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【発明の名称】 自動ドアの制御装置
【発明者】 【氏名】村田 明彦

【要約】 【課題】本発明は,自動ドア開閉制御装置においてモータやモータ駆動回路にサーマルプロテクタを使わずに両者の温度を測定,または推定して,コストや配線の手間を低減することと,過熱によるドア開閉動作の強制停止を未然に回避して開閉動作の続行を確保することを課題とする。

【解決手段】ドアの開閉動作を制御する開閉動作制御回路,開閉動作制御回路からの指令によりモータを駆動するモータ駆動回路,ならびにモータ巻線への接続を温度算出回路に切り替える切替回路,および抵抗法を応用してモータ巻線とモータ駆動回路の温度を算出,または推測する温度算出回路,ならびに温度推定回路,そしてモータから成るように回路を構成し,課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】モータを駆動源とし,該モータの駆動回路と制御回路等から構成され,温度センサを使わずにモータ巻線の温度を定期的に測定する手段と,モータ駆動回路の温度を推定する手段と,ドアの運転パターンを制御する手段と,温度上昇アラーム信号出力手段を具備したことを特徴とする自動ドア開閉制御装置。
【請求項2】請求項1において,測定したモータ巻線の温度,ならびに推定したモータ駆動回路の温度の上昇にともない,ドアの最高開閉速度や加速度を制限したり,一般にホールドタイマと呼ばれる開動作を終了した後に閉動作を開始するまでの待ち合わせ時間を延長することと,モータ巻線とモータ駆動回路の温度が許容値を越えた場合は強制的にモータを停止してドアの開閉動作を中断することと,モータ巻線とモータ駆動回路の温度が低下するにともない,上記の最高速度と加速度の制限の緩和とホールドタイマの延長を減少することと,モータ巻線とモータ駆動回路の温度が正常な範囲になった場合は,上記の最高速度と加速度の制限とホールドタイマの延長をやめて通常動作に復旧することにより,ドアの運転パターンを制御する手段を具備したことを特徴とする自動ドア開閉制御装置。
【請求項3】請求項1において,測定したモータ巻線の温度,ならびに推定したモータ駆動回路の温度が正常な範囲内の場合と,正常な範囲を超えた場合と,許容値を超えた場合とではそれぞれ異なる信号を出力する温度上昇アラーム信号出力手段を具備したことを特徴とする自動ドア開閉制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,自動ドア開閉制御装置に使用されるモータとモータ駆動回路の過熱防止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5〜7は従来の自動ドア開閉制御装置の構成図であり,1は自動ドアコントローラ,2はドア開閉動作制御回路,3はモータ駆動回路、12はモータ、100はサーマルプロテクタ,101は過熱検出信号である。自動ドア開閉装置の動作頻度が異常に多い場合や,装置自体に何らかの異常が生じた場合に,モータ12やモータ駆動回路3の過熱防止のため,サーマルプロテクタ100をモータ12の外皮やモータ駆動回路3に装着したり,モータ巻線部に巻き込んだりして温度を検出し,過熱を検出した場合はドアの開閉動作を強制的に停止するなどの安全策を設けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の如き従来の構成は,温度検出のためのサーマルプロテクタ100をモータ12やモータ駆動回路3に装着する必要があるのでコスト的に不利な上,センサへの配線も煩雑である。また,モータ12の外皮やモータ巻線にサーマルプロテクタ100を巻き込む方式ではモータ寸法や製造上の制約が大きくなるばかりか,モータ12の振動が温度センサに直接伝わるので故障が懸念される。
【0004】
【課題を解決するための手段】モータ巻線への接続をモータ駆動回路,または抵抗値算出回路に切り替えられるようにしておき,モータを駆動していないときにはモータ巻線への接続をモータ駆動回路から抵抗値算出回路に切り替える。
【0005】抵抗値算出回路では,モータ巻線のインダクタンスによる時定数,またはモータ外部に接続した分圧抵抗による分圧を測定し,これらから巻線の抵抗値を算出する。
【0006】算出したモータ巻線の抵抗値から抵抗法によりモータ巻線の温度を温度算出回路にて算出,更にこの値からモータ駆動回路の温度を温度推定回路にて推定する。
【0007】算出したモータ巻線の温度と推定したモータ駆動回路の温度により,ドア開閉動作制御回路はドアの運転パターンを制御するほか,温度上昇アラーム信号を出力する。
