| 【発明の名称】 |
車両用4サイクルエンジンの潤滑装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】田村 建寿
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 クランクケース下部に設けられたオイルパンにオイルストレーナを配置し、前記オイルパンに溜ったオイルをオイルポンプによって前記オイルストレーナを介して吸引し、該オイルを循環させて各部の潤滑を行う車両用4サイクルエンジンの潤滑装置において、前記オイルストレーナの底面に前側吸入口と後側吸入口を車両前後にそれぞれ形成し、車両の加減速時に重錘に作用する慣性力によって加速時には前記オイルストレーナの前側吸入口を閉じ、減速時には前記オイルストレーナの後側吸入口を閉じるようにしたことを特徴とする車両用4サイクルエンジンの潤滑装置。 【請求項2】 一端に重錘が取り付けられた揺動板を前記オイルストレーナの底面に沿って回動可能に枢支し、車両の加減速時に前記重錘に作用する慣性力によって前記揺動板を回動せしめ、加速時には揺動板の他端が前記オイルストレーナの前側吸入口を閉じ、減速時には揺動板の他端が前記オイルストレーナの後側吸入口を閉じるようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両用4サイクルエンジンの潤滑装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、オイルパンに溜ったオイルをオイルポンプによって循環させて各部を潤滑する車両用4サイクルエンジンの潤滑装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に4サイクルエンジンにおいては、オイルポンプによって圧送されるオイルによって各部の潤滑がなされるが、潤滑方式にはウエットサンプ方式とドライサンプ方式がある。ウエットサンプ方式は、クランクケース底部にオイルパンを設け、このオイルパンに溜ったオイルをオイルポンプで循環させて各部の潤滑を行う方式であり、ドライサンプ方式は、圧送用ポンプと回収用ポンプ及びオイルタンクを設け、クランクケース内の底部の浅いオイル溜りに溜ったオイルを回収用ポンプでオイルタンクに送り込み、このオイルタンク内のオイルを圧送用ポンプで循環させて各部の潤滑を行う方式である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、自動二輪車等の車両に搭載される4サイクルエンジンであって、特に潤滑方式としてウェットサンプ方式を採用するものにあっては以下のような問題があった。 【0004】即ち、車両の加減速時にはオイルパンに溜ったオイルが慣性力によって車体前後に片寄ってその油面が大きく傾斜するため、オイルポンプにエアーが吸い込まれてオイルの循環が十分行えないという問題があった。 【0005】上記問題を解決するにはオイル量を増やしてオイルパンでの油面を上げれば良いが、オイル量を増やすとオイルの撹拌ロスが大きくなってエンジン性能が低下するとともに、車両走行中にブリーザからオイルが吹き出す等の問題が発生する。 【0006】本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、オイル量を増やすことなくオイルポンプへのエアーの吸引を防いで安定したオイルの循環を実現することができる車両用4サイクルエンジンの潤滑装置を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、クランクケース下部に設けられたオイルパンにオイルストレーナを配置し、前記オイルパンに溜ったオイルをオイルポンプによって前記オイルストレーナを介して吸引し、該オイルを循環させて各部の潤滑を行う車両用4サイクルエンジンの潤滑装置において、前記オイルストレーナの底面に前側吸入口と後側吸入口を車両前後にそれぞれ形成し、車両の加減速時に重錘に作用する慣性力によって加速時には前記オイルストレーナの前側吸入口を閉じ、減速時には前記オイルストレーナの後側吸入口を閉じるようにしたことを特徴とする。 【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、一端に重錘が取り付けられた揺動板を前記オイルストレーナの底面に沿って回動可能に枢支し、車両の加減速時に前記重錘に作用する慣性力によって前記揺動板を回動せしめ、加速時には揺動板の他端が前記オイルストレーナの前側吸入口を閉じ、減速時には揺動板の他端が前記オイルストレーナの後側吸入口を閉じるようにしたことを特徴とする。 【0009】従って、本発明によれば、車両の加速時にはオイルパンのオイルが車体後方に片寄るが、この加速時にはオイルストレーナの前側吸入口が塞がれてオイルは片寄った側の後側吸入口から吸引されるため、前側吸入口からのエアーの吸い込みが防がれる。又、車両の減速時にはオイルパンのオイルが車体前方に片寄るが、この減速時にはオイルストレーナの後側吸入口が塞がれてオイルは片寄った側の前側吸入口から吸引されるため、後前側吸入口からのエアーの吸い込みが防がれる。 【0010】従って、オイル量を増やすことなくオイルポンプへのエアーの吸引を防いで安定したオイルの循環を実現することができるとともに、オイルの撹拌ロスを小さく抑えてエンジン性能の向上を図り、車両走行中のブリーザからのオイルの吹き出しを防ぐことができる。 