率を最大限に増強するための、ガスタービン燃焼空気用の複合型空気飽和−過飽和システム。

【解決手段】ガスタービン燃焼空気冷却システムは、周囲空気を圧縮機の入口に供給するよう構成された、入口領域および出口を有する取入れ空気ダクトと、ダクト入口に隣接する位置で噴霧水を前記周囲空気中にスプレーするための第1組のノズルと、圧縮機入口に近い位置で噴霧水を前記周囲空気中にスプレーして周囲空気を過飽和にするための第2組のノズルと、第1組および第2組のノズルに水を配分する制御系統とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 周囲空気を圧縮機の入口に供給するよう構成された、入口領域および出口を有するダクトと、ダクト入口に隣接する位置で噴霧水を前記周囲空気中にスプレーするための第1組のノズルと、圧縮機入口に近い位置で噴霧水を前記周囲空気中にスプレーして周囲空気を過飽和にするための第2組のノズルと、前記第1組および第2組のノズルに水を配分する制御手段とを備える、ガスタービン燃焼空気冷却システム。
【請求項2】 前記制御手段が、前記周囲空気流を湿球温度またはその付近の温度に下げるのに十分な水を前記第1組のノズルに配分するよう作動する、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】 前記制御手段が、前記圧縮機入口で前記周囲空気流を過飽和にするのに十分な水を前記第2組のノズルに配分するよう作動する、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項4】 前記ダクト入口が空気フィルタおよび前記第1組のノズルを収容する拡大領域を含む、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項5】 前記第1組のノズルに、貯蔵タンクと流体連通した1個以上のマニホールドを介して水を供給する、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項6】 前記第2組のノズルに、貯蔵タンクと流体連通した1個以上のマニホールドを介して水を供給する、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項7】 前記制御手段が前記第1組のノズルの上流に乾球温度センサを含む、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項8】 前記制御手段が前記第1組のノズルの下流に乾球温度センサを含む、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項9】 前記制御手段が冷却システムを約40°F以上の周囲空気温度で作動させるよう構成された、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項10】 入口領域および圧縮機の入口に連結される構成の出口を有するダクトと、前記ダクトの入口領域に配置され、ダクトに入る入口空気を飽和させる第1手段と、前記ダクトの出口に隣接しかつ圧縮機の入口のごく近くに配置され、燃焼空気を過飽和にする第2手段と、前記第1手段および第2手段に水を配分する制御手段とを備える、ガスタービン燃焼空気冷却システム。
【請求項11】 前記第1手段が1個以上のマニホールドおよび複数個の飽和用水スプレーノズルを備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】 前記第1手段がメディア飽和装置を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】 前記制御手段が、前記周囲空気流を湿球温度またはその付近の温度に下げるのに十分な水を前記第1組のノズルに配分するよう作動する、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】 前記制御手段が、前記圧縮機入口で前記周囲空気を過飽和にするのに十分な水を前記第2組のノズルに配分するよう作動する、請求項10に記載の冷却システム。
