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【発明の名称】 扉開閉装置
【発明者】 【氏名】杉井 英人

【要約】 【課題】固定部材に対する扉体の建て付け調整の際、調整に手間取ることのない扉開閉装置を提供する。

【解決手段】固定部材に対する扉体の前方向(同図(A)の矢印方向)又は後方向(同図(B)の矢印方向)の調整をする場合には、カム頭部12cを所定方向に回転させると、ケース体7のカム係合孔7dでカム本体12aが回転係合し、これに伴ってカム軸部12bからの調整プレート8に作用する前又は後方向分力で調整プレート8がケース体7の上記溝7cに案内されて移動する。このとき、取付プレート9が調整プレート8と共に移動し、固定部材に対する扉体の前後方向の調整が完了する。ところで、扉体の、固定部材に対する建て付け状態を確認しながら調整する場合、当該調整に本カム体12を用いると、上記回転係合での接触面圧を十分に確保することができ、建て付け状態を確認しながら移動調整しても、調整位置が移動することがない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固定部材に固着された第1係合部材と、扉体に固着された第2係合部材とを備え、前記固定部材に対する前記扉体の前後方向の調整が行える扉開閉装置において、前記第1係合部材はケース体及び調整プレートを備え、これらのうち前記ケース体を前記固定部材に固着させ、前記調整プレートを前記ケース体に対し前後方向に移動可能に配設する一方、前記ケース体に穿設された長円形状の長軸が前後方向に垂直をなすカム係合孔に係合するカム本体と、該カム本体に、このカム本体の中心軸に対し偏心して突設され、前記調整プレートの穿設孔に緩挿されるカム軸部と、前記調整プレート面上から突出する態様で前記カム軸部に配設されたカム頭部とを備えたカム体を設けてなることを特徴とする扉開閉装置。
【請求項2】 固定部材に固着された第1係合部材と、扉体に固着された第2係合部材とを備え、前記固定部材に対する前記扉体の前後方向及び左右方向の調整が行える扉開閉装置において、前記第1係合部材はケース体、調整プレート、及び取付プレートを備え、これらのうち前記ケース体を前記固定部材に固着させ、前記調整プレート及びこれに取り付けられる前記取付プレートを前記ケース体に対し前後方向に移動可能に配設する一方、前記調整プレート及び取付プレートに係合して該取付プレートを左右方向に移動させる左右調整手段を設けるとともに、前記ケース体に穿設された長円形状の長軸が前後方向に垂直をなすカム係合孔に係合するカム本体と、該カム本体に、このカム本体の中心軸に対し偏心して突設され、前記調整プレートの穿設孔に緩挿されるカム軸部と、前記調整プレート面上から突出する態様で前記カム軸部に配設されたカム頭部とを備えたカム体を設けてなることを特徴とする扉開閉装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家具や建具等に設けられる扉体を開閉するための扉開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、戸体を枠体に対し前後方向、及び左右方向を調整できる扉開閉装置があり、かかる装置において、前後方向(図6中の矢印方向)の調整を行うために採られてきた構成を説明する。図6は、特開平11−117596に開示の従来装置100であり、この装置100における前後方向調整のための装置構成は、戸体を枠体に対し前後方向に移動調整するための前後調整手段として、偏心カムからなる前後調整カム101がベース部材102に回動可能に設けられる一方、この前後調整カム101の本体101aに係合する長穴103が調整プレート104に形成され、更に、回転工具(ドライバ)を係合させて回動操作するための係合溝からなる操作部(図示せず)が前後調整カム101の本体101aに設けられるものである。即ち、この装置100では、調整プレート104に形成された長穴103に、前後調整カム101の本体101aが係合して、上記前後方向の調整が行えるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方向の調整を行う従来装置にあっては、その構造上の問題、特に調整プレートの板厚を大きくすることの難しさから、調整プレートの長穴と前後調整カムとの係合面圧、即ち接触面圧を十分に確保することが困難なために、戸体を当該方向に移動させて、戸体の、枠体に対する建て付け状態を確認しながら移動調整をする際に、上記確認を取るべく一時的に移動停止させながら調整することができ難く、調整に手間取ると言った不具合があった。また、前後調整カムは、従来から操作部を含む全体を、例えば亜鉛ダイカストで一体成形されており、このため、特に、回転工具(ドライバ)が係合する操作部の係合溝が変形し易く、一旦変形を生ずると回転工具では用をなさなくなるため、この方向に対する調整に手間取ると言った不具合があった。
