トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの

【発明の名称】 ジェットエンジンのトリップ回路
【発明者】 【氏名】佐藤 朋也

【要約】 【課題】オーバーブースト・トリップ判定回路を変更することなく、起動時及び定常時の両方においてエンジンの過熱を確実に防止でき、かつ起動時の過度のトリップを防止できるジェットエンジンのトリップ回路を提供する。

【解決手段】オーバーブースト・トリップ判定回路10の外部に、エンジン起動時と定常運転時のモードを判定するモード判定回路12と、判定した運転モードに合わせて温度信号のオフセット電圧値を切り替えるオフセット切替回路14とを備える。運転モードに合わせて温度信号のオフセット電圧値を切り替えるので、オーバーブースト・トリップ判定回路に入力される温度信号の電圧波形を起動時と定常運転時で平準化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 オーバーブースト・トリップ判定回路の外部に、エンジン起動時と定常運転時のモードを判定するモード判定回路(12)と、判定した運転モードに合わせて温度信号のオフセット電圧値を切り替えるオフセット切替回路(14)とを備えた、ことを特徴とするジェットエンジンのトリップ回路。
【請求項2】 前記オフセット電圧値を、起動時に低く、定常運転時に高く設定する、ことを特徴とする請求項1に記載のジェットエンジンのトリップ回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジェットエンジンのトリップ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のジェットエンジンには、オーバーブースト・トリップ判定回路(OBT)と呼ぶトリップ回路が装備されており、エンジンからの温度信号(1点)とコンプレッサとファンの回転信号(2点)の計3点の信号を個別に検出・判定し、エンジンからの温度信号が高すぎる場合、及びコンプレッサ又はファンの回転速度が速すぎる場合にトッリプ信号を出力し、エンジンを停止させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図4は、起動時のエンジンからの温度信号を示す模式図である。この図に示すように、エンジンの温度計測点(例えば、コンプレッサ出口温度)の温度は起動時には例えば約800℃に短時間達成し、その後定常状態では約400℃を維持する。
【0004】しかし、上述した従来のトリップ回路では、エンジンからの温度信号に対して単一のトリップ値しか設定できないため、このトリップ値を例えばエンジンの定常状態に合わせて設定すると、起動時にトリップが頻繁に作動してしまう問題点があった。また、逆にエンジンの起動時に合わせてトリップ値を設定すると、起動時のトッリプ自体は防止できるが、定常時に通常の温度(例えば400℃)以上の過熱が続いても、トリップ設定値がそれ以上に高いためトリップが作動せず、過熱によりエンジンに損傷を与えたり、その寿命を極端に短くしてしまう問題点があった。更に、オーバーブースト・トリップ判定回路自体が、実績がある安定した装置であるため、この装置の回路を変更すること自体が困難である問題点があった。
【0005】本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、オーバーブースト・トリップ判定回路を変更することなく、起動時及び定常時の両方においてエンジンの過熱を確実に防止でき、かつ起動時の過度のトリップを防止できるジェットエンジンのトリップ回路を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、オーバーブースト・トリップ判定回路の外部に、エンジン起動時と定常運転時のモードを判定するモード判定回路(12)と、判定した運転モードに合わせて温度信号のオフセット電圧値を切り替えるオフセット切替回路(14)とを備えた、ことを特徴とするジェットエンジンのトリップ回路が提供される。
【0007】本発明の好ましい実施形態によれば、前記オフセット電圧値を、起動時に低く、定常運転時に高く設定する。
【0008】上記本発明の構成によれば、オーバーブースト・トリップ判定回路の外部にモード判定回路(12)とオフセット切替回路(14)を備えたので、実績と信頼性があるオーバーブースト・トリップ判定回路を変更することなく用いることができる。
