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【発明の名称】 最適性能を得るための工業用ガスタービンの運転方法
【発明者】 【氏名】フィリップ・リン・アンドリュー

【氏名】ポール・トーマス・マークス

【氏名】ダニエル・ロバート・ドゥイアー

【氏名】ジョン・デビッド・スタンフリ

【氏名】ジョセフ・アンソニー・コトロネオ

【氏名】ハロルド・エドワード・ミラー

【氏名】ロナルド・リチャード・ウェソリック

【要約】 【課題】「ISO日」定格性能を最適化するためのガスタービン運転方法を提供する。

【解決手段】公称運転線を運転限界線に等しい位置又はそれより僅かに下方の位置に設定し、それによってISO全負荷性能を最大にする。すなわち、入口抽気熱の追加なしに、かつ「基底負荷」圧力比及び燃焼温度の下で、圧縮機が「ISO日」におけるそれの運転限界の範囲内で動作するように、第1段タービン・ノズルののど面積を決定する。周囲条件が変化した場合には、入口抽気熱及び燃焼温度のレベルを調節しかつ前置静翼の角度を設定することにより、公称運転線を運転限界線に等しい位置又はそれより僅かに下方の位置に維持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガスタービンの性能を最適化するようにガスタービンを制御するための方法において、圧縮機、燃焼器及び燃焼タービンを含むガスタービンに結合された複数のタービン作動装置に結合された制御装置と、オペレータ・インターフェースとを含む制御システムを設ける工程であって、前記作動装置は、前記制御装置によって発生されるそれぞれの作動装置制御信号に応答して前記ガスタービンの運転を制御し、前記制御装置は、前記オペレータ・インターフェースからの入力と複数のタービン運転条件信号とに対応して前記それぞれの作動装置制御信号を発生する処理装置を含み、かつ前記制御システムは、前記ガスタービンにおける圧縮機の運転に関する物理的限界に関連した圧力比によって定義されるサージ線に対して実質的に一定のサージ・マージンを与える圧力比運転限界線を定義するようにプログラムされている、前記制御システムを設ける工程と、前記ガスタービンのISO圧力比を最大にするように前記ガスタービンの第1段タービン・ノズルののど面積を決定する工程と、前記ガスタービンの公称運転線が前記運転限界線に等しい位置又はそれより僅かに下方の位置を占めるように前記制御システムを操作することにより、前記ガスタービンの運転圧力比とサージ線に近い高い圧力比における運転限界に関連した圧力比との間に実質的に一定のマージンを維持する工程と、を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項2】 入口抽気熱の増加、燃焼温度の低下、及び前置静翼の最小運転角度設定値の制限の少なくとも1者によって前記実質的に一定のマージンを維持するように前記制御システムが操作される請求項1記載の方法。
【請求項3】 前記操作工程が、「出力低下」運転時に高いレベルの入口抽気熱を付加して前記圧縮機の公称運転線を降下させ、それによって前記実質的に一定のマージンを維持することを含む請求項2記載の方法。
【請求項4】 前記運転限界が旋回失速の発生及び過度の動翼ひずみの発生を含む請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の背景】近年、効率的な発電設備に関する世界市場は拡大しつつあり、そして将来も拡大を続けるものと予想されている。この種の設備の中では、ガスタービン複合サイクル発電プラントを選択することが好ましい。なぜなら、それは設備投資費が比較的少なくて済む上、ガスタービンに基づく複合サイクルの運転効率が絶えず改善されているために発電コストが最少限に抑えられるからである。
