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【発明の名称】 パワーウインド装置
【発明者】 【氏名】菅原 健人

【要約】 【課題】短い時間で確実に挟み込みを検知し、全開でも全閉でも挟み込みでもないのにウインドの開閉が誤まって停止したり反転したりする誤動作の少ないパワーウインド装置を提供すること。

【解決手段】挟み込みは、モータ11の極数に比例した回数発生するリプル電流を測定し、間隔が長くなった時に挟み込みとし、全開/全閉は、正確に発生するモータ11の回転軸に取り付けられ、モータ11の回転に応じてパルスを発生するパルス発生器15の発生するパルスの発生数を計測し、所定値となったときに全開/全閉とし、モータ11を停止させる制御部14を備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転に応じてリプル電流を発生するとともに自動車のウインドを開閉するための正逆回転可能なモータと、前記モータの回転軸に取り付けられ、前記モータの回転に応じてパルスを発生するパルス発生器と、前記モータの回転を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記リプル電流の発生間隔を測定するとともに前記パルスの発生数を計測し、前記発生間隔が所定値より長くなったときに前記モータを停止又は反転させ、前記発生数が所定値となったときに前記モータを停止させるようにしたことを特徴とするパワーウインド装置。
【請求項2】 前記制御部は、前記発生間隔が所定値より複数回以上連続して長くなったときに、前記モータを停止又は反転させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のパワーウインド装置。
【請求項3】 前記リプル電流を整形する波形整形器を備え、前記制御部は、前記波形整形器によって整形されたリプル電流の発生間隔を測定するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のパワーウインド装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のパワーウインド装置に関し、特に、ウインドが全開又は全閉状態の時やウインドに異物が挟み込まれた時に、ウインドの開閉動作を停止させるための制御部を備えたパワーウインド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車に用いられ、ウインドをモータで開閉するパワーウインド装置において、ウインド開閉時に、ウインドが全開あるいは全閉になったときにモータに過負荷をかけないためにモータを停止させ、また、ウインドに異物が挟み込まれたときにモータに過負荷をかけないため、及び、挟み込まれたものを保護するためにモータを停止または反転させる制御部を備えたパワーウインド装置が提案されている。
【0003】このような従来のパワーウインド装置は、図4に構成を示すように、ウインドを開閉するための正逆回転可能なモータ51、モータ51に電源を供給するモータ駆動部52、手動操作によりウインドの開閉のための信号となる電圧を出力する操作スイッチ部53、操作スイッチ部53の操作に応じてモータ51の回転をモータ駆動部52を介して制御する制御部54(以下「CPU」という。)、モータ51の回転に対応して正確にパルスを発生するパルス発生器55、を備えている。そして、操作スイッチ部53の、いずれかのスイッチが操作されると、操作されたスイッチに対応した信号がCPU54の入力端子(P02、P03、P04)に入力され、CPU54は、入力された信号に応じて出力端子(P05、P06)から信号をモータ駆動部52に出力し、モータ駆動部52は、入力された信号に対応してモータ51に+/−の電源を供給することで、モータ51が正/逆回転し、ウインドが開/閉するように構成されている。
【0004】ここで、モータ51が回転すると、パルス発生器55は、モータ51の回転に連動して1相または2相のパルスを発生し、CPU54に出力する。また、モータ51の1回転ではウインドは、モータやドアによって異なるが、例えば、約1mm移動する。この時、CPU54は、このパルス発生器55が発生するパルスの幅をウインドの移動速度に換算し、移動速度が低下した時に、すなわちパルスの幅が長くなったときに、ウインドに異物の挟み込みが発生したと判断してモータ51を停止または反転させるようになっていた。そして、挟み込みが発生していないのに誤って挟み込みを検知し、突然ウインドの開閉が停止または反対方向に動作するという誤動作によって、運転者が動転し、安全運転が損なわれる危険性を防止するために、CPU54は、3〜4回のパルスを測定し、パルス幅を平均したり、1回前のパルス幅との比較を繰り返し行ったりすることで、挟み込み検知の精度を上げ、誤動作を防止していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような、モータ51の1回転当たりに1回または2回のパルスしか発生させないパルス発生器55が発生するパルスを使用して挟み込みを検出するパワーウインド装置では、誤動作を防止するために、例えば、3〜4回のパルスを測定し判断しているので、3〜4回のパルスを測定する間にウインドは、モータやドアによって異なるが、例えば、約1.5mm〜4mm移動してしまい、挟みこみ検知の精度が下がっていた。
