| 【発明の名称】 |
車両のドアヒンジ構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】周防 隆仁
|
| 【要約】 |
【課題】簡便な手段により、必要時にドアを中間開度位置に規制できると共に通常時には全閉位置から全開位置までドアを回動し得る低コストで作業性のよい車両のドアヒンジ構造を提供する。
【解決手段】車体4側に固定される車体側部材2にはドア5を固定するドア側部材3が支持ピン9まわりに枢支される。これにより、ドア側部材3は全閉位置から全開位置まで回動し、第2の当接部17が車体側部材2のストッパ壁8に当って全開位置が規制される。中間位置規制が必要な場合には車体側部材2の孔13にピン12を嵌着し、ドア側部材3の第1の当接部18をこのピンに当てることにより容易に行われる。また、中間位置規制が不必要な場合はピン12を車体側部材2から取り外せばよい。以上の作業はドアヒンジ構造1を取り外すことなく容易に行われる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ドア側と車体側との間に架設され前記ドアを全開閉位置及び中間位置に保持するドアヒンジ構造であって、該ドアヒンジ構造は、前記車体側に固定されると共に全開位置規制用のストッパ壁を形成する車体側部材と、該車体側部材に一端側を枢支されると共に他端側を前記ドア側に固定するドア側部材との組み合わせからなり、前記車体側部材には前記ドアの中間位置規制用のストッパピンが着脱可能に挿着され、前記ドア側部材には、前記ストッパピンに当接する第1の当接部と前記ストッパ壁に当接する第2の当接部が形成されることを特徴とする車両のドアヒンジ構造。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両のドアを全閉位置から全開位置及び必要に応じて中間位置に保持する簡便構造の車両のドアヒンジ構造に関する。 【0002】 【従来の技術】図11に示すように、例えば、車両の側面にはドア5が開閉自在に配置される。このドア5は車体4側にドアヒンジ構造1aにより取り付けられ、図示のように(イ)で示す全閉位置から(ハ)で示す全開位置まで回動すると共に必要に応じて(ロ)に示すようにその中間位置に保持される。このドアヒンジ構造1aは、車体4側に取り付けられる車体側部材2aと、車体側部材2aに一端側を枢支され他端側をドア5側に取り付けられるドア側部材3aとを組み合わせたものからなる。 【0003】図12,図13は従来技術における車体側部材2a及びドア側部材3aの概要構造を示すものである。車体側部材2aは車体4側に固定されるフランジ19とこれから張り出すアーム部20とからなり、アーム部20には2つのピン孔21,22が貫通形成される。一方、ドア側部材3aはドア5側に固定されるフランジ23とこれから張り出すアーム部24とからなり、アーム部24には車体側部材2aの回転中心である孔21と合致する孔25が貫通形成されると共に全開時に車体側部材2aの孔22に挿着されるピン26に当接する当接部27が形成される。なお、図示のように車体側部材2aの孔21とドア側部材3aの孔25には支持ピン28(図12)が挿着される。 【0004】以上の構造の車体側部材2aとドア側部材3aにより、ドア5側に固定されているドア側部材3aを支持ピン28まわりに回動することにより、ドア5は全閉位置から全開位置まで回動する。また、前記のようにドア5の全開位置はドア側部材3aの当接部27とピン26との当接により規制される。 【0005】前記構造のドアヒンジ構造1aの場合は前記のようにドア5は全閉位置から全開位置まで回動するように構成されている。これは乗降性の良さから国内の一般ユーザや体の大きな欧米のユーザが全開位置までドア5が回動することを望むためである。しかしながら、配送関連のユーザではドア5を全開位置まで回動するとドア5が開き過ぎ、狭い場所での乗り降りが不便となる。このため中間位置までドア5を回動させたい場合が多く、ドア5もこの中間位置で保持されることが要請される。従来技術においてもこの要請によりドア5を中間位置で開度規制する手段が採用されているが、従来では前記のドアヒンジ構造1aに図14に示す特別な中間位置規制用ヒンジ29を用いてその要請に対応するのが普通である。 【0006】この中間位置規制用ヒンジ29は図示のように車体側部材2a側に固定されるフランジ30と、これから張り出したアーム部31に固定されるストッパピン32等を有するものからなる。図15は図12に示した車体側部材2aにこの中間位置規制用ヒンジ29を取り付けた状態を示すものである。この中間位置規制用ヒンジ29の取り付けにより図16に示すようにドア側部材3aは全閉位置(イ)から中間位置(ロ)まで回動することができる。なお、この場合はドア側部材3aは全開位置(ハ)まで回動することはできない。 【0007】一方、ドアヒンジ構造に関する公知技術は数多くあるが、例えば、実開平4−134380号公報、特開平8−128251号公報、特開平64−71981号公報、実開平1−83889号公報、特開平8−13890号公報、特開平8−93300号公報等が挙げられる。