【0002】発明の背景として、図1の略図を参照しながら説明すれば、典型的な複合サイクル・ガスタービンは直列に結合された吸気口又は空気入口、圧縮機、燃焼器、タービン、熱回収用蒸気発生器(HRSG)及びそれに付属する蒸気タービンを含んでいる。その結果、空気は周囲条件下において10から軸流圧縮機に入る。周囲条件は場所によって変化し、また日によって変化する。それ故、比較目的のため、ガスタービン業界においては標準条件が使用されている。このような標準条件とは、59°F/15℃、14.696psia/1.013バール、及び相対湿度60%から成るものである。かかる標準条件は国際標準化機構(ISO)によって制定されたもので、一般にISO条件と呼ばれている。
【0003】圧縮された空気は12を通って燃焼系に入るが、そこにおいては燃料が噴射されて燃焼が起こる。こうして生じた燃焼生成物は燃焼系を出た後、14を通ってタービンに入る。タービン部分においては、高温ガスのエネルギーが仕事に変換される。このような変換は2つの段階にわたって行われる。タービンのノズル部分においては、高温ガスが膨張し、そして熱エネルギーの一部が運動エネルギーに変換される。次いで、タービンの動翼部分において運動エネルギーの一部が回転する動翼に伝達され、そして仕事に変換される。タービンによって生み出される仕事の一部は圧縮機を駆動するために使用される一方、残部は動力を発生するために利用することができる。16を通ってタービンを出た排ガスはHRSGに流入する。
【0004】ブレイトン(Brayton) サイクルは、全てのガスタービンの運転の基礎となる熱力学的サイクルである。いかなるブレイトン・サイクルも、圧力比及び燃焼温度によって特徴づけることができる。該サイクルの圧力比は、12における圧縮機排出圧力を10における圧縮機入口圧力で割った値である。ゼネラル・エレクトリック(GE)社及び本発明者等は、第1段ノズル後縁面における質量流量平均全温度として燃焼温度を定義した。燃焼温度を決定する別の方法は、ISO文書2314「ガスタービン−受入試験」中に規定されている。その場合の燃焼温度は基準タービン入口温度であって、一般にガスタービン・サイクル中に存在する温度ではない。これは、現地試験において求められたパラメータを用いて算出される。従って、このISO基準温度は上記のごとくGE社によって定義された真の燃焼温度よりも常に低い。
【0005】次の図2を参照すれば、燃焼温度の定義が例示を目的として図示されている。平面Aはタービン入口温度を表わすが、これは平面A内における平均ガス温度(TA )である。平面BはGE社及び本発明者等によって定義された燃焼温度を表わすが、これは平面B(第1段ノズル後縁面)内における平均ガス温度である。平面CはISO燃焼温度を表わすが、これはTc =f(Ma ,Mf )に従って算出された平面C内の温度である。
【0006】ブレイトン・サイクルは、圧力、温度、比熱、効率係数及び断熱圧縮指数のごときパラメータを用いて評価することができる。かかる解析をブレイトン・サイクルに適用すれば、サイクルの比出力に対してサイクルの効率をプロットしたグラフとして結果を表示することができる。空気流1ポンド当りの出力は重要な決定因子である。なぜなら、この値が大きいほど、同じ出力を得るために必要なガスタービンが小型になるからである。また、熱効率も重要である。なぜなら、それは運転燃料費に直接の影響を及ぼすからである。
【0007】数多くの因子がガスタービンの性能に影響を及ぼす。たとえば、空気の温度はガスタービンの性能にとって重要な因子である。ガスタービンは周囲空気を吸気として受入れるから、それの性能は圧縮機への吸気の質量流量に影響を及ぼす任意の要因(すなわち、59°F及び14.696psiaの基準条件からの変化)によって変化することになる。各々のタービン・モデルは独自の温度−効果曲線を有するが、それは空気の質量流量ばかりでなくサイクル・パラメータ及び部品効率にも依存するからである。
