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【発明の名称】 サッシ部材、サッシ部材から成る窓枠、障子及びサッシ
【発明者】 【氏名】石田 勝敏

【氏名】森 善男

【氏名】林 義夫

【要約】 【課題】一般的なサッシ構造で結露を抑えるサッシを得る。

【解決手段】内障子の7の下框材9は、サッシ基材Bの室内面に、撥水性被膜20が形成されて構成されている。この撥水性被膜20は、常温で形成される金属酸化物ガラス膜である。室内外の温度差と室内の湿度から、下框材9の被膜表面に結露しようとしても、前記被膜20の撥水性のために水滴が成長せず、結露が抑えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 サッシ基材表面に撥水性被膜を形成して成るサッシ部材。
【請求項2】 撥水性被膜は、常温でサッシ基材表面に形成される金属酸化物ガラス膜であることを特徴とする請求項1記載のサッシ部材。
【請求項3】 金属酸化物ガラス膜は、水と有機溶媒とから成る反応液内で、加水分解可能な有機金属化合物をホウ素イオンの存在下でハロゲンイオンを触媒として、ペーハーを4.5〜5.0に調節しつつ加水分解、脱水縮合させてコーティング剤を生成し、そのコーティング剤を基材表面に塗布して、200℃以下の常温にて形成されるガラス膜であることを特徴とする請求項2記載のサッシ部材。
【請求項4】 サッシ基材は、アルミニウム製である請求項1から3に記載のサッシ部材。
【請求項5】 室内外を区画するように用いられる窓枠の枠材が、請求項1〜4記載の何れかに記載のサッシ部材であることを特徴とする窓枠。
【請求項6】 室内外を区画する位置に用いられる障子の框材が、請求項1〜4記載の何れかに記載のサッシ部材であることを特徴とする障子。
【請求項7】 請求項5の窓枠に、請求項6の障子を嵌め込んで成ることを特徴とするサッシ。
【請求項8】 室内外を区画する位置に用いられるサッシであって、サッシを構成するサッシ部材の、室内側面のみに撥水性被膜を形成して成ることを特徴とするサッシ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、結露発生を抑制するサッシ部材、及び、そのサッシ部材から成る窓枠、障子、窓枠と障子を組み合わせたサッシに関する。
【0002】
【従来の技術】建物の室内外を区画する位置、いわゆる窓、出入り口などに取付けられる金属製のサッシでは、室内外の温度差と室内側の湿度により、サッシを構成する枠材、框材の室内側面に結露が生じる。こうした結露発生を抑制する技術としては、従来より、金属サッシにおいて外気に触れる室外部材と、結露発生のおそれのある室内部材との間に断熱材を介在させて、室内外部材間を断熱させるようにしたもの(特開平10−8830号等)、あるいは、樹脂製のサッシ部材によりサッシを構成することで結露を防止するようにしたもの(特開平10−246067号等)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記断熱材を用いた構造では、構造が特殊となってコスト高となる。また、樹脂製のサッシ部材を用いるものでは、アルミサッシに比べて全体強度が劣るなどの問題がある。この発明は、これら断熱材や樹脂製のサッシ部材を用いて結露を抑制するという従来の発想と全く異なる発想から、一般的な従来構造のサッシ(特に断熱材を使用していない)をそのまま使用できてコスト高を抑えることのできる結露抑制効果の高いサッシを得ようとするものである。また、本願発明の他の課題は、樹脂性サッシ部材に比して、サッシ全体の強度が大きい前記結露抑制効果の高いサッシを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題解決のために、本願サッシ部材は、サッシ基材表面に撥水性被膜を形成して成ることを特徴とする(請求項1)。これによれば、撥水性被膜がサッシ部材表面に形成されていることで、その被膜表面に結露しようとしても、撥水されて結露が抑制される。そのため、このようなサッシ部材でサッシを構成することで、サッシ構造自体は通常一般的なサッシ構造をそのまま利用して結露抑制機能を持つサッシができ、コスト高を抑制できる。撥水性被膜は、常温でサッシ基材表面に形成される金属酸化物ガラス膜である(請求項2)。その金属酸化物ガラス膜は、水と有機溶媒とから成る反応液内で、加水分解可能な有機金属化合物をホウ素イオンの存在下でハロゲンイオンを触媒として、ペーハーを4.5〜5.0に調節しつつ加水分解、脱水縮合させてコーティング剤を生成し、そのコーティング剤を基材表面に塗布して、200℃以下の常温にて形成されるガラス膜である(請求項3)。これによれば、常温で撥水性被膜が形成されるので、施工が容易でコスト高とならず好適である。サッシ基材は、アルミニウムであると、軽量で強度が高く好ましい(請求項4)。こうしたサッシ部材により、室内外を区画するように用いられる窓枠の枠材や、障子の框材が構成され、また、そのような窓枠に障子を嵌め込んでサッシが構成される(請求項5〜7)。
