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【発明の名称】 ガスタービンにおけるNOx排出量を最適化するための方法及び装置
【発明者】 【氏名】ラヴィ・ラジャマニ

【氏名】ジョージ・チャールズ・グッドマン

【氏名】ナレンドラ・ディガンバー・ジョシ

【氏名】リチャード・ブラッドフォード・ホーク

【要約】 【課題】ガスタービンの燃焼器の円筒内における円筒温度調整量の比率を制御するための燃料制御装置(10)。

【解決手段】かかる燃料制御装置は、内筒温度調整量及び外筒温度調整量によって表わされ、かつガスタービンの環状多筒形燃焼器(3)に関する安全運転領域を規定する運転境界を定義する工程と、運転境界から安全マージンの範囲内に位置すると共に、ガスタービンの窒素酸化物(NOx )排出レベルを低下させるような、内筒温度調整量及び外筒温度調整量によって表わされる運転点を計算する工程と、ガスタービンの正規の運転を維持しながら、近大域最小運転点を維持するようにそれぞれの円筒温度を調整する工程とを実行するためのコンピュータ(20)から成っている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガスタービンの燃焼器の円筒内における円筒温度調整量の比率を制御するための燃料制御方法において、内筒温度調整量及び外筒温度調整量によって表わされる運転境界を定義する工程と、前記運転境界から安全マージンの範囲内に位置すると共に、前記ガスタービンのNOx 排出レベルを低下させるような、前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量によって表わされる大域最小運転点を計算する工程と、前記ガスタービンの正規の運転を維持しながら、前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量を前記大域最小運転点の近傍に維持するように前記円筒温度を調整する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】 前記運転境界は前記燃焼器の動圧が規定の限界を越えた時点で定義される請求項1記載の方法。
【請求項3】 前記燃焼器の動圧が約0〜約15000パスカルの範囲内にある規定の限界を有する請求項2記載の方法。
【請求項4】 前記ガスタービンがABCモードにあることが確認される請求項1記載の方法。
【請求項5】 前記ガスタービンがABモードにあることが確認される請求項4記載の方法。
【請求項6】 前記ガスタービンがBCモードにあることが確認される請求項5記載の方法。
【請求項7】 前記NOx 排出量が前記運転境界の内部にある所定数の運転点において測定される請求項1記載の方法。
【請求項8】 前記所定数の運転点が少なくとも6つの運転点である請求項7記載の方法。
【請求項9】 前記運転点に対する多項式曲線当てはめを実行する工程を更に含む請求項8記載の方法。
【請求項10】 大域最小運転点を計算する工程を更に含む請求項9記載の方法。
【請求項11】 前記ガスタービンが前記大域最小運転点から安全マージンの範囲内で運転されるように前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量を設定する工程を更に含む請求項10記載の方法。
【請求項12】 前記大域最小運転点を計算する前記工程が、好適な境界を横切ったかどうか判定する工程を更に含む請求項11記載の方法。
【請求項13】 前記好適な境界を横切った場合、前記ガスタービンを前記大域最小運転点から1安全マージン単位だけ手前の運転点に戻すように前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量を設定する工程を更に含む請求項12記載の方法。
【請求項14】 前記好適な境界を横切ったかどうか判定する工程を更に含む請求項13記載の方法。
【請求項15】 前記好適な境界を横切った場合、前記ガスタービンを前記大域最小運転点から1安全マージン単位だけ手前の運転点に戻すように前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量を設定する工程を更に含む請求項14記載の方法。
【請求項16】 前記好適な境界を横切らなかった場合、前記ガスタービンを前記大域最小運転点に戻すように前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量を設定する工程を更に含む請求項15記載の方法。