【請求項15】 ガスタービン、燃焼器および燃焼空気を前記燃焼器に供給する圧縮機を備えるガスタービンシステムに用いる、前記圧縮機および燃焼器に供給すべき周囲空気のための冷却システムであって、入口および前記圧縮機の入口に連結された出口を有するダクトと、ダクト入口に隣接する位置で噴霧水を前記周囲空気中にスプレーするための第1組のノズルと、圧縮機入口に近い位置で噴霧水を前記周囲空気中にスプレーして周囲空気を過飽和にするための第2組のノズルと、前記第1組および第2組のノズルに水を配分する制御手段とを備える、冷却システム。
【請求項16】 ガスタービン、燃焼器および圧縮機を備えるシステムにおいてガスタービンの動力出力を増強するにあたり、a)圧縮機への入口の上流で燃焼空気を水で飽和させて、燃焼空気を湿球温度またはその付近の温度に冷却し、b)圧縮機への入口のすぐ近くの位置で燃焼空気を過飽和にし、これにより液体の水が燃焼空気に同伴された状態で圧縮機に進入するのを可能にし、かくして圧縮機で液体の水が蒸発して圧縮機で圧縮される空気を冷却する工程を含む、ガスタービンの動力出力を増強する方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【技術分野】この発明は、ガスタービン燃焼空気用の複合型空気飽和−過飽和システムに関する。
【0002】
【発明の背景】ガスタービンの性能を増強するために、ガスタービン入口空気(すなわち燃焼空気)を加湿する既知の装置には、下記のシステムのいずれかが組み入れられている。これらのシステムは、通常高負荷状態および比較的高い周囲温度(約40°F以上)で用いられる。
【0003】蒸発式クーラシステムは、空気取入れダクトの低速セクションに配置された吸収性メディアまたは他の系を含み、そこに供給される水がメディアに流れる空気に露呈され、空気のもつエネルギーにより水が蒸発される。水を蒸発させるのに用いられるエネルギーは空気の温度を飽和点または湿球温度付近に下げる。ガスタービン圧縮機に入る空気の温度が低下すると、ガスタービン温度比および質量流量が増加し、これによりガスタービン出力および効率が増加する。このシステムは圧縮機ブレードを侵食するおそれのある大きな水滴が同伴する可能性なしに燃焼空気を過飽和にする能力を持たない。
【0004】入口霧化システムは、複数個のマニホールドおよびノズルを含み、これにより微噴霧水をガスタービン用の燃焼空気中にスプレーする。霧化システムは空気取入れダクト内に配置され、空気を飽和点(またはその付近)に加湿する能力を、またほとんどの場合、空気を過飽和にする能力を有する。ダクト内で空気を過飽和にすると、圧縮機ブレードを侵食するおそれのある大きな水滴が生成する可能性につながる。また、取入れダクト内で水が凝縮すると、不要な水を排出するためにドレン系統が必要になる。圧縮機に入る空気に同伴される水は圧縮中の空気を冷却し、圧縮機の動力消費を低減し、これによりガスタービンの動力出力を増大する。しかし、過飽和の測定ができないので、入口霧化装置は制御が難しい。
【0005】圧縮機中間冷却システムは、空気圧縮機のセクション間で空気を冷却し、圧縮機の動力消費を低減し、これによりガスタービンの動力出力を増大する。中間冷却器による空気の冷却には、(1)空気から除去したエネルギーを外部メディアに排出する熱交換器および(2)水を圧縮中の空気中に蒸発させる蒸発式中間冷却器が用いられている。熱交換器型中間冷却器はガスタービンシステムからエネルギーを除去するので、これを、燃焼させる燃料からのエネルギーで置き換えなければならず、動力出力が増大するものの、効率が著しく低下する。蒸発式中間冷却器は入口空気過飽和とほぼ同じ機能を果たすが、蒸発式中間冷却は中間段の圧力容器で行われ、これはコストがかかり、また圧力降下をもたらし、ガスタービンの性能が劣化する。さらに、中間冷却システムは、通例、全作動条件下で使用しなければならない。
【0006】
【発明の概要】本発明は、約40°F(4.44°C)の実用最低温度を超える周囲空気温度での高負荷運転中の動力および効率を最大限に増強するための、ガスタービン燃焼空気用の複合型空気飽和−過飽和システムに係わる。
【0007】具体的な実施態様において、複合型システムは、スプレー型またはメディア型蒸発式クーラを含み、このクーラにより(圧縮機入口より十分に上流の)取入れダクトの入口領域でガスタービン入口空気に噴霧水を導入し、これにより空気を水で飽和点またはその付近に加湿する。同時に、水スプレーノズルが、圧縮機入口のごく近くでガスタービン空気取り入れダクト内に、取入れダクトの出口端に、配置され、これによりあらかじめ加湿された燃焼空気に微噴霧水を導入して空気を過飽和にし、こうして以下に詳述するように圧縮機を冷却する。
