| 【発明の名称】 |
ダンピング機構 |
| 【発明者】 |
【氏名】織田 信寿
|
| 【要約】 |
【課題】開閉ドアなどの移動速度を必要に応じて段階的に変化させることができるダンピング機構を提供すること。
【解決手段】ダンパ機構を組み込むとともに回転軸3を突出させたダンパ本体1と、回転軸3に設けた径の異なる複数のピニオン4,5と、これらのピニオンにかみ合う複数のラック7,8を備えたラック部材2とからなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ダンパ機構を組み込んで回転軸を突出させたダンパ本体と、上記回転軸に設けた径の異なる複数のピニオンと、これらのピニオンにかみ合う複数のラックを備えたラック部材とからなるダンピング機構。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、開閉蓋などに、開閉時の衝撃が加わるのを防止したり、その開閉速度を調節したりするために用いるダンピング機構に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、コーヒーベンダーのカップ取り出し口には、上下スライド式ドアが設けられている。このようなドアは、開くときには手で押し上げて、その手を離すと自重で落ちてきて閉まるようになっている。ドアが閉まるとき、その落下速度が速すぎる場合には、ドアが落ちてこないように手で押さえながらカップを取り出さなければならない。 【0003】そこで、ドアの開閉部に、一方向ダンパを用いたものがあった。一方向ダンパとは、本体に設けた回転軸が、一方向には、容易に回転するが、反対方向には、ダンピング効果を有しているものである。このダンピング方向に、付与するトルクが大きければ、回転速度を速くできる。 【0004】このような一方向ダンパの具体的構成は、例えば、特公平6−68300号公報にも、開示されているが、その機構を簡単に説明する。この一方向ダンパは、筒状の外枠とその中に組み込まれる内枠とを有し、この内枠には、回転軸が挿入されている。そして、組み合わされた上記両枠間には、相対回転が生じたときの抵抗になるための充填剤が充填されている。また、上記内枠内周には、内歯が形成されるとともに、この内歯と上記回転軸との間には、複数の歯車を組み込んでいる。これらの歯車が、上記回転軸の回転方向によって回転したり停止したりするように内枠内を構成している。 【0005】そこで、上記回転軸を一方に回転させようとしたときには、内枠内の歯車が、上記内歯に沿って容易に回転し、回転軸と内枠間の回転は妨げられない。すなわち、上記回転軸は、内枠に対して容易に回転し、このとき、内枠と外枠とは一体になっている。しかし、回転軸を反対方向に回転させようとした場合には、内枠内の歯車が、ひっかかって、回転軸と内枠との相対回転が規制される。このとき、与えられるトルクが上記両枠間の抵抗に打ち勝てば、今度は、回転軸と内枠とが一体となって、外枠との間で相対回転するというものである。そして、外枠と内枠間の抵抗がブレーキとして作用し、ダンパ機能を発揮するというものである。 【0006】上記一方向ダンパをベンダーのドアに用いる方法を説明する。ダンパ本体をベンダー本体に固定するとともに、ダンパ本体から突出した回転軸にピニオンを形成し、このピニオンかみ合うラックをドア側に形成する。そして、ドアが上下する範囲内では、上記ラックとピニオンとがかみ合うように、両者の位置を決める。また、上記一方向ダンパは、ドアを持ち上げて開けるときには、回転軸が自由に回転し、ドアが下がるときには、回転が規制される方向になるように取り付ける。そこで、ドアを持ち上げるときには、ほとんど抵抗無く開けることができるが、ドアの自重で閉まるときには、ダンパ機構が発揮され、ゆっくり下がる。このようにすれば、ドアを持ち上げて開いた後、すぐにはドアが落ちてこないので手を離したままで、カップを取り出すことができる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】上記のように一方向ダンパを用いて、上下スライド式ドアが閉まる速度をゆっくりさせることができる。そして、コーヒーベンダーからカップを取り出している途中で、ドアが下がって来ないようにしなければならない。そのため、落下速度を十分に小さくできるように、対応トルクの大きな一方向ダンパを選んで用いている。 【0008】しかし、上記のようにな一方向ダンパを用いた場合には、ドアが閉まる全過程での速度が一定である。そのため、すぐに閉まらないように、大きなトルクに対応する一方向ダンパを用いた場合には、カップを取り出し終わっても、しばらくの間ドアが開きっぱなしになってしまうという問題があった。