【0011】 【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。 【0012】図1は本発明に係る潤滑装置を備える4サイクルエンジンの破断側面図、図2は図1のA−A線矢視図、図3は本発明に係る潤滑装置のオイルストレーナと揺動板の斜視図である。 【0013】図1に示す4サイクルエンジン1は自動二輪車用エンジンであって、該4サイクルエンジン1においては、ミッションケースと一体化されたシリンダボディ2にシリンダヘッド3が被着され、該シリンダヘッド3の上面にはカムキャップ4が被着されている。尚、図示しないが、前記シリンダボディ2の内部に形成されたシリンダにはピストンが摺動自在に嵌装されており、該ピストンはコンロッドを介してクランク軸5に連結されている。又、シリンダヘッド3には燃焼室に開口する吸気ポートと排気ポートが形成されており、これらの吸気ポートと排気ポートは動弁機構によって駆動される吸気バルブと排気バルブによってそれぞれ適当なタイミングで開閉され、これによってシリンダ内で所要のガス交換がなされる。 【0014】ところで、本実施の形態に係る4サイクルエンジン1には本発明に係る潤滑装置が備えられているが、本潤滑装置はウエットサンプ方式を採用するものであって、クランクケース6の下部に被着されたオイルパン7に溜ったオイルをオイルストレーナ8からオイルポンプ9に吸引し、オイルポンプ9によってオイルを循環させて各部を潤滑するものであり、以下、その構成の詳細を説明する。 【0015】図1に示すように、前記オイルポンプ9はクランクケース6内に収納設置されており、そのポンプ軸10にはチェーンスプロケット11が結着され、このチェーンスプロケット11と中間軸12に結着されたチェーンスプロケット13との間には無端状のチェーン14が巻装されている。尚、中間軸12は前記クランク軸5の後方(図1〜図3において矢印F方向が車体前方)にこれと平行に配置されており、クランク軸5の回転は不図示のギヤを介して中間軸12に伝達されて該中間軸12が回転駆動される。 【0016】又、オイルポンプ9のハウジング15の下部には前記オイルストレーナ8が取り付けられており、このオイルストレーナ8はハウジング15に形成された吸入通路16に接続されている。そして、このオイルストレーナ8はその底面が前記オイルパン7内の底面に近接して対向するよう配置されており、該オイルストレーナ8の底面には、図2及び図3に示すように、円孔状の前側吸入口17と後側吸入口18が車体前後にそれぞれ形成されている。尚、前側吸入口17と後側吸入口18はメッシュ状のストレーナによって覆われている。 【0017】而して、オイルストレーナ8の底面には揺動板19がその中間部を揺動軸20によって枢支されている。従って、揺動板19は揺動軸20を中心としてオイルストレーナ8の底面に沿って回動自在に支持されており、その一端上には円柱状の重錘21が取り付けられ、他端の上面は後述のように自動二輪車の加減速時にオイルストレーナ8の底面に開口する前記前側吸入口17と後側吸入口18を選択的に閉じるバルブとして機能する。 【0018】他方、図1に示すように、オイルポンプ9の前記ハウジング15には吐出通路22が形成されており、この吐出通路22には側面視U字状を成すパイプ23の一端が接続され、該パイプ23の他端はクランクケース6内に形成されたオイル通路24に接続されている。そして、オイル通路24には、クランクケース6の前端面に取り付けられたオイルクーラー25の中心部を貫通するオイル通路26に接続されている。尚、図2に示すように、クランクケース6の前端面にはオイルクリーナ27も取り付けられており、前記オイルクーラー25の冷却水通路28を流れる冷却水はオイルクリーナ27にも供給され、オイルはオイルクーラー25とオイルクリーナ27を流れる過程で冷却水によって冷却される。 【0019】而して、自動二輪車の定速走行時においては、前記揺動板19の一端に取り付けられた重錘21に慣性力は作用せず、揺動板19は中立状態を保ってその他端面はオイルストレーナ8の底面に開口する前側吸入口17と後側吸入口18の何れも閉じず、両吸入口17,18は開口状態にある。又、オイルパン7に溜ったオイルにも慣性力が作用せず、その油面は略水平面を維持しており、オイルパン7の底面はオイル内に浸漬して両吸入口17,18は何れもオイル内に開口している。 【0020】従って、前述のようにクランク軸5の回転が不図示のギヤを介して中間軸12に伝達されて該中間軸12が回転駆動されると、該中間軸12の回転はチェーンスプロケット13、チェーン14及びチェーンスプロケット11を経てオイルポンプ9のポンプ軸10に伝達され、これによってオイルポンプ9が駆動されてオイルパン7に溜ったオイルが両吸入口17,18からオイルストレーナ8内に吸引される。オイルストレーナ8に吸引されたオイルはハウジング15に形成された吸入通路16からオイルポンプ9に吸引され、該オイルポンプ9によって所定圧に昇圧された後、ハウジング15に形成された吐出通路22へと吐出され、吐出通路22からパイプ23及びオイル通路24,26を流れる。