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【発明の名称】 半自動式吊戸装置及び該吊戸の初期開力補助装置
【発明者】 【氏名】向出 敬秀

【要約】 【課題】僅かに傾斜した上レールに吊設されて、押し開かれた吊戸が独りでに閉じることが出来る半自動式吊戸装置であって、該吊戸が重い場合であっても比較的小さな力で押し開くことが出来、又静かに閉じることが出来る吊戸装置の提供。

【解決手段】この吊戸装置には流体摩擦ブレーキ装置12と初期開力補助装置11を備え、吊戸6が閉じる際には流体摩擦ブレーキ装置12のピニオン5がラック9に噛み合ってブレーキが作用し、また開く際には初期開力補助装置11のゼンマイバネ2に蓄えられたエネルギーが反発力として放出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 僅かに傾斜した上レールに吊設され、押し開かれた吊戸が独りでに閉じることが出来る半自動式吊戸装置において、流体摩擦ブレーキ装置と初期開力補助装置、及びこれら装置の軸に備えたピニオンが噛み合うラックを、吊戸側と上レール側にそれぞれ取着し、上記流体摩擦ブレーキ装置とはシリコンオイル等の粘性流体を攪拌する際に発生する抵抗を利用したものであり、又初期開力補助装置とはゼンマイバネを軸に巻き付けて構成したことを特徴とする半自動式吊戸装置。
【請求項2】 僅かに傾斜した上レールに吊設され、押し開かれた吊戸が独りでに閉じることが出来る半自動式吊戸装置において、流体摩擦ブレーキ装置と初期開力補助装置、及びこれら装置の軸に備えたピニオンが噛み合うラックを、吊戸側と上レール側にそれぞれ取着し、上記流体摩擦ブレーキ装置とはシリコンオイル等の粘性流体を攪拌する際に発生する抵抗を利用したものであり、又初期開力補助装置とはゼンマイバネを軸に巻き付けて構成し、吊戸が完全閉鎖に近づいたところで流体摩擦ブレーキ装置のピニオンがラックから外れる位置に設けたことを特徴とする半自動式吊戸装置。
【請求項3】 流体摩擦ブレーキ装置と初期開力補助装置のピニオンが同一のラックと噛み合うようにした請求項1、又は請求項2記載の半自動式吊戸装置。
【請求項4】 僅かに傾斜した上レールに吊設され、押し開かれた吊戸が独りでに閉じることが出来る半自動式吊戸装置であって、完全閉鎖状態にある吊戸を押し開く際の開力を補助する為の装置において、ケース内にはゼンマイバネを収容して内端は軸に固定すると共に外端はケースに固定し、そして上記軸をケースから突出してピニオンを取着し、このピニオンは吊戸の開閉にともなってラックと噛み合って回転し、上記ゼンマイバネを軸に巻き付け・巻き戻すようにしたことを特徴とする半自動式吊戸の初期開力補助装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半自動式の吊戸を対象とし、該吊戸を開く際に比較的軽い力で押し開くことが出来るように、初期開力補助装置を備えた吊戸装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半自動式吊戸とは、手で押し開いた吊戸が自動的に閉まるように機能する吊戸であり、この半自動式吊戸装置としては該吊戸を吊設する上レールを前以て傾斜しておき、吊戸の自重を利用して閉じるようにした形式のものが多用されている。図5は従来の一般的な半自動式吊戸装置を表わしている具体例であるが、吊戸(イ)の上端には吊車(ロ)、(ロ)が取着され、吊車(ロ)、(ロ)が上レール(ハ)に載って走行することで吊戸(イ)は開閉することが出来る。
【0003】上レール(ハ)は同図に示すように僅か傾斜していて、押し開いた吊戸(イ)は独りでに閉じることになるが、閉じた際に衝撃をもって戸当り(ニ)に当たらないようにブレーキ装置(ホ)が備わっている。このブレーキ装置(ホ)はピニオン(ト)とラック(チ)から成り、粘性流体を内蔵しているケースの軸端に取着したピニオン(ト)が上レール(ハ)の上部に平行して取付けられているラック(チ)と噛み合うことで、吊戸(イ)にブレーキが作用して静かに閉じることが出来る。