【0008】また、単位質量流量当りの出力を大きくして複合サイクル効率を高めるためにはガスタービンにおける燃焼温度の高いことが重要な要素であり、そして一定の燃焼温度に対しては複合サイクル効率を最大にする最適のサイクル圧力比が存在することも公知である。最適のサイクル圧力比は、燃焼温度が高くなるほど大きくなる傾向がある。従って、これらのタービン用の圧縮機についてはより高いレベルの圧力比が要求されており、それと同時に最少の部品数、簡単な運転、及び少ない総合原価も目標とされている。その上、圧縮機は総合サイクル効率を高める圧縮効率の下でかかる高いレベルのサイクル圧力比を可能にしなければならない。最後に、圧縮機は複合サイクル運転の可変出力特性に関連した広範囲の質量流量の下で空気動力学的かつ空気静力学的に安定な状態で働かなければならない。
【0009】連続運転に際して圧縮機が達成することのできる最大の圧力比は、一般にサージ圧力比を表わすサージ線からのマージンとして定義される。圧縮機のサージは流れの低周波振動であって、その場合には流れが動翼から剥離して機械中における流れの方向を逆転させる。すなわち、それは一定速度での圧縮機の運転に対する物理的限界を成すことになる。
【0010】従来の工業用ガスタービンの運転方法は、「出力低下・寒冷日」条件の下で圧縮機のサージ・マージンの最小限界に到達するように第1段タービン・ノズルののど面積を決定するというものであった。場合によっては、「公称流量・寒冷日」が限界運転条件となることもある。図3には、このような従来の方法に関する原理が示されている。低温の周囲条件に関連して補正されたより大きい速度の下では、圧縮機の前段が空力的にチョークし始めるため、速度線(たとえば、105%、110%及び115%の補正速度線)の間隔が狭くなる。その結果、100%補正速度を越えて速度が増大するのに伴い、運転線の圧力比はサージ線に向かって急速に増大する。そのため、補正速度の増大に伴って圧縮機のサージ・マージンは急速に減少する。従って、運転範囲全域における最小レベルのサージ・マージンが「寒冷日」条件の下で生じるように第1段タービン・ノズルののど面積を決定するのが従来の方法であった。このような最小レベルのサージ・マージンは、圧縮機動翼の新品かつ清浄な状態からのずれ、機械間のバラツキなどに対処するためのものである。しかるに、このような従来の方法の結果、「ISO日」条件下におけるサージ・マージンは最小安全マージンをかなり越えるものとなる。そのため、達成される定格圧力比は「寒冷日」の値よりもかなり低く、かつ圧縮機が達成し得る値よりもかなり低いものとなる。
【0011】
【発明の概要】本発明は、高い効率に相応した高いサイクル圧力比及び圧縮機の運転範囲全域にわたる十分なサージ・マージンに関する要求を満足させようという努力から得られたものである。
【0012】一層詳しく述べれば、本発明の目的の1つは、利用可能なサージ・マージンを運転範囲全域に一様に再配分し、その結果として圧縮機によって達成し得る最大圧力比を複合サイクル効率の向上のために利用し得るようにすることにある。すなわち、本発明の目的の1つは、工業用ガスタービンの圧縮機の圧力比能力をより十分に利用することによって一層優れた複合サイクル運転効率を達成することにある。
【0013】本発明の目的を達成するためには、公称運転線を運転限界線に等しい位置又はそれより僅かに下方の位置に設定し、それによってISO全負荷性能が最大になるようにすればよい。すなわち、入口抽気熱の追加なしに、かつ「基底負荷」圧力比及び燃焼温度の下で、圧縮機が「ISO日」におけるそれの運転限界の範囲内で動作するように第1段タービン・ノズルののど面積が決定される。周囲条件が変化した場合には、入口抽気熱及び燃焼温度のレベルを調節しかつ前置静翼の角度を設定することにより、公称運転線が運転限界線に等しい位置又はそれより僅かに下方の位置に維持される。
【0014】本発明は、前置静翼が公称全流量スケジュールに沿って動作する場合及び「出力低下」条件の下で流量を減少させるために前置静翼が閉じられる場合の両方に関して最適の圧力比及びサージ・マージンを与えるような設計及び運転方法を提供するものである。
【0015】本発明の上記及びその他の目的並びに利点は、添付の図面を参照しながら本発明の現時点において好適な実施の態様に関する以下の詳細な説明を綿密に検討することによって一層完全に理解されよう。
【0016】