【0008】本発明のシステムはさらに制御装置を含み、これによりガスタービン入口空気または燃焼空気に導入される飽和および過飽和用水の供給と管理を行い、ガスタービン部品の総合的限度内でガスタービン性能の増強を最適にする。
【0009】したがって、広義には、本発明は、周囲空気を圧縮機の入口に供給するよう構成された、入口領域および出口を有するダクトと、ダクト入口に隣接する位置で噴霧水を前記周囲空気中にスプレーするための第1組のノズルと、圧縮機入口に近い位置で噴霧水を前記周囲空気中にスプレーして周囲空気を過飽和にするための第2組のノズルと、前記第1組および第2組のノズルに水を配分する制御手段とを備える、ガスタービン燃焼空気冷却システムを提供する。
【0010】別の観点では、本発明は、ガスタービン、燃焼器および圧縮機を備えるシステムにおいてガスタービン動力出力を増強するにあたり、(a)圧縮機への入口の上流で燃焼空気を水で飽和させて、燃焼空気を湿球温度またはその付近の温度に冷却し、(b)圧縮機への入口のすぐ近くの位置で燃焼空気を過飽和にし、これにより液体の水が燃焼空気に同伴された状態で圧縮機に進入するのを可能にする工程を含み、かくして圧縮機で液体の水が蒸発して圧縮機で圧縮される空気を冷却する、ガスタービン動力出力を増強する方法を提供する。
【0011】
【発明の詳細な記述】図1において、ガスタービン10は、圧縮機12、燃焼器14およびタービン16を備える。圧縮機とタービンは、負荷装置(たとえば、発電機)20に連結された共通のロータ18を共有している。
【0012】本発明の第1実施例による複合型取入れ空気加湿システムは、周囲空気を圧縮機12の入口に供給する取入れ空気ダクト系を含む。ダクト系は周囲空気流れ入口領域22を含み、この入口領域22には、流れ方向に、ウェザールーバまたはウェザーフード24、空気フィルタ26およびそれぞれマニホールド32,34内に固定された複数個の飽和用水スプレーノズル28,30が組み込まれている。入口領域22はテーパされてダクト36になり、ダクト36には、通常のサイレンサ38、任意の空気加熱系統40(低NOxモードで低負荷または部分負荷条件でのみ使用)および異物スクリーン42が組み込まれている。ダクト36は空気を圧縮機12の入口ベルマウス44に供給する。流れ矢印で圧縮機への空気の流れを示す。圧縮機入口ベルマウス44に近接してかつダクト36の片側に沿って1対の過飽和用水マニホールド46および48が設けられ、これらのマニホールドはそれぞれ1組の水スプレーノズル50および52を有する。
【0013】水貯蔵タンク54は、供給源(図示せず)から水を受け取り、水をポンプPにより配管56,58および60を通して過飽和用水マニホールド46および48に、また配管56,62および64を通して飽和用水マニホールド32および34に供給する。
【0014】66で総称される制御システム(マイクロプロセッサおよび適切なソフトウェアを含む)は、過飽和用水マニホールド46,48への水の流れならびに飽和用水マニホールド32,34への水の流れを制御する。この制御システムには、ポンプPからでる水をモニタする水流センサ68、ならびにマニホールド46,48への水の流れをモニタする水流センサ70および72が含まれる。
【0015】乾球温度センサ74は、フィルタ26とマニホールド32,34との間の入口空気の温度をモニタし、別の水流センサ76および78は飽和用水スプレーマニホールド32,34への水の流れをモニタする。周囲空気露点温度または湿度センサ80は、入口領域22のすぐ外側の位置から、温度または湿度情報を制御システム66に送る。第2の乾球温度センサ82は、異物スクリーン42を越えた、圧縮機入口ベルマウス44より上流の位置から、温度情報を制御システム66に与える。水飽和空気流センサ84は圧縮機入口44より上流の空気流をモニタする。
【0016】制御システム66と組み合わせて通常の弁を用いて水の流れを制御する。たとえば、最小流れ制御弁86はポンプPから配管56への水流を制御する。同様に、流れ制御弁88および90は配管58および60を通しての過飽和用マニホールド46,48への水の流れを制御する。制御弁92,94は配管62および64を通しての飽和用マニホールド32,34への水の流れを制御する。
