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【発明の名称】 枠材の取付構造
【発明者】 【氏名】加藤 貴史

【氏名】山内 進

【氏名】小串 尚友

【要約】 【課題】空隙部の厚み(チリ)の調節を容易且つ高精度で行うことができると共に、スペーサ材の不要部分の切り取りを容易にして、省施工化を図る。

【解決手段】建物躯体に設けた開口部2に枠材3を嵌め込み、建物躯体の開口面1aと枠材3の外周面3aとの空隙部4に、空隙部4調節用のスペーサ材5を介在させる。スペーサ材5は、空隙部4の前方Fから空隙部4内に打ち込まれる略三角形状をした一方の楔材6と、空隙部4の後方Bから空隙部4内に打ち込まれて上記一方の楔材6と空隙部4内で重ね合わされる略三角形状をした他方の楔材7とからなり、楔材6,7には、楔材の打ち込み方向Aに間隔をあけて複数の切断用のスリット8を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建物躯体に設けた開口部に枠材を嵌め込み、建物躯体の開口面と枠材の外周面との空隙部に、空隙部調節用のスペーサ材を介在させるようにした枠材の取付構造において、上記空隙部調節用のスペーサ材が、空隙部の前方から空隙部内に打ち込まれる略三角形状をした一方の楔材と、空隙部の後方から空隙部内に打ち込まれて上記一方の楔材と空隙部内で重ね合わされる略三角形状をした他方の楔材とからなり、各楔材には、楔材の打ち込み方向に間隔をあけて複数の切断用のスリットを設けたことを特徴とする枠材の取付構造。
【請求項2】 一対の楔材の重ね合わせ面に、楔材の打ち込み方向に間隔をあけて複数の滑り止め用の小突起を設けたことを特徴とする請求項1記載の枠材の取付構造。
【請求項3】 一対の楔材の重ね合わせ面に、楔材の打ち込み方向に沿って複数の平行なガイド部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の枠材の取付構造。
【請求項4】 楔材の一部に固着具が貫通する貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1記載の枠材の取付構造。
【請求項5】 楔材の一部に楔材に撓み性を付与するための切り欠き部を設けたことを特徴とする請求項1記載の枠材の取付構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、枠材の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、間仕切り壁1に設けられた開口部2にドア枠3Aを固定するにあたっては、例えば図6に示すように、開口部2にドア枠3Aを嵌め込み、間柱1aとドア枠3Aの外周面3aとの空隙部4に、現場で合板80をカットして得られたスペーサ材5´を挿入して、空隙部4の厚みを調節することによりドア枠3Aの垂直出し等を行い、その後、釘などの固着具11をドア枠3Aからスペーサ材5´を貫通して間柱1aに打設するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のスペーサ材5´は、合板80をカットして得られた一定厚みの平板状のものであるため、空隙部4の厚みの微調節ができず、目的とするドア枠3Aの垂直出し等が困難になるという問題がある。しかも、固着具11でドア枠3Aを固着する前に、ドア枠3Aの背後のスペーサ材5´がずれ動いたり、或いは滑り落ちたりする可能性があり、この場合、スペーサ材5´を外して固着具11を打入してしまうという問題がある。そこでスペーサ材5´の大きさをドア枠3Aからはみ出る程度に大きくして、スペーサ材5´の端部を手で支えながら固着具11による固着作業を行うことも考えられるが、この場合、スペーサ材5´がドア枠3Aからはみ出ることで納まりが悪くなったり、スペーサ材5´の端部の不要部分を切り落とす作業に手間がかかったりするという別の問題が生じる。
