| 【発明の名称】 |
駆動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】久保田 勇司
【氏名】幾島 好広
【氏名】福岡 孝之
【氏名】高野 徹雄
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| 【要約】 |
【課題】操作部の作動状態に応じてモータ1に電源供給する各リレーを作動させてモータを正転又は逆転させる駆動装置において、水没事故が生じた場合でも、モータの誤動作が生じないようにする。
【解決手段】各リレーのコイル1,2の印加電圧をそれぞれ監視し、操作部がモータの動作を指令していない状態にあるときに、各リレーコイル1,2のうちの少なくともいずれか一方の印加電圧が予め設定された既定値以上になると、各リレーをいずれも作動させるべく、各リレーコイル1,2の通電制御を実行する制御回路20を設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 モータに電源供給してそれぞれモータを正転又は逆転させる二つのリレーを有し、モータの正転方向又は逆転方向の動作を指令する操作部の作動状態に応じて、前記二つのリレーのうちのいずれか一方を作動させてモータを正転方向又は逆転方向に駆動する駆動装置であって、前記二つのリレーのコイルの印加電圧をそれぞれ監視し、前記操作部がモータの動作を指令していない状態にあるときに、前記二つのリレーのコイルのうちの少なくともいずれか一方の印加電圧が予め設定された既定値以上になると、前記二つのリレーをいずれも作動させるべく、前記二つのリレーのコイルの通電制御を実行する制御手段を備えたことを特徴とする駆動装置。 【請求項2】 前記操作部がモータの一方向の動作を指令する状態にあるときに、前記二つのリレーのうちモータを他方向に作動させるリレーのコイルの電源側端子とアース側端子とを短絡させ、これら端子を同電圧レベルとする短絡用回路を備えたことを特徴とする請求項1記載の駆動装置。 【請求項3】 前記操作部がモータの一方向の動作を指令する状態にあるときに、前記二つのリレーのうちモータを一方向に作動させるリレーのコイルの通電ラインを機械的に閉じる接点を備えたことを特徴とする請求項2記載の駆動装置。 【請求項4】 前記モータが車両の開閉体駆動用のモータであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の駆動装置。 【請求項5】 前記モータが車両の開閉体駆動用のモータであり、前記モータの一方向の動作が、前記開閉体を開ける方向の動作であることを特徴とする請求項2又は3記載の駆動装置。 【請求項6】 前記開閉体は、車両のウインドウであることを特徴とする請求項4又は5記載の駆動装置。 【請求項7】 前記開閉体は、車両のサンルーフであることを特徴とする請求項4又は5記載の駆動装置。 【請求項8】 前記既定値を、前記二つのリレーの保証最小動作電圧の10%〜50%に設定したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の駆動装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両のパワーウインドウ開閉用などのモータを駆動する駆動装置に係り、車両の海などへの転落などによる水没事故が生じた場合でも、誤動作が生じ難く信頼性の高い駆動装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、車両のパワーウインドウ(特に運転席側ウインドウ)などの開閉機構の制御方式としては、ウインドウの自動反転機能(挟み込み防止機能)等を実現する電子制御が主流になっている。このため、前記開閉機構の駆動源であるモータに適宜電源供給してその動作を制御する駆動装置としては、例えば特開平10−169311号公報の図2に示されるように、リレーによる駆動方式を採用し、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)を含む制御回路を備えたものが一般的になっている。以下、この種の装置の基本構成の一例を説明する。 