ドアがいつまでも開いていると、すぐに次のコーヒーの抽出ができなかったり、ベンダーの中にゴミが入りやすくなったりするという問題がある。この発明の目的は、開閉ドアなどの移動速度を必要に応じて段階的に変化させることができるダンピング機構を提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】この発明のダンピング機構は、ダンパ機構を組み込むとともに回転軸を突出させたダンパ本体と、上記回転軸に設けた径の異なる複数のピニオンと、これらのピニオンにかみ合う複数のラックを備えたラック部材とからなる点に特徴を有する。 【0010】 【発明の実施の形態】図1〜図4に示す第1実施例は、ダンパ本体1とドア2とを組み合わせたダンピング機構である。ダンパ本体1は、図示しないが、その内部には上記従来例で説明したようなダンパ機構が組み込まれている。そして、本体1から突出した回転軸3が矢印a方向に回転するときには、抵抗が無く、矢印b方向に回転するときにだけ、ブレーキがきいて回転が遅くなるようになっている。また、回転軸3の外周には、軸方向の位置をずらして、小径ピニオン4と、大径ピニオン5とを設けている。 【0011】一方、ドア2には、上記小径ピニオン4とかみ合う第1ラック7と、大径ピニオン5とかみ合う第2ラック8とを形成している。これら第1、第2ラック7,8は、かみ合うピニオンの位置に対応して、その幅方向の位置がずれているとともに、ラックの長さ方向の位置もずらしている。したがって、上記ドア2が上下する際には、上記第1,第2ラック7,8のうち一方ずつ、ダンパ本体1側のピニオン4,5とかみ合う。第1,第2ラック7,8によって、ピニオン4,5が回転し、これによって回転軸3が回転する。 【0012】この第1実施例では、ドア2が、この発明のラック部材である。なお、図中、符号6は、取り付け板で、この取り付け板6をベンダー本体などに固定する。また、径の異なる小径ピニオン4と大径ピニオン5とでは、回転軸3に与えるトルクが異なる。回転トルクは、回転中心から力点までの距離、すなわち半径に、比例するため、小径ピニオン4が回転する場合より、大径ピニオン5が回転する方が大きな回転トルクを回転軸3に与えることになる。 【0013】次に、上記ダンピング機構の作用を説明する。図1,図2は、ドア2を持ち上げて最高位置に保った状態を示している。ドア2をこの位置まで持ち上げる際には、ドア2に形成した第1,第2ラック7,8がピニオン4,5を回転させるが、そのときの回転方向は、図1の矢印a方向である。したがって、このとき、ダンパ機能は発揮されない。つまり、ドアを開けるときには、抵抗無くスムーズに開けられる。 【0014】この状態で、手を離せば、ドア2は自重によって落下する。ただし、初めは、ドア2に形成した第1ラック7が小径ピニオン4とかみ合って、回転軸3を図1の矢印b方向へ回転させる。回転軸3には、矢印b方向の外力が付与されるため、その回転には抵抗が作用し、その結果、ドア2は、非常にゆっくり降りてくる。図2のように、ドア2が上記小径ピニオン4に沿って下がり、第1ラック7の上端が小径ピニオン4まで到達すると、今度は、図3のように、第2ラック8と大径ピニオン5とがかみ合う。以後、図3,図4に示すように、第2ラック8が、大径ピニオン5を回転させながら、ドア2は下降する。 【0015】図3,図4のように、第2ラック8と大径ピニオン5とがかみ合ったときには、先にも説明したように、回転軸3には、図1,図2の状態より、大きな回転トルクが作用する。すなわち、回転軸3を矢印b方向(図1参照)に回転させるための外力が大きくなる。つまり、第2ラック8が大径ピニオン5にかみ合った時点から、回転軸3の回転速度が大きくなり、ドア2の下降も速くなる。 【0016】上記第1実施例のようなダンピング機構を用いれば、ドア2の閉まる速度を2段階に制御することができる。初めのうちは、非常にゆっくり、そして、途中からは、初めよりやや速く閉まるようにできる。このようなドア2を、コーヒーベンダーなどに取り付ければ、コーヒーカップを取り出した後、いつまでもドアが開いているようなことはなくなる。もちろん、ドアを開ける際には、抵抗が無く、カップを取り出すまでは、ドア2が下がって閉まるようなことはない。 【0017】図5〜図7に示す第2実施例は、ドア2に扇型のラック部材9を設けた点が上記第1実施例と異なる。また、ドア2は、上下スライド式ではなく、回転開閉式である。ただし、ダンパ本体1、その他の構成は、第1実施例と同様である。