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【発明の名称】 エンジンの弁作動装置
【発明者】 【氏名】梶浦 幹弘

【氏名】鶴田 誠次

【要約】 【課題】従来の装置は、高回転時における油圧によるレバー部材の保持力が小さいため、吸気弁の慣性力に起因したばたつき現象が発生し易く、打音や摩耗が発生していた。

【解決手段】レバー部材9の第1係合部9cと第2係合部9dを第1、第2サブロッカアームに対して別個の油圧駆動部20、21により選択的に係合あるいは係合を解除させる連結切換機構10を備えている。前記両油圧駆動部を、ロッカアーム基端部6aの下壁端部6hに上下に配置し、エンジンの、高回転域には、枢軸18の軸心から十分に離れた下側の油圧駆動部の作動プランジャ26により下端部9b下部を押圧するようにして、梃子の原理を利用して下側油圧駆動部によるレバー部材に対する保持力を強化した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カムシャフトに設けられて、それぞれカムプロフィールの異なる第1、第2、第3カムと、基端部が所定の支軸に揺動自在に支持され、先端部が機関弁に当接しかつ前記第1カムにより駆動されるロッカアームと、前記ロッカアームの側部に揺動自在に配置されて、前記第2カムの回転により駆動される第1サブロッカアームと、該第1サブロッカアームの側部に揺動自在に配置され、前記第3カムの回転により駆動される第2サブロッカアームと、前記第1サブロッカアームに選択的に係合することによって前記ロッカアームと同期揺動可能に連係させる第1係合部、及び前記第2サブロッカアームに選択的に係合することによって前記ロッカアームと同期揺動可能に連係させる第2係合部とを備えた連係部材と、前記連係部材の第1係合部と第2係合部を第1、第2サブロッカアームに対して別個の油圧回路からの油圧によって摺動する2つのプランジャにより選択的に係合あるいは係合を解除させる連結切換機構とを備えたエンジンの弁作動装置において、前記連係部材は、ほぼ中央部位が所定の枢軸に揺動自在に設けられ、上端部に前記第1、第2係合部が形成されている一方、前記連結切換機構の2つプランジャを、前記連係部材の下端部の上下位置に対向して配置したことを特徴とするエンジンの弁作動装置。
【請求項2】 連結切換機構の上側のプランジャを、エンジンの中回転域に連係部材の下端部上部を押圧する中回転用に設定すると共に、下側のプランジャを、エンジンの高回転域に連係部材の下端部下部を押圧する高速用に設定したことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの弁作動装置。
【請求項3】 カムシャフトに設けられて、それぞれカムプロフィールの異なる第1、第2、第3カムと、基端部が所定の支軸に揺動自在に支持され、先端部が機関弁に当接しかつ前記第1カムにより駆動されるロッカアームと、前記ロッカアームの側部に揺動自在に配置されて、前記第2カムにより駆動される第1サブロッカアームと、該第1サブロッカアームの側部に揺動自在に配置され、前記第3カムの回動に応じて揺動する第2サブロッカアームと、前記第1サブロッカアームに選択的に係合することによって前記ロッカアームと同期揺動可能に連係させる第1係合部、及び前記第2サブロッカアームに選択的に係合することによって前記ロッカアームと同期揺動可能に連係させる第2係合部とを備えた連係部材と、前記連係部材の第1係合部と第2係合部を第1、第2サブロッカアームに対して、別個の油圧回路からの油圧によって摺動する2つのプランジャにより選択的に係合あるいは係合を解除させる連結切換機構とを備えたエンジンの弁作動装置において、前記連係部材は、ほぼ中央部位が所定の枢軸に揺動自在に設けられ上端部に前記各第1、第2係合部が形成されている一方、連結切換機構は、前記連係部材の下端部を押圧する2つプランジャの後端面にそれぞれ有する各受圧面積をそれぞれ異ならしめ、高回転側のプランジャの受圧面積を中回転側のプランジャの受圧面積よりも大きく設定したことを特徴とするエンジンの弁作動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車などのエンジンの吸気弁や排気弁である機関弁の弁作動装置、とりわけエンジンの低回転時と高回転時においてバルブリフト特性を可変にするエンジンの弁作動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のエンジンの弁作動装置としては、従来から種々のものが提供されており、その一つとして本出願人が先に出願した例えば特願平9−128713号(特開平10−317928号公報等に記載されたものが知られている。