【発明の詳しい説明】ガスタービンの効率的な運転のためには、幾つかの重要なタービン運転パラメータを処理することにより、燃料の流量や分布及び吸気の流量のごとき制御可能なパラメータに関する最適設定値を決定することが必要である。上記のごとき運転パラメータとしては、圧縮機の入口及び出口温度並びに入口及び出口圧力、排気の温度及び圧力、などが挙げられる。従って、ガスタービンによって発生される動力の制御は、燃焼器に流入する燃料の流量及び空気の流量を制御することによって行われるのが通例である。
【0017】ガスタービン用の制御装置の一例としては、ゼネラル・エレクトリック社製のスピードトロニック(登録商標)・マークV・コントロール・システム(Speedtronic Mark V Control System) が挙げられる。これは、部分負荷条件下で燃料の流量を制御するように働く速度及び負荷制御機能並びに定格燃焼温度を達成しながら燃料の流量を最大値に制限しかつ前置静翼を介して空気の流量を制御する温度制御をはじめとする全てのガスタービン要求制御条件を満たすように設計されている。マークV・コントロール・システムはまた、完全に自動化された起動、停止及び冷却を可能にするための補助装置のシーケンス制御をも取扱う。基本システム中には、不利な運転状況に対するタービンの保護及び異常な条件の通告も組込まれている。マークV・コントロール・システムに対するオペレータ・インターフェースは、現在の運転条件に関してオペレータへのフィードバックを与えると共にオペレータからの命令の入力を可能にするために役立つカラーグラフィック・モニタ及びキーボードから成っている。
【0018】上記のごとくに制御装置は、燃料、空気及び排出物の制御、起動、停止及び冷却のためのタービン燃料及び補助装置のシーケンス制御、発電機とシステムとの同期及び電圧整合、全てのタービン、制御及び補助機能の監視、並びに危険で不利な運転条件に対する保護を含んだ数多くの機能を実行する。これらの機能の全ては、所望の予めプログラムされた制御原理及び(又は)オペレータによって入力された制御原理を実現するように統合された方式に従って実行される。
【0019】図4のブロック図には、典型的なガスタービン制御システム100が示されている。この制御システムは米国特許第5857321号明細書中に一層詳細に開示されたものであって、それの開示内容は引用によって本明細書中に編入されている。ガスタービン制御システム100はガスタービン50に結合され、そして該タービンの運転を制御するために役立つ。上記の通り、ガスタービン50は圧縮機52、燃焼器54、タービン部分56及び排気出口57を含むのが通例である。更にガスタービン50は、通例、タービン50によって駆動される出力手段60(たとえば発電機)に結合されている。タービン50の運転は、たとえば、タービンを起動する工程、タービンに負荷を加える工程、燃料の使用及び排出物の生成を最適化しながら安定した出力が得られるように定常負荷状態を維持する工程、及びタービンを停止する工程を含むことがある。
【0020】制御システム100は、オペレータ制御器115並びにタービン50及び出力手段60に結合された複数のセンサ70のごとき複数の供給源から入力を受信するように結合された制御装置110を含んでいる。制御装置110は、通例、処理される複数の入力信号に応答して複数の制御信号を発生するように構成された電子処理装置を含んでいる。ここで言う「ように構成された」及び類似の表現は、タービンの運転を制御するための所望の命令を生み出すことのできる特定の機能に従ってタービンの運転パラメータを表わす信号の処理を可能にするための回路部品及びプログラミングを含んだ装置を意味する。また、「に応答して」又は「に対応して」信号を発生するという表現は、通例、1つ以上のパラメータの間の関係を表現しかつ通常は数式によって表示される所定の機能に従って信号を処理することを意味する。制御装置110の一例は、GE社製のマークV・コントロール・システムである。制御装置110は、マイクロプロセッサ・チップ、特定用途向け集積回路、信号状態調整用回路部品などのごとき1個以上の電子式処理装置から成り得る。あるいはまた、光エネルギーを用いてデータが伝送されるようなシステムを制御するための一部の用途においては、光学的信号処理装置を使用することもできる。
