トップ :: E 固定構造物 :: E05 錠;鍵;窓または戸の付属品;金庫




【発明の名称】 グローブボックスのロック装置
【発明者】 【氏名】中谷 浩之

【要約】 【課題】製造工数の低減および軽量化の推進が可能なように改良されたグローブボックスのロック装置を提供する。

【解決手段】グローブボックス(4)の開口に設けられたリッド(5)の閉状態を保持するべく、コ字形に曲折した丸棒材からなるストライカ(19)に係合可能なラッチカム(11)と、ラッチカムのストライカとの係合状態を保持するためのスライダ(12)と、ラッチカムを揺動可能に支持すると共にスライダを摺動可能に支持するためのベース(9)とを有するグローブボックスのロック装置(7)におけるラッチカムを、一対のカムプレート(13)からなるものとする。これにより、ラッチカムを合成樹脂化しても十分な強度を確保し得るので、製造工数の低減および軽量化の推進を実現し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 グローブボックスの開口に設けられたリッドの閉鎖状態を保持するべく、コ字形に曲折した丸棒材からなるストライカの中央部に係合可能なラッチカムと、前記ストライカと係合した状態に前記ラッチカムを保持するためのスライダと、前記ラッチカムを揺動可能に支持すると共に前記スライダを摺動可能に支持するためのベースとを有するグローブボックスのロック装置であって、前記ラッチカムは、前記スライダとの係合部を各々が備えた一対のカムプレートからなることを特徴とするグローブボックスのロック装置。
【請求項2】 前記スライダは、少なくともその一方が前記一対のカムプレートの対向面同士間に入り込める寸法とされた一対の係合部を備えており、これら一対の係合部は、前記ストライカとの係合解除時に前記一対のカムプレートのうちの一方が通過し得る隙間をおいて並び、かつ前記一対のカムプレートの各々と個別に係合可能なものであることを特徴とする請求項1に記載のグローブボックスのロック装置。
【請求項3】 前記一対のカムプレートの対向面同士間に於ける前記スライダとの係合部を除く部分が補強プレートで連結されることを特徴とする請求項1若しくは2に記載のグローブボックスのロック装置。
【請求項4】 前記ベースに於ける前記スライダの支持部が左右対称形であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のグローブボックスのロック装置。
【請求項5】 前記スライダの弾発付勢手段は、コイルばねであることを特徴とする請求項4に記載のグローブボックスのロック装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グローブボックスの開口に設けられたリッドの閉鎖状態を保持するためのロック装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】左右方向にスライド自在なノブを操作することでストライカに係合したラッチ機構を解除することにより、リッドが開くようにしたグローブボックスのロック装置が知られている(実公平1−11900号公報など参照)。
【0003】この従来のロック装置は、コ字形に曲折した丸棒材からなるストライカの中央部に係合可能なラッチカムと、ストライカと係合した状態にラッチカムを保持するためのスライダと、ラッチカムを揺動可能に支持すると共にスライダを摺動可能に支持するためのベースとを備えており、リッドの内面にベースが固定され、グローブボックスの開口内縁にストライカが固定されている。また、ラッチカムはストライカとの係合状態を解除する向きの弾発付勢力が与えられ、スライダはラッチカムのストライカとの係合状態を保持する向きの弾発付勢力が与えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、この従来の構造によると、リッドの閉鎖強度を確保する都合上、ラッチカムを金属材料で形成する必要がある。そのため、防錆処理を施さねばならないなど、製造工程の簡略化が困難である上、重量が増大しがちであった。
【0005】本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、製造工数の低減および軽量化の推進が可能なように改良されたグローブボックスのロック装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を果たすために、本発明の請求項1では、グローブボックス(4)の開口に設けられたリッド(5)の閉鎖状態を保持するべく、コ字形に曲折した丸棒材からなるストライカ(19)の中央部に係合可能なラッチカム(11)と、ストライカと係合した状態にラッチカムを保持するためのスライダ(12)と、ラッチカムを揺動可能に支持すると共にスライダを摺動可能に支持するためのベース(9)とを有するグローブボックスのロック装置(7)におけるラッチカムを、スライダとの係合部を各々が備えた一対のカムプレート(13)からなるものとした。これにより、合成樹脂化しても十分な強度を確保し得るようにした。
