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【発明の名称】 引戸用レール
【発明者】 【氏名】谷水 健

【氏名】東 幹雄

【氏名】上田 隆一

【要約】 【課題】耐磨耗性を有すると共に、異常磨耗しにくく、かつ、電触を生じない引戸用レールを提供すること。

【解決手段】引戸用レール1は略溝型のベースレール2と上側レール3とからなり、ベースレール2の下側フランジ部先端に嵌合溝4を設け、この嵌合溝4に上側レール3を嵌合している。上側レール3の上面に、引戸本体8を支持する吊車6が、回動自在に嵌合している。上側レール3とベースレール2はアルミニウムからなり、同一の温度膨張係数である一方、上側レール3のアルマイト被膜の厚さをベースレール2のアルマイト被膜の厚さよりも厚くしている。したがって、引戸用レール1の温度が変化しても上側レール3がベースレール2から浮上がらなくて、上側レール3は異常磨耗しなく、かつ、電触も生じない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベースレールと、このベースレール上に配置され、引戸を支持する吊車を回動可能に案内する上側レールとからなる引戸用レールにおいて、上記ベースレールと上記上側レールとは同質の材料からなる一方、上記上側レールが上記ベースレールよりも硬いことを特徴とする引戸用レール。
【請求項2】 請求項1による引戸用レールにおいて、上記ベースレールと上記上側レールとはアルミニウムからなる一方、上記上側レールは、上記ベースレールを被覆するアルマイト被膜よりも厚いアルマイト被膜を有することを特徴とする引戸用レール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば自動扉や手動扉等の引戸本体を支持する吊車を回動可能にガイドする引戸用レールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば建物の出入口の自動扉に用いられる引戸用レールとしては、図2に示すようなものがある。この引戸用レール51はアルミニウム製ベースレール52と、円形断面を有するステンレス鋼製上側レール53とからなる。図1の紙面の垂直方向が引戸用レール51の長手方向である。上記ベースレール52に半円形断面の嵌合溝54を設け、この嵌合溝54に上記上側レール53を嵌合して、上側レール53の両端をベースレール52にビス等で固定している。この上側レール53の上面は吊車55の外周溝が嵌合可能な断面形状をしており、扉本体58を支持する上記吊車55が、上記上側レール53に沿って回動可能に嵌合している。
【0003】上記引戸用レール51のベースレール52は、自動扉の取付枠と一体に形成するためにアルミニウムからなる一方、上記上側レール53は吊車55との間の磨耗に耐えるようにするため、アルミニウムよりも硬いステンレス鋼からなっている。
【0004】また、上記上側レール53はベースレール52に着脱可能に取付けていて、上記上側レール53が磨耗した場合に上側レール53のみを交換して、自動扉の保守費用が安価になるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の引戸用レール51は、ベースレール52と上側レール53の材質が異なって夫々の温度膨張係数が異なるため、引戸用レール1の温度が変化するとベースレール52と上側レール53とが異なる量で膨張あるいは収縮する。そうすると、上記上側レール53の一部がベースレール52から浮上がったりして一直線でなくなる。そうすると、吊車55が上側レール53上の通過を繰り返すと、異常音が出たり、上記上側レール53が異常磨耗する。上側レール53の異常磨耗が著しい場合には、吊車55が上側レール53の異常磨耗部周辺で停止して、自動扉が作動しなくなるという問題がある。
【0006】また、互いに接触するベースレール52と上側レール53は、アルミニウムとステンレス鋼からなるため、両者の接触部分で電触が生じるという問題がある。この電触による腐食が生じると、上側レール53とベースレール52の両方を交換しなければならないので、保守費用が非常に高価になるという問題もある。
【0007】そこで、この発明の目的は、温度が変化しても上側レールがベースレールから浮上がったりしなくて、上側レールが平坦度を損なうことがなく、そのため、上側レールを吊車が通過するときに異常音を生じたり異常磨耗しにくくて、かつ、上側レールとベースレールが電触を生じない引戸用レールを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明の引戸用レールは、ベースレールと、このベースレール上に配置され、引戸を支持する吊車を回動可能に案内する上側レールとからなる引戸用レールにおいて、上記ベースレールと上記上側レールとは同質の材料からなる一方、上記上側レールが上記ベースレールよりも硬いことを特徴としている。
【0009】請求項1の発明の引戸用レールによれば、ベースレールと上側レールは同じ材料なので、温度膨張係数は同じだから、温度の変化に伴って同じ量で膨張あるいは収縮して、上側レールがベースレールから浮上がることがない。そのため、上記上側レールは異常磨耗しにくい。また、ベースレールと上側レールは同じ材料なので、ベースレールと上側レールとの間に電触による腐食は生じない。さらに、上側レールをベースレールよりも硬くしているので、上側レールは磨耗しにくい。したがって、上記引戸用レールは、この引戸用レールを備える扉の性能を長期に亘って安定させて、上記扉の保守費用を安価にする。
【0010】請求項2の発明の引戸用レールは、請求項1による引戸用レールにおいて、上記ベースレールと上記上側レールとはアルミニウムからなる一方、上記上側レールは、上記ベースレールを被覆するアルマイト被膜よりも厚いアルマイト被膜を有することを特徴としている。