【0021】制御装置110は、特定のタービン運転体制を維持又は確立するために使用されるタービン作動装置120に結合されている。制限ではなく例示を目的として述べれば、作動装置120は空気流量作動器122及び燃料流量作動器124を含むのが通例である。空気流量作動器122は、圧縮機52に流入する空気の流量を調節するための装置(たとえば、前置静翼51用の位置調節装置)から成っている。同様に、燃料流量作動器124は燃焼器に供給される燃料の流量を調節するための1つ以上の装置(たとえば、燃焼器54に流入する燃料の流れを絞るための弁)から成っている。一部の燃焼器(全部ではない)においては、かかる燃料流量の調節が一次帯域燃料制御弁53及び二次帯域燃料制御弁55によって行われることがある。たとえば、一次供給燃料は燃焼室内で燃やされる前に吸気と混合される一方、二次供給燃焼は燃焼室内に火炎を供給するために使用される。このような構成は、タービン50からの排出物を低減させるために役立つ一手段である。なお、排出物の低減が有効であるためには、一次及び二次マニホルドによって供給される燃料の相対比率を正確に制御することが必要である。制御装置110はまた、図5に関連して下記に記載されるごとく他の制御目的に使用するために圧縮機の排出側から空気流の一部を取出す抽気弁や冷却流量制御弁のごとき追加の作動装置にも結合されている。
【0022】制御装置110は、ガスタービン50及び負荷60に結合された複数のセンサ70から信号を受信するように結合されている。かかるセンサは、通例、ガスタービン50の運転に関係する様々なパラメータを感知する温度センサ、圧力センサ、流量センサ、湿度センサ、速度センサ、火炎検出器センサ、弁位置センサ、前置静翼角度センサなどから成っている。ここで言う「パラメータ」及び類似の用語は、所定のタービン運転状態を表わすために使用し得るタービン内の特定の位置における温度、圧力及び流量のごときタービン50の運転条件を定義するために使用し得る用語を意味する。センサ70は、通例、感知パラメータ結合装置130(たとえば、端子盤など)を介して制御装置110に結合されている。
【0023】更に制御装置110は、たとえば特定のタービン運転パラメータを表わす電気信号を用いてタービン運転条件を表現するための処理手段140を含んでいる。かかるタービン運転条件信号は、直接に感知し得るもの(たとえば、特定の温度又は圧力)である場合もあれば、あるいは直接に測定(又は感知)するのが困難(又は不可能)である運転条件パラメータに関して算出された値(すなわち、制御装置110の処理装置のプログラミング中に埋め込まれたモデルから決定された値)から成る場合もある。通常、算出されるタービン運転条件パラメータは、タービンの内部サイクル・パラメータ〔すなわち、直接に測定可能ではないが、(少なくとも感知入力値の狭い範囲内においては)1組の非線形方程式から成る数学モデルによって表わすことのできる値〕である。
【0024】タービン運転条件信号140は、下記に記載されるような予めプログラムされるか入力されるかした制御方法を実行するため、タービン運転条件信号に対応してタービン作動装置120用の制御信号を生み出すための作動装置制御信号処理装置150に結合されている。
【0025】次の図5を見ると、入口抽気熱装置が略示されている。入口抽気熱(IBH)は、通例、前置静翼(IGV)の角度を小さくして運転する場合にガスタービンの圧縮機を着氷から保護するために使用される。その上、IBHは追加の圧縮機運転マージンが必要となるような特定の運転条件下で圧縮機の圧力比を低下させるためにも使用される。図示のごとく、典型的な入口抽気熱装置においては、圧縮機の排出空気を抽出するための圧縮機排出空気抽出マニホルド200が設けられている。こうして抽出された空気は、手動遮断弁210及び制御弁212を通って流れ、そして入口空気フィルタ・ハウス216及び入口消音器218の下流側かつ入口塵よけスクリーン220の上流側に配置された入口抽気熱マニホルド214に達する。図示された装置においては、凝縮液をタービン排気224中に分流させるためのドレン弁222も設けられている。
