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【発明の名称】 スイング扉の支持装置
【発明者】 【氏名】久力 一男

【要約】 【課題】扉を間仕切り位置に停止し易く、且つカム面の曲率を変えるだけで扉が自動的に間仕切り位置に戻ることも、開いた任意の位置にも停止できるように設計可能な支持装置を提供する。

【解決手段】建物45に回転不能に固定される扉の支持軸1と、前記支持軸1を軸受する前記扉45に固定される受け金具10とを有して成るスイング扉の支持装置において、前記受け金具10は、平面形状が略ハート形の輪郭曲線を有し軸受孔22が設けられたカム部材20と、前記カム部材20のカム面21に沿って転動するローラ部材25と、前記ローラ部材25を前記カム部材20へ付勢する押しバネ29と、が内装されて成ると共に、前記カム部材20が前記支持軸1に回転不能に固定されている構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建物に回転不能に固定される扉の支持軸と、前記支持軸を軸受する前記扉に固定される受け金具とを有して成るスイング扉の支持装置において、前記受け金具は、平面形状が略ハート形の輪郭曲線を有し軸受孔が設けられたカム部材と、前記カム部材のカム面に沿って転動するローラ部材と、前記ローラ部材を前記カム部材へ付勢する押しバネと、が内装されて成ると共に、前記カム部材が前記支持軸に回転不能に固定されていることを特徴とするスイング扉の支持装置。
【請求項2】 前記カム部材のハートの窪みのある半円部分における前記軸受孔の中心からカム面の距離が、ハートの窪みに接近するに従って小さく設定されていると共に、前記カム部材のもう半円部分のカム面が円弧に設定されていることを特徴とする請求項1記載のスイング扉の支持装置。
【請求項3】 前記カム部材のハートの窪みのエリアから離れたカム面を円弧に設定したことを特徴とする請求項1記載のスイング扉の支持装置。
【請求項4】 前記カム部材のハートの窪みが扉の間仕切り位置に向けられていることを特徴とする請求項1、2又は請求項3記載のスイング扉の支持装置。
【請求項5】 前記押しバネの基端にバネ圧調整機構を設けたことを特徴とする請求項1、2、3又は請求項4記載のスイング扉の支持装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建て付けられた扉の間仕切位置から両方向へ回動するスイング扉に使用される扉の支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のピボットヒンジにより扉を上下から支持して建物の間仕切りとし、扉の間仕切り位置から両方向へ回動自在に建て込んだスイング扉は周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この従来のドアクローザーを用していないピボットヒンジによるスイング扉は、ヒンジの縦軸を中心に自由に回動し、間仕切り位置に扉のストッパが無いことから扉の開閉動に間仕切り位置でも慣性が強く働く。従って、扉の押し加減によって、扉が間仕切り位置から前後にズレて停止し易く、間仕切り位置に扉を正確に停止させるには、扉の慣性を押さえるように手加減しながら操作しなければならず、操作性が悪かった。
【0004】また、二つの捻りバネの互いに異なる方向に付勢するバネ力の釣り合いによりスイング扉を間仕切り位置に正確に停止させる方法もあるが、この方法は、扉が間仕切り位置の方向へ常時捻りバネで付勢されているので、扉を開くとき、バネ圧による抵抗が大きく、開き勝手の重い扉になる欠点を有している。
【0005】本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、扉を間仕切り位置に停止し易くすると共に開いた任意の位置にも停止できるように設計可能な操作性のよいスイング扉にする支持装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するために、建物に回転不能に固定される扉の支持軸と、前記支持軸を軸受する前記扉に固定される受け金具とを有して成るスイング扉の支持装置において、前記受け金具は、平面形状が略ハート形の輪郭曲線を有し軸受孔が設けられたカム部材と、前記カム部材のカム面に沿って転動するローラ部材と、前記ローラ部材を前記カム部材へ付勢する押しバネと、が内装されて成ると共に、前記カム部材が前記支持軸に回転不能に固定されている構成とした。
【0007】これにより、扉を回動すると、受け金具のローラがカム部材のカム面に沿って転動する。ローラ部材が押しバネによってカム部材に付勢されていることから、ローラがカム部材におけるカム面のハートの窪みのエリアにかかると、節度をもってカム面の窪みに係合し、バネ圧により固定状態に停止する。この位置から扉を押すと、ローラがカム面のハートの窪みから転動脱出する。