【0003】この種の駆動装置は、モータに電源供給してモータをそれぞれ正転方向(例えば車両ウインドウを開ける方向)又は逆転方向(例えば車両ウインドウを閉じる方向)に駆動するための二つのリレーと、モータの正転方向又は逆転方向の作動等を指令するための操作スイッチと、この操作スイッチの操作入力を受けて前記リレーを制御する制御回路(例えば、ワンチップのマイコンを含むもの)とを有する。ここで、各リレーは、それぞれ励磁用のリレーコイルと、例えばコモン端子(以下、C端子という。),ノルマルオープン端子(以下、N.O端子という。)及びノルマルクローズド端子(以下、N.C端子という。)を有する接点部とよりなり、リレーコイルの通電(即ち、励磁)が行われていない非作動状態ではC端子とN.C端子が接続された状態となり、リレーコイルの通電が行われた作動状態ではC端子とN.O端子が接続された状態となる。これらリレーのN.O端子は、電源ラインに接続され、N.C端子は、グランドに接続されている。またリレーのC端子は、モータコイルの両端子のうちのいずれかに接続されている。 【0004】また操作スイッチは、車両の運転者などが例えば回動方向に操作可能な共通の操作部を有するとともに、この操作部の操作により作動するスイッチ接点部を有する。スイッチ接点部は、例えば、C端子及びN.C端子と、少なくとも2個のN.O端子(N.O1,N.O2)とを有し、C端子が例えばグランドに接続され、各N.O端子が制御回路の入力端子に接続されるとともに、抵抗を介して例えば電源ラインに接続されている。また制御回路は、各リレーコイルの通電ライン(電源側又はグランド側)にそれぞれ設けられたスイッチング素子(例えば、トランジスタ)と、このスイッチング素子を駆動制御する処理回路(例えば、マイコンを含むもの)とを備える。この処理回路は、前記スイッチ接点部の各N.O端子の端子電圧を読み込み、操作部が何れかの向きに操作されたか否かの判定(以下、操作判定という。)を行い、その判定結果に応じて所定のリレーコイルの通電制御(即ち、モータの正転又は逆転の駆動制御)を実行する。即ち処理回路は、操作部が例えば一方向に操作されて、C端子と一方のN.O端子(N.O1)が接続された状態になると、このN.O1の端子電圧がグランドレベルとなることで、モータを例えば正転させる操作指令が入力されたと判断し、一方のスイッチング素子をオンする駆動信号を出力する。そして、一方のスイッチング素子がオンすると、一方のリレーが作動して、そのリレーのC端子とN.O端子を介して、モータコイルの両端子のうちの一方だけが電源ラインに接続されて、モータが例えば正転する。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の駆動装置では、例えば車両が海や湖に転落して装置が水没した場合、水分中に電解質(例えば、塩分)が相当濃度あった場合には、スイッチ接点部やリレーコイルの端子において電食を伴うリーク電流が流れて、操作部が操作されていないにもかかわらずモータがいずれかの方向に作動してしまう誤動作が生じたり、或いは、操作部を操作してもモータが正逆いずれの方向にも作動しない不具合が起こる可能性があった。なお制御回路は、通常、例えばハイブリットICとして一体構造とされ防水モールドされているため、水没による電食やリーク電流の問題は生じない。また、リーク電流とは、正規の回路導体以外の部分を流れる電流であり、電食とは、リーク電流によって生じる回路部材の腐食である。 【0006】ここで、リレーコイルの端子における電食等の問題について詳細に説明すると、前記スイッチング素子が例えばリレーコイルのグランド側に設けられている場合、前記操作部が非操作状態(操作されていない状態)で前記スイッチング素子がオフ状態のときには、リレーコイルは通電されず(リレーは非作動状態)、リレーコイルの電源側端子とグランド側端子はいずれも電源電圧のプラス側電位(以下、+B電位という)となっている。このため、水没によってリレーコイルの端子が位置する装置内部に水が浸透すると、リレーコイルの両端子(高電位側)から、近接する位置にあるなんらかのグランド側回路導体(低電位側)へ、電食を伴うリーク電流が流れ始める。