【0026】再び図3について説明すれば、流量に対して圧力比をプロットしたグラフである典型的なガスタービンの圧縮機マップが示されている。先行技術の圧縮機マップは、14.696psia及び518.67°RのISO条件に対して補正された数本の一定回転速度線によって規定される。
【0027】図3のマップはまた、サージ圧力比を表わすサージ線によって規定される。上記のごとく、サージ線は流れが動翼から剥離して方向を逆転させるような圧力比(すなわち、所定の速度における圧縮機の限界)を表わす。
【0028】運転限界線は、サージ圧力比及び流れの逆転の両方を考慮しながら運転限界に関連した圧力比に対して一定のマージンを与えるように定義されている。かかる運転限界としては、サージ線に近い高い圧力比における旋回失速の発生及び過度の動翼ひずみの発生が挙げられる。運転限界線より上方での運転は、ガスタービン制御システムによって許されない。すなわち、運転限界線は圧縮機に関する最高の運転限界としてガスタービンのオペレータにより設定された線である。
【0029】公称運転線は、タービン及び圧縮機が可変速度で運転されるような運転条件を表わす。圧力比及び流量の許容される組合せを示す公称運転線は、「寒冷日」条件下において所望のサージ・マージンを与えるように選定された第1段タービン・ノズルの面積によって規定される。設計点は、100%補正速度線と公称運転線との交点として定義される。
【0030】図3からわかり通り、かつまた上記に記載された通り、設計点を越える補正速度の下では、圧縮機の前段における空力的チョーキングのために公称運転線は高圧力比側に急速に移動する。従って、設計点を越えて補正速度が増大するのに伴ってサージ・マージンの減少が生じる。従来、「寒冷日」運転に関連した高い補正速度の下では、サージ圧力比に対する最小許容マージンは第1段タービン・ノズルの流路面積によって規定されていた。これは、設計点においては十分に利用されない過大なサージ・マージンを生じるという逆効果をもたらす。
【0031】図6には、本発明に係わる改善された圧縮機マップが示されている。点線によって示されるごとく、公称運転線は運転限界線に等しい位置又はそれより僅かに下方の位置に設定されている。図6に示されているのは、前置静翼(IGV)が全流量スケジュールに沿って動作する場合、及び出力低下条件の下で流量を減少させるためにIGVが閉じられる場合に関して改良された圧縮機マップである。
【0032】本発明に従えば、第1段タービン・ノズルの面積はISO圧力比を最大にするように設定される。すなわち、入口抽気熱を追加せずに、かつ「基底負荷」圧力比及び燃焼温度の下で、圧縮機が「ISO日」におけるそれの運転限界の範囲内で動作するように第1段タービン・ノズルののど面積が決定される。
【0033】「寒冷日」及び部分負荷に伴うサージの問題は、入口抽気熱(IBH)の増加、燃焼温度(Tf )の低下、及び前置静翼(IGV)の最小運転角度設定値の制限によって対処される。
【0034】従って、図6に示されるごとく、設計点の圧力比は図3に示された圧縮機マップに比べてかなり上昇しており、それによってより高い複合サイクル運転効率を達成することができる。
【0035】(システム、所在地、及びその他の因子や事由に応じて約5%〜約20%の範囲内にある)一定のサージ・マージンは、高いレベルの入口抽気熱の選択的付加及び燃焼温度の選択的低下の組合せにより運転範囲全域を通じて維持される。入口抽気熱は、2つのやり方でサージ・マージンを維持するために役立つ。第一に、入口抽気熱は運転線を降下させてサージ線から遠ざける。第二に、「寒冷日」に入口抽気熱を用いて空気流を加熱することは補正速度を低下させ、従って設計点からの移動を減少させる。燃焼温度の低下は運転線を降下させ、従ってマップ全体を通じてサージ・マージンを増加させる。しかるに、上記のごとく、ガスタービンにおける燃焼温度の上昇は単位質量流量当りの出力を高めるために重要な要因である。それ故、本発明の制御方法の現時点において好適な実施の態様に従えば、圧縮機の運転線を降下させるために必要な場合には高いレベルの入口抽気熱を選択的に付加することとし、従って燃焼温度の低下によって圧縮機の運転線を降下させることの必要性を最少限に抑えることが好ましい。