【0003】概略を説明すれば、一気筒当り2本の吸気弁に対応した単一のロッカアームが設けられていると共に、該ロッカアームは、基端部がカムシャフトと並行に設けられたロッカシャフトによって揺動自在に支持されていると共に、中央位置に設けられた空間部内に第1サブロッカアームと第2サブロッカアームがロッカアームの基端部上に設けられたサブロッカシャフトに揺動自在に設けられている。また、前記各ロッカアームと第1、第2サブロッカアームは、カムシャフトに一体に設けられた2つの低速用カムと、この両低速用カムの間に配置された中速用カム及び高速用カムによって駆動されるようになっている。
【0004】また、前記各サブロッカアームの下部とロッカアームの基端部上部との間には、各サブロッカアームを中速用カムと高速用カムにそれぞれ当接させるロストモーションスプリングがそれぞれ弾装されている。さらに、前記各サブロッカアームの下方位置には、ロッカアームに対して各サブロッカアームをそれぞれ係合あるいは係合を解除する1つの連係レバーが設けられている。
【0005】前記連係レバーは、横方向に延設されていると共に、上下方向でほぼくの字形に折曲形成されて、ロッカアームの中央下部に枢軸を介して揺動自在に設けられていると共に、上端部の両側部に有する第1、第2係合部が捩りスプリングによって各サブロッカアームの各凹状段部との係合を解除する方向に付勢されている。また、連係レバーの下端部は、連結切換機構によって機関運転状態に応じて押圧されて上端部の各係合部と各凹状段部との係合あるいは係合を解除させるようになっている。
【0006】この連結切換機構は、ロッカアームの基端部に設けられた油圧駆動部と、この油圧駆動部を駆動させる油圧回路とから主として構成されており、前記油圧駆動部は、同一横断面形状の第1、第2シリンダがロッカアームの基端部に横方向位置に並行に設けられているとともに、この各シリンダ内に連結レバーの下端部方向に対して進退動する第1、第2プランジャが摺動自在に保持されている。また、前記油圧回路は、油圧通路がロッカシャフト内に軸方向に沿って2系統に形成され、一方の油圧通路が前記第1シリンダの底部に形成された第1受圧室に連通していると共に、他方の油圧通路が第2シリンダの底部に形成された第2受圧室にそれぞれ連通している。また、前記油圧回路は、エンジンの各摺動部に潤滑油を供給するオイルポンプから各油圧通路を介して各受圧室に油圧を供給し、あるいは各受圧室から油圧を外部に排出するようになっている。
【0007】そして、エンジン低回転時には、連結切換機構による前記連係レバーの各係合部と各凹状段部との係合が解除されて、各サブロッカアームがロストモーションスプリングによって自由なロストモーション状態になる。このため、各吸気弁は、ロッカアームを介して中速用、高速用カムからのリフト伝達はなく、低速用カムのカムプロフィールにしたがってリフト作動して、低いバルブリフト特性になる。したがって、かかる低回転時における燃焼効率の向上により、燃費の改善が図れるようになっている。
【0008】一方、エンジン中回転時には、連結切換機構の油圧通路から第1受圧室に供給された油圧によって第1プランジャが連係レバーの下端部を捩りスプリングのばね力に抗して押圧する。これにより、連結レバーの上端部の第1係合部を第1サブロッカアームの凹状段部に係合させるため、第1サブロッカアームとロッカアームが連結される。したがって、各吸気弁は、第1サブロッカアーム及びロッカアームを介して中速用カムのリフト力が伝達されて、中程度のバルブリフト特性となる。この結果、かかる中回転時における燃費と出力の両方を満足させることが可能になる。