この電食は時間の経過とともに進行し、リーク電流を妨げる抵抗(以下、リーク抵抗という)が、この電食の進行とともに低抵抗化してゆく。なお、電食の進行速度は、浸透した水の電解質の濃度が濃いほど、回路導体の間隔が狭いほど、また電圧(電位差)が高いほど速く、回路上の部位によっても相当な差がある。そしてこの場合、リレーコイルのグランド側端子のみについて、上記電食が速く進行した場合、リレーコイルへの印加電圧(即ち、リレーコイルの両端子間の電位差)が上昇し、この印加電圧がリレーコイルの作動電圧を越えてリレーが不正常にオンしてしまうことになる。また、こうして一方のリレーのみが不正常にオンしてしまうと、操作スイッチの操作部を操作していないのに、モータが正逆いずれかの方向に勝手に作動することになり、誤動作となる。また、こうして両方のリレーがオンした場合には、モータコイルの両端子がいずれも電源側に接続されてしまうので、モータはいずれの方向にも作動せず、操作部の操作も効かなくなってしまう。さらにいうと、スイッチ接点部において上記電食等が進行しておらず、操作スイッチ自体の機能が正常であっても、操作スイッチの操作部の操作に応じたモータの正常な動作を実現することができなくなってしまう恐れがある。 【0007】一方、操作スイッチのスイッチ接点部における電食等の問題について詳細に説明すると、スイッチ接点部が水没したときには、例えば、電源ラインに接続されたスイッチ接点部のN.O端子(高電位側)から、近接する位置にあるなんらかのグランド側回路導体(低電位側)へ、電食を伴うリーク電流が流れ始め、やはり時間の経過とともにそのリーク抵抗が低抵抗化してゆく(このN.O端子の端子電圧が低下してゆく)。そして、このN.O端子の端子電圧が、前記操作判定のしきい値を下回るようになると、前記制御回路では、操作スイッチの操作部が操作されたと判定し、実際には操作されていないのに前記スイッチング素子を作動させてモータを何れかの方向に駆動制御してしまう。なお、正転側及び逆転側の両方のN.O端子の端子電圧がしきい値を下回った場合には、通常は、両方のスイッチング素子が駆動制御される(両方のリレーが作動するよう制御される)ため、モータはいずれの方向にも回転しなくなってしまう。したがって、リレーコイルの端子において上記電食が進行しておらず、リレー自体の機能が正常であったとしても、操作スイッチの操作部の操作に応じたモータの正常な動作を実現することができなくなってしまう恐れがある。なお以上の説明は、スイッチ接点部のC端子がグランドに接続され、N.O端子が制御回路の入力端子に接続されるとともに、抵抗を介して電源ラインに接続されている場合(スイッチ入力がいわゆるアクティブローの場合)の説明である。これとは逆に、スイッチ接点部のC端子が電源ラインに接続され、N.O端子が制御回路の入力端子に接続されるとともに、抵抗を介してグランドに接続されている場合(スイッチ入力がいわゆるアクティブハイの場合)もある。この場合にも、水没があると、電食によってN.O端子の電圧が不正常になり、同様に誤動作等が発生する恐れがある。 【0008】なお出願人は、以上説明した問題が解決された優れた駆動装置を、例えば特願平9−249258号(特開平11−98871号)や特願平10−360660号により提案している。このうち、特願平9−249258号の装置は、モータの一方向の作動を指令する状態に操作スイッチが操作されたときに、モータを他方向に作動させるリレーコイルの両端子を短絡させる短絡回路を設けて、水没時にも操作スイッチの操作が高い信頼性で確実に有効となるようにしたものであるが、水没によってモータが勝手に作動してしまう誤動作の問題は必ずしも信頼性高く回避できない。一方、特願平10−360660号の装置は、装置が水没していることを検出する水没検出手段(例えば、オープン端子)を設けて、水没が検出されると基本的に両方のリレーコイルを通電制御してモータが勝手に作動しないようにしたものである。ところが、この装置では、水没による水の浸透が一部分のみであった場合(装置が大きく傾いて水没したような場合)には、必ずしも水没の検出が適正になされない恐れがあり、装置の水没に対するより高い信頼性を実現する上で限界がある。