【0008】前記カム部材のハートの窪みのある半円部分における前記軸受孔の中心からカム面の距離を、ハートの窪みに接近するに従って小さく設定すると共に、前記カム部材のもう半円部分のカム面を円弧に設定したことにより、ハートの窪みの位置から左右何れか90度以内に開かれた扉は、自動的にハートの窪みの位置に戻って停止すると共に、ハートの窪みの位置から左右何れか90度以上開かれた扉は90度以上開かれた所望の位置に停止させることができる。
【0009】また、前記カム部材のハートの窪みのエリアから離れたカム面を円弧に設定することにより、ローラ部材が円弧のカム面に圧接することから、扉をハートの窪みのエリアから離れた任意の位置で停止させることができる。
【0010】また、カム部材のハートの窪みが扉の間仕切り位置に向けられていることから、ローラをハートの窪みに係合させることにより、扉を正確な間仕切り位置へ容易に固定状態に停止させることができる。
【0011】また、前記押しバネの基端にバネ圧調整機構を設け、扉の開閉強度を調整できるようにしておくことが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】図1乃至図5は、本発明のスイング扉の支持装置の実施の形態を示しており、建物40に設けた枠体41の上部に取付板金具5によって回転不能に垂下固定される扉45の支持軸1と、前記支持軸1を回動自在に軸受する前記扉45の上部の角に固定される受け金具10とを有して構成されている。本実施の形態の支持装置は、主として扉45の上部に好適に使用されるものであり、扉45の下部は、従来周知のピボット42により回動自在に支持されている。
【0014】支持軸1は、円柱状に形成され、その周面には上面から下面に及ぶ縦溝2が凹設されている。支持軸1は、取付板金具5によって建物40の上枠の隅にビス止めされるものであり、支持軸1の縦溝2の上端部を、取付板金具5における取付穴6に間仕切り位置に向けて突設された係止突起7と係合し且つ取付板金具5と支持軸1とを溶接することにより一体化されている。
【0015】また、支持軸1の下方には、受け金具10からの抜け出しを防止するストッパリング9が係合する係止溝8が周設されている。
【0016】受け金具10は、円形空間12aと前記円形空間12aに連通する矩形空間12bとからなる収容凹所12を有する金具本体11と、前記円形空間12aに収容される平面形状が略ハート形の輪郭曲線を有するカム部材20と、前記矩形空間12bの前方部に収容されて前記カム部材20のカム面21に沿って転動するローラ部材25と、前記ローラ部材25をカム部材20へ付勢する押しバネ29と、バネ圧の調整駒31と調整ネジ32とからなる前記押しバネ29の基端に設けたバネ圧調整機構30と、金具本体11上面を閉塞する蓋板35と、金具本体11を扉45に固定する二枚の固定板37とから構成されている。
【0017】金具本体11は、ダイキャストや硬質合成樹脂で形成されており、その円形空間12aの中央には支持軸1が挿通する軸受孔13が穿設されており、軸受孔13の下端は円形空間12aの下面に設けた下向き凹所14に開口している。
【0018】また、金具本体11における矩形空間12a後方部の一側壁には、調整駒31の回動軸部31aが軸嵌合する軸受け溝15と、軸受け溝15後方の一側壁を貫通する調整ネジ32用のネジ孔16が設けられている。また、軸受け溝15と対向する側壁は調整駒31が摺接する湾曲面19となっている。符号17は蓋板35を固定するビス穴であり、符号18は固定板を固定する為のビス穴である。
【0019】ハート形のカム部材20は、支持軸1が上面から下面に貫通する軸受孔22が穿設されており、軸受孔22には支持軸1の縦溝2と係合する間仕切り位置方向の回転止め突起23が突設されている。ハート形のカム部材20は、支持軸1の縦溝2と係合することにより回転不能とされ、軸受孔22と金具本体11の軸受孔13とを同軸にしてハートの窪み24を扉45の間仕切り位置46に向けて支持軸1に固定された状態で円形室12aに収容されている。
【0020】また、カム部材20のハートの窪み24のある半円部分における中心からカム面21の距離は、ハートの窪み24に接近するに従って小さく設定されている共に、カム部材のもう半円部分のカム面21は円弧面となっている。
【0021】ローラ部材25は、ケース26にローラ27を回転自在に軸着して構成されている。ローラ部材25は、扉45を開閉すると、ローラ27がカム部材20のカム面21に沿って転動するようにコイルスプリングからなる押しバネ29によってカム部材21方向へ付勢された状態で矩形空間12bに収容されている。
【0022】また、押しバネ29の基端に設けたバネ圧調整機構30は、調整駒31と調整ネジ32とから構成されている。調整ネジ32をドライバ等の工具を使って進退させることにより、調整駒31は回転軸31aを中心にして金具本体11の湾曲面19に摺動しながら回動し、押しバネ29を押圧することにより押しバネ29の圧縮度合いが変わる。これにより扉45の開閉強度が調整される。
【0023】カム部材20、押しバネ29、調整駒31が収納された金具本体11は、支持軸1が挿通する軸受穴36が設けられた蓋板35で被覆され、蓋板35はビス38によって固定されている。