【0006】本発明は、この問題を解決するもので、その目的は、短い時間で確実に挟み込みを検知し、誤動作の少ないパワーウインド装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、本発明は、回転に応じてリプル電流を発生するとともに自動車のウインドを開閉するための正逆回転可能なモータと、モータの回転軸に取り付けられ、モータの回転に応じてパルスを発生するパルス発生器と、モータの回転を制御する制御部とを備え、制御部は、リプル電流の発生間隔を測定するとともにパルスの発生数を計測し、発生間隔が所定値より長くなったときにモータを停止又は反転させ、発生数が所定値となったときにモータを停止させるようにした。
【0008】さらに、本発明の制御部は、発生間隔が所定値より複数回以上連続して長くなったときに、モータを停止又は反転させるようにした。
【0009】また、本発明は、リプル電流を整形する波形整形器を備え、本発明の制御部は、波形整形器によって整形されたリプル電流の発生間隔を測定するようにした。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のパワーウインド装置の実施の形態を図1〜図3を参照して説明する。
【0011】図1は、本発明のパワーウインド装置の実施の形態の構成を示す図である。パワーウインド装置は、モータ11、モータ駆動部12、操作スイッチ部13、制御部(以下「CPU」という。)14、パルス発生器15、波形整形器16、車載電源端子17、18、19を備えている。
【0012】モータ11は、ウインドを開閉させるための正逆回転可能なモータで、図1に示す回路において、上側から下側に電流が流れるとき(UP)は、ウインドを閉じるように回転し、下側から上側に電流が流れるとき(DOWN)は、ウインドを開けるように回転し、1回転当たりウインドは、モータやドアによって異なるが、例えば、約1mm移動する。また、モータ11は、動作時に極数に比例した回数のリプル電流を発生し、極数の多い、例えば、10極のモータを使用しているので、1回転当たりにリプル電流は10回発生する。
【0013】モータ駆動部12は、モータ11に車載電源端子17からの電源を供給するための回路で、リレー20u、20d、スイッチトランジスタ21u、21dを備えている。リレー20u、20dは、それぞれ、可動接点はモータ11の互いに異なる端子に接続され、一方の固定接点は車載電源端子17に接続され、他方の固定接点はグランドに接続されている。また、各々の可動接点は、通常はグランド側の固定接点に接続されているが、リレー20u、20dに制御電流が流れている間だけ車載電源端子17側の固定接点に接続される。トランジスタ21uは、べースがCPU14の出力端子P05に接続され、コレクタがリレー20uを介して接地され、エミッタが車載電源端子18と接続されている。また、トランジスタ21dは、べースがCPU14の出力端子P06に接続され、コレクタがリレー20dを介して接地され、エミッタが車載電源端子18と接続されている。
【0014】操作スイッチ部13は、マニュアルウインド閉スイッチ(UP)22u、マニュアルウインド開スイッチ(Down)22d、オートウインド閉スイッチ(U−AUTO)23u、オートウインド開スイッチ(D−AUTO)23d、を備えている。マニュアルウインド閉スイッチ22uの可動接点はインバータを介して、CPU14の入力端子P02に接続され、一方の固定接点が車載電源端子19に接続され、他方の固定接点がグランドに接続されている。また、マニュアルウインド開スイッチ22dの可動接点は、インバータを介してCPU14の入力端子P03に接続され、一方の固定接点が車載電源端子19に接続され、他方の固定接点がグランドに接続されている。さらに、オートウインド閉スイッチ23u、オートウインド開スイッチ23dは、それぞれ、一端が接地され、他端がCPU14の入力端子P04に接続されている。
【0015】CPU14は、入出力用の複数の端子を有し、入力用端子(P02、P03、P04)には、操作スイッチ部13からの信号となる電圧が印加され、出力用端子(P05、P06)へ、トランジスタ21u、21dのベースに各トランジスタをオン/オフさせるための信号となる電圧を出力する。また、入力端子P07は、波形整形器16に接続され、モータ11の発生するリプル電流を整形した電流が入力され、また、入力端子P08は、パルス発生器15に接続され、パルス発生器15の発生するパルスが入力されている。そして、図2、図3に示す制御を実行する機能を有している。