【0036】たとえば、圧縮機の運転限界保護のために入口抽気熱制御を行う場合には、圧縮機の運転限界マップを保護制御基準として制御ソフトウェア中に組込むことができる。圧縮機の圧力比は、入口及び出口の圧力変換器測定値から算出され、そして閉ループ制御用のフィードバック信号として使用される。次いで、保護制御基準、圧力比測定値のフィードバック信号、及びその他適宜の感知/算出パラメータを用いて入口抽気熱の量を調節することができる。本発明によって提唱されるごとく、圧力比を制限するためには一定の最大比率(たとえば5%)までの圧縮機排出空気を抽出することができる。抽気量がそれの最大比率(排出空気の5%)に達し、かつエラー条件が満足されなければ、燃焼温度を選択的に低下させ、かつ(あるいは)前置静翼の最小運転角度設定値を制限することができる。
【0037】上記の説明からわかる通り、本発明の実施の結果、工業用ガスタービンの軸流圧縮機はこの種の機械において通常使用される圧力比より実質的に高い圧力比の下で運転される。その上、基底負荷運転範囲全域にわたり、基底負荷圧力比と運転限界に関連した圧力比との間に一定のマージンが維持される。ここで言う運転限界は、サージ線に近い高い圧力比における旋回失速の発生及び過度の動翼ひずみの発生を含んでいる。
【0038】すなわち、運転圧力比と運転限界に関連した圧力比との間に一定のマージンを維持するため、「寒冷日」運転に際しては高いレベルの入口抽気熱が選択的に付加され、それによって圧縮機の運転線が降下させられる。「寒冷日」運転に際して高いレベルの入口抽気熱を選択的に付加することはまた、高補正速度側への移動を抑制する結果、燃焼温度の低下によって圧縮機の運転線を降下させる必要性を最少限に抑える。これもまた、一定のマージンを維持するために役立つ。
【0039】更にまた、一定のマージンを維持するため、「出力低下」運転に際しても高いレベルの入口抽気熱が付加され、それによって圧縮機の運転線が降下させられる。「出力低下」運転に際して高いレベルの入口抽気熱を付加することもまた、高補正速度側への移動を抑制する結果、燃焼温度の低下によって圧縮機の運転線を降下させる必要性を最少限に抑える。これもまた、運転圧力比と運転限界に関連した圧力比との間に一定のマージンを維持するために役立つ。
【0040】一定のマージンを維持するために必要ならば、「寒冷日」運転に際して燃焼温度を選択的に低下させることができる。また、一定のマージンを維持するために必要ならば、「出力低下」運転に際しても燃焼温度を選択的に低下させることができる。
【0041】運転圧力比と運転限界に関連した圧力比との間に一定のマージンを維持するために必要ならば、前置静翼の最小運転角度設定値を制限することによって「出力低下」時の燃焼減少量を制限することもできる。
【0042】以上、現時点において最も実用的で好適なものと考えられる実施の態様に関連して本発明を説明したが、本発明は開示された実施の態様のみに限定されるわけではないことを理解すべきである。それどころか、前記特許請求の範囲は様々な変更態様及び同等の構成をも包括することが意図されている。
【出願人】 【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【出願日】 平成12年6月7日(2000.6.7)
【代理人】 【識別番号】100093908
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 研一
【公開番号】 特開2001−20760(P2001−20760A)
【公開日】 平成13年1月23日(2001.1.23)
【出願番号】 特願2000−169850(P2000−169850)