トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの

【発明の名称】 燃料ガスを加湿加熱する方法及び装置
【発明者】 【氏名】ジャティラ・ラナシンゲ

【氏名】ラウブ・ワーフィールド・スミス

【要約】 【課題】プラントの出力低下を回避しつつ、HRSGにおける温度の不一致を更に改善すること。

【解決手段】ガスタービンの排気は熱回収蒸気発生器HRSGの入口端部から出口端部へと流れ、またシステムは、燃料ガスを水によって飽和させ且つ燃料ガスを過熱する燃料ガス飽和器組体を更に具備し、熱回収蒸気発生器は、排気ガスからの熱によって水を加熱し、燃料ガス飽和器組体の熱源を規定する第1の水加熱器と、ガスタービンに供給するために、燃料ガス飽和器組体により飽和され且つ加熱された燃料ガスを過熱する燃料ガス過熱器とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガスタービンと、蒸気タービンと、熱回収蒸気発生器とを含み、ガスタービンの排気ガスを熱回収蒸気発生器において蒸気タービン用の蒸気を発生させるために使用し、ガスタービンの排気ガスは熱回収蒸気発生器の入口端部から出口端部へ流通するコンバインドサイクルシステムにおいて、高温飽和器用水の給水口と、燃料ガス用供給口と、飽和燃料ガス用排出口と、飽和器用排水口とを有する燃料ガス飽和器と、飽和器用水加熱器と、前記飽和器加熱器が熱回収蒸気発生器の熱源に動作結合して、前記熱源を使用して導入されて来る飽和器用水を加熱し、高温飽和器用水を生成するために、飽和器用水を前記飽和器用排水口から前記飽和器用水加熱器まで流通させる流路と、飽和器用水加熱器により生成された高温飽和器用水を燃料ガス飽和器の高温飽和器用給水口まで流通させる流路と、飽和燃料ガスを加熱する燃料過熱器と、過熱飽和燃料ガスを生成するために、飽和燃料ガスを前記飽和燃料ガス用排出口から前記飽和燃料ガスを加熱する前記燃料過熱器まで流通させる流路と、前記過熱飽和燃料ガスを前記ガスタービンまで流通させる流路とを更に具備するコンバインドサイクルシステム。
【請求項2】 前記燃料過熱器は熱回収蒸気発生器の熱源に動作結合して、前記熱源を使用して前記飽和燃料ガスを加熱する請求項1記載のコンバインドサイクルシステム。
【請求項3】 前記飽和器加熱器は熱回収蒸気発生器の第1の部分に動作結合し、前記燃料過熱器は熱回収蒸気発生器の第2の部分に動作結合し、且つ前記第2の部分は、熱回収蒸気発生器を通る前記ガスタービンの排気の流れ方向に関して前記第1の部分の上流側にある請求項2記載のコンバインドサイクルシステム。
【請求項4】 前記熱回収蒸気発生器は低圧蒸発器を含み、且つ前記熱源は、熱回収蒸気発生器を通る前記ガスタービンの排気の流れ方向に関して前記低圧蒸発器の下流側にある請求項1記載のコンバインドサイクルシステム。
【請求項5】 前記熱回収蒸気発生器は低圧蒸発器を含み、熱回収蒸気発生器の前記第1の部分は、熱回収蒸気発生器を通る前記ガスタービンの排気の流れ方向に関して前記低圧蒸発器の下流側にあり、且つ熱回収蒸気発生器の前記第2の部分は前記低圧蒸発器の上流側にある請求項3記載のコンバインドサイクルシステム。
【請求項6】 燃料ガスにより吸収された水分と置き換えるために、補給水を補給水源から前記飽和器用水に加える流入部を更に具備する請求項1記載のコンバインドサイクルシステム。
【請求項7】 補給水を加えるための前記流入部は前記燃料ガス飽和器に補給水供給口を有する請求項6記載のコンバインドサイクルシステム。
【請求項8】 前記熱回収蒸気発生器は、給水を送り出す少なくとも1つの給水移送ポンプを含み、且つ補給水を加えるための前記流入部は、前記給水移送ポンプからの給水の少なくとも一部を前記燃料ガス飽和器へ導く流路を含む請求項6記載のコンバインドサイクルシステム。
【請求項9】 飽和器用水加熱器により加熱された水の少なくとも一部は、飽和燃料ガスを加熱する燃料過熱器へ分岐される請求項1記載のコンバインドサイクルシステム。
【請求項10】 前記飽和器用水加熱器の熱源は、前記燃料過熱器の熱源とは異なる熱源である請求項9記載のコンバインドサイクルシステム。
