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【発明の名称】 オイルコントロールバルブの取付構造
【発明者】 【氏名】尾関 久志

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンのクランク軸の回転をカム軸に伝達するタイミングチェーンを設け、このタイミングチェーンを覆うように前記エンジンに取付けられるチェーンカバーを設け、このチェーンカバーの前方に位置させて前記クランク軸により回転される冷却ファンを設け、前記クランク軸により駆動されるオイルポンプを設け、このオイルポンプの吐出するオイルを油圧制御装置の油圧アクチュエータに供給するオイルコントロールバルブを設け、このオイルコントロールバルブを前記冷却ファンの回転軌跡内に位置させて前記チェーンカバーの前面部に取付けて設けたことを特徴とするオイルコントロールバルブの取付構造。
【請求項2】 前記オイルコントロールバルブは、前記油圧アクチュエータにオイルを供給するバルブ本体部とこのバルブ本体部を動作させるソレノイド部とを備え、このソレノイド部の長手方向を前記冷却ファンの回転中心に指向させて配設したことを特徴とする請求項1に記載のオイルコントロールバルブの取付構造。
【請求項3】 前記オイルコントロールバルブには、前記オイルポンプの吐出するオイルを供給するオイルパイプを連絡して設け、このオイルパイプを前記冷却ファンの回転軌跡内に位置させて前記チェーンカバーの前面部に配設したことを特徴とする請求項1に記載のオイルコントロールバルブの取付構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はオイルコントロールバルブの取付構造に係り、特に、エンジンの冷機時から暖機時までの間でのバルブ特性の変化を少なくし得て、冷油圧アクチュエータの制御性を向上し得て、油圧制御装置の制御精度を向上し得るオイルコントロールバルブの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】車両等に搭載されるエンジンは、オイルポンプの吐出するオイルを動弁系や補機、油圧制御装置等に供給し、潤滑や作動、制御を行なっている。例えば、エンジンの油圧制御装置としては、吸・排気バルブのバルブタイミングを可変する可変バルブタイミング装置を設けている。
【0003】可変バルブタイミング装置は、カム軸の一端側に油圧アクチュエータを設け、この油圧アクチュエータにオイルポンプの吐出するオイルを供給するオイルコントロールバルブを設けている。可変バルブタイミング装置は、オイルポンプの吐出するオイルをオイルコントロールバルブにより油圧アクチュエータに供給し、油圧アクチュエータを動作させて吸・排気バルブのバルブタイミングを可変する。
【0004】このようなオイルコントロールバルブの取付構造としては、特開平11−324629号公報に開示されるものがある。この公報に開示されるものは、可変バルブタイミング装置を備えた4サイクルエンジンのオイルコントロールバルブにおいて、オイルコントロールバルブは、カムシャフト軸線よりもエンジン下側かつタイミングチェーンラインよりもエンジン外側に位置し、かつ、エンジンチェーンカバーの表面部に取付けたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、油圧制御装置のオイルコントロールバルブには、ソレノイド部によりバルブ本体部を動作させ、このバルブ本体部により油圧アクチュエータにオイルを供給するものがある。
【0006】ところが、このオイルコントロールバルブは、通電によりソレノイド部が発熱することから、エンジンの始動直後の冷機時から暖機時までの間でバルブ特性が変化してずれを生じ、オイルを供給される油圧アクチュエータの制御性の低下を招き、油圧制御装置の制御精度を低下させる不都合がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上述の不都合を除去するために、エンジンのクランク軸の回転をカム軸に伝達するタイミングチェーンを設け、このタイミングチェーンを覆うように前記エンジンに取付けられるチェーンカバーを設け、このチェーンカバーの前方に位置させて前記クランク軸により回転される冷却ファンを設け、前記クランク軸により駆動されるオイルポンプを設け、このオイルポンプの吐出するオイルを油圧制御装置の油圧アクチュエータに供給するオイルコントロールバルブを設け、このオイルコントロールバルブを前記冷却ファンの回転軌跡内に位置させて前記チェーンカバーの前面部に取付けて設けたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明のオイルコントロールバルブの取付構造は、チェーンカバーの前方においてクランク軸により回転される冷却ファンの回転軌跡内に位置させて、オイルコントロールをチェーンカバーの前面部に取付けて設けたことにより、オイルコントロールバルブを冷却ファンの冷却風によって積極的に冷却することができ、エンジンの冷機時から暖機時までの間のバルブ特性の変化を少なくすることができる。