【0007】また本発明の請求項2では、スライダの構成を、少なくともその一方が一対のカムプレートの対向面同士間に入り込める寸法とされた一対の係合部(実施の形態中の歯22)を備えるものとすると共に、これら一対の係合部を、ストライカとの係合解除時に一対のカムプレートのうちの一方が通過し得る隙間(G)をおいて並び、かつ一対のカムプレートの各々と個別に係合可能なるものとした。これにより、一対のカムプレートを設けたにも関わらず、それに係合するスライダの移動距離を短縮化し得るようにした。
【0008】そして本発明の請求項3では、一対のカムプレートの対向面同士間に於けるスライダとの係合部を除く部分を補強プレート(14)で連結することにより、ラッチカムの強度をより一層高めるものとした。
【0009】さらに本発明の請求項4では、ベースに於けるスライダの支持部を左右対称形とすることによって左右勝手違いにも容易に対応し得るものとし、これに加えて請求項5では、スライダの弾発付勢手段をコイルばねとして左右勝手違いの場合にも部品が共用可能となるようにした。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0011】図1は、本発明が適用されたグローブボックスを備えた車室前面のダッシュボード1を示す斜視図である。このダッシュボード1には、運転席側(車体の右側)にステアリングホイール2が設けられ、オーディオ装置、空調装置の操作盤などが設けられたセンターコンソール3を挟んで助手席側の正面下部に、グローブボックス4が設けられている。
【0012】グローブボックス4には、下端側をヒンジとして開閉可能なリッド5がその開口面に設けられている。また、リッド5は、後記するロック装置で閉鎖状態を保持するようにされているが、このロック装置は、リッド5の中央部上側に設けられた左右方向にスライドするノブ6の操作で解除し得るようになっている。
【0013】ロック装置7は、図2及び図3に良く示すように、左右方向に延設された耳板8をもってリッド5の内面に固定されるベース9と、ベース9の上下方向中間位置に設けられた軸突起10に支持されて回動可能なラッチカム11と、ラッチカム11に係合してラッチカム11をロック状態に保持するべくベース9の下部に摺動可能に支持されたスライダ12とを有している。これらを構成する各部材は、合成樹脂材の射出成形によって形成されている。
【0014】ラッチカム11は、図3に示したように、同一形状の一対のカムプレート13と、一対のカムプレート13の対向面同士間を連結する補強プレート14とからなり、各カムプレート13の外側面に設けられた軸受孔15が、ベース9に一体形成された軸突起10と係合し、ベース9に対して回動可能なようになっている。
【0015】ラッチカム11の上部には、各カムプレート13の軸支部より上方に設けられた前側突起16と、一対のカムプレート13間に上向きに設けられた後側突起17とにより、側方から見てU字形をなすストライカ受容溝18が形成されている。このストライカ受容溝18が、グローブボックス4の開口に設けられたコ字形に曲折した丸棒材からなるストライカ19の中央部に対し、リッド5を閉じた時に係合するようになっている。
【0016】またラッチカム11は、一端をベース9に係止したねじりコイルばね20により、ストライカ19との係合を解除する方向に常時弾発付勢されている。
【0017】他方、ベース9に於ける一方のカムプレートの前側突起16の後面(リッド内面との対向面)に対向する位置には、ゴム材などからなるクッション部材21が取り付けられており、ストライカ19がストライカ受容溝18に係合した時に発する打音の軽減を図っている。
【0018】各カムプレート13の軸支部より下方側には補強プレート14が設けられておらず、この部分には、スライダ12に設けられた一対の歯22の各々と個別に係合し得るノッチ23が設けられている。
【0019】スライダ12は、垂直断面が概ねL字形をなし、その一端に、上記の如き各カムプレート13の下部に設けられたノッチ23に係合し得る一対の歯22が、一対のカムプレート13の軸方向間隔に対応して設けられている。また一対の歯22の幅は、それぞれ一対のカムプレート13の対向面同士間に入り込める寸法とされていると共に、ストライカ19との係合解除時に一方のカムプレート13のノッチ23部分が通過し得る隙間Gをおいて並べられている。
【0020】これら一対の歯22の上端の後面には、ベース9の下部前面に設けられた溝24に係合する突条25が設けられている。そしてスライダ12のL字形断面の他端には、ベース9の下端縁に引っ掛かる爪26が設けられている。これら突条25と爪26とをもって、スライダ12がベース9に摺動可能に係合している。これにより、スライダ12は、ラッチカム11の回動を阻止するロック位置と、ラッチカム11の回動を許容する、即ちロックを解除するフリー位置との間で摺動可能となっている。また、スライダ12は、その軸線方向端面に設けられたばね受け27と、ベース9の下部中央に設けられたばね受け28との間に装着された圧縮コイルばね29により、上記したロック位置に向けて弾発付勢されている。
