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【発明の名称】 複層窓
【発明者】 【氏名】野田 哲

【要約】 【課題】容易にかつ迅速に製造できる複層窓を提供する。

【解決手段】少なくとも二枚のガラスないしプラスチックからなる窓面を、一定の空隙を介して対向配置し、窓枠に嵌合した複層窓において、ブロー成形、押出成形、射出成形による成形加工技術によって、対向配置された一対の窓面間の空隙が密封状態に保持された複層体を形成し、前記複層体を窓枠に嵌合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも二枚のガラスないしプラスチックからなる窓面を一定の空隙を介して対向配置し、窓枠に嵌合した複層窓において、一定の空隙を介して対向配置された二枚の窓面とその周縁間全周に介在するスペーサ部とから構成される中空体を透明樹脂材料若しくは透明ガラス材料を用い、ブロー成形にて一体成形し、窓面間に介在する空隙が断熱気密状態に保持された複層体を形成し、該複層体を窓枠に嵌合することを特徴とする複層窓。
【請求項2】 少なくとも一方の窓面の周縁部付近に、スペーサ部と概平行な窪み部を設けた中空体を形成するとともに、前記窪み部によって中空体内部のスペーサ部付近に乾燥剤を充填するための乾燥剤室を区画したことを特徴とする請求項1記載の複層窓。
【請求項3】 少なくとも二枚のガラスないしプラスチックからなる窓面を一定の空隙を介して対向配置し、窓枠に嵌合した複層窓において、押出成形によって、対向配置された二枚の窓面と、その周縁間の4面のうち対向する二面のみに設けられたスペーサ部と、他方一対の開口部とから構成される略ロ字型の角型筒状体を透明樹脂材料若しくは透明ガラス材料を用いて一体成形するとともに、前記角型筒状体の開口部に別途形成した蓋体をそれぞれ固着して窓面間の空隙を断熱気密状態に保持した複層体を形成し、前記複層体を窓枠に嵌合することを特徴とする複層窓。
【請求項4】 前記角型筒状体内部に、窓面と概平行した窓面を一枚以上介在さたものを押出成形によって一体成形し、三枚以上の窓面が対向配置された複層体を形成したことを特徴とする請求項3記載の複層窓。
【請求項5】 前記角型筒状体内部のスペーサ部付近に、前記スペーサ部と概平行した隔壁を介在させたもの押出成形によって一体成形して複層体内部に乾燥剤室を区画したことを特徴とする請求項4記載の複層窓。
【請求項6】 少なくとも二枚のガラスないしプラスチックからなる窓面を一定の空隙を介して対向配置し、窓枠に嵌合した複層窓において、窓面とその周縁に垂直に設けられたスペーサ部とを有する略箱蓋状の分割体を透明樹脂材料若しくは透明ガラス材料を用い、射出成形にて一体成形するとともに、前記分割体を二体対向配置して一定の空隙を介して二枚の窓面を対向配置するとともに相対するスペーサ部同士を固着し、窓面間の空隙を断熱気密状態に保持した複層体を形成し、前記複層体を窓枠に嵌合することを特徴とする複層窓。
【請求項7】 射出成形によって分割体を成形する際に、分割体のスペーサ部の内周に、上端に切欠きを複数設けた内壁を、前記スペーサ部と概平行かつ窓面に垂直に形成した分割体を成形し、前記分割体を二体対向配置し、相対するスペーサ部同士を固着させて複層体を形成するとともに、相対する内壁同士を接着することによって、前記複層体内部のスペーサ部付近に、複数の通気孔を有する内壁によって区画される乾燥剤室を区画したことを特徴とする請求項6記載の複層窓。
【請求項8】 複層体内部に透明液体若しくは透明ゲル体を充填したことを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4、請求項6の何れか1項に記載の複層窓。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、建築産業等における複層窓に関する。
【0002】
【従来の技術】建築用窓や航空機等の乗物用窓において、外気との間で熱の出入がなく、断熱性や遮音性が良好である一方、外光をできるだけ多く取り込むことができる複層窓が各種開発され使用されており、複層窓は寒冷地や空港近くの騒音の多い場所の住宅用等窓としても多用されている。