そこで本発明は、まず、水没時にリレーコイルの印加電圧が不正常となることによる上記誤動作(モータが勝手に作動してしまうもの)が、より信頼性高く確実に回避される駆動装置を提供することを主目的としている。また、水没時であっても、操作部の操作に応じて的確にモータを作動させることができるという点でも、高い信頼性が実現された駆動装置を提供することをさらなる目的としている。 【0009】 【課題を解決するための手段】この発明による駆動装置は、モータに電源供給してそれぞれモータを正転又は逆転させる二つのリレーを有し、モータの正転方向又は逆転方向の動作を指令する操作部の作動状態に応じて、前記二つのリレーのうちのいずれか一方を作動させてモータを正転方向又は逆転方向に駆動する駆動装置であって、前記二つのリレーのコイルの印加電圧をそれぞれ監視し、前記操作部がモータの動作を指令していない状態(即ち、操作部が操作されていないと判定される状態)にあるときに、前記二つのリレーのコイルのうちの少なくともいずれか一方の印加電圧が予め設定された既定値以上になると、前記二つのリレーをいずれも作動させるべく、前記二つのリレーのコイルの通電制御を実行する制御手段を備えたものである。この駆動装置によれば、水没による前述の電食によって、操作部が操作されていないのに、いずれか一方又は両方のリレーのコイルの印加電圧が上昇して上記既定値以上になると、上記制御手段の働きによって二つのリレーコイルがいずれも通電制御される。このため、上記既定値が各リレーの作動電圧未満に設定されていれば、前述の電食による一方のリレーの作動が起きる前に必ず二つのリレーがいずれも強制的に作動して、モータがいずれの方向にも作動しなくなるため、前述の誤動作(モータが勝手に何れかの方向に作動する誤動作)が確実に回避される。なお、前記制御手段は、各リレーコイルの印加電圧(即ち、端子間電圧)を読み取る例えばマイコンを含む処理回路と、この処理回路の制御で各リレーコイルの通電ラインの開閉を行うスイッチング素子(例えば、トランジスタ)とから構成できる。また、前記既定値は、二つのリレーの保証最小動作電圧の10%〜50%に設定すべきである。保証最小動作電圧とは、最低限その電圧にすればリレーが確実に作動する印加電圧として、リレーのメーカ(製造者)が保証してカタログなどに記載する電圧値であり、実際にリレーが作動する作動電圧(最小印加電圧)は、この保証最小動作電圧よりも20%〜30%程度低いためである。また、本発明における「モータ」とは、電力によって2方向に機械的な駆動力を出力するアクチュエータであって、必ずしも回転型モータに限られず、例えばリニアモータであってもよいことはいうまでもない。また、本発明における「正転」又は「逆転」とは、「モータ」の一方向又は他方向の動作を意味し、必ずしも一方向又は他方向の回転運動に限定されるものでない。 【0010】また、この発明の好ましい態様としては、前記操作部がモータの一方向の動作を指令する状態にあるときに、前記二つのリレーのうちモータを他方向に作動させるリレーのコイルの電源側端子とアース側端子とを短絡させ、これら端子を同電圧レベルとする短絡用回路を備えた構成でもよい。このような構成であると、上述した誤動作を防止できる効果に加えて、水没時であっても操作部の操作に応じてモータを所定方向に確実に作動させることが信頼性高くできる利点が得られる。というのは、リレーコイルの両端子が短絡されて同電位になると、たとえ前述の制御手段の機能によって強制的な通電制御が実行されていたとしても、そのリレーは確実に非作動状態となるため、この短絡が行われていないリレー(モータを指令された方向に作動させるもの)だけが作動した状態に確実になるからである。なお、この場合の短絡用回路は、二つのリレーのそれぞれに対して設けてもよい。このようにすると、いずれの方向についても、操作部の操作に応じた確実なモータの動作が信頼性高く実現される。 【0011】また、この発明のさらに好ましい態様としては、前記操作部がモータの一方向の作動を指令する状態にあるときに、前記二つのリレーのうちモータを一方向に作動させるリレーのコイルの通電ラインを機械的に閉じる接点を備えた構成としてもよい。このようにすると、操作部に応じたより確実な動作が実現される。