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【発明の名称】 二流体ガスタービン
【発明者】 【氏名】宇治 茂一

【氏名】秋山 算甫

【要約】 【課題】蒸気ドレンによるコロージョン、エロージョンの発生を防ぐことができ、かつ燃焼器直後のタービン翼又はタービンディスクを効果的に冷却することができる二流体ガスタービンを提供する。

【解決手段】圧縮機2、燃焼器3、タービン7からなるガスタービンと、タービンの下流に設けられ燃焼排ガスから飽和蒸気を発生させる熱交換器6と、熱交換器で発生した飽和蒸気とこの飽和温度よりも高い温度まで圧縮機で圧縮された圧縮空気とを混合する混合器10と、混合器で混合された混合ガスを燃焼器へ導く混合ガスライン11と、ガスタービンに設けられ燃焼器をバイパスして燃焼器直後のタービン翼又はタービンディスクに冷却用ガスを導入する冷却ガス導入口20と、混合ガスを分岐して冷却ガス導入口に供給する混合ガス分岐ライン22とを備え、低温の混合ガスでタービン翼を冷却する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空気を圧縮する圧縮機(2)と、燃料を燃焼させる燃焼器(3)と、燃焼ガスにより駆動され圧縮機を駆動するタービン(7)とからなるガスタービンと、タービンの下流に設けられ燃焼排ガスから飽和蒸気を発生させる熱交換器(6)と、熱交換器で発生した飽和蒸気とこの飽和温度よりも高い温度まで圧縮機で圧縮された圧縮空気とを混合する混合器(10)と、混合器で混合された混合ガスを燃焼器へ導く混合ガスライン(11)とを備えた二流体ガスタービンにおいて、更に、前記ガスタービンに設けられ燃焼器をバイパスして燃焼器直後のタービン翼又はタービンディスクに冷却用ガスを導入する冷却ガス導入口(20)と、前記混合ガスを分岐して冷却ガス導入口に供給する混合ガス分岐ライン(22)とを備えた、ことを特徴とする二流体ガスタービン。
【請求項2】 前記ガスタービンは、燃焼器に供給される混合ガスと前記冷却ガス導入口(20)に供給された混合ガスとを仕切る隔壁(24)を備える、ことを特徴とする請求項1の二流体ガスタービン。
【請求項3】 前記混合器は、水蒸気で駆動され圧縮空気を吸引するエジェクタからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の部分再生式二流体ガスタービン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発電と水蒸気生成を行うガスタービン発電設備に係り、更に詳しくは、ガスタービンに水蒸気を噴射する二流体サイクルガスタービンに関する。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンへ水蒸気を注入する二流体サイクルガスタービンとしては、例えば特公昭54−34865号の「二作動流体ヒートエンジン」が知られている。この二流体サイクルガスタービン(以下、発明者の名前からチエン・サイクルと呼ぶ)は、図5に例示するように、絞り弁1、コンプレッサー2、燃焼室3、水処理装置4、ポンプ5、熱交換器6、タービン7、8、コンデンサー9、等から構成され、大気中から吸入した空気をコンプレッサー2で圧縮して燃焼室3に供給し、この圧縮空気で燃料を燃焼させて高温の燃焼ガスを発生し、この燃焼ガスによりタービン7、8を駆動してコンプレッサー1、2及び負荷を駆動し、更にタービンを出た燃焼ガスにより熱交換器6で水蒸気を発生させ、コンデンサー9で水分を回収して大気中に放出するようになっている。かかるチエン・サイクルは、燃焼室3に熱交換器6で発生した水蒸気Sを噴射するためタービンに流入する燃焼ガスの流量が増大し、かつ燃焼ガスの比熱が増大することからタービンの出力と熱効率を高めることができる特徴を有している。
【0003】また、このチエン・サイクルを改善した二流体サイクルガスタービンとして、本願発明の発明者は、特許第2751837号、特公平826780号を創案し出願している。