【0003】従来技術による複層窓について図9及び図10に説明する。図9に示すように従来技術による複層窓は、室内側ガラス101と室外側ガラス102の二枚の板ガラスをスペーサ103の両側から挟着させる状態で対向配置し、各々のガラスの4辺周縁にスペーサ103を接着剤104で固定し、室内側ガラス101と室外側ガラス102とを一定の間隔を保持しながら重層し、窓枠20に嵌合して複層窓を製造していた。また図10に示すように、スペーサ103を介在させることによって一定の間隔が保持された室内側ガラス101と室外側ガラス102の間の空隙を密封するため、その周囲を封着剤105でシーリングして密封していた。なお前記スペーサ部103の内部に乾燥剤106を格納することによって、密封状態にある室内側ガラス101と室外側ガラス102との間に乾燥空気層を有する断熱気密室を保持し、光の透過率に優れ、かつ断熱性や遮音性に優れた複層窓を製造していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来技術による複層窓では、二枚若しくはそれ以上の枚数のガラスを一定の間隔を保持しつつ重層し、窓枠に組立てる構成となっているので、製造作業が複雑であり、製造に長時間を要するとともに製造コストが増大する要因ともなっていた。また一定の間隔が保持されている室内側ガラス101と室外側ガラス102との間の空間を密封するときに封着剤105を用いた場合、封着剤をシーリングした後、前記封着剤105を硬化させるのに12〜24時間の時間を必要とし、作業時間が大幅にかかる要因となっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は上述の課題を解決するためになされたものであって、本発明による請求項1記載の複層窓は、少なくとも二枚のガラスないしプラスチックからなる窓面を一定の空隙を介して対向配置し、窓枠に嵌合した複層窓において、ブロー成形によって、一定の空隙を介して対向配置された二枚の窓面とその周縁間全周に介在するスペーサ部とから構成される中空体を透明樹脂材料もしくは透明ガラス材料を用いて一体成形し、窓面間に介在する空隙が断熱気密状態に保持された複層体を形成し、該複層体を窓枠に嵌合するものであり、請求項3記載の複層窓は、押出成形によって、対向配置された二枚の窓面と、その周縁間の4面のうち対向する二面のみに設けられたスペーサ部と、他方一対の開口部とから構成される略ロ字型の角型筒状体を透明樹脂材料若しくは透明ガラス材料を用いて一体成形するとともに、前記角型筒状体の開口部に別途形成した蓋体をそれぞれ固着して窓面間の空隙を断熱気密状態に保持した複層体を形成し、前記複層体を窓枠に嵌合するものであり、請求項6記載の複層窓は、射出成形によって、窓面とその周縁に垂直に設けられたスペーサ部とを有する略箱蓋状の分割体を透明樹脂材料若しくは透明ガラス材料を用いて一体成形するとともに、前記分割体を二体対向配置し、一定の空隙を介して二枚の窓面を対向配置するとともに相対するスペーサ部同士を固着することによって、窓面間の空隙を断熱気密状態に保持した複層体を形成し、前記複層体を窓枠に嵌合するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明による複層窓について、図1ないし図8を参照しながら説明する。図1に示すように、本発明による複層窓は一定の空隙を介して対向配置された一対の窓面を有し、かつその空隙が密封状態に保持された複層体50を予め成形し、前記複層体50を窓枠60に嵌め込むことによって形成される。なお窓面とは、複層窓を形成する窓ガラス(若しくはプラスチック)に相当する面をいう。また複層体とは、少なくとも二枚以上の窓面が一定の空隙を介して対向配置され、かつ窓面間に介在する空隙の空気の出入りが遮断され、断熱気密状態である積層体をいう。本発明の第1実施例による複層体50aは、一定の空隙を介して対向配置された二枚の窓面とその周縁間全周に介在するスペーサ部とから構成される中空体1をブロー成形によって一体成形し、内部を断熱気密状態にしたものである。ブロー成形では、熱可塑性の透明樹脂材料を可塑化して形成したパリソンを冷却固化しないうちにブロー成形金型にくわえ込み、内部に空気を吹き込んで膨張させ、前記金型の内壁に抑えつけて冷却固化し、その後前記金型を開放させることによって任意な中空体1を形成することができる。なお前記中空体1にはパリソン内部に空気を吹き込むための吹込口5が形成される。図2に示すように、第1実施例による複層体50aは、ブロー成形によって一体成形された中空体1と、別途成形された蓋部2とから構成され、前記中空体1は対向配置された一対の窓面3A及び3Bと、前記窓面3A及び3Bの周縁間全周わたって形成されたスペーサ部4とから構成される。