【請求項17】 前記好適な境界を横切った場合、前記ガスタービンを前記大域最小運転点から1安全マージン単位だけ手前の運転点に戻すように前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量を設定する工程を更に含む請求項12記載の方法。
【請求項18】 前記NOx 排出量が前記運転境界の内部にある所定数の運転点において測定される請求項17記載の方法。
【請求項19】 前記所定数の運転点が少なくとも3つの運転点である請求項18記載の方法。
【請求項20】 前記運転点に対する多項式曲線当てはめを実行する工程を更に含む請求項19記載の方法。
【請求項21】 前記曲線当てはめの一次導関数に基づいて局所最小運転点を計算する工程を更に含む請求項20記載の方法。
【請求項22】 前記ガスタービンが前記局所最小運転点において運転されるように前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量を設定する工程を更に含む請求項21記載の方法。
【請求項23】 前記ガスタービンが前記好適な境界に到達するまで局所最小線に沿って運転されるように前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量を設定する工程を更に含む請求項22記載の方法。
【請求項24】 前記ガスタービンが前記好適な境界から安全マージンの範囲内で運転されるように前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量を設定する工程を更に含む請求項23記載の方法。
【請求項25】 ガスタービンの環状多筒形燃焼器の複数の円筒に対する燃料流量を制御するための装置において、前記燃焼器の前記複数の円筒のそれぞれに関して公称運転温度を生成するために役立つタービン制御器(50)と、前記タービン制御器(50)に接続されて、前記環状多筒形燃焼器の少なくとも1つの円筒温度を調整することによって前記ガスタービンのNOx 排出レベルを低下させるために役立つNOx 調整器(56)と、前記NOx 調整器(56)に接続されて、前記燃焼器(3)の内筒温度を規定の限界内に調整するために役立つ内筒燃料調整器(5)と、前記NOx 調整器(56)に接続されて、前記燃焼器の外筒温度を規定の限界内に調整するために役立つ外筒燃料調整器(9)とを含むことを特徴とする装置。
【請求項26】 前記NOx 調整器(56)がディジタル信号プロセッサを更に含む請求項25記載の装置。
【請求項27】 前記NOx 調整器(56)が、マイクロプロセッサ(86)と、前記マイクロプロセッサ(86)に接続されたアナログ−ディジタル変換器(90)と、前記マイクロプロセッサ(86)に接続された少なくとも1台のディジタル−アナログ変換器(84)と、前記アナログ−ディジタル変換器(90)に接続されたマルチプレクサ(92)とを更に含む請求項25記載の装置。
【請求項28】 前記規定の限界が公称運転温度に対して約−65℃〜約+65℃の範囲内にある請求項25記載の装置。
【請求項29】 前記NOx 調整器(56)が第1のアルゴリズムを含んでいて、前記第1のアルゴリズムは、内筒温度調整量及び外筒温度調整量によって表わされる運転境界を定義する工程と、前記運転境界から安全マージンの範囲内に位置すると共に、前記ガスタービンのNOx 排出レベルを低下させるような、前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量によって表わされる大域最小運転点を計算する工程と、前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量を前記大域最小運転点の近傍に維持するように前記円筒温度を調整する工程とを実行するために役立つ請求項28記載の装置。
【請求項30】 前記NOx 調整器(56)が第2のアルゴリズムを含んでいて、前記第2のアルゴリズムは、前記ガスタービンがABC運転モードにあることを確認する工程と、前記ガスタービンの正規の運転中において少なくとも6つの境界点に対応するNOx 測定値を得る工程と、前記少なくとも6つの境界点に対する多項式曲線当てはめを実行することによってそれぞれの円筒温度に対応したNOx 方程式を生成する工程と、前記ガスタービンのNOx 排出レベルを低下させるような前記大域最小運転点を計算する工程と、前記ガスタービンの正規の運転を維持しながら、計算された前記大域最小運転点の近傍で運転されるように前記ガスタービンを調整する工程とを実行するために役立つ請求項28記載の装置。
