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【発明の名称】 パワーアシスト型引戸
【発明者】 【氏名】鳥居 義雄

【氏名】東 幹雄

【氏名】中山 雅裕

【要約】 【課題】小さい力で引戸本体を開き動作させてモータを起動できるパワーアシスト型引戸を提供すること。

【解決手段】回転軸16に把手14と当接棒17とを固定する。上記把手14の長さは、上記当接棒17の長さよりも長くして、把手14と回転軸16と当接棒17とで、てこ式の増力機構を形成する。手動で把手14を回動すると、当接棒17が回動して、上記当接棒17の当接端部17aが方立9の端面に当接すると共に、手動の力が増力機構で増力された力を、方立9の端面にかける。その結果、当接棒17は増力された力と同じ大きさの力を方立9から受ける。この力が当接棒17と回転軸16を介して引戸本体1に伝わって、引戸本体1が開き動作する。この開き動作を検知した制御部はモータを起動して、引戸本体1が開く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 閉じ側にバネで付勢された引戸本体と、上記引戸本体を開き側に駆動するモータと、上記引戸本体の開き動作を検出するセンサからの信号を受けて上記モータを起動する制御部を備えるパワーアシスト型引戸において、把手に働く力を増力して引戸本体を開くてこ式の増力機構を備えたことを特徴とするパワーアシスト型引戸。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、引戸本体をモータで駆動するパワーアシスト型引戸に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のパワーアシスト型引戸として、閉じ側にバネで付勢された引戸本体を、モータによって開き側に駆動するものがある。このパワーアシスト型引戸は、閉じた引戸本体を手動で動かして引戸本体に開き動作を与えると、この開き動作を検知したセンサからの信号を受け取った制御部がモータを起動して、引戸本体をモータの駆動力で開くようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のパワーアシスト型引戸は、上記閉じた引戸本体を手動で動かして開き動作を与えるときに、比較的大きな力が必要である。すなわち、上記引戸本体は、バネによって閉じ側に付勢されているので、この付勢力に抗して上記引戸本体を動かす必要がある。上記付勢力は、比較的重い引戸本体を全開状態から全閉状態まで確実に移動させる力に設定されているので、この付勢力に抗して手動で引戸本体を動かすのは大変であるという問題がある。そもそも、このパワーアシスト型引戸は、付勢された引戸本体を手動で開く際に、この引戸本体を開く力をモータによって補助、あるいは置き換えるのであるが、モータを起動するまでに大きな力が必要であるため、パワーアシストとしての機能が不十分である。
【0004】そこで、この発明の目的は、モータを起動するまでの引戸本体の開き動作を小さな力でできるパワーアシスト型引戸を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明のパワーアシスト型引戸は、閉じ側にバネで付勢された引戸本体と、上記引戸本体を開き側に駆動するモータと、上記引戸本体の開き動作を検出するセンサからの信号を受けて上記モータを起動する制御部を備えるパワーアシスト型引戸において、把手に働く力を増力して引戸本体を開くてこ式の増力機構を備えたことを特徴としている。
【0006】このパワーアシスト型引戸によると、上記増力機構は、上記引戸本体の把手を動かす小さな力を、てこの作用によって、上記引戸本体に開き動作をさせる大きな力に変換する。すなわち、上記把手を動かす力が小さくても、上記引戸本体が動いて開き動作をする。したがって、このパワーアシスト型引戸は、モータを駆動するまで小さい力で上記引戸本体を開き動作させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0008】図1は、この発明によるパワーアシスト型引戸を示した正面図である。このパワーアシスト型引戸は、建物の開口部に設けた引戸本体1に設置されている。この引戸本体1は、引戸本体1の上方に設けたレール2に沿って回動する戸車3,4を枢着するハンガブラケット6,7によって吊り下げられている。この引戸本体1は、引戸本体閉じ側の方立9に固定されたバネを有する付勢装置10によって、引戸本体閉じ側のハンガブラケット6に接続したワイヤ11を介して、常に引戸本体閉じ側に付勢されている。一方、この引戸本体1の開き側のハンガブラケット7には、このハンガブラケットが枢着する戸車4を駆動するモータアッセンブリ13が設置されている。さらに、この引戸本体1は、引戸本体閉じ側の端部に把手14を備えている。
