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【発明の名称】 ガスタービンの冷却構造
【発明者】 【氏名】石黒 達男

【氏名】松浦 正昭

【氏名】渡邊 康司

【氏名】稲田 満

【氏名】田中 克則

【氏名】赤松 真児

【要約】 【課題】冷却不足の発生を防ぎながら燃焼用空気の量を増大し、それにより排気ガスの温度を低下させてNOxを低減したガスタービンの提供。

【解決手段】燃焼筒(6)の後端内縁を延長して、静翼(7)を支持する静翼シュラウド(40、41)まで延びるガスよけスリーブ(6b)を形成して燃焼ガスが静翼シールに直接当たらないようにしたのである。逆に、静翼シュラウドの前方内縁を延長して燃焼筒の後端まで延びるガスよけスリーブを形成してもよい。このようにすることにより、静翼シールの温度上昇が抑制され、車室内から静翼シール冷却空気通路(7a)を介して静翼シールに向けて流する空気の量を低減することができ、その分、燃焼用空気を増加させることができ、それにより燃焼温度が低下してNOxが低減できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機から供給された圧縮空気と燃料ノズルから噴射された燃料を燃焼筒内で燃焼し、その燃焼ガスを燃焼筒に連結された静翼を介して動翼に導き動力を得るガスタービンの冷却構造であって、圧縮空気の一部を冷却空気として静翼シールを含む静翼領域の冷却におこなうようにされていて、静翼シールを含む静翼領域に、要求冷却量の低減または冷却空気の吹き出し部位の低減により、当該領域へ供給する冷却空気の量を低減可能にする静翼領域冷却空気量低減手段を設けたことを特徴とするガスタービンの冷却構造。
【請求項2】 静翼領域冷却空気量低減手段は静翼シールに直接燃焼ガスが当たるのを防止して静翼シールの温度を低下させ静翼シールへの要求冷却量を低減する静翼シール温度低下手段であることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンの冷却構造。
【請求項3】 静翼シール温度低下手段は、燃焼筒の後端を静翼まで下流側に延長し、静翼シールを延長された燃焼筒の後端の外側に配して成る、ことを特徴とする請求項2に記載のガスタービンの冷却構造。
【請求項4】 静翼シール温度低下手段は、静翼を支持する静翼シュラウドの一部を燃焼筒の後端まで上流側に延長し、静翼シールを延長された静翼シュラウドの一部の外側に配して成る、ことを特徴とする請求項2に記載のガスタービンの冷却構造。
【請求項5】 静翼領域冷却空気量低減手段は、隣接する燃焼筒の出口の隙間部分に配置される側部静翼の冷却空気吹き出し口を燃焼筒の出口の中央部分に配置される中央静翼の冷却空気吹き出し口よりも小さくして成る側部静翼冷却空気量低減手段である、ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービンの冷却構造。
【請求項6】 側部静翼冷却空気量低減手段は、中央静翼には設ける前縁冷却空気吹き出し口を、側部静翼には設けないことにより成る、ことを特徴とする請求項5に記載のガスタービンの冷却構造。
【請求項7】 隙間から流出する空気による側部静翼の前縁の冷却効率を向上する側部静翼前縁冷却効率向上手段を有することを特徴とする請求項6に記載のガスタービンの冷却構造。
【請求項8】 側部静翼前縁冷却効率向上手段は、側部静翼の前縁と燃焼筒の出口の隙間の距離を小さくして成る、ことを特徴とする請求項7に記載のガスタービンの冷却構造。
【請求項9】 側部静翼の前縁を燃焼筒の出口の隙間の方へ延長して、側部静翼の前縁と燃焼筒の出口の隙間の距離を小さくした、ことを特徴とする請求項8に記載のガスタービンの冷却構造。
【請求項10】 燃焼筒の出口を側部静翼の前縁の方へ延長して、側部静翼の前縁と燃焼筒の出口の隙間の距離を小さくした、ことを特徴とする請求項8に記載のガスタービンの冷却構造。
【請求項11】 側部静翼前縁冷却効率向上手段は、側部静翼の前縁を平面にして隙間から流出する空気の前縁への吹きつけを向上して成る、ことを特徴とする請求項8に記載のガスタービンの冷却構造。
【請求項12】 静翼領域冷却空気量低減手段は、静翼枚数を低減して成ることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンの冷却構造。