【0004】特許第2751837号の「二流体サイクルガスタービン」は、図6に模式的に示すように、空気を圧縮する圧縮機2と、燃料を燃焼させる燃焼器3と、燃焼ガスにより駆動され圧縮機を駆動するタービン7とからなるガスタービンと、タービン7の下流に設けられ燃焼排ガスから飽和蒸気を発生させる熱交換器6と、熱交換器6で発生した飽和蒸気とこの飽和温度よりも高い温度まで圧縮機で圧縮された圧縮空気とを混合する混合器10と、混合器10で混合された混合ガスを燃焼器3へ導く混合ガスライン11と、を備えたものであり、(1)高温の圧縮空気で飽和蒸気を加熱して過熱蒸気とすることができ、かつ (2)混合により蒸気分圧が下がることから過熱蒸気の過熱度を更に高めることができる特徴を有している。
【0005】従って、この混合ガスを混合ガスライン11を介してガスタービンの燃焼器3へ導くことにより、過熱器を用いずに飽和蒸気を直接使用し、かつ蒸気ドレンを発生させることなくタービンの出力と熱効率を高めることができる。
【0006】また、特公平826780号の「部分再生式二流体ガスタービン」は、図7に模式的に示すように、空気を圧縮する圧縮機2と、燃料を燃焼させる燃焼器3と、燃焼ガスにより駆動され圧縮機を駆動するタービン7とからなるガスタービンと、水蒸気を駆動源として空気を昇圧しかつ両流体を混合する混合器10と、タービンの下流に設けられ混合器による混合ガスをタービン排気で加熱するための熱交換器6と、熱交換器の下流に設けられタービン排気を熱源として水を蒸発させる排熱ボイラ12と、圧縮機による圧縮空気の一部を燃焼器へその残部を混合器に導くための空気ライン13と、排熱ボイラによる水蒸気の一部を混合器に送る主蒸気ライン14と、混合器による混合ガスを熱交換器を介して燃焼器に導くための混合ガスライン15と、を備えたものであり、圧縮空気の一部が混合器10で水蒸気と混合され、この混合ガスが熱交換器6で予熱されて燃焼器に供給されるので、その分燃焼器3での燃料消費を減らすことができ、熱効率を高めることができる特徴を有している。
【0007】これにより、燃焼器への噴射蒸気量を増減させる場合でも、ガスタービンの出力、熱効率の変化を小さくすることができ、さらに、混合器は、水蒸気を駆動源として空気を昇圧することができるので、空気ラインの圧力損失を低減し、熱効率の低下を防止することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ガスタービン自体の熱効率を高めるには、その最高使用温度を高める必要があり、そのためには、燃焼器直後のタービン翼を効果的に冷却する必要がある。このため、二流体サイクルガスタービンでは従来から水蒸気をガスタービンの内部冷却に使うことが検討されてきた。すなわち従来考えられている蒸気冷却ガスタービンは、例えばコンバインドサイクルにおける蒸気タービンからの抽気蒸気を使用し、これをそのまま冷却媒体としてタービン翼の内部に導入するものであった。
【0009】しかし、飽和蒸気をタービン翼の内部にそのまま導入すると、蒸気ドレンによるコロージョン、エロージョンが発生する問題がある。またこの問題を回避するため、蒸気を過熱蒸気として導入すると、ガスタービンの下流に排熱回収用の過熱器を装備するか、或いは、蒸気タービンから過熱状態の蒸気を抽気する必要があり、システムが複雑となる。そのため、水蒸気によるタービン翼の冷却は、その重要性にもかかわらず、いまだ実用化されたものはなかった。
【0010】また、上述したチエン・サイクル(図5)を用いる場合は、飽和蒸気を燃焼室に供給すると、わずかな放熱で蒸気ドレンが発生して配管や燃焼室等にエロージョンが発生する問題点がある。そのため、燃焼室3に供給(噴射)する水蒸気Sは過熱蒸気である必要があり、蒸気温度が圧縮空気の温度(例えば約380℃)を上回り、冷却効果は全く期待できない。
【0011】これに対して、図6の二流体サイクルガスタービンでは、飽和蒸気(例えば約210℃、19ata)と圧縮空気(約380℃)との混合ガスは約220℃前後となり、かつ水蒸気の分圧の低下により過熱度は約40℃前後となるので、蒸気ドレンによるエロージョンのおそれがなく、かつ圧縮空気(約380℃)に比べて混合ガス温度が低いので、燃焼器ライナー周辺のガス温度を若干(10〜20℃前後)下げることができる。
【0012】また、図7の部分再生式二流体ガスタービンの場合でも、過熱前の混合ガス中の水蒸気が既に過熱状態にあるので、過熱後の混合ガス温度を圧縮空気(約380℃)より低く設定でき、その分、燃焼器ライナー周辺のガス温度を若干下げることができる。
