トップ :: E 固定構造物 :: E05 錠;鍵;窓または戸の付属品;金庫




【発明の名称】 錠 前
【発明者】 【氏名】北島 裕嗣

【要約】 【課題】僅かな回動角度でラッチを退入させることができ、しかも小型化したラッチ錠を提供する。

【解決手段】ハブ18の回動に応じてラッチ14に接続されたロッド(連接部材)16を駆動して錠本体10からラッチ14を突出・退入させる錠前1であって、ハブ18の回動に応じてロッド16を退入駆動する駆動片22を有し、駆動片22は錠本体10に回動自在に枢支され、枢支点22aから展伸してロッド16に係合される駆動アーム22bと、ハブ18との間に当該ハブ18の回動に連動して回動するための回動伝達手段23とを備えて構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハブの回動に応じてラッチに接続された連接部材を駆動して錠本体からラッチを突出・退入させる錠前であって、前記ハブの回動に応じて前記連接部材を退入駆動する駆動片を有し、該駆動片は錠本体に回動自在に枢支され、該枢支点から展伸して前記連接部材に係合される駆動アームと、前記ハブとの間に当該ハブの回動に連動して回動するための回動伝達手段とを備えて形成されており、前記ハブの回動に応じて前記駆動片が回動すると、前記駆動アームの対応した回動によって前記連接部材を退入させることを特徴とする錠前。
【請求項2】 前記回動伝達手段が、前記駆動片の枢支点近傍に設けた被係合部と、該被係合部に対応させて前記ハブ側に設けた係合部とで構成されることを特徴とする請求項1に記載の錠前。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は錠前に係り、更に詳しくは、ハンドルなどの僅かな回動によってラッチを退入させるようにしたラッチ錠に関する。
【0002】
【従来の技術】家屋などの建築物の扉にはラッチ錠が広く使用されている。図4(a)はこのようなラッチ錠の内、チューブラ型のラッチ錠100の一例を示したものである。このラッチ錠100は、本体ケース104と正面板105で成る錠本体101を有し、錠本体101に設けられた開口部102からラッチ103が突出・退入するものである。
【0003】ラッチ103の後端にはL字形状のロッド(連接部材)106が接続され、ロッド106の後方には係合開口106aが設けられている。また、本体ケース104に固定された支持部107とラッチ103後端部との間には突出用のばね108が設けられている。本体ケース104の中央には角芯(不図示)が貫通するハブ109が回動自在に取り付けられており、ハブl09の突出部109aは本体ケース104内壁に沿って設けられた駆動板110の係合開口110aと係合している。また、ハブ109の後方には駆動片111が本体ケース104に回動自在に取り付けられ、駆動片111の連動アーム111aは駆動板110の係合開口110aに係合すると共に、駆動アーム111bはロッド106の係合開口106aに係合されている。尚、ハブ109には孔109bが設けられ、ドアハンドルに固定された角芯(不図示)を貫通させることによってドアハンドルの操作に応じて回動するようにされている。
【0004】このラッチ錠100では、常時はラッチ103の先端部はばね108によって付勢されて錠本体101の開口部102から突出している。ドアハンドル(不図示)を回すとハブ109が回動し、ハブ109の突出部109aが駆動板110を前方(図において左方向)へ押動する。この駆動板110の前方移動により駆動片111は時計方向に回動する。これにより駆動片111の駆動アーム111bがロッド106を後方(図において右方向)へ押動して、図4(b)に示したようにラッチ103を錠本体101内に退入させて解錠するようになっている。
【0005】則ち、このようなラッチ錠100では、チューブラ型であるが故に本体ケース104内のスペースが一般のラッチ錠に比べて非常に狭い。このため、ハブ109の突出部109aの長さを大きくして、ハブ109の僅かな回動によってラッチ103を退入させるような構造が採れない。このため、駆動板110や駆動片111を用いてハブ109の回動に基づいた大きな移動を等価的に生み出し、これによってラッチ103の退入動作を行わせている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが前記したように、このようなラッチ錠100ではスペース上の制約から駆動板110や駆動片111などを介した複雑な構成を採るため製造コストの増加を招いていた。また、ラッチ103を錠本体101に退入させるためには、ハブ109を20〜30度程度も回動する必要があり、レバーハンドル(不図示)を同じ角度だけ回さなければ解錠できず使い勝手に問題を残していた。