【0009】図2は、上記増力機構を示した正面図である。この把手14は、引戸本体1を貫通して設けた回転軸16の図2において手前側の突出端に連結されている。一方、上記回転軸16は、上記把手14と鈍角をなして図2において左上方向に延びる当接棒17を連結している。この当接棒17は、上記引戸本体1の厚み方向の略中央に位置するように、引戸本体1の内部に収容されている。上記当接棒17は、上記回転軸16を中心に回動する際、回転軸16に連結していない側の端部である当接端部17aが、上記引戸本体1の閉じ側端面から出没可能に形成されている。上記回転軸16の図2において紙面の裏側の突出端には、上記把手14と同様の把手が連結されている。上記当接棒17は上記把手14よりも短い長さに形成していて、上記把手14にかける力を、上記把手14の長さに対する当接棒17の長さの比の値を掛け合わせた力に増力して、上記当接棒17にかかるようにしている。
【0010】図3は、上記ハンガブラケット7に設置されたモータアッセンブリ13を示した正面図であり、その一部の断面を同時に示している。このモータアッセンブリ13は、ベース板20に、モータ21と、このモータ21の出力軸に接続したクラッチ部22と、このクラッチ部22の出力軸23に接続した減速歯車機構25とを取り付けてなる。上記クラッチ部22は電磁クラッチ26を備え、上記クラッチ部22の出力軸23に、磁性体27を固定している。また、ホールIC(集積回路)29をクラッチ部22のケースに固定して、所定の時間の間に上記磁性体27が上記ホールIC29の近傍を通過する回数を計って、上記出力軸23の回転数を検知するようにしている。上記クラッチ部22の電磁クラッチ26は、上記引戸本体1が閉じているとき、上記モータ21の出力軸と上記クラッチ部22の入力軸とを遮断している。上記減速歯車機構25は、上記クラッチ部22の出力軸23の端部に設けた傘歯車25aと、この傘歯車25aの回転軸に直角をなす回転軸を有して上記傘歯車25aに噛合する傘歯車25bと、この傘歯車25bの回転軸に固定された図示しない出力歯車を備える。この出力歯車は、上記ハンガブラケット7に枢着された戸車4の歯車部に噛合して、上記モータ21の回転力を上記戸車4に伝達するようにしている。
【0011】このパワーアシスト型引戸は図示しない制御部を備え、この制御部は、上記クラッチ部22のホールIC29からモータ21の回転数を表す信号を受け、また、電磁クラッチ26および上記モータ21を制御する。
【0012】上記構成のパワーアシスト型引戸において、図2に示すように、上記引戸本体1の把手14を、回転軸16を中心に矢印A方向に回動する。そうすると、上記当接棒17が、上記回転軸16を中心に矢印B方向に回動すると共に、上記当接端部17aが上記方立9の引戸本体側端面に当接する。引き続いて上記把手14に矢印A方向の力をかけると、上記当接端部17aは、上記方立9の引戸本体側端面に矢印B方向の力をかける。そうすると、上記当接棒17の当接端部17aは、上記矢印B方向の力と同じ大きさの力を、矢印Bと逆の方向に、反作用として受ける。この反作用の力は、上記増力機構で増力されていて、上記付勢装置10によって上記引戸本体閉じ側方向にかけられている付勢力に抗して上記引戸本体1を動かす力よりも大きい。したがって、上記反作用の力が上記当接棒17と回転軸16を介して上記引戸本体1に伝わって、上記引戸本体1は矢印C方向に動いて開き動作をする。
【0013】上記引戸本体1が開き動作をすると、図1に示す戸車3,4が回動する。さらに、上記戸車4に設けた図示しない歯車部に接続する減速歯車機構25を介して、上記クラッチ部22の出力軸23が回動すると共に、この出力軸23に固定した磁性体27が回動する。そうすると、上記クラッチ部22のホールIC29が上記出力軸23の回転を検知して上記制御部に信号を送る。この信号を受取った上記制御部は、上記電磁クラッチ26を接続して上記モータ21の回転力を上記減速歯車機構25に伝達可能にすると共に、上記モータ21に駆動電流を供給する。そして、上記駆動電流を供給されて起動したモータ21の回転力が、上記クラッチ部22と減速歯車機構25と戸車4の歯車部を介して上記戸車4に伝達されて、この戸車4がレール2の上で回動する。その結果、この戸車4を枢着するハンガブラケット7が上記引戸本体1と共に移動して、引戸本体1が開き側に動く。