【0009】
【実施例】以下図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。図1〜図8は、この発明の第1実施例を示すものである。図1〜図3において、2は車両(図示せず)に搭載されるエンジン、4はシリンダブロック、6はシリンダヘッド、8はヘッドカバー、10オイルパン、12はクランク軸、14はチェーンカバーである。このエンジン2は、図示しない車両のエンジンルームに縦置きに搭載される。
【0010】エンジン2は、図4・図5に示す如く、シリンダブロック4の下部にクランク軸12を軸支し、クランク軸12を覆うようにオイルパン10を取付けて設けている。また、エンジン2は、シリンダブロック4の上部にシリンダヘッド6を取付け、シリンダヘッド6上部に吸・排気バルブ(図示せず)を開閉駆動する吸・排気カム軸16・18を吸・排気カム軸キャップ20・22により軸支し、吸・排気マニホルド24・26を取付け、シリンダヘッド6に吸・排気カム軸16・18を覆うようにヘッドカバー8を取付けて設けている。
【0011】前記クランク軸12には、一端側にタイミングスプロケット(図示せず)を取付けている。前記吸・排気カム軸16・18には、一端側に吸・排気カムスプロケット28・30を取付けて設けている。タイミングスプロケットと吸・排気カムスプロケット28・30とには、タイミングチェーン32を巻掛けている。タイミングチェーン32は、クランク軸12の回転を吸・排気カム軸16・18に伝達する。
【0012】エンジン2には、シリンダブロック4とシリンダヘッド6との長手方向一端側にタイミングチェーン32を覆うようにチェーンカバー14を取付けて設け、チェーン室34を形成して設けている。
【0013】エンジン2は、チェーンカバー14の前面部36直前に位置させてクランク軸12にクランクプーリ38を取付けている。また、エンジン2は、クランク軸12により駆動される複数の補機を設けている。第1実施例においては、図1〜図3に示す如く、シリンダブロック4の幅方向一側にウォータポンプ40とオルタネータ42とを取付けて設けている。
【0014】チェーンカバー14の略中間部位を図4に示す如くシリンダ軸方向に湾曲させ、この湾曲部にウォータポンプ40を配設している。ウォータポンプ40には、チェーンカバー14の前面部36直前に位置させてウォータポンプ軸44にウォータポンププーリ46を取付けている。このウォータポンプ40の左斜め下方であってクランクプーリ38の左斜め上方、即ち吸気マニホルド24のほぼ直下にオルタネータ42が配設されている。オルタネータ42には、チェーンカバー14の前面部36直前に位置させてオルタネータ軸48にオルタネータプーリ50を取付けている。クランクプーリ38とウォータポンププーリ46とオルタネータプーリ50とには、補機駆動用ベルト52を巻掛けている。
【0015】前記ウォータポンププーリ46には、冷却ファン54を取付けて設けている。この冷却ファン54は、チェーンカバー14の前面部36よりも前方に位置させて設けられ、補機駆動用ベルト52を介してクランク軸12により回転される。
【0016】このエンジン2は、図4・図5に示す如く、クランク軸12により駆動されるオイルポンプ56を設けている。オイルポンプ56は、チェーンカバー14に設けられたポンプハウジング58に内ロータ及び外ロータ(図示せず)を回転可能に内蔵して設け、この内ロータ及び外ロータはクランク軸12により回転され、オイルパン10内のオイルを吸引して圧縮し、吐出する。
【0017】オイルポンプ56の吐出するオイルは、オイルフィルタ60により濾過されてシリンダブロック4のクランク軸12の軸線方向に指向するメインギャラリ62に供給される。メインギャラリ62のオイルは、クランク軸12や吸・排気カム軸16・18、吸・排気弁等の動弁系、ウォータポンプ40等の補機系に供給される。
【0018】このエンジン2は、図4に示す如く、油圧制御装置として可変バルブタイミング装置64を設けている。可変バルブタイミング装置64は、クランク軸12に対する位相を変化させる油圧アクチュエータ66を設け、この油圧アクチュエータ66に前記オイルポンプ56の吐出するオイルを供給するオイルコントロールバルブ68を設けている。油圧アクチュエータ66は、吸気カム軸16の一端側に取付けて設けている。オイルコントロールバルブ68は、チェーンカバー14の前面部36に取付けて設けている。
