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【発明の名称】 ガスタービンのノズル支持構造
【発明者】 【氏名】大橋 一生

【要約】 【課題】ノズルのシュラウド部とタービン翼の相対的な位置の変動を容易に抑制し、タービンとノズルシュラウド部が接触しないようにこれらの相対的位置関係を維持することができるガスタービンのノズルの支持構造を提供することである。

【解決手段】高圧の燃焼ガスを吐出してタービンを駆動させるガスタービンのノズルにおいて、前記タービンのタービン翼が前記ノズルに一体のシュラウド部の内壁に沿って所定の隙間を隔てて配置されており、前記ノズルを支持するハウジングと前記ノズルとを半径方向には摺動可能でかつ円周方向には移動不能な係合部をノズルの円周方向の3箇所以上に設けることにより、熱膨張による前記ノズルのシュラウド部とタービン翼との相対的な位置の変動を抑制した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高圧の燃焼ガスを吐出してタービンを駆動させるガスタービンのノズルにおいて、前記タービンのタービン翼が前記ノズルに一体のシュラウド部の内壁に沿って所定の隙間を隔てて配置されており、前記ノズルを支持するハウジングと前記ノズルとを半径方向には摺動可能でかつ円周方向には移動不能な係合部をノズルの円周方向の3箇所以上に設けることにより、熱膨張による前記ノズルのシュラウド部とタービン翼との相対的な位置の変動を抑制したことを特徴とするガスタービンのノズル支持構造。
【請求項2】 ノズルとハウジングのいずれか一方には突起を設け、他方には前記突起と係合する溝,有底長穴又は貫通長孔のうちのいずれかを設け、前記突起と溝,有底長穴又は貫通長孔のうちのいずれかとで前記係合部を形成した請求項1に記載のガスタービンのノズル支持構造。
【請求項3】 ノズルとハウジングのいずれか一方には貫通孔又は有底穴を設け、他方にはノズルの半径方向に伸びる貫通長孔又は有底長穴を設け、前記貫通孔又は有底穴にちょうど嵌挿可能な径のピンを前記貫通孔又は有底穴と前記貫通長孔又は有底長穴の両方に嵌挿し、前記貫通孔又は有底穴,前記貫通長孔又は有底長穴及び前記ピンで前記係合部を形成した請求項1に記載のガスタービンのノズル支持構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧の燃焼ガスを吐出してタービンを回転させるガスタービンのノズルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6は従来のガスタービンのノズル部200の断面略図である。ノズル91には取付フランジ91bが設けてあり、取付フランジ91bはガスタービンのハウジング92に対してバックプレート構成部材99で支持されている。また、ノズル91にはシュラウド部91aが設けてあり、シュラウド部91aは回転軸芯93を中心に回転するタービン90のタービン翼90aの外周壁を形成している。ノズル91の取付フランジ91bとシュラウド部91aの間には円周上の複数箇所に羽根95が設けてある。この羽根95を通過した燃焼ガスは増速されてタービン90へ向かって噴射され、高圧の燃焼ガスが噴射されることによりタービン90は回転するようになっている。
【0003】高温の燃焼ガスからの熱伝達により昇温されたノズル91及びタービン翼90aは熱膨張を起こし、回転するタービン90の回転軸芯93とシュラウド部91aの中心軸とがずれてしまい、シュラウド部91aとタービン翼90aの間の環状の隙間の寸法が不均一になる。その結果、隙間が狭まったところではタービン翼90aとシュラウド部91aとが接触する恐れがあり、接触すると破損してしまう。
【0004】また、タービン翼90aとシュラウド部91aの間の環状の隙間の寸法が不均一になると、ノズル91から噴射された高圧の燃焼ガスによるタービン90への仕事率が悪化し、タービン90の回転数が減少(出力が減少)してしまう。
【0005】これを回避するために、従来は図6に示すバックプレート構成部材99に備えた弾性部材98により熱膨張の歪を吸収し、シュラウド部91aとタービン翼90aの相対的な位置が変化しないようにしていた。