【請求項11】 前記飽和器用水加熱器は、前記ガスタービンの排気からの熱で前記飽和器用水を加熱する熱交換器を具備し、前記熱交換器は前記熱回収蒸気発生器の低圧エコノマイザ構造と並列して配設される請求項1記載のコンバインドサイクルシステム。
【請求項12】 蒸気タービン及びガスタービンのコンバインドサイクルシステムの再熱サイクル構成において、負荷に接続される蒸気タービンと、蒸気タービンからの排出蒸気を受け入れ、前記排出蒸気を凝縮して水に戻す復水器と、前記復水器からの水を受け入れ、前記水を前記蒸気タービンに戻すべき蒸気に変換する熱回収蒸気発生器と、前記熱回収蒸気発生器に排気ガスの形態で熱を供給する少なくとも1つのガスタービンと、燃料ガスを水で飽和させ且つ前記燃料ガスを加熱する燃料ガス飽和器組体と、前記熱回収蒸気発生器は、前記排気ガスからの熱で水を加熱し、前記燃料ガス飽和器組体の熱源を規定する第1の水加熱器を含むことと、前記燃料ガス飽和器組体により飽和状態にされ且つ加熱された燃料ガスを過熱し、前記ガスタービンに供給する燃料ガス過熱器とを具備する再熱サイクル構成。
【請求項13】 前記燃料ガス飽和器組体は、前記ガスタービンに供給すべき燃料ガスに水を加えるための給水口と、飽和燃料ガスを前記給水口から流入した水で加熱する熱交換器とを具備し、前記熱交換器は前記第1の水加熱器からの加熱水を受け入れる請求項12記載の再熱サイクル構成。
【請求項14】 前記燃料ガス飽和器組体は、前記第1の水加熱器からの温水用給水口と、燃料ガス用給入口と、飽和燃料ガス用排出口と、排水口とを有する燃料ガス飽和器充填塔を具備する請求項12記載の再熱サイクル構成。
【請求項15】 前記燃料ガス過熱器は前記飽和燃料ガスを前記熱回収蒸気発生器から取り出された熱で加熱する請求項12記載の再熱サイクル構成。
【請求項16】 第1の水加熱器により加熱された水の少なくとも一部は、飽和燃料ガスを過熱する燃料ガス過熱器へ分岐され、且つ前記燃料ガス過熱器から排出された飽和器用水は、前記燃料ガス飽和器組体において前記燃料ガスを加熱するために使用される請求項12記載の再熱サイクル構成。
【請求項17】 前記熱回収蒸気発生器は、前記燃料ガス過熱器へ流入させるために前記第1の水加熱器から分岐された前記水を加熱する第2の水加熱器を含む請求項16記載の再熱サイクル構成。
【請求項18】 前記第1の水加熱器は前記熱回収蒸気発生器の低圧エコノマイザ構造と並列して配設される請求項12記載の再熱サイクル構成。
【請求項19】 ガスタービンと、蒸気タービンと、熱回収蒸気発生器とを含み、ガスタービンの排気ガスは熱回収蒸気発生器において蒸気タービン方の蒸気を発生させるために使用され、前記ガスタービンの排気ガスは熱回収蒸気発生器の入口端部から出口端部へ流通するコンバインドサイクルシステムにおける電力出力及び熱力学的効率を向上させる方法において、燃料ガスに水を加え、熱回収蒸気発生器から取り出された熱によって燃料ガスを加熱して、加熱飽和燃料ガスを生成する過程と、飽和燃料ガスを燃料過熱器へ送る過程と、燃料過熱器で飽和燃料ガスを更に加熱して、燃料ガスを過熱する過程と、過熱飽和燃料ガスをガスタービンへ送る過程とからなる方法。
【請求項20】 前記飽和燃料ガスは熱回収蒸気発生器の熱源から取り出された熱で過熱される請求項19記載の方法。
【請求項21】 前記燃料ガスは、熱回収蒸気発生器により加熱された高温飽和器用水の給水口と、燃料ガス用供給口と、加熱飽和燃料ガス用排出口と、排水口とを有する燃料ガス飽和器充填塔において飽和され且つ加熱される請求項19記載の方法。
【請求項22】 前記高温飽和器用水の少なくとも一部は、前記飽和器へ送られる前に、前記燃料過熱器へ分岐される請求項21記載の方法。