【0004】本発明の目的は、固定部材に対する扉体の建て付け調整の際、調整に手間取ることのない扉開閉装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、本発明の扉開閉装置は、固定部材に固着された第1係合部材と、扉体に固着された第2係合部材とを備え、固定部材に対する扉体の前後方向の調整が行える装置で、第1係合部材はケース体及び調整プレートを備え、これらのうちケース体を固定部材に固着させ、調整プレートをケース体に対し前後方向に移動可能に配設する一方、調整プレートを前後方向に移動可能にさせるカム体は、ケース体に穿設された長円形状の長軸が前後方向に垂直をなすカム係合孔に係合するカム本体と、このカム本体に、当該カム本体の中心軸に対し偏心して突設され、調整プレートの穿設孔に緩挿されるカム軸部と、調整プレート面上から突出させて、例えばドライバなどで操作し易い態様でカム軸部に配設されたカム頭部とで構成されるものである。本装置においては、調整プレートよりケース体の板厚を厚くする方が、調整プレートが移動部材であることや製作上などの観点から容易であることに着目し、ケース体にカム係合孔を設け、このカム係合孔にカム本体が係合する構成を採るようにしているために、上記係合での接触面圧を十分に確保することができ、建て付け状態を確認しながら移動調整しても、調整位置が移動することがないので、当該調整に手間取らなくなる。ところで、本発明に係るカム体は、鋼鉄材から所謂ヘッダで一体成形することも可能であるが、形状が不安定になるという不具合があり、このために、例えばカム本体とカム軸部及びカム頭部とを別体でそれぞれ製作して両者の結合からなるものとした方が好ましく、この場合、カム軸部及びカム頭部を鋼鉄材にすれば、上述のような操作部の係合溝に変形を生ずると言う問題は解消される。また、本発明に係るカム体は、専ら前後方向を調整するための調整プレートにのみ用いられるものでなく、左右方向の調整をも可能な調整プレートに用いられることはもちろんである。
【0006】本発明の扉開閉装置は、固定部材に固着された第1係合部材と、扉体に固着された第2係合部材とを備え、固定部材に対する扉体の前後方向及び左右方向の調整が行える装置で、第1係合部材はケース体、調整プレート及び取付プレートを備え、これらのうちケース体を固定部材に固着させ、調整プレート及びこれに取り付けられる取付プレートをケース体に対し前後方向に移動可能に配設する一方、調整プレート及び取付プレートに係合してこの取付プレートを左右方向に移動させる左右調整手段を設けるとともに、ケース体に穿設された長円形状の長軸が前後方向に垂直をなすカム係合孔に係合するカム本体と、このカム本体に、当該カム本体の中心軸に対し偏心して突設され、調整プレートの穿設孔に緩挿されるカム軸部と、調整プレート面上から突出する態様でカム軸部に配設されたカム頭部とを備えた上述のカム体を設けてなるもので、上述のように本発明に係るカム体で構成することにより前後方向の調整に手間取ることが解消されると同時に、調整手段によって固定部材に対する扉体の左右方向の調整が、前後方向の調整とは独立して行える利便性があり、結果として建て付けに手間を要しない。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の一例を図1〜5を参照して説明する。本実施の形態に係る扉開閉装置1は、前後方向及び左右方向の調整が可能で、本装置1の概略構成は、図1に示すように、固定部材2に固着される第1係合部材3と、扉体4に固着される第2係合部材5とを備えるとともに、更に、これらの部材3と5との連結部材6等を備え、第1係合部材3と第2係合部材5とはこの連結部材6等を介して連設されているもので、係合部材3、5及び連結部材6等が協働することによって、扉体4を自在開閉させることができる。尚、第1係合部材3及び第2係合部材5は、上述のように両者が一組になって固定部材2及び扉体4にそれぞれ固着され、且つ、これら二組が、固定部材2及び扉体4に所定間隔をあけてそれぞれ固着されるのであるが、図1以下ではこのうちの一組のみについてのものが図示されている。
【0008】このような装置1の詳細構成について図2〜4を参照して説明する。第1係合部材3のうちケース体7は、その固定部材2に設けられた凹部2aに嵌合され、当該ケース体7のU字型部7aから延出した両フランジ部7bでビス等によって固着されている。一方、このU字型部7aの底面で、上記フランジ部7bに連接する部位には、下記調整プレート8を案内するための溝7cがそれぞれ設けられ、当該溝7cに沿って調整プレート8が摺動するようになっている。そして、このU字型部7aの略中央には、長軸が前後方向(同図の矢印方向)に垂直をなす長円形状のカム係合孔7dが穿設され、また、当該カム係合孔7dの両側には、固定ネジ穴7eがそれぞれ穿設されている。
【0009】ところで、第1係合部材3は、ケース体7に加えて上記調整プレート8及び取付プレート9をも備えており、このうち調整プレート8は、その一方端に折曲部8aが設けられた板面部材で、他方端の板面部には下記左右調整手段11の下軸部11bを止着するための小孔8bが、また、この小孔8bと上記折曲部8aとの間には下記カム体12のカム軸部12bを緩挿するための穿設孔8cが、更に、穿設孔8cの両側には、上記固定ネジ穴7eに螺着する固定ボルト10のための長円形状の貫通穴8dがそれぞれ設けられている。また、取付プレート9は、調整プレート8に積層される態様をなす板面部材で、その一方端には上記連結部材6が緩挿される円筒体9aが形成され、他方端の板面部には、左右調整手段11の上軸部11aに螺刻されたネジ山に螺合するネジ穴9bが設けられ、このネジ穴9bと上記円筒体9aとの間にはカム体12のカム頭部12cに開口する窓としての大孔9cが、更に、大孔9cの両側には、上記固定ネジ穴7eに螺着する固定ボルト10のための長円形状の貫通穴9dがそれぞれ設けられている。そして、取付プレート9の円筒体9aは、扉体4に固着される取付プレートである第2係合部材5の円筒部5aに連設され、これら円筒体9a及び円筒部5aに棒状の連結部材6が緩挿される。したがって、第1係合部材3のうちの取付プレート9が連結部材6を介して第2係合部材5に連設される。