【0013】しかし、図6、図7の場合でも、燃焼器直後のタービン翼の内部に供給されるガス温度は、燃焼器の周囲で過熱された混合ガス(例えば空気7:水蒸気3)の一部(全空気量の8〜10%程度)が供給されるため、その温度は圧縮空気(約380℃)とほぼ同等程度の高温となり、燃焼器直後のタービン翼の冷却効果はほとんど期待できなかった。
【0014】本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、蒸気ドレンによるコロージョン、エロージョンの発生を防ぐことができ、かつ燃焼器直後のタービン翼又はタービンディスクを効果的に冷却することができる二流体ガスタービンを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、空気を圧縮する圧縮機(2)と、燃料を燃焼させる燃焼器(3)と、燃焼ガスにより駆動され圧縮機を駆動するタービン(7)とからなるガスタービンと、タービンの下流に設けられ燃焼排ガスから飽和蒸気を発生させる熱交換器(6)と、熱交換器で発生した飽和蒸気とこの飽和温度よりも高い温度まで圧縮機で圧縮された圧縮空気とを混合する混合器(10)と、混合器で混合された混合ガスを燃焼器へ導く混合ガスライン(11)とを備えた二流体ガスタービンにおいて、更に、前記ガスタービンに設けられ燃焼器をバイパスして燃焼器直後のタービン翼又はタービンディスクに冷却用ガスを導入する冷却ガス導入口(20)と、前記混合ガスを分岐して冷却ガス導入口に供給する混合ガス分岐ライン(22)とを備えた、ことを特徴とする二流体ガスタービンが提供される。
【0016】上記本発明の構成によれば、混合器(10)で熱交換器で発生した飽和蒸気(例えば約210℃、19ata)とこの飽和温度よりも高い温度(例えば約380℃)まで圧縮機で圧縮された圧縮空気とを混合することにより、圧縮空気よりも低温(例えば約220℃)の空気・蒸気混合気を得ることができる。この空気・蒸気混合気を混合ガス分岐ライン(22)で分岐して冷却ガス導入口(20)に供給することにより、燃焼器をバイパスして燃焼器直後のタービン翼又はタービンディスクに冷却用ガスを導入し、タービン翼又はタービンディスクの冷却に使用することにより、タービンの高温部の冷却効率を向上させることができる。
【0017】また、この構成により、混合ガス中の蒸気は分圧低下と温度上昇により過熱蒸気(例えば過熱度40℃前後)となるため、タービン翼内部に導入されても、コロージョン、エロージョン等の発生を防止することができる。更に本発明の構成では、従来技術で不可欠であった、排熱回収用の過熱器、或いは蒸気タービンからの抽気(すなわち抽気式蒸気タービン)を不要にすることができる。
【0018】本発明の好ましい実施例によれば、前記ガスタービンは、燃焼器に供給される混合ガスと前記冷却ガス導入口(20)に供給された混合ガスとを仕切る隔壁(24)を備える。この構成により、単に隔壁(24)を備えることにより、燃焼器をバイパスして燃焼器直後のタービン翼又はタービンディスクに冷却用ガスを導入し、タービン翼又はタービンディスクの冷却に使用することができる。
【0019】更に、前記混合器は、水蒸気で駆動され圧縮空気を吸引するエジェクタからなる、ことが好ましい。この構成により、水蒸気を駆動流体とするエゼクターにおいて、水蒸気の噴流によりガスタービン圧縮機出口の空気を吸引し、駆動流体である飽和蒸気と混合し、圧縮空気よりも低温の空気・蒸気混合気を容易に得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を使用する。図1は本発明による二流体ガスタービンの模式図である。この図において、本発明による二流体ガスタービンは、空気Aを圧縮する圧縮機2と、燃料Fを燃焼させる燃焼器3と、燃焼排ガスEにより駆動され圧縮機2を駆動するタービン7とからなるガスタービンと、タービン7の下流に設けられ燃焼排ガスEから飽和蒸気Sを発生させる熱交換器6と、熱交換器6で発生した飽和蒸気Sとこの飽和温度Sよりも高い温度まで圧縮機2で圧縮された圧縮空気とを混合する混合器10と、混合器10で混合された混合ガスを燃焼器3へ導く混合ガスライン11とを備えている。なお、空気ライン13は、圧縮機2による圧縮空気の一部を燃焼器へその残部を混合器に導くラインである。また、混合器10は、水蒸気Sで駆動され圧縮空気Aを吸引するエジェクタであるのがよい。