実開平4−134380号公報の「ヒンジ装置」はドアを270度開放位置に保持し得ると共にその状態で適度のチェック力を付与するようにしたものであり、カム機構やリンク部材及びバネ部材等を用いるやや複雑な構造からなる。特開平8−128251号公報の「自動車用ドアヒンジ」は、ドア開放を中間位置で規制するようにしたものであり、別体の回動角度減少部材を車体側部材側に取り付けるものである。特開平64−71981号公報の「自動車のドアヒンジ」は車体側部材とドア側部材とを連結する支持ピンのまわりに長孔を設け、必要に応じてドアの開放角度を調整可能にすると共にドアの車体側から脱着可能にしたものである。実開平1−83889号公報の「ドアヒンジ構造」はドアを中間位置に保持すると共に全開位置まで開放可能としたものであるが、カム機構やダブルリンク機構やトーションバー等を用いるものである。特開平8−13890号公報の「ドアヒンジ装置」は、ドアを開放位置に一時的に保持可能にするものでリンク機構やクッション装置を有するドアチェック機構を内蔵したものである。また、特開平8−93300号公報の「自動車用ドアヒンジ」はドアの建て付けを調整可能にしたもので、リンク機構や長孔及び調整軸等を用いたものである。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】一般にライン上では図12,図13に示したような全閉位置(イ)から全開位置(ハ)まで回動する大開度仕様のドアヒンジ構造が車体に組み付けられ、中間位置(ロ)で開度規制する仕様のものは前記の大開度位置のドアヒンジ構造を取り外し、図13に示したように中間位置規制用ヒンジ29を組み込むことにより行われていた。従って、ドアの取り外しや取り付け作業やその建付調整等の作業が必要となり、極めて作業性が悪かった。また、中間位置規制用ヒンジ29の分だけコスト高のものとなる。一方、前記した公知技術の場合は、特開平8−128251号公報は前記の従来技術と同様に別体のものを組み込むもので前記のものと同様の問題点がある。また、その他の公知技術はそれぞれ特徴を有するものであるが前記のように構造が複雑であり、コスト高となると共に調整作業が必要となる問題点がある。 【0009】本発明は、以上の要請に鑑みて発明されたものであり、中間位置で開度規制することが可能であり、かつ簡便構造で低コストのものからなり、ライン上で容易に組み付けられ、特別の調整作業を必要としない車両のドアヒンジ構造を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、以上の目的を達成するために、ドア側と車体側との間に架設され前記ドアを全開閉位置及び中間位置に保持するドアヒンジ構造であって、該ドアヒンジ構造は、前記車体側に固定されると共に全開位置規制用のストッパ壁を形成する車体側部材と、該車体側部材に一端側を枢支されると共に他端側を前記ドア側に固定するドア側部材との組み合わせからなり、前記車体側部材には前記ドアの中間位置規制用のストッパピンが着脱可能に挿着され、前記ドア側部材には、前記ストッパピンに当接する第1の当接部と前記ストッパ壁に当接する第2の当接部が形成される車両のドアヒンジ構造を構成するものである。 【0011】通常時には全閉位置から全開位置まで回動し、全開位置で開度規制されるドアヒンジ構造が組み込まれる。中間位置規制が必要な車両に対しては、組み付けられているドアヒンジ構造の車体側部材に予め形成されている孔にストッパピンを挿入するだけでドアを中間位置で開度規制することができる。すなわち、ストッパピンにドア側部材の第1の当接部を当てるのみで中間位置が規制される。なお、中間位置規制が不必要の場合はストッパピンを車体側部材から取り外すだけでよい。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の車両のドアヒンジ構造の実施の形態を図面を参照して詳述する。図3,図4は本発明のドアヒンジ構造1に用いられる車体側部材2とドア側部材3の概要構造を示すものであり、図1,図2はその車体側部材2,ドア側部材3を車体4側及びドア5側に取り付けると共に互いに組み合わせした状態を示す。なお、図1はドア5の全開状態を主に示し、図2はドア5の全閉状態を示すものである。 【0013】図3に示すように、車体側部材2は車体4側に固定されるフランジ6とこのフランジ6から張り出す一対の張り出し部7,7とからなり、張り出し部7,7間の一部にはストッパ壁8が一体的に形成される。また、張り出し部7には支持ピン9の挿着される孔11と、ドア5の中間位置を規制するためのピン12の嵌着される孔13が貫通形成される。 【0014】一方、図4に示すようにドア側部材3は、ドア5側に固定されるフランジ14と、これから張り出す一対の張り出し部15,15とからなる。なお、張り出し部15,15間の幅寸法は車体側部材2の張り出し部7,7間の幅寸法よりも狭く、この張り出し部15,15は張り出し部7,7間に挿入されて回動するように形成される。