そして、オイルはオイルクーラー25によって冷却された後、エンジン1内を循環して各部(主に摺動部)を潤滑及び冷却した後、オイルパン7へと落下してオイルパン7に溜り、以後は同様の経路を辿ってオイルがエンジン1内を循環して各部が継続的に潤滑及び冷却される。 【0021】以上は自動二輪車の定速走行時の状態を説明したが、自動二輪車の加速時にはオイルパン7に溜ったオイルは車体後方に作用する慣性力によってオイルパン7の後方へと片寄り、その油面は図1に鎖線S1にて示すように傾斜し、オイルストレーナ7に形成された後側吸入口18のみがオイル内に開口し、前側吸入口17はオイル外に開口する。 【0022】又、同時に揺動板19の一端に取り付けられた重錘21にも車体後方の慣性力が作用するため、揺動板19は揺動軸20を中心として図2及び図3の矢印a方向に回動して実線にて示す位置で停止し、その他端面がオイルストレーナ8の前側吸入口17を塞ぐ。このようにオイル外に開口する前側吸入口17が揺動板19によって塞がれるため、該前側吸入口17からのエアーの吸い込みが防がれ、オイルは後側吸入口18のみからオイルポンプ9へと吸引される。尚、前側吸入口17を塞ぐ揺動板19の他端面はオイルポンプ9の吸引力によって前側吸入口17の周囲に密着するとともに、重錘21はその自重が揺動板19の他端面を前側吸入口17の周囲に押圧する方向のモーメントを生じさせるため、揺動板19の他端面は前側吸入口17を気密に閉じることができる。 【0023】他方、自動二輪車の減速時にはオイルパン7に溜ったオイルは車体前方に作用する慣性力によってオイルパン7の前方へと片寄り、その油面は図1に鎖線S2にて示すように傾斜し、オイルストレーナ8に形成された前側吸入口17のみがオイル内に開口し、後側吸入口18はオイル外に開口する。 【0024】又、同時に揺動板19の一端に取り付けられた重錘21にも車体前方の慣性力が作用するため、揺動板19は揺動軸20を中心として図2及び図3の矢印b方向に回動して鎖線にて示す位置で停止し、その他端面がオイルストレーナ8の後側吸入口18を塞ぐ。このようにオイル外に開口する後側吸入口18が揺動板19によって塞がれるため、該後側吸入口18からのエアーの吸い込みが防がれ、オイルは前側吸入口17のみからオイルポンプへと吸引される。尚、この場合も、後側吸入口18を塞ぐ揺動板19の他端面はオイルポンプ9の吸引力によって後側吸入口18の周囲に密着するとともに、重錘21はその自重が揺動板19の他端面を後側吸入口18の周囲に押圧する方向のモーメントを生じさせるため、揺動板19の他端面は後側吸入口18を気密に閉じることができる。 【0025】以上のように、オイルパン7に溜ったオイルが片寄ってその油面が傾斜する加減速時にはオイルストレーナ8の底面に開口する前側吸入口17と後側吸入口18を揺動板19によって選択的に閉じてオイルポンプ9へのエアーの吸い込みを防ぐようにしたため、安定したオイルの循環を実現することができるとともに、オイルパン7に溜めるオイルの量を極力少なく抑えることができ、この結果、オイルの撹拌ロスを小さく抑えてエンジン1の性能向上を図ることができ、更には自動二輪車走行中のブリーザからのオイルの吹き出し等の不具合の発生を防ぐことができる。 【0026】尚、以上は特に自動二輪車用4サイクルエンジンに本発明を適用した形態について述べたが、本発明は他の任意の車両用4サイクルエンジンに対しても同様に適用可能であることは勿論である。 【0027】 【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明によれば、クランクケース内下部に形成されたオイルパンにオイルストレーナを配置し、前記オイルパンに溜ったオイルをオイルポンプによって前記オイルストレーナを介して吸引し、該オイルを循環させて各部の潤滑を行う車両用4サイクルエンジンの潤滑装置において、前記オイルストレーナの底面に前側吸入口と後側吸入口を車両前後にそれぞれ形成し、車両の加減速時に重錘に作用する慣性力によって加速時には前記オイルストレーナの前側吸入口を閉じ、減速時には前記オイルストレーナの後側吸入口を閉じるようにしたため、オイル量を増やすことなくオイルポンプへのエアーの吸引を防いで安定したオイルの循環を実現することができるという効果が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000010076 【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年2月29日(2000.2.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092853 【弁理士】 【氏名又は名称】山下 亮一
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| 【公開番号】 |
特開2001−241314(P2001−241314A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月7日(2001.9.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−54744(P2000−54744) |
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