【実施例】以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【0008】図1〜3は本発明に係る自動ドアの開閉制御装置の構成説明図である。図4はモータ巻線20のインダクタンスによる時定数τと電圧Vとの関係のの説明図である。図1に示すように自動ドアコントローラ1内のドア開閉動作制御回路2は,モータ駆動回路3に正,逆,停止指令を出力してモータ12を駆動,停止せしめドアの開閉動作を制御する。
【0009】ドア開閉動作制御回路2からの駆動/測定切替信号8により切替回路4は,モータ駆動時にはモータ駆動回路3とモータ巻線20とを接続し,モータ停止時には抵抗値算出回路5とモータ巻線20とを接続する。
【0010】なお,図2,3に示すようにモータ巻線抵抗値Rを算出する簡便な方式として以下に説明する2通りの方式がある。
【0011】まず,モータ巻線20のインダクタンスLによる時定数τを測定し,これからモータ巻線抵抗値Rを算出する方式について説明する。この方式では図2に示す回路構成とし,Rの算出精度を向上するため,定電圧回路21とモータ巻線20とを接続する電線は極力太く短くして電線の抵抗値とインダクタンスの影響を無視できる程度に小さくするほか,切替回路4はON抵抗の小さい物を使う。また,抵抗Rは高精度かつ温度係数が小さい物を使う。モータ巻線20と抵抗値算出回路5とが接続時に,スイッチSWを閉じて定電圧回路21の出力電圧Vをモータ巻線20に供給すると,モータ巻線20は抵抗成分Rとインダクタンス成分Lからなるので,図4に示す時定数τ(s)後に0.632・V(V)に達する。ここで,τ,L,R,Rには以下の関係がある。
τ=L/(R+R) (s)………数式1数式1を変形すると数式2が得られるので,演算回路23は予め記憶されている抵抗Rの抵抗値とインダクタンスL,ならびに時定数測定回路22で測定したτを数式2に代入してモータ巻線抵抗値Rを算出する。
=L/τ−R (Ω)………数式2【0012】以下,時定数τの具体的な測定方法を説明する。切替回路4は駆動/測定切替信号8によりモータ巻線20への接続を抵抗値算出回路5に切り替える。次に予備測定開始信号9がONとなり,測定順序制御回路24がスイッチSWを閉じると,定電圧回路21の出力電圧Vがモータ巻線20を経て抵抗Rに供給され,電圧測定比較回路25は抵抗Rによる電圧Vの測定を開始し,演算回路23に出力する。一方,測定順序制御回路24はスイッチSWを閉じてからの時間を計測しており,電圧Vが定常状態になるに十分な時間が経過後,演算回路23に定常時の電圧Vを記憶させる。演算回路23はこの電位差Vから0.632・V(V)を算出し,これを電圧測定比較回路25に出力,記憶させる。以上の処理を完了するのに十分な時間が経過後に,予備測定開始信号9がOFFとなり,測定順序制御回路24がスイッチSWを開き,モータ巻線20への給電が停止する。
【0013】次に測定開始信号10がONになり,測定順序制御回路24はスイッチSWを閉じ,経過時間の計測を開始するとともに,電圧測定比較回路25に指令を与え,抵抗Rによる電圧Vと予備測定で同回路内に記憶されている0.632・V(V)との比較を開始させる。電圧測定比較回路25は,電圧Vが0.632・V(V)に達した時点で時定数測定回路22に指令を与え,経過時間の計測を終了させ,そのときの時間すなわち時定数τ(s)を演算回路23に出力,記憶させる。
【0014】以上の処理を完了するのに十分な時間が経過後に,測定開始信号10がOFFとなり,測定順序制御回路24がスイッチSWを開き,モータ巻線20への給電が停止する。以上で時定数τの測定が完了したので演算回路23は,予め記憶されているモータ巻線20のインダクタンスLと抵抗Rの抵抗値,ならびにτを数式2に代入してモータ巻線抵抗値Rを算出し,温度算出回路6に出力する。以後継続して行う,モータ巻線温度の算出などの処理については後に説明する。
【0015】次に定電圧回路21の出力電圧Vと,この電圧Vがモータ巻線20の抵抗成分Rと抵抗Rとにより分圧された電圧Vを測定し,これらからモータ巻線抵抗値Rを算出する方式について説明する。この方式では図3に示す回路構成とし,Rの算出精度を向上するため,定電圧回路21とモータ巻線20とを接続する電線は極力太く短くして電線の抵抗値の影響を無視できる程度に小さくするほか,切替回路4はON抵抗の小さい物を使う。また,抵抗Rは高精度かつ温度係数が小さい物を使う。ここで,V,V,R,R,には以下の関係がある。
=R/(R+R)*V (V)………数式3数式3を変形すると数式4が得られるので,演算回路23は電圧測定回路30で測定したVとV,ならびに予め記憶されているRの抵抗値を数式4に代入してモータ巻線抵抗値Rを算出し,温度算出回路6に出力する。
=R*V/V−R (Ω)………数式4なお,定電圧回路21の出力電圧Vを上記のように測定せず,固定値として演算回路23に記憶しておくこともできるが,電圧Vを測定する都度にVを測定した方がRの算出精度を向上できる。