【請求項31】 ガスタービンのNOx 排出量を低減させるためのNOx 調整器(56)において、前記NOx 調整器(56)がアルゴリズムを含んでいて、前記アルゴリズムは、内筒温度調整量及び外筒温度調整量によって表わされる運転境界を定義する工程と、前記運転境界から安全マージンの範囲内に位置すると共に、前記ガスタービンのNOx 排出レベルを低下させるような、前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量によって表わされる大域最小運転点を計算する工程と、前記ガスタービンの正規の運転を維持しながら、前記内筒温度調整量及び前記外筒温度調整量を前記大域最小運転点の近傍に維持するように前記円筒温度を調整する工程とを実行するために役立つことを特徴とするNOx 調整器(56)。
【請求項32】 アルゴリズムを含むNOx 調整器(56)において、前記アルゴリズムは、前記ガスタービンがABC運転モードにあることを確認する工程と、前記ガスタービンの正規の運転中において少なくとも6つの境界点に対応するNOx 測定値を得る工程と、前記少なくとも6つの境界点に対する多項式曲線当てはめを実行することによってそれぞれの円筒温度に対応したNOx 方程式を生成する工程と、前記ガスタービンのNOx 排出レベルを低下させるような大域最小運転点を計算する工程と、前記ガスタービンの正規の運転を維持しながら、計算された前記大域最小運転点の近傍で運転されるように前記ガスタービンを調整する工程とを実行するために役立つことを特徴とするNOx 調整器(56)。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の背景】本発明はガスタービンの環状多筒形燃焼器における燃料−空気比を最適化する技術に関するものであって、更に詳しく言えば、NOx 排出量を最適化するため環状多筒形燃焼器のそれぞれの円筒に対する燃料流量を継続的にオンラインで調整するための装置に関する。
【0002】図1は、GE LM6000(登録商標)のごときドライ・ロー・エミッション(DLE)型工業用エンジンに由来するガスタービン燃焼器を示している。このガスタービンは、圧縮機2、燃焼器3及びタービン4を含んでいる。燃料は圧縮機2からの圧縮空気と混合され、そして燃焼器3内で燃やされる。燃焼器3から排出される燃焼生成物の流れがタービン4を駆動すると、タービン4は負荷(図示せず)及び圧縮機2を駆動する。タービン4からの排気は、最終的に大気中に放出される。現在常用されている燃焼器の1種は、いわゆる環状多筒形燃焼器である。環状多筒形燃焼器の典型的な具体例は複数の互いに分離した円筒を含んでいて、各々の円筒は圧縮機2及び燃料供給源に連結され、そしてタービン4を駆動するための燃焼生成物を供給する。このような燃焼器は、米国特許第5323604号明細書中に詳しく記載されている。
【0003】図1はまた、3つの円筒5、7及び9を有するDLE型の環状多筒形燃焼器3の一例を示している。それらの円筒は、内筒プレミキサ12、パイロット筒プレミキサ16及び外筒プレミキサ18から燃料−空気混合物を噴射するための燃焼室(図示せず)を規定している。圧縮空気は空気管路13を通ってそれぞれのプレミキサ12、16及び18に流入し、また燃料は燃料管路14を通って流入する。外筒プレミキサ12及び内筒プレミキサ18のそれぞれに流入する燃料の流れを絞るため、燃料管路14中には(パイロット弁とも呼ばれる)主燃料弁15が配置されている。あるいはまた、燃料及び空気を予備混合することなく燃焼室内に直接噴射することもできる。この場合には、近化学量論的な高温の燃焼が起こる結果、様々な組合せの窒素酸化物(一般的にNOx と呼ばれる)が多量に生成される。燃焼に先立って燃料及び空気を予備混合すれば、希薄な予混合燃焼が起こる結果、火炎温度が低下してNOx 排出量が低減する。燃焼器の円筒内の火炎温度は、DLE型燃焼器の運転領域内の燃料−空気比に比例する。従って、本発明においては円筒火炎温度及び燃料−空気比は互換的に使用される。