【請求項23】 飽和器用水は、熱回収蒸気発生器を通る前記ガスタービンの排気の流れ方向に関して低圧蒸発器の下流側に配設された熱交換器で加熱される請求項21記載の方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然ガス燃焼形コンバインドサイクル発電所(natural gas firedcombined cycle power plants)に関し、特に、パワー出力及び熱力学的効率を向上させるために燃料ガスの飽和及び加熱を行う変形ボトミングサイクル(bottoming cycle)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のボトミングサイクル熱回収蒸気発生器(Heat Recovery Steam Generators= HRSG)の場合、低圧エコノマイザ(low pressure economizer = LP-EC)の内の高温のガスと、低温の水との間に大きな温度差があったため、熱力学的エネルギー(熱力学的ポテンシャル)が失われ、その結果、サイクルのパワー出力が制限されていた。これまで、カリナ(Kalina)サイクルのように、例えば、アンモニアと水などの、非等温沸騰特性を有する多成分流体を使用して,HRSGにおける温度の不一致を改善するボトミングサイクルを設計しようという試みが為されてきた。そのような多成分流体はHRSG全体の温度の不一致を改善すると共に、効率を向上させるが、ボトミングサイクルで多成分流体を実際に使用することは極めて困難である。
【0003】現在、コンバインドサイクル発電所によっては、熱効率を改善するために燃料の加熱を行っているところもある。現在の燃料加熱方法では、燃料をLP蒸気温度以上に燃料を加熱すると、プラントのパワー出力が低下してしまうが、熱消費量の減少によって熱効率が向上するため、燃料加熱は経済的な面では魅力ある設計オプションになっている。しかし、プラントの出力低下を回避しつつ、HRSGにおける温度の不一致を更に改善することができる方法及び装置は依然として必要である。
【0004】
【発明の概要】本発明の現時点で好ましい実施例によるボトミングサイクル設計方法においては、燃料ガスを飽和させるための水加熱部を熱回収蒸気発生器の低圧エコノマイザ(LP−EC)と並列して設けることにより、高温の熱交換流と低温の熱交換流との温度の不一致を最も圧力の低い蒸発器の温度以下に改善することができる。すなわち、本発明における燃料ガス飽和のための熱源はガスタービンの排気ガスである。水分を加えることによりガスの質量流量が増すため、ガスタービン及び蒸気タービンのパワー出力は増加する。燃料ガスの飽和に続いて、好ましくはボトムサイクル熱源によって燃料を過熱する。その結果、現在の燃料加熱方法と比較して、熱効率の利得は増大する。燃料をLP蒸気温度を越えるまで加熱したとしても、燃料を加熱しない場合と比べてパワー出力は増加する。先に述べた通り、現在の燃料加熱方法では、燃料を加熱しない場合と比べてパワー出力は失われてしまうと考えられる。従って、本発明のサイクルによって燃料ガスを飽和させ、その後に過熱することにより、燃料を同じ温度まで加熱する従来のコンバインドサイクル又は燃料の加熱を伴わないサイクルと比較して、パワー出力は増加し、また、熱力学的効率も向上する。
【0005】すなわち、本発明は、ガスタービンと、蒸気タービンと、熱回収蒸気発生器とを含むコンバインドサイクルシステムにおいて具現化され、ガスタービンの排気ガスは熱回収蒸気発生器において蒸気タービン用の蒸気を発生させるために使用され、このガスタービンの排気は熱回収蒸気発生器の入口端部から出口端部へと流れ、また、システムは、燃料ガスを水によって飽和させ且つ燃料ガスを過熱する燃料ガス飽和器組体を更に具備し、熱回収蒸気発生器(HRSG)は、排気ガスからの熱によって水を加熱し、燃料ガス飽和器組体の熱源を規定する第1の水加熱器と、ガスタービンに供給するために、燃料ガス飽和器組体により飽和され且つ加熱された燃料ガスを過熱する燃料ガス過熱器とを含む。
【0006】一実施例では、燃料ガス飽和器組体は、HRSGの第1の水加熱器から受け入れた加熱水によって燃料ガスを飽和させ且つ加熱する燃料ガス飽和器充填塔から構成されている。別の実施例においては、燃料ガス飽和器組体は、燃料ガスに水を加えるための給水口と、給水口から取りいれられた水で飽和された燃料ガスを加熱する熱交換器とを具備する。この場合、熱交換器は第1の水加熱器からの加熱水を受け入れ、それを使用して燃料ガスを加熱する。熱交換器を使用するか、飽和器充填塔を使用するかに関わらず、本発明の好ましい実施例においては、燃料過熱器は熱回収蒸気発生器の熱源を利用して飽和燃料ガスを加熱する。