【請求項13】 静翼領域冷却空気量低減手段は、静翼を除去し、燃焼筒の出口を出た燃焼ガスを直接動翼に導くようにして成る、ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービンの冷却構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガスタービンの冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンが発電や、その他、色々な用途のために数多く使用されている。このガスタービンは圧縮機で高温に圧縮された空気に燃料を噴射して燃焼筒内で燃焼して燃焼ガスを発生し、この燃焼ガスでタービン(動翼)を回転せしめて動力を得るものである。そして、ガスタービンの効率を上げるためにはタービン入口の燃焼ガス温度はできるだけ高い方がよく、従来、燃焼ガス温度を高めるべく設計されてきた。
【0003】ところが、これらガスタービンについても昨今の排気ガスの規制強化により窒素酸化物(NOx)の低減をもとめられている。このNOxは燃焼温度が高い程発生する。したがって、NOxを低減するためには、燃焼ガスの最高温度(燃焼筒の中間、すなわち、ノズル先端とタービン入口の中間で発生)を下げNOxの発生を抑えることが必要である。
【0004】ここで、燃焼ガスの温度は、基本的に燃焼時の燃料に対する空気、すなわち燃焼用空気の量で、決まると考えることができ、燃焼用空気の量が多い程低く、燃焼用空気の量が少ない程高くなる。したがって、NOxを低減するためには、燃焼用空気の量を増やすことが必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、ガスタービンの圧縮機から送りだされた空気の内、燃焼用ではなく各部の冷却のために使用している空気量を減らして燃焼用空気の量を大きくすることが必要である。しかし、冷却に使用する空気の量を減らしただけでは、冷却不足が発生し、耐久性が低下してしまう。本発明は上記に鑑み、冷却用に取り入れた空気の利用を改善して、冷却不足の発生を防ぎながら燃焼用空気の量を増大し、それにより燃焼ガスの温度を低下させてNOxを低減せしめるガスタービンの冷却構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、圧縮機から供給された圧縮空気と燃料ノズルから噴射された燃料を燃焼筒内で燃焼し、その燃焼ガスを燃焼筒に連結された静翼を介して動翼に導き動力を得るガスタービンの冷却構造であって、圧縮空気の一部を冷却空気として静翼シールを含む静翼領域の冷却におこなうようにされていて、静翼シールを含む静翼領域に、要求冷却量の低減または冷却空気の吹き出し部位の低減により、当該領域へ供給する冷却空気の量を低減可能にする静翼領域冷却空気量低減手段を設けた冷却構造が提供される。このように構成されたガスタービンの冷却構造では、静翼領域への冷却空気の量が低減され、その分燃焼用空気が増大するので、燃焼ガス温度がさがり、NOxが低減される。
【0007】静翼シールに直接燃焼ガスが当たるのを防止して静翼シールの温度を低下させ静翼シールへの要求冷却量を低減して冷却空気の量を低減することができるが、それには、燃焼筒の後端を静翼まで下流側に延長し、静翼シールを延長された燃焼筒の後端の外側に配してもよいし、逆に、静翼を支持する静翼シュラウドの一部を燃焼筒の後端まで上流側に延長し、静翼シールを延長された静翼シュラウドの一部の外側に配してもよい。
【0008】隣接する燃焼筒の出口の隙間部分に配置される側部静翼の冷却空気吹き出し口を燃焼筒の出口の中央部分に配置される中央静翼の冷却空気吹き出し口よりも小さくして静翼領域への冷却空気の量を低減することができ、例えば、中央静翼には設ける前縁冷却空気吹き出し口を、側部静翼には設けないようにすればよい。その場合に、隙間から流出する空気による側部静翼の前縁の冷却効率を向上させるのが好ましく、それには、側部静翼の前縁と燃焼筒の出口の隙間の距離を小さくすればよく、そのための方法としては、側部静翼の前縁を燃焼筒の出口の隙間の方へ延長する方法と、逆に、燃焼筒の出口を側部静翼の前縁の方へ延長する方法がある。また、側部静翼の前縁を平面にする方法もある。
【0009】静翼枚数を低減して静翼領域への冷却空気の量を低減することができるが、中央静翼を減らすのが好ましい。さらには、静翼を除去し、燃焼筒の出口を出た燃焼ガスを直接動翼に導くようにして静翼領域への冷却空気の量を無くすようにすることもできる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照しながら、本発明の各実施の形態について説明する。先ず、本発明を適用しえる従来のガスタービンの燃焼器の周辺の基本的な構造を図7を参照して説明する。ケーシング1で形成される車室2内に燃焼器3が配設されていて、また車室2内には圧縮機4(一部のみ図示)で圧縮された高温の空気が矢印100で示されるように導入される。燃焼器3は、燃料と空気を燃焼して燃焼ガスを発生する燃焼筒6と、燃焼筒6に燃料と空気を燃焼筒6に導く導入部5から成り、燃焼筒6の後端は静翼シール7を介して静翼8に結合され、静翼8の後流側には動翼9が配設されている。