【0004】大気中への有害なガス(たとえばNOx )の排出量を低減させることは、最も重要な関心事である。それ故、天然ガスを燃やすガスタービンに基づく発電プラントでは、NOx 排出量を劇的に低減させるための手段を採用することが望ましい。天然ガスだきのガスタービンは硫黄酸化物(SOx )の粒子状排出物をほとんど生成せず、また燃焼過程が適切に制御されればNOx や一酸化炭素(CO)を極めて僅かしか生成しない。
【0005】全NOx 排出量を最少限に抑えるという目的に従って環状多筒形燃焼器のそれぞれの円筒に対する燃料流量をリアルタイムかつオンラインで調整することが要望されている。更にまた、かかるリアルタイムかつオンラインの調整を行うために役立つと共に、現行のガスタービンに対して遡及的に装備し得るような調整装置も要望されている。かかる調整装置は、それが故障してもガスタービンの基準線運転に影響を及ぼさないようなものでなければならない。
【0006】
【発明の概要】上記の要望を満たすため、本発明はガスタービンのNOx 排出量を最少限に抑えるための装置及び方法を提供する。すなわち、本発明はガスタービンの環状多筒形燃焼器の少なくとも1つの円筒内における円筒温度調整量の比率を制御するための燃料制御装置に関する。かかる燃料制御装置は、(1) 内筒温度調整量及び外筒温度調整量によって表わされ、かつガスタービンに関する安全運転領域を規定する運転境界を定義する工程と、(2) 運転境界から安全マージンの範囲内に位置すると共に、ガスタービンのNOx 排出レベルを実質的に最小にするような、内筒温度調整量及び外筒温度調整量によって表わされる運転点を計算する工程と、(3) 正規の運転パラメータを維持しながら、近大域最小運転点を維持するようにそれぞれの円筒温度調整量を調整する工程とを実行するためのコンピュータから成っている。
【0007】
【好適な実施の態様の詳細な説明】本発明は、ガスタービンによって生成される有害なNOx ガスの排出量を低減させるという問題を扱うものである。NOx 排出量はガスタービン内の燃焼器温度に対し極めて敏感であって、NOx の生成量は温度の指数関数となっている。本明細書中では、NOx は各種の窒素酸化物を指す。本発明はまた、高い騒音レベルをできるだけ低下させ、不適格な希薄燃料に基づくタービンのブローアウトを排除し、かつ高い一酸化炭素(CO)レベルを低下させるようにガスタービンを運転するためにも役立つ。
【0008】先ず図1〜4について説明を行うが、これらの図中では同じ構成要素は同じ番号によって表わされている。内筒燃料信号36、パイロット筒燃料信号40及び外筒燃料信号38を介してそれぞれのプレミキサ18、16及び12に対する燃料の流量を調整するため、内筒燃料弁22、パイロット筒燃料弁14及び外筒燃料弁24に制御装置20が接続されている。たとえば動圧Px (26)(燃焼器3のピーク間動圧)、NOx 排出レベル(34)、内筒温度(30)、外筒温度(28)及び燃料弁状態(32)を含む複数の制御信号がタービンエンジンから制御装置20に送られる。なお、上記の制御信号はガスタービンを制御するために制御装置20が使用し得る制御信号の典型的な部分集合に過ぎないことは言うまでもない。また、動圧Px 26、外筒温度28、内筒温度30及びNOx 排出レベル34のごとき信号は制御装置内において他の測定信号から計算することができ、従って必ずしもセンサにより直接に測定する必要はないことも勿論である。
【0009】図2は、タービン制御器50及びNOx 調整器56を含む制御装置20を一層詳細に示すものである。更にまた、制御装置20は内筒燃料調整器52及び外筒燃料調整器54を含んでいて、それらの内筒燃料調整器52及び外筒燃料調整器54は内筒燃料弁ドライバ36及び外筒燃料弁ドライバ38にそれぞれ接続されている。タービン制御器50には主燃料弁ドライバが接続されている。NOx 調整器56は、内筒燃料調整器52及び外筒燃料調整器54に接続されている。かかる接続構成のため、NOx 調整器56は内筒燃料弁22及び外筒燃料弁24に流れる燃料を調整する能力のみを有する。内筒燃料弁ドライバ58は内筒燃料信号36を発生し、また外筒燃料弁ドライバ62は外筒燃料信号38を発生する。パイロット筒燃料信号40は、全燃料流量と内筒燃料流量及び外筒燃料流量の和との差から導かれる。
