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【発明の名称】 ガスタービン燃焼器の燃料・蒸気供給装置
【発明者】 【氏名】宇治 茂一

【要約】 【課題】ガスタービンの負荷が急変(急減/急増)した場合でも、燃焼器に供給する蒸気/燃料比をほぼ一定に保持することができ、これにより、NOxの発生を抑制し、かつ常に安定した燃焼を維持することができるガスタービン燃焼器の燃料・蒸気供給装置を供給する。

【解決手段】燃料ライン7に設けられ燃料流量Qfの2乗にほぼ比例する差圧(P1−P3)を作り出す燃料流量検出器12(オリフィス)と、蒸気ライン8に設けられ燃料流量制御器の上流側ラインと蒸気ラインの差圧(P1−P2)をほぼ一定に保持するように蒸気流量Qsを制御する蒸気流量制御器14(ダイヤフラム式流量調節弁)と、蒸気流量制御器と混合チャンバの間に設けられ燃料と水蒸気の混合比率を調節する混合比率調節弁16(ニードル弁又はオリフィス)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料を供給する燃料ライン(7)と、水蒸気を供給する蒸気ライン(8)と、燃料ラインと蒸気ラインで供給された燃料と水蒸気を混合する混合チャンバ(4)とを備え、該チャンバからガスタービン用の燃焼器(2)に予混合した燃料を供給する燃料・蒸気供給装置において、燃料ラインに設けられ燃料流量Qfの2乗にほぼ比例する差圧(P1−P3)を作り出す燃料流量検出器(12)と、蒸気ラインに設けられ燃料流量検出器の上流側ラインと蒸気ラインの差圧(P1−P2)をほぼ一定に保持するように蒸気流量Qsを制御する蒸気流量制御器(14)と、蒸気流量制御器と混合チャンバの間に設けられ燃料と水蒸気の混合比率を調節する混合比率調節弁(16)とを備える、ことを特徴とするガスタービン燃焼器の燃料・蒸気供給装置。
【請求項2】 前記混合比率調節弁(16)は、ニードル弁又はオリフィスである、ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃焼器の燃料・蒸気供給装置。
【請求項3】 前記燃料流量検出器(12)は、オリフィスである、ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃焼器の燃料・蒸気供給装置。
【請求項4】 前記蒸気流量制御器(14)は、ダイヤフラム式流量調節弁である、ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃焼器の燃料・蒸気供給装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料ガスと蒸気を予混合して噴射するガスタービン燃焼器の燃料・蒸気供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護のために、ガスタービンによる燃焼排ガス中のNOx(窒素酸化物)を低減することが義務付けられており、そのため、図3に模式的に示す低NOx燃焼器が従来から用いられている。この図において、1はガスタービンのケーシング、2は燃焼器、3は燃料噴射ノズル、4は混合チャンバーであり、燃料に蒸気を予混合して噴射する方式の低NOx燃焼器を示している。
【0003】図示しない圧縮機で圧縮された空気がスワール部2aを通って燃焼器2内に流入する。一方、混合チャンバー4で予混合した燃料ガスが燃料噴射ノズル3から燃焼器2内に噴射され、空気流と混合しながら燃焼して旋回火炎流を形成する。かかる低NOx燃焼器では、燃料に予混合する水蒸気量を増すことにより、燃焼時の火炎温度を低減し、NOxの発生を抑制することができる。なお、通常複数の燃焼器2が周方向に間隔を隔てて並べられるが、単一の燃焼器を用いる場合もある。また、この図において、5は水蒸気の別の供給ラインであり、燃焼器2をの側壁から燃焼器2内に大量の水蒸気を供給することにより、下流側に位置するタービンの出力を増大させるようになっている。