【0007】更に、本発明は、ガスタービンと、蒸気タービンと、熱回収蒸気発生器とを含むコンバインドサイクルシステムにおけるパワー出力及び熱力学的効率を向上させる方法でも具現化され、この場合にも、ガスタービンの排気ガスは熱回収蒸気発生器において蒸気タービン用の蒸気を発生させるために使用され、このガスタービンの排気ガスは熱回収蒸気発生器の入口端部から出口端部へと流れ、方法は、燃料ガスに水を加え且つ熱回収蒸気発生器から取り出された熱によって燃料ガスを加熱して、加熱飽和燃料ガスを生成する過程と、飽和燃料ガスを燃料過熱器へ送る過程と、燃料過熱器で飽和燃料ガスを更に加熱して、燃料ガスを過熱する過程と、過熱された飽和燃料ガスをガスタービンへ送る過程とから成る。好ましい実現形態においては、飽和燃料ガスも熱回収蒸気発生器の熱源から取り出された熱によって加熱される。
【0008】ここで説明する変形ボトミングサイクル及びその方法は、特に、天然ガス燃焼形コンバインドサイクルに適用可能である。
【0009】本発明の蒸気の目的及び利点並びにその他の目的及び利点は、添付の図面と関連させて以下の現時点で好ましい本発明の実施例の更に詳細な説明を注意深く検討することにより更に完璧に理解され、認識されるであろう。
【0010】
【発明の実施の形態】燃料加熱部10を有する従来の3圧力再熱コンバインドサイクル発電所(パワープラント)の概略図を図1に示す。
【0011】この例のプラントは、燃料システム14及びガスタービン16から構成されるガスタービンシステム12と、高圧部(HP)20、中圧部(IP)22及び1つ又は複数の低圧部(LP)24を含む蒸気タービンシステム18とを含む。この装置では、それぞれ異なる圧力部に複数の蒸気の給気口が設けられている。低圧部24は復水器(condenser)26に排出する。蒸気タービン18は発電機28を駆動し、発電機28はそれにより電力を発生する。ガスタービン12と、蒸気タービン18と、発電機28は、1つの軸30に沿って縦並びに配列されている。
【0012】蒸気タービンシステム18は、低圧エコノマイザ(LP−EC)と、低圧蒸発器(LP−EV)と、高圧エコノマイザ(HP−EC−2)と、中圧エコノマイザ(IP−EC)と、中圧蒸発器(IP−EV)と、低圧過熱器(=super heater) (LP−SH)と、最終高圧エコノマイザ(HP−EC−1)と、中圧過熱器(IP−SH)と、高圧蒸発器(HP−EV)と、高圧過熱器(HP−SH−2)と、再熱器(reheater)(RH−SH)と、最終の高圧過熱器(HP−SH−1)とを含む多圧HRSG32と関連している。
【0013】凝縮水は復水器26から凝縮水ポンプ36によって導管34を経てHRSG32へ送られる。その後、凝縮水はLP−ECを通過し、LP−EVに入る。周知のように、LP−EVから出た蒸気はLP−SHへ送られ、導管38と、概略的に図中符号40で示されている適切なLP給気停止/制御弁とを介して、蒸気タービン18の低圧部24に戻される。給水は給水ポンプ42によって導管44を介してIP−ECを通過し、導管48を介してIP−EVに入り、導管46を介してHP−EC−2を通過し、その後、最終HP−EC−1に至る(導管は図示せず)。同時に、IP−EVからの蒸気はIP−SHを通過し、その後、導管50を経て再熱器RH−SHを流れる。再び熱せられた蒸気は導管52を介して蒸気タービン18の中圧部22に戻される。
【0014】その間、最終HP−EC−1の凝縮水はHP−EVへ送られる。HP−EVを出た蒸気は過熱器部HP−SH−2及びHP−SH−1を通過し、導管54と、適切な停止/制御弁(図示せず、必要に応じて使用する)とを介して蒸気タービン18の高圧部20に戻される。