【0014】このように、上記引戸本体1は増力機構を有するので、手動の小さい力で把手14を回動しても、上記引戸本体1が開き動作をして、上記モータ21を起動できる。
【0015】図4は、この発明によるパワーアシスト型引戸の他の実施形態における増力機構を示した断面図である。当接棒37は、引戸本体31の閉じ側端部に設けられた室41の中に、引戸本体の幅方向を向いて略水平に配置されていて、上記当接棒37の端部を引戸本体31の閉じ側端面から出没可能に駆動される。把手34は略鉛直下向きに延びる円形断面の棒であって、この把手34の上端は、略水平に配置された接続棒35の一端に固定されている。この接続棒35の他端部は、上記引戸本体31の室41の中に挿入していて、この室41の中で上記当接棒37の他端とピン42によって回動可能に接続している。さらに、上記接続棒35は、ピン43によって回動可能に引戸本体31に取り付けられている。このピン43は、上記接続棒35において、上記ピン43から把手34までの距離が、ピン43から当接棒37に接続するピン42までの距離よりも長くなるように設けられている。そして、この接続棒35が上記ピン43周りに回動するときに、てこの作用をして、把手34にかけた力を増力して、ピン42で接続する当接棒37に上記増力した力を伝えるようにしている。上記当接棒37には、当接棒37の周面を覆うようにスプリングバネ45を配置して、このスプリングバネ45の一端を上記室41の引戸本体閉じ側の面に当接すると共に、他端を上記当接棒37のピン42側の端部周辺に設けたストッパ46に当接している。上記当接棒37の一端を上記引戸本体31の閉じ側端面から突出させる力を解放すると、上記スプリングバネ45の付勢力によって、上記当接棒37の一端が上記引戸本体31の室41の中に没入するようにしている。
【0016】図4に示した部分以外のパワーアシスト型引戸の部分は、図1乃至3に示した実施形態のパワーアシスト型引戸と同様である。
【0017】図4において、上記把手34を矢印Eに示す方向に手動で力をかけると、上記接続棒35がピン43を中心に回動して、この接続棒35にピン42を介して接続した当接棒37が、矢印F方向に動く。このとき、上記矢印E方向にかけた力は、上記接続棒35によって増力される。すなわち、上記接続棒35は、上記把手34にかけた力を、把手34からピン43までの距離に対するピン43からピン42までの距離の比の値を掛け合わせた力に増力して、この力を上記当接棒37に伝える。上記当接棒37は、矢印F方向に動いて上記当接棒37の当接端部37aが上記方立39に当接して、上記増力された力を上記方立39にかける。そうすると、上記当接棒37は、上記方立39から、上記増力された力と同じ大きさの力を反作用として受ける。この力は、図示しない付勢装置による引戸本体31の閉じ方向の付勢力に抗して引戸本体31を動かす程に大きい。その結果、この力が当接棒37と接続棒35とピン43とを介して引戸本体31に伝達して、引戸本体31が矢印G方向に動いて開き動作をする。
【0018】上記引戸本体31が開き動作をすると、図1乃至3に示した実施形態と同様に、制御部が戸車の回動を検知して、モータアッセンブリのモータに通電して、このモータが上記戸車を駆動して引戸本体31が開く。
【0019】このように、上記引戸本体31の把手34に働く力は増力機構で増力されるので、手動の小さい力で把手34を回動しても、上記引戸本体31が開き動作をして、上記モータを起動できる。
【0020】図5は、さらに他の実施形態のパワーアシスト型引戸において、増力機構を示す断面図である。この増力機構において、把手54は引戸本体51から突出して配置されていると共に、引戸本体51の開き側に設けた兆番55によって、回動可能に引戸本体51に接続している。上記把手54は、上記引戸本体51側の端部から引戸本体51の内部に向って延びる延長部56を連結していて、この延長部56を引戸本体51の室61の中に挿入している。この延長部56の先端には係合部63を設けている。ここで、上記延長部56の係合部63から上記兆番55の回動中心55aまでの距離を、上記兆番55の回動中心55aから把手54の突出端までの距離よりも小さくしている。