【0006】タービン翼90aとシュラウド部91aとの間の隙間は、0.5〜1.0mm程度に設定されるが、これはバックプレート構成部材99に精密な加工を施すことにより行われる。そのため、バックプレート構成部材99の構造は極めて複雑なものとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明はノズルのシュラウド部とタービン翼の相対的な位置の変動を容易に抑制し、タービンとノズルシュラウド部が接触しないようにこれらの相対的位置関係を維持することができるガスタービンのノズルの支持構造を提供することを課題(目的)としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため請求項1の発明では、高圧の燃焼ガスを吐出してタービンを駆動させるガスタービンのノズルにおいて、前記タービンのタービン翼が前記ノズルに一体のシュラウド部の内壁に沿って所定の隙間を隔てて配置されており、前記ノズルを支持するハウジングと前記ノズルとを半径方向には摺動可能でかつ円周方向には移動不能な係合部をノズルの円周方向の3箇所以上に設けることにより、熱膨張による前記ノズルのシュラウド部とタービン翼との相対的な位置の変動を抑制するようにした。
【0009】請求項2の発明では請求項1の発明において、ノズルとハウジングのいずれか一方には突起を設け、他方には前記突起と係合する溝,有底長穴又は貫通長孔のうちのいずれかを設け、前記突起と溝,有底長穴又は貫通長孔のうちのいずれかとで前記係合部を形成した。
【0010】請求項3の発明では請求項1の発明において、ノズルとハウジングのいずれか一方には貫通孔又は有底穴を設け、他方にはノズルの半径方向に伸びる貫通長孔又は有底長穴を設け、前記貫通孔又は有底穴にちょうど嵌挿可能な径のピンを前記貫通孔又は有底穴と前記貫通長孔又は有底長穴の両方に嵌挿し、前記貫通孔又は有底穴,前記貫通長孔又は有底長穴及び前記ピンで前記係合部を形成した。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、請求項1の発明によるガスタービンのノズル部100の断面略図である。図1に示すようにノズル部100は、ノズル1,タービン15及びハウジング10等から構成されている。
【0012】ノズル1は、羽根2,羽根2を固定するシュラウド部3及び取付フランジ4から構成されている。ハウジング10には環状の固定フランジ11が設けてあり、この固定フランジ11に環状の固定部材12が対向配置されており、固定部材12は円周上の複数箇所で図示しないボルト・ナットにより固定フランジ11に固着されている。図1に示すように、ノズル1の取付フランジ4の一端(外周端)はハウジング10(固定フランジ11)と固定部材12に挟まれており、ノズル1はハウジング10に固定されている。
【0013】ハウジング10には、タービン15を支持する軸受6が設けてある。タービン15には複数のタービン翼15aが設けてあり、タービン15が回転した際に描くタービン翼15aの外周の輪郭に沿うように、ノズル1のシュラウド部3が配置されており、シュラウド部3(ノズル1)の中心軸はタービン15の回転軸5と一致しており、図1のIII拡大図である図3に示すようにタービン翼15aとシュラウド部3の間は全周に渡って間隔tに設定されている。間隔tは、例えば0.5〜1mmに設定される。
【0014】図2は、図1のII−II断面図である。図2に示すようにハウジング10には円周上の4箇所に半径方向に延びる長穴7が設けてある。また、ノズル1(図1)の取付フランジ4には突起8が設けてあり、突起8は長穴7に嵌挿されている。図2に示すように、突起8は長穴7の長手方向(図2の矢印方向)には移動可能で、矢印と直角の方向には移動不能となっている。
【0015】図2に示すように、長穴7と突起8とを円周上の4箇所において係合させているので、先に長手方向には移動可能であると記したが、図2で見て左右方向に伸びる長穴7内の突起8は上下方向には移動できず、また、上下方向に伸びる長穴7内の突起8は左右方向には移動することができないので、実際には4つの突起8はそれぞれ長穴7内を移動することはできず、ノズル1(図1)はハウジング10に対して静止している。
【0016】ただし、図1に示すように高温の燃焼ガスがノズル1に流入してノズル1が熱膨張した際には、ノズル1の取付フランジ4に設けた各突起8は、それぞれ長穴7内を半径方向外方へスライド移動する。このときノズル1は、全周に渡って均一に熱膨張し、図1に示すタービン15の回転軸5に一致したシュラウド部3の中心軸の位置はほとんど変動しない。