【0021】スライダ12には、リッド5の外面に露出するノブ6が係合している。このノブ6を介してスライダ12をロック解除位置へ向けて摺動させることができるようになっている。
【0022】次に本発明装置の作動要領を説明する。
【0023】リッド5が開いた状態では、ラッチカム11はねじりコイルばね20の弾発力によって回動し、図3に想像線で示した位置にある。この位置にラッチカム11があると、スライダ12の2つの歯22の側端面がラッチカム11の2つのカムプレート13の下部側面に突き当たっているので、圧縮コイルばね29の弾発力が加わっているにも関わらず、スライダ12は右方(座席から見て)のフリー位置を維持する。
【0024】この状態からリッド5を閉じると、ストライカ19がラッチカム11の後側突起17の前面に当接し、ねじりコイルばね20の弾発力に抗して図3に於ける時計回りにラッチカム11を回動させる。これにより、ストライカ19がラッチカム11の前側突起16と後側突起17との間のストライカ受容溝18に入り込む。この時のラッチカム11の回動に伴い、ラッチカム11の2つのカムプレート13の下部側面に当接していたスライダ12が圧縮コイルばね29の弾発力によって左動し、2つのカムプレート13の各ノッチ23に、スライダ12の2つの歯22がそれぞれ係合する。これにより、ストライカ受容溝18にストライカ19を受容したロック状態にラッチカム11が保持され、即ちリッド5の閉鎖状態が保持されることとなる。
【0025】ここで、リッド5の閉鎖状態は、両カムプレート13の前側突起16とノッチ23との閉鎖保持力で保たれる。つまりリッド5の閉鎖保持力は、専らカムプレート13の強度に依存する。そこで本発明に於いては、ラッチカム11のカムプレート13を2枚とし、これらの対向面同士間に於けるノッチ23部を除く部分を補強プレート14で連結すると共に、2つの歯22と2つのノッチ23とが個別に係合するものとした。これにより、ラッチカム11を合成樹脂材で形成した上で、所期の強度を得ることができる。
【0026】リッド5を開く場合は、圧縮コイルばね29の弾発力に抗して図2における左方(座席から見て右方)へスライダ12をノブ6と共に移動させ、各ノッチ23と各歯22との係合を解除する。すると、リッド5の自重およびラッチカム11に加わるねじりコイルばね20の弾発力によってラッチカム11が図3に於ける反時計回りに回動し、ストライカ受容溝18からストライカ19が離脱してリッド5が開放状態となる。
【0027】ここで、本発明においては、スライダ12の一対の歯22の幅寸法を、一対のカムプレート13の対向面同士間に入り込める寸法とすると共に、これら一対の歯22を、ストライカ19との係合解除時に一対のカムプレート13のうちの一方のノッチ23部が通過し得る隙間Gをおいて並べ、かつ一対のカムプレート13の各ノッチ23と一対の歯22とが個別に係合可能なものとした。これにより、一対のカムプレート13を並設したにも関わらず、これに係合するスライダ12の移動距離が過度に長くなることを回避している。
【0028】また、本実施例は、運転席が右側にある車両のグローブボックスについてのみ説明したが、ベース9のスライダ12との係合部を左右対称形にしたので、運転席が左側にあるものに対しては、スライダ12及びノブ6を上記と勝手反対に製作するだけで対応することができる。これに加えて、スライダ12に対する弾発付勢手段をコイルばね29とすれば、左右勝手違いの場合にも部品を共用可能である。
【0029】
【考案の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の請求項1および2によるグローブボックスのロック装置によれば、合成樹脂化しても十分な強度を確保し得るので、製造工数の低減および軽量化の推進を実現する上に大きな効果が得られる。また請求項3の発明によれば、強度確保に伴うラッチの大型化にも関わらず、操作性が損なわれずに済む。さらに請求項4および5の発明によれば、左右勝手違いにも容易に対応することができる。
【出願人】 【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
【出願日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【代理人】 【識別番号】100089266
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 陽一
【公開番号】 特開2001−271547(P2001−271547A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−88225(P2000−88225)