【0004】図4は、上述した複数の低NOx燃焼器に燃料と水蒸気を供給する従来のガスタービン燃焼器の燃料・蒸気供給装置の構成図である。従来の低NOx燃焼器6は、図3に示したように、燃料噴射ノズル2とその上流側の混合チャンバー4とからなる。また、従来の燃料・蒸気供給装置は、各低NOx燃焼器6に燃料を供給する燃料ライン7と、水蒸気を供給する蒸気ライン8とを備える。燃料ライン7と蒸気ライン8には、それぞれ、流量計7a,8a、流量制御弁7b,8b、遮断弁7c,8cが設けられている。また、制御装置9が設けられ、流量計7a,8aの検出データを基に、流量制御弁7b,8bを制御し、水蒸気と燃料の比率(蒸気/燃料比)を一定に自動制御するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来の燃料・蒸気供給装置では、蒸気/燃料比を一定に制御するため、燃料流量の変化に対応して蒸気流量を制御する蒸気流量制御弁8bが装備され、蒸気流量計8aで計測された蒸気流量と、同様に燃料流量計7aで計測された燃料流量とが一定比率となるよう、制御装置9から、蒸気流量制御弁8bに制御信号が送出され、蒸気流量が制御される。
【0006】しかし、かかる従来の燃料・蒸気供給装置では、流量計7a,8aの時間遅れ、制御装置9内の演算に要する時間、制御弁7b,8bの応答時間等が積み重なり、燃料の変動が急激な場合には、蒸気/燃料比が大きく変動する問題点があった。
【0007】すなわち、例えばガスタービンを用いた発電設備では、 1負荷遮断時や 2瞬時電圧低下時(「瞬低時」)に選択遮断が実施される場合等には、ガスタービンの負荷が大幅に急減するため、これに対応して燃料流量を急減させるが、燃料流量計7aによる流量検出時間t1、制御装置9内での演算時間t2、蒸気流量制御弁8bの作動時間t3、等の累積時間が例えば1秒以上になるため、その間水蒸気流量は変化せず、結果として燃料に対する水蒸気量が過剰となり、蒸気/燃料比が急上昇して、燃焼器6内の燃焼が維持できず、火炎が吹き消えてガスタービンが停止することがある問題点があった。
【0008】そのため、従来、負荷の遮断時には、例えば、蒸気遮断弁8cを閉じて水蒸気の供給を遮断する等の手段が採られていたが、この場合には、燃焼自体は維持できるものの、火炎温度が一時的に急上昇してNOxの発生量が増大する問題点があった。更に、蒸気流量制御弁8bの作動遅れを低減するために、燃料流量計7aによる流量検出を待たずに、燃料流量制御弁7bと同時に蒸気流量制御弁8bを作動させる制御手段が採られることがあるが、この場合にも、水蒸気制御弁の作動速度が燃料制御弁の作動速度に比べかなり遅いため、制御弁7b,8b間に作動遅れが生じ、やはり一時的に水蒸気量が過剰となり、蒸気/燃料比が急上昇して、燃焼器2内の燃焼が不安定となる問題点があった。
【0009】また、逆にガスタービンの負荷が急増する際にも、蒸気流量制御弁8bが燃料流量制御弁7bよりも遅れるため、一時的に蒸気流量が過少となり、蒸気/燃料比が急低下して、NOxの発生量が増大する問題が生じる。
【0010】本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、ガスタービンの負荷が急変(急減/急増)した場合でも、燃焼器に供給する蒸気/燃料比をほぼ一定に保持することができ、これにより、NOxの発生を抑制し、かつ常に安定した燃焼を維持することができるガスタービン燃焼器の燃料・蒸気供給装置を供給することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、燃料を供給する燃料ライン(7)と、水蒸気を供給する蒸気ライン(8)と、燃料ラインと蒸気ラインで供給された燃料と水蒸気を混合する混合チャンバ(4)とを備え、該チャンバからガスタービン用の燃焼器(2)に予混合した燃料を供給する燃料・蒸気供給装置において、燃料ラインに設けられ燃料流量Qfの2乗にほぼ比例する差圧(P1−P3)を作り出す燃料流量検出器(12)と、蒸気ラインに設けられ燃料流量検出器の上流側ラインと蒸気ラインの差圧(P1−P2)をほぼ一定に保持するように蒸気流量Qsを制御する蒸気流量制御器(14)と、蒸気流量制御器と混合チャンバの間に設けられ燃料と水蒸気の混合比率を調節する混合比率調節弁(16)とを備える、ことを特徴とするガスタービン燃焼器の燃料・蒸気供給装置が提供される。
【0012】上記本発明の構成によれば、燃料流量検出器(12)の上流側圧力をP1、混合比率調節弁(16)の上流側圧力をP2、混合チャンバ内圧力をP3とすると、P1>P2>P3の関係がある。また燃料流量Qfの2乗は燃料流量検出器(12)による差圧(P1−P3)にほぼ比例し、蒸気流量Qsは混合比率調節弁(16)による差圧(P2−P3)にほぼ比例する。従って、蒸気流量制御器(14)により差圧(P1−P2)をほぼ一定に保持することにより、差圧(P1−P3)と差圧(P2−P3)、すなわち燃料流量Qfと蒸気流量Qsを常にほぼ比例させることができる。