【0009】また、モード判定回路(12)により、例えばエンジンの回転信号を用いて、エンジンの起動時と定常運転時のモードを判定することができる。更に、オフセット切替回路(14)により、判定した運転モードに合わせて温度信号のオフセット電圧値を切り替えるので、オーバーブースト・トリップ判定回路に入力される温度信号の電圧波形を起動時と定常運転時で平準化することができる。従って、この平準化した電圧信号に合わせてオーバーブースト・トリップ判定回路の単一のトリップ値を設定することにより、起動時と定常運転時のモードに合わせたトリップ設定値の多段階化が実現できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0011】図1は、本発明によるジェットエンジンのトリップ回路図である。この図において、オーバーブースト・トリップ判定回路10は、回転信号1(例えばコンプレッサの回転を検出するパルス信号)と回転信号2(例えばファンの回転を検出するパルス信号)を波形整形回路3a,3bで波形整形して入力し、カウンタ4a,4bで回転速度をカウントし、このカウント数と予め設定したトリップ値5a,5bとを大小比較回路6a,6bで比較し、カウント数が設定トリップ値を超えると、オーバースピードとして、OR回路7からトリップ信号を出力し、エンジンを停止する。また同様に、コンプレッサ出口等のからの温度信号をAD変換器8によりデジタルに変換し、予め設定したトリップ5cを大小比較回路6cで比較し、温度信号が設定トリップ値を超える場合にも、オーバースピードとして、OR回路7からトリップ信号を出力し、エンジンを停止するようになっている。
【0012】図2は、図1の部分拡大図である。図1及び図2に示すように、本発明のトリップ回路は、オーバーブースト・トリップ判定回路10の外部に、モード判定回路12とオフセット切替回路14を備えている。
【0013】モード判定回路12は、この例では、回転信号2を波形整形した信号を入力し、エンジン起動時と定常運転時のモードを判定するようになっている。例えば、回転信号2がファンの回転を検出するパルス信号で場合、モード判定回路12にカウンタ回路を備え、適切なしきい値を設定することにより、エンジンの状態を起動モードと定常運転モードの2つのモードに判定することができる。なお、回転信号2は、ファンの回転信号に限定されず、コンプレッサ、低圧/高圧タービンの回転信号を用いてもよい。また、運転モードも2つに限定されず、カウンタ回路を追加して、3以上の運転モードに判定し、より細やかな運転モードへ対応させてもよい。
【0014】オフセット切替回路14は、モード判定回路12で判定した運転モードに合わせて温度信号のオフセット電圧値を切り替えて加算するようになっている。例えば、図1、2の例では、2つの運転モード(起動時と定常運転時)に応じてオフセット1とオフセット2にオフセット電圧値を切り替える。この場合、オフセット電圧値は、起動時に低く(例えばオフセット1が0V)、定常運転時に高く(例えばオフセット2が1.0V)に設定されている。なお、モード判定回路12で3以上の運転モードに判定する場合には、オフセット電圧値もこれにあわせて3以上に設定する。
【0015】図3は、本発明の回路の作動説明図である。この図において、(A)(B)(C)(D)はそれぞれ回転信号2、温度信号、オフセット値、A部電圧波形の起動特性を示している。
【0016】図3(A)に示すように、上述したモード判定回路12により回転信号2から適切なしきい値により、エンジンの運転状態を起動モードと定常運転モードに判定する。また同時に検出される温度信号は(B)に示すように、エンジンの温度計測点(例えば、コンプレッサ出口温度)の温度は起動時には例えば約800℃(信号電圧約2V)に短時間達成し、その後定常状態では約400℃(信号電圧約1V)を維持する。
【0017】本発明のオフセット切替回路(14)により、(C)に示すように、オフセット値は起動モードでは0V、定常運転モードでは1.0Vに切り替えられる。従ってこのオフセット値を加算した温度信号(A部電圧波形は、(D)に示すようになる。
【0018】上述した本発明の構成によれば、オーバーブースト・トリップ判定回路の外部にモード判定回路12とオフセット切替回路14を備えたので、実績と信頼性があるオーバーブースト・トリップ判定回路を変更することなく用いることができる。
【0019】また、モード判定回路12により、例えばエンジンの回転信号を用いて、エンジンの起動時と定常運転時のモードを判定することができる。更に、オフセット切替回路14により、判定した運転モードに合わせて温度信号のオフセット電圧値を切り替えて加算するので、オーバーブースト・トリップ判定回路に入力される温度信号の電圧波形を起動時と定常運転時で平準化することができる。従って、この平準化した電圧信号に合わせてオーバーブースト・トリップ判定回路の単一のトリップ値を設定することにより、起動時と定常運転時のモードに合わせたトリップ設定値の多段階化が実現できる。
【0020】本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
【0021】
【発明の効果】上述したように、本発明のジェットエンジンのトリップ回路は、オーバーブースト・トリップ判定回路を変更することなく、起動時及び定常時の両方においてエンジンの過熱を確実に防止でき、かつ起動時の過度のトリップを防止できる、等の優れた効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年6月22日(1999.6.22)
【代理人】 【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実 (外1名)
【公開番号】 特開2001−3765(P2001−3765A)
【公開日】 平成13年1月9日(2001.1.9)
【出願番号】 特願平11−175701