【0016】パルス発生器15は、例えば、モータ11の回転軸に取り付けられたギアの山を利用するものや、ホールICとセンサ用マグネットを用い、モータ11の回転に基づく磁界の反転を検出するものなどで、モータ11の回転に連動して1相または2相のパルスを正確に発生し、CPU14に出力する。波形整形器16は、CPU14とリレー20u、20dのグランド側端子との間に接続され、モータ11の駆動時に発生するリプル電流を検知しやすくするために波形を整形し、CPU14に出力する。車載電源端子17、18、19は、それぞれ、車載電源の正の電極(+Vb)に接続され、車載電源を各部に供給している。
【0017】以上の構成において、マニュアルウインド閉スイッチ22uを操作し、可動接点を車載電源端子19側にすると、車載電源端子19からの電圧が信号となりマニュアルウインド閉スイッチ22uとインバータとを介してCPU14の入力端子P02に入力される。次に、CPU14は、トランジスタ21uをオンさせるための信号を出力端子P05から出力する。そうすると、トランジスタ21uはオンとなり、車載電源端子18からの電流が、エミッタ、コレクタを通してリレー20uに流れ、リレー20uの可動接点が車載電源端子17側に切り替わり、車載電源端子17からの電圧が、モータ11にウインドを閉じるように印加され、ウインドが閉じて行く。ここで、オートウインド閉スイッチ23uが操作されると、接地電圧が信号となりCPU14の入力端子P04に入力され、この時は、マニュアルウインド閉スイッチ22uの操作を止めても、CPU14はトランジスタ21uをオンさせるための信号を出力端子P05から出力し続け、ウインドは閉じ続ける。また、オートウインド閉スイッチ23uを操作せずに、マニュアルウインド閉スイッチ22uの操作を止めた場合は、可動接点が車載電源端子19から離れ、接地電圧がインバータを介してCPU14の入力端子P02に入力される。次に、CPU14は、トランジスタ21uをオフさせるための信号を出力端子P05に出力する。そうすると、トランジスタ21uはオフとなり、リレー20uに制御電流が流れなくなり、リレー20uの可動接点が接地側に切り替わり、モータ11に電圧が印加されなくなり、モータ11の回転が止まり、ウインドが停止する。
【0018】同様に、マニュアルウインド開スイッチ22dを操作し、可動接点を車載電源端子19側にすると、車載電源端子19からの電圧が信号となりマニュアルウインド開スイッチ22dとインバータとを介してCPU14の入力端子P03に入力される。次に、CPU14は、トランジスタ21dをオンさせるための信号を出力端子P06から出力する。そうすると、トランジスタ21dは、オンとなり、車載電源端子18からの電流が、エミッタ、コレクタを通してリレー20uに流れ、リレー20dの可動接点が車載電源端子17側に切り替わり、車載電源端子17からの電圧が、モータ11にウインドを開けるように印加され、ウインドが開いて行く。ここで、オートウインド開スイッチ23dが操作されると、接地電圧が信号となりCPU14の入力端子P05に入力され、この時は、マニュアルウインド開スイッチ22dの操作を止めても、CPU14は、トランジスタ21dをオンさせるための信号を出力端子P06から出力し続け、ウインドは開き続ける。また、オートウインド開スイッチ23dを操作せずに、マニュアルウインド開スイッチ22dの操作を止めた場合は、可動接点が車載電源端子19から離れ、接地電圧がインバータを介してCPU14の入力端子P03に入力される。次に、CPU14は、トランジスタ21dをオフさせるための信号を出力端子P06に出力する。そうすると、トランジスタ21dはオフとなり、リレー20dに制御電流が流れなくなり、リレー20dの可動接点が接地側に切り替わり、モータ11に電圧が印加されなくなり、モータ11の回転が止まり、ウインドが停止する。以上のような、構成と動作によって、操作スイッチ部13の各スイッチの操作に応じて、CPU14が、モータ11を制御し、ウインドが開閉する。
【0019】次に、前述のウインド開閉時において、CPU14にパルスが入力された時の制御の流れを図2を参照して説明する。予め、パルス回数を設定し、フラッシュメモリなどに記憶させておく。例えば、全閉時=0、とし、以下の計算式により、全開時を設定する。全開時の回数=(ウインドの最大移動長)/(モータ11の1回転当たりのウインドの移動距離)X(モータ11の1回転当たりのパルスの発生数)以下、所定の回数とは、0、及び、全開時の回数をいう。CPU14は、入力端子P08にパルスが入力される(S31)と、ウインドの開/閉動作に応じて、パルスの発生数を記憶するカウンターをアップ/ダウンし(S32)、所定の回数と等しいか比較する(S33)。所定の回数でない場合(No)は、そのまま終了し(S34)、次のパルスを待つ。所定の回数になった時(Yes)は、全開又は全閉になったと判断し、全開の場合は出力端子P05からトランジスタ21uをオフさせる信号を出力し、全閉の場合は出力端子P06からトランジスタ21dをオフさせる信号を出力し(S35)、終了する(S34)。以上のようなCPU14の制御により、正確に発生するパルス発生器15の発生するパルスの発生数を使用して全開/全閉状態を判断しているので、全開/全閉状態時に正確にモータ11を停止させることが可能である。