【0015】この例における燃料過熱器56の熱源は、中圧エコノマイザ(IP−EC)排出口から取り出される熱58である。HRSG又は蒸気タービンのその他の部分からの取り出しも可能である。底部サイクル(bottom cycle)のエネルギー源からの燃料に熱を加えると、加えられた熱に匹敵する量だけ熱の消費が減少し、それに相応して、燃料ガスの消費も減少する。このプラントでは、特に燃料をLP蒸気温度を越える温度まで過熱する場合に、燃料加熱のために底部サイクル(bottom cycle)のエネルギー源を利用したことにより、正味電力出力は減少するのであるが、熱消費量が減少するために、適切な熱源を選択すれば、熱力学的効率が向上するという結果が得られるであろう。このように向上した熱力学的効率の経済値は、多くの場合、失われる電力出力と比べて相当に高いものではあるが、それでも、発電プラントの出力が失われることを考えれば、その利するところは小さくなってしまう。
【0016】一例として、図1に示すサイクル10に関して、燃料を80°Fから365°Fまで加熱すると共に、交換器56から出る水の温度が130°Fである場合を説明する。この結果、コンバインドサイクルの正味効率は+0.6%向上するが、正味電力出力の減少は−0.25%である。
【0017】図2は、図1のHRSG32のLP−EC部に関して、高温複合物(ガス)及び低温複合物(ボイラの給水)の百万BTU/時単位の熱デューティと、それに対応する温度との関係を表すグラフである。低圧蒸発器(LP−EV)を出て、LP−ECに入るガスは、通常、290〜330°Fであるが、この例では313°Fを使用する。この例においては、給水が288°Fまで加熱されるLP−ECのガス入り口に25°Fの温度差があり、ガスの温度が250°Fであるとき、この温度の不一致は約60°Fまで大きくなり、ガスが煙道に侵入するLP−ECの出口では約100°Fまで更に大きくなる。この温度差が従来のランキン(Rankine)のボトミングサイクルで必ず生じていたエネルギー損失の原因である。
【0018】図3の概略図を参照すると、本発明の基本概念を理解することができる。便宜上、図1を参照して先に説明した構成要素に相当する構成要素には同じ図中符号を付し、それらの構成要素については、燃料飽和及び加熱に要する構成要素及び工程を理解する上で必要である又は望ましいと考えられる部分のみを詳細に説明する。
【0019】燃料ガスは飽和器160へ送られ、そこで、充填塔又は段塔(packed columnまたはtrayed column)において温水と直接に接触することにより水分が吸収される。飽和器の底部水は、飽和器加熱器162でガスタービンの排気ガスによって加熱される。飽和器加熱器162は、サイクルの動作流体を加熱するHRSGの他の配管群に対して最適の位置に配置される。補給水は燃料ガス飽和器160に供給されて、ガスにより吸収された水分と置き換えられる。飽和器160から出た飽和燃料ガスは、図示した実施例では、ボトミングサイクル熱源を使用して燃料過熱器164において更に加熱される。飽和器加熱器及び燃料過熱器のボトミングサイクル熱源を適切に選択することにより、動力サイクルの性能は向上する。
【0020】燃料ガス飽和器160において燃料ガスに水分を加えると、燃料ガスの質量流量は増加する。この質量流量の増加は、ガスタービン、蒸気タービン双方のパワー出力を増加させる。更に、水分を導入し、その結果として燃料の質量流量を増加させるために、蒸気の発生には有用でないと思われる低品位エネルギーを使用することにより、熱力学的効率の向上が得られる。このことは、HRSGにおける温度差がLP−EVガス排出口の温度より低下し、それに相応して、HRSG部の熱力学的エネルギー損失が減少することによっても明らかである。
【0021】一例として、3圧力再熱コンバインドサイクルプラントに関して上記の概念を実現した第1の好ましい実施例を図4に示す。この場合も、便宜上、図1及び/又は図2を参照して先に説明した構成要素に相当する構成要素には同じ図中符号を付し、それらの構成要素については、燃料飽和及び加熱に要する構成要素及びその過程を理解する上で必要である又は望ましいと考えられる部分のみを詳細に説明する。