【0004】ところで、このような半自動式吊戸(イ)は傾斜した上レールに沿って開閉することが出来る訳であるが、吊戸(イ)の大きさ(一般的には幅)が大きくなれば重くなって開く際の開力は大きくなる。例えば、幅が900〜1350mmの吊戸において、表面にスチール板を貼り合せた場合であれば、初期開力は0.8〜1.5kgfとなり、動き始めた後では0.3〜0.5kgfと軽くなる。一方、表面板を木質板とした吊戸では、初期開力が0.4〜0.7kgfとなり、動き始めた後では0.1〜0.3kgfとなる。この吊戸の幅がさらに大きくなって重い場合には上記開力は一段と大きくなり、力の弱い老人や子供にとっては半自動式吊戸の開き操作が重たく感じる。
【0005】そこで出願人は半自動式吊戸の初期開力を軽くする為に、リニアモータを備えた吊戸を平成10年6月29日付けで特許出願し(特願平10−199607号)、平成11年8月25日付けで特許査定となっている。この半自動式吊戸装置は「僅かに傾斜した上レールに吊設されて押し開かれた吊戸は自重によって独りでに閉じることが出来る半自動式吊戸装置であり、吊戸の初期開力を軽減する為にリニアモータを備え、完全閉鎖又は完全閉鎖に近い状態から所定の距離だけ該吊戸を開く方向に作用する推進力を働かせる為に、吊戸が僅かに開いた時にリニアモータが起動するスイッチを備えている。」
【0006】
【発明が解決しようとする課題】半自動式吊戸装置にリニアモータを備えることで、該吊戸を比較的軽い力で押し開くことが可能となり、効果的である。しかし、リニアモータは電源を必要とすることで停電時には作動しなく、推進力の調整が容易でない等の問題も残されている。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、電源を必要としないで安定して作動することが出来る初期開力補助装置を備えた半自動式吊戸装置を提供する。
【0007】
【課題を解決する為の手段】本発明の初期開力補助装置はゼンマイバネを利用し、吊戸が閉じる際にこのゼンマイバネが巻かれてエネルギーを蓄え、吊戸を開く際にはこのエネルギーが放出されて開力を補助することが出来るように構成している。ゼンマイバネの巻き取り軸にはピニオンが設けられていて、吊戸が閉じる場合このピニオンはラックと噛み合って回転することでゼンマイバネは軸に巻かれる。このように初期開力補助装置はゼンマイバネ、及びゼンマイバネを巻き付ける軸、該軸に取着しているピニオンで構成され、そしてピニオンが噛み合うラックを有している。
【0008】吊戸及び上レール側には上記初期開力補助装置とラックが取付けられ、同時に流体摩擦ブレーキ装置を備えている。流体摩擦ブレーキ装置はシリコンオイル等の粘性流体を封入した容器内で回転する攪拌羽根を備え、攪拌羽根の軸を容器外へ延ばしてピニオンを取付けている。そしてこのピニオンが噛み合うラックを有している。ここで、上記初期開力補助装置及び流体摩擦ブレーキ装置のピニオンとラックの取付け箇所は特に限定せず、ラックを上レール側に設けてピニオンを吊戸側に取着し、逆にラックを吊戸側でピニオンを上レール側とすることも出来る。
【0009】ところで、吊戸が傾斜した上レールに沿って閉じる場合、初期開力補助装置及び流体摩擦ブレーキ装置のピニオンとラックが噛み合い、閉鎖手前で初期開力補助装置のゼンマイバネの反発力(戻しトルク)が大きくなるならば流体摩擦ブレーキ装置は不要となる為に、ピニオンはラックから外れるようにしている。上記ゼンマイバネの反発力はラックの長さ及びバネ力で調整することが出来、一方の流体摩擦ブレーキ装置はその摩擦抵抗を調整可能としている。以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
【実施例】図1は初期開力補助装置を示している具体例であり、(a)は一部断面を含む側面図、(b)は(a)のA―A断面図、(c)は正面図を示している。ケース1にはゼンマイバネ2が収容されて、内端は軸3に固定され、外端はケース内周に固定されている。上記軸3はケース1の中心に設けられて表面から突出し、そして軸先端にはピニオン5が取着されている。そこで、ピニオン5が回転するならば、ゼンマイバネ2は軸3に巻かれて弾性エネルギーが蓄えられ、その結果、ピニオン5を逆回転するトルク(反発力)が発生する。
【0011】図2は上記初期開力補助装置を備えた吊戸装置を示している。吊戸6の上端には吊車7,7が取着され、吊車7,7は上レール8に載って移動することが出来る。上レール8は僅かに傾斜しており、その結果、手で押し開いた吊戸6は自重の作用にて独りでに閉じることが出来る。同図の9はラックを示し、レール台10に上レール8と平行を成して固定され、前記図1に示している初期開力補助装置11のピニオン5は上記ラック9と噛み合っている。