というのは、操作指令方向と逆の他方向側のリレーコイルの両端子が短絡されたとしても、操作指令方向である一方向側のリレーコイルが操作部の操作に応じて確実に通電制御されなければ、操作指令に応じたモータの動作は当然実現されない。そして、操作部の操作に応じたスイッチ入力(スイッチ接点の端子電圧の入力)に基づいて、例えばマイコンを含む処理回路がトランジスタなどのスイッチング素子を介してリレーコイルの通電制御を間接的に行う構成のみの場合には、スイッチ接点における前述の電食等によって、スイッチ接点の端子電圧が不正常となって、処理回路がスイッチ入力を誤判定して、実際には操作部が一方向に操作されているのにその操作に対応したリレーコイルの通電制御がなされない恐れがないとはいえない。ところが、上述したように操作指令方向である一方向側のリレーコイルの通電ラインを機械的に閉じる接点があれば、このような不具合の恐れは確実に解消され、前述の短絡回路の作用とあいまって、操作に応じたモータの所定の動作が水没時であってもより確実に実現できるようになる。なお、この「コイルの通電ラインを機械的に閉じる接点」についても、二つのリレーのそれぞれに対して設けてもよい。このようにすると、いずれの方向についても、操作部の操作に応じたより確実なモータの動作が信頼性高く実現される。 【0012】なお、本発明のモータは、例えば車両の開閉体駆動用のモータである。即ち、本発明の駆動装置は、車両の開閉体駆動システムに適用できる。車両の開閉体駆動システムに本発明が適用されれば、車両の水没事故などが起きた場合にも、車両の開閉体が車両の運転者等(搭乗者含む)の操作に反して誤動作することが信頼性高く回避され、さらには、運転者等の操作に応じた開閉体の的確な動作が信頼性高く保証されることになり、車両の信頼性や安全性向上に貢献できる。特に、前記モータの一方向の作動が開閉体を開ける方向の作動である場合、即ち、前記短絡回路等が少なくとも開閉体を開ける方向に対して設けられる場合には、少なくとも開閉体を開ける方向の動作が確実にできるようになり、水没した車両からの運転者等の脱出が容易に可能となる。なおここで、車両の開閉体は、車両のウインドウのみならず、サンルーフであってもよい。即ち、本発明は、例えば車両のパワーウインドウの駆動装置に適用することもできるし、サンルーフの駆動装置に適用することもできる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本例の駆動装置(車両のパワーウインドウの駆動装置)の主要回路構成(運転席ウインドウの制御部分)示す図であり、モータやリレーの接点の図示は省略している。また、装置の外観やスイッチの操作部の機械的構造なども図示省略している。本装置は、図1に示すように、大きく分けて、操作スイッチ回路10と、制御回路20とよりなる。図1において、符号1,2で示すものが、図示省略したモータ(運転席ウインドウ駆動用モータ)を正転又は逆転させるためのリレーのコイル(リレーコイル)である。また、符号3は電源(車両のバッテリー)を示し、符号4は過電流防止用のフューズを示している。なおこの場合、リレーコイル1のみが通電されてモータが作動する方向が車両のウインドウが開く(ダウンする)方向であり、説明の便宜上、以下ではこの方向を正転方向という。また、リレーコイル2のみが通電されてモータが作動する方向が車両のウインドウが閉じる(アップする)方向であり、以下ではこの方向を逆転方向とする。 【0014】操作スイッチ回路10は、図示省略した操作部を含むスイッチモジュール内の回路部分であり、操作部の操作に応じて作動するスイッチ接点11〜14を備える。スイッチ接点11,12は、C端子と、N.O端子とを有し、C端子がグランドに接続され、N.O端子が制御回路20(詳細には後述する処理回路23の入力端子N1,N2)に接続されるとともに、抵抗15,16を介して電源ライン(電源3の正極につながる回路ライン)に接続されている。また、スイッチ接点13は、C端子と、N.O端子とを有し、C端子がグランドに接続され、N.O端子がリレーコイル1のグランド側端子に接続されている。