【0022】図4の実施例では、低圧エコノマイザ(LP−EC)の部分は、エコノマイザ部(LP−EC−1)と並列して燃料飽和器用水加熱コイル部(SAT.HTR)262を配置することにより変形されている。この変形の結果、温度差がLP−EVガス排出口の温度より低下すると共に、HRSG232におけるエネルギーの損失が減少し、それに相応して、燃料飽和に伴い効率が向上する。図示した実施例では、飽和器加熱器はLP−EC−1と並列に示されているが、例えば、LP−EC−1と組み合わせた配列にしても良いし、あるいは、HRSGの別の場所に配置することも可能であろう。
【0023】加熱された飽和器用水は導管266を経て飽和器260へ送られ、そこで、燃料ガスは高温飽和器用水と直接に接触することにより水分を吸収する。飽和器の底部水は、例えば、飽和器底部水ポンプ268によって、飽和器用水加熱器262に戻される。補給水は、例えば、Fで示される給水ポンプ242の吐出口から燃料ガス飽和器260に供給されて、ガスにより吸収された水分と置き換えられる。燃料飽和のための補給水は給水移送ポンプ242の吐出口及び/又は燃料過熱器264から取り出されるように図示されているが、サイクルの別の場所、又は外部の水源から飽和器用水(飽和器補給水)を取り出しても良いであろう。従って、図示されている水源はこの点に関して限定的な意味をもつものではない。
【0024】飽和器260を出た飽和燃料ガスは、好ましくはボトミングサイクル熱源を使用して、燃料過熱器264において更に加熱される。この例における燃料過熱の熱源は、導管258を経て送られて来るIP−ECの排水であるが、別の熱源を使用しても良いであろう。図4の実施例では、IP−ECの排水はGで示すようにIP−ECに戻され且つ/又は先に述べたように燃料飽和のための補給水として使用される。
【0025】一例として、ガスタービン及び周囲条件が図1及び図2に示す例で使用したのと同一である場合を考えると、図4に示す提案設計のシステムにおいては、コンバインドサイクルの正味効率が+0.1%向上し、且つコンバインドサイクルの正味出力は+0.9%向上するという結果が得られた。この例では、LP−EVを出たガスの温度は313°Fであり、飽和器の底部水は、先に述べたようにLP−EC−1に並列して配置されている飽和器加熱器(SAT.HTR)で298°Fまで加熱される。ボイラの給水は先の例と同様にLP−EC−1及びLP−EC−2において288°Fまで加熱される。
【0026】燃料ガス(100%メタン、CH4)は400psiaの圧力、80°Fの温度で燃料ガス飽和器に導入される。燃料ガスが水蒸気で飽和されて飽和器を出るときの温度は284°Fである。ガス飽和器を出た飽和燃料ガスは、約86体積%のCH4と、14体積%のH2Oを含む組成である。この後、飽和燃料ガスは燃料過熱用熱交換器264において365°Fまで過熱される。
【0027】図5は、図4に示すシステムについて、HRSG部のLP−EC−1及びLP−EC−2と、飽和器加熱器との高温複合物(ガス)及び複合物(ボイラ給水加熱及び飽和器の底部水加熱)の百万BTU/時単位の熱デューティと、対応する温度との関係を示すグラフである。この例では、LP−EVの後のHRSG部へのガス流入口において15°Fの温度差があるが、この温度差はガスの温度が250°Fである場合は約35°Fまで大きくなり、HRSG部の出口では80°Fまで更に増加する。従って、図4のサイクルの提案設計によれば、この例においては、313Fと約240Fのガスの温度の不一致(及びエネルギー損失)はかなり減少しており、ガスの温度が更に低くなると、温度の不一致は更に小さくなる。
【0028】先に述べた通り、飽和後の燃料過熱の熱源はHRSG又は蒸気タービンの別の場所から取り出された熱であっても良いであろう。更に、図4の実施例では、燃料過熱器を出た水はIP−ECに戻されているが、この水はボトミングサイクル内の別の適切な場所に導入されても良いし、あるいは補給水として燃料飽和器に送られても良いであろう。