【0009】さらに、エンジン高回転域に移行した場合は、連結切換機構の第2油圧通路から第2受圧室に供給された油圧によって連係レバーの下端部を押圧して第2係合部を第2サブロッカアームの凹状段部に係合させるため、第2サブロッカアームとロッカアームが連結される。したがって、各吸気弁は、第2サブロッカアーム及びロッカアームを介して高速用カムのカムプロフィールにしたがって開閉作動し、高リフトのバルブリフト特性になる。このため、エンジンの吸気充填効率が高くなって十分な出力を確保できるようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の弁作動装置にあっては、各受圧室から油圧を受ける第1、第2プランジャ後端部の受圧面が比較的小さなほぼ同一面積になっているため、特にエンジンの高回転中に各吸気弁のバルブリフト時に発生する大きな慣性力がロッカアームから連結レバーに伝達されて、該連結レバーが枢軸を中心にばたつくおそれがある。
【0011】換言すれば、前記第2プランジャ後端部の受圧面積が比較的小さいため、前記吸気弁から伝達される大きな慣性力による連結レバーに対する十分な対抗力が得られず、該連結レバーを一定位置に保持することが困難になる。
【0012】そこで、前記オイルポンプの吐出力を高めて油圧通路から第2受圧室に供給される油圧力を大きくすることも考えられるが、単純に油圧力を高めると、エンジンの周辺機器、例えば油圧ラッシアジャスタ等の機器類に影響を与え、好ましくない。
【0013】また、油圧回路に専用ポンプを設けることも考えられるが、重量の増加や設置スペース及びコストの大幅な増加が余儀なくされ、容易に採用することができない。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来の弁作動装置の技術的課題に鑑みて案出されたもので、請求項1に記載の発明は、カムシャフトに設けられて、それぞれカムプロフィールの異なる第1、第2、第3カムと、基端部が所定の支軸に揺動自在に支持され、先端部が機関弁に当接しかつ前記第1カムの回転により駆動されるロッカアームと、前記ロッカアームの側部に揺動自在に配置されて、前記第2カムの回転により駆動される第1サブロッカアームと、該第1サブロッカアームの側部に揺動自在に配置され、前記第3カムの回動により駆動される第2サブロッカアームと、前記第1サブロッカアームに選択的に係合することによって前記ロッカアームと同期揺動可能に連係させる第1係合部、及び前記第2サブロッカアームに選択的に係合することによって前記ロッカアームと同期揺動可能に連係させる第2係合部とを備えた連係部材と、前記連係部材の第1係合部と第2係合部を第1、第2サブロッカアームに対して別個の油圧回路からの油圧によって摺動する2つのプランジャにより選択的に係合あるいは係合を解除させる連結切換機構とを備えたエンジンの弁作動装置において、前記連係部材は、ほぼ中央部位が所定の枢軸に揺動自在に設けられ、上端部に前記第1、第2係合部が形成されている一方、前記連結切換機構の2つプランジャを上下に配置して各先端部が前記連係部材の下端部の上下位置に対向するように配置したことを特徴としている。
【0015】請求項2に記載の発明は、連結切換機構の上側のプランジャを、エンジンの中回転時に連係部材の下端部上部を押圧する中回転用に設定すると共に、下側のプランジャを、エンジンの高回転時に連係部材の下端部下部を押圧する高速用に設定したことを特徴としている。
【0016】したがって、この発明によれば、エンジンの中回転域では、連結切換機構の上側のプランジャが連係部材の下端部上部位置を押圧して第1係合部を第1サブロッカアームに係合させて該第1サブロッカアームとロッカアームとを連結する。
【0017】一方、エンジンが高回転域に移行した場合は、今度は下側のプランジャが連係部材の下端部下部位置を押圧して、第2係合部を第2サブロッカアームに係合させて該第2サブロッカアームとロッカアームとを連結する。そして、このとき、下側のプランジャが、連係部材の下端部を押圧する押圧点が上側のプランジャの押圧点よりも枢軸の軸心から十分に離れた位置になるため、いわゆる梃子の作用によって第2係合部が第2サブロッカアームに強固に係合する。すなわち、第2プランジャによる第2係合部の第2サブロッカアームに対する押付力が従来に比較して大きくなる。この結果、連係部材の保持力が大きくなって、たとえ高回転時における機関弁(吸気弁)の大きな慣性力が伝達されても、該連係部材のばたつきの発生を確実に抑制することができる。