【0010】主燃料弁14は、燃焼器に対する全燃料流量を調整するように働く。内筒燃料弁22及び外筒燃料弁24は、内筒5及び外筒9にそれぞれ連結されている。更にまた、内筒燃料弁22及び外筒燃料弁24による燃料流量の調整は、タービン制御器50によって制限される。上記に説明されたごとくにして燃料制御装置に制限が加えられる結果、燃焼器3の動的運転範囲を規定するガスタービンの設計上の制約条件もまたタービン制御器50によって制御される。万一NOx 調整器56が故障した場合、タービン制御器50がフェイルセイフ方式でガスタービンの運転を制御し続ける。NOx 調整器56は、内筒5及び外筒9の燃料流量のみを調整するように設計されている。
【0011】本発明の別の実施の態様に従えば、図3に示されるごとく、NOx 調整器56は制御装置20内に組込まれていない独立の制御装置である。また、内筒燃料調整器52及び内筒燃料弁ドライバ58を単一の調整器兼内筒燃料弁ドライバ72として統合することもできる。それに対応して、外筒燃料調整器54及び関連するドライバ62を外筒燃料調整器兼ドライバ70として統合することもできる。この実施の態様においては、NOx 調整器56はマイクロプロセッサ86を含んでいて、図4に示されるごとく、このマイクロプロセッサ86は少なくとも1台のディジタル−アナログ変換器84、ディジタル信号32を読取るためのディジタルラッチ88、及びアナログ−ディジタル変換器90に接続されている。アナログ−ディジタル変換器90はまた、アナログ信号28、30及び34を読取るためアナログマルチプレクサ92に接続することができる。あるいはまた、NOx 調整器56が上記のディジタル及びアナログ機能を組込んだディジタル信号プロセッサを含むこともできる。
【0012】NOx 調整器56は、内筒プレミキサ18及び外筒プレミキサ12に対する燃料流量を制御するように燃料弁22及び24を操作する。このようにして燃料流量を調整することにより、燃焼器3の外筒9、パイロット筒7及び内筒5から供給される燃料の量が調整される。燃料流量は燃焼器3のそれぞれの円筒内における燃料−空気比を決定するが、これはそれぞれの円筒内の温度を決定する。内筒5、パイロット筒7及び外筒9内の温度は燃焼器3によって生成されるNOx の量を決定するから、下記に詳しく説明されるごとく、NOx 調整器56は燃焼器3におけるNOx 排出量を制御するように働く。
【0013】次に図5〜7について説明を行うが、これらの図中では同じ構成要素は同じ番号によって表わされている。これらの図に関連して、内筒燃料弁22及び外筒燃料弁24を制御するための方法が記載される。図5は、ガスタービンにおけるNOx 排出量を最少限に抑えるための近最適運転点を求めるための方法のフローチャート100を示している。
【0014】先ず、ガスタービンの運転モード(すなわち、内筒5及び外筒9がタービン制御器50の制御下にあるかどうか)について確認が行われる(工程102)。通例、このデータは燃料弁状態線路32(図2)を経由してタービン制御器50からNOx 調整器56に供給される。言うまでもなく、本発明は内筒5、パイロット筒7及び外筒9がタービン制御器50によって同時に制御されるようなモード(ABCモードと呼ぶ)で動作する。その他の動作モードも本発明の範囲内にあるのであって、かかる動作モードの実例としては、内筒燃料弁22が遮断された時のモードとして定義されるABモード、及び外筒燃料弁24が遮断された時のモードとして定義されるBCモードが挙げられる。
【0015】次に、内筒5及び外筒9における燃焼室温度によって規定された運転境界156に沿って所定数のガスタービン運転点が決定される。これらの運転点の代表例が、たとえば図6中の運転点160、162、164、166、168及び170によって示される。運転点160、162、164、166、168及び170の各々は、公称運転点158において相交わる3つの平面に沿って配置されるように選定されている。なお、運転点の選定のために任意の方法を使用し得ることは言うまでもない。目標は、運転境界156に沿って配置された所定数の運転点を選定することである。これらの運転点の各々において、ガスタービンの正規の運転時にNOx レベルが測定される。運転点の選定及びNOx の測定に係わる工程は、図5中の工程104によって示されている。データ点に対して二次曲線当てはめ解析を行うのに十分なだけのデータ点が得られるようにするため、選定される運転点の数は少なくとも6とするのが通例である。なお、境界点156は定義された好適な運転領域154の内部にあるガスタービンエンジンの運転点として定義される。好適な運転領域とは、複数の条件が全体的に満たされるような領域として定義される。それは、たとえば、燃焼器3の動的運転範囲が満足され、ガスタービンの騒音レベルが低く、ガスタービンがブローアウト範囲内になく、COが低く、かつNOx が上限値より低い場合の領域である。通例、NOx は容量で排ガスの約25ppmを占める。これらの条件は、一般に、運転中に動圧Px が規定の圧力範囲内(通例は約0〜約15000パスカルの範囲内)にある場合に満たされる。より詳細な動圧範囲はガスタービンに特有のものであって、通例はガスタービン製造業者によって提供される。好適でない運転領域156は好適な運転領域内にない任意の区域であって、それは回避すべきである。