【0019】オイルコントロールバルブ68は、図6〜図8に示す如く、油圧アクチュエータ66にオイルを供給する略円柱形状のバルブ本体部70とこのバルブ本体部70を動作させる略円柱形状のソレノイド部72とを備え、バルブ本体部70とソレノイド部72とを長手方向に一体的に連設して設けている。バルブ本体部70は、スプール弁(図示せず)を内蔵し、取付フランジ部74を設けている。ソレノイド部72は、ソレノイドコイル(図示せず)を内蔵し、ケーブル76を接続し設けている。
【0020】オイルコントロールバルブ68は、取付フランジ部74をチェーンカバー14の前面部36に設けたバルブ取付ボス部78に取付ボルト80により取付けて設けている。バルブ取付ボス部78は、チェーンカバー14の前面部36の上方に設けられ、オイルコントロールバルブ68はシリンダヘッド6とシリンダブロック4との接合面Pを跨ぐようにチェーンカバー14の略中央部位に取付けられ、バルブ取付ボス部78に取付けられる一端側を斜め上方に指向させるとともに他端をウォータポンププーリ46に近接させて配設される。
【0021】前記チェーンカバー14の前面部36には、バルブ取付ボス部78の上側に位置させて、マウント取付ボス部82及びアウトレットパイプ取付ボス部84を設けている。マウント取付ボス部82には、エンジン2を図示しない車体に支持するエンジンマウントが取付けられる。アウトレットパイプ取付ボス部84には、シリンダブロック4の冷却水を図示しないラジエータに戻すウォータアウトレットパイプ86が取付けられる。
【0022】前記オイルポンプ56の吐出するオイルが流入するメインギャラリ72は、クランク軸16の線線方向一端側をチェーンカバー14のカバー連通孔88に連通して設けている。カバー連通孔88は、オイルパイプ90によりオイルコントロールバルブ68に連絡して設けている。オイルコントロールバルブ68は、オイルパイプ90により取入れたオイルをチェーンカバー14に設けた進角用オイル通路92及び遅角用オイル通路94に進角用オイル及び遅角用オイルとして振り分けて供給する。
【0023】進角用オイル通路92及び遅角用オイル通路94は、チェーンカバー14上端において進角用オイルパイプ96及び遅角用オイルパイプ98に連絡している。進角用オイルパイプ96及び遅角用オイルパイプ98は、吸気カム軸キャップ20のキャップ進角用オイル通路100及びキャップ遅角用オイル通路102に連絡している。キャップ進角用オイル通路100及びキャップ遅角用オイル通路102は、吸気カム軸16に設けた図示しないカム軸進角用オイル通路及びカム軸遅角用オイル通路を介して前記油圧アクチュエータ66に連絡している。
【0024】可変バルブタイミング装置64は、図示しない制御手段によりエンジン2の運転状態に応じてオイルコントロールバルブ68を作動制御し、オイルポンプ56の吐出するオイルを進角用オイル及び遅角用オイルに振り分けて油圧アクチュエータ66に供給し、クランク軸12に対する吸気カム軸16の位相を変化させて吸・排気バルブのバルブタイミングを可変する。
【0025】この可変バルブタイミング装置64のオイルコントロールバルブ68の取付構造は、図1に示す如く、オイルコントロールバルブ68が取付けられるバルブ取付ボス部78を、チェーンカバー14の前面部36の冷却ファン54の回転軌跡S内に位置させて設けている。オイルコントロールバルブ68は、バルブ取付ボス部78に取付けることにより、冷却ファン54の回転軌跡S内に位置させてチェーンカバー14の前面部36に取付けて設けている。
【0026】オイルコントロールバルブ68は、油圧アクチュエータ66にオイルを供給するバルブ本体部70とこのバルブ本体部70を動作させるソレノイド部72とを備え、このソレノイド部72の長手方向Aを冷却ファン54の回転中心Cに指向させてチェーンカバー14の前面部36に配設している。
【0027】また、オイルコントロールバルブ68には、オイルポンプ56の吐出するオイルを供給するオイルパイプ90を連絡して設けている。このオイルパイプ90は、中間部位を冷却ファン54の回転中心C側に湾曲偏倚させることにより、少なくとも一部の湾曲部104を冷却ファン54の回転軌跡S内に位置させてチェーンカバー14の前面部36に配設している。
【0028】次に作用を説明する。
【0029】エンジン2は、クランク軸12の回転をタイミングチェーン32により吸・排気カム軸16・18に伝達し、吸・排気弁を開閉駆動する。また、エンジン2は、クランク軸12の回転を補機駆動用ベルト52により補機であるウォータポンプ40とオルタネータ42とに伝達し、各補機を駆動する。
【0030】このエンジン2には、油圧制御装置として可変バルブタイミング装置64を設けている。可変バルブタイミング装置64は、エンジン2の運転状態に応じてオイルコントロールバルブ68を作動制御して油圧アクチュエータ66にオイルを供給し、吸・排気バルブのバルブタイミングを可変する。