【0016】以下,電圧VとVとの具体的な測定方法を説明する。切替回路4が駆動/測定切替信号8によりモータ巻線20への接続を抵抗値算出回路5に切り替えると,モータ巻線20には定電圧回路21の出力電圧Vが印加される。このとき予備測定開始信号9がONになり,測定順序制御回路24は電圧測定回路30に指令をあたえ,定電圧回路21の出力電圧Vを測定し,演算回路23に出力,記憶させる。以上の処理を完了するのに十分な時間が経過後に,予備測定開始信号9がOFFとなり,測定順序制御回路24は電圧測定回路30に指令をあたえて待機状態にさせる。次に電圧Vの測定を行うが,このVは先述のようにインダクタンスLによる時定数をともなっているので,切替回路4がモータ巻線20への接続を抵抗値算出回路5に切り替えてからVが定常状態となるに十分な時間が経過後に測定開始信号10がONとなる。測定開始信号10がONになると測定順序制御回路24は電圧測定回路30に指令をあたえ,電圧Vを測定し,演算回路23に出力,記憶させる。
【0017】以上の処理を完了するのに十分な時間が経過後に,測定開始信号10がOFFとなり,測定順序制御回路24は電圧測定回路30に指令をあたえて待機状態にさせる。以上で電圧VとVとの測定が完了したので演算回路23は,予め記憶されている抵抗Rの抵抗値,ならびにVとVを数式4に代入してモータ巻線抵抗値Rを算出し,温度算出回路6に出力する。
【0018】以上でモータ巻線抵抗値Rを算出できたので,引き続き行うモータ巻線温度の算出などの処理について以下に説明する。温度算出回路6は予め記憶されているTとR,ならびに入力されたモータ巻線抵抗値Rを抵抗法による数式5に代入してモータ巻線温度Tを算出,これをドア開閉動作制御回路2と温度推定回路7に出力する。
=R*(234.5+T)/R−234.5 (℃)…数式5ここでR モータ巻線抵抗値T モータ巻線温度T 基準温度(一般に室温)
R T(℃)のときのモータ巻線抵抗値【0019】温度推定回路7にはモータ巻線温度Tとモータ駆動回路温度Tとの関係が経験値として記憶されており,これによりモータ巻線温度Tからモータ駆動回路温度Tを推定し,ドア開閉動作制御回路2に出力する。
【0020】ドア開閉動作制御回路2は,入力されたモータ巻線温度T,ならびにモータ駆動回路温度Tの温度上昇にともないドア最高開閉速度や加速度を強制的に制限したり,ホールドタイマを延長することにより以後の温度上昇を低減し,過熱によるドア開閉動作の強制停止を未然に回避する。また,モータ巻線温度Tとモータ駆動回路温度Tが許容値を越えた場合は強制的にモータ12を停止,ドアの開閉動作を中断してモータ12とモータ駆動回路3の焼損を未然に回避する。一方,モータ巻線温度Tとモータ駆動回路温度Tが低下するにともない,上記のドア最高開閉速度や加速度の制限を緩和するとともに,ホールドタイマの延長を減少する。また,モータ巻線温度Tとモータ駆動回路温度Tが正常な範囲になった場合は,上記のドア最高開閉速度や加速度の制限とホールドタイマの延長をやめて通常動作に復旧する。
【0021】さらに,ドア開閉動作制御回路2は入力されたモータ巻線温度Tとモータ駆動回路温度Tにより,これらの温度が正常,過熱検出,許容温度超過の状態別にアラーム信号11を外部に通報してユーザの注意を喚起する。
【0022】
【発明の効果】モータやモータ駆動回路にサーマルプロテクタ等の特別なセンサを使わずにモータやモータ駆動回路の過熱防止機能を実現できるので,コストやスペース面で有利,かつ配線の手間も低減できる。また,モータやモータ駆動回路の温度上昇にともないドアの最高開閉速度や加速度を強制的に制限したり,ホールドタイマを強制的に延長することにより以後の温度上昇を低減し,過熱によるドア開閉動作の強制停止を未然に回避,開閉動作の続行を確保することができる。また,モータやモータ駆動回路の温度が許容値を超えた場合には強制的にモータを停止,ドアの開閉動作を中断してモータとモータ駆動回路の焼損を未然に回避することができる。さらに,モータとモータ駆動回路の過熱異常を外部に通報できるので,ユーザの注意を喚起し,過熱時にはドアを開放停止させるなどの過熱防止策をユーザに促したり,保守業者への点検依頼を促すなどして,重大な故障を未然に回避することができる。
【出願人】 【識別番号】000228730
【氏名又は名称】日本サーボ株式会社
【出願日】 平成12年3月10日(2000.3.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−254570(P2001−254570A)
【公開日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願番号】 特願2000−66064(P2000−66064)