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【発明の名称】 触媒容器
【発明者】 【氏名】盛永 規義

【氏名】須田 尚吾

【氏名】荻田 保

【要約】 【課題】触媒担体2を保持する保持マット10から生じる揮発成分を浄化可能な構造とした触媒容器3を提供する。

【解決手段】触媒容器3内に触媒担体2を収納し、この触媒担体2の周囲にはバインダを含む保持マット10を配置して触媒担体2を保持する触媒容器3において、保持マット10よりも下流の触媒容器3と触媒担体2の間隙をシールする一方、前記保持マット10の上流では保持マット10から触媒担体2の排気ガス流入端2aまでを連通させる。また保持マット10よりも下流の触媒容器3内に保持マット10から生じる揮発成分を浄化するサブ触媒12を配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】排気ガスの流入口と排気ガスの流出口を備え、排気路に設置される触媒容器内に触媒担体を収納し、この触媒担体の周囲にはバインダを含む保持マットを配置して触媒担体を保持するとともに、触媒容器と触媒担体との間隙をシールしてなる触媒容器において、前記保持マットよりも下流の触媒容器と触媒担体の間隙をシールする一方、前記保持マットの上流では保持マットから触媒担体の排気ガスの流入口端までを連通させて、前記保持マットから生じる揮発成分が触媒担体を通過するようにしたことを特徴とする触媒容器。
【請求項2】排気ガスの流入口と排気ガスの流出口を備え、排気路に設置される触媒容器内に触媒担体を収納し、この触媒担体の周囲にはバインダを含む保持マットを配置して触媒担体を保持するとともに、触媒容器と触媒担体との間隙をシールしてなる触媒容器において、前記保持マットよりも下流の触媒容器内にサブ触媒を配置して、保持マットから生じる揮発成分がサブ触媒を通過するようにしたことを特徴とする触媒容器。
【請求項3】排気ガスの流出口の近傍を径小に形成して排気ガスの後流集合部を設け、この後流集合部にサブ触媒を設けた請求項2に記載の触媒容器。
【請求項4】サブ触媒を帯状に形成し触媒担体の外周面に巻着して、保持マットの下流側に配置した請求項2に記載の触媒容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の排気系に装備されるモノリス触媒の触媒容器に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関から排出される排気ガス等を浄化するため排気路に設けられるモノリス触媒は、図5に示されるように、例えば円筒形に形成されたセラミック等からなる触媒担体31が、その周囲に設けた帯状の保持マット32に保持されて金属製等のケース33に収容されている。この基本的な構造はいわゆる三元触媒であっても酸化触媒であっても同様である。
【0003】前記保持マット32はアルミナ等の素材からなり、かつバインダによりシート状に成形され、排気ガス浄化装置の製造時には触媒担体31を包み込むようにその外周に配置され、触媒担体31と共に金属製ケース33内に挿入されて触媒担体31を保持し、さらには保持マット32は、触媒担体31から排気ガスが漏出しないようにシールする機能を果たす。
【0004】図5では矢印で示す方向に排気ガスが流れるが、金属製ケースの上流側の入口34から流入した排気ガスは触媒担体31内を通過してそれに担持されている触媒物質により浄化され、下流側の出口35から流出する。このとき保持マット32に含まれるバインダには揮発性の有機剤、特にHCが含まれており、これらは300℃程度の温度で揮発する。すなわちバインダは、モノリス触媒の製造時においては保持マット32の保形のために使用されるが、モノリス触媒が排気路に設置された後は内燃機関の運転時に、触媒担体31及びその周囲が高温となり、殆どのバインダは揮発する。
【0005】このバインダから生じるHC等を含む揮発性ガスは、図5において矢印36で示されされるように保持マット32から流出し、出口35から浄化された排気ガスと共に排気路に排出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらバインダに含まれるHCは、その自動車では排出量が厳しく規制されているものであるが、上記ような構造のモノリス触媒では触媒担体31を通過した排気ガス中に、バインダからのHCが添加される結果となる。
【0007】またモノリス触媒の下流側にはHCセンサ等が設けられ、これらのセンサにより検知される排気ガスの成分であるHCの量は、電気信号としてエンジンコントロール用電子制御装置に送られ、内燃機関の各種制御、すなわち燃料噴射量、吸入空気量、またはバルブタイミング等を制御するための基礎となり得る。
【0008】したがって正確な排気ガスの成分が検出されない場合は、内燃機関の運転に影響を及ぼすことになる。特に理論空燃比が保持できなくなると、三元触媒の機能を十分に発揮できなくなりエミッションの悪化を招く。