【0011】請求項2の発明によれば、ベースレールと上側レールは同一のアルミニウム材料からなるため温度膨張係数は同一で、温度の変化による上側レールのベースレールからの浮上がりが生じないので、上側レールは異常磨耗しにくい。また、ベースレールと上側レールは同一の材料なので、ベースレールと上側レールの間に電触による腐食が生じない。さらに、上記上側レールのアルマイト被膜を、一般に扉の取付枠と一体に形成するベースレールのアルマイト被膜よりも厚くしている。このように、磨耗しやすい上側レールのアルマイト被膜はベースレールのアルマイト被膜よりも厚くする一方、大きな体積となり、また、扉取付枠と一体に形成されることが多いベースレールのアルマイト被膜を薄くしているので、引戸用レールは磨耗しにくく、かつ、安価に製造できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0013】図1は、この発明の実施の形態である引戸用レールの断面図であり、この引戸用レール1は建物の出入口に設けられた自動扉の開閉装置に設けられている。上記引戸用レール1はベースレール2と上側レール3とからなる。上記ベースレール2は略溝型断面を有しており、上記溝型のウェブ部を鉛直方向に向けて配置している。ベースレール2の下側フランジ部先端には嵌合溝4を設け、この嵌合溝4に上記上側レール3を嵌合している。この上側レール3は、長手方向両端部に設けた図示しない2つのストッパーで、上記ベースレール2に固定されている。上記上側レール3の上面は、吊車6の周面に設けた嵌合溝が嵌合可能な断面形状を有して、上記吊車6が上側レール3の上面に、回動自在に嵌合している。この吊車6は吊具7に接続していて、この吊具7は引戸本体8を上記引戸用レール1の下方に吊下げている。上記吊具7は、さらに、モータで駆動されて上記引戸用レール1に平行に進行する図示しないベルトに連結されている。上記引戸用レール1、吊車6、吊具7および引戸本体8の上端部は、カバー10で覆われて、自動扉の開閉装置を構成している。
【0014】上記ベースレール2および上側レール3はアルミニウムからなり、夫々アルマイト被膜を施して、耐腐食性および耐磨耗性を付加している。このアルマイト被膜の厚さは、上側レール3のほうがベースレール2よりも厚く施されている。
【0015】上記構成の引戸用レール1の上側レール3は、引戸本体8の自重を支持する吊車6が回動するにもかかわらず、上記ベースレール2よりも厚いアルマイト被膜を被覆しているため、磨耗しにくい。さらに、上側レール3とベースレール2は、同一のアルミニウム材料からなり、温度膨張係数が同一であるので、引戸用レール1の温度が変化すると、上側レール3とベースレール2が同一の量で膨張および収縮する。すなわち、上側レール3がベースレール2から浮上がることがなくて、常に上側レール3がベースレール2と接触した真直ぐな状態で吊車6が上側レール3上を回動するので、上側レール3は異常磨耗しにくい。
【0016】また、上記上側レール3がベースレール2から浮上がらないので、上側レール3の長手方向両端部をストッパーでベースレール2に固定するだけで、上側レール3がベースレール2から外れることなく固定できる。したがって、上側レール3の交換は容易で、引戸用レール1の保守は容易になる。
【0017】また、上記上側レール3は、ベースレール2のアルマイト被膜よりも厚いアルマイト被膜を設けているので、その上を吊車6が走行しても、耐磨耗性が良く、したがって、上側レール3は長い期間に亘って使用できて、この上側レール3を備える自動扉の保守費用は安価である。また、ベースレール2は一般に構造部材で大型であるが、ベースレール2のアルマイト被膜は通常の薄いアルマイト処理でよく、安価に製造できる。
【0018】さらに、上記上側レール3とベースレール2は同一のアルミニウム材料からなるので、上側レール3とベースレール2は電触による腐食が生じない。したがって、上側レール3とベースレール2を長期に亘って使用できて、この引戸用レールを備える自動扉の保守費用は非常に安価になる。
【0019】上記実施の形態は、引戸用レールを自動扉に用いたが、手動扉に用いてもよい。
【0020】また、上記実施の形態は、引戸用レールの下方に引戸本体を吊下げたが、引戸本体は引戸用レールの上方にあってもよく、要は、引戸等を支持する車が回動する引戸用レールであればよい。また、ベースレールは扉の取付枠と一体に形成してもよく、また、別体に形成してもよい。
【0021】上記実施の形態では、上側レールをベースレールよりも硬くするためアルマイト被膜の厚さを変えたが、熱処理を変えてもよい。また、ベースレールと上側レールを共にステンレス系材料で製造してもよい。
【0022】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1の発明の引戸用レールによれば、ベースレールと上側レールが同一の材料からなるので、温度膨張係数は同一で、温度の変化に伴って上側レールがベースレールから浮上がることがないため、上側レールは異常磨耗しにくい。また、ベースレールと上側レールは同一の材料からなるので、ベースレールと上側レールは電触による腐食が生じない。さらに、上側レールをベースレールよりも硬くしているので、上側レールは磨耗しにくい。したがって、上記引戸用レールは、この引戸用レールを備える扉の性能を長期に亘って安定させて、そのため、扉の保守費用を安価にできる。
【0023】請求項2の発明の引戸用レールによれば、ベースレールと上側レールはアルミニウムからなって温度膨張係数は同一であるので、上側レールはベースレールから浮上がることがなくて、異常磨耗しにくく、さらに、上側レールのアルマイト被膜をベースレールのアルマイト被膜よりも厚くしているので耐磨耗性が良く、長期に亘って使用でき、しかも安価である。
【出願人】 【識別番号】390033042
【氏名又は名称】ダイハツディーゼル株式会社
【出願日】 平成12年2月21日(2000.2.21)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開2001−227235(P2001−227235A)
【公開日】 平成13年8月24日(2001.8.24)
【出願番号】 特願2000−42743(P2000−42743)