また前記中空体1のスペーサ部には吹込口5が形成されており、前記吹込口5に蓋部2を固着して中空体1を密閉することによって、対向配置された一対の窓面3A及び3Bの間に介在する空隙が断熱気密状態の複層体50aを形成する。なおブロー成形によって一体成形される中空体1は、透明樹脂材料のほかに透明ガラス材料を用いて製造することもできる。また前記中空体1は、ブロー成形に使用する金型によって多様な形状に製造することができ、例えば対向配置される一対の窓面3(3A及び3B)が三日月型あるいは星型などの形状をなす複層体50aも容易に製造することができる。
【0007】本発明の第2実施例による複層体50bを図3(a)及び(b)に示す。図3(a)に示すように、第2実施例の複層体50bも、第1実施例と同様に中空体1と蓋部2によって構成される。第2実施例では中空体1を成形するためのブロー成形金型内壁に凸状の障害壁を設け、中空体1の窓面3(窓面3A若しくは/または窓面3B)に、中空体1内部に凸状に突起する湾曲部6をスペーサ部4と概平行に形成する。図3(b)の断面斜視図に示すように、窓面3Aの周縁付近にスペーサ部4と概平行に湾曲部6Aを設けるとともに、窓面3Bにも前記湾曲部6Aと対向する場所に湾曲部6Bを設け、中空体1内部で前記湾曲部6Aの凸状先端と湾曲部6Bの凸状先端が相対し、これら湾曲部の凸状突起によって、中空体1内部のスペーサ部付近に、乾燥剤を充填するための乾燥剤室8を区画する。なお乾燥剤室8は乾燥剤を注入するための乾燥剤注入口9が設けられており、乾燥剤室8に乾燥剤を充填した後、吹込口5を密封すると同様に、蓋部2で乾燥剤注入口9を封着することによって、対向配置された一対の窓面3A及び3Bの間に介在する空隙が断熱気密状態の複層体50bを形成する。また相対する湾曲部6Aと6Bとの間には通気溝7が介在し、この通気溝7を通って乾燥剤室8の乾燥空気が複層体50b内部全体に供給される。
【0008】本発明の第3実施例による複層体50cは、押出成形によって一体成形した窓面3Aと3Bを含む角型筒状体11の開口部12に蓋体13をそれぞれ固着したものである。本発明の第3実施例では、一定の空隙を介して対向配置された一対の窓面3A及び3Bと、この窓面3Aと3Bの周縁間の全周(4)面のうち対向する一対の二面のみに設けられたスペーサ部4と、他方一対の二面を開口部12として構成した角型筒状体11を押出成形によって一体成形するとともに、別途成形した二体の蓋体13(一方の蓋体13は図略)を前記角型筒状体11の開口部12にそれぞれ固着して密閉することによって、対向配置された一対の窓面3A及び3Bの間に介在する空隙が断熱気密状態の複層体50cを形成する。また図4に示すように、押出成形の際に、窓面3Aと3Bとを含む略ロ字型の角型筒状体11内部に、前記窓面3A及び3Bと概平行に内窓面3Cを介在させることによって、窓面が3枚積層された複層体50dを得ることができる。なお蓋体13に嵌込部14を設け、この嵌込部14に接着剤等を塗布し開口部12に固着することによって、角型筒状体11と蓋体と13の固着を強化することができる。
【0009】本発明の第4実施例による複層体50eを図5に示す。第4実施例の複層体50eも、第3実施例と同様に角型筒状体11と蓋体13によって構成される。第4実施例は、一定の空隙を介して対向配置された窓面3A及び3Bと、その周縁間に介在するスペーサ部4と開口部12とから構成される角型筒状体11内部に、前記スペーサ部4と概平行な隔壁15を介在させたものを押出成形によって一体成形し、窓面3A及び3Bとの間に乾燥剤を充填するための乾燥剤室8を区画し、この角型筒状体11の開口部12に別途成形した二体の蓋体13(一方の蓋体13は図略)をそれぞれ固着し、対向配置された一対の窓面3A及び3Bの間に介在する空隙が断熱気密状態の複層体50eを形成する。なおこの乾燥剤室8を区画するための隔壁15には多数の通気孔16を設け、乾燥剤室8の乾燥空気を複層体50内部全体に供給するようにする。