【0021】上記室61の中には、引戸本体51の幅方向に延びる当接棒57が軸方向に進退自在に配置されていて、この当接棒57は、引戸本体1の開き側端部で軸直角方向の幅が広くなった拡幅部58を備える。この拡幅部58には、当接棒57の進退する方向と直交する方向、すなわち引戸本体51の厚さ方向に延びる係合溝59を備える。この係合溝59に、上記延長部56端部の係合部63を摺動自在に係合している。
【0022】一方、上記当接棒57は、周囲にスプリングバネ65を配置していて、このスプリングバネ65の両端を、室61の引戸本体51閉じ側の端面と、上記拡幅部58の引戸本体51閉じ側の縁とに夫々当接している。この当接棒57は、当接棒57の引戸本体51の閉じ側端部が、引戸本体51の閉じ側端面から出没可能に配置されている。上記引戸本体51を閉じると、引戸本体51の閉じ側端面が、方立69に当接する。
【0023】図5に示した部分以外のパワーアシスト型引戸の部分は、図4に示した実施形態と同一である。
【0024】図5において、上記把手54を矢印Jに示すように兆番55の回動中心55a周りに回動させると、上記延長部56の係合部63が、上記当接棒57の係合溝59と係合しながら兆番55の回動中心55a周りに回動する。すなわち、上記係合部63は、上記係合溝59において、把手54側方向に摺動すると共に、上記係合溝59の引戸本体1の閉じ側の縁を押圧する。そうすると、上記当接棒57が、矢印Kで示すように、引戸本体51の閉じ側端面から突出して、上記当接棒57の当接端部17aが方立69の引戸本体側端面に当接する。このとき、上記把手54を矢印J方向に回動する力が上記把手54の長さと延長部56の長さの比によって増力された力が、上記当接棒57から上記方立69にかかる。そうすると、上記当接棒57は上記方立69から上記増力された力と同じ大きさの反作用の力を受けて、この力が延長部56と把手54と兆番55とを介して引戸本体51に伝達する。その結果、引戸本体51が矢印L方向に動いて開き動作する。この引戸本体51の開き動作を検知したセンサからの信号を受けた制御部は、モータを起動して、このモータに駆動されて引戸本体51が開く。
【0025】このように、上記引戸本体51は増力機構を有するので、手動の小さい力で把手54を回動しても、上記引戸本体51が開き動作をして、その結果、引戸本体51を動かすモータを起動できる。
【0026】上記実施形態において、上記把手14,34,54は直線の棒状であったが、曲線の棒状でもグリップ形状でもよい。
【0027】図2に示した実施形態において、回転軸16の引戸本体1の手前側端部に把手14を設けると共に、回転軸16の図2の紙面の裏側端部にも図示しない把手を設けたが、上記回転軸16の手前側端部および図2の紙面の裏側端部のうちの、どちらか一方のみに把手を設けてもよい。
【0028】図4に示した実施形態において、略鉛直下向きに延びる棒状の把手34の上端に、接続棒35の一端を固定していたが、上記把手34の下端にさらに接続棒を設けてコの字型にしてもよい。さらに、上記把手34の下端に図4と同様の増力機構を設けて、さらなる当接棒を図4の当接棒17と同時に駆動してもよい。
【0029】図5に示した実施形態において、把手54は引戸本体51から突出する棒であったが、この把手54の突出端に連結して鉛直下方、あるいは上方に延びる補助把手を設けてもよく、さらに、この補助把手の端部に図5の把手54と同様の把手を設けてコの字型にしてもよい。さらに、この補助把手の端部に図5と同様の増力機構を設けて、さらなる当接棒を図5の当接棒57と同時に駆動してもよい。
【0030】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1の発明のパワーアシスト型引戸は、把手に働く力を増力して引戸を開く増力機構を備えるので、モータを起動するまでの上記引戸本体の開き動作を、小さな力で簡単にできる。
【出願人】 【識別番号】390033042
【氏名又は名称】ダイハツディーゼル株式会社
【出願日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開2001−311358(P2001−311358A)
【公開日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【出願番号】 特願2000−129678(P2000−129678)