【0005】また、本願のサッシは、室内外を区画する位置に用いられるサッシであって、サッシを構成するサッシ部材の、室内側面にのみ撥水性被膜を形成して成ることを特徴とする(請求項8)。これによれば、結露発生個所となる室内側面にのみ撥水性被膜を形成してあるので、撥水性被膜形成に無駄がなく、一層コストを抑えることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は、本願のサッシ部材を組み合わせて構成された結露防止機能をもつ引き違いサッシ1の内観図である。窓枠2は、上下、左右の枠材(サッシ部材)3,4,5、6を組み合わせて構成されている。内、外障子7(7A)は、上下、左右の框材(サッシ部材)8,9,10、11(8A、9A、10A、11A)が組み合わされ、ガラス12は断熱性を高めるために、2重ガラス構造となっている。これらの内、外障子7(7A)は、前記窓枠2の上下のレール13に嵌め込まれて、左右に開閉自在となっている。このようなサッシ構造は極めて一般的なものである。
【0007】内、外障子の7(7A)夫々上下框材8,9(8A、9A)は、アルミニウム製のサッシ基材Bの室内側表面全体に、撥水性被膜20が形成されている。図2では、内、外障子7,7Aの下框材9,9Aの拡大縦断面を示す。この撥水性被膜20は、常温で形成される金属酸化物ガラス膜である。このような金属酸化物ガラス膜の製造方法は、特許第2538527号で公知であり、図3に示すように、水と有機溶媒とから成る反応液内で、加水分解可能な有機金属化合物をホウ素イオンの存在下でハロゲンイオンを触媒として、ペーハーを4.5〜5.0に調節しつつ加水分解、脱水縮合させてコーティング剤を生成し、そのコーティング剤を基材表面に塗布して、徐々に昇温して120℃程度で焼付塗装して、その後、徐冷してガラス化させる。有機金属化合物としては金属アルコキシドが使用され、SiO膜を表面に形成する場合、金属アルコキシドとしては、例えばテトラエトキシシランを用いる。反応液に用いる有機溶媒は、プロパノールやイソプロパノールなどが好ましい。ホウ素イオンを与える化合物として例えばトリエトキシボランを用いる。また、ハロゲンイオンを与える化合物として、酸性沸化アンモニウムなどが用いられる。さらに、ペーハーの調整には、塩酸とアンモニア水が用いられる。
【0008】コーテイング材をサッシ基材B表面に塗布するに先立ち、コーテイング材の接着を確実とするために、基材表面に下地処理を施す。基材がアルミニウムであるとき、アルカリ脱脂、あるいは酸によるエッチング処理を施す。その後、前記コーテイング材をスプレー、ロール、はけなどで塗布する。
【0009】このようにして、撥水性被膜20を形成した上記サッシ1を、図2のように建物の壁を想定した実験室の壁開口部30に嵌め込み、室内側となる部屋31の温度と湿度を一定にし、室外側となる部屋32の温度を変化させて、結露発生を観察した。図4は、内障子7の下框材9を内側から撮影した写真である。図4、図5の夫々上側の写真は上記被膜20を形成しない場合、下側の写真は上記被膜20を形成した場合である。図4の室外側温度は−5℃、図5の室外側温度は−10℃で、また、図4、5とも、室内側温度は20℃、室内側湿度は50パーセントである。
【0010】図4では、被膜なしでは下框材9の上部で水滴35が成長して流れているが、被膜ありの場合には、被膜20の撥水性により下框材9の上部での水滴35の成長が抑制され、全体に大変細かな水滴付着となっていて、結露発生が効果的に抑制されていることが判る。また、図5では、室内外の温度差が図4の場合よりも大きくなったことから、水滴35の成長が被膜20の有無に係わらず図4の場合よりも大きい点は共通しているが、水滴35の成長の度合いを比べると、被膜なしの場合では、極めて大きくなっているのに対して、被膜ありの場合には、僅かに大きくなっているに過ぎず、やはり結露の発生は効果的に抑制されていることが判る。
【0011】このような撥水性被膜は、上下の枠材の室内面に施してもよいし、枠材、框材の全体に施してもよい。また、撥水性被膜としての金属酸化物ガラス膜は、前記SiO膜の他、Zr0膜、Al膜あるいはこれらを組み合わせた多成分ガラス膜としてもよい。
【0012】
【発明の効果】以上のように本願発明では、撥水性被膜をサッシ部材に形成するようにしたので、サッシ構造自体に手を加えることなく、断熱構造を採らない一般のサッシ構造をそのまま利用して結露を抑制できるサッシを得ることができ、低コストで結露抑制機能を持つサッシを提供できる。また、常温で撥水性被膜としての金属酸化ガラス膜を形成するので、施工が容易でコスト高とならない。また、被膜を形成するサッシ基材をアルミニウムとしてサッシ部材を構成したので、そのサッシ部材で構成されるサッシは、結露抑制機能をもつと共に、樹脂製サッシに比べて強度が大きくできる。また、本願では、結露発生個所となる室内側面にのみ撥水性被膜を形成してあるので、撥水性被膜形成に無駄がなく、一層コストを抑えることができる。
【出願人】 【識別番号】000241588
【氏名又は名称】豊和工業株式会社
【識別番号】593213939
【氏名又は名称】東海電子熱錬株式会社
【出願日】 平成11年8月25日(1999.8.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−59384(P2001−59384A)
【公開日】 平成13年3月6日(2001.3.6)
【出願番号】 特願平11−237980