【0010】また図6に示すように、スペーサ部4に沿って窓面3Aの周縁付近を湾曲させた隔壁15Aを設けるとともに、窓面3Bにも同様に隔壁15Bを設け、前記隔壁15Aと隔壁15Bを相対させ、一定の空隙を介して対向配置された窓面3A及び3Bと、その周縁間に介在するスペーサ部4と開口部12とから構成される角型筒状体11内部に、前記スペーサ部4と概平行な隔壁15Aと隔壁15Bを介在させたものを押出成形によって一体成形してもよい。この角型筒状体11の開口部12に、別途成形した二体の蓋体13(図略)をそれぞれ固着して密閉することによって、対向配置された一対の窓面3A及び3Bの間に介在する空隙が断熱気密状態で、かつスペーサ部付近に乾燥剤室8が区画された複層体50fを形成する。また相対する隔壁15Aと15Bとの間には通気溝7が介在し、この通気溝7を通って乾燥剤室8の乾燥空気が複層体50f内部全体に供給される。
【0011】本発明の第5実施例による複層体50gは、射出成形によって一体成形した箱蓋型の分割体21を二体対向配置して接合したものである。第5実施例では、窓面3Aとその周縁全周に垂直に設けられたスペーサ部4Aによって構成された箱蓋状の分割体21Aと、窓面3Bとその周縁全周に垂直に設けられたスペーサ部4Bによって構成される箱蓋状の分割体21Bを、各々適宜の金型を使用して射出成形によって成形した後、前記二体の分割体21Aと21Bとを対向配置し、スペーサ部4Aとスペーサ部4Bとを固着することによって、対向配置された一対の窓面3A及び3Bの間に介在する空隙が断熱気密状態の複層体50gを形成する。また図7に示すように分割体21Aのスペーサ部4A内側に、スペーサ部4と同軸状の内壁22Aを窓面3Aに対して垂直に設けるとともに、分割体21Bにも同様に、前記内壁22Aに相対する位置に内壁22Bを設けることによって、内部に乾燥剤室8が区画された複層体50hを形成することができる。本発明の第5実施例による複層体50hの断面斜視図を図8に示す。図8(a)に示すように、分割体21Aと分割体21Bとを対向配置して複層体50hを形成したとき、前記内壁22Aの上端と内壁22Bの上端とが接着し、複層体50h内部のスペーサ部付近に前記内壁22A及び22Bによって区画される乾燥剤室8が形成される。また乾燥剤室8の乾燥空気を複層体50h全体に供給するため、内壁22A及び22Bの上端に複数の切欠き23を設けてあり、この切欠き23を介して乾燥空気の通気が行なわれる。また図8(b)に示すように、分割体21Bのスペーサ部4Bを、それと相対するスペーサ部4Aより一回り内側に設け、分割体21Aと分割体21Bを対向配置した際に、前記分割体21Aのスペーサ部4Aの内周面と分割体21Bのスペーサ部4Bの外周面とを接着させることによって、分割体21Aと分割体21Bの固着をより強固なものとすることができる。
【0012】本発明による複層体50は透明樹脂若しくは透明ガラスを材料として成形され、この複層体50を窓枠60に嵌合することによって、容易に複層窓を製造することができる。また本発明による複層体50内部に、水などの透明液体や透明ゲル体を充填することによって複層体50の硬度が強化される。さらに例えば火事などの際に、複層体50内部に充填した水によって急激な温度上昇による破壊の防止効果が期待されるとともに、前記複層体50が破壊した場合は、内部に充填された水による消火作用が期待できる。
【0013】
【発明の効果】以上、本発明による複層窓では、別途用意したスペンサー等を用いて複数枚のガラス板若しくはプラスチック板を一定の間隔を保持しながら重層し、前記複層体を窓枠に組立てるといった複雑な作業を伴うことなく複層窓を製造でき、従来製造するのが面倒で、非常に手間と時間とを要していた複層窓を短時間で多量に提供でき、その分製造コストも大幅に削減できる等、実用上著しい効果が得られる。特に本発明による第1実施例では、一定の空隙を介して対向配置された一対の窓面とその窓面の周縁部間に介在するスペーサ部とから構成される中空体をブロー成形によって一体成形するため、従来技術による複層窓の製造において、対向する窓面間を密封するのに用いた封着剤を必要とせず、封着剤硬化に要する作業時間が大幅に短縮できる。
【出願人】 【識別番号】397040764
【氏名又は名称】株式会社日本高度医療研究会
【出願日】 平成11年12月28日(1999.12.28)
【代理人】 【識別番号】100078824
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 竹夫
【公開番号】 特開2001−182450(P2001−182450A)
【公開日】 平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願番号】 特願平11−374196