【0004】本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、空隙部の厚み(チリ)の調節を容易且つ高精度で行うことができると共に、スペーサ材の不要部分の切り取りを容易にして、省施工化を図ることができる枠材の取付構造を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明にあっては、建物躯体に設けた開口部2に枠材3を嵌め込み、建物躯体の開口面1aと枠材3の外周面3aとの空隙部4に、空隙部4調節用のスペーサ材5を介在させるようにした枠材3の取付構造において、上記空隙部4調節用のスペーサ材5が、空隙部4の前方Fから空隙部4内に打ち込まれる略三角形状をした一方の楔材6と、空隙部4の後方Bから空隙部4内に打ち込まれて上記一方の楔材6と空隙部4内で重ね合わされる略三角形状をした他方の楔材7とからなり、楔材6,7には、楔材6,7の打ち込み方向Aに間隔をあけて複数の切断用のスリット8を設けることを特徴としており、このように構成することで、略三角形状をした楔材6,7の重ね代を調節することで、空隙部4の厚み(チリ)Hの調節が容易となり、ドア枠3Aの垂直出し等を容易且つ正確に行うことができる。また、楔材6,7を打ち込むことで、空隙部4内に楔材6,7を仮固定できると共に、本固定後は空隙部4の前方F或いは後方Bに突出する楔材6,7の不要な端部を切断用のスリット8に沿って比較的小さな力で容易に切り取ることができる。
【0006】また上記一対の楔材6,7の重ね合わせ面6aに、楔材6,7の打ち込み方向Aに間隔をあけて複数の滑り止め用の小突起9を設けるのが好ましく、この場合、楔材6,7が打ち込み方向Aにおいて互いに滑るのを防止しながら、楔材6,7を1ピッチごとに正確に打ち込むことができると共に、一旦打ち込んだ楔材6,7が逆戻りするのを防止でき、楔材6,7を空隙部4内に所定位置に確実に位置決めすることができる。
【0007】また上記楔材6,7の一部に固着具11が貫通する貫通孔12を設けるのが好ましく、この場合、固着具11により楔材6,7がひび割れたり、ずれ動いたりするのを防止できる。
【0008】また上記楔材6,7の一部に楔材6,7に撓み性を付与するための切り欠き部13を設けるのが好ましく、この場合、楔材6,7に撓み性が付与されることで、楔材6,7の打ち込み作業がし易くなる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0010】本実施形態では、間仕切り壁1の開口部2には、枠材3としてのドア枠3Aが取り付けられている。ドア枠3Aは図2に示すように、左右の縦枠3cと上枠3bとで門形に構成されている。間仕切り壁1は、間柱1bの両面に表面板1c,1cを取着して構成されている。
【0011】ドア枠3Aを間仕切り壁1の開口部2に取り付けるにあたって、図1、図2に示すように、ドア枠3Aの外周面3aと間仕切り壁1の間柱1bとの間の空隙部4に、空隙部4の厚みを調節するためのスペーサ材5が介在されている。
【0012】上記スペーサ材5は、空隙部4の前方Fから空隙部4内に打ち込まれる略三角形状をした一方の楔材6と、空隙部4の後方Bから空隙部4内に打ち込まれる略三角形状をした他方の楔材7とからなり、空隙部4内部で一方の楔材6と他方の楔材7とが互いに重ね合わされるようになっている。
【0013】上記楔材6,7は同一構造を有しており、図4に示すように、楔材6(楔材7も同様)の基端部6cから先端部6dになる程徐々に厚みが増しており、重ね合わせ面6aとなる傾斜した表面には、楔材6の打ち込み方向Aに間隔をあけて複数の滑り止め用の小突起9が設けられている。図4(a)(b)に示す例では、複数の小突起9は、楔材6の打ち込み方向Aと直交する幅方向Eにそれぞれ延びていて、その断面形状は滑りを止めるためのギザギザ状に形成されている。
【0014】上記楔材6(楔材7も同様)の重ね合わせ面6aには、図4(a)、図5(a)(b)に示すように、楔材6の打ち込み方向Aに沿って複数の平行なガイド部10がそれぞれ設けられている。このガイド部10は、上部側の凸状ガイド部10と下部側の凹状ガイド部10とからなり、凸状ガイド部10が凹状ガイド部10に嵌まり込むように両方の楔材6,7を互いに重ね合わせることによって、楔材6,7が上下方向Mにずれるのを防止できるようになっている。