【0009】以上の事態は排気ガスの規制が厳しい状況下では看過できない問題であり、解決手段を講じる必要がある。本発明はかかる事情に鑑みてされたものであり、触媒担体を保持する保持マットから生じる揮発成分を浄化可能な構造とした触媒容器を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明はこの課題を解決するた次のような構成とした。第1の発明は、排気ガスの流入口と流出口を備え、排気路に設置される触媒容器内に触媒担体を収納し、この触媒担体の周囲にはバインダを含む保持マットを配置して触媒担体を保持するとともに、触媒容器と触媒担体との間隙をシールしてなる触媒容器において、前記保持マットよりも下流の触媒容器と触媒担体の間隙をシールする一方、前記保持マットの上流では保持マットから触媒担体の排気ガスの流入口端までを連通させて、前記保持マットから生じる揮発成分が触媒担体を通過するようにしたことを特徴とする。
【0011】第2の発明は、排気ガスが流入口と流出口を備え、排気路に設置される触媒容器内に触媒担体を収納し、この触媒担体の周囲にはバインダを含む保持マットを配置して触媒担体を保持するとともに、触媒容器と触媒担体との間隙をシールしてなる触媒容器において、前記保持マットよりも下流の触媒容器内にサブ触媒を配置して、前記保持マットから生じる揮発成分がサブ触媒を通過するようにしたことを特徴とする。
【0012】第2の発明では、排気ガスの流出口の近傍を径小に形成して排気ガスの後流集合部を設け、この後流集合部にサブ触媒を設けることができる。またサブ触媒を帯状に形成し触媒担体の外周面に巻着して、保持マットの下流側に配置することが可能である。このようにすればサブ触媒が小型化でき、容積及び熱容量が小さい効率的なものにできる。
【0013】本発明の各構成要素について詳説する。ここで触媒容器とは、排気ガスに含まれるHC、COまたはNOxを酸化または還元する反応を促進する触媒物質を担持したセラミック等からなる触媒担体を内包し、触媒担体とともに排気路に配設されてモノリス触媒を構成するものである。
【0014】また前記触媒担体は、触媒物質を担持したセラミック等からなり、ペレット状のものや排気ガスが通過できるように、多孔構造となっているであるハニカムタイプのもの等がある。
【0015】前記バインダは、アルミナ等からなる繊維をシート状にして保持マットを形成するために使用されるもので有機物質を含む。前記保持マットとは、排気ガス浄化装置の触媒担体を包み込むようにその触媒担体と触媒容器の間に配置され、触媒担体を保持するものである。
【0016】サブ触媒は、保持マットから生じる揮発成分を浄化するために設けられ、浄化された排気ガス中に揮発成分、特にHCを混入させないように保持マットより下流側に設ける酸化触媒である。パラジウム(Pd)触媒、白金(Pt)触媒またはロジウム(Ph)触媒等を用いることができるが、比較的低温域から浄化能力を発揮し、酸化触媒として安定している等の理由からパラジウム(Pd)触媒が適している。サブ触媒は暖気性を良くするために容積が小さく、熱容量も小さいものを用いるのが好ましい。
【0017】第1の発明では保持マットから生じる揮発成分は、触媒容器と触媒担体の間隙がシールされているので触媒担体よりも下流に流出することはなく、触媒容器中で上流側(入口側)に流れ、触媒が担持されている触媒担体内を通過するので、揮発成分が排気ガスとともに浄化される。
【0018】第2の発明では、保持マットよりも下流の触媒容器内にサブ触媒を配置して、保持マットから生じる揮発成分がサブ触媒を通過するようにしたので、この揮発成分は浄化されてから排気ガスとともに排出される。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の触媒容器について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)図1は、実施の形態1の触媒容器の内部構造を示す概略図である。円筒形で、ハニカム構造のセラミック触媒担体2をベースとし、この触媒担体2の軸方向に多数形成した通路内壁面に白金(Pt)等の触媒物質を担持している。この触媒担体2は金属製の筒状の触媒容器3に収納されている。触媒容器3の軸方向の両側面には、排気ガスの流入口4及び流出口5をそれぞれ形成する裁頭円錐形の排気ガス流入管路4a及び排気ガス流出管路5aが接続されている。これらの排気ガス流入管路4a及び排気ガス流出管路5aは、図示しない内燃機関の排気路において、矢印で示すような排気ガスの流れに沿って、排気ガス流入管路4a側が上流になるように配置される。
【0020】また前記触媒担体2の破損の防止と、排気ガスが触媒担体内2を通過しないで流出口5側に漏出するのを防ぐために、触媒担体2と触媒容器3の間の間隙部6には保持マット10が設けられている。この保持マット10はアルミナを含む繊維をバインダを用いて接着し帯状したものからなる。また保持マット10は円筒形の触媒担体2の外周に巻着され、触媒容器3内に触媒担体2と共に挿入されこれを筒状容器3内で保持しつつ、前記間隙部6をシールする。 なお、触媒容器3と保持マット10の間には、さらに金網状のパッキン等である図示しない緩衝剤を設けてもよい。