【0018】請求項3に記載の発明は、カムシャフトに設けられて、それぞれカムプロフィールの異なる第1、第2、第3カムと、基端部が所定の支軸に揺動自在に支持され、先端部が機関弁に当接しかつ前記第1カムの回転により駆動されるロッカアームと、前記ロッカアームの側部に揺動自在に配置されて、前記第2カムの回転により駆動される第1サブロッカアームと、該第1サブロッカアームの側部に揺動自在に配置され、前記第3カムの回転により駆動される第2サブロッカアームと、前記第1サブロッカアームに選択的に係合することによって前記ロッカアームと同期揺動可能に連係させる第1係合部、及び前記第2サブロッカアームに選択的に係合することによって前記ロッカアームと同期揺動可能に連係させる第2係合部とを備えた連係部材と、前記連係部材の第1係合部と第2係合部を第1、第2サブロッカアームに対して、別個の油圧回路からの油圧によって摺動する2つのプランジャにより選択的に係合あるいは係合を解除させる連結切換機構とを備えたエンジンの弁作動装置において、前記連係部材は、ほぼ中央部位が所定の枢軸に揺動自在に設けられ上端部に前記各第1、第2係合部が形成されている一方、連結切換機構は、前記連係部材の下端部を押圧する2つプランジャの後端面にそれぞれ有する各受圧面積をそれぞれ異ならしめ、高回転側のプランジャの受圧面積を中回転側のプランジャの受圧面積よりも大きく設定したことを特徴としている。
【0019】したがって、この発明によれば、高回転側のプランジャの受圧面積を中回転側のプランジャの受圧面積よりも十分に大きくしたため、かかる高回転側のプランジャにより連係部材を強固に保持することが可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるエンジンの弁作動装置の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。なお、この実施形態も一気筒当り2つの吸気弁1、1を備えた所謂OHC型のエンジンに適用したものである。
【0021】すなわち、この弁作動装置は、図1及び図2に示すように、シリンダヘッドS上に配設されてエンジンのクランクシャフトにより回転駆動するカムシャフト2に、各気筒毎に第1カムである2つの低速用カム3、3と、この低速用カム3、3の間に配置された第2カムである1つの中速用カム4及びこの中速用カム4の側部に配置された1つの高速用カム5がそれぞれ設けられている。
【0022】また、このカムシャフト2の下方に前記各吸気弁1、1に対応した単一のロッカアーム6が設けられていると共に、このロッカアーム6の中央位置には、前記中速用カム4に対向した第1サブロッカアーム7と高速用カム5に対向した第2サブロッカアーム8が揺動自在に配置されている。
【0023】さらに、前記各サブロッカアーム7、8の下部前方位置には、該各サブロッカアーム7、8とロッカアーム6とを適宜連係させる連係部材であるレバー部材9と、該レバー部材9を機関運転状態に応じて各サブロッカアーム7、8に対して係合、あるいは係合を解除する連結切換機構10が設けられている。
【0024】前記低速用カム3、3と中速用カム4及び高速用カム5は、エンジンの低回転時と中回転時、高回転時において要求されるバルブリフト特性を満足するように異なる形状に形成されており、高速用カム5は中速用カム4に比べて、さらに中速用カム4は低速用カム3、3に比べてそれぞれバルブリフト量と開弁期間を大きくするカムプロフィールに形成されている。
【0025】前記ロッカアーム6は、図1に示すように平面から見てほぼ矩形枠状に形成されて、基端部6aの長手方向に穿設された挿通孔6eに挿通した内部中空状の支軸であるロッカシャフト11に揺動自在に支持されていると共に、基端部6a両側から前方に延出した各アーム部6b,6bの先端下面が前記各吸気弁1、1のステム頂部1a,1aにそれぞれ当接していると共に、アーム部6b,6bの上面に各低速用カム3、3が摺接するスリッパ6c、6cが設けられている。また、基端部6aには、各サブロッカアーム7、8の基部7a,8aを収容する一対の矩形溝6d,6dが形成されていると共に、この矩形溝6d,6dの各側壁に軸受孔がそれぞれ形成されている。また、前記両アーム部6b,6bの先端側は、連結材6fによって連結されて、剛性が高められている。