【0029】図6は、本発明の別の実施例を示す。この場合、飽和器360から出た飽和燃料ガスは、図4の実施例のようにサイクルの動作流体を使用するのではなく、飽和器の底部液体を使用して過熱される。図示されているように、飽和器の底部液体は、まず、熱交換器362においてHRSGの排気ガスの熱によって加熱される。熱交換器362の排出口から取り出された液体368は熱交換器370へ送られて、更に加熱される。図示されているように、熱交換器370はHRSG332の上流側に配置されている。飽和器の加熱器362及び370は、共に、サイクルの動作流体を加熱するHRSGの管群に対して最適の位置に配置されている。加熱器370の排出口372からの熱は、熱交換器364において飽和燃料ガスを過熱するための熱源として使用される。加熱器364からの排出液体流れ374は、熱交換器362の排出口からのもう一方の流れ376と合流する前に、燃料ガス飽和器360に導入されて、燃料ガスとの間で直接接触により熱伝達と物質移動を行う。
【0030】図6に示す飽和燃料ガスを過熱する装置及び方法は、ガスの水分吸収を増加させ且つシステムの安全性を向上させるため、性能の上で更に有利である。このシステムの安全性が向上するのは、燃料ガスがサイクルの動作流体と混ざり合う可能性がなくなるからである。これに対し、燃料ガスとの熱交換のための熱源としてサイクルの動作流体を使用する場合には、これが安全性を阻害する原因になることがある。
【0031】図6の飽和器底部液体用ポンプ376、並びに図3及び図4に示す同様のポンプはシステム内の他の場所に配置されても良く、また、図示したシステムに更にポンプを追加しても良い。サイクル設計によっては、加熱器370をシステムから省略しても良いが、その場合、加熱器362の排出口から取り出された液体は直接に加熱器364へ送られることになる。更に、特に図示されてはいないが、図示されている実施例のいずれにおいても、飽和水(飽和器補給水、又は飽和器底部水)をサイクルで利用できる、通常は冷却水には不向きである潤滑油の熱などの低級熱源によって加熱することができるであろう。この結果、提案されたサイクルの性能は更に向上する。
【0032】例えば、図3に関連して先に説明したように、燃料ガスに水を加えて、加熱する燃料ガス飽和器組体は、飽和器の充填塔であっても良い。あるいは、図3に示す飽和器の充填塔の代わりに、図7に示すように、水の流入部と、燃料/水熱交換器との組み合わせを使用しても良いであろう。この場合にも、燃料に水分を加えるという同様の熱力学的効果が得られる。どちらの装置(充填塔又は熱交換器)を選択するかは、装置の熱伝達効率及び物質移動効率と、プラント全体の経済性とによって決まるであろう。図7においては、熱交換器の流入口で、燃料ガスに補給水を噴霧する(噴霧を行うための水の霧化は圧力霧化ノズル、空気霧化ノズル、又は蒸気霧化ノズルのいずれかを使用すると考えられる。蒸気霧化構成又は空気霧化構成を使用する場合、その蒸気又は空気はサイクルから取り出されるであろう。)。2相燃料/水混合物は、図7に示すように、閉ループシステムでHRSGの最適の場所から取り出された熱を利用して熱交換器460において加熱される。熱交換器460を出た飽和燃料ガスは、ガスタービンの燃焼器に入る前に、熱交換器464で更に過熱される。これ以外の点では、システムは先に説明したその他の実施例とほぼ同じである。
【0033】本発明は、再熱を伴う又は伴わない単圧力コンバインドサイクル発電システム、あるいは再熱を伴う又は伴わない多圧コンバインドサイクル発電システムにも適用できることが理解されるであろう。
【0034】現時点で最も実用的で好ましい実施例であると考えられるものに関して本発明を説明したが、本発明は開示した実施例には限定されず、特許請求の範囲の趣旨に含まれる様々な変形及び等価の構成を包含するものとみなすべきである。
【出願人】 【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【出願日】 平成12年6月1日(2000.6.1)
【代理人】 【識別番号】100093908
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 研一
【公開番号】 特開2001−20757(P2001−20757A)
【公開日】 平成13年1月23日(2001.1.23)
【出願番号】 特願2000−163932(P2000−163932)