【0021】触媒容器3内では保持マット10の上流側は触媒担体2の排気ガスの流入端2aに連通する通路7が確保されているが、保持マット10の下流側における触媒担体2と触媒容器3の間には、これらの空隙8をシールする環状の平板であるシール部材9が設けられている。このシール部材9は触媒担体2の後端面2bと触媒容器3の後端面3aの間に挟持されるようにして、筒状の触媒容器3の全周にわたって配設される。
【0022】上記のような構造の触媒容器3内では、排気ガス流入管路4aから流入した排気ガスは触媒担体2内を通過して浄化され、排気ガス流出管路5a側へ流れる。このとき保持マット10が触媒容器3と触媒担体2の間隙部6をシールしているから排気ガスはその間隙部6から下流側に漏れることなく触媒担体2内を通過する。
【0023】一方、モノリス触媒1が図示しない内燃機関の排気路に設置されてこれに排気ガスが流入すると、排気ガスの温度及び排気ガスの成分の酸化反応により触媒担体2は高温になる。この熱は保持マット10に伝導し保持マット10内のバインダが揮発する。この揮発成分はHC等を含むが前記シール部材9によってそのまま排気ガス流出管路5a側に流出せず、前記通路7を経由して触媒担体2内を通過する。よってHC等の有機材を含む揮発成分は触媒担体2を通過することで浄化されてから排出されることになる。
(実施の形態2)図2は、実施の形態2の触媒容器の内部構造を示す概略図である。ここでは前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0024】触媒容器3内では、保持マット10よりも下流側にサブ触媒12を配置している。このサブ触媒12はパラジウム(Pd)触媒であり、薄い円盤状に形成されて触媒容器3の下流側でその軸方向に沿った全断面にわたって配設されている。
【0025】保持マット10からの揮発成分は、上流側に流れて通路7を経由して触媒担体2内を通過することで浄化されるか、または下流側に流れてサブ触媒12を通過して浄化される。
【0026】また触媒担体2とサブ触媒12の間の触媒容器3内には、保持マット10から流出する揮発ガスをサブ触媒12の中央に案内するガイド板11が設置されている。このガイド板11は、サブ触媒12の前方において揮発ガスの流れを軸方向の中央方向に転換させるように、揮発ガスの流れに対して斜め方向に配置されており、揮発ガスをサブ触媒12の中央に集中的に流入させる。このようにすれば温度が低くなり触媒の機能が悪い外側よりも、暖気性向上が容易で効率的な働きをしやすい中央部に揮発ガスを流して浄化効果を高めることができる。
(実施の形態3)図3は、実施の形態3の触媒容器の内部構造を示す概略図である。ここでは前記実施の形態1及び2と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0027】触媒容器3内では、保持マット10よりも下流の触媒容器3内にサブ触媒12を配置している。触媒容器3の下流には、裁頭円錐形の排気ガス流出管路5aが形成されて、排気ガスの流出口5の近傍を径小にして排気ガスの後流集合部を設けているが、サブ触媒12はこの後流集合部に設けられている。このようにすればガイド板11を設けなくても揮発ガスをサブ触媒12の中央に集中させることができ、さらにはサブ触媒12を小型とし、容積及び熱容量を小さくして効率的なものとしている。
(実施の形態4)図4は、実施の形態2の触媒容器の内部構造を示す概略図である。ここでは前記実施の形態1から3と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0028】触媒容器3内では、保持マット10よりも下流の触媒容器3内にサブ触媒12を配置している。このサブ触媒12は帯状に形成され、触媒担体2の外周に巻着した保持マット10の下流側に、この保持マット10と連続するように触媒担体2の外周面に巻着するように設けられている。このようにしてサブ触媒12を必要最小限の大きさとし、容積及び熱容量を小さくして効率的なものとしている。
【0029】上述したように本発明の触媒容器では、触媒担体を保持する保持マットから生じる揮発ガスを、必ずこれを浄化する触媒を通過してから排出するようにしたので、触媒担体を通過した排気ガスに揮発ガスが混入して排出されることがない。そのためHC等の排出量を増加させることがなく、モノリス触媒の下流に設置したHCセンサ等による排気ガスの成分検出に影響を与え、内燃機関の制御が正確に行われないといった事態を防止できる。
【0030】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、モノリス触媒の触媒担体を保持する保持マットから生じる揮発成分中の有機物を浄化できるので、より優れた排気浄化が可能な排気浄化装置を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【代理人】 【識別番号】100089244
【弁理士】
【氏名又は名称】遠山 勉 (外3名)
【公開番号】 特開2001−241322(P2001−241322A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−54199(P2000−54199)