【0016】図6はまた、ガスタービンの典型的な環状多筒形燃焼器の燃料温度調整範囲をも図示している。内筒温度調整範囲は、タービン制御器50によって設定される公称運転円筒温度158に対して約−65℃〜約+65℃である。この内筒温度調整範囲は、図6の水平軸によって表わされている。外筒温度調整範囲は、公称運転円筒温度158に対して約−65℃〜約+65℃である。この外筒温度調整範囲は、図6の垂直軸によって表わされている。
【0017】次に、所定数の運転点160、162、164、166、168及び170を使用することにより、得られる多項式をNOx と関連づける曲線当てはめ関数に関する係数a0 〜an (この例ではn=6)が生成される。このような多項関数は、式(1)によって表わされる少なくとも二次の多項関数である。
【0018】
NOx =a0+a1x+a2y+a3xy+a42+a52 (1)
変数xは図6中に示された内筒温度調整量172に対応しており、また変数yはやはり図6中に示された外筒温度調整量174に対応している。なお、曲線当てはめ関数は図5中に示された工程106に対応している。式(1)は、NOx 調整器56がABCモードにある場合に使用される。ABモードではx=0であり、またBCモードではy=0である。
【0019】次に、図5中の工程108によって示されるごとく、xに関する式(1)の偏導関数及びyに関する式(1)の偏導関数を取ることにより、NOx が最小となるようなx及びyの値が計算される。こうして得られた点は大域最小点157として定義されるもので、図6中に示されている。なお、大域最小点157は好適でない領域内に存在する場合もあることに注意されたい。
【0020】最後に、図5中の工程110によって示されるごとく、ガスタービンの内筒及び外筒温度調整量を段階的に増加させることにより、ガスタービンが好適な運転範囲内において大域最小点157又はその近傍で運転されるようにする。ガスタービンが大域最小点又はその近傍で運転される場合、NOx 排出レベルは本発明が使用されない場合に生じるレベルに比べて約10〜約20%の範囲内で低下する。それ故、本明細書中において使用される「近大域最小運転点」という用語は、NOx 排出レベルが公称運転点の排出レベルに比べて約10〜約20%の範囲内で低下するような運転点として定義される。大域最小点又はその近傍でガスタービンを運転するための方法は、下記に一層詳しく説明される。
【0021】図6及び7を参照しながら、大域最小点157又はその近傍でガスタービンを運転するための方法を更に詳しく説明するが、これらの図中では同じ構成要素は同じ番号によって表わされている。
【0022】先ず、内筒温度調整量及び外筒温度調整量によって測定されるマージンであると共に、その範囲内ではガスタービンが好適な領域内で運転されるような安全マージンrを定義するのが適当である。安全マージンrは、通例約15℃である。なお、安全マージンは制御装置の精度及びガスタービンの応答に依存するものであって、特定のガスタービンシステムに応じて適宜に変更し得ることは言うまでもない。
【0023】次に、図7中の工程110によって示されるごとく、公称運転点158から大域最小点157まで延びる大域マージン線159に沿いながら、公称運転点158(図6)から始めて内筒温度調整量及び外筒温度調整量を段階的に増加させることによってガスタービンの運転が調整される。毎回の増加のたびに、図7中の工程118によって示されるごとく、運転境界156を横切ったかどうかが判定される。運転境界156を横切った場合には、ガスタービンが好適でない領域152内で運転されていることになる。