【0012】初期開力補強装置11は吊車7の吊具13に取着されてピニオン5はラック9と噛み合っている。したがって吊戸6が移動するならばゼンマイバネ2は軸3に巻き付いたり、逆に巻き戻しされたりし、吊戸6が閉じる場合にはゼンマイバネ2が軸3に巻き付くように、又吊戸6が開く場合には巻き戻しされるようになっている。
【0013】すなわち、吊戸6が閉じる場合には、同図に示すラック9の右側から噛み合い始め、ゼンマイバネ2は軸3に巻き付き、ラック9の左端部まで移動することでゼンマイバネ2の巻き付き数は増大して大きな弾性エネルギーがゼンマイバネに蓄積する。初期開力補助装置11のピニオン5がラック9に噛み合う時には、吊戸6の閉鎖速度は大きく、ゼンマイバネ2を巻き付けることで吊戸6の運動エネルギーを弾性エネルギーに変換する為にブレーキとして機能するが、特に重い吊戸6では十分なブレーキ効果がない。
【0014】そこで、本発明の吊戸6には流体摩擦ブレーキ装置12が備わっている。この流体摩擦ブレーキ装置12の軸に備えているピニオンは、同じラック9に噛み合うことが出来る。すなわち吊戸6が閉じる場合、最初に流体摩擦ブレーキ装置12のピニオンがラック9と噛み合い、その為に吊戸6の閉鎖速度は低下する。そしてある程度噛み合いながら移動したところで初期開力補助装置11のピニオン5が該ラック9と噛み合うことになる。
【0015】そして吊戸6の速度が適度に遅くなった完全閉鎖状態で、流体摩擦ブレーキ装置12のピニオンはラック9から外れて初期開力補助装置11のピニオン5だけがラック9と噛み合いながら移動する。そこで、吊戸6は戸先側戸当りに衝撃を伴うことなく接して閉じることが出来る。この場合、ゼンマイバネ2は軸3に大きく巻き付いていて、巻き戻す反発力が発生しており、吊戸6を押し開く力となって蓄積されている。
【0016】したがって、吊戸6を開く際にはこのゼンマイバネ2に蓄積されているエネルギーが放出されて開力を補助することが出来る。この場合、流体摩擦ブレーキ装置12のピニオンはラック9と噛み合って回転するが、ワンウエイクラッチ式である為に回転に抵抗が発生することはない。
【0017】図3は本発明に係る吊戸装置の他の実施例を示している。勿論、基本的構造は前記実施例と同じであるが、初期開力補助装置11は戸尻側吊車の吊具13に取着され、一方の流体摩擦ブレーキ装置12は戸先側吊車の吊具13にそれぞれ取付けられている。したがって、各々の装置のピニオンが噛み合うラックは別々の位置に取着されている。
【0018】同図は吊戸6が閉じた場合であるが、流体摩擦ブレーキ装置12のピニオンはラック14から外れている。しかし、一方の初期開力補助装置11のピニオンはラック15と噛み合ったままである。両装置を別々の吊具13,13に取着することでラック14,15を別々に設ける必要がある。しかしラック14,15の長さ及び位置をそれぞれの装置の機能に合ったものとすることが出来る。
【0019】図4は図2における初期開力補助装置11部分の縦断面を示している。吊戸6は吊車7を介して上レール8に吊設され、吊具13に取着した初期開力補助装置11のピニオン5はラック9と噛み合っている。
【0020】以上述べたように、本発明の半自動式吊戸装置は吊戸が静かに閉じるように流体摩擦ブレーキ装置と、吊戸を開く際の開力を補助する為の装置を備えたものであり、次のような効果を得ることが出来る。
【0021】
【発明の効果】本発明の吊戸装置は初期開力補助装置を備えているために、大きくて重い吊戸であっても比較的軽い力で開くことが出来、子供や老人にとって便利である。例えば、有効開口幅が1200〜1300mmの吊戸で初期開力が1.0〜1.5kgfであったものが、本発明の初期開力補助装置を備えることで、開力が0.5〜0.8kgfとなる。
【0022】そして、この初期開力補助装置はゼンマイバネを利用した装置であり、電源を必要とせず、また吊戸の大きさや重量に応じて調整することが容易であり、常に安定した補助開力を得ることが出来る。
【出願人】 【識別番号】000105693
【氏名又は名称】コマニー株式会社
【出願日】 平成11年12月24日(1999.12.24)
【代理人】 【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
【公開番号】 特開2001−182425(P2001−182425A)
【公開日】 平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願番号】 特願平11−365950