ドア側部材3の張り出し部15,15のほぼ先端側には支持ピン9の挿通し得る孔16が貫通形成されると共にその内縁側の中間部には凸形状の第2の当接部17と凹形状の第1の当接部18が形成される。なお、第1の当接部18はピン12の挿入可能な凹溝からなる。なお、図2(b)及び図4には車体側部材2の孔11とドア側部材3の孔16に挿入される支持ピン9まわりの詳細構造が示されている。ドア側部材3の張り出し部15,15間にはボス10が架設され、ボス10の上下端にはブッシュ10a,10bが嵌着される。支持ピン9は図2(b)に示すようにボス10を貫通すると共に車体側部材2の張り出し部7,7間を貫通して固定される。 【0015】図1,図2は以上の構造のドアヒンジ構造1の組み付け状態を示すものである。なお、図1はドア5が全開状態にある場合の車体側部材2とドア側部材3との関係位置を示すものであり、この図中に説明の都合上ピン12が記載されているが、ドア5の全開を必要とする場合にはピン12は取り外される。まず、図示のように、車体側部材2はそのフランジ6を車体4側に固定して配置される。一方、そのフランジ14をドア5に固定したドア側部材3はその先端側の孔16を車体側部材2の孔11に合致させ前記のように支持ピン9により連結される。以上によりドア側部材3は支持ピン9を介し車体側部材2に回動可能に支持され、ドア5は支持ピン9まわりに全閉位置から全開位置にわたり回動される。 【0016】図5はドア5の全閉状態における本発明の車体側部材2とドア側部材3との係合状態を示す図である。この場合、ドア5のアウタパネル5aは車体4側のアウタパネル4aとほぼ同一ライン上に配設される。 【0017】図6はドア5が中間位置において規制された状態における車体側部材2とドア側部材3との係合状態を示す。この場合には車体側部材2の孔13にはピン12が嵌着される。ドア側部材3が回動するとその中間位置でドア側部材3の第1の当接部18がピン12に当接する。これにより、ドア側部材3はそれ以上回動することができない。すなわち、ピン12を車体側部材2に嵌着するだけの簡便な手段でドア5の中間位置が規制される。 【0018】図7は図1に示したと同様なドア5の全開位置における車体側部材2とドア側部材3との係合状態を示す。勿論、この場合は車体側部材2へのピン12の嵌着はない。ドア側部材3が全開位置まで回動するとその第2の当接部17が車体側部材2のストッパ壁8に当り、それ以上ドア5は回動できない。それによりドア5の全開位置が規制される。 【0019】以上のように、ドア5が全閉から全開までの範囲で開閉される通常の使用時において本発明のドアヒンジ構造1はそのまま使用されると共に中間位置規制を必要とする車両の場合はドアヒンジ構造1がそのままの状態でピン12を車体側部材2に嵌着させればよく、極めて簡単な方法で中間位置規制ができる。勿論、コスト的にもほとんど問題はない。 【0020】ピン12は前記のように必要時に車体側部材2に嵌着されるが、この嵌着手段としては任意のものでよい。図8乃至図10はその数例を示すものである。図8はピン12の片側にジョグル加工を施してそこにクリップ33を挿着してピン12を車体側部材2側に固定したものである。また、図9はピン12としてボルト形状のものを用いナット34によりピン12を車体側部材2側に固定したものである。また、図10はピン12にセレーション部35を形成し、セレーション部35を車体側部材2側に圧入してピン12を固定したものである。いずれの場合も不必要時においてピン12を車体側部材2側から取り外すことは簡単にできる。また、ピン12の構造やその車体側部材2側への嵌着方法については前記のものに限定するものではない。 【0021】 【発明の効果】以上の説明によって明らかなように、本発明の車両のドアヒンジ構造によれば、通常時にはドアは全閉位置から全開位置まで円滑に開閉できると共にドアの中間位置規制が必要な場合には単にピンを挿入するだけの簡便な手段により中間位置が確実に規制される。勿論、ドアの建付の調整も不必要であり作業性もよく、全体として低コストで実施できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000170 【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年5月29日(2000.5.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089772 【弁理士】 【氏名又は名称】利根川 誠
|
| 【公開番号】 |
特開2001−336338(P2001−336338A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月7日(2001.12.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−159252(P2000−159252) |
|