【0013】すなわち、ガスタービンの負荷が大幅に急変(急減/急増)し、これに対応して燃料流量を急変させた場合でも、燃料流量の変化の2乗にほぼ比例して差圧(P1−P3)が変化し、同時に差圧(P2−P3)が追従して蒸気流量Qsが変化するので、混合チャンバ(4)を介して燃焼器に供給される燃料ガスの蒸気/燃料比はほとんど変化せず、ほぼ一定に保持することができ、これにより、NOxの発生を抑制し、かつ常に安定した燃焼を維持することができる。
【0014】言い換えれば、ガスタービンの負荷急減により燃料ガスが急減した場合、燃料流量検出器(12)の上流側圧力P1が減少する。この変化を蒸気流量制御器(14)が検知し、上流側圧力P1と蒸気流量制御器(14)の出口側圧力P2の差圧が変化しないようこの制御器を絞り、蒸気流量を減少させる。この動作により、燃料ガスの急激な流量変動に対しても、蒸気/燃料ガス流量比をほぼ一定に保持することが可能となり、蒸気流量制御遅れによる吹き消え等の問題を解消することができる。
【0015】更に本発明の構成によれば、混合比率調節弁(16)により差圧(P2−P3)を調整して圧力P2を変化させることにより、差圧(P1−P3)と差圧(P2−P3)の比率を変化させ燃料と水蒸気の混合比率を調節することができる。
【0016】本発明の好ましい実施形態によれば、前記混合比率調節弁(16)は、ニードル弁又はオリフィスである。この構成により、簡単な構造で、差圧(P2−P3)を調整し、燃料と水蒸気の混合比率を調節することができる。
【0017】また、前記燃料流量検出器(12)は、オリフィスであるのがよい。この構成により、簡単な構造で、差圧(P1−P3)の平方根にほぼ比例して燃料流量Qfを制御することができる。
【0018】更に、前記蒸気流量制御器(14)は、ダイヤフラム式流量調節弁であるのがよい。この構成により、差圧(P1−P2)により弁を開閉させて流量制御器の上流側ラインと蒸気ラインの差圧(P1−P2)をほぼ一定に保持することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付して使用する。図1は、本発明による燃料・蒸気供給装置の全体構成図である。この図に示すように、本発明のガスタービン燃焼器の燃料・蒸気供給装置10は、燃料を供給する燃料ライン7と、水蒸気を供給する蒸気ライン8と、燃料ライン7と蒸気ライン8で供給された燃料と水蒸気を混合する混合チャンバ4とを備え、チャンバ4からガスタービン用の燃料噴射ノズル3に予混合した燃料を供給し、ガスタービン用の燃焼器2に燃料と水蒸気を予混合して噴射するようになっている。
【0020】この例において、燃料は燃料ガスであり、好ましくは都市ガス13A又はLPGガスである。また、燃料ガスは、燃料ガス源(図示せず)から制御弁7bを介して燃料ガスマニホールド21に供給され、このマニホールド21を介して燃料ライン7に燃料ガスが供給される。制御弁7bは制御装置9により常時制御されガスタービンに常に必要流量を供給し、かつ 1負荷遮断時や 2「瞬低時」に選択遮断が実施される場合等には、ガスタービンの負荷の急減に対応して燃料流量を急減させるようになっている。また、水蒸気は、水蒸気ドラム(図示せず)から水蒸気マニホールド22に常に一定の圧力で供給され、このマニホールド22を介して蒸気ライン8に一定圧の水蒸気が供給されている。なお、水蒸気と燃料ガスはほぼ同等の圧力に設定されている。
【0021】図1において、本発明のガスタービン燃焼器の燃料・蒸気供給装置10は、更に燃料流量検出器12、蒸気流量制御器14及び混合比率調節弁16を備える。
【0022】燃料流量検出器12は、この例ではオリフィスであり、燃料流量Qfの2乗にほぼ比例する差圧(P1−P3)を作り出すようになっている。ここで、P1は燃料流量検出器12の上流側圧力、P3は混合チャンバ4内の圧力である。なお、燃料流量検出器12の下流側から混合チャンバ4までの圧力損失は十分小さく、実質的に混合チャンバ4内の圧力P3と燃料流量検出器12の下流側圧力と一致する。