【0020】また、前述のウインド開閉時において、CPU14がリプル電流を検知した時の制御の流れを図3を参照して説明する。予め、所定の間隔をパルス幅を平均したり、1回前のパルス幅との比較を繰り返し行うことで決定し、記憶させておく。CPU14は、入力端子P07に入力されるリプル電流を測定する(S41)と、前回測定したときからの間隔をタイマより得る(S42)。そして、所定の間隔より長いか比較する(S43)。所定の間隔以下の場合(No)は、リプル電流の遅延回数を記憶するためのカウンタをゼロクリア(S44)し、終了(S45)する。所定の間隔より長い場合(Yes)は、カウンタをカウントアップ(S46)し、カウントアップされたカウンタが、例えば、複数回を3回とした時は、”3”と等しいか比較する(S47)。”3”でない場合(No)は、終了(S45)する。”3”と等しい場合(Yes)は、ウインドに挟み込みが発生したと判断し、ウインドを閉じている時は出力端子P05からトランジスタ21uをオフさせる信号を出力し、ウインドを開けている時は出力端子P06からトランジスタ21dをオフさせる信号を出力(S48)する。そして、カウンタをゼロクリア(S49)し、終了(S45)する。以上のようなCPU14の制御により、リプル電流の発生間隔が長くなった時に挟み込みと判断し、モータ11を停止させている。
【0021】なお、ステップS48では、一方のトランジスタ21d、又は、21uをオフさせる信号を出力した後、他方のトランジスタ21u、又は、21dをオンさせる信号を数秒出力するようにし、モータ11を反転させ、ウインドを数mm逆方向に移動させるようにしても良い。
【0022】ところで、モータ11の発生するリプル電流パルスは、モータ11の起動時の突入電流が発生しているときやモータ11が停止するときのモータフリーラン(電源を切っても慣性でモータが駆動する)時にパルスロスト(パルスを生成できない)する可能性がある。また、モータの耐久後、ブラシが磨耗して極に接触しないロストパルス(リプル電流パルスの抜け)がでる。そこで、本発明においては、挟み込みの検知にリプル電流パルスを使用しているが、あまりパルス幅の精度がないリプル電流パルスでも複数回一致(例えば、3回連続)方式で挟み込みを判断しているので、リプル電流パルスはモータ11の1回転に10回発生するため、例えば、4回のリプル電流パルスの測定でもモータ11は半回転以下しか回転せず、すなわち、ウインドの移動距離が、モータやドアによって異なるが、例えば、約0.5mm以下で挟み込みを検知することが可能となっていて、挟み込まれたものを素早く保護することができる。また、複数回(3回以上)のリプル電流パルスの発生間隔を測定し挟み込みと判断しているので、パルスロストやロストパルスが起きても、挟み込みが発生していないのに誤って挟み込みと判断し、突然ウインドの開閉が停止または反対方向に動作するという誤動作を起こすことが少ない。
【0023】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれば、回転に応じてリプル電流を発生するとともに自動車のウインドを開閉するための正逆回転可能なモータと、モータの回転軸に取り付けられ、モータの回転に応じてパルスを発生するパルス発生器と、モータの回転を制御する制御部とを備え、制御部は、リプル電流の発生間隔を測定するとともにパルスの発生数を計測し、発生間隔が所定値より長くなったときにモータを停止又は反転させ、発生数が所定値となったときにモータを停止させるようにしたので、全開/全閉状態の検知と挟み込みの検知とを別々にすることができ、制御が容易になるとともに、リプル電流によって挟み込みを検知しているので、極数の多いモータを使用することによって、短い時間で挟み込みを検知することが可能となる。
【0024】また、本発明の制御部は、発生間隔が所定値より複数回以上連続して長くなったときに、モータを停止又は反転させるようにしたので、挟み込みの検出精度が上がり、挟み込んでいないのに、モータが停止又は反転してしまう誤動作を起きにくくすることが可能となる。
【0025】また、本発明は、リプル電流を整形する波形整形器を備え、本発明の制御部は、波形整形器によって整形されたリプル電流の発生間隔を測定するようにしたので、リプル電流の発生間隔をより正確に測定でき、挟み込んでいないのに、モータが停止又は反転してしまう誤動作をより起きにくくすることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
【出願日】 平成12年6月5日(2000.6.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−349136(P2001−349136A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−172017(P2000−172017)