【0007】このため、簡単な構成で、しかも、僅かなレバーハンドルの回動操作でラッチを退入させて開扉できるチューブラ型(小型)のラッチ錠の開発が待たれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記した事情に鑑みて提案される本発明は、ハブの回動に応じてラッチに接続された連接部材を駆動して錠本体からラッチを突出・退入させる錠前であって、ハブの回動に応じて連接部材を退入駆動する駆動片を有している。この駆動片は錠本体に回動自在に枢支され、枢支点から展伸して連接部材に係合される駆動アームと、ハブとの間にハブの回動に連動して回動するための回動伝達手段とを備えて形成されている。そして、ハブの回動に応じて駆動片が回動すると、駆動アームの対応した回動によって連接部材を退入させるものである。
【0009】この構成の錠前によれば、ハブと駆動片との間に設ける回動伝達手段によって、ハブの回動角度に応じた駆動片の回動角度を調整することができる。則ち、ハブの回動角度に対する駆動片の回動角度を大きく設定すれば、僅かなハブの回動によって駆動片を大きく回動させることができる。これにより駆動アームが大きく回動して連接部材(ラッチ)を退入させることが可能である。特に、チューブラ型のラッチ錠では、スペース上の制約からラッチを退入させる構造が複雑になりがちである。しかし、本発明によればハブと駆動片との間に設けた回動伝達手段によってハブの回動に基づいた大きな回動移動を駆動片に与えることができ、この駆動片の回動によってラッチを容易に退入させることができる。尚、回動伝達手段はハブの回動に応じて駆動片を回動するものであれば、種々の構成を採ることが可能である。また、駆動アームが連接部材に係合する係合部分と枢支点との長さを大きく形成すれば、駆動片の僅かな回動によって駆動アームの係合部分を大きく回動移動させることができる。これにより、ハブの僅かな回動によって等価的に大きな移動を生じさせてラッチを退入させることが可能である。
【0010】前記本発明において、駆動片とハブとの間に設ける回動伝達手段を、駆動片の枢支点近傍に設けた被係合部と、この被係合部に対応させてハブ側に設けた係合部とで構成することもできる。
【0011】この構成によれば、駆動片側の被係合部とハブ側の係合部とを係合させることによりハブの回動に応じて駆動片を回動させる種々の形態をとることができる。例えば、駆動片の枢支点近傍に係合突起(被係合部)を設け、この係合突起をハブ側に対応させて設けた係合凹部(係合部)に係合させた構成とすることができる。また、駆動片の枢支点近傍に断面が歯車状の係合歯(被係合部)を設け、この係合歯をハブ側に対応させて設けた同様の歯車状の係合歯(係合部)に噛み合わせる構成などを採ることも可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る錠前1を説明する。図1は本発明の実施形態に係る錠前1を本体ケース11のカバーを取り外した状態で示した正面図である。この錠前1は、錠本体10を有し、錠本体10に設けられた開口部13からラッチ14が突出・退入するものである。錠本体10は、本体ケース11と正面板12によって構成される。本体ケース11にはフランジ部15が設けられ、該フランジ部15と正面板12には、両者を連通する開口部13が設けられている。
【0013】ラッチ14の後端側には断面が略L字形状のロッド(連接部材)16が接続され、ロッド16は本体ケース11の内面に沿って後部まで延びている。このロッド16の後端部と本体ケース11後部との間には突出用のばね17が取り付けられ、ロッド16を突出側に付勢している。これにより、常時は、ラッチ14の先端部は突出方向(図において左方)へ付勢されて錠本体10の開口部13から突出している。
【0014】本体ケース11の中央部には円筒状のハブ18が本体ケース11に対して回動自在に取り付けられている。ハブ18の近傍には駆動片22が枢支点22aによって本体ケース11に回動自在に枢支されており、枢支点22aから駆動アーム22bを展伸してその先端部分は後述するようにロッド16に係合されている。また、駆動片22はハブ18との間にハブ18の回動に連動して回動するための回動伝達手段23を備えており、ハブ18を時計方向へ回動させると駆動片22が連動して反時計方向へ回動するようになっている。尚、ばね19は移動体20を介してハブ18の突出部18aに常時反時計方向の付勢力を加えており、この突出部18aは本体ケース11に設けられたストッパ21で当接支持されている。
【0015】図2は本発明の実施形態に係る錠前1の主要部を分解斜視図で示したものである。図において、ロッド16は断面が略L字形の板状に成され、後方に延びる平板部分の中央部には駆動片22の駆動アーム22bが係合する係合開口16aが開けられている。ロッド16の先端部16bには図1で示すラッチ14が当接しており、常時はロッド16が突出側へ付勢されることによってラッチ14は図1で示す正面板12に当接支持されている。