さらに、ロッカシャフト11は、両端部がシリンダヘッドS上の図外の軸受に支持されている前記第1、第2サブロッカアーム7、8は、図2に示すようにロッカアーム6の中央の空間部内に互いに独立して配置され、各基部7a、8aが前記ロッカアーム基端部6aの前記軸受孔に挿通されたサブロッカシャフト12を介して揺動自在に支持されていると共に、各先端部7b,8bは吸気弁1、1と当接する部位を有さず、上面に中速用カム4と高速用カム5にそれぞれ摺接する第1、第2カムフォロア部7c,8cが円弧状に突出形成されている。また、この各サブロッカアーム7、8の各カムフォロア部7c,8cの下側には、図4及び図6に示すように、前記レバー部材9が係合する第1、第2凹状段部13、14が形成されており、この第1凹状段部13は、図4に示すように前方方向に突出形成されているのに対して第2凹状段部14は、図6に示すように比較的小さい突出量になっている。また、前記サブロッカシャフト12は、両端部がCリング状のストッパリング15、15によって抜け止めされている。さらに、各サブロッカアーム7、8は、ロッカアーム6の基端部6a上面に突設された2つの突部と各サブロッカアーム7、8のカムフォロア部7c,8cの下面に突設された突部との間にそれぞれ弾装されたロストモーションスプリング16、17によってカムフォロア部7c,8cが各対向する中速用カム4と高速用カム5にそれぞれ弾接するように上方へ付勢されている。
【0026】なお、前記基部7a、8aの後端部には、ロッカアーム6の基端部6a外面に形成された切欠溝6gの端縁に当接して各サブロッカアーム7、8の最大上昇位置を規制する突部7d,8dが設けられている。
【0027】前記レバー部材9は、図1及び図4に示すように、両サブロッカアーム7、8の先端部7b,8b間を跨ぐようにカムシャフト2軸方向へ延設された正面ほぼ矩形板状を呈し、中央部がほぼくの字形状に折曲形成されて、この中央部がロッカアーム6の基端部6aの両下部壁に両端部が支持された枢軸18に挿通孔を介して揺動自在に支持されて、嘴状の上端部9aと下端部9bが正逆回動可能になっている。また、前記上端部9aの両側部に有する第1、第2係合部9c,9d上面が、前記各凹状段部13、14下面に回動しながら選択的に係合可能になっていると共に、図2に示すように両端部19a,19bが前記枢軸18に係止された捩りスプリング19によって上端部9aが外方向に回動付勢、つまり各係合部9c,9dが各凹状段部13、14から離間する方向に付勢されている。また、ほぼ円弧状に折曲された下端部9bは、内端面の上下位置に突出量の大きな上側の第1凸部9eと突出量の小さな下側の第2凸部9fが形成されていると共に、該各凸部9e,9fを介して前記連係切換手段10に連係している。
【0028】前記連係切換手段10は、図3、図4に示すように前記レバー部材9の下端部9bに対接した第1、第2油圧駆動部20、21と、該各油圧駆動部20、21に油圧を給排する2系統の油圧回路22とを備えている。前記各油圧駆動部20、21は、図4、図5に示すようにロッカアーム基端部6aの下部中央位置に下方へ部分的に突出した下壁端部6h内にそれぞれ形成された2つのシリンダ23,24と、この各シリンダ23、24内にそれぞれ摺動自在に設けられて、前端面が前記レバー部材下端部9bの各凸部9e,9fにそれぞれ当接する第1、第2作動プランジャ25、26と、該各作動プランジャ25、26の後端側に形成された第1、第2受圧室27、28とを備えている。
【0029】前記各シリンダ23,24は、基端部6aの下壁端部6hに所定の間隔を置いた上下位置に並行に配置形成されていると共に、それぞれの横断面積が同一に設定されている。
【0030】また、前記上側の第1作動プランジャ25は、先端部25aが小径状に形成されて、その先端縁が凸部9eに当接していると共に、後端部と先端部25aとの間の段差部がシリンダ23の開口縁に有する係止壁23aに係止してその最大進出位置が規制されて、この最大進出位置でレバー部材9の第1係合部9cが凹状段部13に係合するようになっている。
【0031】一方、下側の作動プランジャ26は、均一径の円柱状を呈し、先端部26aが前記第2凸部9fに当接していると共に、その最大進出位置は前記上側作動プランジャ25の最大進出位置よりも大きくなるように設定されて、この最大進出位置でレバー部材9の第2係合部9dが凹状段部14に係合するようになっている。