また、スイッチ接点14は、C端子と、N.C端子と、N.O端子とを有し、、C端子がリレーコイル3のグランド側端子に接続され、N.O端子がリレーコイル3の電源側端子に接続され、N.C端子が制御回路20(詳細後述する)に接続されている。 【0015】ここで、スイッチ接点11は、操作部がモータの逆転方向(ウインドウのアップ方向)の作動を指令する方向(以下、アップ方向という)に操作されると、そのC端子とN.O端子が接続された作動状態となるもの(即ち、ウインドウの閉動操作のためのアップスイッチ)である。また、スイッチ接点13及び14は、操作部がモータの正転方向(ウインドウのダウン方向)の作動を指令する方向(以下、ダウン方向という)に操作されると、同期して動作して、そのC端子とN.O端子が接続された作動状態となるもの(即ち、ウインドウの開動操作のためのダウンスイッチ)である。また、スイッチ接点12は、操作部がアップ方向又はダウン方向に、例えば規定量以上操作されることで、そのC端子とN.O端子が接続された作動状態となるもの(即ち、ウインドウの自動閉動操作或いは自動開動操作のためのオートスイッチ)である。なお、前記スイッチ14と、前記スイッチ14のN.O端子をリレーコイル2の電源側端子に接続するライン14aと、前記スイッチ14のC端子をリレーコイル2のグランド側端子に接続するライン14bとは、短絡用回路30を構成している。すなわち、モータの正転方向の動作を指令すべく操作部がダウン方向に操作された場合には、スイッチ13に連動してスイッチ14が作動し、スイッチ14のC端子及びN.O端子と、ライン14a,14bとにより、モータを逆転方向に作動させるリレーコイル2の電源側端子とグランド側端子とが短絡し、これら端子が必ず同電位となる。 【0016】制御回路20は、各リレーコイルを通電制御するためのスイッチング素子(トランジスタ21,22)と、これらトランジスタ21,22の駆動制御を行うマイコンを含む処理回路23と、各リレーコイル1,2のグランド側端子電圧を分圧して処理回路23に入力する分圧抵抗24,25及び26,27などを備える。ここで処理回路23は、スイッチ接点11,12のN.O端子の端子電圧(操作入力の信号)がそれぞれ入力される入力端子N1,N2と、前記分圧抵抗24,25又は26,27により分圧された電圧(各リレーコイル1,2のグランド側端子電圧の信号)がそれぞれ入力される入力端子N3,N4(例えば、マイコンのCPUのA/D入力端子)と、トランジスタ21,22の駆動信号をそれぞれ出力する出力端子S1,S2と、電源ラインに接続される電源入力端子Bと、グランドに接続されるグランド端子Gとを有し、ROM等に記憶されたプログラムに従って動作して、以下のような制御処理を行うものである。 【0017】まず基本的な制御処理としては、スイッチ接点11及び12のN.O端子の端子電圧(入力端子N1,N2の電圧)の大きさを常時周期的に読み込み、スイッチ接点11の端子電圧(入力端子N1の電圧)のみがしきい値を越えると、ウインドウの閉動作を指令する操作入力があったと判定し、トランジスタ22を作動させる駆動信号(出力端子S2からの駆動信号)のみを出力して、リレーコイル2のみを通電制御する。これにより、モータ1が逆転してウインドウが閉じる方向に動作する。なおこの場合、スイッチ接点11の端子電圧がその後しきい値を下回ると(即ち、前記操作入力がなくなると)、この通電制御は瞬時に停止され、ウインドウの閉動が即座に停止する。また、入力端子N1,N2の電圧の大きさを常時周期的に読み込み、スイッチ接点11及び12の端子電圧(入力端子N1,N2の電圧)がしきい値を越えると、ウインドウの自動閉動作を指令する操作入力があったと判定し、トランジスタ22を作動させる駆動信号のみを出力してリレーコイル2のみを通電制御する処理を、ウインドウが完全に閉じたと判定されるまで継続する。これにより、ウインドウが完全に閉じるまで(全閉状態になるまで)、モータ1が逆転してウインドウが閉じる方向に動作する。また、例えば入力端子N2,N3の電圧の大きさを常時周期的に読み込み、入力端子N3に入力されている電圧がグランドレベルになっていて、スイッチ接点12の端子電圧(入力端子N2の電圧)がしきい値を越えると、ウインドウの自動開動作を指令する操作入力があったと判定し、トランジスタ21を作動させる駆動信号(出力端子S1からの駆動信号)のみを出力してリレーコイル1のみを通電制御する処理を、ウインドウが完全に開いたと判定されるまで継続する。