【0024】運転境界156を横切っていなければ、図7中の工程120によって示されるごとく、ガスタービンは大域マージン線159に沿って安全マージンrだけ調整される。やはり運転境界156を横切っていなければ、その安全マージンにおけるガスタービンの運転は安全マージンだけの余地を残して大域最小点157に近いものと推測される。それ故、ガスタービンはその安全マージンによって表わされる内筒温度調整量及び外筒温度調整量において運転され続ける。これらの工程は、図7中のブロック122及び126によって示される。
【0025】工程120においてガスタービンを安全マージンだけ増加させた後に運転境界156を横切った場合には、ガスタービンはその安全マージンの直前の運転点171に再設定される。その運転点171は、大域的に最適の運転点157に近いものと推測される。これらの工程は、図7中のブロック122及び124によって示される。
【0026】図7及び8を参照しながら、最小NOx 運転点を決定するための方法を更に詳しく説明するが、これらの図中では同じ構成要素は同じ番号によって表わされている。工程110によって示されるごとくガスタービンを段階的に増加させた後に運転境界156を横切った場合には、図7中のブロック118及び128によって示されるごとく、内筒及び外筒温度調整量が大域マージン線159に沿って安全マージンだけ逆方向に戻される。次に、燃料制御装置を働かせることによって少なくとも3つの追加の運転点が生成される。すなわち、図8に示されるごとく、NOx 値を読取ることによって運転点210、212及び214が生成される。その結果、工程130によって示されるごとく、式(2)を使用しながら158において線分210−158に対して成す角θの関数として追加の曲線当てはめ関数を計算することができる。
【0027】
NOx =b0+b1θ+b2θ2 (2)
式(2)中において、b0 、b1 及びb2 は最小二乗回帰関数又は曲線当てはめ関数を用いてNOx 値210、212及び214から計算される係数である。角θは、図8に示されるごとく、2つの規定角(θ1 及びθ2 )〔すなわち、設定された運転点158、210及び212によって定義された角θ1 並びに設定された運転点158、210及び214によって定義された角θ2 )のいずれか1者である。この計算の目的は、運転境界156の近傍にある運転点210、212及び214によって定義された円弧に沿っての局所最小運転点204を決定することにある。角θに関する導関数が求められ、そしてNOx =0に対して解かれる。この計算値から、工程132によって示されるごとく、局所最小NOx点204に対応する角θが求められる。次に、局所最小線202が決定される。この場合、局所最小線202は公称運転点158と局所最小点204との間の直線として定義される。局所最小点204から安全マージンrだけ離れた運転点222に到達するまで、公称運転点158から局所最小線202に沿ってガスタービンが段階的に増加させられる。なお、運転点171はガスタービンの近大域最小運転点である。近大域最小運転点は、本発明を使用せずにガスタービンを運転した場合の公称NOx 排出レベルに比べてNOx 排出レベルが約10〜約20%だけ低下するような運転点として定義されたものである。
【0028】本明細書中に記載された方法は、制御し得る複数のパラメータ及び複数の出力変数を有する任意の化学反応器の出力を最適化するために使用することができる。円筒火炎温度を最適化することによってNOx 排出量を低減させる本発明の方法は、米国特許第4910957及び4928481号明細書中に記載されたもののごとき一酸化炭素低減アルゴリズムと同時に使用することもできる。
【0029】以上、特許法規に準拠して本発明を記載しかつ説明したが、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された実施の態様に対して様々な変更及び改変を施し得ることは当業者にとって自明であろう。それ故、本発明の真の精神に反しない限り、前記特許請求の範囲はかかる変更及び改変の全てを包括するものであることを理解すべきである。
【出願人】 【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【出願日】 平成12年7月4日(2000.7.4)
【代理人】 【識別番号】100093908
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 研一
【公開番号】 特開2001−41055(P2001−41055A)
【公開日】 平成13年2月13日(2001.2.13)
【出願番号】 特願2000−201698(P2000−201698)