【0021】図2は、本発明による二流体ガスタービンの全体構成図である。図1及び図2に示すように、本発明の二流体ガスタービンは、混合ガスライン11の混合ガスを燃焼器に供給するための混合ガス導入口17a,17bの他に、更に、冷却ガス導入口20と混合ガス分岐ライン22とを備えている。
【0022】冷却ガス導入口20は、ガスタービンのタービン上流部に設けられ、燃焼器3をバイパスして燃焼器直後のタービン翼又はタービンディスクに冷却用ガスを導入するようになっている。また、混合ガス分岐ライン22は、混合器10で混合された混合ガスを混合ガスライン11から分岐して冷却ガス導入口20に直接供給するようになっている。
【0023】図3は、図2のA部拡大図である。この図に示すように、ガスタービンは、燃焼器3に供給される混合ガスと冷却ガス導入口20に供給された混合ガスとを仕切る隔壁24を備えている。この隔壁24は、熱膨張可能な薄肉の耐熱金属製であり、燃焼器3に供給される高温(約380℃)の混合ガスと冷却ガス導入口20に供給された比較的低温(約220℃)を仕切り、かつその間の漏れ量が全体の数%以内になるように構成されている。なお、必要に応じて、シール箇所にラビリンスシール等を設けるのがよい。
【0024】図4は、本発明におけるタービン翼の構成図である。燃焼器直後のタービン翼(特に静翼、又はノズル)はこの図に示すように、中空の二重翼であり、内部に冷却ガスを供給し、インピンジ冷却により、外壁に上流側(前縁側)を内面から冷却し、そのガスを後縁側から主流中に噴射するのがよい。なお、動翼は内部に冷却ガスを導入して冷却してもよい。更にタービンディスクの場合には、外面を冷却ガスで冷却してもよい。
【0025】上述した本発明の構成によれば、混合器10で熱交換器で発生した飽和蒸気(例えば約210℃、19ata)とこの飽和温度よりも高い温度(例えば約380℃)まで圧縮機で圧縮された圧縮空気とを混合することにより、圧縮空気よりも低温(例えば約220℃)の空気・蒸気混合気を得ることができる。
【0026】この空気・蒸気混合気を混合ガス分岐ライン22で冷却に必要な量(タービンに供給される全ガス量の8〜10%程度)を分岐して冷却ガス導入口20に供給する。これにより、低温(例えば約220℃)の空気・蒸気混合気を燃焼器3をバイパスして燃焼器直後のタービン翼又はタービンディスクに導入し、タービン翼又はタービンディスクを冷却し、タービンの高温部の冷却効率を向上させることができる。
【0027】また、この構成により、混合ガス中の蒸気は分圧低下と温度上昇により過熱蒸気(例えば過熱度40℃前後)となるため、タービン翼内部に導入しても、コロージョン、エロージョン等の発生を防止することができる。更に本発明の構成では、従来技術で不可欠であった、排熱回収用の過熱器、或いは蒸気タービンからの抽気(すなわち抽気式蒸気タービン)を不要にすることができる。
【0028】また燃焼器3に供給される混合ガスと冷却ガス導入口20に供給された混合ガスとを仕切る隔壁24を備えることにより、容易に燃焼器3をバイパスして燃焼器直後のタービン翼又はタービンディスクに冷却用ガスを導入し、タービン翼又はタービンディスクの冷却に使用することができる。
【0029】更に、混合器をエジェクタとすることにより、水蒸気Sを駆動流体とするエゼクターにおいて、水蒸気の噴流によりガスタービン圧縮機出口の空気を吸引し、駆動流体である飽和蒸気Sと混合し、圧縮空気Aよりも低温の空気・蒸気混合気を容易に得ることができる。
【0030】なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0031】
【発明の効果】上述したように、本発明の二流体ガスタービンは、蒸気ドレンによるコロージョン、エロージョンの発生を防ぐことができ、かつ燃焼器直後のタービン翼又はタービンディスクを効果的に冷却することができる、等の優れた効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年7月16日(1999.7.16)
【代理人】 【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実 (外1名)
【公開番号】 特開2001−27132(P2001−27132A)
【公開日】 平成13年1月30日(2001.1.30)
【出願番号】 特願平11−202992