【0032】前記油圧回路20は、図3及び図4に示すようにロッカシャフト11の内部及び基端部9aの内部に形成されて、前記第1、第2受圧室27、28にそれぞれに連通する第1、第2油圧通路29、30と、この油圧通路29、30に図外の各摺動部に潤滑油を供給するオイルメインギャラリを介して油圧を供給するオイルポンプ31と、該オイルポンプ31の下流側に設けられてコントローラ32からの制御信号によって前記油圧通路29、30と第1、第2ドレン通路35、36とを切り換える各電磁切換弁33、34とから構成されている。前記コントローラ32は、エンジンの回転信号や、冷却水温信号、潤滑油の温度信号、スロットルバルブの開度信号を入力してこれらの検出値に基づいて前記各電磁切換弁33、34に制御信号を出力している。
【0033】したがって、この実施形態によれば、エンジンの低回転時には、コントローラ32からの制御信号によって電磁切換弁33、34がオイルメインギャラリと各ドレン通路35、36とを連通して両方の受圧室27、28への油圧の供給が遮断される。このため、各作動プランジャ25、26は、レバー部材9の下端部9bを押圧しない。したがって、各サブロッカアーム7、8は、中速、高速用カム4、5のリフトにしたがってそれぞれ揺動されるものの、レバー部材9が捩りスプリング19のばね力によって上端部9aと各凹状段部13、14との係合が解除されて図4及び図6に示す位置に保持されるため、各サブロッカアーム7、8は、各ロストモーションスプリング16、17を介してロストモーション作動を行ない、ロッカアーム6に対して中速用、高速用カム4、5のリフト伝達がなされない。
【0034】このため、ロッカアーム6は、ロッカシャフト20を介して低速用カム3、3のプロフィールにしたがって揺動し、これにより、各吸気弁1、1は、低バルブリフト特性による開閉作動を行なう。
【0035】一方、エンジンの運転状態が低回転域から中回転域に移行した場合は、コントローラ32により一方の電磁切換弁33が切り換え作動して、ドレン通路35を閉塞するとともにオイルメインギャラリと第1油圧通路29とを連通する。
【0036】このため、オイルポンプ31から圧送された油圧が第1油圧通路29から第1受圧室27内に供給されて、該第1受圧室27内の高圧化に伴い第1作動プランジャ25を進出させる。したがって、この作動プランジャ25は、その先端部25aでレバー部材9の第1凸部9eを捩りスプリング19のばね力に抗して押圧しながら最大に進出し、レバー部材9を図4中反時計方向に回動させて図7に示す位置に保持する。これによって、レバー部材上端部9aの第1係合部9cが第1凹状段部13に係合して、ロッカアーム6と第1サブロッカアーム7とを一体的に連結する。
【0037】よって、ロッカアーム6は、中速用カム4のプロフィールにしたがって揺動し、つまり、ロッカアーム6のアーム部6b,6bが低速用カム3、3から浮き上がって当接が回避されて第1サブロッカアーム7が介して中速用カム4のカムプロフィールにしたがって揺動する。このため、両吸気弁1、1は、中程度のバルブリフト特性にしたがって開閉作動する。なお、この時点における第2サブロッカアーム8とレバー部材9とは、図8に示すように係合状態になく、第2サブロッカアーム8は、ロストモーション状態になっている。
【0038】また、エンジンがさらに高回転域に移行すると、コントローラ32により他方の電磁切換弁34が切り換え作動して、第2油圧通路30と第2ドレン通路36との連通を遮断すると共に、該第2油圧通路30とオイルメインギャラリとを連通する。
【0039】このため、オイルポンプ31から圧送された油圧が第2油圧通路30から第2受圧室28内にも供給されて、該第2受圧室28内の高圧化に伴い第2作動プランジャ26を進出動させる。したがって、この作動プランジャ26は、その先端部26aでレバー部材9の下側の第2凸部9fを捩りスプリング19のばね力に抗してさらに押圧しながら最大に進出し、レバー部材9を図8中反時計方向にさら回動させて図9に示す位置に保持する。これによって、レバー部材9の上端部9aが第2凹状段部14に係合して、ロッカアーム6と第2サブロッカアーム8とを一体的に連結する。