【0017】図2に移ると、対応する部材には図1で用いたのと同様の符号を付してある。必要な場合以外は、構造および機能上の相違点のみを詳しく説明する。この第2実施例の複合型ガスタービン取入れ空気加湿システムは、取入れダクトの入口領域22内の飽和用水スプレーマニホールド32および34および関連する飽和用水スプレーノズル28および30をなくし、代わりに、空気フィルタ26のすぐ下流に位置するメディア型飽和装置96およびミスト除去装置98を設ける。本実施例では、飲料水を供給配管102から保持タンク100に供給する。この水は、つぎに、ポンプ104を介して配管106によりメディア型飽和装置96に供給される。メディア型飽和装置96への水流は、制御システム66により制御されるブローダウン制御弁108により決められ、過剰な水はライン110を経て排出される。ドレンサンプ液面トランスミッタ112は、保持タンク100内の飲料水の液面をモニタし、その情報を制御システム66に伝送する。過飽和用水マニホールド46,48とそれぞれのスプレーノズル50,52用の水は、前述した実施例と同様に、水貯蔵タンク50から供給され続ける。
【0018】図3の実施例では、ここでも対応する部材には同様の符号を付してあるが、前述した実施例で使用した過飽和用水マニホールド46,48とそれぞれの水スプレーノズル50,52をなくし、代わりに、過飽和用水マニホールドシステムをダクト36のまわりに、かつ(入口の向かいにではなく)圧縮機入口ベルマウス44のすぐ上流の位置に配置している。具体的には、水貯蔵タンク50からの水を配管58および60を経て1対の過飽和用水マニホールド114,116に供給する。これらのマニホールドは過飽和用水スプレーノズル118,120を有し、これにより噴霧水をダクト36中に空気流と直交する方向にスプレーする。本システムは、その他の点では、図1に関連して説明したシステムと同様である。
【0019】多数の重要な要素が3つの実施例すべてに共通である。第一に、スプレー型蒸発ノズル28,30(またはメディア型飽和装置96)は、圧縮機入口ベルマウス44の十分上流で、ダクト36内のガスタービン燃焼空気に噴霧水を導入すること、したがってダクトに入る空気のすべてを加湿することができる。ここでの空気速度が低いので、水の蒸発を最小同伴量の水で達成することができる。制御システム66により管理されている、飽和用スプレーノズル28および30は水を入口または燃焼空気に配分し、全空気流を湿球温度またはその付近まで下げ、これにより入口空気のすべてを加湿し冷却する。この配置は、圧縮機12に入る空気に可能な最低温度を与え、これにより最大ガスタービンサイクル温度比および加湿空気の最大流れを達成する。第二に、やはり制御システム66により管理されている、圧縮機入口ベルマウス44に近接するあるいはそのすぐ上流のガスタービン空気取入れダクト内の水スプレーノズル50,52(または118,120)は、微噴霧水(または霧)を既に加湿された入口空気に導入して空気を過飽和にする。ノズル50,52(または118,120)を圧縮機に近接配置することで、圧縮機ブレードを侵食するおそれのある大きな液滴の凝集を最小にする。圧縮機入口ベルマウス44で加湿空気に同伴される液体の水は圧縮機ブレード通路に搬入され、ここで蒸発して圧縮される空気を冷却する。このため、圧縮機の動力消費が少なくなり、これによりガスタービンの動力消費が減少し、これによりガスタービンの動力出力が増加する。第三に、複合型制御システムは、飽和用セクションおよび過飽和用セクションに供給される水を最適にして、ガスタービンおよび関連する部品の全体的な限度および作動パラメータの範囲内で、最高のガスタービン性能および効率を達成する。
【0020】以上、本発明を現在のところもっとも実用的かつ好適な実施例と考えられるものについて説明したが、本発明は例示の実施例に限定されない。本発明は、その要旨の範囲内に含まれる種々の変更例や等価な配置を包含するものである。
【出願人】 【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【出願日】 平成12年5月2日(2000.5.2)
【代理人】 【識別番号】100093908
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 研一
【公開番号】 特開2001−55929(P2001−55929A)
【公開日】 平成13年2月27日(2001.2.27)
【出願番号】 特願2000−133979(P2000−133979)