【0015】また楔材6(楔材7も同様)には、図4に示すように、楔材6の打ち込み方向Aに間隔をあけて複数の切断用のスリット8がそれぞれ設けられている。各切断用のスリット8は、図4に示す例では、楔材6各,7の裏面6b側に開口している。各スリット8の長さ方向Dは楔材6,7の幅方向Eに向けられており、いずれか任意のスリット8に沿って楔材6を折り曲げることで、楔材6を工具なしで切断できるものである。また、スリット8の深さtは、薄肉の先端部6d側では浅く、厚肉の基端部6c側では深くなるように形成されている。ここでは、すべての切断用のスリット8において、スリット8の底面から楔材6,7の傾斜した表面(重ね合わせ面6a)までの距離S(図4(b))が略一定となっており、任意の1つのスリット8に沿って楔材6を折り曲げることで、比較的小さな力で楔材6が切断可能となっている。
【0016】また楔材6(楔材7も同様)の一部には、図4(a)、(c)に示すように、釘などの固着具11が貫通する貫通孔12がそれぞれ設けられている。本例の貫通孔12は楔材6の重ね合わせ面6a及び裏面6bにそれぞれ開口していると共に、固着具11が挿入される大きさを有している。この貫通孔12は楔材6の長さ方向(打ち込み方向A)に間隔をあけて複数設けられ、いずれか1の貫通孔12を固着具11が通ることによって、固着具11を楔材6に触れずにドア枠3Aに打入できるようにしてある。
【0017】さらに楔材6(楔材7も同様)の一部には、図4(c)に示すように、楔材6に撓み性を付与するための切り欠き部13が設けられている。本例の切り欠き部13は、楔材6の裏面6bのうち、切断用のスリット8、貫通孔12が形成されている部位を除く部位に点在して多数形成されており、楔材6を撓み易くして楔材6の挿入性の向上が図られている。
【0018】しかして、ドア枠3Aを開口部2に取り付けるにあたっては、隣り合う間柱1b間の開口部2にドア枠3Aを嵌め込み、間柱1bとドア枠3Aの外周面3aとの空隙部4内に向かって、前方Fから一方の楔材6を打ち込み、後方Bから他方の楔材7を打ち込んで、空隙部4内で両楔材6,7を互いに重ね合わせる。このとき重ね合わせ面6aに設けた複数の小突起9によって、楔材6,7が打ち込み方向Aにおいて互いに滑るのを防止できると共に、両楔材6,7の重ね代を調節することで、空隙部4の厚み(チリ)Hの調節が容易となり、ドア枠3Aの垂直出し等を容易且つ正確に行うことができる。その後、固着具11をドア枠3Aからスペーサ材5(楔材6,7)を貫通して間仕切り壁1に打設する。その後、空隙部4の前方F或いは後方Bに突出する楔材6,7の不要な端部を折り曲げることで、楔材6,7に予め形成されている複数の切断用のスリット8のうち、大きな折り曲げ力がかかった箇所に形成されているスリット8に沿って楔材6,7の不要部分6e(図1)を容易に切り取ることができ、ドア枠3Aと間仕切り壁1との空隙部4から不要な突出部がなくなる。従って、カッター等の工具で切断する手間が省かれ、省施工化を図ることができる。最後に、間柱1bの両面に表面板1c,1cを貼着し、化粧材50をドア枠3Aに装着して表面板1c,1cの表面に当接させる。
【0019】ここで、楔材6,7の打ち込み時において、一対の楔材6,7の重ね合わせ面6aには、打ち込み方向Aに間隔をあけて複数の滑り止め用の小突起9が設けられているので、楔材6,7同士の滑りを防止することができると共に、楔材6,7は1つの小突起9ごとにピッチ移動でき、少しずつ打ち込み量を変えることによって空隙部4の厚みを微調節できるようになる。これにより、楔材6,7の重ね代の調節が一層容易となり、建て付け精度の向上を図ることができる。また一対の楔材6,7を噛み合わせることによって、楔材6,7を空隙部4内で仮固定することができるので、固着具11でドア枠3Aを固着する前に、楔材6,7が空隙部4内を滑り落ちる心配がなく、楔材6,7を外して固着具11を打入してしまうという問題もないものである。さらに楔材6,7の一部に設けた切り欠き部13によって楔材6,7に撓み性が付与されるので、楔材6,7の打ち込み作業がし易くなる。