【0040】したがって、ロッカアーム6は、高速用カム5のプロフィールにしたがって揺動し、つまり、ロッカアーム6のアーム部6b,6bが低速用カム3、3及び中速用カム4から浮き上がってそれぞれの当接が回避されて第2サブロッカアーム8を介して高速用カム5のカムプロフィールにしたがって揺動する。このため、両吸気弁1、1は、高いバルブリフト特性にしたがって開閉作動する。なお、この時点における第1作動プランジャ25は、図10に示すように第1受圧室27内の油圧によって最大に進出した状態が維持されているが、レバー部材下端部9bとの当接はなく、離間状態になっているものの、第2作動プランジャ26によってレバー部材9が大きく反時計方向に回動されているため、図示のようにレバー部材9の第1係合部9cが第1凹状段部13のさらに奥部位置に係合された状態になっている。
【0041】なお、かかる高回転域や中回転域から低回転域に移行した場合は、前述のように、コントローラ32によって両電磁切換弁33、34が切り換え作動されて、各油圧通路29、30が各ドレン通路35、36にそれぞれ連通して各受圧室27、28内の油圧を外部に排出するため、各受圧室27、28が低圧となる。したがって、レバー部材9は、捩りスプリング19のばね力で両作動プランジャ25、26を後退移動させながら、自身の各係合部9c,9dが各サブロッカアーム7,8の凹状段部13,14との係合が解除される。これによって、吸気弁1、1は、ロッカアーム6を介して低速用カム3、3のカムプロフィールにしたがって開閉作動する。
【0042】このように、本実施形態によれば、第1、第2油圧駆動部20,21のシリンダ22,23をロッカアーム基端部6aの上下位置に配置形成したため、エンジンの高回転時には、下側の第2作動プランジャ26によってレバー部材9の最下端部を押圧する形になる。つまり、このとき、下側の第2作動プランジャ26が、レバー部材9の下端部9bを押圧する押圧点が上側の第1作動プランジャ25の押圧点よりも枢軸18の軸心から十分に離れた位置になるため、いわゆる梃子の作用によって第2係合部9dが第2サブロッカアーム8に強固に係合して、第2作動プランジャ26による第2係合部9dの第2サブロッカアーム8に対する押付力が従来に比較して十分に大きくなる。この結果、レバー部材9に対する保持力が大きくなって、たとえ高回転時において吸気弁1、1の大きな慣性力が伝達されても、該レバー部材9のばたつきの発生を確実に抑制することができる。
【0043】よって、ばたつきによる打音の発生やレバー部材9と第2サブロッカアーム8の第2凹状段部14との間の摩耗の発生が防止できる。
【0044】しかも、高回転時におけるレバー部材9のばたつきを抑制できることによって該レバー部材9の誤作動が防止され、安定した切り換え制御が得られる。
【0045】また、各油圧駆動部20、21をロッカアーム基端部9bの下壁に上下に配置したため、吸気弁1、1の各バルブスプリングなどとの干渉が回避されて配置スペースの自由度が向上する。
【0046】図11〜図14は請求項3に記載した発明に対応する実施形態を示し、ロッカアーム6や各サブロッカアーム7,8などの基本構成は先の実施形態と同様であるが、異なるところは、各油圧駆動部20,21の各シリンダ23,24をロッカアーム基端部6aの下壁に横方向へ並べて形成すると共に、前記各シリンダ23,24の横断面積を大小異ならせたものである。
【0047】具体的に説明すれば、レバー部材9は、その下端部9bが従来と同じく二股状に形成されて、それぞれが比較的短い長さに設定されている。また、中速用の第1シリンダ2の横断面積を前述した従来のシリンダとほぼ等しく設定する一方、高速用の第2シリンダ24の横断面積を第1シリンダ23よりも大きく設定した。したがって、かかる各シリンダ23,24内を摺動する第1、第2作動プランジャ25,26の外径D1,D2も各シリンダ23,24の内径に合わせて異ならしめ、第2作動プランジャ26の後端面26bの受圧面積を第1作動プランジャ25の後端面25bの受圧面積よりも大きく設定した。
【0048】このため、エンジンの低回転域では、前記実施形態と同様に各サブロッカアーム7、8がロストモーション状態になるが、中回転域では、前記第1電磁切換弁33によって第1油圧通路29を介して第1受圧室27に油圧が供給されて第1作動プランジャ25により第1サブロッカアーム7とロッカアーム6が連結されて、吸気弁1、1は中速用カム4のカムプロフィールにしたがって開閉作動し、中程度のバルブリフト特性となる。