これにより、ウインドウが完全に開くまで(全開状態になるまで)、モータ1が正転してウインドウが開く方向に動作する。なお、ウインドウが完全に閉じたことの判定や、完全に開いたことの判定は、例えば図示省略したウインドウの位置センサ(或いはモータの回転角度センサ)の検出信号に基づいて処理回路23が実行するようにすればよい。 【0018】また、処理回路23は、誤動作を防止するための制御処理として、以下のような処理を実行する機能(誤動作防止機能)も有する。即ち、入力端子N3,N4から入力される電圧(各リレーコイル1,2のグランド側端子電圧に応じた電圧値)と、電源端子Bから入力される電源電圧(+B電位)とから、各リレーコイル1,2に印加されている印加電圧(各リレーコイル1,2の両端子間電圧)を例えば常時周期的に読み取り、操作部が非操作状態にあると判断されているのに、少なくとも何れか一方のリレーコイルの印加電圧が既定値以上に増加したときには、水没による電食等が過度に進行しているとして、トランジスタ21を作動させる駆動信号(出力端子S1からの駆動信号)と、トランジスタ22を作動させる駆動信号(出力端子S2からの駆動信号)の両方を、例えば電源電圧が絶たれるまで継続的に出力する誤動作防止機能を有する。なお、上記既定値は、各リレーの保証最小動作電圧の10〜50%に設定されている。また、操作部が非操作状態にあるとの判断は、スイッチ接点11〜14がいずれも作動していないと判定することにより行われる。スイッチ接点11,12が作動していないことの判定は、前記入力端子N1,N2に入力される電圧(スイッチ接点11,12のN.O端子電圧)に基づいてそれぞれ判定できる。また、スイッチ接点13,14が作動していないことの判定は、この場合例えば、前記入力端子N3及びN4に入力される電圧がグランドレベルになっていないことに基づいて判定できる。というのは、スイッチ接点13,14が作動すると、回路構成から明らかなように、前記入力端子N3及びN4に入力される電圧は、両方ともグランドレベルになるからである。なお、スイッチ接点13,14が作動していないことの判定をより確実に行うために、スイッチ接点13,14と連動する別個の接点を設けて、この接点の端子電圧をスイッチ接点11,12と同様に処理回路23に入力する構成としてもよい。 【0019】以上のように構成された本例の駆動装置では、車両の水没によって装置内に水が浸透し、仮にリレーコイル1又は2のグランド側端子から低電位側への電食が進行して、図1又は図2(a)に符号X1,X2で示すようなリーク抵抗が低抵抗化した場合でも、前述した誤動作防止機能により、いずれかのリレーコイルの印加電圧が作動電圧より低い既定値に到達して時点で(即ち、電食による一方のリレーの誤動作が起きる前に)、操作部が操作されていない限りにおいて、必ず二つのリレーがいずれも強制的に作動して、モータがいずれの方向にも作動しなくなるため、前述の誤動作(モータが勝手に何れかの方向に作動する誤動作)が確実に回避される。この際、例えばスイッチ端子11のN.O端子電圧が電食によって不正常となり、操作部が操作されていないのに、処理回路23がモータの逆回転を指令する操作入力があったと誤判定したとしても、前述の誤動作防止機能により、やはり両方のトランジスタ21,22が駆動制御された状態(リレーコイル1,2の両者が通電制御された状態)が維持され、モータの勝手な作動が防止される。また、上記誤動作防止機能によって、リレーコイル1,2のグランド側端子の電位はいずれもグランドレベルとなるので、電食の進行が停止し、電食の方向(電食に伴うイオン流の方向)が逆方向となって、逆にリーク抵抗X1,X2は高抵抗化してゆく。このため、電食による端子部材などの過度な溶解が阻止される利点も得られる。なお、リレーコイル1,2のグランド側端子の電位がグランドレベルになると、近接する位置にあるなんらかの電源側回路導体から、これらグランド側端子への電食が始まり、図2(b)に示すリーク抵抗Yの低抵抗化が進むが、この電食によるリーク電流は、図2(b)から明らかなように、リレーコイル1,2を迂回して流れるので、誤動作の原因にはならない。 