【0024】蓋板35、カム部材20、金具本体11を上下に挿通する支持軸1の先端部の係止溝には、受け金具10から支持軸1の抜け出しを防止するストッパリング9が取り付けられ、支持軸1は受け金具10に上下方向へ余裕をもって抜け出し不能に取り付けられている。
【0025】固定板37、37は、金具本体11の円形空間12aを形成する拡張部が嵌合するU字形の切欠部39が設けられており、金具本体11の両側にビス(図示省略)によって固定されている。固定板37、37の下半分は扉45への固定部34となっている。
【0026】上記のように組立られた受け金具10を扉45に固定するには、扉45の上部の角を金具本体11が収まる大きさに切欠段部を形成すると共に、切欠段部の周辺に固定板37、37が収まる取付用の凹所を扉45の両側に設け、切欠段部に受け金具10を戴置すると共に、固定板37、37を扉45にビス(図示省略)止めして固定している。
【0027】尚、本実施の形態における支持軸1の縦溝2と、この縦溝2と係合するにカム部材20の回転止め突起23は、カム部材20を一方向に固定する為の機構であるので、図示の機構に限定されるものではなく、縦溝をカム部材に、回転止め突起を支持軸に、それぞれ反対に設けてもよい。
【0028】以上のように、本実施の形態の受け金具10が固定された扉45は、下部をピボット42で支持されていると共に、上部は支持軸1を垂下した取付金具5を枠体41の上枠41aにビス3で固定することにより建て付けられている。
【0029】扉45に固定された受け金具10におけるカム部材20のハートの窪み24が扉45の間仕切り位置46に向けられて建て付けられていることから、ローラ27がハートの窪み24へ係合状態にあるとき、扉45はバネ圧によって正確に間仕切り位置46へ固定状態に停止している。
【0030】この固定状態の停止位置から扉45を何れか一方に押すと、ローラ27がハートの窪み24から転動脱出して、カム部材20のカム面21に沿って転動する。従って、扉45は円滑に開閉作動する。間仕切り位置46から扉45を回動させ、間仕切り位置45(ハートの窪みの位置)から左右90度以内に開かれた扉は、自動的に間仕切り位置45に戻って停止する。
【0031】また、間仕切り位置45(ハートの窪みの位置)から左右90度以上開いて任意の位置で停止させると、受け金具10のローラ27が円弧のカム面21にバネ圧で圧接していることから、所望の位置に停止する。
【0032】また、扉45を間仕切り位置46に向かって回動させることにより、ローラ27がカム面21のハートの窪み24のエリアにかかると、ローラ部材25が押しバネ29によってカム部材20へ付勢されていることから、節度をもってカム面21のハートの窪み24に係合し、操作する人はその手応えを感じることができる。従って、繊細な手加減をすることなく正確な間仕切り位置46に扉45を停止させることができる。
【0033】扉45を開閉したとき、間仕切り位置46における扉45のクリック反応が弱い場合は、調整ネジ32をねじ込んでバネ圧を上げることによりローラ部材25の圧接強度を上げればよく、また、扉45の開閉が重い場合は調整ネジ32を後退させることによりバネ圧を下げて軽くすることができる。
【0034】また、カム部材20のハートの窪み24のエリアから離れたカム面21を円弧に形成することにより、ローラ部材25が円弧のカム面21に圧接することから、扉45をハートの窪み24のエリアから離れた任意の位置で停止させる構成とすることも可能であり、自動戻りを必要としないスイング扉に好適である。
【0035】また、ハートの窪み24とは別の位置の円弧のカム面21に別の窪みを設けて、間仕切り位置46以外の位置に扉45が固定的に停止するようにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0037】受け金具に、軸受孔を有する平面形状が略ハート形のカム部材と、カム部材のカム面周りを転動するローラ部材と、ローラ部材をカム部材へ付勢する押しバネとを内装し、受け金具を挿通する支持軸にカム部材を回転不能に固定して構成したので、扉を回動すると、バネ圧を受けたローラがカム面に沿って転動し、扉の開閉に適度の重みが出て円滑な操作をすることができると共に、所望の位置まで開いた扉を間仕切り位置まで自動的に戻して確実に停止するように設計することが可能となり、カム面の曲率を変えることによりスイング扉の使い勝手に対応した支持装置とすることができる。
【0038】また、扉の操作によりローラがハートの窪みのエリアに何れの方向からでも入ると、扉は節度をもって間仕切り位置に停止し、且つバネ圧で固定されるので、簡単な操作で正確な間仕切りが可能となり、本支持装置を使用することにより操作性に優れたスィング扉とすることができる。
【出願人】 【識別番号】000141727
【氏名又は名称】株式会社久力製作所
【出願日】 平成12年5月15日(2000.5.15)
【代理人】 【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦 (外1名)
【公開番号】 特開2001−323719(P2001−323719A)
【公開日】 平成13年11月22日(2001.11.22)
【出願番号】 特願2000−141550(P2000−141550)