【0020】また、一対の楔材6,7の重ね合わせ面6aには、楔材6,7の打ち込み方向Aに沿って複数の平行なガイド部10が設けられているので、一対の楔材6,7が上下にずれることがなく、確実に重ね合わすことができる。しかも楔材6,7に設けた滑り止め用の小突起9は、楔材6,7を1ピッチごとに正確に打ち込むことができるという効果だけでなく、一旦打ち込んだ楔材6,7が逆戻りするのを防止する効果も得られ、これにより、楔材6,7を空隙部4内に確実に位置決めすることができ、ドア枠3Aの垂直出し等の作業と固着具11による固着作業とが一層、容易となる。
【0021】さらに、固着具11を打ち込む際に、固着具11が楔材6,7に設けた貫通孔12を通過するように打ち込むことによって、固着具11により楔材6,7がひび割れたり、ずれ動いたりするのを防止できる。つまり、固着具11を一方の楔材6に打ち込むと、他方の楔材7が傾斜面に沿って打ち込み方向Aと直交方向(前方F或いは後方B)にずれ動き、空隙部4の調節機能が損なわれる。そこで、楔材6,7に固着具11が貫通する貫通孔12を予め形成しておくことで、固着具11を楔材6,7に触れずに間仕切り壁1に打ち込むことが可能となる。従って、楔材6,7による空隙部4の厚み調節機能を十分に発揮できるようになる。
【0022】本発明に係る枠材3の取付構造は、前記実施形態で説明したような間仕切り壁1にドア枠3Aを取り付ける場合に限定されるものではない。
【0023】
【発明の効果】上述のように請求項1記載の発明にあっては、建物躯体に設けた開口部に枠材を嵌め込み、建物躯体の開口面と枠材の外周面との空隙部に、空隙部調節用のスペーサ材を介在させるようにした枠材の取付構造において、上記空隙部調節用のスペーサ材が、空隙部の前方から空隙部内に打ち込まれる略三角形状をした一方の楔材と、空隙部の後方から空隙部内に打ち込まれて上記一方の楔材と空隙部内で重ね合わされる略三角形状をした他方の楔材とからなり、楔材には、楔材の打ち込み方向に間隔をあけて複数の切断用のスリットを設けたので、楔材の重ね代を調節することで、空隙部の厚み(チリ)の調節が容易となり、ドア枠の垂直出し等を容易且つ正確に行うことができると共に、空隙部の前方或いは後方に突出する楔材の端部を切断用のスリットに沿って比較的小さな力で容易に切断することができ、楔材の納まりが良くなり、外観を向上させることができると共に、楔材をカッター等の工具で切断する手間が省かれ、省施工化を図ることができる。さらに、楔材を打ち込むことで、空隙部内に楔材を仮固定でき、固着具でドア枠を固着する前に、楔材が空隙部内を滑り落ちる心配がなく、楔材を外して固着具を打入してしまうという問題もなくなる。
【0024】また請求項2記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、一対の楔材の重ね合わせ面に、楔材の打ち込み方向に間隔をあけて複数の滑り止め用の小突起を設けたので、楔材が打ち込み方向において互いに滑るのを防止しながら、楔材を1ピッチごとに正確に打ち込むことができると共に、一旦打ち込んだ楔材が逆戻りするのを防止でき、楔材を空隙部内に確実に位置決めすることができ、ドア枠の垂直出し等の作業と固着具による固着作業とを容易に行うことができる。
【0025】また請求項4記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、楔材の一部に固着具が貫通する貫通孔を設けたので、固着具により楔材がひび割れたり、ずれ動いたりするのを防止できる。
【0026】また請求項5記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、楔材の一部に楔材に撓み性を付与するための切り欠き部を設けたので、楔材に撓み性が付与されることで、楔材の打ち込み作業がし易くなる。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成11年12月22日(1999.12.22)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清 (外1名)
【公開番号】 特開2001−182435(P2001−182435A)
【公開日】 平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願番号】 特願平11−365569