【0049】エンジンが高回転域に移行すると、第2電磁切換弁34が切り換え作動して第2油圧通路30から第2受圧室28内に油圧を供給し、該第2受圧室28の内圧を高める。したがって、第2作動プランジャ26は、第2受圧室28内の油圧を受圧面積の大きな後端面26bで受けて進出動して、先端部26aによりレバー部材9の下端部9b内端面を押圧する。このため、該レバー部材9の第2係合部9dが第2サブロッカアーム8の第2凹状段部14に強固に係合し、両者を一体的に連結する。これにより、吸気弁1、1は、第2サブロッカアーム8を介して高速用カム5のカムプロフィールにしたがって開閉作動し、高いバルブリフト特性となる。
【0050】このように、この実施形態では、高速用の第2作動プランジャ26の後端面26aの受圧面積を大きく設定したため、従来と同じ油圧力であっても該第2作動プランジャ26によるレバー部材9に対する押圧保持力が大きくなる。この結果、エンジン高回転時における吸気弁1、1の慣性力に起因したレバー部材9のばたつきの発生を効果的に抑制することが可能になる。したがって、前記実施形態と同様な優れた作用効果が得られる。
【0051】しかも、第2作動プランジャ26の後端面26aの受圧面積を大きくすることにより、オイルポンプ31の容量を大きくする必要がなくなり、大型化や重量の増加等の問題も発生しない。
【0052】本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば第1カムを高速用カムとし、第2カムを低速用カムとすることも可能であり、さらにロッカアーム6や自由カムフォロア26の構造をエンジンの大きさや仕様に応じて適宜変更することも可能である。
【0053】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、請求項1及び2に記載の発明によれば、エンジンが高回転域に移行した場合は、下側のプランジャが連係部材の下端部下部位置を押圧して、第2係合部を第2サブロッカアームに係合させて該第2サブロッカアームとロッカアームとを連結する。このとき、下側のプランジャが、連係部材の下端部を押圧する押圧点が上側のプランジャの押圧点よりも枢軸の軸心から十分に離れた位置になるため、いわゆる梃子の作用によって第2係合部が第2サブロッカアームに強固に係合する。すなわち、第2プランジャによる第2係合部の第2サブロッカアームに対する押付力が従来に比較して大きくなる。この結果、連係部材の保持力が大きくなって、たとえ高回転時における機関弁(吸気弁)の大きな慣性力が伝達されても、該連係部材のばたつきの発生を確実に抑制することができる。
【0054】よって、ばたつきによる打音の発生や連係部材と第2サブロッカアームとの間の摩耗の発生が防止できる。
【0055】しかも、高回転時における連係部材のばたつきを抑制できることによって該連係部材の誤作動が防止され、安定した切り換え制御が得られる。
【0056】また、各油圧駆動部をロッカアーム基端部の下壁に上下に配置したため、吸気弁の各バルブスプリングなどとの干渉が回避されて配置スペースの自由度が向上する。
【0057】請求項3に記載の発明によれば、高回転側のプランジャの受圧面積を中回転側のプランジャの受圧面積よりも十分に大きくしたため、かかる高回転側のプランジャにより連係部材を強固に保持することが可能になり、エンジン高回転時における連係部材のばたつきの発生を効果的に抑制することが可能になる。
【0058】また、ばたつき防止効果により連係部材と第2サブロッカアームとの間の打音や摩耗などの発生を防止できる。
【出願人】 【識別番号】000167406
【氏名又は名称】株式会社ユニシアジェックス
【出願日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【代理人】 【識別番号】100062199
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 富士弥 (外3名)
【公開番号】 特開2001−241309(P2001−241309A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−53195(P2000−53195)