【0016】駆動片22は小径の円筒中心部に枢支点(枢支穴)22aが開けられ、枢支点22aの近傍に係合突起(被係合部)22cが設けられると共に、この枢支点22aから駆動アーム22bを展伸させて形成されている。この駆動アーム22bの先端部は前述したようにロッド16の係合開口16aに係合している。尚、枢支点(枢支穴)22aは本体ケース11に固定されたピン(不図示)に挿入して枢支されるようになっている。
【0017】ハブ19は円筒状の中心部の上方に短い突出部18aを設けた形状に成され、その中心部にはドアハンドルの角芯(不図示)を貫通させる角孔18bが開けられている。また、円筒外周上であって駆動片22の係合突起22cに対応した部分には、係合突起22cを係合する係合凹部(係合部)18cを設けている。則ち、ハブ19の係合凹部18cと駆動片22の係合突起22cとの係合によって回動伝達手段23を形成している。従って、ハブ18を時計方向に回動すると係合凹部18cに係合した係合突起22cが上方(図において)に押動され、駆動片22には枢支点22aを中心とした反時計方向の回転モーメントが生じて回動するようにされている。尚、ハブ18の円筒外周上に係合凹部18cに隣接して設けられた凹部18dは、駆動片22の回動時に駆動アーム22bがハブ19に当たって回動が制限されることを防ぐためのものである。また、図ではロッド16を付勢するばね17、及び移動体20を介してハブ18を付勢するばね19は省略している。
【0018】次に、本発明の実施形態に係る錠前1の動作を、図3(a)〜(c)を参照して説明する。尚、図3(b)は、錠前1の上面図を示している。図3(a)に示すように、常時はラッチ14はばね17の付勢力をロッド16を介して受けて、開口部13から突出している。ドアハンドル(不図示)の操作によりハブ18がばね19の付勢力に抗して時計方向へ回動すると、係合凹部18cと係合突起22cで成る回動伝達手段23によって駆動片22は枢支点22aを中心として反時計方向へ回動を始める。これにより、ロッド16に係合した駆動片22の駆動アーム22bがロッド16を後方(図において右方)へ押動し始める。
【0019】ロッド16が後方へ移動し始めると、ラッチ14がロッド16から受けていた突出側への付勢力が解除され、ラッチ14は図3(b)の矢印で示すように水平方向へ回動可能となる。この状態で、ラッチ14が扉の係合金具(不図示)から側圧Fを受けると図3(b)の破線で示すようにラッチ14は水平方向へ回動して傾斜部分が反転する。この状態になれば、ラッチ14は開扉動作によって図3(c)に示すように錠本体10内に退入する。則ち、ハブ18を僅かな角度だけ回動させれば、開扉動作によってラッチ14を退入させながら解錠することができる。
【0020】また、開扉動作を行わない場合でも、ハブ18の回動が進み、回動角度が15〜20°程度になると、図3(c)に示すようにラッチ14は開口部13から退入するので解錠することができる。
【0021】このように、本実施形態に係る錠前1では、回動伝達手段23によってハブ18の回動角度よりも大きい回動角度だけ駆動片22を回動させることができる。これにより、駆動片22の駆動アーム22bの先端でロッド16を駆動して大きく退入移動させることができる。則ち、ハブ18の回動を回動伝達手段23と駆動片22の駆動アーム22bとで等価的に拡大させてラッチ14を移動させるので、従来の錠前に比べて簡単な構造であるにも拘わらず、より少ない回動角度で解錠可能である。
【0022】このように、本発明によれば、小さな駆動片18を設けただけの簡単な構成により、ドアハンドルの僅かな回動でラッチを退入することができるので、スペースの小さいチューブラ型の錠前に好適に用いることができる。
【0023】尚、前記した本実施形態の錠前1では、回動伝達手段23をハブ18側に設けた係合凹部18cと駆動片22側に設けた係合突起22cで構成している。しかし、本発明はこのような構成に限られるものではなく、例えば、駆動片22の枢支点近傍に断面が歯車状の係合歯を設け、ハブ18の対応した位置にも同様に係合歯を設けて、これらの係合歯同士を噛み合わせることによって回動伝達手段を構成するなど、種々の構成を採ることが可能である。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、ハンドルの僅かな回動操作で解錠することができるので、お年寄りや体の不自由な人にも使い勝手が向上した錠前を提供できる。また、構造が簡単でスペースを要しないため、チューブラ型の小型錠にも好適に用いることができ、省コスト化が可能である。
【出願人】 【識別番号】000147442
【氏名又は名称】株式会社西製作所
【出願日】 平成12年5月16日(2000.5.16)
【代理人】 【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
【公開番号】 特開2001−323706(P2001−323706A)
【公開日】 平成13年11月22日(2001.11.22)
【出願番号】 特願2000−143793(P2000−143793)