【0017】また、シュラウド部3が熱膨張した場合でも、シュラウド部3に近接したタービン翼15aも同程度に熱膨張するので、図7に示すようにタービン15の回転軸5とシュラウド部3の中心軸とがずれて間隔tが不均一になることがなく、したがって、シュラウド部3とタービン翼15aの間に形成された環状の隙間が、偏ることなく一様な間隔tに保たれ、シュラウド部3とタービン翼15aとが接触することを防止することができる。
【0018】また、熱膨張した際の間隔tを許容される最低寸法値に設定することができ、ノズル1から吐出された高圧の燃焼ガスは、ほとんどエネルギ損失なしにタービン15に対して仕事をする(タービン15を回転させる)ことができる。
【0019】上述の例では、ハウジング10には有底の長穴7を設けたが、長穴7の代わりにハウジング10を貫通した貫通長孔を設けてもよい。また、ノズル1の取付フランジ4に設けた突起8をハウジング10側に設け、長穴7(または貫通長孔)を取付フランジ4側に設けてもよい。また、図4に示すように、図2の長穴7の代わりにハウジング10に溝9を設けてもよい。
【0020】図2では突起8の断面形状は面取りを施した四辺形となっているが、これを図5(a)に示すように断面形状が円となるように突起8aを形成することにより熱膨張の際の長穴7と突起8aとの摺動を円滑にすることができる。また、図5(b)に示すように突起8bの断面形状を長穴7と接触する部分を曲線状に形成して突起8bが長穴7内を円滑に摺動できるようにしてもよい。
【0021】突起8は、取付フランジ4又はハウジング10に一体に鋳造により形成し、突起8の長穴7との接触部のみを加工(表面処理)するようにすると突起8の全体を加工する場合と比較してコストを低減することができる。また、仕上がりの精度が良好であれば、加工そのものを省略することができる。
【0022】図5(c)に示すように、ハウジング10には長穴7を設け、取付フランジ4には貫通孔16を設け、貫通孔16及び長穴7にピン14を挿し込むようにしてノズル1(図1)をハウジング10に固定するようにしてもよい。
【0023】図2,図4では、長穴7,溝9をハウジング10の円周上の4箇所に設けた例を示したが、長穴7,溝9を設ける箇所は円周上の3箇所以上あれば同様な機能を果たし、4箇所以上の多数箇所に設けても差し支えないが、特に4箇所にするとバランスもよく、また製造コスト(加工コスト)も低く抑えることができて経済的である。
【0024】
【発明の効果】請求項1〜3の発明によると、シュラウド部3の中心軸とタービン15の回転軸5とがずれないように高温の燃焼ガスからの熱伝達によるタービン翼15aとシュラウド部3の全周に渡る熱膨張の影響を回避しながらシュラウド部3とタービン翼15aの間隔tの変動を抑制することができ、タービン15の出力の低下を防止することができる。
【0025】請求項1の発明では、ハウジング10にノズル1を固定する係合部を設け、ノズル1は係合部に沿って中心軸(回転軸5と一致)に関して半径方向にのみ膨張または収縮することができるようにしたので、高温の燃焼ガスからの熱伝達によりノズル1やタービン翼15aが熱膨張しても、ノズル1のシュラウド部3とタービン翼15aの間隔tの変動を抑制するように熱膨張の影響を回避することができる。
【0026】請求項2の発明では、ノズル1をハウジング10に固定する係合部を溝9と突起8で形成し、溝9と突起8の係合による簡単な構造で従来の複雑なバックプレート構造と同等の機能を果たすことができ、製造コストを従来と比較して大幅に削減することができる。
【0027】請求項3の発明では、ノズル1とハウジング10のいずれか一方には貫通孔16(有底穴でも可)を設け、他方にはノズル1の半径方向に伸びる貫通長孔(有底長穴7でも可)を設け、これらにピン14を嵌挿することによりノズル1をハウジング10に固定する係合部を形成したので、ノズル1等が熱膨張した際においてもノズル1のシュラウド部3とタービン15のタービン翼15aとの間隔tの変動を抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
【出願日】 平成12年6月2日(2000.6.2)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開2001−342804(P2001−342804A)
【公開日】 平成13年12月14日(2001.12.14)
【出願番号】 特願2000−165838(P2000−165838)