【0023】蒸気流量制御器14は、この例ではダイヤフラム式流量調節弁であり、蒸気ライン8に設けられ燃料流量検出器12の上流側ラインと蒸気ライン8の差圧(P1−P2)をほぼ一定に保持するように蒸気流量Qsを制御する。ここで、P2は、混合比率調節弁16の上流側圧力、すなわち蒸気流量制御器14の下流側圧力である。また、図中の11aは燃料流量検出器12の上流側ライン(圧力P1の位置)とダイヤフラムの一方とを結ぶ燃料側パイロットライン、11bは混合比率調節弁16の上流側ライン(圧力P2の位置)とダイヤフラムの反対側とを結ぶ蒸気側パイロットラインである。
【0024】混合比率調節弁16は、ニードル弁又はオリフィス(この例ではニードル弁)である。この混合比率調節弁16は、蒸気流量制御器14と混合チャンバ4の間に設けられ、燃料と水蒸気の混合比率を調節するようになっている。
【0025】図2は、図1の装置の特性図であり、(A)は燃料ラインの差圧(P1−P3)と燃料流量Qfとの関係、(B)は蒸気ラインの差圧(P2−P3)と燃料ラインの差圧(P1−P2)との関係を模式的に示している。以下、図1と図2に基づき、本発明の装置の作動を説明する。
【0026】上述した本発明の構成によれば、図1から明らかなように、燃料流量検出器12(オリフィス)の上流側圧力P1、混合比率調節弁16(ニードル弁)の上流側圧力P2、混合チャンバ内圧力P3との間には、P1>P2>P3の関係がある。また図2(A)に示すように、燃料流量Qfは燃料流量検出器12による差圧(P1−P3)の平方根にほぼ比例する。更に、同様に蒸気流量Qsは混合比率調節弁16による差圧(P2−P3)の平方根にほぼ比例する。従って、蒸気流量制御器14により差圧(P1−P2)をほぼ一定の正の値に保持することにより、図2(B)に示すように、差圧(P1−P3)と差圧(P2−P3)、すなわち燃料流量Qfと蒸気流量Qsを常にほぼ比例させることができる。
【0027】ガスタービンの負荷が大幅に急変(急減/急増)し、これに対応して燃料流量を急変させた場合でも、燃料流量の変化の2乗にほぼ比例して差圧(P1−P3)が変化し(例えば1→2)、同時に差圧(P2−P3)がこれに追従して蒸気流量Qsが変化するので、混合チャンバ4を介して燃焼器に供給される燃料ガスの蒸気/燃料比はほとんど変化せず、ほぼ一定に保持することができ、これにより、NOxの発生を抑制し、かつ常に安定した燃焼を維持することができる。
【0028】言い換えれば、ガスタービンの負荷急減により燃料ガスが急減した場合、図1において燃料流量検出器12の上流側圧力P1が減少する。この変化を蒸気流量制御器14が検知し、上流側圧力P1と蒸気流量制御器14の出口側圧力P2の差圧が変化しないようこの制御器14を絞り、蒸気流量を減少させる。この動作により、燃料ガスの急激な流量変動に対しても、蒸気/燃料ガス流量比をほぼ一定に保持することが可能となり、蒸気流量制御遅れによる吹き消え等の問題を解消することができる。
【0029】更に本発明の構成によれば、混合比率調節弁16により差圧(P2−P3)を調整して圧力P2を変化させることにより、差圧(P1−P3)と差圧(P2−P3)の比率を変化させ燃料と水蒸気の混合比率を調節することができる。
【0030】なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0031】
【発明の効果】上述したように、本発明により、燃料流量の変化に対する蒸気流量の制御応答が従来の制御方式に比べ、大幅に改善される。このため、負荷遮断時、瞬停時(選択遮断)等の負荷急減に対しても、蒸気流量の応答遅れによる燃焼の吹き消えが防止され、電力の安定供給が可能となる。従って、本発明のガスタービン燃焼器の燃料・蒸気供給装置は、ガスタービンの負荷が急変(急減/急増)した場合でも、燃焼器に供給する蒸気/燃料比をほぼ一定に保持することができ、これにより、NOxの発生を抑制し、かつ常に安定した燃焼を維持することができる、等の優れた効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年6月25日(1999.6.25)
【代理人】 【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実 (外1名)
【公開番号】 特開2001−12257(P2001−12257A)
【公開日】 平成13年1月16日(2001.1.16)
【出願番号】 特願平11−179353