【0031】この可変バルブタイミング装置64のオイルコントロールバルブ68は、冷却ファン54の回転軌跡S内に位置させてチェーンカバー14の前面部36に取付けて設けている。
【0032】これにより、このオイルコントロールバルブ68の取付構造は、オイルコントロールバルブ68の通電時に発熱するソレノイド部72を冷却ファン54の送給する冷却風によって積極的に冷却することができ、エンジン2の冷機時から暖機時までの間のバルブ特性の変化を減少することができる。
【0033】このため、このオイルコントロールバルブ68の取付構造は、エンジン2の冷機時から暖機時までの間のバルブ特性の変化を減少し得ることにより、オイルコントロールバルブ68の制御が容易になり、油圧アクチュエータ66の制御性を向上することができ、可変バルブタイミング装置64の制御精度を向上することができる。
【0034】また、このオイルコントロールバルブ68の取付構造は、バルブ本体部70を動作させるソレノイド部72の長手方向Aを冷却ファン54の回転中心Cに指向させてチェーンカバー14の前面部36に配設しているため、冷却ファン54とチェーンカバー14の前面部36との間に発生する回転中心Cから外方向に向かう冷却風の流れに沿うようにソレノイド部72を配設することができ、ソレノイド部72の冷却性を向上することができ、バルブ特性の変化をさらに減少することができる。
【0035】さらに、このオイルコントロールバルブ68の取付構造には、オイルパイプ90を冷却ファン54の回転軌跡S内に位置させてチェーンカバー14の前面部36に配設しているため、オイルパイプ90を流れるオイルを冷却風によって冷却することができ、オイルが高温になることを防止することができ、制御の安定性を図ることができる。
【0036】図9・図10は、第2実施例を示すものである。第2実施例のオイルコントロールバルブ68の取付構造は、オイルコントロールバルブ68のソレノイド部72に冷却ファン54による冷却風の流れ方向Bに対向するとともに冷却ファン54の回転中心Cから離間する従い次第に大径になる複数の冷却フィン104を形成して設け、これら各冷却フィン104に冷却風の吹き抜ける透孔106を夫々形成して設けたものである。
【0037】第2実施例のオイルコントロールバルブ68の取付構造は、冷却風の流れ方向Bに対向し且つ回転中心Cから離間する従い次第に大径になる複数の冷却フィン104をソレノイド部72に形成したことにより、冷却ファン54の送給する冷却風を複数の冷却フィン104の夫々に接触させてソレノイド部72を効率よく冷却することができる。
【0038】また、第2実施例のオイルコントロールバルブ68の取付構造は、複数の冷却フィン104に冷却風の吹き抜ける透孔106を夫々形成したことにより、透孔106によって複数の冷却フィン104の間に冷却風を吹き抜けさせることができ、冷却風を複数の冷却フィン104の夫々に確実に接触させてソレソレノイド部72をさらに効率よく冷却することができ、エンジン2の冷機時から暖機時までの間のバルブ特性の変化を減少することができる。
【0039】このため、このオイルコントロールバルブ68の取付構造は、エンジン2の冷機時から暖機時までの間のバルブ特性の変化を減少し得ることにより、オイルコントロールバルブ68の制御が容易になり、油圧アクチュエータ66の制御性を向上することができ、可変バルブタイミング装置64の制御精度を向上することができる。
【0040】
【発明の効果】このように、この発明のオイルコントロールバルブの取付構造は、チェーンカバーの前方においてクランク軸により回転される冷却ファンの回転軌跡内に位置させて、オイルコントロールをチェーンカバーの外側面に取付けて設たことにより、オイルコントロールバルブを冷却ファンの冷却風によって積極的に冷却することができ、エンジンの冷機時から暖機時までの間のバルブ特性の変化を減少することができる。
【0041】このため、このオイルコントロールバルブの取付構造は、エンジンの冷機時から暖機時までの間のバルブ特性の変化を減少し得ることにより、オイルコントロールバルブの制御が容易になり、油圧アクチュエータの制御性を向上することができ、油圧制御装置の制御精度を向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
【出願日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【代理人】 【識別番号】100080056
【弁理士】
【氏名又は名称】西郷 義美
【公開番号】 特開2001−241312(P2001−241312A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−53910(P2000−53910)