【0011】導入部5は内筒10の内部に1つのパイロットノズル11と複数のメインノズル12を配設して構成されている。圧縮機4から車室2内に導入された高温の圧縮空気は矢印101で示されるように内筒10の周りを通って上流側に向かい、内筒10の上流端部に形成された燃焼空気入口13から矢印102で示されるように内筒10の内側に導入される。内筒10の内側に導入された空気は複数のそれぞれスワラー14を有して成るスワール流路15でスワール空気とされてから、メインノズル12から噴射される燃料が混合されて予混合気となって燃焼筒6に送られる。
【0012】また、内筒10の内側に導入された空気はパイロットノズル11の周りの空気通路11aを通り、パイロットノズル11の下流でパイロットノズル11から噴射された燃料とともに拡散燃焼してパイロット火炎を生成する。このパイロット火炎が、スワール流路15から排出された予混合気を着火し、それにより、燃焼ガスが生成される。なお、パイロットノズル11の先端部16はメガホン状に広がるパイロットコーン17内に配置されている。
【0013】以下、上記のような従来技術のガスタービンに適用される本発明のガスタービン燃焼器の各実施の形態について説明する。第1の実施の形態は静翼シールに直接燃焼ガスが当たらないようにして静翼シールの要求冷却量を減らし、その分、燃焼用空気を増加させるものである。以下、図1を参照して、従来技術と比較しながら第1の実施の形態の構造、作用を説明する。
【0014】まず、従来は、図1の(C)のように燃焼筒6の後端と静翼8を支持する静翼シュラウド40、41の前端の間の隙間を埋めるように静翼シール7が配設され静翼シール7に直接燃焼ガスが当たるようになっており、静翼シール7が過熱するのをさけるために車室2(図7参照)内から静翼シール冷却空気通路7aを介してかなりの量の空気を静翼シール7に向けて流さなければならなかった。
【0015】そこで、本発明の第1の実施の形態では、燃焼筒6の後端内縁を延長して静翼7を支持する静翼シュラウド40、41まで延びるガスよけスリーブ6bを形成して燃焼ガスが静翼シール7に直接当たらないようにしたのである。図1の(B)は第1の実施の形態の変形例であって、逆に、静翼シュラウド40、41の前方内縁を延長して燃焼筒6の後端まで延びるガスよけスリーブ45を形成して燃焼ガスが静翼シール7に直接当たらないようにしてある。
【0016】第1の実施の形態は、その変形例も含めて上記のように構成され作用するので静翼シール7の温度上昇が抑制され、車室2(図7参照)内から静翼シール冷却空気通路7aを介して静翼シール7に向けて流する空気の量を低減することができ、その分、燃焼用空気を増加させることができ、それにより燃焼温度が低下してNOxが低減できる。
【0017】次に、第2の実施の形態の詳細を説明する。第2の実施の形態は静翼8の冷却に使用する空気の量を低減し、その分、燃焼用空気を増加させるものである。先ず、従来、静翼8が燃焼筒6の後端出口に対してどのように配置されているかを図2を参照して説明する。図2は、燃焼筒6側から静翼を見たものであって、8個の燃焼筒6の後端が一点鎖線で示されているが、図示のように、隣接する燃焼筒6の後端の放射方向部分の間には隙間6cが形成され、この隙間からも冷却用の空気が放出されている。そして、静翼シュラウド40、41に支持される静翼8が、隙間6cの位置と、各燃焼筒6の後端の円周方向の中央の位置に配設されている。
【0018】以下、必要に応じて、中間部分の静翼を中央静翼8a、隙間6cの位置の静翼を側部静翼8bということにする。図2に示される静翼8は前縁部が示されており、図示されるようにこの前縁部に静翼8をフィルム冷却するための空気吹き出し穴80が多数形成されている。
【0019】図3は、図2のような構造とされた静翼の部分における、温度分布を示したもので、図示のように、中央部分が高く、隙間6cが含まれる側部領域は比較的低い。すなわち、中央静翼8aは高温領域にあるが、側部静翼8bは低温領域にある。そこで、図4の(F)に示される従来技術に対して、第2の実施の形態においては図4の(A)に示すように中央静翼8aは従来通り前縁部に空気吹き出し穴80を設けるが、側部静翼8bについては前縁部の空気吹き出し穴80を廃止して、その分、冷却空気を減少する。