ラック部材9は、径の異なる扇形9aと9bとによって構成され、それぞれの外周には、第1ラック7と第2ラック8を形成している。上記第1ラック7,第2ラック8は、ダンパ本体1の小径ピニオン4,大径ピニオン5にかみ合うように、回転軸3の軸方向の位置もずらして形成されている。なお、図中一点鎖線で、鉛直線を表している。 【0018】この第2実施例においても、ドア2を持ち上げて開けた状態から手を離して、閉まる過程での速度を2段階に調整できる。図5に示すドアの全開状態では、小径ピニオン4と第1ラック7とがかみ合っている。そこで、ドア2の自重が、第1ラック7、小径ピニオン4を介して、回転軸3に回転トルクとして作用すると、回転軸3は非常に低速で回転し、ドア2はゆっくりと下がり始める。第1ラック7が小径ピニオンにかみ合って移動し、その端部が小径ピニオン4に到達すると、図6のように、今度は第2ラック8と大径ピニオン5とがかみ合う。そこで、大径ピニオン5が回転するので、回転軸3に作用する回転トルクが大きくなって、回転速度が速まる。したがって、ドア2が閉じる速度も速くなる。 【0019】図8〜図10に示す第3実施例は、ドア2に設けたラック部材10の形状が異なる以外は、上記第2実施例と同様である。上記ラック部材10には、径の違う2個の円弧10a,10bを形成し、これらの弧内に第1、第2ラック7,8を形成している。そして、第1ラック7と小径ピニオン4とがかみ合っているときより、第2ラック8と大径ピニオン5とがかみ合っているときの方が、回転軸3の回転が速くなる点は、上記第1、第2実施例と同じである。したがって、ドア2が最も開かれた図8の状態では、第1ラック7と小径ピニオン4とがかみ合って、非常にゆっくりとドア2が閉まり初め、次に第2ラックと大径ピニオン5とがかみ合ってからは、少し、閉まる速度が速くなる。 【0020】以上のように、第1〜第3実施例のダンピング機構によれば、ドアの移動速度を2段階に制御することができる。これらの実施例においては、回転軸3に大小2種類のピニオンを形成することにより、二種類の回転速度を実現しているが、ピニオン径の種類を多くすれば、さらに多くの段階で、速度を変えることもできる。上記実施例のように、初めゆっくりで、後半速くというものだけでなく、その反対や、途中で速くしてから再び遅くするというようなこともできる。要するに、ダンパ本体の回転軸に設けたピニオンの径を変えることにより、回転軸に作用させる回転トルクを設定すれば、回転速度、すなわち、ドアなどの移動速度を、任意に設定できるのである。 【0021】なお、上記実施例では、ダンパ機能が発揮される方向の回転時には、ドアの自重を利用して回転軸を回転させる場合を説明したが、手で閉めるようなドアにも適用できる。例えば、手で閉めるドアでも、勢い良く閉まらないようにしたい場合などに用いることができる。この場合には、閉めるときに、抵抗感が有るが、その抵抗感を、径の異なるピニオンによって多段に変化させることになる。また、ダンパ機能を発揮させるのは、ドアを閉めるときばかりではなく、開けるときでもかまわないし、両方でもかまわない。 【0022】例えば、引き戸の場合、開けるときにも、閉めるときにも、最後は、ゆっくり静かに移動させたいというようなことがある。このようなときには、ピニオン径を変えて、初めと終わりだけ非常にゆっくり移動させ、中間では少し速く移動させるようにすれば、両方向において、行き止まりでの衝撃を防止できる。ただし、両方向の移動速度を調整する場合には、ダンパ本体に両方向に効くダンパ機能を組み込んでおかなければならない。また、移動するものもドアに限らない。 【0023】 【発明の効果】この発明によれば、ダンパ機能を効かせたドアなどの移動速度を複数の段階で、制御することができる。これにより、移動が速すぎたり、遅すぎたりすることもなく、より実情に有った速度で移動させることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000110206 【氏名又は名称】トックベアリング株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年2月17日(2000.2.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076163 【弁理士】 【氏名又は名称】嶋 宣之
|
| 【公開番号】 |
特開2001−227237(P2001−227237A) |
| 【公開日】 |
平成13年8月24日(2001.8.24) |
| 【出願番号】 |
特願2000−38921(P2000−38921) |
|