【0020】しかも、このような水没状態においても(上記誤動作防止機能が働いているときでもよい)、モータの正転方向(この場合、車両のウインドウを開けるダウン方向)に操作部が操作されると、上述したスイッチ接点14等よりなる短絡用回路30の機能により、逆転方向(この場合、車両のウインドウを閉じるアップ方向)にモータを駆動するためのリレーコイル2の両端子は、必ず短絡されて同電位となる。さらにこの際、スイッチ13が閉じることにより、モータを正転させるためのリレーコイル1には、必ず電流が流れる。この際、+B電位側からの電食進行によってトランジスタ21の作動電位が上昇していても、スイッチ13によってグランド接続するので、リレーコイル1を確実に励磁することができる。このため、水没状態であっても、操作部が所定方向に操作されれば、必ずリレーコイル1のみが励磁されてモータが正転し、確実にウインドウを開けることができる。 【0021】つまり、本例の駆動装置によれば、水没事故が生じた場合でも、操作部の操作に応じて的確にモータを正転させることができ、この場合にはモータの正転方向(ウインドウを開ける方向)での装置の信頼性が向上する。したがって、パワーウインドウの開動操作が確実に可能となり、車室からの脱出が容易に可能で安全性が高まる。 【0022】なお、本発明は上述した形態例に限られず、各種の変形や応用があり得る。例えば、同様の回路構成で車両のサンルーフの駆動装置を実現し、同様の効果を奏することができる。また、パワーウインドウの駆動装置における運転席以外のウインドウ(例えば、助手席)の制御部分についても、同様の回路構成とし、同様の効果を奏することができる。なお近年では、挟み込み防止機能等を実現すべく、運転席以外のウインドウの制御回路部分においても、マイコンが搭載されることが多いので、本発明を低コストで適用できる。また、短絡用回路やリレーコイルの通電ラインを直接開閉するスイッチ接点を、両方のリレーコイルに対して設けてもよい。例えば、図1の回路構成において、短絡用回路30と同様の構成をリレーコイル1に対して設けてもよいし、或いは、スイッチ接点13と同様の構成をリレーコイル2に対して設けてもよい。また、上記形態例(図1)は、リレーコイルの駆動をNPNトランジスタ21,22によるグランド側スイッチングで行っている例であるが、PNPトランジスタによる電源側スイッチングで行ってもよいこともいうまでもない。 【0023】 【発明の効果】本発明の駆動装置によれば、水没による前述の電食によって、操作部が操作されていないのに、いずれか一方又は両方のリレーのコイルの印加電圧が上昇して既定値以上になると、制御手段の働きによって二つのリレーコイルがいずれも通電制御される。このため、前記既定値が各リレーの作動電圧未満に設定されていれば、前述の電食による一方のリレーの作動が起きる前に必ず二つのリレーがいずれも強制的に作動して、モータがいずれの方向にも作動しなくなるため、前述の誤動作(モータが勝手に何れかの方向に作動する誤動作)が確実に回避される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002945 【氏名又は名称】オムロン株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月2日(2000.6.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096699 【弁理士】 【氏名又は名称】鹿嶋 英實
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| 【公開番号】 |
特開2001−349135(P2001−349135A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月21日(2001.12.21) |
| 【出願番号】 |
特願2000−166325(P2000−166325) |
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