【0010】ところで、上記調整手段11は、上述のように、取付プレート9との係合では、その上軸部11aのネジ山がネジ穴9bに螺合する態様が採られ、調整プレート8との係合では、その下軸部11bが小孔8bに止着する(本実施の形態では、下軸部11bの下端をカシメて止着する)態様が採られているために(図3参照)、取付プレート9に対し当該調整手段11を進退させることよって取付プレート9が折曲部8aを支点として左右方向(矢印P又はQ方向)に回転し、その結果、固定部材2に対する扉体4の左右方向の調整が、前後方向(矢印R又はS方向)の調整とは独立して行える。ちなみに、取付プレート9は、調整プレート8の移動に伴って移動し、後述するように、カム体12によって固定部材2に対する扉体4の前後方向の調整が行えるようになっている。尚、調整プレート8及び取付プレート9の移動に伴ってこれらと固定ボルト10との干渉が生ずる場合がある。このため、貫通穴8d及び貫通穴9dが上述のように長円形状に形成されている。
【0011】上記カム体12は、図4に詳細に示すように、ケース体7のカム係合孔7dに係合するカム本体12aと、このカム本体12aに、当該カム本体12aの中心軸に対し偏心して突設され、調整プレート8の穿設孔8cに緩挿されるカム軸部12bと、調整プレート8面上から突出する態様でカム軸部12bに配設されたカム頭部12cとで構成されるものであるが、カム頭部12cの操作部の係合溝(本実施の形態では、十字溝)に変形を生じ難くするために、カム頭部12c及びカム軸部12bを鋼鉄材とし、また、カム本体12aを従来の亜鉛材として、カム頭部12c及びカム軸部12bとカム本体12aとを別体でそれぞれ製作し、カム軸部12bに突設させた矩形状軸12dを、カム本体12aの中心軸に偏心して穿設された貫通孔に嵌入させ、矩形状軸12dの軸端をカシメて構成されるようにしている。ところで、カム頭部12c及びカム軸部12bとカム本体12aとが別体であると、上記偏心度の大きさを選択する自由度が増し、当該偏心度を大きくすると、カム頭部12cの僅かな回転でも、後述する前後方向の調整の際の適宜な調整量を確保できる利点がある。
【0012】次に、本装置1によって、固定部材2に対する扉体4の前後方向の調整をするやり方を図5を参照して説明する。当該調整は、上記左右方向の調整とは独立して行えることは上述の通りである。まず、固定部材2に対する扉体4の前方向(同図(A)の矢印方向)の調整、即ち、扉体4を固定部材2に近づける調整をする場合には、取付プレート9の大孔9cからカム頭部12cの十字溝に、例えばドライバを差し込んで適宜方向に回転させると、ケース体7のカム係合孔7dでカム本体12aが回転係合し、この回転係合に伴ってカム軸部12bから調整プレート8に当該調整プレート8を移動させる力が作用するが、そのうちの前方向の分力により調整プレート8がケース体7の上記溝7cに案内されて前方向に移動する。このとき、取付プレート9が調整プレート8と共に移動し、固定部材2に対する扉体4の前方向の調整が完了する(同図(A))。ところで、このような調整の際には、扉体4を当該方向に移動させて、扉体4の、固定部材2に対する建て付け状態を確認しながら調整することが通常であるが、当該調整に本カム体12を用いると、上記回転係合での接触面圧を十分に確保することができ、建て付け状態を確認しながら移動調整しても、調整位置が移動することがないので、当該調整に手間取らなくなる。
【0013】固定部材2に対する扉体4の後方向(同図(B)の矢印方向)の調整、即ち、扉体4を固定部材2に遠ざける調整をする場合には、十字溝にドライバを差し込んで、上述とは反対方向に回転させ、調整プレート8及び取付プレート9を後方向に移動させて固定部材2に対する扉体4の後方向の調整が完了する(同図(B))。この場合においても、上記回転係合における接触面圧を十分に確保することができ、建て付け状態を確認しながら移動調整しても、調整位置が移動することがないので、当該調整に手間取らなくなる。上記調整完了後には、ケース体7に取付プレート9を固定すべく固定ボルト10を、取付プレート9及び調整プレート8を通して固定ネジ穴7eに螺着させればよい。
【0014】
【発明の効果】本発明の扉開閉装置によれば、固定部材に対する扉体の建て付け調整の際、調整に手間取ることはない。
【出願人】 【識別番号】000137959
【氏名又は名称】株式会社ムラコシ精工
【出願日】 平成11年12月24日(1999.12.24)
【代理人】 【識別番号】100104857
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 幸雄
【公開番号】 特開2001−182418(P2001−182418A)
【公開日】 平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願番号】 特願平11−365718