【0020】第2の実施の形態は、上記のように構成され、作用し、静翼8の冷却のための空気の量を減らすことができ、その分、燃焼用空気を増大させることができ、燃焼温度を下げてNOxの低減をおこなうことができる。なお。中央静翼8aも側部静翼8bも内部に冷却空気通路81、82を有しており、前縁部の空気吹き出し穴80から放出される空気は前側の冷却空気通路81を通って供給される。
【0021】図4の(B)、(C)、(D)、(E)は、前縁部の空気吹き出し穴80を廃止した側部静翼8bの前縁の隙間6cからの冷却空気による冷却の効率を上げるための変形例である。図4の(B)に示す第1の変形例は側部静翼8bの前縁を前方に延長し、隙間6cに近づけたものである。図4の(C)に示す第2の変形例は燃焼筒6の後端を後方に延長し、それにより隙間6cを側部静翼8bの前縁に近づけたものである。図4の(D)に示す第3の変形例は第1の変形例のように側部静翼8bの前縁を前方に延長し、かつ、前縁を平面にしたものである。図4の(E)に示す第4の変形例は第2の変形例のように燃焼筒6の後端を後方に延長し、それにより隙間6cを側部静翼8bの前縁に近づけ、かつ、前縁を平面にしたものである。各変形例は上記のように構成され側部静翼8bの前縁の隙間6cからの冷却空気による冷却の効率が向上し前縁部の空気吹き出し穴80を廃止した分を補うことができる。また、隙間6cから流入する空気量を低減することもでき、第2の実施の形態の効果がさらに促進される。
【0022】次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態は静翼8の数を減らして、静翼の冷却に使用する空気の量を低減し、その分、燃焼用空気を増加させるものである。図5が、この第3の実施の形態の静翼8の配置を図2と同様な見方で示したものであって、図5に示されるように、中央静翼8aは廃止され、側部静翼8bのみとされ、さらに、側部静翼8bも第2の実施の形態のように、前縁の空気吹き出し穴80が廃止されている。第3の実施の形態は、上記のように構成され作用するので、第2の実施の形態と同じような効果を、より大きく得ることができる。
【0023】次に、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は静翼8を廃止して、静翼の冷却に使用する空気の量をなくし、その分、燃焼用空気を増加させるものである。図6がこの第4の実施の形態の構成を示す図であって、図示されるように、燃焼筒6が動翼まで延長され、静翼は廃止されている。この時、燃焼筒6の出口で燃焼ガスを加速させつつ方向を変えて、動翼に導くような形状変化を与えている。第4の実施の形態は、上記のように構成され作用するので、第2の実施の形態と同じような効果を、第3の実施の形態よりさらに大きく得ることができる。
【0024】
【発明の効果】各請求項に記載の発明による圧縮機から供給された圧縮空気と燃料ノズルから噴射された燃料を燃焼筒内で燃焼し、その燃焼ガスを燃焼筒に連結された静翼を介して動翼に導き動力を得るガスタービンの冷却構造は、圧縮空気の一部を冷却空気として静翼シールを含む静翼領域の冷却におこなうようにされているが、静翼シールを含む静翼領域に、要求冷却量の低減または冷却空気の吹き出し部位の低減により、当該領域へ供給する冷却空気の量を低減可能にする静翼領域冷却空気量低減手段を設けられており、静翼領域への冷却空気の量が低減され、その分、燃焼用空気が増大するので、燃焼ガス温度がさがり、NOxが低減される。また、冷却を終えた空気は、燃焼ガスと共に動翼に導かれるようになっており。それによって燃焼ガス温度を低減し効率を下げる方向に作用する。したがって、静翼領域の冷却に使用する空気の量の減少は、NOxの低減とともに、効率の低下も抑制する。特に、請求項7のように、中央静翼には設ける前縁冷却空気吹き出し口を、側部静翼には設けないようにしつつ、隙間から流出する空気による側部静翼の前縁の冷却効率を向上する側部静翼前縁冷却効率向上手段を有するようにすれば、側部静翼の冷却空気の量の低減を実現しつつ、側部静翼の冷却を確保できる。 特に、請求項12のように、静翼枚数を低減すれば、大きな効果が得られ、また、請求項13のように、静翼を除去し、燃焼筒の出口を出た燃焼ガスを直接動翼に導くようにすれば、さらに大きな効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【代理人】 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外4名)
【公開番号】 特開2001−289003(P2001−289003A)
【公開日】 平成13年10月19日(2001.10.19)
【出願番号】 特願2000−102170(P2000−102170)